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こちら - 日本観光振興協会

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こちら - 日本観光振興協会
ただいまご紹介に預かりました梶浦です。よろしくお願いします。東京国際映画祭。率
直に今、お聞きになったことある、記憶の片隅にあるという方いらっしゃいますか。あり
がたいです、こんなにいらっしゃるのですね。ありがとうございます。東京国際映画祭で
すが、毎年秋の映画のイベントということで盛大に繰り広げています。今回第2部という
ことで、どちらかというとエンターテイメントという部分を中心にということでお話を聞
いております。そうは言いつつもやはりこういった場でお話しするのであれば、観光業、
旅行業というものも少しミックスしながら、映画との接点というものもお話できればと思
っています。
その東京国際映画祭ですが、ちょっとご覧になりにくいと思います。これは去年の開催
概要です。去年は 10 月 20 日~28 日の9日間、六本木ヒルズと渋谷の Bunkamura をメ
イン会場としまして都内の各劇場および施設、ホール、こういったところを使って実施し
ています。主催が、私がいま所属しておりますユニ・ジャパン。財団法人日本映像国際振
興協会と申します。日本の映像を海外に輸出する。そしてまた日本の映像文化を振興して
いくという役割を担っている団体です。
所管しているのが経済産業省、そして外務省になっています。こういった団体が中心と
なりまして、後援ということで外務省、総務省、いろいろなところが入っています。そし
てあと当然ながら、映画祭ということもありますので、映連と呼ばれる映画製作者団体、
そういったところも後援等についています。こう堅苦しいことばかり申し上げましても、
よくイメージも沸かないと思いますので、次に映像をご覧いただこうと思います。
昨年度の東京国際映画祭のダイジェスト映像になります。これが昨年度のちょうど年末
に、機材本部でちょうど放映されたものです。20 回の東京国際映画祭の概要をまとめたも
のです。
(ビデオ上映)
ご覧いただいたのが昨年度の東京国際映画祭のダイジェスト映像になっています。そも
そも東京国際映画祭とは何か。よく国際映画祭とか、国際と付く映画祭をいろいろなとこ
ろでお聞きになったことがあると思います。一番大きな違いといたしましては、私ども東
京国際映画祭というのは、一つにはアジア最大の映画の祭典である。日本で唯一の国際映
画祭となっています。
実は公認団体というのがございまして、国際映画製作者連盟というのがあります。こち
らが公認している映画祭というのが、世界中でいくとものすごい数があります。その中で、
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唯一公認している日本の映画祭が、この東京国際映画祭になっています。そしてこの映画
祭ですが、期間中およそ 300 本以上の映画の作品の上映を行っています。それ以外にもシ
ンポジウムであるとか、その他イベントを多数繰り広げております。そして映画イコール
総合芸術にふさわしい、多彩な企画。そしてまたフィルムの売買を行うマーケット。こう
いったものも開催しています。
こういった映画祭ですけれども、世界中にはものすごい数があるのですが、実をいうと
長編のコンペティション部門、いうなれば一番良い作品を選ぶような部門を持っているの
が、世界で大体 12 あるのです。それが今、こちらのところで表に出ているものです。つ
い最近開催されたのが、先週までやっておりましたベルリン国際映画祭。あと海外で有名
なところでいきますと、5月に行われますカンヌ国際映画祭。こちらは、ご存知のように
ベルリンという大都市で行っている映画祭ということで、世界でいうと都市型映画祭の代
表なのです。そして逆に5月に行うカンヌは、皆様方ご存知のように、観光地で行うリゾ
ート型の映画祭ということで、いうなれば対極をなしている映画祭となっています。
東京国際映画祭はどちらかというと、六本木、渋谷ということで都市型の映画祭という
位置づけになっています。これが東京国際映画祭というものなのです。そしてこの映画祭
なのですけれども、単に映画の上映だけをただお祭りのようにやっているかというと、決
してそういうことでもないのです。実はあまり知られてはいないのですが、非常にビジョ
ンを持って展開しています。
例えばこれは、私どもの今のチェアマンである角川歴彦氏。この3月まではチェアマン
なのですが、彼が就任以来、掲げていました中長期ビジョンです。映画界にかかわるすべ
ての事業者による、主体的な参加と結集を図る契機に、東京国際映画祭がなること。こう
いったことを掲げています。そして我が国の好イメージ。日本ブランドを世界、とりわけ
アジアに対して発信していこう。こういうことを目的にしています。
そして TIFF は映画産業と映画産業に対して社会的認知が深まるばかりでなく、理解と
共感が高まる効果を発揮すること。こういう事も求めています。そして4番目なのですが、
TIFF は各地の映画祭のハブとなること、そして日本映画祭として位置づけること。そし
て最後ですけれど、 TIFF は日本の映像を世界に輸出し、日本の映像産業の国際化を計る
ための、官民上げての国家事業とすること。
実は中長期ビジョンと呼んでいるのですが、内部では五箇条の御誓文というような言い
方をしています。これを映画祭で実現していく。単純に映画のお祭りをするだけではなく
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て、これが産業に結びつくこと。業界に結びつくこと。そして日本のブランドイメージと
いうものを海外に訴求していくというような、大きな意味を持たせるイベントになってい
ます。
そういった背景があるということで、経済産業省そしてまた総務省ほか、歴代ですと総
理大臣等もセレモニー等にご出席いただいております。そういった位置づけとして、こう
いったビジョンというものも大きく影響しているかと思っております。
そしてこの東京国際映画祭なのですが、先ほど申し上げました角川が就任いたしました
のが 16 回の 2003 年です。2003 年に角川が就任いたしまして、先の五箇条の御誓文を掲
