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こどもの病気とその対策法

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こどもの病気とその対策法
こどもの病気とその対策法
~
フローチャート
~
津久見市
上手な受診のしかた
1)日頃からお子さんの様子をよく観察しましょう。
「いつもと何か様子が違う」家族がそう感じることでこどもの病気が見つかることがよくあります。日頃のお子さんの様子、
特徴やくせをよく知っておくと、ちょっとした体調の変化に早く気づくことができます。もしもの急病などのときにも、早め
に発見できるように心がけておきましょう。
2)かかりつけ医をつくりましょう。
こどもは個人差も大きく、成長により変化していきます。日頃から気軽になんでも相談できるかかりつけ医をつくりましょ
う。かかりつけ医は近くの小児科専門の医療機関を選びましょう。大病院は設備は整っていますがどうしても受診から帰宅まで
長時間かかってしまいます。大病院への受診が必要なときはかかりつけ医に紹介してもらいましょう。
3)できるだけ時間内に受診しましょう。
どんな医療施設も、通常の診療時間内がスタッフもそろって最も機能が充実しています。お子さんに、少しでもいい医療を受
けさせたいと考えるなら出来るだけ、時間内に受診するようにしましょう。時間外は翌朝まで待てないときの一時的なものとい
う意識をもちましょう。
4)こどもの症状をよく知っている人が連れて行きましょう。
受診の際にはこどもの症状や様子、食事の状況、飲ませた薬などを説明できる人が連れていきましょう。
5)受診時に持っていくとよいもの。
母子健康手帳・保険証・子ども医療費受給資格者証・診察券・熱などの症状の経過のメモ(熱の推移についてのグラフ)・便の
様子がおかしいときは、便(オムツ)・病院でもらった薬の名前(薬剤情報、お薬手帳)ティッシュペーパー・タオル・着替え・
替えオムツ・お気に入りのおもちゃや絵本
このフローチャートはあくまでも目安です。不安なときは、かかりつけ医、夜間当番医、
もしくは、救急病院に合わせ、相談してください。
目
次
1.発熱・・・・1p
12.食中毒・・・・23p
2.けいれん・・・・3p
13.インフルエンザ・・・・25p
3.嘔吐・下痢症・・・・5p
14.新型インフレエンザ・・・・27p
4.下痢・・・・7p
15.
5.咳・・・・9p
16.新しいワクチン・・・・31p
6.喘鳴・・・・11p
17.細菌性髄膜炎ワクチン・・・・32p
7.頭痛・・・・13p
18.子宮頚がん予防ワクチン・・・・33p
8.腹痛・・・・15p
19.頭部外傷・・・・35p
9.風邪薬・・・・17p
20.小児救急蘇生:溺水・・・・37p
MR ワクチン・・・・30p
10.立ちくらみ・めまいと失神・・・・19p
21.小児救急蘇生:実技・・・・39p
11.熱中症・・・・21p
22.感染症の休園・休学の目安・・・・41p
-
1.発
1
-
熱
「発熱」とは、悪者でしょうか? 実は正義の味方です。例えるに、発熱は火事で、解熱剤が消防車とイメージされてい
る方も多いかもしれませんが、火事は、発熱ではなく、ウイルスや細菌です。そして発熱は、それを退治しようとしている
消防車です。安易に消防車を退散させることは、病気を悪化させることにもつながります。ですから、少々の発熱は下げる
必要はありませんが、あまりに高熱で、患児がきついような時に、少しだけ熱を下げて、その間に寝てくれるとか、食べて
くれるとかを得るために、解熱剤を使用するなら構いません。解熱剤で熱を下げても、病気は早く治りません。抗生剤も意
味はなしませんし、風邪薬も、今ある症状を一時的に和らげるだけです。安静と栄養を保持して、自分の免疫力で発熱を克
服することのほうが大切なのです。
アセトアミノフェンという薬が、小児で唯一安心して使用できる解熱剤です。38.5℃以上で、患児がきついような様子
であれば、原因は何であれ、使用して構いません。もっとも 40℃であっても、元気であったり、すやすや眠っている場合は、
使用する必要はありません。逆に 38.2℃しかないけども、活気がない場合は、解熱剤を使って良いのです。
熱が高すぎて、脳がおかしくなることはありえません。脳がおかしくなるほどの高熱(45℃など)は人間では起きないか
らです。一方、脳炎や脳症は、熱が高くて脳がやられた結果、生じるのではなく、ウイルスや細菌が、脳に入り込んでしま
った結果、発熱するのです。その場合、高熱でなく、微熱であることもしばしばあります。ですから、受診の判断材料は、
発熱しているか否かではなく、ぐったりしていないか? 眠れているか? 遊べているか? 食べることができているか?
