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1. 2015-16 年度 インド国家予算の特徴:待ったなし

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1. 2015-16 年度 インド国家予算の特徴:待ったなし
March 20, 2015
1.
2015-16 年度 インド国家予算の特徴:待ったなしの予算
2.
タイ:外国人事業法の正しい理解(1)
3.
経済・産業トピックス
4.
主要各国の経済指標
1. 2015-16 年度 インド国家予算の特徴:待ったなしの予算
2 月末日は毎年インドの国家予算の発表日である。今年は土曜日に当たったが予算発表日であることか
ら株式市場も臨時で開き、実質的にモディ政権初の予算となる 2015-16 年度インド国家予算発表にイン
ド内外の注目が集まった。
予算はモディ政権の改革政策に新機軸が出てくるのではとの期待もあり、1991 年インドが経済開放に
大きく舵をとった時のそれに匹敵する予算となるとの見方もあった。
しかし、蓋を開けてみると 2015-16 年度予算はモディ政権の政策に基づき優先付けされた実務的な予
算の内容となっている。一言で述べると「経済成長の回復と国家の安全を重視した予算」と言うことがで
きるのではないか。
では、2015-16 年度予算について政策面と予算配分面からいくつかの特徴を見ていきたい。
まず政策面から、第一点目として挙げられるのは、長年の懸案事項であった物品サービス税(GST)の
実施について、2016 年 4 月1日から実施することを明言したことだ。各州まちまちの税体制が統一され、
インドに初めての共同市場を生みだすことになる。これは税制の簡素化のみならず、海外投資家にとり投
資環境の大幅な改善に繋がる。モディ政権が掲げる「インドでのビジネスのし易さへの改善」に直結する。
二点目に挙げたいのは、インド準備銀行(RBI)と金融政策フレームワークについての合意がなされた
ことである。この合意では、成長目標を考慮しながら、金融政策運営に消費者物価指数をベースとしたイ
ンフレターゲットを採用し、物価安定を図ることを政策の主たる目的とする。そして政策のフレームワー
クは RBI によって運営されることで合意を見たと明言した。今回の予算でのインフレターゲットは 6%以
下に抑えることを目標とするとしている。これを受けて RBI 総裁は 3 月 2 日に政府との金融政策フレー
ムワークに関するアグリーメントを公表した。この契約では、今後 RBI によって金融政策が運営されて
いくことになるが、インフレについては中央政府も同じ船に乗り協力することを明らかにしたもので、こ
の合意の意義は大きい。この合意に伴い金融政策委員会を設けるためインド準備銀行法の改正が今後進め
られていくことになる。金融政策委員会の内容構成等については、政府と RBI との協議を待つことにな
るが、金融政策委員会そのものの設置は確実であり、合議制による透明性の高い金融政策運営が行われる
1
ことは画期的な出来事である。
三点目に挙げたいことは、インド独立 75 周年にあたる 2022 年に向けて、長期的に取り組むべき政策ビ
ジョンを述べていることだ。単年度のテーマを取り扱う予算案としてはこのような長期プランを詳しく述
べることは異例だろうが、モディ政権の政権政策ビジョンを今回の予算案の中に入れ込むことで、今年の
予算案が長期ビジョンのスタートラインであることを国民にアピールした。事実、予算ではその政策に沿
った予算配分が見られる。政策ビジョンの概要は以下のとおりだが、政策課題には貧困層やインフラ開発
の恩恵をインド全土へ広げたいというモディ政権の考えを滲ませて、ともすれば中産階級ないし産業界に
重きを置くと見られているモディ政権が、弱い者への配慮を最も重視しており、産業政策振興の最終目的
は貧困の撲滅であるということを訴えているのであろう。これは独立記念日の演説から一貫したモディの
スタンスだ。
2022 年に向けての政策ビジョン
項目
説明
1.
家族がひとつ屋根の下に 住宅の供給
都市部 20 万 農村部 40 万の住宅供給
2.
ベーシックファシリテイの 24 時間供給
電気・飲料水・トイレ・道路へのコネクショ
体制
ンを作る
雇用機会 生計を立てられる家庭
少なくとも家族の中で最低一人に雇用機会
3.
を作る
4.
貧困を減らす
我々の多くの政策はここにフォーカスされ
る
5.
凡そ 2 万村ある無電化村落を解消する。
全家庭に電力供給
オフグリットによるソーラー電力も含む
6.
7.
道路コネクションがない全国 178 千の
現在工事中 10 万 Km に新たに 10 万 Km の
村を舗装道路で結ぶ
建設
健康な生活環境実現・医療サービスの
無医村解消
充実
8.
普通教育向上 スキル教育
5km に1校中学
9.