げて映画祭を改革していこう。実を言いますとそれまでが、映画祭というとだんだん勢い
が無くなって、元気が無くなってきた。そこで角川が 2003 年度期に就任し、16 回から改
革を打ち出した。その核となるのが先ほどの五箇条のご誓文であり、この行動計画に表れ
ています。
具体的に昨年までどういうことをしてきたかというのをお話ししたいと思います。まず
2003 年の部分。2003 年は 11 月 1 日から 9 日まで、このときは Bunkamura がメイン会
場となっていました。ちょうど今、左側の写真の所が Bunkamura というより東急さんの
真ん前の道を完全に封鎖しまして、レッドカーペットを敷く。実は渋谷警察署さんとかい
ろいろなところにご相談して、やっと許可が出たのです。これをやるまで前例が全くない
ということで、実現不可能なのではないかと言われていたものだったのですが、各方面の
ご理解が得られて初めて実現ができました。
このとき目指したのは、映画祭というとなんとなく映画館にこもって、皆一心不乱にス
クリーンを見ているというイメージが強いと思うのです。けして映画というのはそれだけ
ではないぞと。言うなればそのレッドカーペットとか、外から見える映画祭。オープンな
イベント、そういったものに変えていこうじゃないかということを、この時からスタート
しました。
それともう一つが、こもっているだけではなくて情報をどんどん発信していこうという
ことで IT 映画祭を目指していこう。IT の機能をフルに使った映画祭へ挑戦をしていこう
ということを、この 16 回から始めました。この時の動員数が約 13 万 1000 人です。
そして第 17 回、2004 年です。この時も新たな目標を掲げて、映画祭を推進しました。
日本の映像を輸出する。先ほど五箇条の御誓文にもありましたが、マーケットというもの
を創設していこうということをこの時に考えました。先ほどベルリンの話とかカンヌの話
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をさせていただきましたけれども、ここは映画祭をやっている以外に、フィルムの売買を
行うマーケットというのが非常に盛んなのです。世界の一流の映画祭というものはやはり、
マーケットというものを完備しています。そういうものがないとコンテンツ産業というも
のの発達がないので、この時に TIFFCOM というマーケットを創設していこう。そしてイ
ベントスペースを活用した、外から見れる映画祭を、さらに実現していこう。
この時から、伝統的な渋谷とプラスして六本木ヒルズ。ちょうど開業して間もない頃で
す。この場所を使いまして、イベントスペース等を活用した映画祭というのを実現しまし
た。このとき初めて、都市型映画祭というものの機能が備わった。言うなれば 16 回の時
から見ますと、一歩進んだ形になっています。この時には小泉元首相にもご登壇いただき
まして、盛大な映画祭を開催することが出来ました。この時の動員に関しては 18 万 666
人。
この時、実を言いますと秋葉原でもマーケットを実施しています。六本木の TIFFCOM
と いうマ ーケ ットは B to Bのマー ケット なの ですが 、秋 葉原は B to C、コン シューマ
ーを対象としたマーケットを行っています。これは言うなれば、本当のお祭りに近いもの
です。これらを含めまして 18 万人の動因を 17 回で実現いたしました。
そして 18 回。この時は、さらに今までのものを強化していこうということで、TIFFCOM
と TIFF の連携を強化していこう。それと秋葉原エンタまつりをさらに強化する。そして
cyber TIFF と いうインターネ ット放送を この時開始 しました。 この形で、 実はこの時が
27 万 2000 人と非常に動員数も伸びました。おそらく皆様も、先ほど映画祭を聞いたこと
があるというふうにおっしゃった方は、この辺りからなんとなく、テレビとかでよくやっ
ている、何か赤じゅうたんを敷いていろいろな人が歩いている、などというのをご覧いた
だいたかと思います。
そして 2006 年の第 19 回。この時なのですが、実は 20 回というものが目前に控えてお
りましたので、20 回という節目を目指して戦略的な展開をしていこう。この時に同時に、
経済産業省が主体となりまして、日本のコンテンツを海外に対してアピールしていこうと
いう ことで、 JAPAN 国際 コンテンツ フェスティ バルという 構想が打ち 上げられま した。
この中核として、この東京国際映画祭も機能していこうということを各方面とも確認し、
実施をしていきました。そして TIFFCOM、マーケット一体となった市場の拡大というの
もさらに進めていきました。
そして次世代を担うコンテンツクリエイターの発掘と育成。こういった機会の創設とい
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うのも目指していきました。この時も阿部首相にお越しいただきました。就任して間もな
い時にご参加いただきまして、お言葉もいたしました。この時の人数が、とうとう 30 万
人を超えました。
そして第 20 回。JAPAN 国際コンテンツフェスティバル第 1 回とちょうど連動していま
す。ここで東京国際映画祭も実施しました。この年は、アジアの映画祭の頂点として、世
界に向けてコンテンツ、情報発信を促進していこう。アジアから世界へ、東京国際映画祭
の地位を確立していこう。そして JAPAN 国 際コンテンツフェスティバルの中核として、
映画祭をさらに拡充していこう。そして国際共同制作の促進により、コンテンツ向上のた
めの国際展開強化を図ろう。ということを 20 回の節目の時に打ち上げました。この時が
34 万 8521 人ということで、16 回から見ますと非常に大きく、そして内容のほうも、非常
に駆け足ではあったのですが、充実してまいりました。これが東京国際映画祭の今までの
足跡です。
そしてこの東京国際映画祭のメイン会場なのですが、先ほどからずいぶん申し上げてい
ますのでもうご理解いただけていると思います。伝統的な渋谷、六本木会場。まず六本木
会場で言いますと、ヒルズを中心にいたしまして各エリア内での装飾、上映、そしてオー
プニング。渋谷会場に関しましても、渋谷地区を巻き込んだ展開。そしてクロージングの
