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中枢神経系の発生における細胞の分化と系譜解析

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中枢神経系の発生における細胞の分化と系譜解析
京府医大誌
122
(6),361~370,2013.
神経系の細胞系譜解析
<特集「個体発生と細胞分化の医学」
>
中枢神経系の発生における細胞の分化と系譜解析
後藤 仁志,小野 勝彦*
京都府立医科大学大学院医学研究科神経発生生物学
Devel
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抄
録
発生期の中枢神経において細胞系譜を理解することは,複数の細胞種からなる複雑な組織構築の過程
を理解する上で重要な知見である.細胞系譜の解析は,神経系の発生のみならず,様々な組織器官で古
くから行われてきた.近年では,遺伝子改変マウスなどの新しい技術の進歩によって神経系細胞の系譜
に関する様々な新規知見が次々と報告されている.本稿では,細胞系譜解析(方法)の歴史や古典的手
法について紹介し,それによって得られる知見や問題点について議論する.更に,近年頻繁に行われ
る,遺伝子導入を用いた様々な細胞系譜解析法とその特徴について紹介する.また,このような新しい
技術を用いて得られた我々の最近の知見も紹介する.
キーワード:細胞系譜,神経,遺伝子改変マウス,Nkx
2.
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2.
平成25年 5月 8日受付
*連絡先
小野勝彦 〒603
‐8334京都市北区大将軍西鷹司町13
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361
後
362
は
じ
め
藤
仁
に
動物の発生の過程で,卵割の終わった受精卵
の細胞やその後に続く胚の細胞が,成体のどの
組織や体のどの部分を作るかということは,発
生学の大きなテーマのひとつである.古くには
両生類神経胚の細胞を局所生体染色することに
より調べられた1).また,線虫ではどの細胞が
どの時期に分裂しどこへ移動するか,顕微鏡を
使っての丹念な観察から明らかにされた2).一
方で,羊膜類の細胞系譜の解析は,初期胚が非
常に小さいことや発生に時間がかかることなど
から局所生体染色や直接の観察がむつかしく,
遺伝子導入技術の進歩を待たなければならな
かった.P1ファージの Cr
eリコンビナーゼが
l
o
x
P配列を認識して DNA組み換えを誘導する
ことが個体レベルで用いられるようになると,
特定の遺伝子を発現する細胞で Cr
eを発現する
マウス(Cr
eドライバーマウス)と La
c
Zや GFP
の遺伝子を l
o
x
P配列の下流に挿入した f
l
o
xレ
ポーターマウスとを交配させることにより,特
定の遺伝子を発現する細胞を永続的に標識して
細胞を追跡することが可能となった.また,電
気穿孔法は簡便に生体組織に遺伝子導入する方
法として繁用される技術で,これも細胞系譜解
析には重要な手法である.本稿では,細胞系譜
解析の方法の発達とこれを用いた我々の最近の
所見とを紹介したい.
細胞系譜解析の方法
1.細胞系譜マーカーの発現を指標とした解析
神経幹細胞 /
前駆細胞を特定の細胞に分化さ
せる機能を持つ転写
(調節)
因子は細胞系譜マー
カーとしてしばしば用いられる.このような分
子発現を経時的に追跡してその系譜を明らかす
る方法は比較的簡便であり,神経系の形成にお
ける特定の細胞グループの全体像を明らかにす
ることができる.しかし,単一細胞のレベルで
は途中で発現を終えるものやオシレートするも
のもあり,分子の発現特性に注意する必要があ
る(後述)
.
志
ほか
2.ニワトリ―ウズラのキメラ動物を用いた解
析
ニワトリとウズラはいずれもキジ科に属して
いる.初期胚で両者の組織を入れ替え移植する
と,異種の組織でも綺麗に融合して発生を続け
る.それぞれの種に由来する細胞は,フォイル
ゲン染色で核を染めると,クロマチンの凝集パ
ターンから,区別することができる.これを用
いて,胚の特定の領域(例えば特定の菱脳分節)
に由来する細胞が成体のどこの構造を作り出す
か調べられた3).一方で,この方法を適用でき
る動物は限られており,特に哺乳動物への応用
は困難である.
