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IPv6機器の相互接続性について

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IPv6機器の相互接続性について
エンタープライズIT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ)
IPv6 機器の相互接続性について
詳細な情報を確認
IPv6Ready ロゴプログラム
取得状況
300
することができ
250
る。今年8月末時
200
点ではフェーズ1
の相互接続性について取り組む組織
で 250 製品が取得
であるIPv6 Ready Logo Committee
しており、フェー
(体制図は図1参照)では2003年9月
ズ 2 では 50 製品を
から開始されたIPv6Readyロゴプロ
越えた(グラフ1、
グラムフェーズ1に続き、2005年2
2参照)。これら
月からより実用的、かつ専門的機能
は製品の市場価値
について、IPv6 の機能への適合性
を高めるために相
を見るための IPv6Ready ロゴプロ
互接続性の確保が
グラムフェーズ2を開始した。
重要であるという
50
IPv6Ready ロゴプログラムフェ
ことをベンダ各社
40
ーズ1、フェーズ2の認定状況につ
は認識していると
いては、それぞれ Web サイトにて
いえる。また国別
認定件数
IPv6 Forumの組織の中でIPv6機器
150
100
50
9月
7月
5月
3月
1月
9月
1
7月
5月
3月
1月
7月
9月
1
1月
1月
2006年
2005年
5月
3月
1月
1
1月
2004年
0
グラフ 1 IPv6Ready ロゴプログラムフェーズ 1 認定製品数
認定件数
60
30
20
10
2006年
2005年
アメリカ
IPv6 Ready logo Committee
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
9月
1
0月
1
1月
1
2月
1月
8月
7月
6月
グラフ 2 IPv6Ready ロゴプログラムフェーズ 2 認定製品数
ヨーロッパ
IPv6 Forum
5月
0
ETSI-IRISA
4月
UNH-IOL
UNH-IOL:ニューハンプシャー大学
インターオペラビリティラボ
ETSI:欧州電気通信標準化機構
IRISA:Institut de recherche en informatique
Et systems aleatires
に取得状況を見てみると、ロゴプロ
グラムフェーズ 1 については日本が
47% を占めており、台湾の 14%、米
韓国
サーティフィケーション WG
TAHI Project
中国
台湾
国 13%、韓国 12% と言う内訳である
が、フェーズ 2 においては、日本が
28% を占めており、米国 24%、台湾
IPv6普及・高度化推進協議会
日本
の 18%、中国 12%、韓国 8% という
アジア
図 1 IPv6 Ready logo Committee 体制図
ビジネスコミュニケーション
2006 Vol.43 No.11
割合となっている。これは日本が先
行していた IPv6 が今では米国、ア
113
エンタープライズIT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ)
ネットワークカメラ、
ビデオサーバなど
その他
その他
7%
オフィス向け機器
7%
組込用OS、スタック、
コントローラ等
10%
ルータ、スイッチ
など(52%)
ルータ、スイッチ
など(29%)
オフィス向け機器
9%
18%
16%
組込用OS、スタック、
コントローラ等(24%)
汎用OS、スタック
汎用OS、スタック
グラフ 3 ロゴプログラムフェーズ 1 取得製品の傾向
グラフ 4 ロゴプログラムフェーズ 2 取得製品の傾向
ジア各国がIPv6製品の割合が増加し
る」ことである。これは電話の世界
機器(機能)をより良い条件で調達
ておりIPv6の流れは世界的なものと
においては、量販店などで買ってき
するためのマルチベンダ化を推進し
なっていることが感じられる。また
た電話機が、どの通信事業者のネッ
ていく上で重要な要素となっている。
取得製品の傾向を見てみると、ルー
トワークと契約していても当たり前
また、より高品質なサービスを提
タ、スイッチ、セキュリティ GW 等
のように繋ぐことが実現できている。
供する通信事業者においては、更な
のIPネットワークの基盤となる機器
しかし現在のIP機器(IPv4、IPv6共
る機器同士の相互接続性の確認が必
が大半であるが、それ以外では汎用
