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明治時代
IX.明治時代(1) 1.政治史(1)・・・明治維新 (1) 戊辰戦争・・・1868 年 1 月~1869 年 5 月 ①1868 年 ・鳥羽・伏見の戦い ・上野戦・・・彰義隊壊滅 ・会津戦争・・・奥羽越列藩同盟(仙台・米沢藩の主唱)降伏 ②1869 年 ・五稜郭の戦い・・・榎本武明 (2) 明治新政府の政策 ①五箇条御誓文(1868 年) ・由利公正(由利財政・・・不換紙幣乱発、江戸幣制の踏襲)、三岡八郎(越前) ・開国和親、公議世論の尊重、財政の確立 ・旧来ノ陋習(ろうしゅう、悪習)=攘夷 ・加筆修正・・・・福岡孝弟、木戸孝允 ②五榜の掲示(1868 年) ・民衆のあるべき姿・・・徒党、強訴、キリシタンの禁止 ・浦上(長崎郊外)信徒弾圧事件→禁令撤廃(1873 年) ③政体書(1868 年) ・副島種臣(肥前)、福岡孝弟(土佐) ・政治の原理・・・三権分立制導入、官吏互選制→官吏公選制(4 年ごと)、議事制度採用 ④神仏分離令(1868 年) ⑤大教宣布の詔(1870 年)・・・廃仏毀釈 ・宣教使・・・神道(復古神道)国教化の目論見→失敗 ・島地黙雷(浄土真宗)、井上円了ら・・・仏教界を立て直す ⑥太政官札(1868 年、由利公正が立案)、民部省札(1869 年)・・・不換紙幣 ⑦大蔵省設立(1869 年) ⑧出版条例(1869 年)→許可制→届出制 ※1893 年・・・出版法 (3) 地方制度 ①版籍奉還(1869 年) ・酒井忠邦(姫路藩主)の上奏 ・薩・長・土・肥、藩主→知藩事(島津忠義、毛利敬親、山内豊範、鍋島直大) ②廃藩置県(1871 年) ・薩・長・土、府知事・県令を派遣 ・旧藩主は上京 ・藩の負債を政府が肩代わり ・御親兵(近衛兵[1872 年]の起源)の力を背景 ・3 府 302 県→3 府 72 県→1888 年に 3 府 43 県(沖縄含む) ③壬申戸籍(1872 年) ・戸籍法(1871 年)に基づく ・全国民の戸籍がつくられた最初の近代戸籍 (4) 法制 ①新律綱領(1870 年)・・・近代最初の刑法典 ②改定律例(1873 年)・・・新律綱領の不備を補う(フランスの刑法) L ジャカード、バッタン両機の輸入 (5) 東京遷都 1868 年 1869 年 1月 3月 7月 9月 3月 鳥羽・伏見の戦い 五箇条御誓文 江戸→東京と改称 「明治」と改元 東京遷都 1 IX.明治時代(1) 1.政治史(2) (1) 近代軍制・・・理念→国民皆兵 適塾(・・・緒方洪庵) ①構想・・・大村益次郎(適塾)、大久保利通、木戸孝允 →福沢諭吉、橋本左内、佐野常民も出身 ②実現・・・山県有朋 ③徴兵告諭(1872 年)・・・血税という言葉が入っていたため、農民が誤解して一揆を起こした ④徴兵令(1873 年)・・・20 歳以上、1889 年廃止 ※鎮台→師団(1888 年) (2) 学制(1872 年)・・・フランスの制度にならう ①学事奨励に関する被仰出書布告 ②八大学区制 (3) 征韓論 ①鎖国政策中の朝鮮に対し武力を背景に強硬に開国を迫る考え ②士族の新政府に対する不満解消が目的 ③明治 6 年の政変(1873 年) ・征韓論敗れる ・留守政府・・・西郷隆盛、板垣退助(土佐) (4) 民撰議院設立建白書(1874 年) ・愛国公党(板垣、江藤、後藤、副島ら)→太政官左院に提出 ・「日新真事誌」(1872 年)→ブラック(英)に掲載された ・西郷隆盛は署名せず (5) 佐賀の乱(1874 年)・・・江藤新平、征韓論敗北による ※徴兵の免役 ①1879 年・・・免役範囲縮小 ②1883 年・・・免役廃止 ③1889 年・・・猶予制廃止 ※免役規定 ①身長 5 尺 1 寸(約 154.5cm)未満の者 ②病弱で兵役にたえられない者 ③官省府県に勤務している者 ④陸海軍の生徒で兵学寮にある者 ⑤文部・工部・開拓その他の公塾で学んだ生徒 洋行中の者、医術・馬医術を学んだ者 ⑥一家の主人である者 ⑦「家」のあとを継ぐ者 ⑧一人子または一人の孫 ⑨病気などの父兄に代わって家を治める者 ⑩すでに養家で生活している養子 ⑪兵役についている兄弟のある者 ⑫代入料 270 円上納を願い出る者 (6) 征台の役(1874 年) ①前後の流れ ・1871 年・・・琉球島民が台湾原住民に殺害される ・1872 年・・・琉球藩設置→清が抗議→グラントの調停→解決せず ・1879 年・・・沖縄県設置 ②西郷従道の台湾出兵→木戸孝允下野、北京条約→大久保利通 (7) 政治団体の設立と言論圧 ①立志社設立(1874 年)・・・板垣退助、片岡健吉(社長) ②愛国社結成(1875 年)・・・最初の全国的政党(本部→東京) ③讒謗律(1875 年)・・・日本最初の名誉保護に関する法律 ④新聞紙条例(~1909 年)・・・明六雑誌廃刊 (8) 大阪会議(1875 年、井上馨の斡旋) ①大久保利通、板垣退助、木戸孝允が出席 ②元老院(立法)、大審院(司法)、地方官会議の設立を決定 琉球処分 ※元老院(前身=左院、「日本国憲按」起草) →1890 年廃止 ※地方官会議・・・府知事、県令を召集 ①第一回議長・・・木戸孝允 ②第二回・・・三新法(1878 年) →大久保暗殺の後 ※三新法 ①軍区町村編成法・府県会規則・地方税規則 ②明治政府による最初の統一的地方制度 (9) 廃刀令(1876 年)・・・武士が憤慨 ①新風連の乱(敬神党の乱、1876 年)・・・太田黒伴雄→大木喬任(肥前)が鎮圧 ②秋月の乱(1876 年)・・・宮崎車之介 ③萩の乱(1876 年)・・・前原一誠→大木喬任(肥前)が鎮圧 ※自由民権運動の目標 ①国会開設 (10) 西南戦争(1877 年) ②地租軽減 ①谷干城(熊本鎮台)、西郷札 ③不平等条約の改正 ②自由民権運動が本格化するきっかけとなる ↓ 運動が進展するにつれ、その性格が (11) 立志社建白(1877 年、片岡健吉)・・・早期国会開設、地租軽減などを要求 士族民権から豪農民権へと移行 (12) 紀尾井坂の変(1878 年、上智大学付近)・・・大久保利通暗殺(島田一郎ら) L 1868 年大阪遷都を建議 ※1878 年 →寺島宗則の条約改正交渉 2 IX.