...

平成27年度 複合的作業空間における安全確保システム 開発部会報告書

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

平成27年度 複合的作業空間における安全確保システム 開発部会報告書
平成27年度
複合的作業空間における安全確保システム
開発部会報告書
平成28年3月
一般社団法人 日本機械工業連合会
この報告書は、競輪の補助金により作成しました。
http://ringring-keirin.jp/
序
当会は、経済産業省、公益財団法人JKA及び関係団体のご協力を得て、「機械安全
の標準化事業」と「機械安全の推進事業」に取り組んでおります。
これは、機械安全の国際標準化活動における国内審議団体としての使命を果たすとと
もに、その普及活動を通じて我が国における機械安全の確保に貢献しようとするもので
あります。
機械安全は、EUにおけるCEマーキング制度の発足を契機に、関連するEN規格が
制定され、これに基づく国際規格化が進められるなど、世界的にもその重要性が認知さ
れてきております。
我が国においても、平成 26 年労働安全衛生法改正による設計技術者、生産技術管理
者に対する機械安全教育カリキュラムの提示、産業用ロボットと人との協働作業が可能
となる安全基準の明確化、又、経済産業省の製品安全に関する施策として、製品安全対
策優良企業表彰受賞者による製品安全コミュニティーの設置及び生活支援ロボット安
全検証センターの設置など、機械の包括的な安全基準に関する指針が強化され、安全性
確保に国際標準の考え方を取り入れた取組が浸透しつつあります。
さらに、国土交通省における機械式立体駐車場の安全対策(ガイドライン発行、JIS
化開始)が提示されており、中小企業を含む多くの製造現場において安全対策が推進さ
れることが期待されます。
我が国機械産業が世界の情勢に対応するため、生産現場の実情に合わせた具体的な安
全方策を検討する必要があります。そのため、本事業では、ヒューマンエラーに起因す
る事故防止のための安全対策として、IDタグやカメラによる個人認証システム(入退
出管理)、及び作業許可システムを利用した複合作業空間における安全確保支援システ
ム(支援的保護システム)の開発のための討議を行っております。
平成 27 年度は、平成 26 年度に引き続き、安全確保支援システムとして設定した「支
援的保護システム」の実際の生産現場における有効性をデータで確認するため、実際の
生産ラインにおいて実証実験を行い、収集したデータのまとめと考察を実施しました。
本報告書は、企業が機械安全へ取り組む一助となるよう、取りまとめたものです。
本報告書が、関係各位のご参考に寄与すれば幸甚であります。
平成 28 年 3 月
一般社団法人日本機械工業連合会
会
i
長
岡
村
正
はじめに
本報告書は、統合生産システム(Integrated Manufacturing System)を対象とした新た
なリスク低減戦略として“支援的保護システム”と言う新しい概念を提案し、実際の作
業現場におけるリスク低減効果についてリスクアセスメントを実施し、その検証効果に
ついて実証実験を行った結果を示したものである。“支援的保護システム”は、設計・
製造者が JIS B 9700(ISO 12100)「機械類の安全性:設計のための一般原則」で述べる
リスク低減方策(3 ステップメソッド:本質安全設計方策、安全防護及び付加保護方策、
使用上の情報提供)で低減した後の残留リスクに対して、使用者がさらに作業現場でリ
スクを低減するための方策として位置づけており、従来の人の注意力に大きく依存して
いるリスク低減方策に対して、適切な ICT(Information and Communication Technology)
機器を組み合わせて用いることで、より確定性の高いリスク低減効果を得ることを目的
とする支援的な保護方策である。ただし、すでに実施している保護方策や教育・訓練・
管理に代わるものではない。
本年度は、部品アセンブリ(組立)ラインで製造を行う A 社で実施しているリスク
アセスメントの結果に対して、支援的保護システムを追加した時のリスク低減効果につ
いて検討を行い、その効果について同社の統合生産システムで検証実験を行った。
この実験では、TOF 3D センサ(Time of Fright-3D センサ)と RFID(Radio Frequency
Identification)機器を組み合わせた支援的保護装置をシステムの一部として使用するこ
とで、対象となる統合生産システムで作業を行う作業者の資格と作業権限の確認、及び
作業者が作業区域に入退場する時の正確な人数を確認するための要件を明確にした。こ
れにより、人の注意力のみに依存しないリスク低減手法を確立することができた。さら
に、A 社がすでに実施しているリスクアセスメント評価に対して、支援的保護システム
を適用した場合のリスクアセスメント評価を実施し、実証実験によりその評価結果の妥
当性が確認できた。
近年、作業現場では非正規雇用者や短期労働者の割合が増え、長年働きながら現場の
安全を支えてきた熟練作業者が減少する中で、今までのように人に頼る安全確保には限
界が来ている。
特に単体の機械を複合的に組み合わせた統合生産システムにおいて、使用者が与えら
れた残留リスクをいかに適切に低減するかは大きな課題となっている。
したがって、今回得られた結果をもとにタイプ B 規格である”ISO 11161 機械の安全
性-統合生産システム-基本的要求事項”に記載されている要件に対して、具体的な安
全確保の手法を明確にすることは労働災害を防止する上で重要な情報となる。
最後に、本部会が 1 年間活動を実施する上で多くの関係者の方々にご協力を頂いたこ
とに対して、ここに改めてお礼を申し上げます。
複合的作業空間における安全確保システム開発部会
主査
ii
清水
尚憲
平成 27 年度 複合的作業空間における安全確保システム開発部会委員名簿
(敬称略、氏名の 50 音順)
氏名
所属
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
主査
清水 尚憲
機械システム安全研究グループ
富士通コンポーネント株式会社
委員
有田
隆
マーケティング統括部 第二マーケティング部
長岡技術科学大学
同
飯澤 祐貴
システム安全工学研究室
オムロン株式会社
同
飯田 龍也
商品事業本部 セーフティ事業部 セーフティ PMG
オムロン株式会社
同
井上 正也
オートメーションセンタ 技術部 東部技術 G
東芝三菱電機産業システム株式会社
蛯沢 博英
同
回転機システム事業部 大形回転機第一部 製造技術課
オムロン株式会社
大塚
裕
同
営業本部 ATC 計画課
IDEC 株式会社
岡田 和也
同
国際標準化・知財推進センター 安全・標準化推進グループ
アズビル株式会社
越
俊樹
同
アドバンスオートメーションカンパニー 開発 2 部 2 グループ
富士重工業株式会社
志賀
敬
同
群馬製作所 人事部 安全衛生課
東芝三菱電機産業システム株式会社
柴山 和巳
同
産業第二システム事業部 システム技術第一部
国立研究開発法人産業技術総合研究所
角
保志
知能システム研究部門
同
ディペンダブルシステム研究グループ
国立研究開発法人産業技術総合研究所
中坊 嘉宏
知能システム研究部門
同
ディペンダブルシステム研究グループ
長岡技術科学大学
中村 貴広
同
システム安全工学研究室
コマツ産機株式会社
畑
幸男
同
事業企画部
長岡技術科学大学
福田 隆文
同
技術経営研究科 システム安全専攻
オプテックス株式会社
村田 記一
同
事業統括本部 SEC 事業部 第 3 開発部
オムロンフィールドエンジニアリング株式会社
オブザーバ 加藤 大介
IB 事業本部 IB 東部エンジニアリング部 IB 東部 SE 課
同
加藤
明
同
川崎 健司
同
廣瀬 和弘
同
横田 浩二
事務局
同
佐々木幹夫
宮崎 浩一
一般社団法人日本電気制御機器工業会
オムロン株式会社
営業本部 グローバル業界営業センタ 第 1 営業部
オムロンフィールドエンジニアリング株式会社
IB 事業本部 IB 東部エンジニアリング部 IB 東部 SE 課
オムロンフィールドエンジニアリング株式会社
IB 事業本部 IB 東部エンジニアリング部 IB 東部 SE 課
一般社団法人日本機械工業連合会
一般社団法人日本機械工業連合会
(平成 28 年 3 月現在)
iii
目次
1
開発の背景と目的 ................................................................................................................................ 1
2
開発部会の体制 .................................................................................................................................... 1
2.1
本委員会 ......................................................................................................................................... 1
2.2
規格検討サブグループ ................................................................................................................. 1
2.3
RA 検討サブグループ .................................................................................................................. 1
2.4
実証実験サブグループ ................................................................................................................. 2
3
開発スケジュール ................................................................................................................................ 2
4
本年度の成果 ........................................................................................................................................ 3
4.1
リスク低減効果に関する検討と実証実験の目的 ..................................................................... 3
4.1.1 過去に発生した労働災害事例とリスクアセスメントの考察 .................................................... 3
4.1.2
災害に至るプロセスとリスク低減方策の優先順位 .......................................................... 5
4.1.3
支援的保護システムに期待されるリスク低減効果と目的 .............................................. 6
4.2
実証実験の概要 ............................................................................................................................. 7
4.2.1
実証実験日時と内容 .............................................................................................................. 7
4.2.2
実証実験場所 .......................................................................................................................... 7
4.2.3
実証実験参加メンバ及び人数 .............................................................................................. 7
4.2.4
実証実験場所のレイアウト .................................................................................................. 8
4.2.5
部品アセンブリ(組立)ラインの仮想ゾーン分割 .......................................................... 9
4.2.6
実験の想定 ............................................................................................................................ 11
4.2.7
実証実験での検証要件 ........................................................................................................ 13
4.2.8
全体システム構成 ................................................................................................................ 14
4.2.9
実証実験用機器設置レイアウト ........................................................................................ 15
4.2.10 実証実験に使用した機器の詳細 ...................................................................................... 16
4.2.11 実証実験に使用した主な ICT 機器の仕様及び特徴 ..................................................... 24
4.3
実証実験の結果 ........................................................................................................................... 29
4.3.1
確認作業状況 ........................................................................................................................ 29
4.3.2
各実験日の作業回数データ ................................................................................................ 29
4.3.3
ゾーン 1 詳細 ....................................................................................................................... 31
4.3.4
ゾーン 2 詳細 ....................................................................................................................... 32
4.3.5
ゾーン 3 詳細 ....................................................................................................................... 35
4.4
実証実験結果の考察 ................................................................................................................... 39
4.4.1
全体の考察 ............................................................................................................................ 39
4.4.2
ゾーン 1 考察 ........................................................................................................................ 39
4.4.3
ゾーン 2 考察 ........................................................................................................................ 42
4.4.4 ゾーン 3 考察 ........................................................................................................................ 43
iv
4.4.5
実験協力者へのアンケート結果 ........................................................................................ 44
4.5
支援的保護システムによるリスク低減効果に関する考察 ................................................... 45