など、他の全身状態をもって決める必要があります。
また、体をぬれタオルでふくとか、首のまわり、脇の下、股のあたり(太い血管がある場所)を冷たいタオルなどで冷やす
とかは、行って構いません。おでこを冷やしても熱を下げる効果はあまりありません。
発熱から 24 時間以内に生じる熱性痙攣は、こどもの 10~20 人に1人の頻度で生じますが、解熱剤は、この予防とはな
り得ません。むしろ、解熱剤の効果がなくなって再発熱する時に、熱性痙攣が生じることもあります。①生後3カ月以下の
乳児であったり(この月齢に解熱剤は使用してはいけません。低体温になるからです。)
、②4カ月以降の児で、解熱剤を使
用して 30 分以上経過しても、ぐったりしている、または、③はじめから平熱なのに、ぐったりしているとか、様子がおか
しいとかがあれば、逆に早急な対応が必要です。そのような児は、朝まで様子をみている間に悪化する可能性があるからで
す。
このチャートは夜間に限っています。日中の発熱の場合は、病院が開いている時間内に受診してください。
夜間のこどもの発熱 フローチャート
本人の全身状態が
普段と同じならば、
朝まで様子観察
38℃未満
熱がありそうと感じたら
検温
38℃以上
機嫌が悪い、
活気がない、
具合が悪そう
服を着せすぎていないか?部屋は暑すぎはしないか?
安静にさせて、30分後に再度検温
小児救急病院
や小児科当番医
に電話し、受診
生後3か月以下
本人の全身状態が
普段と同じならば、
朝まで様子観察
38℃以上
38℃未満
機嫌が悪い、
活気がない、
具合が悪そう
生後4か月以降
機嫌が悪い、
活気がない、
具合が悪そう
解熱剤使用し、
30分観察
解熱の有無に
関係なく、
機嫌、活気、
具合が改善したら
朝まで様子観察
注1:38.5℃以上で、かつ活気がない場合、眠れない場合は、
解熱剤を6-8時間間隔で使用可
(3か月以下の児には使えません)。
注2:夜間、このチャートを見て悩むことがあれば、翌朝は必ず受診してください。
- 2 -
本人の全身状態が
普段と同じならば、
朝まで様子観察
受診を前提として、
かかりつけ医、
夜間当番医、
救急病院に
に電話で問い合わせ、
指示に従う
-
3
-
2.けいれん
夜間の小児の救急搬送の8割以上は熱性けいれんです。けいれんは小児の約10%に認めますが、後遺症を残さないと言
われている熱性けいれんがその90%を占めます。
(けいれんを起こしたとき)
まずは吐いたもので窒息しないように、顔を横に向けましょう。皆さん誤解しがちですが、けいれん中に舌を噛むことは
ほとんどなく、口の中にタオルなどをいれる必要はありません。また、強く叩いたり揺すったりしても全く効果はありませ
ん。数分以内にけいれんが止まらなかったら救急車を呼んでください。けいれんが止まった後、すぐにけいれん前の状態に
戻ったら、まず心配いりませんので、夜中ならば翌朝受診でよいでしょう。しかし、何か様子がおかしいと感じたら、かか
りつけ医、当番医、こども救急電話相談などに連絡して、受診の必要性を判断してもらってください。また可能な範囲で、
手足や眼の動き、けいれんが何分間続いているかなどを観察してください。後々、診断や治療のために重要な情報になりま
す。
(熱性けいれんとは)
その名の通り、熱のあるときにおこるけいれんです。ほとんどが発熱から24時間以内に生じ、2~3分でおさまるため、
来院するまでに止まってしまいます。6か月から6歳までの小児に多く、脳炎や髄膜炎、先天性代謝異常など基礎疾患のあ
るものは除きます。熱が急に上がるときに手足がぶるぶると震える悪寒のことをけいれんと勘違いして慌てて受診する人が
いますが、全く別のものです。熱性けいれんをおこしているとき、通常意識はありません。