農業の生産性改善・リーズナブルな価
灌漑地区の拡大・効率的灌漑システム導入・
格の実現
アグロベースの産業構築・農村の収入の増加
既存校のアップグレード
10. 全国に通信が通じるようにする
11. 若者の雇用創出
Skill India, Make in India プログラムの究
極の目的である
12. アントレプレナーシップの奨励
求職者から雇用を創出する側への転換とも
なる
13. 北東インドの開発
最も遅れた地域の開発促進
2
次に予算配分から見た特徴を見てみたい。
今回の予算規模は前年度比+5.7%増加している。非計画歳出及び計画歳出共に資本勘定の歳出の増額率
が大きい。(資料1の項目番号 12.15.19.参照。なお予算の計画歳出・非計画歳出、並びに資本勘定歳出・
Revenue 勘定歳出の意味は同資料の脚注を参照頂きたいが、国防を除き計画歳出がほぼ事業関連の支出
と見なしうる)。
非計画歳出における資本勘定支出は、前年度比+16.2%。増額要因は殆どが国防装備関連の支出増によ
るもの。国防関連資本勘定支出は合計 9,777.6 億ルピー、前年度比+17.6%増となっている(資料7―1項
目番号 3.及び 6. 2015-16 年度の欄参照)。
一方、計画歳出の資本勘定支出は、前年度比+33.9%となっているが、実額での最大のセクターは鉄道
で 4,000 億ルピー、次いで道路だ。道路は、前年度比増加額が最大の+1,801.7 億ルピーとなっている。イ
ンフラ関連では他に都市開発、通信、原子力の増加が目に付く(資料4.参照)。ジェイトレー財務相は、
今年度予算発表においてインフラ関連投資へ 7,000 億ルピー充てること表明した。前政権は、インフラ開
発が最優先課題でありこれを民間投資に頼る PPP 方式で推進しようとしてきたが、実効が上がらなかっ
た。これを踏まえて、政府のイニシアチブによる投資を増やすことで民間の投資も復活させたいとの考え
からの予算配分である。インフラについては、この他に年間で 2,000 億ルピーの資金を投入する国家イン
フラ投資ファンド(National Investment and Infrastructure Fund :NIIF)を設置するという。NIIF は、鉄
道金融公社などインフラ金融専門機関への資金支援を行う役目だ。またジェイトレー財務相は、鉄道・道
路・灌漑分野でのプロジェクトのための資金調達手段としてインフラボンド免税債の発行を許容したいと
も述べている。そして懸案事項として PPP 方式の見直しを行い、PPP をさらに発展させ活発化させたい
と述べた。
2015-16 年度の経済成長を今回予算では 8-8.5%においており、インフラ開発は経済成長達成への大きな
牽引車という位置づけだ。
政府の投資資金の増額に伴ってジェイトレー財務相は、財政赤字の対 GDP 比目標の 3%達成時期を 2017
年から一年間後ろ倒しにした。そして新たな目標として 2015-16 年度 3.9%、2016-17 年度 3.5%、2017-18
年度 3.0%とすると表明した。これは世界の格付機関の批判の的となったが、インド国内では理解されて
いる。RBI も政府の財政規律順守の推移を見守っていくとの姿勢で一定の理解を示している。
補助金予算削減は、インド政府にとって永年の課題だが、今回予算では原油価格の下落によって石油関連
の補助金が半減、3,027 億ルピー減少した。ただ、他の大きな補助金項目である肥料、食料などは増加し
ている。補助金予算は原油価格下落に頼り全体で 2,288 億ルピー減少したが政策は実質的に不変となった
(資料3.参照)。このことは、海外の格付機関やメディアから、前政権と姿勢が変わっていないとの批判
を受けている。
計画歳出の Revenue 勘定歳出では、教育、医療、農村部の電力普及などへ手厚く配分している(資料
5.参照)。これは前述した 2022 年に向けた長期政策ビジョンにも沿った予算配分となっている。また科
学技術振興のため科学技術省や宇宙省への予算も増やしている。大国への仲間入りを図りたいとの思いが
ある。
3
金額は小さいが、経済協力予算について触れておきたい。今回予算では経済協力関連予算は総額 910
億ルピーで前年度比+26%と大幅に増やしている(資料6-1)
。経済協力対象国別に見るとブータン向け
が+129 億ルピーと他国を圧倒している(資料6-2)。これはブータン向けの計画歳出が増えたことに尽
きるが、その内容は、モディ首相が就任後初の外遊先として訪問した際に合意したブータンとインドの合
弁による水力発電所建設促進と新たなプロジェクトに関連するものだ。600Mw 級のコーロンチュ水力プ
ロジェクトや総計 2,120MW の 4 水力発電プロジェクトが進められることになっている。これらプロジェ
クトからの電力はインドへ輸出され、ブータン経済開発の支えとなるものだが地政学上の政策とも関連す
る。経済協力予算配分国はブータンが 31%で一位、次いでアフガニスタン、スリランカ、ネパールの順
となっており今回予算で増額された国はブータン以外ではネパール、ミヤンマー、バングラデシュ、モル
デイブ等となっている。いずれもが、モディイ首相が力を入れている近隣外交展開の中で関係の強化を図
りたい国である。
最後に歳入について触れたい。歳入の実額で最大のものは税収であるが、歳出が前年度比 5.7%と増え
る中で税収の伸びは前年度比+1.4%に留まっている。それをカバーするため、今回、予算では資本収入財
源を大きく増やすことになっている(資料1)
。資本収入は前年度比+14.6%の 63,590 億ルピー。それを財
源別にみると大きく増やすのは国営企業等の政府保有株式の売却によるもの。今回予算では総額 6,950 億
ルピー前年度比 162%も増やす計画だ。また借り入れについても前年度比+2.9%増の総額 54,360.8 億ルピ
ーとなっている(資料2)。国有企業株式売却と借り入れを少し増やすことでまずは成長を軌道に乗せる
ための資金供出をおこない、成長を軌道に乗せたところで税収を上げていくというのが今回の予算の発想
であろう。ただ、企業活動の活発化を支援する観点から、法人所得税を今後 4 年間で現行の 30%から 25%
へ減額すると発表しているので、来年スタートする予定の GST などで効率的に税収増を図っていきたい
意向のように見える。
以上から、今回の予算は厳しい財政事情の中、成長と国防そして経済協力に重きを置き加えて 2022 年
に向けた長期政策ビジョンの初年度を踏まえた予算配分を行った予算であると言えよう。
今回、予算発表直後の 3 月 4 日に、ラグラム・ラジャン RBI 総裁は臨時の金融政策会合を開き政策金
利を 0.25%引き下げ 7.5%にすることを発表した。これは前回同様に定期のバイマンスリー金融政策会合
とは別の臨時のタイミングでの金利引き下げ。2度目のサプライズであったが、RBI 総裁としては前から
消費者物価には落ち着きを見せていたことから、引き下げの環境は整ってきたが、予算案を見た上で引き
下げを決めるとの判断があったものと思われる。事実、引き下げに際して、ラジャン総裁は、そのステー
トメントの中で「金融政策フレームワークの合意により政府と RBI の間で RBI が明確なインフレターゲ
ットを設定するということが明確にされた。このことで、政府と RBI が共通の目標を持ち、財政政策と
