...

γ 置 - 東京大学学術機関リポジトリ

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

γ 置 - 東京大学学術機関リポジトリ
 集
8
7
究
特研
解
50巻 1号
(1998.1)
生
産
研
究
17
説
人体皮膚全 熱放熱特性 に関す る CFD・ 放射 ・湿気輸送連成解析
数値サ ーマルマ ネキ ンの 開発
Coupled Simulation of CD,Radiation and Moisturc rrransport for Sensible and]Latent Hcat Loss from Human]Body
Study of Computational Therlnal NIlanikin
曽
潔
*・
加
藤
信´ 介
*・
村
Jic ZENG,Shinsuke KATO and Shuzo Ⅳ
上
周
三
**
IURAKAMI
数値サー マルマネキ ン開発 の一環 として人体皮膚表面か らの全熱放熱特性 に関す るCFD・ 放射 ・
湿気輸送の連成解析法 を開発する.す なわち,室 内の人体 と室内壁及び空気 との間の顕熱 ,潜 熱輸送
に関する対流 ・放射 ・湿気輸送連成 シミュレー ションに1人 体熱放散 に関する温熱生理 モデル を組み
合わせて複雑形状 を有する人体表面から室内環境に対す る全熱 すなわち顕熱 ・潜熱両者の伝達特性 を
詳細 に検討する.気 流場 ・温度場 。湿気場 の解析 は低 Re数 型 k―
εモデル を用いた 3次元 CFDに より
行 う.放 射解析で はモンテカルロ法により形態係数 を求めl Gebha■の吸収係数 を用いて壁面間の放
射熱伝達量 を算 出す る。 人体熱放散 モデルに関 しては,Fangerの モデル及び Gaggeら の 2 Node
Modelを組 み込んで検討 を行 っている.解 析結果 は実際 の人体 の熱放出特性 を良 く再現す るもの と考
えられる.
1.序
象 として,人 体全体 に対応す る生理反応 モデルと して簡潔
モデル文め
で温熱環境評価分野に広 く使 われているFangerの
4,Dを
数値 シ ミュ レー シ ョンによ り仮想 的 に実現 され る室 内 の
温 熱環境 空 間 で ,人 体 の温熱感覚 を再 現 す る数値 サ ーマ ル
及 び Gaggeら の 2 Node Model(2NM)文
マ ネキ ンを開発す る。 この研 究 の一 環 と して人体皮膚 表面
か らの全 熱 (顕熱 及 び潜 熱 )の 放 散性 状 を cFD・ 放射 。
析 を行 い ,人 体 の 全 熱 放 散 特 性 を詳細 に検 討 す る。
湿気輸送連成解析 に よ り検討す る。人体 の温熱感覚 は人体
生 理 発 熱 が如何 に周 囲環境 へ 放 散 され るか に直接 関係 す
る。従 って ,人 体 の熱快適性状 を検討す るには人体 の放熱
性状 ,特 に人体表面 にお け る局部 の放 熱性状 を詳 しく解 明
文1)。
す る こ とが 大切 で あ る
人体 内部 生 理発 熱 は人体 表面
び
及 呼吸器官 を経 由 して対流 ・放射 ,水 分 の蒸発 に よ り周
用 い て 人体
・
表 面 か ら熱 移 動 に関 す る CFD・ 放 射 湿 気 の 輸 送 連 成 解
2.解
析
概
要
2.1 解 析対 象
図 1に 示す室内空間における人体 の 1体 か らの熱放散 を
解析対象 とす る。室内空調 は Displacemcnt ventilation空
調
C,0.12m/s,57.O m3/h)に なされて
方式 (吹出気流 22・
お り,比 較的静穏 である.室 の各壁面 は断熱 ・断湿 されて
囲環境 に放 熱 され る。 これ らの各熱放散経路 は人体 の温熱
環境 に対応 す る体温調節反応 や人体表面 にお け る熱 バ ラ ン
ス を介 して 強 く連成 して い る文0。 す なわ ち人体 の 全放 熱
特性 を検 討 す る には ,人 体 温 熱 生 理 モ デ ル を含 んだ対 流
場 。放射場 。湿気場 の連成解析 が必 要 となる。一 般 に詳細
な対 流 放熱解析 は cFD(Computadonal Fluid Dynamics:,数
値流体力学 )に よる必 要があ り,そ の形状 の複雑 さや関連
す る物理現象 が多 い こ とか ら,現 在 まで 人体 か らの放熱性
状を対流熱伝達解析 を含め詳細 に解析 した例は筆者 らの知
る限 り殆 どない。本研究では,複 雑形状の人体モデルを対
東京大学生産技術研究所
**東
京大学生産技術研究所
第 5部
附属計測技術 開発 セ ン ター
I
RHtr
0 1x 3 0 m
s i z e : 0 . 4 4(m
風速 :012m/m/s
温度 :22℃
84m。/s
風量 :0.01584
絶対湿度 :9.5
儀
γ
-
蓄
置
ノ
境界条件
一slip
壁 :n。
(速度 ・湿度)
:熱平衡式 (温度)
吹出口 :dirich:et
s ‖p
吸込口 :free―
流体解析メッシュ :
163008
人体及び壁面近傍
の流体メッシュの
壁からの距離 y+
は5以下を満たす。
放射解析メッシュ :
2232
H=1 651m
札= 1 6 9 8 〆
図 1 解 析対 象
50巻 1号
生
(1998.1)
こよ り Eskを 算 出 す る 。 (3)式で mskが 得 られ る。 こ れ を
10 3Pa口
)を 決める。これを対流 ・放射
度 (36.1+0.166×
の境界条件 とする。
研
究
1量既 知 (M及 び Qs一 :
初 期値 (Tミ
k等 )を 設 定
初期値 (代謝量 M等 )を 設定
場解析時の人体皮膚表面における境界条件 とする。一方、
皮膚表面における対流 ・放射 ・潜熱の熱バ ランスを考慮 し
られる(1)式において、室内水蒸気圧 P.研の値に対応する体
産
、
k既 知 と して 、 (B9)、 (Bll)式 の 繰 り返 し計 算 に よ っ て 、 ■
と mЫ を算 出 す る 」 この結 果 を使 って 、 (B14)式 で人 体 の
不感蒸せつ発汗 と合わせて発汗量 m .