(観察のポイント)
フローチャートを参考にして下さい。
「単純な熱性けいれんではない可能性がある」に行き着いた場合は、髄膜炎や脳炎、
良性乳児けいれん、てんかんなど、他の病気が考えられ、脳波検査や頭の画像検査(CTやMRI)などを行う必要がで
てきます。そして、脳波異常などを認めた場合、各々の病気に準じた治療が必要になることもあります。
できるだけ早く受診
必要に応じて救急車を要請
止まっていない
もしくは
けいれんが出現
生後6か月未満
もしくは6歳以上
意識が戻らない
止まっている
生後6か月~6歳
熱性けいれんが最も考えられます
状態がよければ翌朝受診でも問題ありません
ただし下の症状があるときには受診しましょう
・けいれん後も意識がハッキリしない
・手足の麻痺がある
・ひどい嘔吐や頭痛がある
発熱あり
発熱からけいれんまでの時間
24時間以内
24時間以上
けいれん回数が24時間で
不安なときは、かかりつけ医、
夜間当番医、
もしくは、救急病院に
問い合わせ、相談してください
1回のみ
2回以上
けいれんの持続時間が
5分以内
5分以上
けいれんの形が
左右対称
発熱なし
左右非対称
- 4 -
単純な熱性けいれんではない(
髄膜炎、てんかんなどの)
可能性あり
入院加療を前提として小児救急病院や小児科当番医に相談してください
夜間のこどものけいれん フローチャート
-
5
-
3.嘔吐・下痢症
冬にはやる病気の代表格に、嘔吐・下痢症(正式には急性ウイルス性胃腸炎)があります。乳幼児では白色やクリーム色
の下痢便になるロタウイルスや、年長児~成人ではノロウイルスなどが原因です。ウイルスがついた水や食物、手を介して、
またはそこから飛び散って感染しますので、患者さんと接触した場合は、手洗いをしっかり行ってください。アルコールや
石鹸は無効ですから、食器などの殺菌には、熱湯(1 分以上)や 0.05-0.1%次亜塩素酸ナトリウムが必要です。潜伏期間は
1-2 日。そして下痢が治まった後も 2-5 日は感染力が残っています。
嘔吐・下痢症も、初期症状は嘔吐だけのことが多いので、ただの便秘(これが幼児の腹痛の最多原因です)から、便に血
が混じった下痢になる食中毒(細菌性腸炎)
、24 時間以内に治療しないと腸が腐ってしまう腸重積(乳幼児期に多い腸が腸
にめり込んでしまう病気)、髄膜炎(脳にウイルスや細菌が侵入し、発熱、頭痛、嘔吐する)、敗血症(血液に細菌が侵入し
て体中を急激に蝕んでしまう)といった怖い病気まで、様々な可能性を考えながら初期治療する必要があります。
フローチャートは、夜間の嘔吐・下痢症に対する対処法(飲む点滴:ORS の使い方)を述べながら、それ以外の悪い病気
であった場合も受診が遅れないように作成しました。もちろん、嘔吐・下痢症といっても、脱水で命を落とす場合もありま
す。スポーツドリンクは塩分が少ないため、脱水の改善にならないのみならず、血管の外に水がたまってけいれんの原因と
なることもあります。
夜間のこどもの嘔吐・下痢 フローチャート
咳込みとは違い
3回以上吐いた
(カラ吐きも数える)
生後3か月以下
生後4か月以降
不機嫌や腹痛あり
39℃以上
不機嫌や腹痛なし
まず、ORSを5ml飲む。
15分後嘔吐なければ
以後、1時間かけて、
体重1kgあたり5ml飲む。
(10kgならば50ml)
飲めた、または、
飲みほせなくても
すやすや眠れた。
以後、吐くたびにORSを
体重1kg当たり2ml飲む
(10kgの子ならば20ml)。
下痢のたびにORSを
体重1kg当たり10ml飲む
(10kgの子ならば100ml)。
39℃未満
飲めそう
ぐったりで飲めない
ORSの作り方
水 1000ml