セレモニーというものを展開しています。
これは六本木の会場周辺なのですが、実は外から見える映画祭ということで、いくつか
チャレンジしたこともあります。例えば、映画館だけですとアピールも出来ませんし、ど
うしても人の流れというのが滞ってしまいます。これを六本木で映画祭を開催する時に、
実は港区にいろいろな話をしました。地域で映画祭を盛り上げるような仕組みを作らない
かということで、港区に音頭をとっていただき、東京国際映画祭みなと委員会という支援
組織を作っていただきました。そこに警察、消防、そして鉄道。それと地域の商店街の方々、
企業。要は地域の主だったところに参加していただき、一緒に祭りを盛り上げようという
ような仕組みをこの時、作りました。そこの協力をいただいた形でこういった屋外装飾の
バナー、こういったものを六本木地区、麻布十番地区と幅広い地域に展開することができ
ました。また地域の方々と、特別な上映会を実施するということで、港区としても文化振
興の一翼を担うということで、継続して支援をいただいています。こういった形で周囲を
巻き込むような手段というのも、多々実施しています。
また、この右側の写真が舞台あいさつ。映画の上映前に、映画祭では必ず監督さんとか
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役者さん、プロデューサーの方々がいらっしゃいますので、この作品を見ていただく時に
必ず、挨拶をいただくようになっている。それを目当てに皆さん、映画祭にお越しいただ
いていうような感じであります。こういうものも非常に多く実施いたしました。
そして、単に映画の上映だけではなくて外から見える映画祭ということで、この右側の
ほうが六本木ヒルズのアリーナ。ちょうど森タワーがありまして、テレビ朝日との間にあ
る公共スペースなのですけれど、映画祭の期間中、ここに常設のステージを設けました。
そこのところで上映する映画のイベント、例えば役者さんの挨拶があるとか、イベントが
ある。そういったことも展開いたしました。
ただそのイベントを見るだけではなくて、イベントをしながら、屋台みたいなもので食
べたり飲んだり。簡単に言うとお祭りです。映画館の中では映画を見る。ただ一歩表へ出
るとお祭り。神社に例えると、櫓が組んであって屋台がある。焼きそばを焼いていてめん
こなどを売っている。そういうような集まれる空間というものを作っていこうというのを、
この TIFF パークというところで実施しました。
その他、ヒルズカフェということで、映画祭の装飾をしたスペース。それから屋外上映
をするような、シネマストリートといったものも会場で実施しています。単純に映画の上
映でスクリーンにかじりついているだけではなくて、表にアピールできる、地域を巻き込
んでアピールする。そしてまた、たまたま六本木ヒルズにふらっと来た方でも接触できる
機会というのを、ここで達成しています。
片や渋谷ですが、こちらも映画の上映等を実施しています。舞台挨拶はこちらでもござ
いますし、監督とファンの触れあいというものも実施しています。こういった形のものが
あるほかに、同じく渋谷地区でもセンター街、道玄坂、公園通りという主だったエリアの
バナー等を、地区の商店街の方々から期間中お借りすることができまして、映画祭のバナ
ー等を展開しています。
それと渋谷のちょうどハチ公前なのですけれども、映画祭の情報を伝えるためのインフ
ォメーションブースというものを作りました。通る皆様にアピール、というものを実施し
ています。
そして先ほど映像にもありましたが、これの左側が六本木ヒルズの図面です。先ほどの
映像でもありましたレッドカーペット。どこに敷いているかと申しますと、ちょうど今、
赤の出てきたところ。このけやき坂のところにレッドカーペットを敷きまして、役者さん
の方々に歩いていただいています。昨年でいうと 11 月 20 日 16 時 30 分から 18 時。側道
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の観客数は 7700 名。マスコミが 705 名、招待者数 317 名。
ここからスタートしまして、先ほどのアリーナのところまで来て、大体 250 メートルぐ
らいです。写真がこういうふうになりますが、側道はマスコミで一杯ですし、その外には
一般の方々、ファンの方々が本当に連なっている。今、映画祭の一つの華であり、六本木
ヒルズにとっても大きな集客のイベントになっていると思います。
このレッドカーペットをご覧になられた、もしくは歩いたことがあるというような方、
いらっしゃいますか。さすがにいらっしゃいませんか。ちなみにこのレッドカーペット、
おそらくもしかすると皆様方の社長様もしくは会長様とか、本当にビップの方々というの
は、ご招待されて歩いているかもしれません。残念ながら私も歩いたことはないのですけ
れども、皆さんよく意気揚々とおっしゃる。たかが赤絨毯を歩くだけだろ、という方がい
らっしゃるのです。ただ実際このカーペットの端に立って 200 メートル先を見て、人がこ
れだけいて、しかもライティングもされているというのを歩くとなると、皆さんやはり腰
が引けるのです。歩くぞと威勢良く言っていながら、いざ現地に立つと「いやちょっと・・・」
という形でここを通らずにメイン会場へ行ってしまったりする方もいらっしゃいます。そ
れだけ象徴的なものであり、マスコミにも一番取り挙げられているのが、このレッドカー
ペットになります。
これはオープニングの最初のイベントになります。これはちょうど、オープニングのレ
ッドカーペットの起点のところです。こちらからスタートして、先ほどのステージのとこ
ろまで上がっていただいて、退場していただくという形を取っています。
そしてレッドカーペットが終わった後、隣接していますグランドハイアットホテル、こ
ちらでセレモニーを実施しています。オープニングのレッドカーペットと連動した演出と、
そして甘利経産大臣にお越しいただき、スピーチを頂きました。終了した後、このグラン
ドハイアットの中で同じくパーティー、レセプションを実施しています。この時で約 900
名。いらっしゃっているのは当然、映画の役者さん、ゲスト、監督、その他政財界の VIP
の方々です。こういった方々をお招きして映画祭のオープニングというものを、華やかに
させていただいています。