調節発汗が求 められる。
を( B 2 0 ) 式
で求める。 これを湿気場解析時の人体皮膚表面 に
おける境界条件 とする。一方、(B10)から顕熱発熱量 が分
る。 これを対流 ・放射連成解析の境界条件 とする。
。 これにより、
・湿気場連成解析為 の壁面温度境界条
:こ れにより、
・湿気場連成解析為 の壁面温度境界条
与える。
計 算繰 返 ‐
>30∼ 40
返数 MST>3∼
数 M S ¶P > 3 ∼4
4
湿気場が得 られる。また(B7
しい気流場 ・
温度場 ・
放射場 ・
に よ る新 た な代 謝量 MIJ(=Qmn+1)を求 め る 。
新 しい気 流 場 ・放 射 場 ・温 度 場 ・湿 気 場 が 得 られ る 。
(新 た な T、
kが 算 出 され る)
収東 条件
n+llく
δ
lTskn―
Ts、
収東条 件
lMn_Mn十1k δ
( a ) C a S e l ( F a l l gモデル
e r の を用 い た場 合 )
(b)CaSe 2(2NMを
用 い た場合 )
ー
ー
図 2 人 体温熱 モデ ル を組 み込 ん だ対流 ・放射 ・湿気連成解析 の フロ チ ャ ト
い る。人体 モ デ ル は図 1に 示す よ うに,実 人体形状 を多少
簡略化 して い る。
2.2 計 算 ケ ー ス
人体 の温 熱環境 に対 す る生理 反応条件 は人体温熱 生理 モ
デ ル を用 い て与 える。本研 究 で は この 人体温熱生理 モ デ ル
ー
に関 し,Casc O, Case l,Casc 2の 三 つ のケ ス を検討す
る。Casc Oは,Fangcrの モ デ ル を用 い て人体 の蒸汗 を考慮
せ ず ,対 流 ・放射連成解析 に よ り人体表面 の顕熱性状 に関
一
して検討 を行 う。その際絶対湿度 は室 内 様 9.5g/kgと仮
ー
定 して い る。 なお ,こ のケ ス に関す る計算概要及 び計算
結 果 の考察等 詳細 は文献 6)参 照 。Case lはFangerのモ デ
(1)Case l:Fangerの モデル を用 い た場合
Fangerのモ デ ルで は人体が熱 的 に中立 (暑くも寒 くもな
い状態 )の 場合 ,人 体皮膚 表面温 度 Tskと表面 顕熱放 熱量
・
Qtに 関 し (1)式 が 導 出 され る。 これ を対 流 放射連成解
析 時 の 人体表面 の境界条件 とす る.ま た,人 体表面 におけ
る潜 熱放熱量 Eskは人体 全熱放散量 Qmに 関 し (2)式 ,水
蒸気 の 発 生量 mskは (3)式 で 表 され る。Pa,К
fは人体 境 界
層タト佃I空気 の水蒸気 圧 で あ る。 (3)式 は湿気 輸送方程 式 を
解 く際 の人体表面 の境界条件 となる。
……… (1)
)-0.054o′ … ・
rュ 〓(36.1+0.166x10 3Pα ,rぽ
ル,Case 2は Gaggeら の 2NMを 用 い て人体 内部 の熱伝 達
・
及 び体温 調 節 機 能 を解析 し,CFD。 放 射 湿気 輸 送 連 成
E滅 =_(6.94+3.05x10 3P α ,″
ィ)+0.399o″
解析 に よ り人体表面 の蒸汗散熱 を含 んで全熱放散性状 を検
=E威 /たヵ … ・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…。(3)
″sた
…・……・(2)
討す る。
Fangerのモ デ ル及 び Gaggeら の 2NMに よる人体 表面 に
お け る CFD・ 放 射 。湿気 輸 送連成解析 の境 界 条件導 出 の
(3)式 は人体 が熱 的 中立 な感覚 を持 つ 条件 に よ り
導 かれて い る.逆 に言 えば人体 が あ る環境 にお いて ,熱 的
(1)∼
に中立 の 感覚 を持 つ ため の 代 謝量 (M=Qm)が
詳細 は Appendixに示 す 。以下簡 略 に両者 のモ デ ル を用 い
た場合 の連成解析 方法 を示す 。 なお ,こ れ らの生 理 モ デ ル
(3)式 の条件 を課 した人体皮膚表面 の全 熱放散性状 の解析
か ら求 め られ る。
は本 来体 全 体 の 放 熱特 性 に関 して モ デ ル化 され て い るの
で ,体 の各部位 (例えば手足 な ど)に この条件 を適用 で き
(2)Case 2:Gaggeの 2NMを 用 い た場合
既
2NMを 用 い た場 合 には人体 の 代 謝 量 (M=Qm)が
「
知 条件 となる。 人体 の 皮膚 表面温度 Tskは与 え られ た体 の
2.3 人 体表面 に お ける境界条件 の設定
る保証 はな い 。 しか し本研 究 で は連成解析 の最初 の試 み と
一
して体 の各部位 に関 し,こ の条件 を 律 に課 して計算 を行
って い る。
(1)∼
代 謝 量 Mと 環境 に よって定 ま り,人 体 が熱 的 に中立 な感
覚 を持 つ温度 となる保証 はない 。解析結果 で得 られ る人体
80
50巻
1号 (1998.1)
生
産
研
究
皮 膚 表 面 温 度 T s k 及びぬ れ 率 w な どか ら人 体 の 環 境 に対 す
る 温 熱 感 覚 が 解 析 され る。 こ こで は c a s c l と対 応 させ る
よ う に ,Case lで 求 め られ た 人 体 の 平 均 代 謝 発 熱 量
4 W/m2)を 本 ケ ー スの 計 算 条件 と した。2NMで は
(100。
人体 の発 汗量 msk及び潜 熱放散量 が陽的 に求 め られ る。算
出 され た発 汗量 mskが湿気輸 送方程式 を解 く際 の 人体表面
の境 界条件 になる。人体 の 全発熱量 Qmか ら皮膚 か らの潜
熱放 散量 Esk及び呼吸 に よる熱放散 量 Q“sを差 し引 い て皮
膚 か らの顕 熱放散量 Qtが 得 られ る。 Qtは 対 流 。放射 連 成
解析 時 の人体表面 の境界条件 と して使 う。
2.4 CFD・ 放射 ・湿気輸送連成解析手法
連成解 析 の フ ロチ ャー トを図 2に 示 す 。 なお ,そ の詳細
は Appendix参照 。CFD解 析 は Laundcr―
S harma型 低 Rc数
εモ デ ル に基 づ く.