塩 小さじ1/3杯
砂糖 大さじ4杯と
小さじ1杯
絶飲食にはしない。
消化のよい食事、
母乳、ミルクを継続。
受診を前提として、
かかりつけ医、
夜間当番医、
救急病院に、
電話で問い合わせ、
指示に従う。
注:スポーツドリンクは、
糖分が多く、
塩分が少ないので、
ORSの代りには
ならない。
参考:必要な1日水分量
食事に含まれる水分も含め、
乳児;体重1kg当り100ml
幼児;体重1kg当り80ml
学童;体重1kg当り60ml
これに嘔吐や下痢で
出た分を加えた水分量を
目安に摂取。
翌朝、受診
- 6 -
- 7 -
4.下 痢
下痢症は薬を飲んで治すよりも、水分を補給して脱水を予防することが重要です。下痢止め薬は、腸の動きを止める作用があるた
め、ウイルスが排泄しにくくなり、治りを遅らせます。また、ほとんどの整腸剤には乳成分が含まれますので、牛乳アレルギーの子
には使わないほうがよいでしょう。ましてやウイルスですので、細菌を殺す抗生剤は無効です。そして、何を用いて水分を補給する
かに関して、多くの人が誤解している市販のスポーツドリンクは、塩分が少なく、糖分が多いので、むしろ病気を悪化させることも
あります。そこで、世界保健機関(WHO)はORS(oral rehydration solut-ion)を推奨しています。作り方はフローチャート
に記載しています。
くぼ
そして、活気がなく、かつ、尿が減っている、濃い、目が落ち窪んでいる、皮膚、口腔が乾燥している、意識がおかしい、下痢便
に血液が混じっている、などがあれば、脱水で点滴が必要だったり、別の病気の合併がないかの診察が必要となりますので、夜間で
も病院を受診することをお勧めします。
夜間のこどもの下痢 フローチャート
下痢あり
なし
嘔吐
なし
活気
あり
嘔吐・下痢の
フローチャートへ
進む。(6ページ)
消化の良いものを
食べて様子をみる。
母乳、ミルクも可。
消化の良いもの
バナナ、リンゴ、
お米、トーストなど
尿が減っている。濃い。
目が落ち窪んでいる。
皮膚、口腔が乾燥。
意識がおかしい。
下痢便に血液が混入。
あり
あり
受診を前提として、
かかりつけ医、
夜間当番医、
救急病院に、
電話で問い合わせ、
指示に従う。
なし
下痢のたびにORSを
体重1kg当たり10ml飲む
(10kgの子ならば100ml)。
同時に
ORSの作り方
水 1000ml
塩 小さじ1/3杯
砂糖 大さじ4杯と小さじ1杯
いいえ
・市販のスポーツドリンクは
ORSの代わりとしては
不適切なので用いない。
・下痢止め薬は、
ウイルスの排泄を
遅らせるので、用いない。
・ほとんどの整腸剤には、
乳成分が含まれており、
牛乳アレルギー児には
使えない。
1時間後
活気が改善、
もしくはすやすや眠れた。
- 8 -
はい
翌朝に病院を受診。
-
9
-
5.咳
季節の変わり目、朝や夕方に咳がでるという子どもはたくさんいますが、その多くは気温の変化、ほこりや気道の分泌物
を排泄するために起こる生理的な咳であり、熱がなく元気が良ければ治療は必ずしも必要ありません。
咳がでる代表的な病気といえば「風邪」であり、ときに熱や鼻水を伴いますが、長くても2週間程度で自然治癒します。
咳が3週間以上続いたり反復したりするときは、気管支喘息など他の病気を考える必要があります。また、風邪と思ってい
ても、高熱が続いたり一度下がった熱がまた出たりするときは、気管支炎や肺炎などの可能性があります。呼吸が苦しく眠
れない、顔色が悪い、元気がないときは必ず受診しましょう。咳があっても夜眠れているようであれば、翌朝の受診でも問
題ありません。喘息児の咳は朝方まで悪くなり続けますので、早めの受診もしくは自宅での発作止めの治療(吸入など)を