そして映画祭の、肝心の映画の部門なのですけれど、いくつか大きな部門があります。
その区分けと致しまして、まずは東京国際映画祭の映画の上映部門。そして TIFFCOM、
先ほど申し上げましたフィルムのマーケット部門です。そして秋葉原エンタまつり、B to
Cのコンシューマーを対象としたマーケットのお祭り。これらが合わさります。
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私どもはこれらを合わせて TIFF という呼び方をしています。三位一体となったものを
TIFF として、海外に対しても展開していく。その中で、私が主にかかわっていますのが、
東京国際映画祭のところでございます。ここのメイン部門を申し上げますと、コンペティ
ション部門。映画祭の主要な部門になるのですが、世界中から作品を集めまして上映を行
っています。この長編のコンペティションが存在するのが、世界で 12 です。先ほどのベ
ルリンであるとかカンヌ、そういったところがこの長編のコンペティション部門を備えて
います。いうなれば東京国際映画祭にとっても、一番華のある部門になります。
そして特別招待作品部門。映画祭が 10 月の末に開催されるのですが、ちょうど年末年
始というと、映画の一番の書き入れ時でもあります。例えば東宝さん、東映さん、松竹さ
ん、そういったところですと、クリスマスとかお正月もしくは春にかけて、大作映画が目
白押しなのです。簡単に言いますと、そういった大作をいちはやく上映するのが、この特
別招待作品部門になります。
そして「アジアの風」。世界の映画界でいま、最も活気があるのがアジア映画と言われて
います。このアジアの映画の中の新しい動き、注目すべき作品を集めたのが、この「アジ
アの風」部門ということで位置づけています。
当然海外の映画ばかりではなくて、日本の映画もすごく良い作品が多数あります。そう
いった作品、活気を呈している日本映画というものを紹介する部門が、この「日本映画・
ある視点」。これを主に私どもは4部門というふうに呼んでいます。
そして昨年 、 20 周年 ということ がありまし たので「映 画が見た東 京」。 先ほ どの DVD
の映像にもありましたが、映画がどういうふうに東京という街を見てきたのか。こういっ
たものを、国内でも上映します。今後は海外とかでも見ていただく機会を作れたらいいの
ではないか、というようなことを話をしています。
そして今度は逆に、世界中の、なんと言いますか、質の高い映画というものを日本に呼
んで、持ち込んで紹介する部門という事で、ワールド・シネマというものも展開していま
す。そして先ほどの TIFF パークを含めたイベント。TIFCOM。そして秋葉原エンタまつ
り。こういったものが東京国際映画祭、TIFF というものの主な部門になります。
そして個別にはこのコンペティション部門。ちょっとご覧になりにくいと思うのですが、
世界中から作品が集まっています。例えばこれですと、中国と日本の合作、イタリア、フ
ランス、ポーランド、カナダ、アメリカ、ドイツ、イラン、日本、インド、デンマーク、
イギリス、メキシコ、日本、日本、中国。ということで、本当に国際映画祭ということで、
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世界中から作品が集まっています。それぞれ国を代表する監督。なかなか日本ではなじみ
のない方々かもしれませんけれども、その国では当然、有名な監督さんです。そういった
方々が、この東京国際映画祭のコンペティションに応募いただいています。
昨年度グランプリを取ったのが、「迷子の警察音楽隊」。イスラエルとフランスの合作で
す。国際映画祭ですので、集まってくる作品は非常に多岐に渡ります。そこで応募作品数、
地域動員人数の動向というのをちょっとまとめてみました。
これが動員数です。先ほどから申し上げているように、右肩上がりではございます。そ
してこれが応募作品数です。17 回のときに若干少し下がったのですが、作品数としても非
常に増えてきています。先ほど挙げました写真です。15 本しかないのですが、実は応募し
ている作品数というのが非常に多くありますし、応募している国の数は昨年度で言います
と 67 の国の地域。かなり大きな数だと思います。こういったところから、この東京の映
画祭に出品をしようということでご応募いただいています。世界から注目を集めている東
京、ということも逆に言えるかと思っています。
これが「アジアの風」部門です。これはアジアに特化していますので、アジア、中近東。
こういったエリアの作品を集めています。
「日本映画・ある視点」です。こちらは日本映画に特化した作品という事で展開してい
ます。
そしてワールド・シネマ。これも世界中から集まった作品になります。こういった作品
を紹介することによりまして、極端に言うとその国を知ってもらう。もしくは日本映画を
やることによって、海外から来たお客様に日本の魅力というのを分かっていただこうとい
うことを展開しています。
そして新しい試みということで、映画を見終わったあと、例えば奥様、ご友人とかと行
かれると、映画について語り合うことを皆さんされますよね。あの映画つまんないとか、
面白いとか。何かそういった場というものが、交流をするためにも非常に重要なものがあ
ります。実はここも、昨年度開設したところです。通常、六本木ヒルズのヒルズカフェと
いう部分なのですが、映画祭の開催期間中は、ムービーカフェということで、映画一緒に
染め上げたカフェとして展開しています。この場所で記者会見を行ったり、ファンとの集
い、そういったものを展開しています。
そのほかのところで言いますと、シネマストリート。これも六本木ヒルズ内の公共スペ
ースなのですけれども、ちょうどこちらにカフェ風の椅子とか並んでいます。その奥に、
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実は高輝度のモニターを4機設置しまして、チェコアニメの上映を行っています。いうな
れば、親子連れがふらっと来た時に、ちょっと見ていただけるようなもの。劇場で映画を
見るだけが映画ではない。もっと接点を持ちたいということで、こういう形の展開をして
います。
そして先ほどから出ています TIFF パークです。六本木ヒルズアリーナに展開していま