4.6
作業者の資格及び作業権限の確認用 RFID システムの課題及び対策................................ 45
4.7
その他の効果 ............................................................................................................................... 46
4.7.1
作業者の工数軽減 ................................................................................................................ 46
4.7.2
記録データの有効活用 ........................................................................................................ 46
おわりに .................................................................................................................................................... 48
v
1
開発の背景と目的
安全規格である ISO 12100/JIS B 9700(機械類の安全性-設計のための一般原則)による安全確保の原則は、
本質的にリスクを除去又は低減する方法に加えて危険な可動部と作業者の作業エリアとを分離する方法、又は
危険な可動部が動いている時は作業者を危険領域に近づけないようにするか作業者が危険領域に入場する時
は危険な可動部を停止させる方法を採用することで災害発生のリスクを低減している。
しかし、実際の機械設備では、危険点近接作業(作業者が機械の可動部を停止させずに可動部に近接した状
態で行う運転確認、調整、加工、トラブル処理、保守・点検、修理、清掃、除去などの作業)があるため、こ
れらの原則のみでは適切にリスクが低減できない場合がある。
さらに、複数の機械を複合的に組み合わせた統合生産システム(IMS: Integrated Manufacturing System)では、
機械設備を組み合わせる事による新たなリスクが発生している。
人の注意力に依存したリスクに対して、ユーザが現場で実施しているリスク低減方策の中には、人の注意力
に大きく依存しているものが見受けられる。
ところがこれらのリスク低減効果は不確定性が大きく、作業者にヒューマンエラーが発生すると、期待して
いるリスク低減効果が得られずに重篤な災害が発生する結果となる。
そこで本開発は、ユーザが現場で実施するリスク低減方策の確定性を高めるために、適切な ICT(Information
and Communication Technology)機器を利用した支援的保護システムを提案し、現場で行っているリスクアセス
メントによるリスク低減方策とのリスク低減効果を比較し、実証実験によりそのリスク低減効果を検証するこ
とを目的としている。
さらに、統合生産システムを対象とした国際安全規格として ISO 11161(機械の安全性-統合生産システム
-基本的要求事項)があるが、この規格では人と機械とが近接した作業における有効な安全手段を示していな
いため、本開発の結果から支援的保護システムが有効な安全手段となるかも併せて検討を行う事としている。
2
開発部会の体制
開発部会は、昨年度に続いて本委員会及び三つのサブグループの体制とした。(図 1 参照)
本委員会
規格検討サブグループ
RA*検討サブグループ
実証実験サブグループ
*:リスクアセスメント
図 1-開発部会の体制
2.1
本委員会
全委員が参加し、サブグループ(SG)で検討した事項を審議して承認する。
2.2
規格検討サブグループ
“複合的作業空間における安全確保システム”を実現するための規格を検討する。
2.3
RA 検討サブグループ
実証実験で得られたデータから“複合的作業空間における安全確保システム”の効果を検証する。
-1-
2.4
実証実験サブグループ
“複合的作業空間における安全確保システム”を実際の作業現場に構築してデータを集め、システムの実現
性を検証する。
3
開発スケジュール
概略の開発スケジュールは表 1 の通りである。
平成 26 年度から 3 カ年計画で JIS 又は ISO の規格案開発を行うこととした。
表 1-開発スケジュール
平成 26 年度
上期
1
下期
平成 27 年度
上期
下期
平成 28 年度
上期
下期
規格案開発
(1)原案開発
(2)手直し
(3)JIS/ISO 準備
(4)JIS/ISO 開発
2
実証実験準備と実
(恒久的な
施
使用を目
(1)実験場所選定
指す)
(2)実験内容の確認
と機材準備
(3)実験実施
(4)実験データの整
理
3
実証実験結果と規
格案との整合検討
-2-
4
本年度の成果
4.1
リスク低減効果に関する検討と実証実験の目的
4.1.1 過去に発生した労働災害事例とリスクアセスメントの考察
リスクアセスメントを実施する際には、まず、過去に発生した災害事例や、ヒヤリハット事例をもとに危険
源・危険状態を同定し、その危険源・危険状態に対してリスクの評価とリスク低減方策を検討することが望まし
い。そのため、今回対象となる統合生産システムに類似するシステムを対象とした過去の労働災害事例につい
て検討を行った。
次の 2 例は、作業者の資格・権限、人数の把握が出来なかったことが原因の一つと考えられる労働災害の例
である。
4.1.1.1 災害事例 A
4.1.1.1.1 災害発生の概要
図 2 に示すように、車両の部品を加工するためのバンパー射出成形機とバンンパー搬送ロボットで構成され
る IMS の非定常作業中に、以下の状況により発生した災害である。
図 2-災害事例 A
①
作業者 B は、製品のキズの原因を確認するためスライド式ドアに設置してある安全プラグを携帯し、
スライド式ドアにタグ(ネームプレート)掛けをして危険領域に入った。
②
その後、処置に必要な道具を取りに、タグ掛けをした状態で安全プラグを携帯したまま詰め所に戻っ
た。
-3-
③
一方、受傷者 A は、成形機のバリの多発連絡を受けたため、現地に向かい、スライド式ドアにタグ掛
けをし、成形機内に入った。
④
作業者 B は、当該機に戻りキズ防止処置後、スライド式ドアに安全プラグを戻し、スライド式ドアの
タグを取り外し、運転準備を入れ起動させたところ、成形機内にいた受傷者 A が金型間に挟まれた。
4.1.1.1.2
災害の発生原因
この例では、どのような作業を対象に何処で何人作業をしているかを、リアルタイムに確認していなかった
事が原因と考えられる。
4.1.1.1.3
対策
作業者 B が危険エリアから一時退場した情報を作業者 A へ伝達すること、及び作業者 B が作業中に作業者
A が危険エリアに入った情報を伝達すること、並びに作業者 B が作業終了後に、まだ作業者 A が危険エリア
に残っているとの情報を伝達するためのシステムを構築することが、適切にリスクを低減するための対策とし
て必要である。
4.1.1.2
4.1.1.2.1
災害事例 B
災害発生の概要
図 3 に示すように、車両の部品を加工するためのプレス及び搬送用ロボットで構成される IMS の非定常作
業中に、次に記載する状況によって発生した災害である。
図 3-災害事例 B
①
作業者 A は加工ラインのプレス(1〜3 号機)を担当しており、製品を流し終えた後、作業標準に従っ
て途中まで段取り作業を行っていた。
②
その後、作業者 A はプレス 3 号機とプレス 4 号機の間の安全シャッター部から危険領域に入り、プレ
ス 4 号機の金型に近づいた(標準作業以外の行動)。
③
生産技術スタッフ B は金型調査解析を行うため、プレス 3 号機とプレス 4 号機の間の安全シャッター
-4-
部から危険領域に入った(標準作業以外の行動)。
他の作業者がプレス 4 号機操作盤を操作したため、プレス 4 号機のスライドが下降し、作業者 A と生
④
産技術スタッフ B は金型内に上体を入れていたため、両者とも挟まれた。
4.1.1.2.2
災害の発生原因
この例では、作業者 A と生産技術スタッフ B が危険エリアに入って作業を行う際、定められた経路から危
険領域に入らなかったために、安全プラグを携帯しなかったこと及びタグ掛けをしなかったこと、並びにプレ
スの金型間に安全ブロックをセットしていなかったことが原因であると考えられる。
本来、規定された経路以外からは作業者の入場を許可しないハード面の対策や、安全プラグを携帯しないと
対象となる作業ができないようにするための対策が必要であるが、それらの対策が著しく困難な場合は、プレ
ス機 4 号機の操作盤の位置から危険領域内部を十分見通すことができるような配慮が必要となる。
4.1.1.2.3
対策
作業者が規定の経路以外から入場できなくすること、作業者 A と生産技術スタッフ B が作業を行っている
情報を第三者(プレスを再起動する資格と権限を持つ作業者)へ伝達すること、及び危険エリアに人が存在し
ている間はプレス機の運転を許可しないインターロックを構成する対策が必要である。
4.1.2
災害に至るプロセスとリスク低減方策の優先順位
図 4 は災害に至るプロセスと災害発生を抑制するための検討事項の優先順位を示したものである。
災害は、危険源と人とが同じ空間に同時刻に存在することで危険状態が発生し、その危険状態に対する保護
方策に不備があると危険事象が発生する。そしてその危険事象の発生に対して、回避に失敗すると災害が発生
する。そこで、それぞれのタイミングで次の事象の発生を抑制するための検討を行うが、それには優先順位が
あり、上位の検討事項がより確実で災害防止の効果が高い(検討事項の数値は優先順位を示す)。
図 4-災害に至るプロセスとリスク低減方策の優先順位
-5-
図 5 はそれぞれのリスク要素に対するリスク低減方策による効果を示したものである。
リスクとは、危害の酷さと危害の発生確率(暴露頻度及び時間、危険回避又は制限の可能性、危険事象の発
生確率)の組み合わせの関数として表現される。そして、それぞれのリスク要素について、リスクを低減する
ためのリスク低減方策がある。
支援的保護システムを適用することにより、危険回避又は制限の可能性についてのリスクを低減することが
期待できる。
図 5-リスク要素とリスク低減効果との関係
4.1.3
支援的保護システムに期待されるリスク低減効果と目的
作業者が危険領域に入ってティーチング、点検、メンテナンス等の作業を行う場合は、安全扉に設置して
いる安全プラグを抜いて、ロックアウト(安全プラグの差し込み口にカバーをかけて鍵をかける)を実施す
ることで、他の作業者が安全扉を閉めることによるリスク(人が危険領域に居るにもかかわらず、機械の再
起動を行うリスク)を低減している。
しかし、この方策では作業者がロックアウトをしなくても危険領域に入ることができること、及びロック
アウトを実施した後に他の作業者が誰でも何人でも危険領域に入ることが可能であり、それが原因となって
4.1.1 に示した災害が発生する危険性がある。
一方、支援的保護システムを採用すると、作業者の資格及び権限並びに人数を確認することができ、無資
格者の作業が許可されない。そして、全ての作業者が危険領域から退場することが再起動の条件となる。
例えば、RFID システムとカメラ等を併用した支援的保護システムを従来の安全管理に追加することで、
危険領域へ入る作業者の資格と権限が確認できるため、対象となる作業領域以外への移動や作業資格以外の
作業が実行出来ない。
さらに、“供連れ”及び“取り残され”状態での第三者による再起動等のヒューマンエラー(特に実行上
のエラー)発生を常に抑制できるため、近づく頻度(B)、負傷の可能性(C:人的要因、D:管理的要因、E:
ハード的要因)のリスクレベルを大きく低減することが期待できる。
このように支援的保護システムを活用すれば、事前のリスク評価結果のリスクレベルが作業中も維持され
ることが期待される。
今回の実証実験の目的は、支援的保護システムによって期待されるリスク低減効果を検証することである。
-6-
4.2
実証実験の概要
4.2.1
実証実験日時と内容
平成 27 年 11 月 7 日(土)に実験用機器を実験場所に搬入し、機器の設置、調整及び実験を実施した後に、
11 月 15 日(日)の実験機器搬出を完了するまで、延べ 9 日間の実証実験期間を要した。
・平成 27 年 11 月 7 日(土) 機器搬入
・平成 27 年 11 月 8 日(日) 機器・設備・システム設置、調整
・平成 27 年 11 月 9 日(月) システム調整・総合テスト、予備実験他
・平成 27 年 11 月 10 日(火) 実証実験 1 日目
・平成 27 年 11 月 11 日(水) 実証実験 2 日目
・平成 27 年 11 月 12 日(木) 実証実験 3 日目
・平成 27 年 11 月 13 日(金) 実証実験 4 日目
・平成 27 年 11 月 14 日(土) 実証実験予備日
・平成 27 年 11 月 15 日(日) 機器・設備解体、撤収、機器搬出
4.2.2 実証実験場所
実証実験は、A 社部品アセンブリ(組立)ラインで行った。
4.2.3
実証実験参加メンバ及び人数
各日程における実験参加メンバ及び人数は以下の通りである。
・11 月 7 日(土)
実証実験 SG メンバ 1 名
・11 月 8 日(日)
A 社現場関連
1 名(生産技術 1 名)
実証実験 SG メンバ 6 名(内、A 社関連
1 名)、システムメーカ
2名
・11 月 9 日(月)
A 社現場関連
3 名(生産技術 1 名、作業管理者 1 名、作業担当者
実証実験 SG メンバ 9 名(内、A 社関連
1 名)、機器メーカ 1 名
・11 月 10 日(火)
A 社現場関連
2 名(作業管理者 1 名、作業担当者
実証実験 SG メンバ 6 名(内、A 社関連
1 名)
1 名)、機器メーカ 1 名
・11 月 11 日(水)
A 社現場関連
3 名(作業管理者 1 名、作業担当者
実証実験 SG メンバ 4 名(内、A 社関連
2 名)
1 名)
・11 月 12 日(木)
A 社現場関連
3 名(作業管理者 1 名、作業担当者
実証実験 SG メンバ 6 名(内、A 社関連
2 名)
1 名)
・11 月 13 日(金)
A 社現場関連
3 名(作業管理者 1 名、作業担当者
実証実験 SG メンバ 7 名(内、A 社関連
1 名)
・11 月 14 日(土)
-7-
2 名)
1 名)
A 社現場関連
3 名(作業管理者 1 名、作業担当者
実証実験 SG メンバ 7 名(内、A 社関連
2 名)
1 名)
・11 月 15 日(日)
A 社現場関連
1 名(生産技術 1 名)
実証実験 SG メンバ 5 名(内、A 社関連
1 名)
4.2.4 実証実験場所のレイアウト
図 6 に、今回の実証実験場所である A 社部品アセンブリ(組立)ラインの概略レイアウトを示す。
本ラインは以下の 3 つのゾーンに大別できる。
(1) ゾーン 1:組付け工程
(2) ゾーン 2:接着剤塗布工程
(3) ゾーン 3:プレス工程
写真 1 に A 社部品アセンブリ(組立)ラインの外観を示す。
プレス工程
組付け工程
接着剤塗布工程
図 6-A 社部品アセンブリ(組立)ラインの概略レイアウト
_
写真 1-A 社部品アセンブリ(組立)ラインの外観
-8-
4.2.5
部品アセンブリ(組立)ラインの仮想ゾーン分割
実験対象の部品アセンブリ(組立)ラインを、図 7 に示すように 3 つのゾーンに分割した。
ゾーン 1
(組付け)
ゾーン 3
(プレス)
ゾーン 2
(接着剤塗布)
図 7-部品アセンブリ(組立)ラインの仮想ゾーン分割
(1) ゾーン 1(組付け)
このゾーンは、部品の組付け工程であり、頻繁に作業者の入退場が発生する。基本的に作業者が部品を
手に取り、その部品をゾーン内にある専用の組付け用治具にセットする工程である。部品のセット中は装
置が停止状態となり、ゾーンの外に出て起動スイッチを押すと専用治具が動き出す仕組みになっている。
支援的保護システムは、一般的に設備のトラブル対応や故障対応等の非定常作業時のリスクを低減する
方策として有効であるが、このゾーン 1 における作業は部品を組み付けるという定常作業であり、ゾーン 2
やゾーン 3 とはゾーンの性格が異なる(写真 2 参照)。
写真 2-ゾーン 1 の様子
(2) ゾーン 2(接着剤塗布)
このゾーンは部品に接着剤をロボットが自動で塗布する工程である。毎日の始業時及び定められた時刻
-9-
。
にロボットを含む全設備を止めて、接着剤の塗布量確認を行うために作業者がゾーン 2 内に入る(写真 3 参照)
写真 3-ゾーン 2 の様子
(3) ゾーン 3(プレス)
このゾーンには部品プレス用にプレス機が 1 台設置してある。今回の実験では、プレス機の清掃等を非
定常作業として作業者の入退場を確認した(写真 4 参照)。
写真 4-ゾーン 3 の様子
- 10 -
4.2.6
実験の想定
図 8 に、今回の実験で計画した支援的保護システムの概要を示す。
なお、図 8 に示す不在検出装置は、危険領域内の人の不在を検出する装置である。
外部記憶装置
ゾーン1 :入退場確認センサ
PC
ゾーン2 :セーフティレーザスキャナ
ゾーン3 :セーフティライトカーテン
表示・入力装置
不在検出装置
タッチパネル
資格・権限認証
読み取り装置
RFタグ(ヘルメット)
RFID リーダライタ
処理装置
装置コントローラ
作業種別と権限
要求仕様
トリガ
ステータス
作業者権限表
承認結果
統合生産システム
統合生産システムとの接続は未実施
トリガ
:タッチパネルから疑似入力
ステータス
:タッチパネルから疑似入力
承認結果
:処理装置内部に記録
図 8-想定した支援的保護システム
表 2 に、想定した各ゾーンの支援的保護システムの動作及び実験で得られた各種入力データに対するシステ
ムの動作と運転承認出力状態を示す。なお、
(1)
“作業中”又は”危険領域内に人が存在”で出力を定常運転非承認
(2) 作業内容に応じた運転は承認
(3) 作業中はゾーン端末での最初の作業開始入力~最後の作業完了入力まで
とする。
表 2-想定した各ゾーンでのシステム動作
入力
出力
不在検出状態
作業状態
運転承認
不在
非作業中
定常運転承認
不在
作業中
定常運転非承認
*1
存在
非作業中
定常運転非承認
*1
存在
作業中
定常運転非承認
*1
*1 作業内容により限定運転は承認する。
- 11 -
表 3 に、想定した基本作業フローを示す。
表 3-想定した基本作業フロー
支援的保護システムの想定動作
順
人の動作
動作
承認出力
1.