型 k―
3.解
析
結
図 3 ス カラ ー風速 とベ ク トル風速分布
(Case l:Fangerの モデル )
果
3.l Case l:Fangerの モデル を用 い た場合
本 ケ ースの顕熱放散性状 の結果 は湿度が室 内一 様
,ま た
人体皮膚 か らの湿気放散 も一 様 と仮定 して湿気輸送 を考慮
しな い場合 (Case O)文0と ほぼ 同様 になる (図 17参 照 )。
即 ち ,顕 熱放 散特性 に関 しFangerの モ デ ル は湿気 輸 送性
状 を特 に考慮 しない場合 とほぼ 同様 の結果 を与 える。その
に比 べ 高温 のため ,ネ ッ トで放射放熱 し,天 丼付 近 の空気
か ら対流 熱取得 して い る。 また,人 体 が 吹 出,吸 込 口両倶l
の壁 面 と比 べ て ,奥 の壁 面 に対 す る形態係 数 が大 きい為 ,
奥 の壁 面 も 10.7Wと 大 きな放射 熱 を受 け る.な お ,周 囲
壁面 にお ける平均対流熱伝達 率 は約 2.6W/m2。cで ぁ る。
(1)風 速分布 (図 3)
(6)人 体表面温度分布 (図 9)
人 体 表 面 全 体 的 に均 一 で 33.0°
Cで あ る 。 足 元 で は
31.0°
C ∼ 32.0°
C と 低 い 。平均温度 は 33.0°
C で あ る。
室 内全体 にほぼ静穏 で あ るが ,人 体 モ デ ル表面 の発熱 に
よ り上 昇 流 が生 じて い る。特 に頭 上 で これが 明確 に観察 さ
(7)人 体表 面 にお ける対流熱伝達特性 (図 10,11)
人 体 表 面 の 対 流 熱伝 達量 は全 体 的 に 20.0∼ 40.Ow/m2
れ る。 この上 昇流 の最 大風 速 は 0.23m/sで あ る。 既 往 の
文7,0ゃ
実験 結果
筆者 らの実験 と良 く対応 す る。
に分布す る (図 10)。人体 の脚 部 で は,温 度境界層 が 薄 い
ため に,対 流 熱伝 達量 が他 の部位 と比 べ 相対 的 に大 きい ,
(2)空 間温度分布 (図 4)
80.OW/m2を 越 えて い る。人体 表面対流熱伝 達率 の分布性
ため ,case Oと の比較 は特 に考察 しない 。
Displacement ventilation空
調 方 式 の た め ,室 内 には温 度
状 は対流熱伝 達量 と相似 す る。全 体 的 に 3.0∼4.OW/m2。c
成層 が形成 され る。各壁面近傍 で は温度が多少 上 昇す る。
に分布す る (図 11).足 元 で は 5.0∼ 8.OW/m2。cと 大 きな
(3)空 間絶対湿度及 び 相対湿度分布 (図 5,6)
値 を示 す 。 平 均 対 流 熱伝 達率 は 4.2W/m2。cで ぁ る。対 流
熱伝達率 の分布性状 及 び平均対流熱伝 達率 は,い ず れ も既
1カ
文1,8,10∼
と良 く対応 す る。
往 の実験結果
室 内 には上下絶対 湿度分布 が形成 され る (図 5)。 一 方 ,
相対 湿度分布 に関 しては,吹 出口近傍 を含 んだ室 内下部空
間 に は温 度 が 低 い ため ,相 対 湿 度 が 高 ぃ 。室 内全 体 的 に
45%∼
50%分 布す る (図 6).
(4)壁 面温度分布 (図 7)
壁 面 は人体 の熱放射 に よ り加熱 され ,全 体 的 に空気温 よ
3°
C程 度高 い 。壁 面 間 に温度差 が生 じるため ,壁 面 間
り0。
で放射 熱伝 達 に よる熱 の再分配が行 われ る。 この為 ,放 射
文9と
比 べ ,壁 面温度 は均 一 化 になる。
計算 しない場合
(5)各 壁面 での熱収 支 (図 8)
人 体 皮膚 表 面 か ら放射 で室 内全 壁 面 に 61.lW,対
(8)人 体 表 面 にお ける放射熱伝 達特性 (図 12913)
放 射 熱 伝 達 量 は 各 部 位 で あ ま り変 わ ら ず 30.0∼
ぁ る (図 12)。 足 元 は 胴 体 と比 べ 小 さ い
(30.OW/m2以 下 )。 これ は,足 元 は対 流熱伝 達量 が 大 きい
40.OW/m2で
為 ,表 面温度が低 くな り,放 射熱伝 達量 も小 さ くな るため
であ る。平均放射熱伝 達量 は 36.OW/m2で ぁ る.壁 面温度
に大 きな差異 が生 じて い ない ため ,人 体表面 の平均放射温
度 PRTに 大 きな 分 布 は 見 られ な い (図 13).全 体 的 に
流で
27.0°C∼ 28.0°Cと 分 布 す る 。 人 体 の 平 均 放 射 温 度
直接 室 内空気 に 46.2Wそ れぞ れ放 熱 され る。 また ,蒸 汗
で 48.4W潜 熱放散 され る。床面 は他 の壁 面 に比 べ 約 1.0°
C
MRT27.0°Cに 対 し,首 部 と足 元 の 内側 で は PRTが 28.0°
C
を越 え,少 々 高 い 。 体 の 両側 は 27.0°
C 以 下 で あ り,や や
Cと な ってい る.そ の 為 ,人 体 及 び他 の壁 面 か
低 く 25.8°
ら 31.7Wと 大 きな放 射熱 を受 け る。 一 方 ,天 丼 は,床 面
低 い。
80
50巻 1号 (1998.1)
生
kg)
図 5 空 間絶対湿度分布 (gノ
図 4 空 間温 度分布 (℃)
産
研
究
図 6 空 間相対湿度分布
均値
27.2ヽV/m2
平均値
4.2W/m2℃
ぐ コ 対流 中 ・ 放 射 申 国 潜熱
図 8 各 壁面 での熱収支 (W)
図 7 壁 面温度分 布 (℃)
図 10 対 流熱伝達量
飢平均値
図 9+♂
彙面辟
〒
図 "習
睡
図 ■ PRT“
評
)
図 11 対 流熟伝達率
:80
平均値
6316W/m2kP2
平均値
015
.14
図 1 4 潜 熱 伝 達 量 図 1 5 蒸発 による熱伝 図 1 6 ぬれ率
m2kPa)
率(Wノ
(w/m2)
達
立す ると考 えられる。蒸発 による熱伝達率 は全 体的 に40
∼ 80W/m2kPaと 分布す る。足元 ではより大 きめ の値 とな
り,平 均対流熱伝達率 4.2W/m2。cと 比較する と,ル イス
C /kPaと な る。 通常 室 内 で ル イ ス 係 数 は
係 数 は 15.1°
⇒
16.5°
C/kPa文 が推薦 されてお り,本 計算結果 とほぼ一致
す る。
人体 表面 にお け る潜熱伝達量 は全体的 に20∼ 40W/m2
る。平均蒸発 による熱伝達率 は 63.6W/m2kPaと な ってお
と分布 してお り,足 元 では 50W/m2を 越 えて大 きな値 を
(9)人 体表面 における潜熱伝達特性 (図 14,15)
人体表面 における蒸発 による熱伝達率 の分布性状 は人体
の対流熱伝達率 と相似す る (図 15).即 ちル イス関係 が成
50巻 1号 (1998.1)
代 謝発 熱量 が大 き くなる.ま た Fangerのモ デ ル は人 体 の
られ る。
(10)人 体表面 におけるぬれ率 の分 布 (図 16)
究
1200
0.