金融政策が補完関係に立って運営されていくということが明確にされた。また政府の財政赤字目標達成の
後ろ倒しは(補助金支出をインフラ開発への支出へシフトするなど)財政赤字調整の質的改善へのコミッ
トメントが目標達成の遅れを償っている」と述べている。ラジャン総裁は、金融政策フレームワーク合意
の意義を高く評価し、今回予算における財政赤字目標達成の後ろ倒しの事情についても一定の理解を示し
た。したがって今回引き下げは、RBI が今回予算を援護射撃したとも受け止めることができるだろう。ま
た株式市場も予算発表後に株価を上げ代表的株価指数である Sensex は安定的に上昇したことから、市場
も今回予算を支持したと言える。
4
現在開催中の予算国会では、土地法の改正など改革に重要な法案がかけられている。その趨勢は依然と
して不透明な政治情勢の中に紛れているが、改革に向けた多くの困難を乗り切らないことには、インフラ
開発は大きな前進が期待できなくなる。そのことは取りも直さず、インフラ開発をテコにインドの経済成
長回復をかけた予算の実行を困難にさせることを意味する。
今回の予算は、税制や金融政策制度などで大きな展開を見せた予算ではあるが、何よりも予算実行が一
番重要である。モディ首相のさらなる実行力が問われる予算だ。今回の予算は、インドにとって飛躍への
大きなチャンスでもあるが、インド経済の起死回生を賭けた土俵際待ったなしの予算でもある。
記事提供:インド経済研究所 理事・主任研究員 菅谷 弘
一般財団法人インド経済研究所:2006 年 4 月創設「早稲田大学インド経済研究所」を引き継ぎ、2010
年 4 月に設立。元財務官榊原英資が理事長を務め、日印経済関係の強化を目的とする研究活動講演活
動等の他、会員企業に経済・産業など幅広く情報提供、投資相談を行っている。
筆者プロフィール:1971 年東京銀行(現三菱東京 UFJ 銀行)入行。1997 年から 4 年間上海勤務、2008
年から 2 年間インド三菱 UFJ 証券会長を務める。2010 年より現職。
(2014 年 3 月 12 日作成)
(予算案の概要資料については、次ページ以降ご参照)
5
(資料1)予算概要(財務省予算資料から作成)
項目
1.
歳入
2.
税収(中央政府分のネッ
単位:億ルピー
D.2015-16 年度案
E.前年度比増
A.2013-14 年度
B.2014-15 年度
C.2014-15 年度
(実績)
原案
修正
減
(実績見込み)
(実績見込み)
(D-C)
増減比率
(%)
(E÷C)
101,472.4
118,976.3
112,629.4
114,157.5
+1,528.1
+1.4
81,585.4
97,725.8
90,846.3
91,984.2
+1,137.9
+1.3
ト)
3.
非税収
19,887.0
21,250.5
21,783.1
22,173.3
+390.2
+1.8
4.
資本収入
54,472.3
60,512.9
55,486.4
63,590.2
+8,103.8
+14.6
5.
借換え
1,249.7
1,052,7
1,088.6
1,075.3
-13.3
-0.1
6.
その他受取り
2,936.8
6,342.5
3,135.0
6,950.0
+3,815.0
+121.7
7.
借入等
50,285.8
53,117.7
51,262.8
55,564.9
+4,302.1
+8.4
8.
歳入合計
155,944.7
179,489.2
168,115.8
177,747.7
+9,631.9
+5.7
9.
非計画歳出
110,904.0
121,989.2
121,322.4
131,220.0
+9,897.6
+8.2
10.
(同上 9.非計画歳出のう
(101,904.0)
(111,460.9)
(112,189.7)
(120,602.7)
(+8,413.0)
(+7.5)
ち Revenue 勘定)
11.
金利支払
37,425.4
42,701.1
41,135.4
45,614.5
+4,479.1
+10.9
12.
資本勘定
8,708.0
10,528.3
9,132.7
10,617.3
+1,484.6
+16.2
13.
計画歳出
45,332.7
57,500.0
46,793.4
46,527.7
-265.7
-0.6
14.
Revenue 勘定
35,273.2
45,350.3
36,688.3
33,002.0
-3,686.3
-10.0
15.
資本勘定
10,059.6
12,149.7
10,105.1
13,525.7
+3,420.6
+33.9
16.
歳出合計(9+13)
155,944.7
179,489.2
168,115.8
177,747.7
+9,631.9
+5.7
17.
Revenue 勘定(10+14)
137,177.2
156,811.1
148,878.0
153,604.7
+4,726.7
+3.2
18.
(同上 17.Revenue 勘定
(12,941.8)
(16,810.4)
(13,189.8)
(11,055.1)
(-2,134.)
(-16.1)
のうち Capital assets 造
成向けグラント)
19.
資本勘定(12+15)
18,767.5
22,678.1
19,237.8
24,143.0
+4,905.2
+25.5
20.
歳入赤字(17-1)
35,704.8
37,834.8
36,248.6
39,447.2
+3,198.6
+8.8
21.
Effective 歳入
22,763.0
21,024.4
23,058.8
28,392.1
+5,333.3
+23.1
50,285.8
53,117.7
51,262.8
55,564.9
+4,302.1
+8.4
-177.0
-1.7
赤字(20-18)
22.
財政赤字
{16-(1+5+6)}
(
(4.4%)
(4.1%)
(4.1%)
(3.9%)
)内は
対GDP比
23.
基礎的財政収支赤字
12,860.4
10,416.6
10,127.4
9,950.4
(22-11)
注 1) 計画画歳出(Plan Expenditure)とは、関係閣僚とかつては計画委員会が協議して決定した支出
6
注 2.)非計画歳出(Non -Plan Expenditure)とは、金利支払い、補助金(食料、肥料など)公務員給与、公務員年
金、公的サービスなどの支出
注 3)Revenue 勘定歳出とは資産の形成を伴わないあるいは債務の減少が伴わないようなものへの支出を指す。
典型が給与、過去債務の金利の支払い、補助金、年金などである。
注 4)資本勘定(Capital Account)とは、資産の買い取り、例えば建物土地などの不動産の取得とか株式への投
資、州政府等への貸付など支出の結果資産を形成する支出を指す。非計画歳出における資本勘定支出のお
もなものには国防用資産取得や、公営企業に対する貸付、州政府に対する貸付、外国政府に対する貸付な
どがある。
(資料 2)資本収入の主な項目別金額(財務省予算資料から作成)
単位:億ルピー
2013-14 年度予算
2014-15 年度予算
2014-15 年度
原案
資 本 収 入 Net 総 額
54,472.3
2015-16 年度予算案
修正予算
62,512.9
(%)は増減率
55,486.4
65,590.2
Non-Debt
+8,103.8
( +14.6%)
(=1+3+8)
1.