3.レトロウイルスベクターを用いた系譜解析
とクローン解析
レトロウイルスは,一本鎖 RNAウイルスで
あり,感染細胞のゲノムに遺伝子を組み込むこ
とが知られている.レトロウイルスのうち,レ
ンチウイルスは非分裂細胞にも感染するのに対
して,モロニーマウス白血病ウイルスやニワト
リレトロウイルスは分裂能を持つ細胞にのみ感
染する.また,レトロウイルスの感染能の半減
期は短いため,レトロウイルスベクターは多く
のグループによって神経前駆細胞の系譜解析に
パルス標識的に用いられてきた.細胞系譜解析
に用いるレトロウイルスベクターは,レトロウイ
ルスの自己増殖に必要な遺伝子をLa
c
ZやGFPと
いったマーカー遺伝子で置換し,自己増殖能を
不可能にしたものを用いることが多い.神経管
の内腔(脳室)や脳実質などに,マーカー遺伝
子を持ったレトロウイルス粒子を注入すると,
分裂期の細胞に感染し,この細胞に由来する細
胞は全てマーカー分子を持続的に発現する4)5).
更に,レトロウイルスを限界希釈することに
よって,ごく少数(理論的には 1個)の神経前
駆細胞を標識し,この細胞から分化する細胞を
追跡してどのような細胞を作り出すかを調べる
ことが可能である.これはクローン解析と呼ば
れている.
レトロウイルスを用いた系譜解析では,脳定
位装置などを用いて特定の場所にウイルスを注
入する試みが行われているものの,最初に感染
神経系の細胞系譜解析
した細胞を特定できないことが問題となる.こ
のことを克服するために,ニワトリのレトロウ
イルスに対する受容体をマウスの特定の細胞に
異所的に発現させ,受容体発現細胞にのみウイ
ルスを感染させるシステムが用いられている6).
また,筆者らは,マウスのレトロウイルスが野
生型のニワトリ細胞に感染しないことを利用
し,マウスレトロウイルス受容体をニワトリの
特定の細胞に発現させることにより,特定細胞
への感染を可能とする細胞系譜解析システムを
7)
.これらの手法によって,ウイ
開発した(図 1
)
ルスに対する受容体を異所的に発現した分裂細
胞からの細胞系譜を解析することが可能となっ
ている.
4.電気穿孔法によるレポーター分子の導入
電気穿孔法は,発現ベクターを脳室内に注入
した後に,電極を胚の近傍に静置し,電気パル
スをかけることによって i
nv
i
v
oで効率良く遺
伝子を導入する方法である8‐10).DNAは負電荷
を持ち陽極側に向かって動くことから,導入時
に陽極と陰極の電極の位置を調節することで,
目的の限局した領域に導入することが可能であ
る.例えば,発生期の大脳皮質の細胞系譜を解
析するために,背側皮質の細胞と腹側の線条体
原基由来の細胞(介在神経細胞やオリゴデンド
ロサイトの前駆細胞)を別々に標識することや11),
363
脳幹の菱脳唇を限局して標識すること ができ
る12)13).前項のレトロウイルスベクターと異な
り,導入された遺伝子は細胞分裂を経ることに
よって,細胞中で希釈されるために神経細胞以
外の分裂細胞(グリア細胞)の系譜を解析する
ためにはベクター側に工夫が必要である.その
際には,ゲノムに目的遺伝子を導入できるトラ
ンスポゾンベクターを用いることが多い14)15).
更に,細胞特異的プロモーターとレポーター遺
伝子を組み合わせたコンストラクトを作製し,
電気穿孔法で導入することにより,特定の細胞
種の細胞系譜を解析することも可能である16).
しかし,標識特異性は用いるプラスミドとその
濃度にも依存し,次項で紹介する遺伝子組換え
マウスを用いた方法のほうが高い特異性を示
す.
5.遺伝子改変マウスを用いた細胞系譜解析
特定の遺伝子を発現する細胞の系譜とそ
の挙動の解析のために,遺伝子改変マウス
は非常に有用なツールである.遺伝子改変マ
ウスを用いると,特定の遺伝子を発現する細胞
を GFPや La
c
Zなどのマーカー分子で標識す
ることができる.これらのマーカー分子は,
特定の遺伝子座へのノックインや,細胞特異的
プロモーターあるいは組換え BAC(Ba
c
t
e
r
i
a
l
Ar
i
t
i
f
i
c
i
a
lChr
o
mo
s
o
me
)を用いたトランスジェ
図 1 異種レトロウイルスを用いた特異的細胞系譜解析7)
左)マウスのレトロウイルスは,受容体が存在しないため野生型のニワトリ細
胞には感染しない.右)マウスのレトロウイルス受容体を異所的に発現させると,
受容体発現細胞のみにウイルスが感染し,特異的な細胞系譜解析が可能である.
