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その2(PDF形式:61KB)

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その2(PDF形式:61KB)
第2章 地域経済再生への展望
第1節 景気回復にみられる地域差
(地域経済の現況)
・ 景気ウォッチャー調査では、2004 年5月時点で過半の地域で景況感が改善。
・ 生産は、輸出関連やデジタル家電関連の生産拠点のある地域で高い伸び。
(生産のばらつきの背景)
生産の地域間のばらつきは過去と比べてもやや大きい。これは以下の要因による。
① 今回の回復局面では電気機械や輸送用機械が好調だが、地域によって輸出依存度が異な
るため、生産増加に地域格差が発生。ちなみに、中部や中国の輸出依存度(需要項目別
の生産誘発度)は 16%、13%であり、北海道の2%とはかなり差がある。
② 他地域の需要増加の波及しやすさが地域によって異なる。生産の高い伸びがみられる東
北、中部、中国は、他地域との移出入が占める割合が大きい「交易型」経済。このため、
他地域の需要増→自地域の生産増→他地域にも波及という好循環がみられる。これに対
し、生産の回復が遅れている北海道は移入が大きく移出が少ない「移入型」経済。他地
域の需要増が波及しにくく、自地域の回復効果が外に漏れやすい。関東圏は移出・移入
とも少ない「域内交易型」で自己完結している。
第2−1−3図 生産の輸出依存度とIT依存度
︵
(1)輸出依存度が高いほど、鉱工業生産増加率は高い
20
︵
0
2
年
15
第
鉱
1
工
四
業 10
半
生
期
産
増
0
加 5
4
率
年
第
% 0
1
四
0
半
期
-5
近畿
東北
中部
↓
九州
北海道
、
中国
関東
︶
四国
5
10
15
20
︶
(輸出依存度(1995年)、%)
28
(厳しさが残る雇用情勢)
・ 失業率の地域間格差は傾向的に低下。ただし、失業率の水準は高い。
・ 長期的にみると、製造業や建設業がほとんどの地域で減少する中、第3次産業の雇用が
増加。地方圏では医療・福祉、大都市圏では情報・通信業の伸びが高い。
・ 雇用減少の大きい製造業、建設業の離職者の再就職先をみると、同一産業内が多い。円
滑な産業間の労働移動を促す政策が必要。
第2−1−9図 産業別有業者の増減
(%)
25
80年 代 末 か ら 90年 代 初 に は 、
ほとんどの業種で雇用が拡大
第3次
産業計
20
1987年 → 92年
(%)
10
90年 代 半 ば に 製 造 業 の 雇 用 は 減 少 に 転 じ る
第3次産業計
8
92年 → 97年
6
15
合計
4
合計
10
建設
業
2
5
0
製造業
0
建設業
その他
-2
その他
第1次
産業計
-4
第1次産業計
-5
製造業
-6
三大都市圏
(%)
8
地方圏
三大都市圏
地方圏
90年 代 末 以 降 、 建 設 業 の 雇 用 も
減少に転じる
第3次産業計
6
4
その他
2
第1次
産業計
0
-2
97年 → 02年
建設業
-4
-6
合計
-8
製造業
-10
-12
三大都市圏
地方圏
( 備 考 ) 1.総 務 省 「 就 業 構 造 基 本 調 査 」 よ り 作 成 。
2.地 域 区 分 は 、 付 注 2 − 1 の A で 、 関 東 、 東 海 、 近 畿 を 三 大 都 市 圏 、 そ れ 以 外 を 地 方 圏 と し て い る 。
第 2 − 1 − 12図 前 職 建 設 業 、 製 造 業 就 業 者 の 業 種 間 労 働 移 動 比 率
(前 職 建 設 業 、 製 造 業 の 転 職 者 が ど の 産 業 に 転 職 し た か を 示 す 割 合 )
70
卸売・小売業・飲食店、サービス業に転職する者が多い。
(% )
60
50
前職建設業
の転職者
40
前職製造業
の転職者
30
20
10
0
同一産業内
運輸・通信業
卸売・小売業 ・飲食店
サービス業
その他
転職後の産業
(備 考 ) 1.厚 生 労 働 省 「 雇 用 動 向 調 査 」 に よ り 作 成 。
