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エネルギー機器学Ⅱ - 筑波大学 大学院 構造 エネルギー 工学専攻
エネルギー機器学Ⅱ 国立大学法人筑波大学 大学院システム情報工学研究科 構造エネルギー工学専攻 阿部豊 講義概要 • • • • • • • • • 科目番号: FG55791 科目名: エネルギー機器学Ⅱ 開講学期: 秋学期AB 曜日: 水曜日 時限: 5時限(15:15-16:30) 教室: 3L206 担当教官: 阿部豊 E-mail: [email protected] http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~abe/ シラバスに記載の事項 • [授業概要] 火力発電所や原子力発電所などの大規模集中 型エネルギー施設における蒸気タービンやボイラなどのエネ ルギー機器,ならびに冷凍・空調・コジェネレーションなどの 小型分散型エネルギー設備における交換機器などの熱機器 の原理や構成,流体・熱・力学エネルギ相互間の関わり、さ らには新エネルギーや地球環境問題とエネルギー機器の関 わりなどについて学ぶ。 • [授業の狙い] 種々のエネルギー形態相互間の変換の原理 と機器の構成について学び、エネルギーを扱うシステムを広 い視野に立って開発・設計する能力を養う。 • [受講生の到達レベル] 火力発電ならびに原子力発電用の 動力機器や冷凍空調機器用の小型分散型熱機器などの熱 エネルギー機器の動作原理や構成がわかるようになる。 授業計画 1. 蒸気プラントの原理 • 蒸気の性質と蒸気表 • ランキンサイクル • 蒸気原動所システムと熱効率 2. ガスタービン発電 • 燃焼と輻射伝熱 • ブレイトンサイクル • ガスタービンサイクルの熱効率 3. 蒸気タービン・ガスタービン複合発電 • 汽力発電とガスタービン複合発電 • 複合発電の熱効率 • 廃熱回収 4. 原子炉プラント • 軽水炉(BWR、PWR)の原理 • 高速増殖炉(FBR)の原理 5. 冷凍・空調・コジェネレーション • 熱交換器の原理と構成 • ヒートパイプ、ヒートポンプの原理と構成 平成25年度講義予定 1. (10/2) 動力エネルギー変換技術の変遷 2. (10/9) 沸騰の科学・蒸気の性質とボイラ 3. (10/16)ランキンサイクルと蒸気プラントの熱効率 4. (10/23)対流伝熱と各種伝熱面・熱交換器 5. (10/30)蒸発管内気液二相流の流動と伝熱 6. (11/6) [月曜日授業] 7. (11/13)燃焼と輻射伝熱 8. (11/20)ガスタービン発電とブレイトンサイクル 9. (11/27)蒸気タービン・ガスタービン複合発電 10.(12/4) 原子力発電 11.(12/11)冷凍・空調・コジェネレーション 12.(12/18)試験 エネルギー機器(熱利用設備) • • • • • • • • • 燃焼機器: ボイラ、蒸気タービン、ガスタービン 発電プラント: 火力発電、原子力発電、廃棄物発電 外燃機関: ジェットエンジン、ロケットエンジン 内燃機関(ガソリン、ジーゼル): 自動車、船舶、原動機 工業炉: 溶鉱炉、金属精錬炉、窯業炉 工業プラント: 蒸留、蒸発、濃縮、乾燥、乾留、ガス化 電気化学反応機器: 燃料電池、太陽電池 冷凍・空調機器: エアコン、冷蔵庫 熱交換器: ラジエター、電子機器冷却、給湯 世界のエネルギー需給 経済生産とエネルギー 消費は正に相関 一次エネルギー源と需要割合 日本のエネルギー需給 Hubbert’s Peak King Hubbert (1903 – 1989) • 1956年に、米国の産油量が、1970年にピークとなり、 その後、減少に転じることを予測。 USA Lower 48 Peak Discovery and Peak Production (Colin J.. Campbell, 2002) 世界の産油量のピークはいつか? Production in 2006 ~81 mb/day in 2020 ~50 mb/day 動力エネルギー変換技術の変遷 動力発生のアイディア • • ヘロン(10年頃 - 70年頃)の蒸気機関 古代アレクサンドリアの工学者・数学 者であったヘロン(10年頃 - 70年頃) が考案したさまざまな仕掛けの中に、 「ヘロンの蒸気機関」と呼ばれるもの が存在する。これは、蒸気を円周上の ノズルから噴出させることで回転力を 得るものである。これが人類史上に蒸 気機関が登場した最初のものである とされる(これは現在のものとは原理 が異なる)。 