行いましょう。
ふつうの咳は無理に止める必要はありませんが、激しい咳が続くと、夜眠れなくなったり、咳で吐いたりすることがあり
ます。咳がひどいときには、安静にさせ水分を少しずつこまめに与えましょう。咳込んだときは上体を少し高くして寝かせ
てあげると楽になります。部屋を温かくして空気の乾燥を避けることで、痰が切れやすくなります。タバコの煙は咳の増悪
因子となるため、咳をしている子どもの傍で喫煙するのはやめましょう。マスクは病原体の侵入を防ぐだけでなく、喉の乾
燥を防ぎ感染を起こりにくくする効果もあり、うがいや手洗いも予防行動として有効です。お薬に頼りたくなる気持ちはわ
かりますが、咳止め薬は病原体の排出を遅らせ、鼻水止め(抗ヒスタミン薬)は痰が粘稠になることから、頼りすぎには注
意が必要です。
夜間のこどもの咳 フローチャート
クループ症候群
急性喉頭蓋炎
夜間に連続し止まらな
い咳(コンコンコン、ヒュー)
百日咳
急性細気管支炎
発熱、鼻汁を伴う
元気よい
急性上気道炎
風邪で様子みていたら
発熱、咳がひどい
肺炎
急性気管支炎
気管支喘息
- 10 -
呼吸困難
無呼吸
哺乳不良
かかりつけ医、
夜間当番医、
救急病院に
電話で問い合わせ、
指示に従う
翌日受診
呼吸困難
活気不良
脱水
あり
幼児以降のゼイゼイ、
朝方の咳
アレルギー体質、家系
声がでない
なし
乳児、
ゼイゼイ、多呼吸
呼吸困難
なし
犬のような咳
喉の痛み、しわがれ声
あり
気道異物
なし
食事中の突然の咳
呼吸困難
急いで受診
あり
咳が出る
疑われる病気
あり
症状
受診の目安
- 11
ぜい
-
めい
6.喘 鳴
ぜいめい
子どもは、特に風邪の際に、呼吸音がゼーゼー、ヒューヒューいうことがあります。これを喘鳴と呼びます。その原因として、気
ぜ imei
じゃっき
ごえん
管支喘息、喘鳴を惹起するウイルスや細菌感染(RSウイルス、マイコプラズマなど)
、先天性の気管支奇形、異物誤嚥、心不全な
どが挙がります。ただ、機嫌が良くて、呼吸の苦しさがなく、眠れそうであれば、発熱の有無に関わらず、翌朝、病院を受診するこ
とで大丈夫と思われます。機嫌が悪く、呼吸も苦しそうなどの症状を伴っていれば、フローチャートに従って、水分補給などへと進
んでください。
ぜいめい
アレルギー体質(本人にアトピー性皮膚炎があるとか、家族に花粉症や鼻炎の人がいるとか)が基礎にあれば、喘鳴を反復する場
ぜいめい
合があります。その場合、気管支拡張剤の内服、テープ、吸入などを常備しておくことをお勧めします。このような体質の人の喘鳴
は、夜間から朝方にかけて悪化していくからです。薬局では買えませんので、同様の症状で病院から処方されたものを1回分、残し
ておいてはいかがでしょうか? もちろん、兄弟に処方された気管支拡張剤の残薬があったとしても、それは使用しないでください。
副作用のもととなります。
ぜいめい
その他の薬、例えば咳止めや鼻水止めは、喘鳴を悪化させることがありますので、ご両親の判断で内服させることは避けてくださ
い。市販の風邪薬には、咳止めや鼻水止めが含まれることが多いので、お勧めしません。
ぜいめい
そして、一番大切なことは、喘鳴が毎月1回でもある場合は、重症喘息に移行させないために、予防治療を普段から行う必要があ
ります。かかりつけ医に相談ください。
夜間のこどもの喘鳴 フローチャート
呼吸音が
ゼーゼー、
ヒューヒュー
生後6か月
悪い
機嫌
良い
眠れそう
水分補給
落ち着いた
眠れそう
翌朝、
病院を受診
発熱を伴う場合は、
発熱のフローチャート
(2ページ)も参照。
落ち着いた
眠れそう
以上
過去に同じ症状が
あり、気管支拡張剤の
内服、テープ、吸入の
手持ちがある