ゾーン端末前に立つ
RF タグを認識し、許可作業のみを選択可能にする。
2.
作業内容、作業開始を入力する
非定常(作業中)となり、運転非承認状態になる。
定常運転非承認
3.
作業区域に入場し、作業実施
作業区域内の存在を検出し、人がいることを確認する。
定常運転非承認
4.
作業区域内の存在が未検出になり、人がいないことを確認
定常運転非承認
作業完了し、退場する
する。
- 12 -
定常運転承認
4.2.7
実証実験での検証要件
表 4 に、今回の実証実験での検証要件を示す。
表 4-実証実験での検証要件
支援的保護システムの検証要件
検証すべき要件項目
確認事項
確認手段
運転モード(定常・非定常)切替 運転モードの切替確認
IMS 操作盤
資格・作業権限の登録
資格・権限データ等登録
IMS 操作盤
RFID
入場時の資格・作業権限の確認
資格・権限データ等確認
各ゾーン端末
RFID
ゾーン 1 への入退場
入退場確認センサ
ゾーン 2 への入退場
セーフティレーザスキャナ
ゾーン 3 への入退場
セーフティライトカーテン
各ゾーンでの作業者認識
意図的作業有無確認
各ゾーン端末
RFID
各ゾーンでの資格・作業確認
資格・作業データ等確認
各ゾーン端末
RFID
各ゾーン作業時間の特定
変化点、継続
各ゾーン端末
入退場時間の特定
変化点、継続
各ゾーン端末
人の退場検出
危険エリアからの退場
各ゾーン端末
退場時の資格・作業・終了確認
資格データ等の確認
各ゾーン端末
RFID
各ゾーン(機械)の状態
動作、停止、スタンバイ他
各ゾーン端末
シグナルタワー
入退場確認センサ
シグナルタワー
セーフティレーザスキャナ
シグナルタワー
セーフティライトカーテン
シグナルタワー
各ゾーンへの人の入退場検出
ゾーン 1 での
意図的不安全・無資格行動
異常時の処理
ゾーン 2 での
意図的不安全・無資格行動
ゾーン 3 での
意図的不安全・無資格行動
行動ログ
ゾーン 1、ゾーン 2 における人
の移動・操作・作業履歴、シグ 実験映像記録用カメラ 1
ナルタワーの状態
シグナルタワー
ゾーン 3 における人の移動・操
作・作業履歴、シグナルタワー 実験映像記録用カメラ 2
の状態
シグナルタワー
- 13 -
4.2.8
全体システム構成
図 9 に、今回の実証実験での実験機器システム構成を示す。
支援的保護システム
各ゾーンに設置した機器
統合生産システム
図 9-実験機器の全体システム構成
全体システムを考えるにあたり、保護装置と ICT 機器とを明確に切り分けて設計した。
保護装置であるセーフティライトカーテン及びセーフティレーザスキャナは、IMS 操作盤内に格納された安
全 PLC と EtherCAT(セーフティプロセス)で接続し、RFID や入退場確認センサを始めとするその他の ICT
機器は EtherCAT(スタンダードプロセス)及び EtherNet/IP で装置コントローラと接続した。
本システム構成は、ゾーン入退場を検出する各種センサ及び支援的保護システムからの入力を受けて判断出
力を行う、安全 PLC で構成される統合生産システムの一部、並びに装置コントローラ及び RFID リーダライタ
などからなる支援的保護システムに分かれている。
実験映像記録用カメラとして一般的なビデオカメラを 2 台用意し、各ゾーンにおける作業者の動きを記録し
た。この映像は、各ゾーンにおけるシステム上の作業者の入退場記録(時刻、人数等)と実際の作業者の行動
とを比較するために非常に重要である。
図 10 に、IMS 操作盤と各ゾーン端末との関係、及び各ゾーンにおける人の検出や人数カウント等を行う保
護装置や ICT 機器の関係を示した。
今回の実証実験と過去の実証実験と大きく異なる点は、人の検出や人数カウントの手段を各ゾーンで異なる
ものにし、使用する機器による実験データへの影響を確認しようとしたことである。当初の計画では、人を検
知するための手段として入退場確認センサに加えて、フローレーダー(北陽電機(株)製)も採用する予定で
あったが、実証実験の日程が変更になったために機器の調達が間に合わず、採用を断念した。
- 14 -
図 10-IMS 操作盤と各ゾーン端末等との関係
4.2.9
実証実験用機器設置レイアウト
実証実験での検証要件確認のために必要な各種実験用機器を設置した(図 11 参照)。
ゾーン 3
(プレス)
ゾーン 3 端末
ゾーン 2
(接着剤
塗布)
セーフティ
ライトカーテン
ゾーン 1
(組付け)
IMS 操作盤
ゾーン 1 端末
入退場確認
センサ
実験映像記録用カメラ 2
セーフティ
レーザスキャナ
ゾーン 2 端末
実験映像記録用カメラ 1
図 11-部品アセンブリ(組立)ラインでの実験機器設置レイアウト
- 15 -
4.2.10 実証実験に使用した機器の詳細
本項では今回の実証実験に使用した機器について説明する。
4.2.10.1
IMS 操作盤
IMS 操作盤は、支援的保護システムの中枢となるメイン操作盤である。本操作盤が非定常運転モード時に、
各ゾーンへの入場が可能となる。IMS 操作盤には、人が操作するためのタッチパネル及び装置コントローラ並
びに各保護装置からの入力信号の取りこみ及び本システムの判断をシグナルタワーやその他の外部機器に出
力する安全 PLC を搭載している。なお、各ゾーン端末、入退場確認センサ及びセーフティレーザスキャナ等
の外部機器とは、EtherNet/IP、EtherCAT で接続されている。
写真 5 に、IMS 操作盤の外観を示す。
写真 5-IMS 操作盤の外観と画面の拡大写真
4.2.10.2 ゾーン 1 端末
写真 6 に、ゾーン 1 の組付け工程に設置したゾーン 1 端末を示す。
シグナルタワー
タッチパネル
RFID
リーダライタ
写真 6-ゾーン 1 端末の外観と各部の説明
- 16 -
4.2.10.3 ゾーン 2 端末
写真 7 に、ゾーン 2 の接着剤塗布工程に設置したゾーン 2 端末を示す。
シグナルタワー
タッチパネル
RFID
リーダライタ
写真 7-ゾーン 2 端末の外観と各部の説明
ゾーン 2 端末は、既存設備の関係で設置スペースが限られたため、RFID リーダライタをゾーン端末の下に
設置することになった(写真 8 参照)。
ゾーン 2 端末
既存設備
写真 8-ゾーン 2 端末の設置状況
- 17 -
4.2.10.4 ゾーン 3 端末
写真 9 に、ゾーン 3 のプレス工程に設置したゾーン 3 端末を示す。
RFID
リーダライタ
シグナルタワー
タッチパネル
写真 9-ゾーン 3 端末の外観と各部の説明
4.2.10.5 RF タグ
今回の実験用として、作業者の資格及び作業権限確認をするために 9 個の RF タグを準備した。各 RF タグ
には、作業者の ID データを書き込み、IMS 操作盤の装置コントローラ(NJ)に各作業者の作業権限テーブル
を持たせた(表 5 参照)。
例えば、管理者[係長、班長、生産技術者(以下、生技とする)]は、ゾーン内での
①
点検・清掃
②
段取り・ティーチング
③
トラブルシュート
のすべての作業権限があることが分かる。
さらに、各作業者はトラブルシュートを除く作業権限を有し、各保全担当者はトラブルシュート時のみ、ゾ
ーン内に入場することが許されることが分かる。
実際の実験では、係長(ID:031)、班長(ID:032)、作業者 1(ID:021)、作業者 2(ID:022)、作業
者 3(ID:023)の RF タグを用意し、それぞれが RF タグを所持した。さらに、支援的保護システムのトラブ
ル対応等のために、実証実験メンバ用として生技用 RF タグ(ID:033)を用意した。
なお、前回の実証実験ではキーホルダ型の RF タグを使用し、作業者が RF タグを RFID リーダライタに手で
かざす形態をとったが、「RF タグを手でかざす」という行為が時間的ロスを招き、生産性を低下させる要因
- 18 -
にもなるため、今回の実験では交信距離を長くするために形状が大きめの RF タグを用い、かつヘルメット内
に RF タグを収納して、ゾーン端末に作業者が近づいて端末操作をする意思があると判断した時点で、RF タグ
のデータを自動読み取りし、ゾーン端末の作業登録画面がホップアップするシステムに改善した。
写真 10 に、ヘルメットに内蔵した RF タグを示す。
表 5-RF タグと作業者資格情報、作業権限情報、作業可能ゾーンとの関係
写真 10-ヘルメットに内蔵した RF タグ
前述の通り、今回の実験では作業者が各ゾーンでの作業登録をするために各ゾーン端末の前に立った際に、
RFID リーダライタがヘルメットに内蔵されている RF タグを自動的に読み取るシステムにしたが、単純にゾ
ーン端末の下を作業者が通っただけで作業登録画面にならないように、適切な応答時間が設定できるようにタ
イマー機能を持たせ、作業登録をする意思を有すると判断した時に初めて登録画面をタッチパネルに表示する
ようにした。
今回の実験現場では、既存設備との位置関係により、RFID アンテナの設置位置をゾーンごとに変える必要
があった。
写真 11 に、ゾーン 2 及びゾーン 3 で RF タグを読み取っている様子を示す。
写真 12 に、ゾーン端末における登録画面を示す。
これらの登録画面は事前に登録された作業権限によって初期画面が異なっている。権限がない作業項目は登
録画面に初めから表示されない仕組みになっており、選択できなくなっている。
このように権限がない作業をできなくしていることも支援的保護システムの特長の一つである。
- 19 -
なお、該当する作業を選択して開始ボタンを押すと作業が開始されたとシステムは判断し、作業が終了した
後にゾーン端末上の作業完了ボタンを押すと一連の作業が完了したとシステムは判断する。
ゾーン 2
ゾーン 3
写真 11-ゾーン 2、ゾーン 3 での RF タグ読み取りの様子
管理者
作業者
保全
写真 12-作業権限の違いによる登録画面の違い
4.2.10.6 入退場確認センサ(ゾーン 1 用)
ゾーン 1 での人の入退場を検出するために入退場確認センサを設置した。今回採用した入退場確認センサは、
イメージセンサの一種で、人の入退場時の人数と方向が確認できる。
なお、本センサは、TOF(Time of Flight)方式で、近赤外線(850 nm)を投光し、対象物から反射光を特殊
イメージセンサで受光して距離を測定するため、外乱光の影響を受けにくいという特長がある。
- 20 -
写真 13 に、現場に設置した入退場確認センサを示す。
現場で設置した場所は、図 11 に示したゾーン 1 の作業領域(危険区域)と安全領域の境界上で、人の検出
精度を向上するために、ワークと人との区別や人が作業する際のワークの移動ルート等を事前に確認した上で、
検知領域の設定や感度調整等を行い、実験に臨んだ。
写真 13-入退場確認センサの設置状況
4.2.10.7 セーフティレーザスキャナ(ゾーン 2 用)
ゾーン 2 での人の入退場を検出するために、図 11 に示す箇所にセーフティレーザスキャナを設置した。
写真 14 に、実際の設置状況を示す。
写真 14-セーフティレーザスキャナの設置状況
図 12 は、ゾーン 2 に設置したセーフティレーザスキャナの検出エリア設定及び実際にゾーン 2 内で人を検
- 21 -
知できるエリアを示す。
検出エリアの設定
ゾーン 2 の実際の検出エリア
図 12-セーフティレーザスキャナの検知エリア
4.2.10.8 セーフティライトカーテン(ゾーン 3 用)
ゾーン 3 の入退場を検出するために、セーフティライトカーテン 2 セットを、図 11 に示した箇所に設置した。
写真 15 に、実際の設置状況を示す。
写真 15-セーフティライトカーテンの設置状況
写真 15 で分かるように、セーフティライトカーテンを単なる存在検出用ではなく、人の入退場管理用に使
用するため横に 2 台を並べて、検知する ON/OFF のタイミングの違いで人の出入りを検出することにした。
しかし、現場における設置スペースが限られていたので、実証実験では 2 台のセーフティライトカーテンの
設置間隔が写真のように 10 cm 程しかとれなかった。本来ならば、人の身体の幅、あるいは最低でも 50 cm 程
の間隔を確保したい。
- 22 -
4.2.10.9 実験映像記録用カメラ(2 台)
各ゾーンへの人の入退場の様子が確認できるように、実験映像記録用カメラを 2 台設置した(図 11 参照)。
一台はゾーン 1 及びゾーン 2 を、もう一台はゾーン 3 専用で撮影した。実験後にこのカメラの映像と入退場
確認センサ、セーフティレーザスキャナ及びセーフティエリアセンサの入退場データとを比較、照合して実験
データのまとめに使用した。
写真 16 に、ゾーン 1 とゾーン 2 確認用に現場に設置した実験映像記録用カメラ 1 を、写真 17 に、ゾーン 3
確認用に設置した実験映像記録用カメラ 2 を示す。
注記 この実験映像記録用カメラは支援的保護システムの一部ではなく、あくまでも実験データを検証す
るために用いたものである。
ゾーン 1
ゾーン
2
写真 16-実験映像記録用カメラ 1
写真 17-実験映像記録用カメラ 2
- 23 -
4.2.11 実証実験に使用した主な ICT 機器の仕様及び特徴
4.2.11.1 装置コントローラ
形 NJ シリーズ
(オムロン株式会社製)
主な特長
・インテル@AtomTM プロセッサーを搭載し、高速演算を実現。
・機械制御に必要な各装置からドライブ機器、I/O 等の入出力機器を EtherCAT による同期制御で、高速、
かつ高精度な制御が可能。
・コントローラが SQL サーバを始めとするデータベースに直結できるため、専用ユニット、ツール、ミド
ルウェアが不要。
・IEC 61131-3(及び JIS B 3503)規格に適合した標準命令対応、PLCopen に準拠。
4.2.11.2 タッチパネル
形 NS8-TV、NS5-TV (オムロン株式会社製)
主な特長は以下の通り。
・オムロン製コントローラ「NJ シリーズ」を始めとする機器との高い親和性。
・32,768 色、VGA 640×480 ドットの高画質、多言語対応。
・トラブルシュート機能、多彩なグラフ機能。
4.2.11.3 安全 PLC
形 NX-SL、NX-SI/SO (オムロン株式会社製)
主な特長は以下の通り。
・EtherCAT カプラにセーフティ CPU ユニット、セーフティ I/O ユニットを装着して安全制御を統合。
- 24 -
・セーフティ CPU ユニットは、セーフティ I/O ユニット 128 台まで制御可能。
・セーフティ入力ユニットは 4 点、8 点の 2 種類。4 点タイプはオムロンの非接触スイッチ、シングルビー
ムセンサなどを直結可能。
・セーフティ出力ユニットは 2 点、4 点の 2 種類。2 点タイプは出力遮断電流が 2.0A と大容量。
・セーフティユニット群は標準ユニット群との自由な組合せと配置が可能。
・PLCopen の安全ファンクションブロックダイヤグラムを搭載。
・IEC 61131-3 及び JIS B 3503 に準拠。
4.2.11.4 RFID
a)RF タグ
String Ray X (スマートラックテクノロジー株式会社製)
主な仕様を下表に示す。
項
目
対応国際規格
内
ISO/IEC 18000-3(ISO/IEC 15693)
メモリ容量
112 バイト(ユーザエリア)
メモリ種類
EEP-ROM
材質
PET 樹脂(裏面、粘着剤付き)