364
後
藤
仁
ニック法によって細胞特異的に発現させる.特
に,BACトランスジェニック法は,特異的プロ
モーターやエンハンサーを同定することなく,
特異性高くマーカー分子を発現させることが可
能であり,近年頻繁に用いられている17).これ
らの方法で発現したマーカー分子によって,短
時間の細胞系譜解析が可能である.特に,La
c
Z
などはタンパク質の安定性が高いため,本来の
遺伝子の発現が消失した後も一定期間細胞が
La
c
Zタンパク質を保持しており,その分化や分
裂,移動を短期間解析することが可能である18).
志
ほか
更に長期の系譜解析には,Cr
e
l
o
x
Pなどを用
いた系譜解析システムを用いる.これは,冒頭
で述べたように,現在最も広範に用いられてい
る信頼性の高い方法である.DNAの組換え酵
素とその認識配列を組み合わせた,Cr
e
l
o
x
Pや
Fl
pf
r
tシステムによる組換えを利用している.
例えば,特定の細胞種に組換え酵素である Cr
e
や Fl
pを発現させたドライバーマウス系統と,
レポーター遺伝子を持つマウスとを交配させる
ことによって,発生段階のいずれかのステージ
で組換え酵素を発現したことのある細胞全てが
図 2 様々な Cr
e由来タンパク質による組換え
A)Cr
eを発現しない細胞では組換えが起こらず,Cr
eを発現する特定の細胞でのみ組
換えが起こり,レポーター分子が発現する. B)時期特異的 Cr
eは,リガンド非存在下で
は細胞質に存在するが,リガンド依存的に核内移行を示し,組換えを誘導する. C)それ
ぞれ活性をもたない部分長 Cr
e
(NCr
e
,CCr
e
)を 2種類のプロモーターなどによって発現
させる.2種類の部分長Cr
eを同時に発現する細胞でのみ,活性のあるCr
eタンパク質とな
り,組換えを誘導する.
神経系の細胞系譜解析
レポーター陽性となる(図 2A)
.遺伝子の発現
を指標としてレポーター遺伝子の組換えを誘導
するので,最終分裂を終えた細胞の挙動を観察
することも可能である.このことは,分裂細胞
しか標識できないレトロウイルスによる標識法
との相違点である.
更に,Cr
eとエストロゲンレセプター(ER)
やプロゲステロンレセプター(PR)などの核内
受容体の一部をつなぎあわせた融合タンパク質
を利用することで,特定の時期に特定の遺伝子
を発現する細胞から分化する細胞を追跡するこ
とも可能となった.これらは Cr
e
ERや Cr
e
PR
と呼ばれ19)20),リガンドが無い状態では細胞質
に局在して機能しないが,それぞれの合成リガ
ンドであるタモキシフェンや RU486などを投与
すると核内移行し,組換えを誘導する(図 2B)
.
これらに用いられる核内受容体遺伝子には変異
が導入され,内在性のエストロゲンやプロゲス
テロンには結合しない.組換え効率はリガンド
の濃度や目的とする組織に依存するが,Cr
eほ
どの組換え効率は期待できない.さらに,Cr
e
365
を N末端部分と C末端側に分割し(Spl
i
t
Cr
e
)
,
それぞれを別個のプロモーター下に発現させる
ことによって,2つの遺伝子マーカーを発現す
る細胞のみで組換えを起こし,細胞系譜を解析
21)
.
することもできる(図 2C)
レポーターマウスは,様々なラインが開発さ
れ,マウスリソースバンクに保存されている.
レポーターマウスは,すべての細胞で発現する
プロモーターを用いたトランスジェニックマウ
スや,同じく全ての細胞で発現する Ro
s
a
26遺
伝子座へのノックインマウスが用いられるが,
レポーターラインによって組み換え効率や標識
様式が異なるため,目的にあったものを選択す
る必要がある.これらのうち,強力な c
hi
c
k
e
n
b
e
t
a
a
c
t
i
nプロモーターの制御下に Cr
e非存在
下では l
a
c
Z遺伝子を発現し Cr
eによる組み換
えによって EGFPを発現する Z/
EGマウス22)や,
Ro
s
a
26遺伝子座に Cr
e依存的に YFPを発現す
る遺伝子カセットがノックインされた Ro
s
a
2623)
YFPマウス などが広く用いられている(図
3A,B)
.更には,近年同一のマウスで複数の細
図 3 広範に用いられるレポーターマウスライン
A)Z/
EGマウスラインは,Cr
e依存的に GFPを発現するマウスである.B)Ro
s
a
26YFPマウス
ラインでは,Cr
e依存的に YFPを発現する.C)Br
a
i
nb
o
wラインでは,l
o
x
P類似配列間でランダ
ムに組換えが起こるため,様々な種類の蛍光タンパク質を発現する.