明治時代(1) 2.社会・経済史 (1) 殖産興業の中心機関 ①大蔵省(1869 年) ②工部省(1870 年) ・工業部門・・・日本興業銀行→伊藤博文 ・日本興業銀行法(1900 年) ③内務省(1873 年)・・・地方行政の中心であり、警察機構の中枢でもあった ・農業部門・・・日本勧業銀行→大久保利通 ・日本勧業銀行法(1869 年) ※横浜正金銀行(1887 年)・・・幕末から始まった貿易のための金融を主に扱う (2) 地租改正(1875 年 5 月、地租改正事務局) ①田畑勝手作解禁(1871 年) ②田畑永代売買解禁(1872 年)→壬申地券 ③地租改正条例・・・約 6 年を費やし完了 ※地券 →登記法(1886 年実施)で廃止 制度的廃止 ※金貨・・・1、2、5、10、20 円(1 円=1.5g) ・1 円=1 両 ・金銀複本位制 ・貿易銀・・・円銀(法貨)を使用 ・明治通宝(不換紙幣) (3) 新貨条例(1871 年)・・・伊藤博文の建議 ①円、銭、厘 ②十進法 (4) 郵便制度 ①前島密・・・一円切手の人 ②以前は飛脚制度 ※鉄道 ①日本鉄道会社(1881 年、民営) →華族が共同出資、上野~青森 ②東海道線全通(1889 年、官営) (5) 福岡製糸場開業(1872 年9・・・フランスの技術(ブリューナー) (6) 鉄道開通(1872 年) ①英の機関車・レールを使用・・・当時陸蒸気と呼ばれた ②新橋~横浜間 (7) 国立銀行条例(1872 年)・・・米のナショナルバンクの模倣 ①建議・・・伊藤博文 ②草起・・・渋沢栄一 ※国立銀行 ①第一国立銀行(1873 年、三井・小野組の出資) ・・・社屋設計=清水喜助 ②1879 年時点で 153 行 ③第十五国立銀行→華族 (8) 明六社結成(1873 年) ①メンバー・・・森有礼、福沢諭吉、中村正直、西周、加藤弘之 ②加藤弘之・・・主張が民権論から国権論へ ③「明六雑誌」刊行(1874~1875 年) (9) 秩禄公債証書発行(1873 年)・・・士族授産(屯田兵など→1874 年) (10) 地租改正条例(1873 年)→地租改正反対一揆(竹槍一揆) ①課税の変更点 <前> <後> 課税基準 収穫高 地価 税率 一定せず 地価の 3%=収穫代金の 34% 納税者 耕作者 土地所有者 納税法 現物納 金納 ※金融政策の流れ 1872 年・・・国立銀行条例→兌換性目指す 1876 年・・・改正①(兌換義務廃止) →国立銀行設立増加 →不換紙幣→インフレ 1882 年・・・日本銀行創設 1883 年・・・改正②(不換紙幣発行停止) →普通銀行 1884 年・・・兌換銀行条例 1885 年・・・日銀券発行(銀本位制) 1897 年・・・貨幣法→金兌換紙幣 ②問題点・・・小作料は依然として現物納=農民の負担は変わらず ③一揆の激しかったところ・・・堺、岐阜、三重、愛知、茨城 ④1897 年→地租を 2.5%に引き下げ (11) 秩禄処分(1876 年) ①家禄・賞典録(王政復古に協力した人に対して出された褒美)の打ち切り ②金禄公債証書発行・・・華族(平均 64,000 円)、士族(平均 500 円) 3 IX.明治時代(1) 3.外交史 (1) 日清修好条規(1871 年) ①中国との最初の対等条約 ②伊達宗城、李鴻章 (2) 遣外使節団を派遣(1871 年) ①特命全権大使(→大使→行使の序列)・・・岩倉具視 ②同行・・・木戸孝允、大久保利通、伊藤博文、山口尚芳 -女子留学生(5 人)・・・津田梅子ら ③留守・・・三条実美、西郷隆盛、板垣退助、江藤新平、後藤象二郎、副島種臣 ④使節団帰国後(1873 年)→征韓論争 ↓ 1874 年・・・征台の役 ※学校の創設者 ・女子英学校・・・津田梅子 ・慶応義塾・・・福沢諭吉 ・東京専門学校・・・大隈重信 ・同志社英学校・・・新島襄 (3) 対琉球外交 ①1872 年・・・琉球藩成立 ②1879 年・・・沖縄県成立 (4) 樺太・千島交換条約(1875 年)・・・日露国境改定 ①樺太・・・ロシア領 ②千島・・・日本領 ③全権・・・榎本武明、外務卿・・・寺島宗則 (5) 江華島事件(1875 年)・・・雲揚号 (6) 日朝修好条規(1876 年)・・・日本に有利 ①井上馨、黒田清隆、申けん(木編に憲) ②内容 -清国の宋主権否認 -港の開港・・・釜山(プサン)、仁川、元山 -領事裁判権の獲得 -無関税特権の獲得 ※対露外交 ①日露樺太仮規則(1867 年)→日露共有、雑居 ②樺太・千島交換条約 ↓ ・樺太は日露和親条約(1854 年9では両国の雑居地 ・日本の積極的な経営は行われず、結果的に放棄 ※対朝鮮外交 ①対朝鮮国交回復要求 →大院君・・・鎖国政策固執 ②日本→征韓論起こる ③江華島事件(1875 年) ④日朝修好条規(江華条約、1876 年) 4 IX.明治時代(1) 4.