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財務諸表の表示モデルに関する IASBスタッフ・ドラフト

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財務諸表の表示モデルに関する IASBスタッフ・ドラフト
IFRS
IFRS実務講座
財務諸表の表示モデルに関する
IASBスタッフ・ドラフト
公認会計士 原 寛
当て、財務諸表全体にわたって同一取引を首尾
れることにあります。類似の経済的特徴を有し
一貫して表示することをいいます。例えば、ド
ない取引は、それぞれの性質、機能、測定基礎
ラフトEDでは、支払利息関連残高は財務諸表
に基づき、別個の表示項目とされる必要があり
全体にわたり首尾一貫して、財務セクションの
ます。
債務カテゴリーに表示されることになります。
2. 財務諸表の分類モデル
(2)分解
ドラフトEDは、財政状態計算書、包括利益
分解の目的は、企業の活動やキャッシュ・フ
計算書、キャッシュ・フロー計算書に関して、
ローが明確になり、資産または負債間の関係
報告企業が財務情報を分類するための、共通の
と、その変動の影響が財務諸表に首尾一貫して
セクションとカテゴリーを提供しています。こ
反映されることで、十分に詳細な情報が提供さ
れらの各計算書は、<表1>に示すセクション
▶表1 セクションとカテゴリーに含まれる項目
事業セクション
営業カテゴリー
報告企業の純資源の相互関連的な利用を要求するプロセスを通じて、収益を生じさせる項目および取引
(例:収益、売掛金、顧客から受領した現金、棚卸資産、有形固定資産)
営業財務サブカテゴリー
主として営業機能を有し、副次的に資金調達機能を有するが、それらが密接に関連する負債
(例:年金費用、年金債務と退職者への現金支払額、リース、資産除去債務)
Ⅰ はじめに
国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計
Ⅱ ドラフトEDの概要
1. 基本原則
基準審議会(FASB)は、新たな財務諸表の表
基本財務諸表は、企業の事業活動(価値を創
示に関する基準書について、公開草案のスタッ
造する方法)および、それとは区別される企業
フ・ドラフト(以下、ドラフトED)を、それ
の財務活動(事業活動に必要な資金を調達する
ぞれのウェブサイト上で公表しました。ドラ
方法)と首尾一貫するかたちで構成されます。
フトEDは、新たな基準書を開発するに当たり、
事業活動は、さらに営業活動と投資活動に区分
両審議会がこれまでに行った暫定的な意思決定
されます。財務活動は、現行の負債と資本の定
を反映したものです。
義に基づいて、債務と資本のカテゴリーに区分
両審議会は、新たな基準書の最終的な公開草
されます。さらに、個別のセクションとして、
案を確定して公表する前に、ドラフトEDの提
法人所得税、非継続事業、複数カテゴリー取引
案内容によって生じると予想される便益と費用
が表示されます。
や、金融サービス業に従事する企業への影響を
ドラフトEDは二つの基本原則、すなわち一
検討する予定です。国際会計基準(IFRS)に
体性と分解に基づいています。両審議会は、こ
おいて、新たな基準書の公開草案は2011年の
れら二つの原則が一体となって、報告企業の財
早い段階での公表、最終的な基準書は11年第4
務情報の理解可能性が向上すると考えています。
四半期(10∼12月)での公表を予定しています。
一般的に利息、ロイヤルティー、配当のかたちで、報告企業にリターンを生じさせる項目および取引。
報告企業において、投資資産の相互利用による重要なシナジーは生じない
(例:関連会社の利益に対する持分、受取利息および配当金、負債性証券または資本性証券への投資)
財務セクション
債務カテゴリー
資金を調達する(または返済する)目的で締結した借入契約。ただし、報告企業自身の資本に関係する
取引から生じる資産および負債(未払配当金など)を含む (例:利息費用、借入金、借入金元本、利息の支払額)
資本カテゴリー
IFRSで資本と定義される項目
法人所得税セクション
当期および繰延税金項目、当該取引
非継続事業セクション
IFRSに基づき決定される非継続事業に関連する資産および負債、その変動ならびに関連キャッシュ・フロー
複数カテゴリー取引セクション
包括利益計算書、キャッシュ・フロー計算書の複数のセクションやカテゴリーに影響を及ぼす取得または処