形状
φ113 mm
- 25 -
容
b)リーダライタ
形 V680S-HMD66-EIP(オムロン株式会社製)
主な仕様を以下に示す。
項
目
内
対応国際規格
ISO/IEC 18000-3(ISO/IEC 15693)
上位通信 I/F
Ethernet 10BASE-T/100BASE-TX
上位通信プロトコル
容
EtherNet/IP
電源電圧
DC24 V(-15%~+10%)
消費電流
0.2 A 以下
使用周囲温度
-10 ℃~+55 ℃(氷結なきこと)
使用周囲湿度
25~85% RH(結露なきこと)
保護構造
IP67(IEC 60529:2001)
IP67F 相当(JIS C 0920:2003)
耐振動性
10~500 Hz 複振幅 1.5 mm 加速度 100 m/s2
して異常なきこと
耐衝撃性
500 m/s2 の衝撃を 6 方向に各 3 回計 18 回加えて異常なきこと
材質
ケース:PBT 樹脂
形状
120×120×40 mm(突起部・ケーブル部除く)
質量
約 760 g
XYZ 各 11 分
10 掃引印加
充填:ウレタン樹脂
4.2.11.5 入退場確認センサ
入退場確認センサ及びコントロールボックス (オプテックス株式会社製)
A3001S(入退場確認センサ)
A3001CB (コントロールボックス)
- 26 -
本センサの人の検出のアルゴリズムは次の通りである。
①
入退場ゲート上部に入退場確認センサを下向きに取り付け、画角内にソフトウエアで検出エリアを設
定する。
②
ゲート方向を入場方向とし、最初に検知エリアに入場した場所がゲートから遠い側であれば、入場方
向と判定する。
③
ゲートから離れる方向を退場方向とし、最初に検出エリアに入場した場所がゲートに近い側であれば
退場と判定する。
④
検出エリアに入った物を人であるかどうか判定し、1 人(供連れ無し)、2 人以上(供連れ発生)及
び人と判断できない、の 3 種類の出力を個別に出力する。
⑤
入退場のログデータを、コントロールボックスの記憶装置に記録する。
4.2.11.6 セーフティレーザスキャナ
形 OS32C-BP(オムロン株式会社製)
主な特長は以下の通りである。
・薄型(104.5 mm)、軽量(1.3 kg)で設置しやすい。
・専用コントローラなしで、PLd/安全カテゴリ 3(ISO 13849-1)の安全回路を実現。
・IEC 61496-1/-3 に適合した Type3 セーフティレーザスキャナ。
・防護エリア、警告エリアの組み合わせを 70 パターン設定できるため、複雑な作業環境の変化に対応。
・半径 4 m の防護エリアと半径 15 m の警告エリアを設定可能。
・最小検知物体はφ30/φ40/φ50/φ70 mm に変更可能。
・応答時間は 80 ms~最大 680 ms に対応。
・基準点監視機能で侵入検知を実現。
・破損時にセンサブロックの交換により短時間で復旧可能。
- 27 -
4.2.11.7 セーフティライトカーテン
形 F3SJ-E0225P25 (オムロン株式会社製)
主な特長は以下の通りである。
・取り付け工数1/2、導入コストも削減可能なEASYタイプ。
・人を検知したら機械を止めるといったシンプルな機能。
・存在検知用途に光電センサ感覚で使用可能。
・導入工数を大幅に削減可能。
4.211.8
実験映像記録用カメラ
HDR-CX シリーズ (ソニー株式会社製)
これは市販のデジタルムービーカメラで、今回の実証実験においてはゾーン 1 とゾーン 2 の作業者の入退場
の様子を撮影するために 1 台、ゾーン 3 における様子を撮影するために 1 台の計 2 台を使用した。
- 28 -
4.3
4.3.1
実証実験の結果
確認作業状況
実験映像記録用カメラ映像、入退場確認センサ処理データ及び RFID ログを用いて、通常作業時にそれぞれの
タスクゾーンへ作業者(資格と権限がある作業者又は無い作業者)が入場した場合のリスク低減効果について確
認した。表 6 に、11 月 9 日~11 月 13 日に行った確認作業状況を示す。
表 6-確認作業状況
確認作業回数
日付
4.3.2
備考
ゾーン 1
ゾーン 2
ゾーン 3
11 月 09 日
0回
2回
0回
準備日
11 月 10 日
0回
2回
0回
予備日
11 月 11 日
840 回
2回
1回
11 月 12 日
783 回
2回
3回
11 月 13 日
774 回
1回
4回
各実験日の作業回数データ
表 6 で示した各実験日の作業回数について、作業者種別(作業者 ID)ごとに作業対象設備に分類した結果を
表 7 から表 11 に示す。
表 7-11 月 9 日の結果
作業者 ID
作業
回数
対象設備(作業人数×回数)
人数
ゾーン 1
ゾーン 2
管理者
1 名×1 回
作業者
1 名×1 回
(不明)
-
合計回数
2回
ゾーン 3
表 8-11 月 10 日の結果
作業者 ID
作業
回数
対象設備(作業人数×回数)
人数
ゾーン 1
ゾーン 2
管理者
-
作業者
1 名×2 回
(不明)
-
合計回数
2回
- 29 -
ゾーン 3
表 9-11 月 11 日の結果
作業者 ID
作業
回数
対象設備(作業人数×回数)
人数
ゾーン 1
ゾーン 2
ゾーン 3
-
管理者
1 名×840 回
作業者
1 名×2 回
1 名×1 回
-
(不明)
840 回
合計回数
2回
1回
表 10-11 月 12 日の結果
作業者 ID
対象設備 (作業人数×回数)
作業
回数
人数
ゾーン 1
ゾーン 2
管理者
ゾーン 3
1 名×1 回
1 名×783 回
作業者
2 名×1 回
(不明)
2 名×3 回
783 回
合計回数
2回
3回
表 11-11 月 13 日の結果
作業者 ID
対象設備 (作業人数×回数)
作業
回数
人数
ゾーン 1
1 名×774 回
2 名×1 回
2 名×4 回
-
(不明)
合計回数
ゾーン 3
-
管理者
作業者
ゾーン 2
774 回
1回
- 30 -
4回
4.3.3
ゾーン 1 詳細
表 12、13、14 に、11 月 11~13 日の 3 日間の入退場の結果を示す。
ログデータは、入退場確認センサの入退場の入力(入場、退場)に変化があった時刻ごとに記録した。未カウン
トデータは、同時に録画した動画映像で入退場の動きを見て確認した。
表 12-11 月 11 日
ゾーン 1 入退場センサの結果
表 13-11 月 12 日
ゾーン 1 入退場センサの結果
表 14-11 月 13 日
ゾーン 1 入退場センサの結果
- 31 -
入場検出未カウントと退場検出誤カウントとを危険側故障とし、入場検出誤カウントと退場検出未カウントを
安全側故障とした。
4.3.4
ゾーン 2 詳細
6 日間で合計 12 回の作業区域内での作業があり、内 7 回について想定したフロー通りの作業が行われた。
ログデータは支援的保護装置の入力(リーダライタ、タッチパネル、レーザスキャナ)に変化があった時刻ご
とに記録した。
(1)
11 月 9 日
作業回数:2 回
設置初日で、システムの検証や試運転であったため、無効なデータとした。
(2) 11 月 10 日
作業回数:2 回
1 回目は、タッチパネルからの作業入力が行われず無効なデータであった。2 回目は想定通りに操作が行われ、
有効なデータを取得できた。(表 15、16 参照)
表 15-ゾーン 2
11 月 10 日 ログデータ 1
ログデータ
作業内容
作業者ID
不在検出 作業状態
実際の作業者の行動
0:選択前
0:作業前
1:存在
1:定常
1:点検・清掃
(撮影したビデオで確認)
(別表参照)
1:作業中
2:不在
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:作業済
3:トラブルシュート
6:07:20
1
0
22
2
0
作業者2が端末前に立つ
6:07:31
1
0
2
0
6:07:31
1
0
22
2
0
作業者2が端末前に立つ
6:07:42
1
0
2
0
(作業選択,開始を実施せず)
6:09:19
1
0
1
0
入場 (作業者2)
6:09:22
1
0
2
0
奥へ
6:09:34
1
0
1
0
手前へ
6:09:36
1
0
2
0
奥へ
6:09:40
1
0
1
0
手前へ
6:09:42
1
0
2
0
奥へ
6:10:10
1
0
1
0
手前へ
6:10:12
1
0
2
0
退場 (作業者2)
時刻
状態
支援的保護システム 想定動作
動作
承認出力
得られたログからの想定動作
異常(登録なしで入場)
異常(登録なしで入場)
異常(登録なしで入場)
異常(登録なしで入場)
想定される出力
|
|
|
定常運転承認
運転非承認
定常運転承認
運転非承認
定常運転承認
運転非承認
定常運転承認
運転非承認
定常運転承認
実作業では、作業者 2 が約 3 分間、点検・清掃作業を行っている。
作業者による作業開始入力が行われず、システムが作業中を認識できなかった。作業中でないのに存在検出し
たため、システムは異常とみなし、運転非承認としている。
表 16-ゾーン 2
11 月 10 日 ログデータ 2
ログデータ
作業内容
作業者ID
不在検出 作業状態
実際の作業者の行動
0:選択前
0:作業前
1:定常
1:点検・清掃
1:存在
(撮影したビデオで確認)
(別表参照)
1:作業中
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:不在
2:作業済
3:トラブルシュート
12:09:24
1
0
21
2
0
作業者1が端末前に立つ
12:09:29
2
1
21
2
1
作業選択,開始を入力
12:10:55
2
1
21
1
1
入場 (作業者1)
12:10:56
2
1
21
2
1
奥へ
12:11:01
2
1
21
1
1
手前へ
12:11:03
2
1
21
2
1
奥へ
12:11:45
2
1
21
1
1
手前へ
12:11:47
2
1
21
2
1
退場 (作業者1)
12:12:24
2
1
21
2
2
作業者1が端末前に立つ
12:12:24
1
1
2
2
作業完了を入力
時刻
状態
支援的保護システム 想定動作
動作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
[点検作業中 1名]
|
|
運転非承認
定常運転承認
実作業では、作業者 1 が約 3 分間、点検・清掃作業を行っている。
作業中にレーザスキャナによる存在検出が非検出になっているのは、作業区域内のレーザスキャナ検出エリア
外へ移動したためである。今回の設置では、作業区域すべてをレーザスキャナ検出エリアにする事が出来なかっ
- 32 -
たために、以降のデータも同様のことが発生している。
(3) 11 月 11 日
作業回数:2 回
2 回ともほぼ想定通りに操作が行われ、有効なデータを取得できた。(表 17、18 参照)
表 17-ゾーン 2
11 月 11 日 ログデータ 1
ログデータ
作業内容
作業者ID
不在検出 作業状態
実際の作業者の行動
0:選択前
0:作業前
1:定常
1:点検・清掃
1:存在
(撮影したビデオで確認)
(別表参照)
1:作業中
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:不在
2:作業済
3:トラブルシュート
6:11:14
1
0
22
2
0
作業者2が端末前に立つ
6:11:20
2
1
22
2
1
作業選択,開始を入力
6:11:41
2
1
22
1
1
入場 (作業者2)
6:11:42
2
1
22
2
1
奥へ
6:11:44
2
1
22
1
1
手前へ
6:11:49
2
1
22
2
1
奥へ
6:12:12
2
1
22
1
1
手前へ
6:12:15
2
1
22
2
1
退場 (作業者2)
6:14:31
2
1
22
2
1
作業者2が端末前に立つ
6:14:58
2
1
22
2
2
作業完了を入力
6:14:58
1
1
22
2
2
時刻
状態
支援的保護システム 想定動作
動作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
(定常状態に移行)
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
[点検作業中 1名]
|
|
|
運転非承認
定常運転承認
実作業では、作業者 2 が約 3 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果が読み取ることができる。
表 18-ゾーン 2
11 月 11 日 ログデータ 2
ログデータ
作業内容
作業者ID
不在検出 作業状態
実際の作業者の行動
0:選択前
0:作業前
1:定常
1:点検・清掃
1:存在
(撮影したビデオで確認)
1:作業中
(別表参照)
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:不在
2:作業済
3:トラブルシュート
13:15:19
1
1
21
2
2
作業者1が端末前に立つ
13:15:23
2
1
21
2
1
作業選択,開始を入力
13:15:54
2
1
1
1
入場 (作業者1)
13:15:55
2
1
2
1
奥へ
13:15:59
2
1
1
1
手前へ
13:16:02
2
1
2
1
奥へ
13:16:38
2
1
1
1
手前へ
13:16:40
2
1
2
1
退場 (作業者1)
13:30:29
2
1
21
2
1
作業者1が端末前に立つ
13:30:31
1
1
21
2
2
作業完了を入力
時刻
状態
支援的保護システム 想定動作
動作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
[点検作業中 1名]
|
|
運転非承認
定常運転承認
実作業では、作業者 1 が約 2 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからは、約 15 分の作業と読み取れるが、退場後、直ぐに端末での作業完了入力をしなかったため
に実際の作業時間より長くなっている。
- 33 -
(4) 11 月 12 日
作業回数:2 回
2 回ともに想定通りに操作が行われ、
有効なデータを取得できた。特に 2 回目は作業者二人による作業であり、
複数人作業の有効なデータとなった。(表 19、20 参照)
表 19-ゾーン 2
11 月 12 日 ログデータ 1
ログデータ
時刻
状態
作業内容
作業者ID
不在検出 作業状態
実際の作業者の行動
0:選択前
0:作業前
1:存在
1:定常
1:点検・清掃
(撮影したビデオで確認)
(別表参照)
1:作業中
2:不在
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:作業済
3:トラブルシュート
6:07:28
1
1
22
2
2
作業者2が端末前に立つ
6:07:32
2
1
22
2
1
作業選択,開始を入力
6:09:49
2
1
1
1
入場
6:09:50
2
1
2
1
奥へ
6:09:52
2
1
1
1
手前へ
6:09:55
2
1
2
1
奥へ
6:10:19
2
1
1
1
手前へ
6:10:21
2
1
2
1
退場
6:10:39
2
1
22
2
1
作業者2が端末前に立つ
6:10:45
2
1
22
2
2