文化史(1)・・・明治国民文化 (1) 西洋思想・・・明六社などにより広められる(森有礼) ①フランス共和主義 ・「民権自由論」・・・植木枝盛 ・「民約訳解」・・・中江兆民(東洋のルソー、「三酔人経綸問答」) ・「天賦人権論」・・・馬場辰猪(自由平等を求める権利がある) ・「真政大意」・・・加藤弘之(天賦人権論を紹介)、その他「国体新論」など →のち「人権新説」で天賦人権論否定(社会進化論) ②イギリス功利主義 ・「西洋事情」(1866 年)「文明論之概略」(1875 年)・・・福沢諭吉、その他「学問ノススメ」(1872 年) ・「自由の理」「西国立志編」・・・中村正直 ※「万国公法」・・・西周(“哲学”と初めて訳した) ・「日本開花小史」・・・田口卯吉 ※[史学]久米邦武「神道は祭天の古俗」 (2) 文明開化・・・国民生活全般の近代化 ①グルメブーム・・・「安愚楽鍋」(仮名垣魯文) ②設計・技士 ・辰野金吾・・・日本銀行本店、東京駅、工科大学本館 ・片山東熊・・・赤坂離宮(現迎賓館)、京都国立博物館 ・コンドル(英)・・・ニコライ堂 ・田辺朔郎・・・琵琶湖疏水工事完成 ・清水喜助・・・第一国立銀行 ③太陽暦採用 ・明治 5 年 12 月 3 日(=明治 6 年 1 月 1 日) ④人力車・・・和泉要助 (3) 教育 ①文部省設置(1871 年) ②学制(1872 年) ・学事奨励に関する被仰意出書(仏制) ・小学校就学率 30% ③教育令(1879 年) ・学区制廃止(米制) ・自由教育制度、義務教育 16 ヶ月 ④学校令(1886 年) ・森有礼文相 ・義務教育 4 年(のち 6 年・・・1907~) ⑤教育勅語(1890 年)・・・忠君愛国を強調 ※明治文化に貢献した主要外国人 部門 人名 業績 法制 ボアソナード(仏) 法典編纂 ロエスレル(独) 憲法起草 宗教 ジェーンズ(米) 熊本農学校 熊本バンド 海老名弾正 ヘボン(米) 新教伝道・医師 フルベッキ(蘭) 新教伝道 医学 ホフマン(独) ドイツ医学移植 ベルツ(独) 東京医学校→帝大 ウイリス(英) 東大病院 産業 ワグネル(独) 陶器・ガラスなど ケプロン(米) 北海道拓殖 ケルネル(独) 駒場農学校 教育 マレー(米) 女子教育 クラーク(米) 札幌農学校 科学 モース(米) 動物学・考古学 ナウマン(独) 地質学 ミルン(英) 地震学 文芸 ケーベル(露) ドイツ哲学 美術 フェノロサ(米) 古美術・哲学 ラグーザ(伊) 彫刻 フォンタネージ(伊) 洋画 キヨソネ(伊) 紙幣印刷・銅板 ハーン(英) 文学 =小泉八雲 (4) 学校 ①福沢諭吉・・・慶応義塾 ②大隈重信・・・東京専門学校 ③新島襄・・・同志社 ④津田梅子・・・女子英学塾 ⑤クラーク(米)・・・札幌農学校 ※札幌バンド(日本のプロテスタント発祥地の一つ、内村鑑三など) (5) 学問研究 ①北里紫三郎・・・伝染病研究所、破傷風血清療法 ②志賀潔・・・赤痢菌発見 ③木村栄(ひさし)・・・Z項発見 ④高峰譲吉・・・アドレナリン、タカジアスターゼ創製 ⑤田中館愛橘・・・地磁気の測定 ⑥大森房吉・・・地震計の考案 ⑦鈴木梅太郎・・・オリザニン(ビタミン B1)抽出 ⑧長岡半太郎・・・原子構造の研究 5 IX.明治時代(1) 4.文化史(1) (6) ジャーナリズムの発達・・・本木昭造が鉛製の活字を考案(1851 年) ①横浜毎日新聞(1870 年)・・・島田豊寛、最初の日刊邦字新聞 ②東京日日新聞(1872 年)・・・福地源一郎、のち立憲帝政党の機関紙 ③郵便報知新聞(1872 年)・・・矢野文雄、のち立憲改進党の機関紙 ④時事新報(1882 年)・・・福沢諭吉 ⑤自由新聞(1882 年)・・・自由党の機関紙 ⑥万朝報(1892 年)・・・黒岩涙香 ⑦平民新聞(1893 年)・・・幸徳秋水、堺利彦 (7) ナショナリズムの台頭 ①西村茂樹・・・「日本道徳論」→本当の価値を見出す ②徳富蘇峰・・・民友社「国民之友」 ・平民主義(平民を中心とする欧化)「将来之日本」「新日本之青年」 ・三国干渉を契機に国家主義へ ③三宅雪嶺、志賀重昴(しげたか)、杉浦重剛・・・政教社「日本人」→・国粋主義 ・高島炭鉱問題を報道(1888 年) ④陸羯南(くがかつなん、中田実)・・・「日本」→国民主義 ⑤高山樗牛(ちょぎゅう)・・・博文館「太陽」→日本主義 (8) 文学 ①戯作文学・・・・仮名垣魯文「安愚楽鍋」 ②政治小説 ・末広鉄腸・・・「雪中梅」 ・矢野龍渓・・・「経国美談」 ・東海散士・・・「佳人之奇遇」 ③写実主義 ・硯友社・・・尾崎紅葉、山田美妙 ・「我楽多文庫」(硯友社の機関紙)・・・初の文芸雑誌 ④ロマン主義・・・「文学界」(文芸雑誌)→北村透谷、島崎藤村、樋口一葉、田山花袋ら ⑤自然主義・・・島崎藤村、国木田独歩 (9) 美術 ①日本画・・・岡倉天心、フェノロサ、橋本雅邦 ②洋画 ・浅井忠・・・「明治美術会」 ・黒田清輝・・・「白馬会」(フランス印象派) (10) 音楽 ①初めは軍隊用として導入 ②のち西洋の歌謡が唱歌として取り入れられる (11) 演劇・・・近代的女優第 1 号=松井須磨子 ①歌舞伎 ・団菊左時代(中期)・・・市川団十郎[9]、尾上菊五郎[5]、市川左団次[1] ・河竹黙阿弥(初期) ②壮士芝居 ・川上音二郎・・・「オッペケペー節」 ・角藤定徳(すどうさだのり) ③近代劇 ・文芸協会・・・坪内逍遥、島村抱月 ・自由劇場・・・小山内薫、市川左団次[2] ④大正時代 ・沢田正二郎・・・「新国劇」(1917 年) ・土方与志・・・「築地小劇場」 ※日本画 ・狩野芳崖・・・「悲母観音」 ・橋本雅邦・・・「龍虎図」 ・菱田春草・・・「黒き猫」 ・下村観山・・・「大原御幸」 ・横山大観・・・「流燈」 ※洋画 ・浅井忠・・・「収穫」 ・黒田清輝・・・「湖畔」 ・青木繁・・・「海の幸」 ・高橋由一・・・「鮭」 ・和田三造・・・「南風」 ・藤島武二・・・「天平の面影」 ・原田直次郎・・・「靴屋の親爺」 ・岡田三郎助・・・「某夫人の肖像」 6 IX.