蒸気タービンに関して、1629年にイタ リアのジョバンニ・ブランカ(Giovanni Branca)が蒸気タービン(衝動タービ ン)の概念を図示したものを残してい る。その後、1882年にスウェーデンの ド・ラバル(Carl G. P. de Laval, 1845年 -1913年)が衝動式タービンを開発(試 作)。1884年にイギリスのチャールズ・ アルジャーノン・パーソンズ(Charles Algernon Parsons, 1854年-1931年)が 多段階反動式タービンを開発(試作)、 1889年に発電用に実用化。1895年に アメリカのチャールズ・ゴードン・カー ティス(Charles Gordon Curtis)が二段 階多速衝動タービンを開発、1898年に はフランスのラトーが現在のものの直 系の原型にあたるタイプのタービンを 実用化した。 動力発生のアイディア ブランカのタービン(1629) 鉱山の水の排水 史跡佐渡金山http://www.sado-kinzan.com/ 水上輪(1653-) パパンの真空機関 パパン パパンのエンジン(1690) 圧力とは・・・・・ • 単位面積S 当たりに加わる力F: P=F / S • パスカルの原理 「非圧縮性流体中に加えられた力 は、流体の他の 部分の圧力を同じ だけ増加させる。」 • 高さhで密度ρの流体の下にある物 体に加わる圧力P : P = ρgh • 圧力の単位: F( N ) 2 ( N / m ) = ( Pa ) P= = S( m 2 ) 10 5 ( Pa ) = 1( bar ) = 1000( mbar ) 10 − 3 ( bar ) = 1( mbar ) = 1( hPa ) = 100( Pa ) P0 h P0 + P 大気圧 • 大気圧とは、「地球上の平均海水面高さにおいて受ける圧力」 • その値は、「水銀の高さ760mm」に等しい。 )( ( ) P = ρ ⋅ g ⋅ h = 13.5951 × 10 3 ( kg / m 3 ) ⋅ 9.80665 ( m / s 2 ⋅ (0.76 ( m )) = 1.01325 × 10 5 ( kg ⋅ m / s 2 / m 2 ) = 1.01325 × 10 5 ( N / m 2 ) = 1.01325 × 10 5 ( Pa ) ≈ 10 5 ( Pa ) = 1( bar ) • また、重力単位系において大気圧は、 P 760 mm 1.01325 × 10 5 ( kg ⋅ m / s 2 / m 2 ) P= 9.80665 ( m / s 2 ) ( N / m2 ) = 1.0332 × 10 ( m / s2 ) 4 水銀 = 1.0332( kg f / cm 2 ) • 地球上の海水面高さにおいて、我々は、1(cm2)当たり1(kgf)の 力を受けている。 サグァリのポンプ機関 サグァリのポンプ機関の外観 (1698) サグァリのポンプ機関の動作原理 ニューコメンの大気圧蒸気機関 (1717) ニューコメンの大気圧蒸気機関の動作原理 ワットの蒸気機関 ワット (1802) ワットの単段膨張ポンプ機関 ワットのアイディア(その1)凝縮器の発明 ワットのアイディア(その2)往復動を回転動へ 横置往復動蒸気機関(1788) James Watt Steam Engine 各機関の動作原理の比較 初期の蒸気機関車 蒸気機関車の動作原理 • 加熱蒸気がピストンの左側に 入る。 • ピストンを右側に押す。 • ピストンが右側に押し切られる と、弁が開いて右側に加熱蒸 気が入る。このときピストンの 左側は低温・低圧となり、蒸気 が排出される。 • ピストンは左側へ動く。 フルトンの蒸気船 (1807) 四段膨張往復動蒸気機関 (1908) スターリングの曲管式水管ボイラー (1889) グレートイースタン号の破裂事故 (1859) 蒸気機関車の破裂事故 (1860) 熱力学の先駆者たち カルノー ジュール マイヤー クラウジウス USSミッドウェー空母博物館 東京電力㈱千葉火力発電所1号タービン発電機 (展示場所)東京電力株式会社電気の史料館 [大型火力用蒸気タービン諸元] メーカー:アメリカ・General Electric Co. 製造年:1956年 形式:タンデムコンパウンド型複流、単一再加熱 出力:125,000kW 回転数:3,000rpm 蒸気温度:1000F(538℃) 蒸気圧力:1,800psi(126kg/cm2) 排気:1.5インチ(38.1mm)水銀柱絶対圧 完全3次元流動設計低圧最終翼群 (3000rpm-48インチ スチール翼) エネルギー利用形態の将来展望 複合ごみ発電(スーパーごみ発電) 家庭用燃料電池システム 東京ガスHPより抜粋 ヒートポンプ