後
366
藤
仁
胞の解析をするためのレポーターマウスも開発
されている.例えば,b
r
a
i
nb
o
wマウスは様々な
l
o
x
P類似配列と蛍光タンパク質を組み合わせる
ことによって,マルチカラーの系譜解析を可能
24)
.Cr
eの基質として,l
o
x
P
としている(図 3C)
や類似配列(l
o
x
Nなど)が知られているが,Cr
e
依存的に同種配列間でランダムに組換わること
を利用しているため,図 3Cのベクター配列から
3パターンの組換えが起こることが予想され
る.そのため,時期特異的 Cr
eなどによって,低
頻度の組換えを誘導すると,マルチカラーのク
ローン解析を行うことが可能であると考えられ
る.また,MADM
(Mo
s
a
i
cAna
l
y
s
i
swi
t
hDo
ub
l
e
Ma
r
k
e
r
)システムを用いると Cr
e遺伝子を発現
する細胞系譜でモザイク解析を行うことができ
る25).
中枢神経系での細胞系譜解析
1.脊髄での Nkx2.
2細胞の系譜解析:ニュー
ロンやグリアの新たな起源
上述の神経系の細胞系譜解析法を用いて,最
近得られた結果について紹介したい.脊髄神経
管では底板と蓋板から分泌されるモルフォゲン
の濃度依存的に転写因子を発現し,神経前駆細
胞は背腹軸方向にドメイン構造を形成する26).
それぞれのドメインからは異なる神経細胞が産
み出され,神経細胞産生が終了した後におこる
グリア細胞産生時にもドメイン構造に依存して
様々なサブタイプのグリア細胞が産生されるこ
とが報告されている27)28).ミエリン形成細胞で
あるオリゴデンドロサイトの前駆細胞は,発生
初期に Ol
i
g
2転写因子を発現する pMNドメイ
ンにある神経前駆細胞群から発生することが知
られている(詳細は後述)
.Nkx
2.
2転写因子は,
pMNドメインの腹側に存在する p3ドメインの
神経前駆細胞のマーカーであるとともに,分化
途中のオリゴデンドロサイト系譜の細胞にも発
2
9)
.これまで
現することが知られている(図 4A)
にニワトリ胚では,Nkx
2.
2と未成熟なオリゴデ
ンドロサイトマーカーである O4とが脳室層の
細胞で共発現することが知られていた30)が,実
際に脳室層の Nkx
2.
2陽性前駆細胞がオリゴデン
志
ほか
ドロサイト系譜を産生するか否かは不明であっ
た.そこで,脳室層で Nkx
2.
2を発現する細胞
の細胞系譜を解析するために,新規の細胞系譜
解析法を開発した7).マウスレトロウイルスが
ニワトリ胚に感染しないことを利用し,nkx
2.
2
遺伝子特異的エンハンサー31)制御下にマウスレ
トロウイルスに対する受容体32)をもつベクター
を作製し,ニワトリ胚に電気穿孔法を用いて導
入した.24時間後に,マウスのレトロウイルス
を感染させレポーター分子で標識した.孵化直
前の孵卵 18日目の脊髄では,標識された細胞の
大部分は成熟したオリゴデンドロサイトであ
り,少数のアストロサイトも観察された(図 4
)
.
こういった観察から,p3ドメインの神経前駆細
胞は,pMNドメインとは異なる新たなオリゴデ
ンドロサイトの発生起源であることが示唆され
た.更に発生初期の神経細胞産生期の系譜解析
を行うと,Nkx
2.
2を発現する p3ドメインの細
胞はこれまで考えられていた脊髄介在ニューロ
ンの前駆細胞として働くのみならず,pMNドメ
イン由来であると考えられていた運動ニューロ
ンの別個の発生起源であることを見出した(図
33)
.このように,細胞系譜解析の結果,細胞
4A)
の新たな発生起源を明らかとすることで,細胞
による組織構築のメカニズムや発生起源が異な
ることによる分化細胞の機能的差異を解析する
ための手がかりとなると考えられる.