2
生理 調節発 汗 は外部環境 ではな く代謝量 のみの 関数 と して
b)。 の
モ デ ル化 され て い る文13∼
そ ため 発 熱量 の 大 きい足
い
の
で
。
元
な お ,平 均 潜 熱 伝 達 量 は
潜 熱 伝 達 量 も大 き
文
28,5W/m2、と算 出 され ,実 験値 力 と対 応 す る もの と考 え
研
m m 颯
REヽこ 嘲 癬 騒
課 して い る。その ため足 元 で は熱 的 中立 感覚 を保 つ ため ,
産
∞
示 す (図 14).但 しこの よ うな分布性状 は必 ず しも実物 に
文の
対 応 す る もの とは 限 らな い 。足 元 で は温度境 界層 が 薄
い ため ,周 囲環境 へ 対流 による放熱 が 相対 的 に大 きい 。今
回 人体 の 各 部位 に対 して 一 律 に Fangerの熱 的 中立 条件 を
生
Case O
ase l
Gse 2
図 17 各 ケ ー スにお ける人体放熱 量 の比較
(5)人 体表面 にお ける放射熱伝 達特性 (図 22,23,17)
胴体 で はぬ れ 率 が 0.14∼ 0.16と大 き く分布 す るが ,頭
人体 表面 PRTの 分 布 は Case lとはぼ 同様 で あ るが ,放
と脚部 で は 0.12と小 さい。潜熱伝達量 の分布 に影響 されて,
ぬ れ率 の分布 も必ず しも現 実 と対応 す る とは 限 らな い文".
平 均 ぬ れ 率 は 0.15であ る。 本 ケ ー ス は人 体 が 今 回 の 空 調
射 熱伝 達量 の分 布 は Case lと若 干異 な る。PRTが 人体 の
位置及 び室 内壁 面温度分布 のみ に関係す る。一 方 ,放 射熱
C)に お い て熱 的 中 立状 態 に達 す場 合
条 件 下 (送風 温 22°
の人体 の代謝量 を算 出す る もので あ る。人体 の平均代謝量
は 100.4W/m2(1,7 Mct:散 歩程 度軽 い 活動 )と 算 出 され
る。 この平均 ぬ れ 率 は 人体 が 1.7 Met程度 の活動 す る時適
量 な汗 をか くこ とが 熱的中立 で あ る とい う常識 に対応す る
文
が ,や や大 きめであ る の.
3.2 Case2:2NMを 用 いた場合
(1)室 内風 速 ・温度 ・湿度分布
本 ケ ース は人体 の平均発 熱量 を case lと同 じす るため ,
図 17に 示 す よ う に人 体 か ら対流 ・放 射 。潜 熱 に よる平均
熱放散量 は人体温熱 モ デ ルが異 なるのでそれ に対応 し,異
なるが大 きな差 はない.そ のため室 内風 速 ・温度 ・湿度分
布 に 関 して Case lとほぼ 同様 な結 果 が 得 られ るため ,結
伝達量 は これ らの こ とのみで はな く,人 体 自身 の表面温度
に も関 係 す る た め で あ る 。 胴 体 で は 放 射 熱 伝 達 量 が
40W/m2を 越 えて お り,脚 部 で は 20W/m2と 低 くな って
い る。平均放射熱伝 達量 は Case lと比 べ て 38.3W/m2と 高
(6)人 体表面 にお ける潜熱伝達特性 (図24,25,17)
Case lと違 って,本 ケ τスで は人体全表面 に対 して発熱
量 一 定 (100.4W/m2)と して ぃ る。 体 の足 元 で対 流 熱伝
達量 はか な り大 きい た め ,潜 熱伝 達量 は逆 に小 さい (図
24).胴 体 で は 20∼ 30W/m2と 分布 す る。 肩 と首 あ た り
にお い て ,潜 熱伝 達 量 は 30W/m2を 越 え る。 この よ うな
文
分布性状 は人体 表面温 度分布 (図 19)と 対応 し,実 験 a
一
と 致 す る。2NMは 人体 の熱 的 中立条件 の成立 を仮 定 し
た Fangerのモ デ ル と比 べ て ,人 体 の 内部熱伝 達 及 び外 部
(2)各 壁 面 での熱収支 (図 18)
へ の熱放散性状 ,特 に潜熱伝 達特性 に対 して よ り実現 象 に
対応 す るモ デ ル となる (図 17)。一 方 ,蒸 発 に よる熱伝 達
各壁 面 での熱 収支 に関 して ,Casc lと 相似 して い るが ,
人体 か らの放射熱伝 達量 が Case lよ り大 き くな ってい る。
率 の分布性 状 は Case lと 同様 で ,対 流 熱伝 達 率 と相似 し
て い る (図 25)。 い わゆ る,本 ケ ースの計算 で もル イ ス 関
これ は人 体 表面温 度 が Fangerのモ デ ル に比 べ 高 くな って
い るためで ある。
係 が達 して い る.体 全 体 的 に 40∼ 80W/m2kPaと 分 布 し
てお り,足 元 で は 160W/m2kPaを 越 えて い る。 平均 蒸 発
(3)人 体表面温度分布 (図 19)
Case lの場合 ,Fangerの モ デ ルは皮膚温 が 熱 的 中立 とな
る条件 で あ るの で 皮膚 温 は体 中 で比 較 的均 一 で あ る。 本
に よる熱伝 達 率 は 70.2W/m2kPaと な って お り,ル イ ス係
果 の 図 は割愛 .