作業完了を入力
6:10:46
1
1
2
2
支援的保護システム 想定動作
動作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
(定常状態に移行)
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
[点検作業中 1名]
|
|
|
運転非承認
定常運転承認
実作業では、作業者 2 が約 3 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果が読み取ることができる。
表 20-ゾーン 2
11 月 12 日 ログデータ 2
ログデータ
支援的保護システム 想定動作
時刻
状態
作業内容
作業者ID
不在検出 作業状態
実際の作業者の行動
動作
承認出力
0:選択前
0:作業前
1:定常
1:点検・清掃
1:存在
(撮影したビデオで確認)
得られたログからの想定動作
(別表参照)
1:作業中
想定される出力
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:不在
2:作業済
3:トラブルシュート
12:00:39
1
0
21
2
0
作業者1が端末前に立つ
ID認識,作業表示
定常運転承認
12:00:44
1
1
21
2
1
作業選択,開始
点検・清掃作業開始
運転非承認
作業者3が端末前に立ち
作業選択
識,作業表示
点検・清掃作業
|
12:00:49
2
1
23
2
1
12:00:53
2
1
2
1
(安全スイッチ操作)
|
12:00:56
2
1
1
1
入場
存在検出
|
12:01:00
2
1
2
1
奥へ
存在非検出
|
12:01:36
2
1
1
1
手前へ
存在検出
|
12:01:41
2
1
2
1
奥へ
存在非検出
|
12:03:04
2
1
1
1
手前へ
存在検出
|
12:03:08
2
1
2
1
奥へ
存在非検出
[点検作業中 2名]
12:05:15
2
1
1
1
手前へ
存在検出
|
12:05:18
2
1
2
1
奥へ
存在非検出
|
12:05:21
2
1
1
1
手前へ
存在検出
|
12:05:23
2
1
2
1
奥へ
存在非検出
|
12:07:38
2
1
1
1
手前へ
存在検出
|
12:07:42
2
1
2
1
退場
存在非検出
|
12:08:04
2
1
21
2
1
作業者1が端末前に立つ
ID認識,作業表示
|
12:08:06
2
1
21
2
2
作業完了を入力
点検・清掃作業完了
定常運転承認
12:08:09
2
1
23
2
2
作業者3が端末前に立つ
ID認識,作業表示
[点検作業中 1 名]
12:08:11
1
1
23
2
2
作業完了を入力
点検・清掃作業完了
定常運転承認
実作業では、作業者 1 と作業者 3 が約 8 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果が読み取ることができる。
しかし、今回のシステムでは、作業者一人の作業完了で作業済となり、定常運転承認してしまうことになる。
システムとしては、すべての作業者の作業完了入力を持って作業完了を認識し、定常運転承認とするべきであ
った。
- 34 -
(5) 11 月 13 日
作業回数:1 回
作業者二人による作業であったが、一人は登録なく入場した。実際に起こりうる事例でありシステムとしての
課題を抽出できた。(表 21 参照)
表 21-ゾーン 2
11 月 13 日 ログデータ 1
ログデータ
作業内容
作業者ID
不在検出 作業状態
実際の作業者の行動
0:選択前
0:作業前
1:定常
1:点検・清掃
1:存在
(撮影したビデオで確認)
(別表参照)
1:作業中
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:不在
2:作業済
3:トラブルシュート
10:04:06
1
0
23
2
0
作業者3が端末前に立つ
10:04:14
2
1
23
2
1
作業選択,開始を入力
10:04:47
2
1
23
1
1
入場 (作業者3)
10:04:52
2
1
23
2
1
奥へ
10:04:52
2
1
23
1
1
手前へ
10:04:56
2
1
23
2
1
奥へ
10:05:18
2
1
23
1
1
手前へ
10:05:21
2
1
23
2
1
奥へ
10:07:10
2
1
23
1
1
入場 (作業者1)
10:07:11
2
1
23
2
1
奥へ
10:07:13
2
1
23
1
1
手前へ
10:07:17
2
1
23
2
1
奥へ
10:08:06
2
1
23
1
1
手前へ
10:08:10
2
1
23
2
1
退場 (作業者1,作業者3)
10:08:41
2
1
23
2
1
作業者3が端末前に立つ
10:08:44
1
1
23
2
2
作業完了を入力
時刻
支援的保護システム 想定動作
動作
承認出力
状態
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
存在検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
[点検作業中 1名]
|
|
|
|
|
[点検作業中 1名]
|
|
運転非承認
定常運転承認
実作業では、作業者 1 と作業者 3 が約 4 分間、点検・清掃作業を行っている。
作業者 1 は作業者 3 が解錠、入場したのち、タッチパネルの操作なく作業区域に入場したため、ログデータか
らは作業者 3 が一名で作業したことになる。
作業区域の存在検出に使用しているレーザスキャナでは検出エリア内人数が計数できないために、作業者 1
の入場を検出することができなかった。
4.3.5 ゾーン 3 詳細
5 日間で合計 8 回の作業区域内での作業があり、想定したフロー通りの作業が行われた。
ログデータは支援的保護装置の入力(リーダライタ、タッチパネル、セーフティライトカーテン)に変化があ
った時刻ごとに記録した。
(1) 11 月 10 日
作業回数:0 回
設置初日で、システムの検証や試運転であったため、無効なデータとした。
(2) 11 月 11 日
作業回数:1 回
想定通りに操作が行われ、有効なデータを取得できた。(表 22 参照)
表 22-ゾーン 3
11 月 11 日 ログデータ
作業者1の単独作業
時刻
10:46:08
10:46:13
10:46:55
10:48:40
10:50:14
10:50:14
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:定常
1:点検・清掃
1:存在
(別表参照)
2:非定常 2:段取り・ティーチング
2:不在
3:トラブルシュート
1
0
21
2
2
1
21
2
2
1
21
1
2
1
21
2
2
1
21
2
1
1
2
状態
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
0
1
1
1
2
2
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者1)
入場 (作業者1)
退場 (作業者1)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業完了を入力
作業者 1 名による点検・清掃作業であり、有効なデータが取得できた。
- 35 -
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
定常運転承認
運転非承認
[点検・清掃作業中]
|
運転非承認
定常運転承認
実作業では、作業者 1 が約 4 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果を読み取ることができる。
(3) 11 月 12 日
作業回数:3 回
この日は 3 回とも作業者二人による作業であり、複数人作業の有効なデータとなった。(表 23、24、25 参照)
表 23-ゾーン 3
11 月 12 日 ログデータ 1
作業者1及び3の二人作業
時刻
10:32:45
10:32:50
10:32:59
10:33:13
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:点検・清掃
1:存在
1:定常
(別表参照)
2:不在
2:非定常 2:段取り・ティーチング
3:トラブルシュート
1
0
23
2
2
1
23
2
2
1
21
2
2
1
1
状態
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
0
1
1
1
10:33:13
2
1
2
1
10:33:17
10:33:32
10:33:33
10:34:20
10:35:44
10:36:20
10:36:23
10:36:27
10:36:41
10:37:42
10:37:44
10:37:48
10:37:49
11:34:04
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
1
1
1
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
2
0
23
23
21
21
作業者3が端末前に立つ
作業者3が作業選択,開始を入力
作業者1が端末前に立つ
入場 (作業者3)
退場誤検出 (作業者二人がセンサ間で作業した為)
(具体的には二人が前後移動を反復)
入場(作業者1)
退場未検出 (作業者1)
入場(作業者1)
退場誤検出 (センサの間で作業した為) (清掃用タオルをふった為)
退場誤検出 (センサの間で作業した為) (清掃用タオルをふった為)
退場(作業者1)
退場(作業者3)
入場(作業者3)
退場(作業者3)
作業者3が端末前に立つ
作業者3が点検・清掃作業終了選択
作業1が端末前に立つ
作業者1が点検・清掃作業終了選択
リセット (交信距離確認用別タグ)
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
ID認識,作業表示
存在検出
定常運転承認
運転非承認
|
|
存在非検出
|
存在検出
|
存在検出
存在非検出
|
|
存在非検出
存在検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
|
|
|
|
[点検・清掃作業中]
|
|
|
|
運転非承認
運転承認
|
運転承認
実作業では、作業者 1 及び作業者 3 が約 2 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果を読み取ることができる。
作業者二人による作業であったが、一人は端末前に立ったが作業内容を入力せずに入場した。実際に起こり得
る事例でありシステムとしての課題を抽出できた。
セーフティライトカーテン設置エリア内で作業者がセーフティライトカーテンを遮断している際に二人目の
作業者が入場した為、2 人目の入場を検出することができなかった。又、セーフティライトカーテン設置エリア
で作業者が清掃作業を行った(清掃用タオルに付着したゴミを取り除く為にセーフティライトカーテン上でタオ
ルをふった)ために、退場を検出(誤検出)した。
原因は、セーフティライトカーテン設置エリアを十分に確保することができず、作業エリアと重なってしまっ
たことである。対策として、システム導入の際には入退場検出が確実にできるセーフティライトカーテンのエリ
アを十分確保する必要がある。
表 24-ゾーン 3
11 月 12 日 ログデータ 2
作業者1及び3の二人作業
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:定常
1:点検・清掃
1:存在
(別表参照)
2:不在
2:非定常 2:段取り・ティーチング
3:トラブルシュート
12:48:09
1
0
21
0
12:48:13
2
1
21
1
12:48:26
12:48:47
2
1
1
12:48:47
2
1
1
12:49:48
2
1
1
12:49:53
2
1
1
12:50:10
2
1
21
1
12:50:27
1
1
21
2
時刻
状態
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
0
1
1
1
2
2
2
2
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者1)
RFID未検出 (作業者3)
入場 (作業者1)
入場未検出 (作業者1がセンサ間で作業中に作業者3が入場した為)
退場 (作業者3)
退場 (作業者1)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業完了選択(作業者1)
- 36 -
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
定常運転承認
運転非承認
|
|
[点検・清掃作業中]
|
|
運転非承認
定常運転承認
存在検出
存在非検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
実作業では、作業者 1 及び作業者 3 が約 2 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果を読み取ることができる。
作業者 3 が意識的に RF タグをかざしたが、RFID リーダライタは RF タグを認識できなかった。設置場所の都
合で、ゾーン 3 の RFID リーダライタはヘルメットの額位置で RF タグとアクセスできるように設置したが、ゾ
ーン 2 ではヘルメットの頭の上部で RF タグとアクセスできる位置に RFID リーダライタを設置せざるを得なか
った。この日の作業者は、ゾーン 2 の RFID リーダライタで確実にアクセスできるように RF タグの位置を後ろ
にずらした為、ゾーン 3 の RFID リーダライタではアクセスしにくくなったことが原因である。翌日は RF タグ
の位置を適切な位置に変更したので、正しくアクセスできた。
なお、RF タグとのアクセスを確実にするための恒久対策として、ヘルメット内の RF タグの位置を統一し、
かつ RFID リーダライタの設置位置を適切な位置に調整する必要がある。
又、作業者 1 がセーフティライトカーテン検出エリア内で作業している間に作業者 3 が入場したために、作業
者 3 の入場を検出できなかった。
表 25-ゾーン 3
11 月 12 日 ログデータ 3
作業者1及び3の二人作業
時刻
状態
1:定常
2:非定常
14:29:08
14:29:11
14:29:20
14:29:31
14:29:40
14:30:35
14:30:40
14:31:10
14:31:10
1
2
2
2
2
2
2
1
1
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:点検・清掃
1:存在
(別表参照)
2:段取り・ティーチング
2:不在
3:トラブルシュート
0
21
2
1
21
2
1
2
1
21
1
1
21
1
1
21
2
1
21
2
1
21
2
1
21
2
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