(1)一体性
一体性とは、財務諸表項目間の関係に焦点を
4
投資カテゴリー
分取引の影響
(例:事業の取得または処分)
5
IFRS
IFRS実務講座
財務諸表の表示モデルに関する
IASBスタッフ・ドラフト
公認会計士 原 寛
当て、財務諸表全体にわたって同一取引を首尾
れることにあります。類似の経済的特徴を有し
一貫して表示することをいいます。例えば、ド
ない取引は、それぞれの性質、機能、測定基礎
ラフトEDでは、支払利息関連残高は財務諸表
に基づき、別個の表示項目とされる必要があり
全体にわたり首尾一貫して、財務セクションの
ます。
債務カテゴリーに表示されることになります。
2. 財務諸表の分類モデル
(2)分解
ドラフトEDは、財政状態計算書、包括利益
分解の目的は、企業の活動やキャッシュ・フ
計算書、キャッシュ・フロー計算書に関して、
ローが明確になり、資産または負債間の関係
報告企業が財務情報を分類するための、共通の
と、その変動の影響が財務諸表に首尾一貫して
セクションとカテゴリーを提供しています。こ
反映されることで、十分に詳細な情報が提供さ
れらの各計算書は、<表1>に示すセクション
▶表1 セクションとカテゴリーに含まれる項目
事業セクション
営業カテゴリー
報告企業の純資源の相互関連的な利用を要求するプロセスを通じて、収益を生じさせる項目および取引
(例:収益、売掛金、顧客から受領した現金、棚卸資産、有形固定資産)
営業財務サブカテゴリー
主として営業機能を有し、副次的に資金調達機能を有するが、それらが密接に関連する負債
(例:年金費用、年金債務と退職者への現金支払額、リース、資産除去債務)
Ⅰ はじめに
国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計
Ⅱ ドラフトEDの概要
1. 基本原則
基準審議会(FASB)は、新たな財務諸表の表
基本財務諸表は、企業の事業活動(価値を創
示に関する基準書について、公開草案のスタッ
造する方法)および、それとは区別される企業
フ・ドラフト(以下、ドラフトED)を、それ
の財務活動(事業活動に必要な資金を調達する
ぞれのウェブサイト上で公表しました。ドラ
方法)と首尾一貫するかたちで構成されます。
フトEDは、新たな基準書を開発するに当たり、
事業活動は、さらに営業活動と投資活動に区分
両審議会がこれまでに行った暫定的な意思決定
されます。財務活動は、現行の負債と資本の定
を反映したものです。
義に基づいて、債務と資本のカテゴリーに区分
両審議会は、新たな基準書の最終的な公開草
されます。さらに、個別のセクションとして、
案を確定して公表する前に、ドラフトEDの提
法人所得税、非継続事業、複数カテゴリー取引
案内容によって生じると予想される便益と費用
が表示されます。
や、金融サービス業に従事する企業への影響を
ドラフトEDは二つの基本原則、すなわち一
検討する予定です。国際会計基準(IFRS)に
体性と分解に基づいています。両審議会は、こ
おいて、新たな基準書の公開草案は2011年の
れら二つの原則が一体となって、報告企業の財
早い段階での公表、最終的な基準書は11年第4
務情報の理解可能性が向上すると考えています。
四半期(10∼12月)での公表を予定しています。
一般的に利息、ロイヤルティー、配当のかたちで、報告企業にリターンを生じさせる項目および取引。
報告企業において、投資資産の相互利用による重要なシナジーは生じない
(例:関連会社の利益に対する持分、受取利息および配当金、負債性証券または資本性証券への投資)
財務セクション
債務カテゴリー
資金を調達する(または返済する)目的で締結した借入契約。ただし、報告企業自身の資本に関係する
取引から生じる資産および負債(未払配当金など)を含む (例:利息費用、借入金、借入金元本、利息の支払額)
資本カテゴリー
IFRSで資本と定義される項目
法人所得税セクション
当期および繰延税金項目、当該取引
非継続事業セクション
IFRSに基づき決定される非継続事業に関連する資産および負債、その変動ならびに関連キャッシュ・フロー
複数カテゴリー取引セクション
包括利益計算書、キャッシュ・フロー計算書の複数のセクションやカテゴリーに影響を及ぼす取得または処
(1)一体性
一体性とは、財務諸表項目間の関係に焦点を
4
投資カテゴリー
分取引の影響
(例:事業の取得または処分)