ケ ース この よ うな均 一 的 な温度分布性状 と異 る。胴体 と頭
で は 33.0°
Cと 均 一 的 で あ るが ,肩 と首 あ た りで は
C ∼ 34°
34°
Cを 越 えてお り,足 元 で は 29.0°
C ∼ 32.0°
C と 低 い 。平
C)は Case l(30.0°
C )と 比 べ て よ り高 い 。
均温度 (33.3°
(4)人 体表面 にお ける対流熱伝達特性 (図 20,21,17)
Case lとほぼ同様 に分 布 して い るが ,人 体 の平均対流熱
伝 達 量 及 び 平 均 対 流 熱 伝 達 率 は そ れ ぞ れ 29.lW/m2,
4。
3w/m2.cと 少 々高 め となっている。
C /kPaと なる。 これ は ASHRAEの
数 は 16.5°
1).
一
て良 く 致す る文
推薦値 と極 め
(7)人 体表 面 にお けるぬれ率 の分布 (図26)
ぬ れ 率 の 分 布 性 状 は case lと大 幅 に異 なる。 体 の足 元
で は ,潜 熱伝 達量 が相 対 的 に小 さい ため ,ぬ れ 率 も 0.06
と小 さい .人 体 の上 半 身 に上 が るに従 い ,ぬ れ率 は徐 々 に
大 き くな る。 肩 及 び 首 あ た りで はぬ れ 率 は 0.18と一 番 大
きい .ぬ れ 率 の この よ うな分布 性 状 は人 体 表 面温 度分 布
文力 と_致
す る 。平 均 ぬ れ 率 は
(図 19)と 対 応 し,実 験
べ
Case lと 比
て 0.11と 低 い 。 こ の よ う な 活 動 レ ベ ル
(1.7 Met)にお い て ,熱 的 中立状 態 に対応 す るぬ れ率 と考
82
50巻 1号
生
(1998.1)
含
5.5
平均値
291W/m2
平均値
4.3W/m2℃
平均値
383W/m2
Wノm2
Wノm2℃
w′m2
図 20 対 流熱伝達量 図 21 対流熱伝達率 図 22 放射熱伝達量 図 23 PRT
図 18 各 壁面 での熱収支 (W)
平均値
V/m2
24.3ヽ
平均値
33.3℃
図 24潜 熱伝達量
(Wノm2)
均値
2W/n12kPa
図 25蒸 発 に よ る 熱 伝
達率 (W/m2kPa)
え られ る.
(8)人 体 の生理 量
C で ある (図省略).
人体 の体心部温度 はほぼ均 一 で 36.9°
人体 の体心部 か ら皮膚層 までの血液流量 は人体全体 で 4∼
6g/s.m2に 分 布 す る (図 27)。 人体 の 足元 で は 2g/s.m2と
低 い ,肩 と首 あ た りで は 7g/s.m2を越 える。 これ は人体表
面温度分布 (図 19)と 対応 しす る。
と
7 r
平 2
ぐコ 対流 中 ・ 放射 申 田 潜熱
4.ま
究
嫌北 0
、
/合33「
33.さ
早
図 1 9 人 体表 面温度
( ℃)
研
召J 硼
争ドL度ド
↓
5.5
産
め
① 人体皮膚表面 の全熱放散性状 を解析す るため,Fangcr
のモデルとGaggeら による2NMを 含 んだ対流 ・放射 ・湿
気輸送連成解析 を行 い,人 体 の全熱放散特性 を詳細 に検討
した。解析 は本来体 全体 の熱放散特性 に対するモデル を各
部位 で もその まま成立すると仮定 した.② 今回の計算条件
(軽作業 に対応す る熱快適状態)で は,人 体皮膚表面 か ら
全熱放熱 の平均性状 に関 して,両 モデルとも妥当な予測値
が得 られてい る.③ 人体皮膚表面か ら顕熱放散 の局部分布
性状 に関 しては,両モデルとも良 く類似 した結果が得 られ,
図 26 ぬ れ率
図 27血 液 流 量
(g/s,m2)
実物 と対応す るもの と考 えられる。④ 人体皮膚表面か ら潜
熱伝達量 の局部分布性状に関 しては,Fangerの人体 の熱的
中立 を仮定 した モ デ ルは実物 と対応 がやや劣 る。 一 方 ,
Gaggeのモ デルはぬれ率 の導入 によって,発 汗 に対 して人
体側及 び環境倶1両方の要素 とも考慮 してい る。今回人体各
一
部位 に対 しGaggeの モ デ ル を一律 に適用 し各部位 で 同
の発熱があ ると仮定 して も,潜 熱伝達特性 に関 し大略妥当
.ら
な分布性状が得 れてい る。⑤今後 Gaggeの 2NMを 用 い
た場合得 られた人体表面 の全熱伝達性状 に基づいて,人 体
温熱評価指標 を算出す る予定 である。
Appendix
本研 究 に用 い た温 熱 生理 モデル 及 び対流 。放射 ・湿気輸 送連成
解析 手法 を以下 に ま とめて示す 。 なお参 考文献 が工 学単位系 を使
ってい る場合 , こ こで はす べ て S I 単位 系 に直 して示す 。
1. Fangerのモデ ル 岬
'16)
1 . 1 概要 人 体が定常状態 で , 機 械 的仕事 を しな い場 合 , 人 体 に
お ける熱収支式 は ( B l ) , ( B 2 ) と なる。
50巻 1号 (1998.1)
生
0″=″ =0威 +0
(Bl)
……………………………………………・( B 2 )
c s た= o ′ 十 E s た。
ここで 人体皮膚表面か らの潜熱放散量 E s k 及び呼吸 による熱散失
量 Q " s はF a n g e r に
よ りそれぞれ ( B 3 ) , ( B 4 ) 式 と評価 されて い
る。
E、
,
々= E ′7 / / + E 、
″
ぃ
0 ″“
ド= C ″ぃ+ E ″ ,
°
〓0 . 0 0 1 4′∼
(34.0-7″
)+173× 105″ (5.87×
103_Pα
,ィ
デ) ・ ( B 4 )
こ こで ( B 3 ) 式 を整 理 す る と, 本 文 の ( 2 ) 式 とな る。