2.「 そ の 他 」 は 、 鉱 業 、 電 気 ・ ガ ス ・ 熱 供 給 ・ 水 道 業 、 金 融 ・ 保 険 業 、 不 動 産 業 と 前 職 建 設 業 の 転 職 者
が製造業に転職するケースと前職製造業の転職者が建設業に転職するケースを含む。
29
第2節 地域間の経済格差とその要因
(地域間所得格差の要因分解)
・ 一人当たり県民所得でみた地域間経済格差は傾向的に縮小。しかし、最も所得の高い東
京と最も低い沖縄の所得格差は、2001 年で2倍程度と、無視し得ない大きさ。
・ 格差が何に起因するかを調べるために、各地域の一人当たり域内総支出を、①労働生産
性(域内総生産÷有業者数)
、②修正就業率(有業者数÷有業者・求職者)
、③修正労働
力率(有業者・求職者÷地域人口)に要因分解。
・ 計算の結果、①労働生産性格差の寄与度が最も大きい、②修正労働力率の低さは九州・
四国・北海道の一人当たり所得の低さの大きな要因、③修正就業率(1から失業率を引
いたもの)の寄与度は北陸(プラス)や近畿(マイナス)で比較的大きい、ということ
が分かった。
第2−2−2図 地域ブロック別一人当たり域内総生産(対数値)の全国平均との乖離と
その要因分析(2001年度)
0.30
0.20
一人当たり域内総生産(折線)
修正労働力率
0.10
修正就業率
0.00
労働生産性
-0.10
-0.20
九州
四国
中国
近畿
北陸
東海
関東
東北
北海道
-0.30
(備考)1.内閣府「県民経済計算」(平成13年度)、総務省「就業構造基本調査」(平成14年)により作成。
2.ln(実質GDP/人口) = ln(実質GDP/有業者数)
+ln(有業者数/有業者と求職中の無業者との合計)
+ln(有業者と求職中の無業者との合計/人口)
3.修正就業率は、有業者数を有業者と求職中の無業者との合計で除したものであり、就業率(就業者数を
15歳以上人口あるいは生産年齢人口で除したもの)とは定義が異なる。
4.修正労働力率は、有業者と求職中の無業者との合計を人口で除したものであり、労働力率(労働力人口を
15歳以上人口で除したもの)とは定義が異なる。
5.地域区分は付注2−1のFを用いている。
30
(地域間の労働生産性格差は産業特化と人的資本に依存)
・ 地域の生産性は、製造業、サービス業で働く人が多いほど高く、農林業、建設業の割合
が多いと低い。また、高等教育修了者の比率が高い地域ほど、生産性が高い。
(地域労働移動と失業率)
・ かつては、失業率の高い地域から低い地域に労働移動が生じ、失業率格差の縮小に貢献
していたが、最近では、地域間労働移動が大きく縮小。
(地域間経済格差の考え方)
・ このように、地域間の経済格差が生じる要因は、それぞれの地域で異なる。地域固有の
問題の解決には、地域のイニシアティブに基づいてそれぞれの処方箋で対応する必要。
第2−2−7図 都道府県別データに基づく労働移動と失業率の相関関係
( 1 ) 1990年 : 相 関 関 係 は 弱 い な が ら も 、 失 業 率 の 高 い 地 域 で 転 出 超 過 の 傾 向
(%)
8.0
失業率 高い
6.0
4.0
2.0
失業率 低い
相 関 係 数 : -0.303
0.0
-5.0
-3.0
-1.0
1.0
3.0
5.0
(%)
( 2 ) 2000年 : 労 働 移 動 と 失 業 率 と の 相 関 は ほ と ん ど み ら れ な い
失業率 高い
8.0
(%)
6.0
4.0
2.0
失業率 低い
相 関 係 数 : -0.109
0.0
-5.0
-3.0
-1.0
転出超
1.0
3.0
5.0
(%)
転入超
X 軸 : 転 入 超 過 率 ( 「 転 入 者 − 転 出 者 」 / 5 歳 以 上 人 口 × 100)
Y軸:失業率
( 備 考 ) 1 . 総 務 省 「 国 勢 調 査 」 ( 平 成 2 年 ・ 12年 ) に よ り 作 成 。
2.「5年前の常住地が他県の者」を転入者、
「5年前の常住地が当該県で現在は他県に常住している者」を転出者としている。
31
第3節 地域における構造改革