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IFRS
IFRS実務講座
とカテゴリー(小計を含む)を有します。
企業は、自己の活動にどのように関係してい
企業は通常、包括利益計算書の本体において、
機能別(製品収益、サービス収益、売上原価、
現行の一般開示規定は、ドラフトEDにより
有形固定資産の売却に係る実現利得・損失
引当金の見積手法の変更
るかに基づき、財務諸表全体にわたり一体性の
販売費など)に収益と費用を分解します。ドラ
変更されません。しかし、再測定と、資産およ
ある方法で、財務諸表項目を適切なセクション
フトEDによれば、企業は財務諸表の本体か注
び負債の変動分析に関して、重要な開示が新た
とカテゴリーに分類します。報告セグメントを
記のいずれかにおいて、分解によって意味のあ
に提案されています。
複数有する企業は、各セグメントレベルで財務
る情報が提供される場合には、機能別にグルー
諸表項目の機能を反映する方法によって分類を
ピングされた収益および費用について、さらに
行います。企業は、財務諸表のセクション、カ
性質別に分解を行わなければなりません。例え
テゴリー、サブカテゴリーにおける表示項目の
ば、売上原価は材料費、労務費、燃料費、輸送
再測定に関する開示を求める規定を含めること
要求する規定が含まれています。当該調整表で
分類根拠を開示することが要求されます。
費などに分解します。
としました。再測定は、以下に示す、いずれか
は、以下の各項目から生じる変動の影響を個別
その他包括利益に含まれる表示項目(連結
の項目の変動(または実現)を原因とした、資
に表示した上で、資産または負債の期首残高と
子会社または比例連結されるジョイントベン
産または負債の正味帳簿価額の変動による影響
期末残高のロールフォワード(調整)が要求さ
チャーに関する為替換算差額は除く)は、営業
を反映して、包括利益に認識される金額と定義
れます。
前記で説明したセクションやカテゴリーに基づ
活動、投資活動、財務活動、非継続事業のどれ
されています。
き分類されることで、財政状態計算書の構成お
に関連するものかが示されます。また、その他
よび様式は大きく変更されることになります。
包括利益は、事後的に当期純損益に組替調整さ
しかし、新しいセクションやカテゴリーごとに
れる項目と、調整が禁止される項目とにグルー
要求される小計に加えて、資産・負債合計、短
ピングすることが要求されます。さらに、実際
期・長期資産・負債合計など、財政状態計算書
の組替調整額は、その他包括利益の項目別に区
で現在、要求されている一定の小計は引き続き
分して表示されます。
3. 財政状態計算書の変更
資産、負債、資本の現行の表示方法ではなく、
表示されます。ドラフトEDでは、この長短分類
において12カ月より長い営業循環期間を考慮す
5. キャッシュ・フロー計算書の変更
(2)資産および負債の変動分析
ドラフトEDには、報告企業の財政状態を理
(1)再測定
両審議会は、単一の財務諸表の注記として、
解する上で、経営者が最も重要であると考える
資産および負債の変動に関する、分析の開示を
キャッシュ・インフローおよびキャッシュ・
現在価格または価値
アウトフロー
現在価格または価値の見積り
経常的かつ日常的に生じる非現金取引(信用
資産または負債の帳簿価額の測定に使用され
販売、利息の未払計上など)
る見積りや手法
経常的にも日常的にも生じない非現金取引
再測定の例として、次の項目が含まれます。
(企業結合など)
会計上の配分(減価償却費など)
公正価値の変動
評価減または減損損失(貸倒引当金など)
資産の減損
再測定(公正価値の変動または為替換算など)
ることは、もはや認められません。すなわち、資
提案された現行実務からの最も重要な変更の
産または負債は、契約上の満期日または実現・
一つは、直接法によるキャッシュ・フロー計算
決済予想日のいずれか早いほうが報告日から1年
書の作成を要求する規定です。直接法では、財
以内である場合には短期に分類され、それ以外
政状態計算書の関連する資産、負債、資本項目
本稿は「IFRS outlook」増刊号 第78号「財務諸表の表示モデルに関するIASBスタッフ・ドラフト」
は長期に分類されます。
および、包括利益計算書の関連する収益または
の概要を抜粋したものです。より詳細な情報については、当法人のウェブサイトでご確認ください。