前年度比増減
4,186.5
7,395.2
4,223.6
8,025.3
+3,801.7
(+90%)
2.
(うち 国営企業
( 2,436.2)
( 5,842.5 )
( 2,635.3 )
( 6,950.0 )
( +161.8%)
株式売却)
3.
借入ネット
+4,314.7
52,202.9
51,401.6
52,829.9
54,360.8
1,530.9
(+2.9%)
4.
(借り入れネッ
46,866.8
46,120.5
45,320.5
45,640.5
+320.0
(+0.7%)
トのうち市場借
入)
5.
(借り入れネッ
727.2
3,455.3
5,116.9
3,066.2
(-40.1%)
トのう短期借入)
6.
(借り入れネッ
-2,050.7
729.2
573.4
970.5
1,117.3
+146.8
(+15.1%)
トのうち対外借
入)
7.
(対外借入ネッ
( 490.2 )
( 663.2 )
( 434.0 )
( 615.5 )
(+41.8%)
トのうち日本)
8.
その他
+181.5
-1,917.1
3,716.0
-1,567.1
3,204.1
注)その他の中で金額の大きな変動要因は州 Provident Funds 以外のファンドからの収入
の組み戻しによるなど財務処理上のもののようである。
7
+4,771.2 注)
鉄道関連6ファンド
(資料 3)主要補助金予算(財務省予算資料から作成)
2014-15 年度修正予算
項目
単位:億ルピー
2015-16 年度予算案
前年度比増減
7,096.7
7,296.9
+200.2
食料補助金
12,267.6
12,441.9
+174.3
3.
石油補助金
6,027.0
3,000.0
-3,027.0
4.
金利補填(注 1)
1,114.7
1,490.3
+375.6
5.
その他の補助金(注 2)
163.2
152.0
-11.2
26,669.2
24,381.1
2,288.1
1.
肥料補助金 3 種計
2.
総合計
注 1)金利補助金の大宗は農民向け短期貸付の金利補助で 2015-16 年度は総額 1,300 ルピーと輸出促進のための
銀行への補助金
同 162.5 億ルピー
注 2)その他補助金で一番大きいものは砂糖業への金融支援スキームの補助金 2015-16 年度は 80 億ルピー
(資料 4)計画歳出(Plan Expenditure)の資本勘定において 2015-16 年度予算上位 10 の産業セクター
(財務省予算資料から作成)
項目
単位:億ルピー
2013-14 年度予
2014-15 年度予
2014-15 年度
2015-16 年度予
算
算
修正予算
算案
前年度増減
原案
1.
鉄道
2,707.2
3,010.0
3,010.0
4,000.0
+990
2.
道路
1,303.8
1,578.6
1,503.2
3,304.9
+1,801.7
3.
金融サービ
1,688.3
1,345.0
930.0
955.5
+25.5
ス
4.
都市開発
604.1
908.9
694.1
940.3
+246.2
5.
内務省関連
450.1
768.4
364.4
640.3
+275.9
6.
原子力
233.5
410.1
271.9
410.9
+139.0
7.
宇宙
244.1
365.4
244.1
346.5
+102.4
8.
外務省関連
146.8
300.8
241.2
324.1
+82.9
9.
テレコム
21.7
370.2
64.1
259.1
+195.0
10. 民間航空
605.5
654.0
582.3
252.8
-325.5
11. 電力
147.6
207.2
138.3
95.8
-42.5
注 1)内務省の Plan 支出増加要因には警察署建設、国境治安維持、警官宿舎、また新たに41億ルピーのサイク
ロンリスク軽減プロジェクト費用が計上された結果。
注 2)外務省の計画歳出増加の要因はブータン向け借款が前年度比 124 億ルピー増加したことによる。計画歳出
であるので他省庁が関与している。これは電力省が関係している水力発電建設プロジェクトに伴うもの。
8
(資料 5)計画歳出(Plan Expenditure)の Revenue 勘定において 2015-16 年度予算上位 10 の省庁
(財務省予算資料から作成)
項目
単位:億ルピー
2013-14 年度予
2014-15 年度予
2014-15 年度
2015-16 年度予
前年度増減
算
算
修正予算
算案
(
)は%
原案
1.
人材開発省
1,392.0
1,470.0
1,260.3
1,470.0
+209.7 (16.6)
高等教育
2.
経済関係省
395.2
828.8
777.1
795.3
+18.2 (0.2)
3.
道路省
768.4
1,045.2
1,008.2
695.4
-312.8 (-31.0)
4.
電力省
304.7
757.1
431.7
584.1
+152.4 (35.3)
5.
農業省
1,011.8
578.0
529.7
580.4
+50.7 (9.6)
6.
健康福祉省
2,119.9
419.5
457.0
538.7
+81.7 (17.9)
7.
科学技術省
220.8
311.0
249.4
338.5
+89.1 (35.7)
8.
通信省
241.6
379.8
232.9
260.9
+28.0 (12.0)
9.
中小企業省
217.6
331.9
249.2
260.3
+11.1 (4.4)
155.7
234.6
205.9
253.5
+47.6 (23.1)
10. 宇宙省
注 1)人材開発省高等教育部門の増額要因は IIT 及び IIM を新しく設置するための費用 100 億ルピー経常ほか学
生への学費補助 57 億ルピー増額などによる。
注 2)道路省の減額は主として Express way の保守点検を州政府機関に委ねたことによる。
注 3)電力省の増加要因は農村部電力普及関連費用 432 億ルピーを計上したことによる。
注 4)農業省の増加要因の主なものは全ての農民が農業用水にアクセスできるよう農業用水の供給サプライと感
慨のネットワーク拡充を図るための Pradhan Mantri Krishi Sinchai Yajana(PMKSY)プログラム関連費用を
100 億ルピー計上した。また土壌改良肥料関連で National Agriculture Development Scheme に基づく 41
億ルピー予算増額がなされ事が特記される。
注5)健康福祉省の増加要因は主にインド医科大学(AIIMS)タイプの病院と教育機関を設置するための費用を
123 億ルピー計上したことによる。
注 6)科学技術省の増加要因は様々なプロジェクトで増えている。特に先進技術 R&D や気候温暖化への取り組
みなどが挙げられる。
注 7)宇宙省は通信衛星 GSAT,情報衛星 INSAT などの衛星打ち上げ計画に伴う費用増額である。
9
(資料 6-1)インド国家予算
経済協力予算
国別状況(非計画・計画歳出合算額ベース)
(財務省予算資料から作成)
(億ルピー)
(資料 6-2)インド国家予算
経済協力予算のうち
計画歳出予算推移
(財務省予算資料から作成)
(億ルピー)
10
(資料 7-1)
項目
国防関連予算推移(財務省予算資料から作成)
2013-14 年度予算
2014-15 年度予算
2014-15 年度予算
原案
Plan
1.