E s 々= ― ( 6 . 9 4 + 3 . 0 5 x 1 0 3 P ′
) + 0 . 3 9 9 0 “ ……… …( 2 )
,rび
研
究
2. Gaggeら 0 2 Node Model文 1,4,5)
G t t g e らのモ デ ルは 人体 を体心 部 c o r e と皮膚 層 とい う二 つ の 部
分 に分 けて い る。 代謝発熱 は体心 部 で生 じる。体心 部 か ら呼吸 に
よ り直接外 部環境 まで , 及 び皮膚層 まで血流 と熱伝 導 に よ り放 熱
され る. 皮 膚 表面 に達 した体心部 か らの熱 は, 対 流 ・放射 ・蒸汗
に よ り外 部環境 へ 放散 され る。 体心 部 と皮膚層 にお い て熱収支式
を立 てる と, ( B 9 ) , ( B 1 0 ) 式
一P ″ ) + 0 4 2 ( ″ - 5 8 . 2 ) …( B 3 )
=3.05×
103(5.73x103_6.99ν
,ィ
産
となる。
S cr=(ル
イー0 ″′
r s た) _ ερ, メ
“b ′( r r r _ r s )た. . ( B 9 )
s ) 一κ ( r c r ―
_ 7 ド々) 一E s た
=κ (7`r一
―( 2 c ソ
S,々
rs々
“わ
) + ε′, ″
+ O r ) ・ 。( B 1 0 )
′( r c ″
人体 が皮 膚 表面温度 T s k , = 3 3 . 7C°, 体 心 部 T c L n = 3 6 . 8C°
で ある
場合 , 人 体が熱 的 中立状 態 で あ る とされ る。 そ こで , 人 体 が相対
的 に暖か い環境 に置 か れ る場合 , 体 心部 は 3 6 . 8C°
を 越 え, 皮 膚温
呼 吸 に よる熱放 散 量 Q にs が少 な い と考 えて , 室 内 の 水 蒸気圧
P、
C∼ 30°
C , 相 対湿度 4 0 % ∼ 6 0 %
κ
f = 1 5 0 0 P a ( 例えば気温 2 0 °
の場合) , 気 温 T a = 2 6 °C と すれば, ( B 4 ) 式 か ら呼吸 による熱放
は337°
C を 越 えるこ ととなる。人体 の体温 をあ る範 囲 に保 つ ため ,
体心 部 か ら皮膚層 まで流 れ る血 液流量 や皮膚 表面 にお け る発 汗量
が増 える。 これ らの生理 調節機 能 は表 B l に 示 す。
散量 Q にs に関する ( B 5 ) 式が得 られる。
表 B l に 示 され る生理 調節機 能 を定量化 す る と, 血 液流量 m Ыに
関 して ( B l l ) 式 となる。
…・…・
…・… … Ⅲ
…・
…・
―( B 5 )
0 ″` s = 8 . 6 3 x 1 0 2 2 ″ ……. …・
( B 2 ) , ( 2 ) , ( B 5 ) 式を ( B l ) 式に代入 し, ( B 6 ) 式 を得 る。
% 1 0 ‐ % + 3 ∞ X Ю―
りが
2 “= ■
lB61
│ … …・
-方
, F a n g e r は人体が熱 的 中立状態 にあ る場 合 の 代謝量 と皮膚温
度 に関係す る ( B 7 ) 式 を提案 して い る。
rsた=35,7-0.028o4 …
………………………………… …・
(B7)
(B6),(B7)式 か ら本文 の (1)式 が導 出 され る。
ア滅 =(36.1+0.166x10 3Pa,ィ
)-0.0542′ … …….……
(1)
1.2 潜熱伝達 に関 す る検討 本 モ デル を利 用す れ ば 人体皮膚 表面
にお け る潜 熱放散 を考慮 しな い 場 合 に ,水 蒸気圧 Pa.cF=1500 Pa
を仮 定 す る.こ れ を上記 の (1)式 に代 入す る と,対 流 ・放射 連
Ю)。
成解析 時 人体 表面 の境 界条件 は (B8)式 となる え6.文
「漱 =36.4-0.0542′
… ……………・……・…………・…・(B8)
この 式 か ら, F a n g c r のモデ ル は人体 内部 の 熱伝 達 に対 して単純
に体花、
点 ( 無限小熱源 : 3 6 . 4 °
C ) か ら人体皮膚面 まで熱伝 導 とい
う考 え方 で 処理 す る と理 解 され る. 人 体 の潜 熱放散 を考慮す る場
合 , 更 に体心点温 度が調節 され る. 即 ち周 囲環境 に応 じて熱 的 中
立 を持 う ため 人 体 内部生理 発熱量 が 変 わ る. こ の 調 節 は ( 1 ) 式
に示 され る よ うに室 内 の水蒸気圧 を通 して 影響 され る。 す なわ ち
室 内 の 水蒸気圧 は , 人 体 が 環境 に対応 す る際 人体 の体心 点温 度 の
み に直接 影響 を与 える こ とを意味す る。 通常 室 内 の場 合 , 水 蒸気
圧 の 1 0 0 0 P a ∼2 0 0 0 P a の変 化 に 対 して , 体 心 点 温 度 が 3 6 . 3 ∼
3 6 . 4C°
の 微 小 な範 囲 に調節 され る こ とになる。 従 って室 内水蒸気
圧 は人体 の 温熱調 節 に及 ぼす影響 が小 さい と見 られ る。 これ は実
現 象 とは一 致 しな い 。 これ は F a n g e r のモ デ ル にお い て人体潜熱放
文1 3 4 5 ) で
散 の取 扱 い が 不 十 分
ぁ る 点 に起 因す る もの と考 え られ
る。
84
駕夕= │ ( 6 . 3 + 2 0 N s I G c r ) / ( 1 + 0 . l C y G s た
)1/3600..(Bll)
また , 皮 膚 表面層が 人体総 質量 を占め る比 を α と し, ( B 1 2 ) 式