企業は、各セクションやカテゴリー内で、短
費用項目と同じセクションやカテゴリーに分類
期と長期による分類ではなく、流動性の順序で
した上で、現金の受領額と支払額を総額で表示
表示したほうが、より有用な情報を提供する場
する必要があります。両審議会は、直接法によ
合(金融機関など)には、財政状態計算書を流
るキャッシュ・フロー計算書のほうが、将来
動性の順序で表示することができます。
キャッシュ・フローの金額、時期および不確実
4. 包括利益計算書の変更
性を財務諸表利用者が評価する上で、より有用
な情報を提供すると考えています。
両審議会は、2計算書方式を廃止し、当期純損
企業はまた、キャッシュ・フロー計算書の不
益と、その他包括利益の二つの区分を含む、一
可分な一部(すなわち注記ではなく財務諸表
つの包括利益計算書の表示を要求する提案をす
本体の一部)として、ドラフトEDで定義され
でに別途、行っています。当該提案の内容につ
る営業カテゴリーに基づき、営業利益と営業
いても、ドラフトEDに反映されています。企業
キャッシュ・フローの調整表も表示する必要が
は引き続き、包括利益合計とは区別して当期純
あります。
損益を表示し、それが1株当たり利益の計算基
礎とされます。
6
6. 財務諸表の注記
IFRS国際会計の実務 International GAAP(日本語版)
A5判/上:1,225ページ、中:1,127ページ、下:984ページ レクシスネクシス・ジャパン
価格 上:12,600円、中:12,600円、下:11,550円(税込み)
本書は、国際会計基準審議会(IASB)や米国財務会計基準審議会(FASB)のスタッ
フも利用している、アーンスト・アンド・ヤングによる本格的専門書の最新日本語版で
あり、連結から有形固定資産、収益認識、初度適用まで幅広い項目を収録しています。
規定やその背景にある理論のみならず、実務上の論点やその対応、実際の企業の
開示例、今後の動向に至るまで詳細に解説しています。わが国でも国際会計基準
(IFRS)導入に向けた取り組みが進む中、財務諸表作成者や職業会計人など、すべ
ての方に必携の実務書です。
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IFRS
IFRS実務講座
とカテゴリー(小計を含む)を有します。
企業は、自己の活動にどのように関係してい
企業は通常、包括利益計算書の本体において、
機能別(製品収益、サービス収益、売上原価、
現行の一般開示規定は、ドラフトEDにより
有形固定資産の売却に係る実現利得・損失
引当金の見積手法の変更
るかに基づき、財務諸表全体にわたり一体性の
販売費など)に収益と費用を分解します。ドラ
変更されません。しかし、再測定と、資産およ
ある方法で、財務諸表項目を適切なセクション
フトEDによれば、企業は財務諸表の本体か注
び負債の変動分析に関して、重要な開示が新た
とカテゴリーに分類します。報告セグメントを
記のいずれかにおいて、分解によって意味のあ
に提案されています。
複数有する企業は、各セグメントレベルで財務
る情報が提供される場合には、機能別にグルー
諸表項目の機能を反映する方法によって分類を
ピングされた収益および費用について、さらに
行います。企業は、財務諸表のセクション、カ
性質別に分解を行わなければなりません。例え
テゴリー、サブカテゴリーにおける表示項目の
ば、売上原価は材料費、労務費、燃料費、輸送
再測定に関する開示を求める規定を含めること
要求する規定が含まれています。当該調整表で
分類根拠を開示することが要求されます。
費などに分解します。
としました。再測定は、以下に示す、いずれか
は、以下の各項目から生じる変動の影響を個別
その他包括利益に含まれる表示項目(連結
の項目の変動(または実現)を原因とした、資
に表示した上で、資産または負債の期首残高と
子会社または比例連結されるジョイントベン
産または負債の正味帳簿価額の変動による影響
期末残高のロールフォワード(調整)が要求さ
チャーに関する為替換算差額は除く)は、営業
を反映して、包括利益に認識される金額と定義
れます。
前記で説明したセクションやカテゴリーに基づ
活動、投資活動、財務活動、非継続事業のどれ
されています。
き分類されることで、財政状態計算書の構成お
に関連するものかが示されます。また、その他
よび様式は大きく変更されることになります。