2
1
1
1
1
1
1
2
2
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者1)
RFID未検出 (作業者3)
入場(作業者1)
入場(作業者3)
退場(作業者3)
退場(作業者1)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業完了選択(作業者1)
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
定常運転承認
運転非承認
|
|
[点検・清掃作業中]
|
|
運転非承認
定常運転承認
存在検出
存在非検出
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
実作業では、作業者 1 と作業者 3 が約 2 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果を読み取ることができる。
作業者 3 の RF タグは上述の理由で検出できなかった。
(4) 11 月 13 日
作業回数:4 回
作業者二人による作業であったが、一名は登録せずに入場した。実際に起こりうる事例でありシステムとして
の課題を抽出できた。(表 26、27、28、29 参照)
表 26-ゾーン 3
11 月 13 日 ログデータ 1
作業者1及び3の二人作業
時刻
状態
1:定常
2:非定常
8:32:43
8:32:45
8:33:03
8:33:13
8:33:21
8:33:40
8:33:55
8:34:15
8:35:18
8:35:35
8:36:05
8:36:11
8:36:15
8:36:17
1
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:点検・清掃
1:存在
(別表参照)
2:段取り・ティーチング
2:不在
3:トラブルシュート
0
23
0
1
23
1
1
21
1
1
21
1
1
1
1
1
1
2
1
2
1
2
1
2
1
21
2
1
21
2
1
23
2
1
23
2
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
0
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
作業者3が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者3)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者1)
入場(作業者3)
入場(作業者1)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場未検出 (作業者1がセンサ間で作業中に作業者23が退場した為)
退場(作業者1)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業終了選択(作業者1)
作業者3が端末前に立つ
点検・清掃作業終了選択(作業者3)
作業者 2 名による点検・清掃作業であり、有効なデータが取得できた。
- 37 -
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
|
|
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
[点検・清掃作業中]
|
|
|
|
運転非承認
定常運転承認
|
定常運転承認
実作業では、作業者 1 と作業者 3 が約 4 分間、点検・清掃作業を行っている。
ログデータからも同様の結果を読み取ることができる。
作業者 1 がセーフティライトカーテン検出エリア内で作業を行った為、退場誤検検出 2 回、退場未検出 1 回が
発生した。
表 27-ゾーン 3
11 月 13 日 ログデータ 2
作業者1及び3の二人作業
時刻
状態
1:定常
2:非定常
10:27:54
10:27:57
10:28:07
10:28:44
10:30:31
10:30:35
10:30:54
10:31:30
10:31:30
10:31:32
10:31:37
10:32:02
10:32:07
10:32:40
10:33:23
10:33:48
10:34:19
10:34:28
10:34:48
10:34:58
10:36:57
10:37:00
10:37:05
10:37:07
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:点検・清掃
1:存在
(別表参照)
2:段取り・ティーチング
2:不在
3:トラブルシュート
0
23
2
1
23
2
1
21
2
1
21
2
1
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
21
2
1
21
2
1
23
2
1
23
2
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
0
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
作業者3が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者3)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者1)
入場(作業者3)
入場未検出 (作業者1、3が重なって入場した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
入場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業(タオルを振った)為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサ間で作業した為)
退場未検出 (作業者1がセンサ間で作業中に作業者23が退場した為)
退場未検出 (作業者1)(長時間センサを塞いだ為プログラム上タイムアウトした)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業終了選択(作業者1)
作業者3が端末前に立つす
点検・清掃作業終了選択(作業者3)
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
[点検・清掃作業中]
|
|
|
|
|
|
|
運転非承認
定常運転承認
|
定常運転承認
存在非検出
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
ID認識,作業表示
点検・作業完了
作業者 2 名による点検・清掃作業であり、有効なデータが取得できた。
実作業では、作業者 1 と作業者 3 が約 9 分間、点検・清掃作業を行っている。
又、ログデータからも同様の結果を読み取ることができる。
作業者がセーフティライトカーテン検出エリア内で作業を行った為、退場誤検出 11 回、入場誤検出 1 回、退
場未検出 2 回、入場未検出 1 回が発生した。退場未検出 2 回の内1回は、作業者が長時間セーフティライトカー
テンの前に滞在したため、ソフトウェアプログラム上のエラー(タイムアウト)となったことが原因である。
表 28-ゾーン 3 11 月 13 日 ログデータ 3
作業者1及び3の二人作業
時刻
状態
1:定常
2:非定常
12:32:25
12:32:27
12:33:17
12:33:24
12:33:20
12:33:31
12:34:43
12:35:15
12:35:18
12:35:36
12:35:37
12:35:44
12:35:45
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:点検・清掃
1:存在
(別表参照)
2:段取り・ティーチング
2:不在
3:トラブルシュート
0
23
2
1
23
2
1
21
2
1
21
2
1
1
1
1
1
2
1
2
1
2
1
21
2
1
21
2
1
23
2
1
23
2
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
0
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
作業者3が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者3)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者1)
入場(作業者3)
入場(作業者1)
退場誤検出 (作業者3がセンサ間で作業した為)
退場未検出 (作業者1がセンサ間で作業中に作業者3が退場した為)
退場(作業者1)
作業者1が端末前に立
点検・清掃作業完了選択(作業者1)
作業者3が端末前に立つ
点検・清掃作業終了選択(作業者3)
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在検出
存在非検出
|
存在非検出
存在検出
点検・清掃作業完了
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
[点検・清掃作業中]
|
|
|
運転非承認
定常運転承認
|
定常運転承認
作業者 2 名による点検・清掃作業であり、有効なデータが取得できた。
実作業では、作業者 1 と作業者 3 が約 3 分間、点検・清掃作業を行っている。
なお、ログデータからも同様の結果を読み取ることができる。
作業者がセーフティライトカーテン検出エリア内で作業を行ったために、退場誤検出 1 回、退場未検出 1 回が
発生した。
- 38 -
表 29-ゾーン 3
11 月 13 日 ログデータ 4
作業者1及び3の二人作業
時刻
状態
1:定常
2:非定常
14:05:31
14:05:35
14:06:01
14:06:05
14:06:27
14:06:52
14:07:07
14:07:42
14:08:12
14:08:34
14:08:38
14:08:40
14:08:59
14:09:01
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
ログデータ
作業内容
作業者ID 存在検出
0:選択前
1:点検・清掃
1:存在
(別表参照)
2:段取り・ティーチング
2:不在
3:トラブルシュート
0
23
2
1
23
2
1
21
2
1
21
2
1
1
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
1
21
2
1
21
2
1
23
2
1
23
2
作業状態
実際の作業者の行動
0:作業前
1:作業中
2:作業済
(撮影したビデオで確認)
0
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
作業者3が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者3)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業選択(作業者1)
入場(作業者1)
退場誤検出 (作業者1がセンサの間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサの間で作業した為)
退場誤検出 (作業者1がセンサの間で作業した為)
退場(作業者1)
退場未検出 (作業者3)(長時間センサを塞いだ為プログラム上タイムアウトした)
作業者1が端末前に立つ
点検・清掃作業終了選択(作業者1)
作業者3が端末前に立つ
点検・清掃作業終了選択(作業者3)
支援的保護システム 想定動作
動 作
承認出力
得られたログからの想定動作
想定される出力
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始
存在検出
存在非検出
|
|
|
存在非検出
ID認識,作業表示
点検・清掃作業完了
ID認識,作業表示
点検・清掃作業開始完了
定常運転承認
運転非承認
|
|
|
|
[点検・清掃作業中]
|
|
|
運転非承認
定常運転承認
定常運転承認
作業者 2 名による点検・清掃作業であり、実作業では、作業者 1 と作業者 3 が約 4 分間、点検・清掃作業を行
っている。
なお、ログデータからも同様の結果が読み取ることができる。
作業者がセーフティライトカーテン検出エリア内で作業を行ったために、退場誤検出 3 回、退場未検出 1 回が
発生した。
4.4
4.4.1
実証実験結果の考察
全体の考察
今回の検証実験では、部品アッセンブリ(組立)ラインを 3 つのゾーン(ゾーン 1:組付け工程、ゾーン 2:
接着剤塗布工程、ゾーン 3:プレス工程)に分割し、それぞれのゾーンに入退場する作業者の資格と権限、人数
を正確に確認することができるかについて実験を行った。その結果、作業者の資格と権限を確認するために各ゾ
ーン端末に設置した RF リーダライタの設置位置を十分配慮すれば、作業者に許可された作業のみしか選択でき
ないため、資格や権限のない作業を行うことができないことが確認された。しかし、各ゾーンに設置した入退場
センサ(TOF 3D カメラ、セーフティレーザスキャナ、セーフティライトカーテン)については、それぞれのセ
ンサの特性や設置条件により、正確な入退場人数を確認できない状況があることが分かった。
次に、各ゾーンに対する詳細な実験結果と考察を述べる。
4.4.2
ゾーン 1 考察
入退場確認センサは、危険領域への不存在の確認を、入場した人数と退場した人数から計算して行う。従って、
結果に記した通り、入場検出未カウントと退場検出誤カウントが危険側の故障となる。
実験データから分かるように毎日 800 回前後の入退場があり、未カウントと誤カウントを合わせると、数%の
不具合が発生している。
その現象と対策について述べる。
4.4.2.1 人検知精度の課題
入退場確認センサには TOF 3D カメラを使用し、人の立体形状をパターンマッチングで確認して人と物体とを
区別している。写真 18 (a)は、作業者を上から見たもので、画面の中心を横切る線が境界線で、これを超えて下
方向に進むと危険エリアへの入場としてカウントする。下から上に境界線を超えると退場としてカウントする。
写真 18 (c)は、ワークを持って入場する場合の画像であるが、頭上にワークを抱えて入場したために、人とし
て認識することができなかった。境界線の位置をずらすことにより、ワークを下すタイミングに合わせて、境界
線を通過する時点で、センサから人が見えているように調整を行った。しかし、いくつかの通過に関しては、ワ
- 39 -
ークとセンサとの位置関係により入場検出をすることができない場合があった。
上方からだけではなく、水平方向からもセンサで状態監視をすることにより、ワークの影響を排除することが
可能と思われる。
(a)
(b)
(c)
写真 18-人を誤検出する場合
4.4.2.2 人の動作、行いによる入場非検出
入場する際に、落とした道具を拾いながら入場した人を検出することができなかった。人を検出する精度から
見て、しゃがんでいる人間は、形状が変化するため人として検出できなくなる事が分かった(写真 19 参照)。