なし
未満
救急病院や
当番医に
問い合わせ、
指示に従う。
あり
拡張剤を使用
また、悩む時は、
かかりつけ医、
夜間当番医、
救急病院に
電話で問い合わせ、
指示に従う。
改善せず
改善せず
ゼーゼー、ヒューヒューしている場合、
咳止め、鼻水止めの薬によって、症状が悪化することがある。
市販の風邪薬や漢方薬にはこれらが含まれてることが多い。
また、喘鳴が毎月1回でもある子は、普段から予防治療が必要です。
かかりつけ医に相談を。
- 12 -
- 13 -
7.頭 痛
頭痛は、急いで受診しなければいけない髄膜炎を含む脳の感染症や頭蓋内出血からかぜ、片頭痛まで、頭痛の原因は様々です。頭
痛、発熱、吐き気を伴い、寝ている状態から、顎を引くように首を前に曲げようとさせた場合に痛みが増強し曲げられない場合(項
部硬直と呼びます)は、髄膜炎の可能性が高まります。項部硬直がなくとも、発熱や吐き気を伴い、しかもアセトアミノフェンの坐
薬や頓服で軽減しない場合は、急いで受診が必要です。
アセトアミノフェンは、熱さましや痛み止めなどの目的で、医療機関から処方されるものです。夜間の初期対応のために常備して
おくことをお勧めします。体重 1kg 分につき 1 回 10-15mg ですので、例えば 10kg の子ならば 100mg の坐薬を 1 個、15kg の子な
らば 200mg の坐薬を約 2/3 個、はさみなどで切って投与してあげてください。頓服もあります。
慢性頭痛の原因としては、また別の病気が挙がってきます。もっとも注意が必要なのは脳腫瘍です。これは早朝、いつも同じ部位
が痛く、日に日に増悪していきます。しばしば吐き気、物が二重に見える、ふらつくなどの症状が伴います。
片頭痛は、前頭や側頭部がズキンズキンと痛み、吐き気、光がチカチカみえるなどの症状を伴い、朝よりも午後から痛み出す傾向
があります。数時間から数日持続する場合があり、遺伝することの多い病気です。
筋緊張性頭痛とは、筋肉の収縮によって生じるもので、頭全体が締め付けられるような痛みとなりますが、吐き気は通常伴いませ
ん。精神的な緊張や疲労によって誘発されやすい病気です。
周期性嘔吐症(自家中毒)という、幼児期にしばしば嘔吐、頭痛が生じ、時に点滴を受けないと治らないが、小学校に入学するこ
ろには自然軽快する病気もあります。
更には起立性調節障害という自律神経のアンバランスによって思春期に生じる病気や、副鼻腔炎(ちくのう症のことで、頬や前頭
に痛みがあり、軽く指で叩いても痛む)
、てんかん、高血圧、斜視や緑内障などの眼の病気、う歯、歯の咬合不全、薬物中毒、心因
反応も慢性頭痛の原因となります。
夜間のこどもの頭痛 フローチャート
2-3日以内の頭部打撲
頭が痛い
吐き気
なし
なし
あり
あり
発熱
頭蓋内出血の
可能性
なし
あり
髄膜炎など
脳の感染症の
可能性
アセトアミノフェン投与
30分観察
効果なし
受診を前提として、
かかりつけ医、
夜間当番医、
救急病院に、
電話で問い合わせ、
指示に従う
発熱
周期性嘔吐症、
頭蓋内出血、
脳腫瘍などの
可能性
再び
痛み出した
あり
かぜ、中耳炎、
副鼻腔炎の可能性
なし
筋緊張性頭痛
の可能性
効いた
アセトアミノフェン投与
30分観察
片頭痛の
可能性
効いた
眠れたら
翌朝、病院を受診
-14-
効果なし
アセトアミノフェンは
体重1kg分につき
1回10-15mg
を坐薬または頓服
- 15 -
8.腹 痛
子どもの腹痛の原因はさまざまです。虫垂炎や胃腸炎、腸閉塞、腹部打撲後の腸穿孔などの胃腸の病気ばかりではありません。尿
路感染症、睾丸捻転、卵巣捻転、肺炎、心炎、大腿骨骨髄炎、食物アレルギーでも生じます。ただし、頻度としては、
「便秘」と「胃