国防
単位:億ルピー
2015-16 年度予
算案
修正
Non-Plan
Plan
前年度増減
Non-Plan
Plan
Non-Plan
Plan
Non-Plan
Plan
Non-Plan
-
5,063.4
-
5,620.3
-
5,489.2
45.0
6,290.3
+45.0
+801.1
-
4,953.8
-
5,458.2
-
5,369.7
5.0
5,971.5
+5.0
+601.8
-
109.6
-
162.1
-
119.5
40.0
318.8
+40.0
+199.3
-
20,349.9
-
22,900.0
-
22,237.0
-
24,672.7
+2,435.7
-
12,437.4
-
13,441.2
-
14,040.5
-
15,213.9
+1,173.4
-
7,912.5
-
9,458.8
-
8,196.5
-
9,458.8
+1,262.3
27,726.2
-
30,963.0
+3,336.8
Civilian
関係計
2.
Revenue
勘定
3.
資本勘
定
4.
国防サー
ビス
5.
計
Revenue
勘定
6.
資本勘
定
7.
25,413.3
総計(1+4)
28,520.3
注1) 網掛けの部分 3.の資本勘定が軍事施設等、6.の資本勘定がいわゆる軍装備調達や軍関連の建設に関わ
る支出。
注2) 3.の資本勘定の 2015-16 年度予算の列で、Plan 歳出の Revenue 勘定5億ルピーは Civilian 関係国防予
算の項目なので、北東インド関係の非軍事的人員の人件費などの費用支出、資本勘定 40 億ルピーは軍民
供用の道路橋など建設向け支出と考えられる。
内務省等関連省庁との協議により予算に盛り込まれた
ため Plan の項目に計上されたものと推測する。
注3) 4.の国防サービスは陸・海・空三軍の人件費(Revenue 勘定)と装備に関わる支出(資本勘定)の合計。
(資料 7-2)国防予算
歳出勘定別の予算額推移(財務省予算資料から作成)
(億ルピー)
注)上記表の国防予算全体を Revenue 勘定と資本勘定に分けて推移をみたグラフ
11
2. タイ:外国人事業法の正しい理解(1)
概要
外資企業がタイで事業を行う場合、確実に理解しておかなければならない法律が「外国人事業法」です。
この法律によって各企業は現在の株主構成、資本構成、業態になっています。「外国人事業法と会社の構
造の理解」は前任者から後任者への重要な引き継ぎ事項の一つです。正しく引き継がれていない会社はい
つの間にか違法状態になっていることが多いのです。今月から数回にわたり「外国人事業法」を解説しま
す。
私は以前から、日系企業ないし外資企業がタイで事業を行うに当たり、まず確実に理解しておかなけれ
ばならない最重要の法律は、外国人事業法(FOREIGN BUSINESS ACT B.E.2542(1999))だと説明して
います。この法律があることによって各企業は現在の株主構成、資本構成、業態になっています。そして、
外国人事業法とタイの現地法人がなぜ現在、その資本構成、株主構成になっているのかということは、前
任者から後任者に必ず引き継がなければならない事項であると思っています。
外国人事業法は、外資企業にとって、よく理解しておかなければ容易に違法状態に陥ることになりかね
ない落とし穴のような法律です。今回から数回にわたり、ぜひ理解してほしい外国人事業法について解説
します。
1. 外国人事業法とは?
「外国人事業法は『外国人』が行ってはならない『規制事業』を規定している」
これが外国人事業法の定義です。押さえなければならないポイントは、以下の 2 点です。
(1) 外国人事業法において「外国人」とは何か。
(2)「外国人」が行ってはならない「規制事業」とはどのような事業か。
2. 外国人事業法上の「外国人」とは?
外国人事業法上の「外国人」は、一般的に「タイ人」「外国人」といわれる「タイ国籍法」(以下、国
籍法)上の外国人とはその範囲が異なります。外国人事業法は、タイの地場産業を外資から守るために制
定された法律ですから、国籍法上の外国人だけでなく、資本の半分以上が外資の法人も外国人に含めてい
ます。タイの法律に基づいて設立された法人は、国籍法上は外資の多寡に関係なく「タイ人」ですが、外
国人事業法上、資本の半分以上が外資の法人は、たとえタイの法律に基づき設立された法人であっても「外
国人」として取り扱われます。
外国人事業法上の「外国人」の定義はおおむね以下の通りです。
(1) タイ国籍を有しない個人
(2) 外国の法律で設立された法人
12
(3) 資本の半分以上を(1)または(2)が所有するタイの法律で設立された法人
(4) 資本の半分以上を(1)または(2)または(3)が所有するタイの法律で設立された法人
つまり「資本の半分以上が外資の会社は外国人事業法上の外国人である」と理解すればいいと思います。
3. 「外国人」が行ってはならない「規制事業」とは?