このような可能性がある場合は、立っている人の形状以外に、いくつかの形状を人として事前に入力しておく必
要がある。
写真 19-しゃがんだ作業者の入場
4.4.2.3
ワークと人との区別
ワークを持って入場し人がカメラから見えている場合でも、ワークが形状や向きにより人と認識された場合が
あった。この場合、1 人しか入場していないが、2 人の入場としてカウントされていた。これは、人検出精度の
パラメータを厳しくすることにより、ある程度低減することができた.人検出精度の厳しさレベルを適切にする
ことにより対応することができると思われる。ただし、ワークが人の形状と一致しない場合には誤検出は発生し
ない。
人の動きにより、人として認識する形状パターンを何種類か持つ必要がある場合には、それぞれについてワー
- 40 -
クと形状が一致しないかの確認が必要である。
4.4.2.4
境界線における非検出
境界線には、ヒステリシスを持たせて誤動作を防いでいるが、今回は境界線近くの作業があり、ヒステリシス
の範囲内のために入場を検出しない場合があった。誤動作対策とともに、運用環境を考慮してヒステリシスの幅
を設定する必要がある。
①
境界線付近の作業による誤検出
実際には行っていない境界線付近の作業が発生したために原因を究明したところ、体の一部が境界線を出る
ことがあり、これが退場検出になってしまうことが分かった(写真 20 参照)。
誤検出の原因は体の一部の動きであり、人検出精度のパラメータを厳しくすることで対応可能である。
②
動作による誤カウントと未カウント
境界線を越えるとき、ヘルメットについているシールドを上げる、下げる等の動作を行う場合があり、誤カ
ウント、未カウントの事例があった(写真 21、22 参照)。
ヘルメットのシールドを上げる際に、天井面からみると、頭に手がついていることにより立体的な形状が変
化し、人として検出できなかったためである。
シールドを上げ下げする時の動きも人として認識する形状パターンに追加することで、カウントミスを起こ
さないようにすることができる。
写真 20-腕が境界線を出たシーン
写真 21-ヘルメットのシールドを下げた状態
写真 22-ヘルメットのシールドを上げた状態
- 41 -
4.4.3
ゾーン 2 考察
4.4.3.1
複数人での同時作業について
(11 月 12 日 ログデータ 2 及び 11 月 13 日 ログデータ 1 参照)
作業中の危険区域に追加で入場する場合にも、認証、作業登録をすることで、より安全を確保できると考え
られる。
ただし、二人目以降は作業登録なく入場することが可能であり、ゾーン 2 のシステムでは複数人の入場を認
識できなかった。対策としては、入場者数を数えられるように、センサを選択、設置し、認証なしの入場を検
知した場合は、一切の運転を非承認とするなどのシステム検討が必要である。
今回の結果から、システムには以下の要件が必要と考えられる。
・ 追加で入場する場合は作業を変更できないこと
・ 現在の作業の権限がないものは入場禁止とすること
・ 作業開始入力した本人しか作業完了入力ができないこと
・ 作業開始入力した全員が作業完了入力しないと運転承認できないこと
・ 作業区域内の存在者数がカウントできること
・ 未認証の入場者を検出した時は一切の運転を非承認とすること
4.4.3.2 危険区域不在検出についての課題
レーザスキャナを使用した危険区域内不在検出については、以下の課題が見られた。
① 存在人数がわからない
(11 月 13 日 ログデータ 1 参照)
端末操作なしで作業区域へ入場した場合、認識できる作業中人数と実際の人数、及び入場者の権限と運
転状態に差異が生じて、危険側エラーとなる可能性がある。
② 作業区域内に不感帯があり、退場と未検出との区別がつかない
(全ログデータ参照)
図 13 に示す通り、今回はレーザスキャナですべての作業区域を検出領域とすることができず、作業区域
内での作業中でも存在非検出となり、危険側エラーとなる可能性がある。
作業エリア
入退場口
リーダライタ
レーザスキャナ
レーザスキャナ 防護エリア
ゾーン2 見取り図
図 13-ゾーン 2 の作業区域と防護エリア設定
- 42 -
ゾーン2端末
対策は、作業区域内全体の存在人数を検出することであり、具体的には以下の方法が考えられる。
① 入退場人数をカウント
入退場センサなどで出入り口での入退場者数を数える方法や、レーザスキャナなどの存在検出センサで人
の移動をモニタし入退場を判定する方法
② 作業区域内の存在者数を検出
複数の存在検出センサを使うなどにより、人が入り込む可能性があるところに不感帯を作らないとともに、
存在位置などのセンシングデータから存在者数を算出する方法
今回の結果から、不在検出には以下の要件が必要と考えられる。
① 作業区域内全体の存在を確実に検知できること
② 作業区域内全体の存在人数をカウントできること
4.4.3.3
作業者のゾーン端末操作忘れ
(11 月 10 日 ログデータ 2 及び 11 月 11 日 ログデータ 2 参照)
ゾーン端末で作業登録処理せずに作業区域に入場する、作業完了処理せずに再起動するなど、操作忘れが確認
された。これらの操作忘れは、実稼働時も発生する可能性がある。
操作もれに対しては、システムに以下の要件が必要と考える。
① ID、作業が特定できない人の入場があった場合には、すべての動作を非承認とすること
② 作業完了していない時は定常運転承認しないこと
これらのケースでは、システムが定常運転非承認の状態で止まってしまうので、安易なシステムのリセットな
どをさせないために、作業区域内の状態、だれが何をしているかなどの定常運転非承認の理由並びに定常運転承
認のための条件及び手順などが確認できることが望ましい。
4.4.4 ゾーン 3 考察
4.4.4.1
4.4.4.1.1
課題
複数作業者入場時の課題
セーフティライトカーテン設置エリア内で作業者がセーフティライトカーテンを遮断している際に、2 人目の
作業者が入場したために、2 人目の入場を検出することができなかった(図 14 参照)。
4.4.4.1.2
人以外の影響
複数セーフティライトカーテン設置エリアで作業者が清掃作業を行った際に、清掃用タオルに付着したゴミを
取り除くためにセーフティライトカーテン上でタオルを振ったことにより退場と誤検出した。
4.4.4.1.3
RF タグの読み取り不良
ゾーン 2 の RFID リーダライタで確実にアクセスするために RF タグの位置を後ろにずらしたことにより、ゾ
ーン 3 の RFID リーダライタではアクセスしにくくなった(RFID リーダライタの設置場所の違いによる)。
- 43 -
プレス
安全ブロック
作業エリア
セーフティライトカーテン
入退場口
ゾーン3端末
リーダライタ
図 14-ゾーン 3 の作業エリアとセーフティライトカーテンの設定
4.4.4.2
対処方法
①
セーフティライトカーテン設置エリアと作業エリアを完全に独立させる。
②
2 本のセーフティライトカーテンの間隔を十分に開け、作業者の入場・退場の方向、人数が確実に認識で
きるように設置する。
③
セーフティライトカーテン設置エリアは一人のみ入退場できるように狭い幅に設定する。
④
ヘルメット内の RF タグの位置を統一し、かつ RFID リーダライタの設置位置を適切な位置に調整する。
4.4.5
実験協力者へのアンケート結果
今回の検証実験に協力していただいた作業者(班長 1 名、作業者 2 名)へ行ったアンケートの集計結果の抜粋
である。
実際に作業者が実施している作業に追加して行う行動については、支援的保護システムの目的や現行実施して
いる安全対策との違いが十分理解されないと、単に作業行動が増えるという認識につながることが分かった。
この点は事前に十分な時間を取り作業者に実験の目的について理解を得ることができなかったことが反省点
である。
しかし、現実的に作業者が本来許可されていない作業を実施せざるを得ない状況や、認められていない場所に
入る状況があることから、これらの行動に対するリスクを適切に低減するための方策として支援的保護システム
の意義を確認することができた。
以下に今回実施したアンケートの質問内容及び回答を示す。
○質問内容(Q)と回答(A)
Q1:今までに、許可されていない作業を行う又は入る事が認められていない場所に入ったことはありますか?
もし、ある場合は、その背景となる原因はなんですか?
A1:入ったことがある(3 人)、他に人がいなかったから、トラブル対応のため、急いでいたから
Q2:各作業を開始する前に、対象となる機械設備と作業内容を登録することが、わずらわしくなかったですか?
A2:わずらわしくなかった(3 人)
- 44 -
Q3:ヘルメット前面に取り付けた RF タグは、支障なく認識できましたか?又、カード形状の RF タグやリスト
バンドタイプの RF タグの場合、かざす手間がかかりますが、ヘルメット内蔵とどちらがよろしいでしょうか?
A3:認識に支障があった。特別な行動なしで認識してほしい。
Q4:このようなシステムを今後も利用したいと思いますか?
A4:いいえ(3 人)
Q5:今回のシステムを使えば、作業データが自動的に収集できます。各自の作業データを利用して作業履歴や
作業日報が自動的に作成できることに魅力を感じますか?
A5:はい(1 人)、いいえ(2 人)ラインを管理する上では日報が自動的に作成されるメリットは理解でき
るが、現行の方法との違いが何なのか解らない。
Q6:現在実施している作業で、改善してほしい点がありましたら教えて下さい。
A6:特になし
4.5 支援的保護システムによるリスク低減効果に関する考察
表 30(別紙)は、A 社が実施しているリスクアセスメントの中で、ロックアウトとタグアウトを行うことで
リスクを低減している事例をしめしたものである。A 社の実施しているリスクアセスメントでは、リスク要素 A
(負傷の程度:4 段階)、リスク要素 B(近づく頻度:5 段階)、リスク要素(負傷の可能性として C:人的要素:
5 段階、D:管理的要因として:5 段階、E:ハード的要因として:5 段階)を評価しており、それぞれの値を加算
し、合計点としてリスクレベルを 4 段階で評価している。A 社の評価では、人の注意力に大きく依存するリスク
低減方策(ロックアウト、タグアウト)を適用してリスクレベルは 2 又は 3 となっているが、この評価値はあく
までも作業前の評価であり、常時この評価値が維持される保証がない。それに対して、支援的保護システムを適
用した評価ではリスクレベルは 1 となった。これは、人の注意力のみにたよらない工学的対策を追加することで
得られた評価値であり、この評価値は作業中リアルタイムに確認されているため、評価結果のレベルが危険側に
大きく変化することがない。
実際の検証実験でも、作業前に作業者の資格と権限を確認し、その時確認した作業のみが実行可能となること、
及び許可された場所以外へ移動した場合には生産ラインは非常停止状態となることから、安全側へ移行すること
になることがわかった(今回は支援的保護システムからの信号は実際のラインの制御回路には連動していないの
で、制御信号でのみで確認した)。
以上の結果、A 社が実施しているリスクアセスメントの結果に対して、支援的保護システムを適用した場合の
リスク低減効果を検討し、その結果を検証実験により確認することができた。
4.6 作業者の資格及び作業権限の確認用 RFID システムの課題及び対策
今回の実験では、HF 帯(13.56 MHz 帯)の RFID システムを用いた。HF 帯の RFID は一般的に数 10 cm まで
の交信(アクセス)が可能であるが、今回の実験における RFID 関連のコンセプトは「作業者が RF タグをかざ
さなくても操作可能」であることから、前回よりも交信距離を長距離化するために RFID リーダライタと RF タ
グを大きくし、RF タグに関してはヘルメットに内蔵する形態とした。
実験においては、ゾーン端末や RFID リーダライタの設置場所が限定されたこともあり、特にゾーン 2 ではヘ
ルメットに内蔵した RF タグとのアクセス距離が不足し、作業者が何度か頭を動かすシーンが見られた。
RFID の種類には、パッシブタイプで数 m の交信が可能な UHF 帯(920 MHz 帯)、あるいは以前の実証実験
- 45 -
でも採用した交信が 100 m 程度まで可能なアクティブタイプがある。しかし、長距離交信が可能であるというこ
とは、危険エリア(ゾーン)に入場しようとする人の特定が難しい。ゾーン端末で作業登録をする際に実際に作
業をする人を端末から遠く離れたところで認識しても全く意味がない。認識すべき人は、ゾーン端末前で作業登
録をしようとする特定の人物である。そのためには、ゾーン端末前に存在するその人物だけを検知する必要があ
る。
つまり、対象の人物一人だけをある特定の場所で認識するためには、あまり交信距離が長い RFID は適さず、
HF 帯の RFID が最適だと言える。
身近なアプリケーションにおいては、駅の自動改札機における電子乗車券があるが、このシステムにおいては
タッチ&ゴーの仕組みを取り入れている。本来ならば、定期入れを服のポケットから出すことなく改札を通れる
方が実際には利便性が高い。しかし、そのために改札機に内蔵してある RFID リーダライタの交信距離を長くす
ると、改札を通っていない人のカードとアクセスし、お金を徴収してしまうという問題が発生してしまうのであ
る。
支援的保護システムに使用する RFID は人の資格や権限を確実に特定できることが不可欠であり、そのために
は HF 帯の RFID に絞り、その中で交信距離の拡大を図ることができるかが今後の課題である。
なお、低出力タイプで交信距離が 2 m 程度の UHF 帯の RFID は、高出力タイプとは異なり電波干渉が低減す
るので、今後の実証実験で使用できる可能性がある。UHF 帯に関しては、アンテナ設計技術が向上し、指向性
を絞って人の特定ができるようになれば、作業者にとって非常に利便性が高いシステム構築が可能になると考え
られる。
4.7
その他の効果
4.7.1
作業者の工数軽減
作業者特定の RF タグをヘルメット埋め込みとしたことにより、作業者の手間が軽減したと同時に、ゾーン端
末操作時には必ず RF タグとアクセスできるため、操作者の作業忘れを防止でき、作業者を確実に特定できた。
又、ヘルメットという個人持ちの器具に取り付けたことで、RF タグの貸し借りによるなりすまし防止も期待で
きる。
さらに、ゾーン端末は RF タグ情報を自動で認識することにより、操作中の作業者に許可された作業しか選択
できず、操作ミスや代理操作を防止できる。
ただし、今回は、既存設備への追加の仮設置のため、作業端末前に立っただけでは RF タグを認識しにくいケ
ースもあった。これは、リーダライタ及び RF タグの設置場所を最適化することで解決できる。
4.7.2
記録データの有効活用
支援的保護システムの入出力信号(安全関連情報も含む)を記録することで、稼働状況及び作業状況が一元的
に記録できるため、作業日報などが自動作成でき、このデータを分析することにより設備や作業内容の状況や課
題を抽出できる可能性がある。
図 4 に今回の実験で得られたゾーン 2 のログデータから作業週報を作成した例を示す。
- 46 -
作業週報 (点検,調整作業)
日機連 株式会社
日付:
取引先:
工事名称:
作業場所:
区分:
No.