に よって 人体 の 平均 体 温 T b が 算 出 され る. 熱 的 中立 で あ る場 合
に は 一 般 に α は 0 . 1 と され る 文5 ) 。血 液 の 流 動 に よ っ て , α が
( B 1 3 ) 式 に示 され る よ うに変 わ る。
r b = α 『∫
た十 ( 1 _ α ) T ″ . ………………………………… ( B 1 2 )
α = 0 . 0 4 1 8 + 0 . 7 4 5 / ( 3 6 0 C レ ゎ1 + 0 . 5 8 5 ) . … …. ……. ( B 1 3 )
人体生理 調 節発汗 は , 体 心部 と皮膚 表面両 方 か らの温 熱信号 に
も影 響 され るが , 皮 膚 表面 の 方 が 直接 で あ る ( ( B 1 4 ) 式 ) 。生 理
調節 発汗 に よる潜 熱発散量 E 卜
w は ( B 1 5 ) 式 に よる算 出 され る。
=4.72×
772″
10 5N、
G bexp〔
…….(B14)
WyCsた
/10.7)…
″
∫
E ぉ″= “ ″
乃角 … …. …………・………………・…………・
s″
(B15)
さらに皮膚表面 の不 感蒸 せ つ E d Ⅲに関 しては, ( B 1 6 ) 式 を使 う。
従 って 皮膚 表面 の 濡 れ率 w は ( B 1 7 ) 式 となる。 人体皮膚 表面 か
らの潜熱放散量 E s k は ( B 1 8 ) 式 に よる算 出 され る。
表 Bl 人 体 の生理調節機能
記号
WSIGcr
定義式
温熱 感覚
Ъ > ■ . n 体心部 か らの
■r ―T c L n
3
TY≦
■Υn
温熱信号
CSIGcr
■i n ―
■r ■ r < ■中 体心部 か らの
Э
T.r
TT≧
冷信号
WSIG、 k
rsk一Tsk,n
D
■
CSIGsk
T s k , n■k
― T s k < ■k , n 皮膚 からの
O
T t 貯 ≧T ( 卜
n
冷信号
WSIGh
T h 一T h n、 T b > T h , n
O
Th≦ Thn
ttk>T、k,n 皮膚 か らの
L≦Tヾ
In
温熱 信 号
人体 か らの
温 熱 信号
生理 調節
血管拡張
血 管縮小
(弱)
発汗
血管縮小
( 強)
血管拡張 、
発汗
50巻 1号 (1998.1)
Eグげ =(1-″
生
パ")0.06Emax …
.…….… … ・…・…・……。(B16)
+0.06(1-w″ s″
″ =″ rs″
)=0.06+0.945″ s"/E max… (B17)
Eま =″ E max… ……・……・……・……・……・……・……・・(B18)
………………………………・(B19)
E max=α′(Ps々
,s―Pa,ィ )・
“sた=Esた /んヵ .…….………・…………………………・― (B20)
なお ,呼 吸 の放熱分 は Case lと同様 に (B5)式 に よる。
本 来 上 記 の生 理調 節 プ ロ セ ス は随 時 に生 じる非定常 現 象 で あ る。
Gagge自 身 は これ らの モ デ ル に非定常 性 を考 慮 して導 い て い る。
本研 究 で は ,人 体 が あ る環境 にお い て定常 に達 して い る場 合 ,即
ち Ssk=0,Scr=0と
して検討 を行 う。
κ十
制
│卜
▽X
… … … … ・… (B21)
代謝量 (既知 )か ら潜熱発熱量 E、
kを求 めて ,湿 気発 生量 m、
kと し
て 人体 表 面 の境 界条件 を決 め る.対 流 ・放射連 成解析 の場 合 は ,
潜 熱発熱量 Eskは新 しい 時 点 の 代射 量 (未知 )を 使 い ,参 照 室 内
み は前 時点 の 値 を用 い る.即 ち潜 熱放 散量 Eskに
水 蒸気圧 Parefの
対 してはあ る程 度陰的 に取扱 う こ とになる。
3.3 2NMを 用 い た場合 の 連成手法 (本文図 2(b)参 照) 連 成
解析 は人体 皮膚表面温 度 の修 正 計算 となって い る.ま ず皮膚表面
温 度 Tskに初 期 値 を与 えて ,体 心 部 の 熱 バ ラ ンス 式 で あ る (B9)
式 及 び血 液 流 量 mЫを表 す (Bll)式 の 繰 返 し計 算 に よつて ,皮
膚 温 度 T、
kに 対 応 す る体心 部 温 度 Tcrと血 液流 量 mЫを算 出す る。
次 に (B14)式 に よ り生理調節 に必要 な発汗量 m、wが 決 め られ る.
不 感蒸 せ つ 発汗量 mdrと 合 わせ て ,水 蒸気輸送解析 の境 界条件 が
得 られ る ((B20)式 )。更 に皮 膚面 にお ける熱 バ ラ ンス式 ((B10)
式)に よって ,皮 膚表面 か らの顕熱放散量 Qlが算 出 され る。 これ
を対流 ・放射連 成解析 の境 界条件 とす る。
(1997年10月 27日 受理 )
文
献
1) ASHRAE Fundamentals Handbook,Chapter 8,1993.
2)中
山 :温 熱生理学 ,理 工 学社 ,1981.
3)RO.Fangcr:Thcrmal comfort,Danish Technical Press,1970.
4) A.R Gaggc ct al:ASHARE transactions,Vol.77,Part l,pp.
247-262,1970.
5) A.R Gagge et al:ASHARE transactions,Vol.92,Part l,pp.
6)曽
, 澤 地 , 本 間 : 日 本建築 学 会計 画系 論 文報告 集 , 第 4 1 6
号 ,pp.25∼ 34, 1990.10.