明治時代(2) 1.政治史(1)・・・民権派側の動きと政府の対応 (1) 1880 年・・・国会期成同盟(愛国社第 4 回大会、河野広中、片岡健吉ら)←集会条例 ※工場払下げ規則(~84 年) (2) 1881 年・・・明治十四年の政変 ①北海道開拓使官有物払下問題 ・黒田清隆(薩摩)、五大友厚(政商:政府と結び利益を上げてきた特権的資本家)関西貿易社設立 ・1400 万→39 万、30 年賦無利子 ②国会開設の勅諭・・・意見の不一致 ・即時解説論・・・大隈重信 ・時期尚早論・・・伊藤博文(欽定憲法論) ③薩長藩閥による専制体制の基礎が確立→北海道開拓使官有物払下問題・・・即時中止 ④自由党結成・・・板垣退助 ・仏流急進的民約憲法論 ※岩崎弥太郎(土佐) ・主権在民、一院制 ・九十九商会(1870 年)----→郵便汽船三菱会社(1875 年) ・士族、地主、農民、商業資本家が支援 ・共同運輸会社(1882 年、政府、三井) (3) 1882 年 →渋沢栄一が中心 ①立憲改進党・・・大隈重信 ・英流斬新的立憲論 日本郵船会社(1885 年) ・君民同治、制限選挙、二院制 ・知識階級、産業資本家(岩崎弥太郎[1875 年、三菱])などが支援 ②立憲帝政党・・・福地源一郎(福地桜痴、ジャーナリスト) ・国粋主義的欽定憲法主義 ・主権在君、制限選挙、二院制 ・官僚、神官、僧侶、国学、漢学者が支援 ③伊藤博文、井上馨・・・渡欧、グナイスト(ベルリン大学)、シュタイン(ウィーン大学) ④軍人勅諭・・・明治天皇が陸海軍の軍人に下賜した勅諭 ・起草・・・西周 ・加筆・修正・・・福地源一郎、井上毅、山県有朋 ・社会情勢による軍部の動揺を抑え、精神的支柱を確立・・・天皇のための軍隊 ※竹橋事件(1878 年) (4) 自由党左派の激化 ①1882 年・・・福島事件、三島通庸(県令)←河野広中が蜂起 ②1883 年・・・高田事件、政府高官暗殺計画(同年、三池炭鉱囚人労働者騒動) ③1884 年 ※同年、弥生町発見 ※自由党左派の激化 ・群馬事件・・・妙義山麓で蜂起 ・政府の懐柔(板垣・後藤を買収)により ・加波山事件・・・三島通庸の圧政に対抗 自由党分裂 -自由党解党・・・第一回帝国議会招集にあたって再興される →急進派の批判+貧窮農民 -大隈重信改進党脱党 ・秩父事件・・・秩父借金党(困民党)蜂起 ・名古居事件・・・政府打倒計画 ※第一次伊藤内閣 ・飯田事件・・・政府打倒計画 総理大臣 伊藤博文 ④1885 年・・・大阪事件 内務大臣 山県有朋 ・民権運動の衰勢回復が目的 外務大臣 井上馨 ・大井憲太郎(大日本協会)、福田(景山)英子 大蔵大臣 松方正義 ⑤1886 年・・・静岡事件、最後の激化事件 文部大臣 森有礼 (憲法発布の日に暗殺) (5) 1884 年・・・華族令 農商務大臣 谷干城(土佐) ①五爵・・・公、侯、伯、子、男 逓信大臣 榎本武明(旧幕臣) ②旧大名・公家に維新の功労者を加えて拡大 司法大臣 山田顕義 陸軍大臣 大山巌 (6) 1885 年・・・内閣制度 海軍大臣 西郷従道 ①制度取調局(1884 年) ※宮中・府中の別 ②太政官制廃止(太政官=三条実美)→内閣制度(1885 年) 宮内省・内大臣は内閣には属さない →内閣の政治責任を皇室に及ばせない 7 IX.明治時代(2) 1.政治史(1) (7) 1886 年・・・大同団結運動(自由民権運動最後の反政府統一運動) ①後藤象二郎(黒田内閣の逓信大臣)、星亨 ②保安条例(1887 年)・・・反政府的人物を皇居から 3 里以遠に追放 (8) 1887 年・・・三大事件建白運動 ①片岡健吉・・・元老院に提出 ②言論の自由、地租軽減、外交失策の挽回(条約改正ではない) (9) 私擬憲法(1881 年) 私擬憲法案 交詢社(立憲改進党系) 東洋大日本国国憲按 植木枝盛(自由党系) 日本憲法見込案 立志社(自由党系) 国憲意見 五日市憲法 福地源一郎(立憲帝政党) 千葉卓三郎 ※保安条例 ・星亨、中江兆民、尾崎行雄、幸徳秋水 (兆民の弟子)ら、570 余名の民権派を追放。 ・中尾健吉→拒否→禁固刑 ・警視総監・・・三島通庸 二院制 立憲君主制、制限選挙、政党内閣 一院制 人民主権、人権の保障、女子参政権 革命権、連邦制など 一院制 人民主権、人権の保障、抵抗権など (日本帝国憲法) (10) 1889 年 ※東海道線全通 ①大日本帝国憲法・・・欽定憲法 ②皇室典範・・・皇室関係の重要事項を規定する法規。天皇制確立の基本法 ③衆議院議員選挙法 <<憲法の内容>> ①枢密院(1888 年、初代議長=伊藤博文)で審議、黒田清隆内閣 ②発布・・・1889 年 2 月 11 日、施行・・・1890 年 11 月 29 日 ※紀元節、辛酉革命説 B.C.660 年 2 月 11 日=神武天皇即位の日(日本書紀) ④主権・・・天皇、神権天皇制 ⑤制定の中心人物 ・伊藤博文、伊藤巳代治、金子堅太郎、井上毅 ・顧問・・・ロエスレル(独)、モッセ(独) ⑥天皇 ・神聖不可侵、統治権の総攬者→官制制定 ・天皇大権・・・統帥権、緊急勅令、条約締結、宣戦・講和、戒厳令など ⑦国民 ・「臣民」(兵役・納税の義務)としての位置付け ・「法律の範囲内」での言論・集会・結社・出版・信教等の自由 ⑧議会・・・二院制(衆議院・貴族院)→両院平等 ⑨内閣・・・官僚内閣制(首相・・・元老や重臣の推薦で天皇が任命) ⑩国務大臣・・・天皇に対してのみ個々に責任を負う <<選挙法の改正過程>> 公布 公布時の首相 1889 年 黒田清隆 1900 年 山県有朋(2 次) 1919 年 原敬 1925 年 加藤高明 1945 年 幣原喜重郎(旧憲法下で改正) 社会契約説 直接国税 15 円以上 10 円以上 3 