1 市区レベルの財政構造改革
(歳出、歳入面における財政再建の取組状況)
・ 地方の財政赤字は一時と比べてやや縮小。他方、経常収支比率(人件費など経常費に充
当された一般財源の割合)は 2002 年に過去最高の 90%となり、財政の硬直化が進む。
・ 全国市区の個別の財政データを分析すると以下のようなことがわかる。
①歳入面では、財政状況が苦しい団体ほど税収の減少が大きい
②歳出面では、財政状況にかかわりなく、一人当たり投資的経費や団体職員数を削減
③ただし、財政状況が著しく悪い団体では、投資的経費の削減幅が極端に大きい
第 2 − 3 − 3 図 市 区 の 財 政 状 況 と 税 収 ・投 資 的 経 費
( 1 ) 財 政 的 に 厳 し い 市 区 の 税 収 は 大 き く 減 少 ( 98年 と 02年 の 差 )
(万円)
3
一人あたり地方税増減額
2
一
人
1
あ
た
り 0
地
方 -1
税
増
-2
減
額
-3
-4
-69
70-74
75-79
80-84
85-89
90-94
経常収支比率
( 2002年 時 点 )
財政は良好
95-99
100-104
105-
財政は余裕がない
( 2 ) 財 政 的 に 困 難 な 市 区 は 投 資 的 経 費 を 大 幅 に 削 減 ( 98年 と 02年 の 差 )
(人)
0
(万円)
0
一
人 2
あ
た
り 4
投
資
削的 6
減経
額費
一
万
人
あ
8 た
り
12 職
員
削
16 減
数
4
一人あたり投資的経費削減額
8
一 万 人 あ た り 職 員 削 減 数 (目 盛 右 )
10
20
-69
70-74
財政は良好
75-79
80-84
85-89
90-94
経常収支比率
( 2002年 時 点 )
95-99
100-104
105-
財政は余裕がない
(備 考 ) 1 . 総 務 省 自 治 財 政 局 「 市 町 村 別 決 算 状 況 調 」 、 「 住 民 基 本 台 帳 人 口 要 覧 」 に よ り 作 成 。
2 . 対 象 は 、 全 国 641市 及 び 東 京 23区 。
32
(回帰分析による財政状況の要因分解)
1998 年から 2002 年にかけての全国市区の財政状況(経常収支比率)の変化について、ど
のような要因が貢献したかを回帰分析した結果、以下のようなことがわかった。
① 職員数の増加、地方税収の減少、公債費比率の上昇、高齢化の進展による社会保障費の
増加が財政硬直化に寄与
② 投資的経費の削減は財政の硬直化を防ぐのに十分でない
こうしたことから、財政の硬直化を避けるためには、投資的経費の削減だけでなく、経常
的な歳出項目の抑制にも取り組む必要がある。
第2−3−4表 市区の財政状況とその要因
被説明変数:財政硬直度(経常収支比率)の変化(2002 年度−1998 年度)
説明変数:
ケース1
ケース2
ケース3
職員数の増減
18.133**
18.783**
17.590**
:職員数が増加すると財政は悪化
(6.901)
(7.220)
(6.675)
地方税収の増減
-0.537**
-0.536**
-0.551**
:税収が減少すると財政は悪化
(-4.100)
(-4.144)
(-4.271)
公債費比率の増減
0.481**
0.381**
0.381**
:公債費比率が上昇すると財政は悪化
(7.503)
(5.600)
(5.621)
投資的経費の増減
-0.183**
-0.197**
:投資が減少しても財政は悪化
(-4.087)
(-4.378)
社会保障費(高齢化関連)の増減
0.441**
:社会保障費が増加すると財政は悪化
(2.491)
(備考)
1.総務省自治財政局「市町村別決算状況調」
、
「住民基本台帳人口要覧」により作成。
2.対象は全国 641 市及び東京 23 区。
3.OLSにより推計。
()はt値、**は5%有意を示す。
4.社会保障費には、高齢化に関する指標として老人福祉費を用いた。
33
3 構造改革特区と地域の活性化
(特区と地方公共団体の活性化)
・ 特区の認定を受けた市区の特徴は、①財政状況に比較的余裕のある団体が多い、②日経