2.Ol
i
g2細胞の系譜解析:ニューロン―グリ
アスイッチと細胞系譜マーカーの発現様式
Ol
i
g
2は,オリゴデンドロサイト系譜に特異
的な b
HLH型転写因子として 3つのグループで
同時に同定・単離された.さらに同じグループ
から同時に遺伝子欠損マウスが報告され,Ol
i
g
2
はオリゴデンドロサイトと脊髄運動ニューロン
の分化に必須の分子であることが示された(総
説 34を参照)
.Ta
k
e
b
a
y
a
s
hi
らは Ol
i
g
2遺伝子座
に Cr
e
ER遺伝子をノックインしたマウスを作
l
o
xレポーターマウス
製した35).このマウスを f
と交配させ,任意の時期にタモキシフェンを投
与することにより,時期特異的に Ol
i
g
2細胞を
標識し,脳の様々な領域でその系譜の追跡や
Ol
i
g
2機能を調べた28)34‐38).
神経系の細胞系譜解析
367
図 4 発生期の腹側神経管における細胞系譜解析
上段はニワトリ胚におけるNkx
2.
2系譜解析の結果を,下段はマウス胚におけるOl
i
g
2系譜解析の
結果を模式図で示す.それぞれの転写因子を発現する神経前駆細胞から異なるサブタイプの細胞
が産生される.
胎生期の脊髄では脳室層腹側部の pMNドメ
インから Ol
i
g
2の発現が始まり,胎齢 11日目
(E11
)以前では運動ニューロンが,E12以降で
はオリゴデンドロサイトが主に生み出される
(図 4B)
.このように,同じ転写因子を発現して
いる前駆細胞でも,ニューロン‐グリア細胞の
運命スイッチが起こっていることが明らかにさ
れ た.ま た,脊 髄 の Ol
i
g
2発 現 細 胞 は 運 動
ニューロンとオリゴデンドロサイトの系譜細胞
に特異的であると考えられていたが,アストロ
サイトや上衣細胞にも分化することが示され
た28).
前脳領域では,Ol
i
g
2は線条体原基や腹側視
床,視床下部の脳室層に発現しており,タモキ
シフェンを様々な時期の妊娠母獣に投与するこ
とで,Ol
i
g
2発現細胞の細胞系譜が明らかにさ
れた36‐38).すなわち,E12およびそれ以前では,
終脳の Ol
i
g
2細胞は大脳皮質と線条体の GABA
ニューロンに,間脳のものは視床網様核などの
GABAニューロンと視床下部のグルタミン酸作
動性ニューロンに分化し,胎生の遅い時期にな
るとアストロサイトを中心としたグリア細胞に
分化するものが多くなる.しかし,Ol
i
g
2欠損
マウスでも GABAニューロンの分布に大きな
変化はなく,Ol
i
g
2を欠損した細胞も GABA
ニューロンに分化することが示され,前脳での
ニューロン分化における Ol
i
g
2の機能は未だ明
らかではない.興味深いことに,E9にタモキ
シフェンを投与して E14でレポーター分子を発
現する Ol
i
g
2系譜細胞を調べると,Ol
i
g
2を発現
している細胞はほとんど見られず,タモキシフェ
ン投与後 5日間でほとんど発現を終えているこ
とが明らかにされた.また,E13に投与した場
合でも,3日後に Ol
i
g
2の発現を持続している
Ol
i
g
2系譜細胞は 1/
3程度であった38).これらの
結果より,細胞系譜マーカーと呼ばれる分子
が,同一の細胞で終生発現持続しているものば
かりではないことが明らかになった.このよう
な系譜解析や遺伝子欠損マウス脳の解析から,
前脳領域における Ol
i
g
2機能が徐々に明らかに
後
368
藤
仁
なるものと予想される.
お
わ
り
に
Vo
g
tの生体染色に始まった細胞系譜解析は,
細胞の分子・遺伝子発現解析の時代を経て Cr
e
l
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能となってきた.また,電気穿孔法はマウス以
外の羊膜類でも細胞系譜解析を容易にした.
従って,特定の遺伝子を発現する細胞の分化様
式や機能を進化の視点をからも明らかにできる
ようになってきた.様々な動物種を用いた詳細
な細胞系譜解析は,個体発生のみならず系統発
生の視点からも新たな知見を提供してくれるも
のと考えられる.
開示すべき潜在的利益相反状態はない.
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著者プロフィール
後藤 仁志 Go
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所属・職:京都府立医科大学大学院医学研究科神経発生生物学・講師(学内)
略
歴:2002年 3月 神戸大学農学部生物機能化学科卒業
2007年 3月 大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻修了,理学博士
2007年 4月~ 2010年 自然科学研究機構生理学研究所研究員
2010年 4月~ 現職
2012年 9月~ 2013年 2月 Uni
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