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リーフレット [Leaflet]

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リーフレット [Leaflet]
電中研報告
環
境
報告書番号: N 0 6 0 3 5
大規模排出源近傍における二酸化炭素地中
貯留の可能性
背
景
二酸化炭素(CO2)の地中貯留は化石燃料の継続的な利用を許容しつつ、CO2 の大
気への排出を削減することができる技術として期待が高い。国が主導する二酸化炭
素地中貯留技術の研究開発では、石油・天然ガスの探査活動結果に基づいて貯留適
地が同定されている。しかし、これらの貯留適地は、CO2 貯留容量が小さく、CO2 の
大排出源から遠距離のものがほとんどである。わが国の CO2 総排出量の約 30%を占
める電気事業にとって CO2 大気排出削減における地中貯留の役割を検討するには、
個別具体的な CO2 発生源近傍で貯留適地の存在を調査することが有効である。
目
的
地中貯留の対象となる地質の分布を概観し、典型的な大量 CO2 排出源近傍におけ
る CO2 貯留の可能性を明らかにする。あわせ、CO2 地中貯留に関する技術の現状を調
査検討し、課題を抽出する。
主な成果
(1)地中貯留の可能性の高い地質の分布
地中貯留の対象となる地層はある程度の間隙率と浸透率を有することが必要であ
る。このような地層は、およそ古第三紀から第四紀更新世の砂岩、凝灰岩等で構成
されている必要がある。これらの分布域は、①本州の南房総から、紀伊半島、四国、
九州、沖縄と太平洋側に連続的に分布する堆積層 ②九州の天草、唐津、福岡、筑
豊から山口県の宇部、大阪湾北、東北地方の常磐、久慈、北海道の石狩、留萌、釧
路に分布する炭田・夾炭層 ③西南北海道から山陰地方の日本海側から海域の い
わゆるグリーンタフ地域の砂岩や火砕性堆積岩など に主に大別でき、あくまでも
陸域での地表分布であるが、国土面積の約 15%を占めている。
これらの分布域では、CO2 圧入深度の地下 1000m程度について石炭・石油・天然
ガスの探査の際に密に調査されている地域もあるが、多くの地域では CO2 貯留評価
のためにはデータが不足している。
(2)CO2 大排出源近傍の貯留対象層の分布状況
わが国の主な CO2 排出源を調査し、特に、大排出源 36 地点における貯留可能性を
評価した。その結果、CO2 が超臨界状態1)になる地下 800m以深まで貯留のための圧
入対象層が分布していると推定された地点は、半径 20km 範囲内2) では 20 地点、半
径 5km 範囲内3)では 16 地点あることを示した。
(3)貯留量の概算評価
CO2 大量排出源近傍に多く存在する水平あるいは緩傾斜の成層構造を示す帯水層
では溶解トラップ、また急傾斜であっても残留ガストラップ4)が機能する可能性が
高い。典型的な条件を仮定した堆積岩地層が地下 800m以深に存在すれば、残留ガ
ストラップメカニズムに基づく CO2 貯留容量として地表面積1km2あたり 350 万トン
が期待できることを示した。
(4)地中貯留に関する技術的信頼性の現状と今後の課題抽出
地下深部を扱う類似技術である石油・天然ガス開発、高レベル放射性廃棄物地層
処分、地熱資源開発などの分野での実績に照らして、深層地質調査、CO2 の輸送・圧
入、CO2 地中挙動モニタリング等の技術的信頼性の現状を概説し、CO2 の地中貯留事
業を進めるために必要な今後の課題を抽出した。
今後の課題
個別具体的な地質条件に対応して、より詳細な CO2 の貯留量評価が可能となるよ
うシミュレーション技術を確立し、さらに貯留の事業にあたって適用可能な地質調
査手法、モニタリング手法の開発等が必要である。
注1)CO2 は、31℃以上、7.4Mpa 以上の条件で超臨界状態となり、気体のような拡散性と、液体のような高い
密度を示すため、地中貯留では、超臨界状態で地層中に CO2 を圧入する方法が検討されている。
注2)排出源からパイプラインで経済的に輸送が可能と判断される距離
注3)排出源から大偏距ボーリングで圧入が可能な距離。地表部での輸送が不要。
注4)地層内の微視的な空隙を CO2 流体相が浮力ないし他の駆動力によって移動する場合に、水相が空隙へと
回復する際に毛管力と濡れ性によってヒステリシス効果が生じ、空隙内に CO2 流体相がトラップされる
メカニズム
研究報告
N06035
キーワード:二酸化炭素地中貯留,大規模排出源,貯留容量ポテンシャル,
トラップメカニズム,モニタリング技術
関連研究報告書
「CO2地中挙動モニタリングのための物理探査手法の適用性評価」N06010(2007.2)
「CO2地中貯留における移行挙動モデルの提案と現場への適用」N06023(2007.4)
担当者
連 絡 先
[非売品・不許複製]
大隅
多加志(地球工学研究所
地圏科学領域)
(財)電力中央研究所 地球工学研究所
Tel. 04-7182-1181(代)
E-mail : [email protected]
c財団法人電力中央研究所 平成19年6月
06−029
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