す、こちらのイベントです。実はこちらに非常に大きなモニターがあります。ここを使い
まして映画の上映等も実施しています。これは今、絵で入っているものも模様なのです。
こういったものをオープンな空間で、誰でも見られるものという事で展開をしています。
左側にちょっと青っぽいのが入っていますが、これは実を言いますとロケーションアリ
ーナと言います。各地の FC、フィルムコミッションの情報を展開するブースというも の
も作っています。いうなれば地域の方々、 FC の 方々の情報を発信する場として、映画 祭
を使っていただこう。という試みも昨年実施をしています。
そしてこれが、そのアリーナの平面図なのですが、ちょっとご覧になりにくいと思うの
ですが、こういった卵形の部分がアリーナです。この部分にレッドカーペットを常設で敷
いたのがオープニングです。この部分がこういったイメージで展開されています。図面で
見るとちょっと味気ないのですけれど、実際こうやって写真等で見ていただくと、そのイ
メージというのをおつかみいただけるかと思います。
そしてこの下の方が通常時です。レッドカーペットは当然ありません。ただこういった
形のイベント、先ほどの屋台。そのほかに、皆さんでしたら、日清さんが今カップヌード
ルのキャンペーンで「FREEDOM」というアニメーションを展開されているのをご存知か
と思います。その上映会をこの場で開催しています。
そのほかにも映画の音楽のライブ、音楽イベントといったものも無料で展開しています。
いうなれば、映画というものにかかわるものであれば、音楽であろうとなんだろうと、こ
の公共の場を使ってアピールしていただこう。公共のイベントですのでそういった事を展
開していくということを考えました。
そしてクロージングのセレモニーです。こちらが渋谷のオーチャードホール。ここにも
クロージングの時にレッドカーペットを敷いています。長さは残念ながら 20 メートルち
ょっとなのですけれども、ここのところに敷きました。それでも側道の観客数が大体 1000
名。マスコミで 200 名という方々にこちらにいらっしゃっていただいて、展開いたしまし
た。こちらがその写真です。
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クロージングのセレモニーは、こういったクロージングの作品の上映というのもありま
すし、主に表彰関係です。どの作品がグランプリを取ったのかとか、そういったところを
行うのがこの場面になります。これをオーチャードホールで実施しまして、その後にレセ
プションパーティということで展開しています。昨年度で言いますと役所広司さん等がお
見えになりまして、ご挨拶等もいただきました。
これが受賞の結果です。先ほどの映像にもございましたが、コンペティション部門は東
京サクラグランプリ。これがコンペティションの最高賞になるのですが「迷子の警察音楽
隊」ということで、ご覧の作品が賞をとっています。
いまご紹介してきたのは映画祭のメイン部門が中心なのですが、実は非常に多くの関連
の企画を抱えています。例えばシンポジウムであるとか、もしくは新人の登竜門になる部
門とかいろいろあります。そういうものを私どもは協賛企画という事で呼んでいます。
ここはもうほとんど読めないと思いますが、このリストが2枚あって約 30 企画ありま
す。正直言うと、私も係わってはいるのですが、会期中ということもありほとんど行けて
いないというのが現状です。どこまで細かいことをやっているかという事はさっぱり分か
らないのです。けれどもその各々が、例えばシンポジウムで目的を持ってしっかりと行う。
もしくは上映にしても、目的を持って展開しています。フィルムマーケットもその中の一
つに入っています。40 カ国から 3505 名の方がこの東京にいらっしゃっています。
そして秋葉原のエンタまつり。こちらが約 15 万 7000 人。こういったところと、あとは
私が事務局長を兼ねています東京ネットムービーフェスティバル。これはインターネット
上の映画祭になります。インターネットで作品をアップロードしていただき、見る方々が
人気投票で最終的な 10 作品を残して決勝に進ませるという、完全なインターネット映画
祭になっています。こちらを昨年も実施しました。
ここに一つひとつあるのが実は、1 個 1 個の作品です。これをご覧いただくこともでき
ますし、この作品を決勝に残すかどうかという投票もできる仕組みになっています。おそ
らくこれを実施した段階では、世界の映画祭でも初めての試みです。NTT さんの、ユーチ
ューブに近い技術にクリップライフという技術があるのですが、それを活用しまして実施
した映画祭です。
この映画祭なのですが、実を言いますと単純にインターネットでやれば良いということ
だけではなくて、新人育成ということも大きなテーマに持っています。先ほどまで申し上
げていました東京サクラグランプリ、コンペティション部門。いうなれば東京国際映画祭
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の一番の頂点になります。そしてまた「日本映画・ある視点」。ここの特徴なのですが、全
作品ともフィルムで作られているのです。
多分あまりご存じないかもしれませんが、フィルムというのは作るのに非常に莫大な金
額がかかります。実績のない監督さんとかですと絶対に作ることができないのです。また
ほとんど、個人の力で作るようなものではありません。ということは、本当にハードルの
高いものになるのです。ましてや東京国際映画祭のような、海外の映画祭に出品しような
どと思うと、ハードルがものすごく高い。
ハードルは高くても全然かまわないのですが、実際作る人達とのはいろいろいるわけで
す。例えば若手の監督であるとかクリエイター、もしくは高校生、専門学校、大学、大学
院。いま日本中の学校でも、コンテンツのプロデューサー育成であるとか、クリエイター
育成というのにずいぶん力を入れています。そう人たちがここまでどうやってたどり着く
のか。
一本作るだけでも数千万は楽にかかるフィルムの映画なんて、どうやって作るのか。コ
ネもなければお金もない、そういった人たちのために、どうにかしていかなくてはという
事で、実はいま私どもの自主企画はこの部門なのですが、先ほどちょっとお話しをしまし
た協賛企画。ショートフィルムであるとか、いろいろなのがあります。それでも、ハード
