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日本知的障害者福祉協会創立80周年~その源流と軌跡を求めて
知的障害者福祉協会80年 ーその源流と軌跡ー 長崎純心大学大学院教授 津曲裕次 (協力・滝乃川学園 米川 覚) 1-5期の概要(世界と日本) と1期の位置づけ 年代 欧米 日本 1800年代 問題化→精神障害者施設収容 →知的障害者棟 地域内処遇(保護・排除) 1850年代 教育的治療→学校システム 問題化→欧米情報・視察 →教育的治療モデル導入 1900年代 学校→大規模隔離収容施設(児童=教 育的治療、者=職業訓練・施設内自立) 教育的治療モデル→教 育・職業訓練・生活指導モ デルへ→「学園(児)」 1950年代 職業訓練・療法(就労・自立モデル) →コロニー・療育・リハ施設 教育・職業訓練・自立生活 モデルへ →「学園(児・者)」 2000年代 地域共生 →グループホーム・バックアップ施設 地域共生・生活支援モデ ル →施設・グループ・ホーム 知的障害者教育・福祉問題の源流 (1800-1850) フランス:オテル・デュー施設 フランス:ビセートル院 教育的治療法の開発 1800:アヴェロンの野生児 1846:セガン(1812-80) 教育的治療の普及 セガン教具 モンテッソーリ教具・心練教具 知的障害者学校・施設の形成と普及 2期の位置づけ 年代 欧米 日本 1800年代 問題化→精神障害者施設収容→知的障 地域内処遇(保護・排除) 害者棟 1850年代 教育的治療→学校システム 欧米情報・視察 1900年代 収容保護・隔離収容→大規模隔離施設 (児童=教育的治療、者=職業訓練・施 設内自立) 教育的治療モデル→教 育・職業訓練・生活指導モ デルへ→「学園(児)」 1950年代 職業訓練・療法(就労・自立モデル) →コロニー・療育施設 教育・職業訓練・自立生活 モデルへ →「学園(児・者)」 2000年代 地域共生 →グループホーム・バックアップ施設 地域共生・生活支援モデ ル→施設・グループ・ホー ム 1850-80年代 米:教育的治療→学校システム • 1853 米:州立「白痴」学校 • アーウィン(ペンシルバニア州) アーウィン:2012・訪問 米・初期「白痴」学校一覧 設立年 名称(略称) 場所 公・私 1848 バーレ校 マサチュセッツ州・バーレ 私 1848 マサチュセッツ校 マサチュセッツ州・ボストン 公 1851 ニューヨーク校 ニューヨーク州・シラキュース 公 1853 ペンシルバニア校 ペンシルバニア州・アーウィン 公 1857 オハイオ校 オハイオ州・コロンバス 公 1858 コネチカット校 コネチカット州・レイクビル 公 1860 ケンタッキー校 ケンタッキー州・フランクフォルト 公 1865 イリノイ校 イリノイ州・ジャクソンビル 公 1868 ランドール校 ニューヨーク州・ランドール島 公 1870 フェイビル校 マサチュセッツ州・フェイビル 私 米:「白痴」学校数設立年分布 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 公立 私立 学校規模・巨大化傾向 1400 1200 1000 オハイオ校 800 ペンシルバニア校 600 イリノイ校 マサチュセッツ校 400 200 0 1870 1875 1880 1885 1890 1895 1900 1876:全米「白痴」学校長会結成 7月7日開会式:アーウィン校 カーリン(事務局長) 会員校 • セガン(会長) • ニューヨーク校(H.ウィル バー) • オハイオ校(ドーレン) • イリノイ校(C.ウィルバー) • アーウィン校(カーリン) AAIDD来日:6月2日 福祉協会・滝乃川学園訪問 American Association on Intellectual and Developmental Disabilities (アメリカ知的・発達障 害学会) 写真中央女性:CEOの Margaret A Nygren 日本:欧米情報・視察 福沢諭吉:西洋事情(1867) 内村鑑三(看護人:1884) 知的障害者学校・施設の展開 3期の位置づけ 年代 欧米 日本 1800年代 問題化→精神障害者施設収容 →知的障害者棟 地域内処遇(保護・排除) 1850年代 教育的治療→学校システム 欧米情報・視察 1900年代 学校→大規模隔離施設(隔離保護・ 優生学思想:児童=教育的治療、者 =職業訓練・施設内自立) 研修・教育的治療法導入→教 育・職業訓練・生活指導へ →「学園(児)」 1950年代 職業訓練・療法(就労・自立モデル) →コロニー・療育・リハ施設 