円以上 制限なし 制限なし 年齢・性別 25・男 25・男 25・男 25・男 20・男女 ※統帥権の独立 内閣・帝国議会は統帥権行使に 介入できない 内閣 天皇 帝国議会 大元帥 参謀本部 陸軍 軍令部 海軍 ※緊急勅令 ・議会の閉会中、法律に代わるもの ・次の議会で承認なくば失効 ・独立命令→法律の変更は不可 ※貴族院 皇族、華族、勅選議員、 多額納税者(各県から一人) 人口比 1.1% 2.2% 5.5% 20.8% 50.4% 実施 1890 年 1902 年 1920 年 1928 年 1946 年 有権者数 45 万人 98 万人 306 万人 1240 万人 3688 万人 ※1890 年・・・(旧)民法→民法典論争 ・施行断行派・・・梅謙二郎 ・施行延期派・・・穂積八束 1898 年・・・(新)民法(ドイツ流民法) 8 IX.明治時代(2) 1.政治史(2) (1) 1890 年 ※鉄道・・・私営がキロ数で官営を上回る ①第一回帝国議会(~91 年)・・・第一次山県有朋内閣 ②教育勅語・・・井上毅、元田永孚(ながざね) ③地方行政の整備・・・モッセ(独)→三新法に代わる ・市制・町村制(1888 年)・・・山県有朋(内務大臣) ・郡制・府県制(1890 年)・・・自治体の体裁が整う ※教育行政の流れ ・1890 年・・・教育勅語 ・1891 年・・・不敬事件 →内村鑑三(第一高等中学教師)依願解嘱 →井上哲次郎が激しく非難 ・1900 年・・・義務教育の授業料廃止 ・1903 年・・・小学校の国定教科書制度の成立 ・1907 年・・・義務教育年限を 6 年に延長 (2) 初期議会(第一~六回) ・政府と政党が軍事予算をめぐり常に対立(清国に対応する必要) ・超然主義・・・政党を無視→黒田清隆の演説 ・民党が対抗・・・民力休養(地租軽減)、経費削減(軍事費削減) ①第一議会(1890~91 年)・・・第一次山県有朋内閣、利益線 ・全 300 議席中、民党 171 議席、自由党 130 議席、改進党 41 議席 ・自由党土佐派(植木枝盛ら)買収 ②第二議会(1891 年)・・・第一次松方正義内閣 ・海相樺山資紀(薩摩)による薩長擁護の蛮勇演説 L 初代台湾総督(1895 年)、台湾総督府条例(1896 年)、台湾総督府官制(1897 年)→民政長官=後藤新平 ・最初の衆議院解散 ・第二回総選挙(1892 年)・・・内相品川弥二郎(長州)の選挙干渉 ③第三議会(1892 年)・・・第一次松方正義内閣(民党過半数)→選挙干渉の責任追及 ④第四議会(1892~1893 年)・・・第二次伊藤博文内閣 ・自由党と妥協して乗り切る ※財政改革 ・和協の詔勅・・・宮廷費節約、官吏減俸→民党に協力を要請 ①財政の破綻 ⑤第五議会(1893 年)・・・第二次伊藤博文内閣 陸奥外交 原因 ・西南戦争の戦費支出 ・対外硬派連合(国民協会・改進党)による弾劾 vs ・各種官営事業への投資など ・衆議院解散 改進党 財源 不換紙幣・不換銀行券濫発 ⑥第六議会(1894 年)・・・第二次伊藤博文内閣 結果 インフレーション進行 ・衆議院解散 ↓ ②松方正義の財政策(1881~1892 年) ※歴代内閣① ・行政費節約 歳出削減 ・官業払下げ (1885~1888 年) 伊藤博文[1](長州) 歳入増加 ・増税 ・新税創設 大同団結運動 ↓ (1888~1889 年) 黒田清隆(薩摩) ③紙幣整理(1882~1885 年) ・日本銀行設立(1882 年)→兌換紙幣発行 大日本帝国憲法発布 ・国立銀行の営業期間→創立から 20 年間 (1889~1891 年) 山県有朋[1](長州) ・国立銀行の銀行券発行権→停止 →紙幣整理 第一回帝国議会 ・銀兌換開始(1886 年 1 月) (1891~1892 年) 松方正義[1](薩摩) →信用回復 ↓ 品川弥二郎の選挙干渉 不況 (1892~1896 年) 伊藤博文[2](長州) ③通貨流通量減少、デフレーション(1882 年~) ・物価下落・・・農作物の影響大(米・繭価) 日清戦争 ・中小商工業者の窮乏・没落 (1896~1897 年) 松方正義[2](薩摩) ・自作農の没落、寄生地主の成長 ↓ 松隈内閣 都市貧民増加 民権運動激化 賃金労働者増加 資本の原始的蓄積促進 資本主義成立 9 IX.明治時代(2) 1.政治史(2) (3) 隈板内閣・・・政府と民党との妥協(山県有朋は超然主義を堅持) ①第二次伊藤博文内閣と自由党→板垣・・・内務大臣(自由党の与党化) ②第二次松方正義内閣と進歩党→大隈・・・外務大臣 ③第一次隈板内閣(1898 年) ・日本最初の政党内閣 ・板垣退助を内務大臣として迎えた ・尾崎行雄(文部大臣)による共和演説問題で瓦解 ※同年、地租増徴案否決の自由党・進歩党合同→憲政党(第三次伊藤内閣) (4) 第二次山県有朋内閣の政党抑制策 ①政党員を官僚に任用されることを防止 ・文官任用令改正(1899 年) ・文官分限令(1899 年) ②軍部大臣現役武官制(1900 年) ・1913 年→廃止、1936 年→復活 ・陸海軍大臣は現職の軍人でなければ就けない ③治安警察法(1900 年)・・・社会、労働運動の弾圧 ④改正衆議院議員選挙法(1900 年) ・直接国税 10 円以上 ・大選挙区制採用・・・政党の多党化(大政党出現を防止) ※隈板内閣 総理大臣 外務大臣 内務大臣 大蔵大臣 陸軍大臣 海軍大臣 司法大臣 文部大臣 農商務大臣 逓信大臣 大隈重信 進歩党系 板垣退助 松田正久 桂太郎 西郷従道 大東義徹 尾崎行雄 大石正巳 林有造 自由党系 自由党系 進歩党系 進歩党系 進歩党系 自由党系 (5) 立憲政友会(1900 年) ※同年・・・北清事変 ①政府も政党も合同の姿勢を示す→ルーツは自由党 ②幸徳秋水の批判・・・「自由党を祭る文」 ③黒岩涙香 ・「万朝報」→初期、日露戦争反対、のちに賛成(幸徳、堺、内村) ・1903 年・・・幸徳、堺、内村は退社 ④一部資本家らの利益を代表 (6) 1901 年~1912 年・・・桂太郎と西園寺公望の政権→桂恩時代 ※歴代内閣② 伊藤博文[3](長州) (1898~1898 年) 地租増徴失敗 大隈重信[1](憲政党) (1898~1898 年) 隈板内閣 山県有朋[2](長州) (1898~1900 年) 治安警察法 伊藤博文[4](長州) (1900~1901 年) 10 IX.