ルが少し下がってはいるのですが、まだまだ溝があるのです。例えばデジタルで撮るとい
っても、なかなか発表する場も無かったりする。フィルムでといっても、いかに短いフィ
ルムであっても金額がかかります。
そこで作ったのが、この東京ネットムービーフェスティバルです。皆さんも多分、ご家
庭にデジタルカメラとかございますよね。おそらく今ですと、パソコンで編集したりとか
というのを、かなり日常的にやられていると思います。実は若手のクリエイト達というの
は皆さん、それを数年前からずっと実施しているのです。例えばそういった技術を使い、
インフラを使いながら、なおかつインターネットという、見てもらうのにお金の掛からな
い場所。そういうことを使うことによって、若手の人たちをより一歩高いレベルに引き上
げていこうというようなことを、この東京国際映画祭では考えています。
言うなればこの頂点だけということではなくて、この大きな三角形のところを作ってい
くことによって映画産業、そしてもっというと映画の監督であったりする人たちを育てて
いこうということを、この企画に込めています。
その他協賛の企画として実施している企画では、みなと上映会。これは去年 10 月の、
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忘れもしない 27 日土曜日。実は台風が来たのです。開催期間中、オープニングの日は先
ほどのレッドカーペットをやるので、いつも天気図とにらめっこしているのです。当然そ
の時は問題なかったのです。この時期に台風なんか来るわけがないだろうと思っていたら
ば、週の後半ぐらいに、伊豆沖ぐらいに急に台風が沸いて出てきてしまった。あろうこと
かこの東京に来るという、この時期としては非常に稀なことがありました。
たまたまこの企画は私が主催でやっていました。港区との合同イベントです。今ここの
下に作品等かありますけれど、屋外でアニメーションの無声映画に、声優さん達がその場
で声をつけるという、ボイスオーバー上映というのをやっているのです。これがそのステ
ージ上の声優さん達です。この声優さん達がその台風の中を、こういった形で声をあてて、
先ほどの大きいスクリーン、テレビ朝日さんのところにあるモニターで上映をする。
この時、やるかやらないかを朝から関係者で議論をしていて、やってしまったのですが、
実際やってみると合羽を着た人たちを含めて、ものすごい数が来たのです。ほぼ席が埋ま
ってしまったのです。こういったような上映を実施しています。屋外上映ということで、
いろいろな人たちに映画に親しんでもらおう。新人ということも考えますけれど、映画を
見る人というのも若いうちから接点を作っていきたい。というようなことをここで考えて
います。
そしてジャパンロケーションマーケット。これは先ほどのアリーナに設置しましたロケ
ーションアリーナブースと呼ばれているものです。これが中なのですけれど、各地 の FC
がどういう活動をしているかというものをまとめています。またステージ上、ちょうどこ
れはフラダンスなのですが、その地域に合わせて、例えば映画を軸にしながらエリアも紹
介していいよということで、様々なことを展開しました。また来たお客さんにニンニクを
配ったりとかお米を配ったり。ご当地と映画製作者、それと東京国際映画祭というものが
三位一体となって、このイベントというものを展開しています。
そしてここで、このロケーションマーケットをご紹介する映像がありますのでご覧いた
だければと思います。この映像は先ほどちょっとご紹介した、cyber TIFF というインター
ネット放送をやっているのですが、番組として 100 タイトル以上を期間中に製作していま
す。その一本になります。番組としていろいろなところに上映とか放映もしています。今
回のロケーションアリーナという部分を特集した番組を、今日ここでご覧いただければと
思っています。
映るまでの余談ということで申し上げます。このロケーションマーケットなのですが、
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実をいいますと経済産業省さんと一緒に行っているイベントとなっています。地域のフィ
ルムコミッションを活性化させようということで、実はこの六本木ヒルズの会場内ではロ
ケーションマーケットという、実際のB to Bのマーケットというのも展開しています。
ただそれだけですとアピールという面では弱いので、今年初めてこういった形の、コンシ
ューマーに対して訴えかけられるイベントというのを作りました。
(ビデオ上映)
こういった形のイベントは、実は今年初めてだったのですが、まさかここでフラガール
をここでやるとは誰も想像していなかったようです。周囲からは、意外に面白かったよと
いう言葉もいただきました。いま紹介しているのが、この映像を作った段階ではまだフィ
ルムが出来上がっていないのです。ちょうど今ぐらいの時期から春にかけて公開を目指し
ているような作品です。その PR の場ということで、この東京国際映画祭を活用してもら
っています。
いまご覧いただいた映像というのも、TIFF の総合配信プロジェクト、cyber TIFF の映
像のひとつです。この cyber TIFF というものなのですが、総合情報配信プロジェクトと
いう。都市型映画祭の機能を最大限に活用していこうということで、IT を全面的に押し出
しています。一つはインターネット、モバイル。ムービープラスというのは CS 放送です。
そしてセカンドライフ。こういったものを含めて我々は cyber TIFF と呼んでいます。
そしてこの cyber TIFF ですが、リアルな空間でも東京国際映画祭といったものがあり
ますが、実はもう一つ、バーチャル空間での東京国際映画祭というものを作ろうというの
が目標です。つまりリアル世界の東京国際映画祭をバーチャル世界で実現しようという試
みです。インディーズコンテンツのコンペティションであるとか、次世代映画祭の実証実
験。まさにバーチャル空間の東京国際映画祭を開催していこう。その映画祭とリアルの映
画祭 を連動させ ることによ って、Web2.0 時 代の 新しい都市 型映画祭を 実現してい こう、
ということを目指しています。
こちらが cyber TIFF プロジェクトの映像です。ちょっとご覧いただければと思います。