包括利益は、事後的に当期純損益に組替調整さ
しかし、新しいセクションやカテゴリーごとに
れる項目と、調整が禁止される項目とにグルー
要求される小計に加えて、資産・負債合計、短
ピングすることが要求されます。さらに、実際
期・長期資産・負債合計など、財政状態計算書
の組替調整額は、その他包括利益の項目別に区
で現在、要求されている一定の小計は引き続き
分して表示されます。
3. 財政状態計算書の変更
資産、負債、資本の現行の表示方法ではなく、
表示されます。ドラフトEDでは、この長短分類
において12カ月より長い営業循環期間を考慮す
5. キャッシュ・フロー計算書の変更
(2)資産および負債の変動分析
ドラフトEDには、報告企業の財政状態を理
(1)再測定
両審議会は、単一の財務諸表の注記として、
解する上で、経営者が最も重要であると考える
資産および負債の変動に関する、分析の開示を
キャッシュ・インフローおよびキャッシュ・
現在価格または価値
アウトフロー
現在価格または価値の見積り
経常的かつ日常的に生じる非現金取引(信用
資産または負債の帳簿価額の測定に使用され
販売、利息の未払計上など)
る見積りや手法
経常的にも日常的にも生じない非現金取引
再測定の例として、次の項目が含まれます。
(企業結合など)
会計上の配分(減価償却費など)
公正価値の変動
評価減または減損損失(貸倒引当金など)
資産の減損
再測定(公正価値の変動または為替換算など)
ることは、もはや認められません。すなわち、資
提案された現行実務からの最も重要な変更の
産または負債は、契約上の満期日または実現・
一つは、直接法によるキャッシュ・フロー計算
決済予想日のいずれか早いほうが報告日から1年
書の作成を要求する規定です。直接法では、財
以内である場合には短期に分類され、それ以外
政状態計算書の関連する資産、負債、資本項目
本稿は「IFRS outlook」増刊号 第78号「財務諸表の表示モデルに関するIASBスタッフ・ドラフト」
は長期に分類されます。
および、包括利益計算書の関連する収益または
の概要を抜粋したものです。より詳細な情報については、当法人のウェブサイトでご確認ください。
企業は、各セクションやカテゴリー内で、短
費用項目と同じセクションやカテゴリーに分類
期と長期による分類ではなく、流動性の順序で
した上で、現金の受領額と支払額を総額で表示
表示したほうが、より有用な情報を提供する場
する必要があります。両審議会は、直接法によ
合(金融機関など)には、財政状態計算書を流
るキャッシュ・フロー計算書のほうが、将来
動性の順序で表示することができます。
キャッシュ・フローの金額、時期および不確実
4. 包括利益計算書の変更
性を財務諸表利用者が評価する上で、より有用
な情報を提供すると考えています。
両審議会は、2計算書方式を廃止し、当期純損
企業はまた、キャッシュ・フロー計算書の不
益と、その他包括利益の二つの区分を含む、一
可分な一部(すなわち注記ではなく財務諸表
つの包括利益計算書の表示を要求する提案をす
本体の一部)として、ドラフトEDで定義され
でに別途、行っています。当該提案の内容につ
る営業カテゴリーに基づき、営業利益と営業
いても、ドラフトEDに反映されています。企業
キャッシュ・フローの調整表も表示する必要が
は引き続き、包括利益合計とは区別して当期純
あります。
損益を表示し、それが1株当たり利益の計算基
礎とされます。
6
6. 財務諸表の注記
IFRS国際会計の実務 International GAAP(日本語版)
A5判/上:1,225ページ、中:1,127ページ、下:984ページ レクシスネクシス・ジャパン
価格 上:12,600円、中:12,600円、下:11,550円(税込み)
本書は、国際会計基準審議会(IASB)や米国財務会計基準審議会(FASB)のスタッ
フも利用している、アーンスト・アンド・ヤングによる本格的専門書の最新日本語版で
あり、連結から有形固定資産、収益認識、初度適用まで幅広い項目を収録しています。
規定やその背景にある理論のみならず、実務上の論点やその対応、実際の企業の
開示例、今後の動向に至るまで詳細に解説しています。わが国でも国際会計基準
(IFRS)導入に向けた取り組みが進む中、財務諸表作成者や職業会計人など、すべ
ての方に必携の実務書です。
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