教育・職業訓練・自立生活モ デルへ→「学園(児・者)」 2000年代 地域共生 →グループホーム・バックアップ施設 地域共生・生活支援モデル →施設・グループ・ホーム 米:大規模・隔離施設 1900:米:大規模施設(ポーク) 居室プラン(ポーク) 日本における知的障害児教育計画 渡辺筆子(教育者・親) 石井亮一(教育者) 日本:米国教育モデル導入 1898:石井亮一・筆子視察 (アーウィン年報) 1916:川田貞治郎実習 (バインランド) 日本:初期学園風景(1) 学校モデル 滝乃川学園 藤倉学園 初期学園風景(2) 学校モデル 筑波学園 八幡学園 日本:精神薄弱児愛護協会結成 発会式写真 滝乃川学園にて(1934) 創立会員施設名簿 施設名 代表者 滝乃川学園 石井亮一 白川学園 脇田良吉(欠席) 桃華塾 岩崎佐一 藤倉学園 川田貞治郎 筑波学園 岡野豊四郎 八幡学園 久保寺保久 カルナ学園 林蘇東 小金井学園 長野幸雄 1935:第二回総会とその後 第二回総会写真 (1935) 愛護創刊号(1937・1・20) 知的障害者の職業自立をめざして 4期の位置づけ 年代 欧米 日本 1800年代 問題化→精神障害者施設収容 →知的障害者棟 地域内処遇(保護・排除) 1850年代 教育的治療→学校システム 欧米情報・視察 1900年代 学校→大規模隔離施設(隔離保護・ 優生学思想:児童=教育的治療、者 =職業訓練・施設内自立) 研修・教育的治療法導入→教 育・職業訓練・生活指導へ →「学園(児)」 1950年代 職業訓練・療法(就労・自立モデル) →コロニー・療育・リハ施設 教育・職業訓練・自立生活モ デルへ→「学園(児・者)」 2000年代 地域共生 →グループホーム・バックアップ施設 地域共生・生活支援モデル →施設・グループ・ホーム 日本:愛護協会再建(1949) 戦後分立体制の定着 • 児童福祉法(1947)ー精 神薄弱児施設・通園施設等 • 学校教育法(1947)-特 殊学級・養護学校ー • 愛護協会再建大会・会長川 田貞治郎(1949) • 精神薄弱者福祉法(現知的 障害者福祉法)(1960) • 雑誌『愛護』復刊(1954) 滋賀県立近江学園 (1946年・糸賀一雄と子供たち) 米:職業訓練・コロニー 1950:職業訓練(アーウィン) コロニー・授産施設 (テンプルトンコロニー) 米:ノーマライゼーション 1960:ノーマライゼーション • 1960年代北欧で始まる。 • 「障害者の当たり前の生活 を保障する」思想とシステ ム • 施設福祉から地域福祉へ • →施設解体・改造 1980ーアメリカ (施設改造事例・ポーク) 米:脱施設化グラフ (1950-1980) 米:地域福祉 1975:リハビリテーション法 アーウィン・リハビリ工場 1977:全障害児教育法 (アーウィン・施設内学校) 日本:地域福祉 1979:養護学校義務制 1970年代:就労促進 就労形態(表・24年度白書) 常用雇用 18.8% アルバイ ト・臨時 10.8% 自営業・自 営の手伝 い3.7% 授産施設・ 作業所等 59.1% その他・不 詳7.5% 1990~:地域共生 年代 欧米 日本 1800年代 問題化→精神障害者施設収容 →知的障害者棟 地域内処遇(保護・排除) 1850年代 教育的治療→学校システム 欧米情報・視察 1900年代 学校→大規模隔離施設(隔離保護・ 優生学思想:児童=教育的治療、者 =職業訓練・施設内自立) 研修・教育的治療法導入→教 育・職業訓練・生活指導へ →「学園(児)」 1950年代 職業訓練・療法(就労・自立モデル) →コロニー・療育・リハ施設 教育・職業訓練・自立生活モ デルへ→「学園(児・者)」 2000年代 地域共生 →グループホーム・バックアップ施 設・地域就労 地域共生・生活支援モデル →施設・グループ・ホーム・地 域就労支援 米:地域共生をめざして 1990:全米障害者法 • 1.障害による差別禁止 • 2.雇用差別禁止 • 3.「合理的配慮」義務 • 4.公共サービス • 5.公共施設の配慮 • 6.電話通信の配慮 アーウィン・グループホーム 日本:地域共生をめざして 障害者グループ・ホーム 事業の自由化(障がい者物産展) 施設数(協会会員数)推移 施設数の推移 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 施設数の推移 知的障害者福祉協会80年の軌跡 80年の軌跡と課題 • 軌跡=教育的治療・社会復 帰→生活保障→職業自立 →地域共生 • 課題=「教訓」と「経験」→ 検証と伝達 • 実践資料の収集と分析→ 資料センター・百年史への 展望→「世界福祉遺産」 『天地を拓く』