研究所指標でみた行政の透明性、効率性、住民参加度、利便性の向上のための取組に積
極的な団体が多い。
・ ただし、第1回から第3回までの認定では上記のような改革に熱心な団体が多いが、第
4回認定分については、改革に慎重だった団体の特区認定も増加してきている。
第 2− 3− 8図 経 常 収 支 比 率 と特 区
特区は財政状態が比較的良好な団体に多い
40%
サ
ン
プ 30%
ル
に
占 20%
め
る
割 10%
合
サンプル全体
構造改革特区
0%
-69
70-74
75-79
80-84
85-89
90-94
95-99
経常収支比率
( 2002年 時 点 )
財政は良好
100104
105-
財政は余裕がない
(備 考 ) 1 . 総 務 省 自 治 財 政 局 「 市 町 村 別 決 算 状 況 調 」 、 「 住 民 基 本 台 帳 人 口 要 覧 」 に よ り 作 成 。
2 . 対 象 は 、 全 国 641市 及 び 東 京 23区 。
3 . 構 造 改 革 特 区 は 、 2004年 3月 認 定 分 ま で の 合 計 。 特 区 認 定 団 体 は 、 市 区 の み を 対 象 ( 220団 体 ) 。
第 2− 3− 9図
特 区 認 定 と日 経 研 究 所 指 標
特区は行政の透明性、効率性、住民参加度、利便性などを示す日経研究所指標が高い団体に多い
25%
サンプル全体
サ 20%
ン
プ
ル 15%
に
占
め 10%
る
割
合 5%
構造改革特区
0%
-35
35-39
(備 考 ) 1
2
3
4
5
.
「
.
.
.
し
.
総
全
対
日
日
た
構
務
国
象
経
経
も
造
省
市
は
研
研
の
改
40-44
45-49
50-54
55-59
日経研究所指標
低い
自
区
、
究
究
。
革
治
の
全
所
所
財
行
国
指
指
政局「市町村別決算状
政 比 較 」 2002年 度 調 査
641市 及 び 東 京 23区 。
標は、日経産業消費研
標は、行政の透明度、
60-64
65-69
70-74
75-
高い
況調」、「住民基本台帳人口要覧」、日経産業消費研究所
により作成。
究所「全国市区の行政比較」より引用。
効率性、住民参加度、利便度などの項目ごとの評価を総合
特 区 は 、 2004年 3月 認 定 分 ま で の 合 計 。 特 区 認 定 団 体 は 、 市 区 の み を 対 象 ( 220団 体 ) 。
34
4 観光など地域の特性を活かした地域活性化
(モデルによる訪日旅行客数の推計)
・ 日本を訪れる旅行客は年間 500 万人強だが、
世界的には 33 位と、
国の規模の割に少ない。
・ 各国の旅行客数が、それぞれの人口、経済規模、旅行距離によって決まるというモデル
を推計すると、日本を実際に訪れる旅行客数はモデルの推計値を下回っている。
・ 同じモデルで国別の日本への旅行客数を推計すると、韓国、中国は実績が推計値を下回
る一方、台湾は実績が推計値を上回る。ただし、韓国、中国からの旅行客数の伸びは最
近高まっている。
第 2 − 3 − 11図 グ ラ ビ テ ィ ・ モ デ ル に よ る 旅 行 客 数 推 計
日本への旅行客数の実績値はモデルのよる推計値より低い
(1)各 国 に お け る 外 国 人 旅 行 客 受 入 数 の 推 計 値 と 実 績 値 の 乖 離
(万 人 )
2,500
2,000
1,500
1,000
実績値大
500
0
日本
中国
台湾
香港
ス
ト
ラ
リ
ア
韓国
マレーシア
フランス
ドイツ
タイ
オ
カナダ
ー
イギリス
アメリカ
-500
(目 的 国 )
(2)日 本 を 目 的 国 と す る 出 発 国 別 旅 行 客 数 推 計
(万 人 )
150
実数値
推計旅行客数
100
50
中国
台湾
香港
35
韓国
マレーシ
ア
フランス
ドイツ
ス
ト
ラ
リ
ア
タイ
オ
カナダ
ー
イギリス
アメリカ
0
(出 発 国 )
実績値小
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