9) S.Murakami,S.Kato,J.Zcng:ASHRAE Transactions,Vol 103,
8)李
Part l,1997.
10)森
, 久 保 田 , 本 間 : 日 本建築学 会大 会講演梗概 集 , p p . 3 6 9
∼ 370, 1994.9.
11) Rapp,G.M:ASHRAE Transactions,No 2264,pp.75-87,1973.
1 2 ) 市 原 , 斉 藤 , 田 辺 , 西 村 : 日 本 建 築 学 会 大会講演 梗概 集 ,
pp.79-371, 1995.8。
越 : 空 気調和 ・衛生 工 学 , 第 6 0 巻 , 第 1 0 号 , p p . 1 3 - 1 9 ,
1986。
1 4 ) 堀 越 : 空 気調和 ・衛 生工 学 , 第 7 0 巻 , 第 1 号 , p p . 6 5 - 7 1 ,
13)堀
1995。
15)持
田 , 他 4 名 : P M V の 修 正 , 空 気 調和 。
衛 生工 学 会学術 講
140,1997.
演 会講演論 文集 , p p . 1 3 7 …
48,1994.
記
C)
AD:人 体皮膚表面面積 (m2)cp,Ы :血 液 の比熱 (4.187 kJ/kg°
Cぃ :呼 吸 に よる顕 熱放散量 (w/m2) D:水
蒸気 の空 気 へ の拡
2)Edrf:皮
膚表面 か らの水 分拡散
散係 数 (2.61×105m2/s)文
(不感蒸 せ つ )に よる熱放散量 (w/m2) Emax:皮
3.2 Fangerの モデル を用 い た場合 の 連成 手法 (本文 図 2(a)参
修 正 計 算 とな って
照 ) 連 成解析 は 人体 の 代 謝量 (M=Qm)の
い る。 まず 代 謝 量 Mに 初期 値 を与 え る.湿 気 場 を解 く時 ,こ の
参 考
究
口
写
文6)参
照.
対流 ・放射連 成解析 及 び他 の_計算概要等 の詳細 は文献
ー
パ
3.1 湿気輸 送方程 式 空 気 の 湿度 を表す ラメ タ には,相 対湿
ー
度 ,絶 対 湿度 ,水 蒸気圧等 が あ る。 今 回絶対湿度 Xを パ ラ メタ
と して ,湿 気 の輸 送方程式 を (B21)式 の よ うに立 てる
:等
研
16) S.Tanabc ct al:ASHRAE Transactions,Vol.100,Part l,pp.39-
3.対 流 ・放射 0湿 気輸 送連成解析手法 .
二 十 ▽ υ =▽
レ 司
産
709-731,1986.
,村 上 ,加 藤 ,林 :空 気調和 ・衛 生工 学 会学術 講演 会講
演論 文集 ,pp.101-104,1997,
7)本
間 ,焼 山 :日 本建築 学 会計 画 系論 文報 告 集 ,第 375号 ,
pp.39∼ 48,昭 和 62年 5月 .
膚表面 か らの
吸 に よる潜 熱放散量 (W/m2)
最大潜熱放散量 (W/m2)EEs:呼
Eぃw:体 温 調節 に必 要 な発 汗蒸 発 熱 放 散量 (w/m2)E、
表 面 か らの潜 熱 放散量 (W/m2) H:人
k:皮 膚
体 身長 (m)hfg:水
分 の 蒸 発潜 熱 (2430 kJ/kg) K:体 心 部 と皮膚 層 の 有 効 熱伝 導
:血 液流
体 の代 謝量 (W/m2) mЫ
c)M:人
率 (5.28W/m2。
w:体 温 調 節 に 必 要 な 発 汗 量 (kg/m2s)
m drr:皮 膚 表 面 の 不 感 蒸 せ つ に よ る 水 分 蒸 発 量 (kg/m2s)
量 (kg/m2s) mぃ
msk:皮 膚 表面 か らの 水 分 蒸発量 (kg/m2s)Pa:室
内水 蒸気圧
(Pa)Parざ :人 体境 界層外 倶1空気 の 水 蒸気圧 (Pa)Psk:人
体
皮膚表 面 にお け る水 蒸気圧 (Pa) Psk.:人 体 皮 膚表面 にお け る
飽和 水 蒸気 圧 (Pa)Qcd:貫
流 熱 量 (W/m2) Qcv:人
(w/m2)Qr:人
体 皮 膚 表 面 か らの 放 射 熱 伝 達 量 (W/m2)
Qに、:呼 吸 に よる全 熱放散量 (W/m2) Qsk:皮
体 皮 膚 層 の蓄 熱 率
C)
体 の平均 体温 (°
C)Tb:人
内空気温 度 (°
Tc「:体 心 部 の 温 度 (°
C)TcLn:体
C)T、
(36.8°
心 部 の熱 的 中立 時 温 度
c)Tsk,:皮
k:皮 膚層 の 温 度 (°
C)w:ぬ
時温 度 (33.7°
膚 表 面 か らの全
膚 表 面 か らの 顕 熱 放 散 量 (W/m2)
熱 放 散 量 (W/m2)Qt:皮
Scr:人 体 体 心 部 の 蓄熱 率 (W/m2) ssk:人
(w/m2)Ta:室
体 皮膚
体 か らの全熱放散量
表面 か らの対流 熱伝 達量 (W/m2) Qm:人
れ 率 wdr:不
感 蒸 せ つ に よるぬ れ 率
wぃw:体 温 調 節 発 汗 に よ るぬ れ 率 X:平
αc:対 流 熱 伝 達 率 (W/m2。c) α
膚 層 の 熱 的 中立
c:蒸
均 絶 対 湿 度 (kg/kg)
発 に よる熱 伝 達 率
:乾 燥 空気 の密 度 (26°
C ,1.181 kg/m3) λ x:水
(w/m2Pa)ρ
へ
蒸 気 の 空 気 中 の 伝 導 係 数 λx=ρ D=3.082× 10 5(kg/m.s)
σx:乱 流 Schmidt数,σ x=l φ
添字 a:空
点) sk:人
:相 対湿 度
気 cr:人 体体心部 rcf:人 体境 界層 以 外 点 (参考
体皮膚層 s:飽
和状 態 n:熱
的 中立点
85
Fly UP