腸炎を含む風邪」が、2大原因であるとご理解ください。
みぞおちの痛みは、胃、膵臓、胆嚢の病気を考えます。食前の痛みは胃潰瘍、食後の痛みは胃炎など。通常、子どもで胃潰瘍は稀
ですが、遺伝がある場合や井戸水などを常用している場合は可能性があります。膵炎はおたふく風邪に合併することがあります。
臍周囲の痛みは、胃腸炎を考えます。ただし、数日よりも長い経過で、どんどん悪くなるわけでもなく、良くなるわけでもなく反
復する場合は、心因性の可能性がでてきます。決めつけてはいけませんが、子どもが訴えることのできない悩みに気づいてあげるこ
とも必要かもしれません。
右下腹部の場合は虫垂炎、左下腹部の場合は便秘、恥骨上部の場合は尿路感染症などをまずは考えます。いずれにしろ、病院で浣
腸をしてもらって、すっきりして帰宅できる便秘から、緊急手術が必要な病気まで、さまざまですので、痛みが自制できない場合は、
フローチャートにしたがって、救急受診して下さい。
特に、3歳未満の子が、
「数分毎に激しく(腹痛で)泣く」
、
「嘔吐」
、
「血便」の場合、腸重積症という、腸が腸にめり込んでしま
い、24 時間以内に治療しなければ、腸が腐ってしまう病気があります。この場合、最初は血便のないこともあるのです。
夜間のこどもの腹痛 フローチャート
緑色(胆汁)の吐物を
吐いた
お腹が痛い
あり
なし
悩む時は、
かかりつけ医、
夜間当番医、
救急病院に
電話で問い合わせ、
指示に従う
アセトアミノフェンは
体重1kg分につき
1回10-15mg
を坐薬または頓服
かかりつけ医、
救急病院、科当番医に
電話し、指示に従う。
あり
緑色ではないが、
(カラ吐きを含め)2回吐いた
なし
あり
血便
なし
38℃以上の発熱
なし
あり
痛みは右下腹部
30分安静
はい
ちがう場所が痛い、またはどこか分からない
痛みが軽快
解熱剤(アセトアミノフェン)使用
翌朝受診
-16-
痛みがおさまらない
-
9.風
邪
17
-
薬
風邪をひいたとき、次の 5 つは正しいでしょうか?
①風邪薬を飲めば早く治る。②風邪薬を飲めばこじらせにくい。③
風邪薬は副作用が少ない。④抗生剤を飲んだほうが早く治る。⑤脳がやられないように、熱はできるだけ下げたほうがよい。
答えは、全て間違い。風邪薬を飲んでも早く治ることはなく、悪化予防にもなりません。むしろ、風邪薬によって、逆にこ
じらせてしまうこともあります。
咳は、細菌やウイルスを痰とともに体外に出そうとする防御反応です。それを咳止め薬で抑えると、細菌やウイルスが出
せなくなります。鼻水止め薬は、痰のきれを悪くし、咳を悪化させたり、痙攣体質の子には痙攣を起こりやすくさせること
もあります。痰切り薬も、時に咳を悪化させるので、小児科の教科書には、
「気管支炎の子に、咳止め、鼻水止め、痰きり薬
は推奨できない」と記載されています。炎症止め薬は、卵から作られていることが多く、アレルギーの子の急変につながる
ことがあります。気管支を広げる薬は、喘息やアレルギー体質の子の呼吸を楽にする効果がありますが、動悸や、手が震え
ることがあるだけでなく、使いすぎると、効きが悪くなります。
ですから、風邪薬をもらうことを前提に、クリニックを受診することはお勧めできません。では、医師は何をしているの
でしょうか?
例えば風邪の子の 10 人に 9 人はウイルス感染なので、何もしなくても自然に治ります。しかし、10 人に 1
人は細菌感染なので、抗生剤が必要です。その判断や、別の病気ではないかを判断し、風邪薬を、副作用と作用を天秤にか
けて、必要と判断した時のみに処方しています。
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