氏名
2015年11月16日
安衛研 株式会社
A部品組み立て
ゾーン2
~
作業時間
1 作業者 1
2 管理者・生技
3
0時01分36秒
0時00分11秒
1 作業者 2
2 作業者 1
3
0時02分41秒
0時02分55秒
1 作業者 2
2 作業者 1
3
0時03分38秒
0時15分08秒
1 作業者 2
2 作業者 1
2 作業者 3
3
0時03分18秒
0時07分27秒
0時07分22秒
1 作業者 3
2
0時04分30秒
1 (不明)
2 (不明)
3 (不明)
0時01分04秒
0時01分28秒
0時01分30秒
代表者
現場所長
記入者
JMF
作業時刻
11月9日
8:58:22 ~ 8:59:58
9:09:16 ~ 9:09:27
~
11月10日
6:07:31 ~ 6:10:12
12:09:29 ~ 12:12:24
~
11月11日
6:11:20 ~ 6:14:58
13:15:23 ~ 13:30:31
~
11月12日
6:07:28 ~ 6:10:46
12:00:39 ~ 12:08:06
12:00:49 ~ 12:08:11
~
11月13日
10:04:14 ~ 10:08:44
~
~
11月14日
6:34:49 ~ 6:35:53
9:34:26 ~ 9:35:54
14:41:34 ~ 14:43:04
~
~
~
~
~
~
~
~
作業内容
段取・ティーチング
清掃・点検
(未入力)
清掃・点検
清掃・点検
清掃・点検
清掃・点検
清掃・点検
清掃・点検
清掃・点検
(未入力)
(未入力)
(未入力)
合計工数: 0時52分48秒
適用
図 2-作業週報の例(ゾーン 2)
- 47 -
おわりに
今回の開発では、A 社が実施している部品アッセンブリ(組立)ラインに対して、すでに A 社が実施しているリ
スクアセスメントの内容を検討し、人の注意力に大きく依存するリスク低減方策だけではなく、支援的保護シス
テムを適用することにより、確定性の高いリスク低減方策が確立できるかについて実証実験を行った。
支援的保護システムは、適切な ICT 機器(Information and Communication Technology)を単体又は組み合わせ
て使用することにより、作業者のヒューマンエラーや意図的な不安全行動に起因する危険側エラーの発生確率を
下げて、リスク低減効果の数値に含まれる確定性を高める効果が期待できるリスク低減方策である。
今回の実証実験では、事前のリスクアセスメント結果に対して、TOF 3D センサ(Time of Fright-3D センサ)
と RFID(Radio Frequency Identification)機器を組み合わせた支援的保護装置をシステムに適用することにより、
従来、現場で実施されているリスク低減方策に比べて格段に確定性の高いリスク低減効果を得ることが出来た。
支援的保護システムを適用したリスク低減方策は、ヒューマンエラーに起因する労働災害を防止する上でも非
常に有効な手段だと言えるが、実際の現場に適用する際には、十分に現場の作業者に支援的保護システムの意義
と操作方法を説明して理解を得ることが必要となる。
今後は、今回の実証実験結果を踏まえて、安全性と利便性を両立させるシステムの構築と国内外への規格提案
を行う予定である。
最後に今回の実証実験にご協力いただきました A 社の皆様に深く感謝を申し上げます。
- 48 -
表30
リスク評価 資料
災害の種類
1 挟まれ巻き込まれ
2 切れ、こすれ
3 激突、衝突、ぶつかる
4 熱傷、薬傷、感電
5 墜落、転落、転倒、落下
6 火災、爆発
7 その他
定常作業
1 生産作業
2 段取り換え
3 刃物交換
4 計測作業
5 搬送作業
6 手直し、修正作業
7 メンテナンス
8 清掃作業
非定常作業
9 トラブル対応
10 修理
11 試運転
12 物品搬送
13 カッター作業
14 高所作業
15 通行、移動時、階段昇降
16 突発的な手直し、修正
17 突発的な清掃
18 器具等洗浄
19 確認
B :近づく頻度
5 連続
4 頻繁
3 時々
2 たまに
1 ほとんどない
ポイント
(10 P)
(7 P)
(5 P)
(3 P)
(1 P)
直接用
C :人的要因
5 ・ 故意の違反・意図的な不安全行動
災害の内容
1 骨折
2 捻挫・打撲
3 切傷
4 火傷・薬傷
5 失明
6 切断
7 酸欠・中毒
8 その他
D :管理的要因
・慢性的なトラブル(チョコ停)の放置
5 ・初心者への教育指導の実施がない
・安全点検を実施していない
・危険部の安全対策未実施
・危険部・危険個所の表示がない
4 ・作業標準・作業方法・ルールが無い等
・無理な姿勢などの強要
・安全優先の業務指示がされていない
・業務教育・指導のフォロー、徹底がされていない
3 ・管理監督者が危険部・作業方法・作業環境を未把握
・作業標準・作業方法・ルールが不明確
2 ・冶工具・保護具・設備などの設置が不適切、不足等
・その他の項目
1 ・なし
ポイント
(5 P)
意識過剰、手抜き,近道行動、ルール違反
4 ・知識不足、経験不足等による意図しない不安全行動
(3 P)
体調不良の時が多い(寝不足、風邪、空腹・・・)
協調性が低い
3
・慣れ、あせり、安易、他への集中による集中力低下による不安全行動
(2 P)
ポイント
(5 P)
(3 P)
(2 P)
(1 P)
(0 P)
E :ハード的要因
ポイント
5 設備・機械安全基準不備に関わる要因
(5 P)
設備・機械基準を満たしていない (例:カバーの間から手が入り負傷する)
設備・機械の付帯設備、高所、有害物質、重量物等に関わる要因
・階段、踏台、はしご、ピット、通路等の不備
4 ・玉掛け,クレーン,ホイスト、天吊り具等の不備・異常等
(3 P)
・有害な液体・気体・粉じん、排煙との接触等
・取扱う品物の要因(重量、大きい、持ちづらい運びづらい等)
設備周辺の物的環境不備
・配線、配管、ダクトホース等の引き廻しの不適切等
・操作盤スイッチの操作性が悪い(誤操作の恐れがある場合)
3 ・工具・治具・設備などの設置が不適切、不足等
(2 P)
・足場の段差、突起物、傾斜、滑る等の不安全状態等
・警報、安全標識、警告・注意表示等の不備、不足等
2 その他軽微な設備・環境の不備
(1 P)
仕事を優先させる、自分で何でもやりたがる
1 ・なし
やる気(意欲)がおきない、集中力が持続できない
2 ・うっかり不注意、思い込み等での不安全行動
(0 P)
※ 詳細は実施要領を参照
(1 P)
おっちょこちょい、やりっぱなし(確認しない)
ポイント
(10 P)
(6 P)
(3 P)
A :負傷の程度
4 重篤
3 休業
2 不休業
軽微(機械の停止が確認されて
20 その他
1 いる場合も含む)
1 ・不安全行動がない
(0 P)
リスク点 リスクレベル 考え方
2~ 9
1
低いリスクレベル
リスク低減措置を行うこと。注意喚起、表示警告等を行う
10~17
2
18~24
3
リスク低減措置を至急行うこと。至急の対策が難しい場合は注意喚起・警告表示を行う
※ 本人およびメンバー員を想定して行う
(1 P)
25~35
4
所
属
リスク低減措置を至急行うこと。至急の対策が難しい場合はハイリスク管理とする
※負傷は常識的に考えられる程度を用いる
リスクアセスメント評価表
作業内容
又は
要素作業
実施日 :2013年 4月15日~2013年6月20日
工程またはエリア等: A 工程
管理No.RS-25-013
A
災害想定
作
NO.
作業の内容
業
定常・非定常 想定される
作業の内容 災害の種類
リスクの内容
ロックアウトを行わずに
10 柵内作業時にロックア 柵内に入り作業をお
ウトをして柵内に入る
こなう
9 非定常
トラブル対応
3
具体的な
災害内容 程度
1
激突、衝突、ぶつか
る
骨折
後から入った作業者
が安全措置(ロックアウ
ト・タグアウト)を行わず
柵内業を行う。
10 非定常
1
挟まれ巻き込まれ
6
切断
B
負傷の程度
想定される
再評価
3
3
休業
時々
P
6
4
重篤
重篤
P
再評価
頻度
3
4
5
1
P
2
1
P
1
たまに
10 P
3
1
P
再評価
1
負傷の可能性
D
管理的要因
再評価
要因
3
1
E
ハード的要因
5
P
0
P
1
3
1
P
0
6
小計
(C+D+E)
リスク点
小計+
Σ=
リスク
レベ
ル
11
17
2
7
1
改善後の再評価結果
5
P
3
P
Σ
実施時
5
P
1
2
P
4
0
P
1
4
3
実施時
6
・ 故意の違反・意 ・不安全行動がな
図的な不安全行 い
動
5
小計
(A+B)
再評価
要因
・ 故意の違反・意 ・不安全行動がな
図的な不安全行 い
動
5
ほとんどない
P
可能性
5
ほとんどない
修理
10 P
C
人的要因
近づく頻度
休業
6
同一安全扉からプレ
11 スの点検作業者とロ
ボットの作業者が入
り個別で点検を行う
第2製造部
ドライバーチェック作業
12
18
3
8
1
改善後の再評価結果
5
P
5
P
3
P
0
P
5
3
改善計画
改善施策と効果
RFID及びカメラを併用した入退室管理システム
と意図しない起動を防止するインターロックシステ
ムを導入。
人に頼らない(工学的)管理によるリスクレ
ベルの維持が可能になる。
RFID及びカメラを併用した入退室管理システム
と意図しない起動を防止するインターロックシステ
ムを導入。
人に頼らない(工学的)管理によるリスクレ
ベルの維持がj可能になる。
いつ
までに
誰が
(担当者)
残留リスク管理/恒久対策
最終確認者
(係長または代行)
確認日
確認者名
管理/対策
状況確認
恒久:
残留リスク管理:
完了
恒久:
残留リスク管理:
完了
この報告書は、競輪の補助金により作成しました。
http://ringring-keirin.jp/
非
売
品
禁無断転載
平成 26 年度
安全な生産システムの構築能力向上のための
調査研究報告書
発
行 平成 27 年 3 月
非 売 品
発行者 一般社団法人日本機械工業連合会
〒105-0011 禁無断転載
東京都港区芝公園三丁目 5 番 8 号
電話 : 03-3434-9436
平成 27 年度
複合的作業空間における安全確保システム
開発部会報告書
発 行 平成 28 年 3 月
発行者 一般社団法人日本機械工業連合会
〒105-0011
東京都港区芝公園 3 丁目 5 番 8 号
電話 03-3434-9436
Fly UP