外国人事業法は、外国人が行ってはならない規制事業を以下のリスト 1、2 および 3 に分類して列挙し
ています。
(リスト 1)
外国人が従事することが絶対に認められない事業であり、農林水産業、骨董(こっとう)品売買、不動
産売買など 9 種類の事業がリストアップされている。
(リスト 2)
国家の安全保障、タイの伝統的芸術・文化・自然環境を守るために内閣の承認の下、商務大臣から許可
を取得しない限り外国人が従事することができない事業であり、武器製造、タイ美術・民芸品製造、タイ
シルク製造、製糖業、製塩業など 13 種類の事業がリストアップされている。現行の外国人事業法が 1999
年に制定されてから今日まで内閣の承認を受け、商務大臣から許可を取得した例がないため、実質的に門
戸が閉ざされた事業である。
(リスト 3)
外国人との競争力がまだ不十分なために保護される事業で、競争力が認識された後に外国人に開放され
るべき事業であり、商品の小売業、卸売業、各種サービス業など 21 種類の事業がリストアップされてい
る。リスト 3 の事業は、外国人事業委員会の承認に基づき、商務省事業開発局長から許可を取得した場合、
外国人でも事業に従事できる。
以上が外国人事業法において外国人が従事してはならない規制事業であるが、ここで理解しなければな
らないのは、リスト 1、2、3 の具体的内容ではなく、これらのリストにない事業、すなわち「外国人が従
事できる事業とは何か」ということです。規制事業にリストアップされていない事業は法律に記載されて
いない事業であるため、タイの外資規制の過去の歴史を知らないとその事業に従事できるか否かの答えが
出ません。答えだけを言うと、外国人が従事できる事業は、以下の二つの事業だけです。
(1) リスト 1、2、3 に含まれない工業製品の製造販売
(2) 各種商品の輸出
1999 年に制定された現行の外国人事業法以前は外資規制の基本法として「革命団布告第 281 号」(通
称「仏歴 2515 年外国人事業規制法」)が存在しており、薬の製造販売、電球の製造販売、文房具製造販
売など特定製品の製造販売だけでなく商品の輸出が規制事業にリストアップされていました。
13
1999 年制定の外国人事業法の規制事業リストからは、多くの工業製品の製造販売が消えるとともに、
各種商品の輸出が削除されました。これによって、日系企業が取り扱うほとんどの製品の製造販売が「外
国人でも従事できる製品の製造販売」となり、各種商品の輸出も外国人が従事できる事業となりました。
「外国人でもできるのは製品の製造販売と商品の輸出だけであり、その他の事業は一切禁じられてい
る」これが外国人事業法の原則です。
「その他の事業」とは以下のように理解してください。
(1) 商品売買(「商品」とは他者が製造した物品)
(2) あらゆるサービスの提供
「資本の半分以上が外資の会社(外国人)は、タイ国内で商品売買またはサービス提供を行うことが
禁じられている」これも外国人事業法の原則です。
4. 「例外」に関する解説
外国人事業法は、外資企業がタイに進出する場合に、最初に理解しなければならない外資規制に関する
法律です。外国人事業法においては、資本の半分以上が外資の会社は「外国人」と定義付けられ、原則的
にタイ国内で一切の商業(商品売買)とサービスに従事することが禁じられます。
ところが、この外国人事業法には「例外」が組み込まれています。外国人のままで商業またはサービス
を行いたい場合には、それらの例外を適用するしかありません。例外を適用してもできない事業がある場
合には、いやが上にも外国人としての事業を諦め、資本の過半数をタイ資本として事業を行うしかありま
せん。例外を適用できるかどうかが外国人(外資)ステータスを維持できるか否かの分かれ道なのです。
外国人事業法で規定される例外
外国人事業法には、以下の例外が組み込まれています。
外国人事業法上の例外
1. 規制業種「リスト 3」に組み込まれた例外
2. 第 8 条に基づく外国人事業許可
3. 投資奨励法に基づくタイ投資委員会(BOARD OF INVESTMENT:BOI)奨励事業(第 12 条)
4. 工業団地公団法に基づく認可事業(第 12 条)
5. 条約などに基づく規制の解除(第 10 条)
これら五つのタイプの例外について、それぞれ解説したいと思います。
14
(1) 規制業種「リスト 3」に組み込まれた例外
外国人事業法に添付される「リスト 3」に記載されている業種は「外国人事業委員会の承認に基
づき、商務省事業開発局長から許可を取得した場合、外国人でも事業に従事できる業種」です。
この「リスト 3」を見ると「業種名」だけでなく「取引形態」や「規模」についての記述がある
ことに気付きます。リスト 3 には「取引形態」や「規模」によっては規制業種から除外される以下
のような業種があります(抜粋、要約)。
① 資本 5 億バーツ以上を伴う高い技術力を要する公共施設、輸送手段の建設
② 証券発行、物品・金融商品・証券の先物取引に関する仲介代理
③ 製造またはサービス提供のために必要な関係会社間で行う物品売買、サービスの仲介代理
④ 資本 1 億バーツ以上を伴う国際取引に関する仲介代理
⑤ 資本 1 億バーツ以上を伴う物品の小売り
⑥ 資本 1 億バーツ以上を伴う物品の卸売り
(注)「1 億バーツ以上の資本を伴う」と記載されている各事業については、それぞれの事業に
1 億バーツ以上の資本を有していることが要求され、1 億バーツの資本があれば、三つの
例外を適用できるわけではないことに注意してください。
ここで「資本」に関する説明を補足します。
上記の「資本」とは、外国人事業法では「最低資本」(MINIMUM CAPITAL)と規定されてお
り、以下の意味や解釈が付されています。
「最低資本とは、外国人がタイ法人の場合、その法人の資本、外国人が外国法人である場合、そ
の法人がタイに持ち込んだ外貨を指す。また、資本とは、非公開株式会社の場合、その会社の登記
資本、公開株式会社の場合、その会社の払込資本を指す」
この規定に関して、以下の二つの解釈の変遷がありました。
① 外国人事業法が施行された 1999 年においては「非公開株式会社の場合、登記資本が 1 億バー
ツ、払込資本がその 25%以上であれば『1 億バーツ以上の資本』の例外が適用できる」という
解釈でしたが、現在は「非公開株式会社の場合も払込資本を 1 億バーツ以上有している場合に
『1 億バーツ以上の資本』の例外が適用できる」という解釈に変わっています。
② 外国人事業法が施行された 1999 年においては「どのような目的で投下された資本であっても、
1 億バーツの資本が登記されていれば『1 億バーツ以上の資本』の例外が適用できる」という