ご紹介する映像がもう一つありますので、ここで cyber TIFF の紹介映像をご覧いただけ
ればと思います。
(ビデオ上映)
これがご紹介の映像です。どうしてもスクリーンを見るだけの映画祭ということになり
ますと、情報が偏ってしまいます。また、発信しにくいというのがあります。それをこの
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cyber TIFF で積極的に打ち出していこうということで始 めた情 報配 信プロ ジェ クトで す。
次は、こちらが公式の動員数で、昨年度が 34 万 8521 人ということになっています。そ
れ以外の、ではマスコミに対してパブリシティがどう露出したのか。昨年は長澤まさみさ
んがオープニング女優ということで歩いていただきまして、非常に多くのメディアで取り
挙げていただきました。多分ご覧になられた方も多いと思います。昨年度で言いますと、
新聞では延べ数で 711 媒体、雑誌で 419 媒体、電波で 178 倍体。そして Web で 736 媒体
と非常に多くのメディアで取り挙げていただいております。
ここまで映画祭の話をしていましたが、いろいろな海外のお客様というのも、東京国際
映画祭にいらっしゃっています。ただ、それというのは日本だけではなくて海外の映画祭
でも、観光客誘致をいうのを実際に行っています。その参考事例ということで、フランス
のカンヌ。当然場所としては、このエリアです。リゾートしても非常に有名なところでも
ございますし、ちょうどこのカンヌ映画祭が終わった直後、お隣のモナコでF1グランプ
リ、モナコグランプリが開催されます。といった意味で、非常にこの周囲を使って、エリ
アを使ってのイベントというものが、自治体を巻き込んで展開されていると言えます。
これがその空撮写真ですが、ちょうどこの部分がカンヌ国際映画祭の主要エリアです。
ここの海岸線のところも使いながら、いろいろなパビリオン展開等をしています。これが
その写真です。日本と同じくレッドカーペットを敷き、いろいろな方々、VIP の方々が歩
いています。そしてこちらは別のカットと記者会見場。こちらがフィルムマーケットです。
ここには本当に世界中から、フィルムを売りたい人、買いたい人。それが集まってまいり
ます。
当然そういう人たちが集まるということで、街も非常に活性化しています。例えば海岸
沿いに関しては、ちょうど今ここにありますが、櫓を組んでここで屋外上映できるような
スペースを作っています。当然パビリオン等もあり、非常に賑やかな空間。街中も華やか
に装飾を行っています。ホテルもこの時期、映画祭開催期間中は、1泊2泊とかという形
ではなくて2週間まとめて取ってくれないとホテルを貸しませんというふうな形で、なか
なか商売としても潤っているようです。
そしてまたお店自体も映画祭に合わせてポスターの掲載もします。ちょっとご覧になり
にくいのですが、これは女性のドレスなのですが、フィルムで作ってあるのです。象徴的
なものを作っているということで、一つひとつのお店、街というものも、映画祭を盛り上
げよう。それによって観光集客装置にしていこうという考え方が非常に明確に出ていると
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ころだと思います。今年は5月 14 日から 25 日に開催されます。
これはおまけです。これはシャロン・ストーンですが、実はこの公園の辺りに、来場し
ている役者さんが手形を押しているのです。それを公園に埋め込んでいる。要は来たとい
うことを街の財産にしていくというようなことも実施しています。いうなればこれも、一
つの観光資源になりうるものだと思います。
国内ではこういった例がどうだろうかということで、参考事例としてゆうばり国際ファ
ンタスティック映画祭。夕張市というと皆さんご存知のように、財政破綻してしまってい
るのですが、今年3月にまた復活するということになっています。この特徴的なのが、映
画人と観客、市民、この三者をうまく結び付けよう。ともに育むということをテーマにし
て、実施しています。すべてが町の皆さんの手作りです。左側のほうは、会場の一角で地
域の物産をご紹介するコーナー。そして例えば、雪のオブジェみたいなものも作られてい
ます。映画のある町夕張へ。これは実は右側のところ、市役所の前に広場があるのですが、
ここで無料のバイキングや振る舞い酒をしたりしているのです。「地域の人たち」と、「映
画を見に来た人たち」、「ゲスト」。そういう方々との交流の場というのを作っています。
そして街中にも、これは薬局さんと仏壇屋さんなのですが、その脇にもこういった形で
映画というものを取り込んで、映画の町というものを表現しようとしています。こういっ
たことで、イベントをやることによって外部からお客さんを招き込もうという様な考え方。
映画祭を核にしたビジネス展開ということが、世界でも日本でも展開されています。
そしてその他にも、このゆうばり国際ファンタスティック映画祭の中では、夕張の中で
もロケに適した場所があるということで、ロケーションマーケット、ロケーションショー
というのを実施しています。次にお話しすることにつながってまいりますが、これも一つ
には、集客するための新しいビジネスの要素になり得ていると思います。これが、映画製
作に伴う観光客誘致。
先ほどのロケーションアリーナの映像にもありましたが、実は日本各地で、非常に多く
の作品が撮られています。ご覧いただくといろいろな作品があるのです。例えば「犬神家
の一族」は長野県。
「座頭市」。こういったものも有りますし「スウィングガール」、いろい
ろな作品があります。日本全国でこういった映画が撮られていますし、それをまたビジネ
スチャンスに結び付けようという動きも、多々あります。
ここで例示として挙げたいのが「男たちの大和」。ご覧になられた方もいらっしゃると思
いますが 2005 年公開作品です。こちらが興行収入で約 50 億円。かなり大ヒットした作品
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ですので、ご覧になられた方も多いと思います。またもう一つ話題になったのが、実物大
のセットを作って、そのセットを今度は観光の資源にしてしまおうということです。それ