明治時代(2) 2.社会・経済史・・・産業革命、繊維工業が発展 (1) 第一次産業革命・・・日清戦争(1894 年)前後 ※ガラ紡 ①水力(水蒸気)中心 ・臥雲辰致が発明(水力利用) ②軽工業(繊維産業)中心 ・第一回内国勧業博覧会に出品(1877 年) ③紡績業 ・手紡→ガラ紡→洋式機械紡績 ・綿糸生産高・・・輸入高を上まわる(1890 年) ※同年・・・第一回帝国議会 ・大坂紡績会社(1882 年、渋沢栄一)・・・最初の機械制の工場 -華族・政商の共同出資 -ミュール紡績機(英)を利用・・・動力は蒸気力 -電灯を使用・・・昼夜二交代制の採用(1883 年開業) ・綿糸輸出高・・・輸入高を上まわる(1897 年)・・・紡績業確立 ※同年・・・貨幣法 -リング紡績機(英)が普及 -原料・・・インド、中国、アメリカ産綿花 ④製糸業 ・座繰製糸→器械製糸(1894 年)・・・小工場増加、欧米へ生糸を輸出 ・製糸会社・・・片倉組、郡是製糸 ⑤織物業・・・ジャカード、バッタン両機の輸入(1873 年、仏から)→マニュ経営 ※同年・・・改定律例、内務省、徴兵令 ⑥鉄道業 ・官営・・・東海道線全通(1889 年) ※同年・・・大日本帝国憲法 ・民間鉄道会社設立ブーム ・キロ数で官営を上まわる(1890 年) ※同年・・・郡制、府県制 ⑦海運業 ・日本郵船会社(1885 年) ※同年・・・内閣制度、大阪事件 ・ボンベイ航路(1893 年)・・・インドから綿花を輸入するため ※第二次伊藤内閣時代 ・航海奨励法、造船奨励法(1896 年) ⑧金本位制の確立(1897 年)・・・貨幣法公布→1 円=0.75g ※1897 年 ・労働組合期成会(高野房太郎) (2) 1901 年 ※同年・・・北京議定書 ・台湾総督府官制 ①社会民主党 ・朝鮮→大韓 ・片山潜、安倍磯雄(野球を紹介)、幸徳秋水→最初の社会主義政党 ・職工義友会 ・その他・・・木下尚江、西川光二郎、河上清(アメリカで日本を紹介)など ・鉄工組合 ②足尾銅山鉱毒事件 ・官営八幡製鉄所設立(着工) ・古河が経営、渡良瀬川流域 ・社会問題研究会 ・田中正造・・・天皇に直訴(1901 年) ・足尾銅山暴動(1907 年)・・・軍隊が出動し鎮圧 ・荒畑寒村・・・「谷中村滅亡史」 ③官営八幡製鉄所操業開始(1897 年設立)・・・原料輸入→清の大冶 (3) 1903 年 ※同年・・・職工事情(農商務省)、平民社 ①日露戦争前夜 ・非戦論 -幸徳秋水、堺利彦・・・社会主義の立場から反戦論 -内村鑑三・・・キリスト教的人道主義の立場から反戦(日清戦争後) -与謝野晶子・・・「君死にたまふこと勿れ」(1904 年) -大塚楠緒子など ・主戦論 -対露同志会(近衛篤麿) -東大七博士(戸水寛人、頭山満)・・・東大=東京帝国大学 ②小学校国定教科書令・・・教科書疑獄事件(1902 年) ※同年・・・日英同盟 11 IX.明治時代(2) 3.外交史(1) (1) 明治初期の外交 ①壬午事変(1882 年) ・親清派(守旧派)・・・大院君→日本公使館焼き討ち→清国軍により鎮圧→大院君は清へ ・親日派(開花党)・・・閔妃 ・済物浦条約 -日本の守備兵駐留を承認 -賠償金 ②甲申事変(1884 年) ・親清派(事大党)・・・閔妃→三浦梧桜により暗殺か(乙未事変) ・親日派(独立党)・・・朴泳孝、金玉均 ・漢城条約(1885 年、井上馨)・・・日朝間 ※漢城・・・日韓併合後→京城 ③天津条約(1885 年)・・・甲申事変の事後処理と緊張緩和を目的 ※同年・・・「脱亜論」(福沢諭吉) ・日清ともに朝鮮から撤兵 ・軍事教官といえども、派遣してはいけない ・出兵の際は相互に事前通告する ・全権・・・伊藤博文、李鴻章 →外交上の敗北・・・この条約に不満を持つ人々が大坂事件を起こした ④防穀令事件(1889~93 年)・・・朝鮮政府の出した米・大豆の輸出禁止令をめぐって日朝間で紛争 (2) 日清戦争(1894 年)・・・戦費→2 億円 ①東学党の乱(甲午農民戦争)→日清両国が朝鮮に出兵 ②豊島沖海戦→宣戦布告 ③広島まで山陽鉄道開通・・・広島に大本営設置→兵員・物資の送出 ④下関条約 ・全権・・・伊藤博文、陸奥宗光(外相)、李鴻章、李経方 ・清は朝鮮の独立を承認・・・宋主権放棄 ・賠償金 2 億両(テール)=3 億 1000 万円(イギリスの金貨) ・遼東半島、台湾、澎湖諸島・・・日本に割譲 ・沙市、重慶、蘇州、杭州を開く ※東学党 ・李氏朝鮮末期、西学(カトリック)に 反対して民俗信仰に基づく呪術的な 東学道を説く宗教団体 ・邪道として禁圧されたが、過酷な 収奪に苦しむ農民間に急速に普及 ・創始者・・・崔済愚 ・地方幹部・・・全琫準 (3) 三国干渉(1895 年)・・・露、仏、独 ※同年・・・「たけくらべ」「にごりえ」(樋口一葉) ①遼東半島を返還・・・還付金 3000 万両(約 4500 万円) ②臥薪嘗胆(陸羯南が最初)・・・対露敵愾心が高まる (4) 日英通商航海条約(1894 年、日清戦争の1ヶ月前) ※同年・・・大阪天満紡績スト ①清国との開戦にあたってロシア干渉の恐れがあった ②イギリスが好意的態度を示し、その心配がなくなった (5) 列強の中国分割 ①英・・・九竜半島、威海衛 ②仏・・・広州湾 ③独・・・膠州湾 ④米・・・門戸開放、機会均等、領土保全→ジョン・ヘイ(国務長官) ⑤日本・・・台湾、福建省 ⑥露・・・旅順、大連、東清鉄道南部支線敷設権 (6) 義和団の乱(1899 年)・・・扶清滅洋→清国政府が同調 ①北進事変(1900 年)・・・日本は 2 万 2000 人の軍隊→極東の憲兵、連合軍→8ヵ国 ②北京議定書(辛丑和約、1901 年)・・・列国による北京駐兵権 ※支那駐屯軍→盧溝橋事件 (7) 対露政策の対立(1900~1901 年) ①満韓交換論・・・伊藤博文、井上馨、尾崎行雄 ②日英同盟論・・・桂太郎、小村寿太郎、山県有朋(桂、小村の説得による) ③英→「栄光ある孤立」を放棄(1902 年)・・・清、韓における日英の権益を相互に防衛(5ヵ年) 12 IX.明治時代(2) 3.外交史(2) (1) 日露戦争(1904 年)・・・戦費→18 億円 ①戦費財源 ・国内における増税と内国債・外債 ・外債・・・アメリカとイギリス→7 億円 ②開戦・・・仁川沖海戦 ③陸軍・・・遼陽・沙河・旅順の戦い→奉天会戦(1905 年) ④海軍・・・旅順封鎖→黄海→日本海海戦(1905 年) ⑤ポーツマス条約(1905 年) ・斡旋・・・セオドア・ルーズベルト(共和党) ※韓国 ・全権・・・小村寿太郎、ウィッテ 1897 年、朝鮮は国号を大韓と改めた ・韓国に対する一切の指導権 ※同年・・・労働組合期成会、貨幣法 ・旅順、大連の租借権 ・長春以南の鉄道敷設権と付属鉱山の採掘権 ・北緯 50 度以南の樺太の割譲・・・樺太庁設置(1907 年) ※同年・・・ハーグ密使事件、日米紳士協約(1908 年) ・沿海州、カムチャツカの漁業権 ※賠償金なし・・・日比谷焼打ち事件(1905 年)→戒厳令施行 ⑥参加した日本陸軍=109 万人、死傷者=37 万 6300 余人 (2) 韓国併合(1910 年) ①日韓議定書(1904 年)・・・日露戦争遂行への協力 ・韓国内における軍事行動の自由 ・軍事基地提供 ②第一次日韓協約(1904 年)・・・日本人外交・財政顧問を韓国政府内に設置 ③第二次日韓協約(1905 年)・・・外交権を東京外務省に吸収(日韓保護条約) ④統監府設置(1905 年、ソウル)・・・初代総監=伊藤博文 ※同年・・・池買鉄工所 ⑤ハーグ密使事件(1907 年)・・・第二回万国平和会議に派遣 ※同年・・・日本製鋼所 ⑥第三次日韓協約(1907 年)・・・内政権の吸収、軍隊の解散 ※同年・・・樺太庁 ⑦義兵運動(1907~14 年)・・・韓国の反日運動 ⑧伊藤博文暗殺(1909 年、ハルビン)・・・安重根 ※同年・・・ノックスによる満鉄中立化案、三井合名会社 ⑨日韓併合条約(1910 年)・・・寺内正毅、李完用 ※同年・・・大逆事件 ⑩朝鮮総督府・・・初代総督=寺内正毅→武断政治 (3) 日露戦争後の対外状況 ①満鉄問題・・・日本の満鉄独占に対する米の中立化要求 ②イエロー・ペリル(黄禍論) ・日米紳士協約(1908 年)・・・米の日本人移民制限に関する協定 ③桂・タフト協定(1905 年) ・日本はフィリピンに野心がないことを表明 ・韓国指導権を承認される ④日英同盟改訂(1905)及び(1911 年・・・同盟の対象からアメリカを除外) ※アメリカ大統領 セオドア・ルーズベルト[26](共和党)・・・ポーツマス会議 ウッドロー・ウィルソン[28](民主党)・・・ベルサイユ会議 ハーディング[29](共和党)・・・ワシントン会議 13 IX.明治時代(3) 1.政治史 (1) 桂園時代・・・伊藤(後継者→西園寺)、山県(後継者→桂)は第一線から引退 (2) 第一次桂太郎内閣(1901~05 年) ①日英同盟(1902 年)・・・林董(ただす)、改訂(1905 年) ②日露戦争(1904 年) ③第一次日韓協約(1904 年) ④桂・タフト覚書(1905 年) ⑤ポーツマス条約(1905 年) ⑥桂・ハリマン覚書(1905 年) ⑦財政の逼迫 ⑧第二次日韓協約(1905 年) ⑨第二次産業革命進行 日本の韓国進出を承認 ※日露協約(1907~1916 年) 満州・蒙古における両国の勢力範囲などを確定 (3) 第一次西園寺公望内閣(1906~08 年) ①日本社会党(1906 年) ・日本最初の合法的社会主義政党 ・片山潜、堺利彦、西川光次郎(日本平民党) ②鉄道国有法(1906 年) ③南満州鉄道株式会社(国策会社、1906 年) ・半官半民、資本金 2 億円 ・初代総裁・・・後藤新平 ④関東都督府(1906 年、旅順) ・民政部・・・関東庁 ・陸軍部・・・関東軍 ⑤日本製鋼所(1907 年、北海道室蘭) ・三井資本と英国のアームストロング、ヴィッカース両兵器会社が提携 ・日本最大の民間兵器製鋼会社 (4) 第二次桂太郎内閣(1908~11 年) ①東洋拓殖株式会社(1908 年)・・・朝鮮開発の拠点 ②戊申詔書(1908 年) ・日露戦争後の自由主義的傾向・・・思想・風紀の悪化→是正を図る ・国家意識の高揚を図る ③ノックスによる満鉄中立化案(1909 年) ④大逆事件(1910 年) ・幸徳秋水、菅野スガら 12 名処刑 ・社会主義運動の「冬の時代」(~1918 年) ・明星派の歌人であった石川啄木が以後社会主義へ接近 ⑤工場法制定(1911 年) ※同年・・・日米新通商航海条約 ・日本最初の労働者保護立法(施行→1916 年) ・資料・・・「職工事情」(1903 年、農商務省) ※歴代内閣③ 桂太郎[1](陸軍) (1901~1905 年) 日露戦争 西園寺公望[1](政友会) (1906~1908 年) 南満州鉄道株式会社 桂太郎[2](陸軍) (1908~1911 年) 韓国併合 14 IX.