解釈でしたが、現在は「外国人事業法または他の法律で要求される資本を除いた資本が 1 億バ
ーツ投下されていないと『1 億バーツ以上の資本』の例外が適用できない」という解釈に変わ
っています。現在の解釈に従えば、例えば、BOI の奨励事業のために 3 億バーツの資本を投下
している場合、その 3 億バーツの資本によって『1 億バーツ以上の資本』の例外は適用できず、
15
新たに 1 億バーツ以上の資本を投下しない限り例外は適用できません。
(2) 第 8 条に基づく外国人事業許可
前述の通り、外国人事業法に添付される「リスト 3」に記載されている業種は「外国人事業委員
会の承認に基づき、商務省事業開発局長から許可を取得した場合、外国人でも事業に従事できる業
種」であり、同法第 8 条に基づき、商務省事業開発局長から許可(外国人事業許可:FOREIGN
BUSINESS LICENSE:FBL)を取得した事業については、外国人のステータスのままで従事するこ
とが認められます。
外国人事業許可は、関係会社間取引に限定される場合など、内国産業に悪影響を与えないことが
明らかな事業について取得できます。
(3) 投資奨励法に基づく BOI 奨励事業(第 12 条)
投資奨励法に基づき設置されている BOI から奨励事業に関して奨励を認可された場合、たとえ
その奨励事業が外国人事業法上の規制業種に該当する場合でも、その規制が解除され、外国人で
もその事業に従事することができます。ただし、BOI から認可を受けて規制事業に従事する場合
には、外国人事業法第 12 条に基づき、外国人事業登録手続きを行う必要があります。
(4) 工業団地公団法に基づく認可事業(第 12 条)
工業団地法に基づき設置されている工業団地公団(INDUSTRIAL ESTATE AUTHORITY OF
THAILAND:IEAT)は、工業団地内の土地に関して外国人の所有を許可する権限、および、工業
団地の土地を所有し、輸出に関わる事業あるいは商取引を行うことについて認可する権限が与え
られています。
工業団地公団から輸出に関わる事業あるいは商取引を行うことについて認可を得た場合には、外
国人であってもその事業や商取引に従事することが認められます。ただし、工業団地公団から認可
を受けて規制事業に従事する場合には、外国人事業法第 12 条に基づき、外国人事業登録手続きを
行う必要があります。
(5) 条約などに基づく規制の解除(第 10 条)
政府プロジェクトなどの場合、タイ政府は臨時的に外国人が規制事業を行うことについて許可す
ることがあります。また、自由貿易協定(FREE TRADE AGREEMENT:FTA)などの条約によっ
て外国人事業法上の規制が解除されるケースがあります。外国人事業法第 10 条には、条約で外国
人が規制事業に従事することが認められている場合には、当該条約に従う旨が規定されています。
記事提供:MOTHER BRAIN(Thailand)CO,LTD.
(2014 年 11 月 3 日/2014 年 12 月 1 日作成)
16
3.
経済・産業トピックス
(1) 経済
【インド】予算案発表、2016 年 4 月 GST 導入
2 月 28 日、インドのジャイトリー財務相は、2015/16 年度予算案を国会に提出した。2016 年 4 月より
物品・サービス税(GST)を導入する。また、サービス税を 12.36%から 14%に引き上げる他、法人税を
4 年間で、現在の 30%から 5%引下げ、25%にする。歳出では、道路、鉄道、港湾などのインフラ整備を
重視している。
(2) 産業
【自動車産業】
インド、タイ、インドネシアの国内自動車販売台数及び前年同期比増減率の推移
年次
2013 年
2012 年
台数
増減率
台数
(台、%)
月次
2015 年 1 月
2014 年
増減率
台数
増減率
台数
2015 年 2 月
増減率
インド
2,770,061
9.9 2,551,589
▲ 7.9
2570592
0.7
230619
3.2
タイ
1,436,335
80.9 1,330,672
▲ 7.4
881832
▲ 33.7
59721
▲ 12.8
インドネシア
1,116,230
24.8 1,229,901
10.2
1208019
▲ 1.8
94194
▲ 9.0
台数
増減率
231,165
-
6.2
-
89,450 ▲ 20.0
(注)インドは国内乗用車販売台数
タイ、インドネシアは乗用車及び商用車の国内販売台数合計
(出所)各国業界団体資料より三菱東京 UFJ 銀行国際業務部作成
① インド:2 月の国内乗用車販売台数は、前年同月比 6.2%増
インド自動車工業会(SIAM)が発表した 2 月の国内乗用車販売台数は、23 万 1,165 台。前年同
月比 6.2%増。4 ヵ月連続で前年同月を上回っている。自動車メーカー各社の積極的な新車投入、
消費者心理の改善に加え、中銀の利下げにより、今後自動車ローン金利が低下する可能性があるこ
とは、今後の販売に追い風となると見られている。
② タイ:1 月の国内自動車販売台数は、前年同月比 12.8%減
タイ自動車産業協会(TAIA)が発表した 2015 年 1 月のタイの国内自動車販売台数は、5 万 9,721
台。前年比 12.8%減少した。依然減少が続いているが、減少の幅は、2014 年 12 月比 8.6 ポイント
縮小。車種別では、乗用車の販売台数が、2 万 3,405 台。前年比 11.4%減とマイナス幅が減少して
きている。
③ インドネシア:2 月の国内自動車販売台数は、前年同月比 20%減
インドネシア自動車協会(Gaikindo)が発表した 2015 年 2 月のインドネシアの国内自動車販売
台数は、8 万 9,450 台。前年比 20%減少した。2 ヵ月ぶりの 9 万台割れ。昨年の軽油、ガソリンの
値上げの影響により、4 ヵ月連続で 10 万台を下回った。
17
Gaikindo は、インドネシア経済が回復するまでは、厳しい状況が続くとしているが、2015 年通
年の販売台数は 120 万台程度と昨年並みを見込んでいる。
(台)
インドネシア:国内自動車販売台数推移
140,000
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
(出所)Gaikindo
18
2
2015.1
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
2014.1
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
2013.1
0
4.