に合わせて大和ミュージアム、もしくはこういったロケで使ったセット自体を展示すると
いうことで、非常に多くの成果を上げました。
これが広島県の資料なのですが、実は厳島神社は 2005 年に 140 万人なのですが、大和
ミュージアムが 2005 年にできた時に 122 万人動員しているのです。また呉市に関しても、
非常に大きな観光収入を得ています。ですので、一つには映画祭をやることによって来て
もらうというのもありますけれども、映画製作に伴ってお客を呼び込むといったことも、
映画というものは可能なのだろうと思っています。
では映画産業、映画業界の産業力というのはどのぐらいのものか。ここに挙げているの
が 2007 年、昨年の興行収入が 10 億円以上の作品。トップ 15 です。
去年映画を劇場でご覧になった方、いらっしゃいますか。結構いらっしゃいますね。で
はその内で2本見た方、2本以上見た方。3本ご覧になった方。段々ちょっと少なくなり
ますね。ありがとうございます。実はこれが、去年の興行収入の一覧です。
昨年度で言いますと「HERO」。これが東宝さんで 81.5 億円の興行収入を上げています。
その次に来ているのが「ポケットモンスター」。そして「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
「西
遊記」「武士の一分」。だいたい映画の収入、映画の興行でヒットと呼ばれる目安が 10 億
円を超えたところです。いまここに挙げているのが、大体 20 億以上ですので、非常にヒ
ットした作品です。
そして今度は洋画ですが、洋画に関しては「パイレーツ・オブ・カリビアン」。こちらが
109 億円と、これはダントツです。100 億円を超えているのは唯一、この作品だけです。
そして「ハリーポッター」、これが 94 億円。「スパイダーマン3」71.2 億円。一つひとつ
が非常に大きな売上をしていますが、皆さんなんとなく、あの話題性のある作品の割には、
これしか売上は無いのという疑問がおありかもしれません。
実を言うとこれが平成 19 年度の入場人員です。上段のところが1億 6300 ということで
だいたい 1 億 6000 万 人が見ています。去年の 8 月のデータですけれども、日本の総人口
が1億 2700 ですので、平均すると国民一人当たり 1.277。2 本は見ていません。ですので
先ほど皆さん、2本見た方というのがかなり多いので、正直びっくりしたのです。このぐ
らいいらっしゃると、このデータだけでいくと少ないのだろうということで、皆さんはか
なり、アンテナを敏感にはられているのではないかと思います。
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そして業界全体の興行収入なのですが、2000 億円を切っています。
「そんなに少ないの」
というイメージがあるかもしれませんが、これが映画業界の、単体での指数と言っていい
と思います。そして一昨年で言いますと、実は平成 18 年度は邦画、日本の映画が洋画の
シェアを上回ったのです。21 年ぶりの快挙と言われたのですが、19 年度はまた再度逆転
されてしまいました。そうは言っても、そう大きな差ではないのです。若干横這い、微減
といったレベルかとは思っています。ただご注目いただきたいところで言うと、この約
2000 億というところです。
いまご覧頂いた数字というのは映画単体、劇場公開という部分のところの金額です。こ
こは約 2000 億円です。これがいま言う興行収入の部分なのです。ただ映画には、非常に
大きなウィンドウと言われるものがあります。我々はワンソース・マルチユースという呼
び 方 を し てい ま す 。 例え ば 劇 場 公開 が 終 わ りま し た 。 有料 放 送 、 DVD、 そ し て 地 上 放 送。
そして各種マーチャンダイジング。そして周辺産業とのプロダクツ。そういったものを含
めると産業規模とすると約2兆円になります。それだけ映画というものが、それを元とし
てビジネス展開をしやすいものだということで、我々はコンテンツのマルチユースという
呼び方をしています。
こういったことが、非常に大きな映画の特徴と言えます。また今この中には、おそらく
先ほどの観光の部分等は入っていません。そういった部分を映画と一緒にやることによっ
て、観光産業もしくは旅行産業に関しても、大きなメリットと相乗効果が出るのではない
か。新しい意味でのマルチユースというものを結べると、非常に良いのではと思っていま
す。
そしてまさにここが「映画の力と地域、そして日本」というところになるのです。再三
申し上げていますが、東京国際映画祭はアジア最大の映画の祭典です。世界の映画製作者
がこの日本に集まってきます。また映画に関わる周辺産業の人たちも、ここに集まります。
フィルムコミッションの人たちも集まってきます。そして世界のマスコミもここに集まり
ます。言うなれば日本、アジア、世界から TIFF へ集まってくる、そういう構図です。
そして、日本の魅力というものを世界に発信する。日本文化の魅力を世界に。日本の地
域の魅力というものも世界に。日本ブランドを世界に発信。これも言い換えますと、TIFF
から日本、アジア、世界に。こういったことを行うことによりまして、東京国際映画祭、
ひいては映画の持つ力で、日本と世界、そして人々の交流というものを促進していきたい
と考えています。これこそが映画の力という部分だと思いますし、また我々映画というも
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のですと、なかなか日本に着てみようとか、行ってみようという動機付けはできても、具
体的に行動に移したときに何のフォローも出来ません。そういったところは、皆様方と一
緒になりながら、では本当に日本に来ていただこう。日本を知ってもらおう。
今ポスターでも貼ってありますけれど「行ってみたい国、行ってみたい港があります」。
まさにそれを、日本のどこかというようなことに出来るような仕組みを、ご一緒にできれ
ば一番いいのではないかと思っています。それこそが映画の力、もしくはご活用いただけ
るような一つの要素になるのではないかと思っております。
簡単ではございますが、以上でございます。(拍手)
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