明治時代(3) 2.社会・経済史 (1) 社会・労働運動の発生 ①三池炭鉱囚人労働者騒動(1883 年) ※マルクス主義を紹介→高畠素之 ②甲府雨宮工女スト(1886 年)・・・日本最初のストライキ ③大阪天満紡績工女スト(1894 年) 同年・・・日清戦争 ④社会問題研究会(1897 年)・・・中村太八郎、樽井藤吉→社会主義運動が展開され始める ④職工義友会(1897 年) ・発展→労働組合期成会・・・片山潜、高野房太郎「労働世界」(労資協調) ⑤鉄工組合(1897 年) ⑥日本鉄道矯正会(1898 年) ※同年・・・第一次隈板内閣、憲政党 ⑦社会主義研究会(1898 年) ・「社会主義の原理とこれを日本に応用するの可否」を研究 ・片山潜「議会政策論」vs 幸徳秋水「直接行動論」 ・発展→社会主義協会(1900 年)・・・安倍磯雄、片山潜、幸徳秋水、木下尚江(「火の柱」「良人の告白」) ⑧治安警察法(1900 年、第二次山県内閣) ⑨社会民主党(1901 年)・・・安倍磯雄、片山潜、幸徳秋水、木下尚江ら ⑩田中正造直訴(1901 年) ※同年・・・辛丑和約 ⑪平民社(1903 年)・・・幸徳秋水、堺利彦 ⑫日本社会党(1906 年)・・・国法(治安警察法)の範囲内での社会主義を主張(~07 年) ・直接行動派・・・幸徳秋水 ・議会政策派・・・片山潜 (2) 日本資本主義の確立・・・日露戦争前後に重工業の発展 ①製鉄業・・・官営八幡製鉄所設立(1897 年)、操業開始(1901 年) ・ドイツの技術、大冶の鉄鉱石、北九州の石炭 ・日露戦争後・・・八幡製鉄所拡張 ・日本製鋼所・・・1907 年、民間、室蘭 ※同年・・・義務教育 6 年 ②工作機械・・・池貝鉄工所(1905 年) ※同年・・・統監府設置 ③鉄道業・・・鉄道国有法(1906 年)→17 私鉄買収 (3) 財閥の成立・・・三井、三菱、住友、安田→株式会社を財閥本社とするコンツェルン形式 ①三井合名会社(1909 年)・・・日本最初の持株会社 ②三菱合資会社 ③住友総本店 ④安田保善社 ※明治の社会問題 1882 年 東洋社会党、車会(界)党結成 1886 年 甲府雨宮製糸スト 1888 年 高島炭鉱で炭鉱員虐待事件 1894 年 大阪天満紡績スト 1897 年 足尾銅山鉱毒事件 職工義友会結成(高野房太郎) →労働組合期成会に改組 鉄工組合結成 1898 年 富岡製糸場スト 日本鉄道の機関士スト 活版工同志懇話会結成 日本鉄道矯正会結成 1899 年 普通選挙期成同盟会結成 (木下尚江、片山潜、河野広中) 横山源之助「日本之下層社会」 1900 年 1901 年 1903 年 1904 年 1907 年 1908 年 1910 年 1911 年 1925 年 治安警察法公布 幸徳秋水「廿世紀之怪物帝国主義」 農商務省編「職工事情」 平民社結成(幸徳秋水、堺利彦ら)、「平民新聞」 平民新聞・・・「共産党宣言」訳載、反戦運動活発化 足尾銅山、別子銅山で暴動→軍隊出動 赤旗事件(社会主義者を弾圧) 大逆事件(幸徳ら処刑) 石川啄木「時代閉塞の現状」 工場法制定 細井和喜蔵「女工哀史」 15 IX.明治時代(3) 3.外交史・・・条約改正(1872 年 4 月から改正可能) (1) 条約改正の必要性 ①治外法権の容認・・・是正→独立国家の名実回復 ②関税自主権の欠如・・・是正→貿易上の不利益除去 ③片務的最恵国待遇の許与・・・是正→関税収入の増大 (2) 岩倉具視(右大臣、1872 年)・・・最初の交渉(米)、内治の要を痛感 (3) 寺島宗則(外務卿、1878 年) ①主眼・・・主権回復 ②吉田・エバーツ条約 ・賛成・・・米 ・反対・・・英(ハートレー阿片密輸事件)・独(ヘスぺりア号事件) (4) 井上馨(外相、1882~87 年、第一次伊藤内閣時代)・・・鹿鳴館時代(日比谷) ①1886 年~・・・関係諸国と合同の条約改正会議 ②主眼・・・法権、税権の一部回復 ・輸入関税の引き上げ ・外国人の内地雑居 ・外国人判事の任用 ・法典編纂の予約 ③手段・・・極端な欧化主義政策→鹿鳴館(コンドル(英)) ④反対・・・谷干城、ボアソナード(仏)、三大事件建白運動 ※ノルマントン号事件(1886 年) ・英国貨物船ノルマントン号難破 ・英人乗組員→脱出 ・日本人乗客全員(23 人)→水死 ↓ 治外法権廃止の必要性を痛感 (5) 大隈重信(外相、1888~89 年、第一次黒田内閣時代) ①国別秘密交渉 ②主眼・・・法権回復、税権一部回復 ③外国人判事を大審院に限り任用 ロンドン・タイムズが暴露・・・「日本」陸羯南、小村寿太郎が翻訳 ④外国人に内地解放 ⑤玄洋社のテロ・・・頭山満、来島恒喜(すぐ自殺) (6) 青木周蔵(1891 年、第一次山県~第一次松方内閣時代) ①英が同意 ②大津事件で挫折 ・津田三蔵(警察官)・・・ロシア皇太子(のちニコライ二世)を襲撃 ・小島惟謙・・・行政の干渉を受けつつ、司法権の独立を維持→三権分立の意識が広がる (7) 陸奥宗光(1894 年、第二次伊藤内閣時代) ①日英通商航海条約・・・ロシアの東アジア進出を警戒し、日本に好意的となる ・全権・・・青木周蔵 ・法権回復(1899 年実施) ・最恵国待遇相互承認 ②蹇々録・・・外交関係の記録 (8) 青木周蔵(1899 年)・・・改正条約実施(12 年間有効) (9) 小村寿太郎(1911 年、第二次桂内閣時代) ①日米通商航海条約改正調印(日米新通商航海条約) ②税権回復 ※日米通商航海条約・・・1894 年 16