主要各国の経済指標
マ レーシ ア
単位
2013
2014
実質GDP成長率
%
4.7
6.0
インフレ率
%
2.1
3.1
貿易収支
百万米ドル
22,265
25,266
経常収支
百万米ドル
12,601
15,146
市場金利
%
3.32
3.86
外国為替相場
対米ドル
3.1507
3.2726
株価
1,867.0
1,761.3
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、マレーシア中銀など)
2014/3Q
5.6
3.0
5,259
2,379
3.74
3.1923
1,846.3
2014/4Q
5.8
2.8
6,317
1,804
3.86
3.3654
1,761.3
De c - 1 4
タイ
単位
2013
2014
2014/2Q 2014/3Q
実質GDP成長率
%
2.9
0.7
0.4
0.6
インフレ率
%
2.2
1.9
2.5
2.0
貿易収支
百万米ドル
6,661
24,582
5,887
4,780
経常収支
百万米ドル
-2,452
14,231
-552
-526
政策金利
%
2.25
2.00
2.00
2.00
外国為替相場
対米ドル
30.72
32.48
32.45
32.11
株価
1,298.7
1,497.7
1,485.8
1,585.7
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、タイ中央銀行、国家経済社会開発委員会など)
2014/4Q
2.3
1.1
7,636
9,815
2.00
32.71
1,497.7
De c - 1 4
イン ド ネ シ ア
単位
2013
2014
2014/2Q
実質GDP成長率
%
5.6
5.0
5.0
インフレ率
%
6.4
6.4
7.1
貿易収支
百万米ドル
-4,077
-1,886
-2,198
経常収支
百万米ドル
-29,115
-26,233
-8,939
政策金利
%
7.50
7.75
7.50
外国為替相場
対米ドル
10,449
11,868
11,623
株価
4,274.2
5,226.9
4,878.6
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、インドネシア中央銀行など)
2014/3Q
4.9
4.4
-539
-6,963
7.50
11,764
5,137.6
2014/4Q
5.0
6.5
-218
-6,181
7.75
12,249
5,226.9
De c - 1 4
ベ トナ ム
単位
2013
2014
2014/2Q 2014/3Q
実質GDP成長率
%
5.4
6.0
5.3
6.1
インフレ率
%
6.6
4.1
4.7
4.3
貿易収支
百万米ドル
0
1,984
390
443
経常収支
百万米ドル
9,471
政策金利
%
7.00
6.50
6.50
6.50
外国為替相場
対米ドル
21,030
21,199
21,158
21,218
株価
504.63
545.63
578.13
598.80
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、ベトナム統計局、中央銀行、IMFなど)
2014/4Q
7.0
2.6
-728
De c - 1 4
フィリ ピ ン
単位
2013
実質GDP成長率
%
7.2
インフレ率
%
2.9
貿易収支
百万米ドル
-5,713
経常収支
百万米ドル
10,391
市場金利
%
0.00
外国為替相場
対米ドル
42.45
株価
5,889.8
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、IMFなど)
2014
6.1
4.2
-2,113
2014/2Q
6.5
3.3
5,709
4,947
3.55
3.2347
1,882.7
6.50
21,324
545.63
2014/2Q
6.4
4.4
265
3,004
1.04
44.13
6,844.3
2014/3Q
5.3
4.7
23
3,036
1.24
43.77
7,283.1
2014/4Q
6.9
3.6
-496
イン ド
単位
2012年度 2013年度 2014/2Q
実質GDP成長率*
%
5.1
6.9
6.5
インフレ率
%
7.4
6.0
5.8
貿易収支
百万米ドル
-190,336
-135,817
-34,455
経常収支
百万米ドル
-87,843
-32,358
-7,837
政策金利
%
7.50
8.00
8.00
外国為替相場
対米ドル
54.41
60.47
59.81
株価
18,836
22,386
25,414
*『実質GDP成長率』は新(2011年)基準且つ、市場価格ベース。
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、RBI、中央統計局など)
2014/3Q
8.2
3.9
-39,546
-10,103
8.00
60.60
26,631
2014/4Q
7.5
0.5
-39,303
1.42
44.39
7,230.6
1.42
44.81
7,230.6
8.00
61.95
27,499
19
J an - 1 5
2.7
2,642
1.0
3.86
3.4799
1,761.3
3.85
3.5808
1,781.3
0.6
3,640
5,523
2.00
32.89
1,497.7
J an - 1 5
-0.4
1,392
2,506
2.00
32.74
1,581.3
J an - 1 5
8.4
187
7.0
709
7.75
12,434
5,226.9
7.75
12,579
5,289.4
J an - 1 5
1.8
-1,162
0.9
-361
6.50
21,378
545.63
6.50
21,365
576.07
De c - 1 4
2.7
-68
1.42
44.68
7,230.6
De c - 1 4
J an - 1 5
2.4
44.60
7,689.9
J an - 1 5
0.1
-9,435
-0.4
-8,322
8.00
62.74
27,499
7.75
62.24
29,183
Fe b- 1 5
備考
前年(同期)比
消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
3.79 銀行間(3カ月物)、期末値
3.5991 期中平均
1,821.2 クアラルンプール総合指数、期末値
Fe b- 1 5
備考
前年(同期)比
-0.5 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
2.00 翌日物レポ金利、期末値
32.57 期中平均
1,587.0 SET指数、期末値
Fe b- 1 5
備考
前年(同期)比
6.3 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
7.50 BI金利、期末値
12,765 期中平均
5,450.3 インドネシア総合指数、期末値
Fe b- 1 5
備考
前年(同期)比
0.3 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
300
6.50 リファイナンスレート、期末値
21,335 期中平均
592.57 VN指数(ホーチミン)、期末値
Fe b- 1 5
備考
前年(同期)比
2.5 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
1.54 TB、期末値
44.22 期中平均
7,730.6 フィリピン総合指数、期末値
Fe b- 1 5
備考
前年(同期)比
卸売物価指数(WPI)、前年(同期)比
7.75 レポレート、期末値
62.03 期中平均
29,362 ムンバイSENSEX指数、期末値
(作成日:2015年3月17日)
(編集・発行) 三菱東京 UFJ 銀行 国際業務部
(照会先) 北村 広明
(e-mail): [email protected]
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