に)においては、必ずしも相互接続
要となってくる。例えば標準仕様に
OS、スタック、組込機器の OS、ス
性が確保されているとは言えない状
は明示的になっていない動作、また
タック、コントローラから、オフィ
況である。これらは元来仕様自身に
はサービスに依存した仕様があり、
ス向けのプリンタ、サーバ類、ネッ
あいまい性が潜んでいることが原因
これらについても品質を確保してい
トワークカメラ、家庭向けのホーム
であるが、その他に機器を製品化し
く上で高いレベルの相互接続性の確
ゲートウエイ、ビデオサーバに至る
ていく上で「仕様の一部しか実装し
保が重要となっている。また、これ
までロゴを取得しており、分野の違
ない」、「独自の解釈による実装」、
らを実現するための検証作業に関す
った機器同士の相互接続性を向上さ
「仕様を拡張して実装」
、
「製品製造上
るスキル・ノウハウについても重要
せたいというIPv6機器開発ベンダの
の技術的な問題」が挙げられる。こ
になってきた。例えば IPv6 の特徴
高い意識の表れであると考えられる
れらの蓄積が製品種類、製品数が増
であるセキュリティ向上のための
加し、実ビジネス利用されるように
IPsec がある。この IPsec を実装し
なるほど問題が顕在化してくる。
ている機器においては、暗号化アル
IPv6 Ready Logo Committeeでは現
ゴリズムを DES、3DES、AES な
在の電話サービスにおいて、当たり
どが実装されているということで相
前のように実現できている世界を、
互接続可能であると判断できる。し
IPv6機器でも同様にユーザーが安心
かし、実際には暗号化・複合化の鍵
して購入できる環境と整えるための
の生成と SA(セキュリティアソシ
取組みを行っている。
エーション)の管理が相互接続性の
(グラフ3、4参照)
。
IPv6 機器の相互接続性の
必要性
IPv6Ready ロゴプログラムの目
的としては「IPv6 の更なる普及の
ためには、IPv6 製品の相互運用性
この相互接続性の確保について
可否を支配しており、これらを設
を認定し、ユーザーに安心感を与え
は、通信事業者についてもより良い
定・調整することは針の穴を通すよ
114
ビジネスコミュニケーション
2006 Vol.43 No.11
エンタープライズIT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ)
RA(ルータ広告)による IP アドレ
項目
フェーズ1
フェーズ2
IPv6 コアプロトコル、IPsec、
MobileIPv6、準備中(SNMP、MLD、
DHCPv6、SIP)
IPv6 コアプロトコル
対象機能
対象機器
テスト実施方法
テスト 内容
開始時期
認定数(2006年
8月末現在)
ホスト / ルータ
ホスト / ルータ
セルフテスト方式
セルフテスト方式
仕様適合性試験
仕様適合性試験
相互接続試験
相互接続試験
2003年9月
2005年2月
250製品
50製品
表 1 IPv6Ready ロゴプログラム認定情報
スの自動設定が一般的だが、
DHCPv6を利用することでアドレス
の集中管理だけでなく、DNSやSIP
などのサーバ情報の通知が可能にな
る(表1参照)。
まとめ
現在IPv6 Ready Logo Committee
うな難しさがある。また、これらの
IPv6コアプロトコルとしては、IPv6
により SNMP、DHCPv6、SIP につ
仕様となっている RFC の記述が明
基本ヘッダ、拡張ヘッダのパケットフ
いてテスト仕様の策定中であり、早
確でないところについては実装のば
ォーマットが記されている「基本仕様」
ければ2006年末には正式な認定プロ
らつきがあるため、これらについて
や「近隣探索」
、
「インターネット制御
グラムの開始と、仕様適合性検査テ
も把握する必要がある。このような
メッセージプロトコル」
、
「アドレス自
スト用アプリケーションのリリース
相互接続性の難しさから、IPv4 に
動設定更」を規定範囲となっている。
が行なわれる予定である。
ついても IPsec 製品が市場に出回っ
これに対してフェーズ2ではより踏み
これらのプロトコルの相互接続性
ているものの、これらの製品同士の
込んで、応用的なIPv6機能への適合
の確保は、今後のさらなる IPv6 ビ
相互接続性は必ずしも確保されてお
度を認定するもので、IPv6機能がきち
ジネスの拡大のためには重要な位置
らず、結果的には、ほとんどの導入
んと動くことに加えて、加えて実際の
づけとなると考えられる。
事例においてシングルベンダで構成
ネットワーク構築における使用に耐え
されている。さらに、IPv6 ではよ
る品質が求められるようになった。こ
り多くの機器に IPsec が実装されて
のため IPv6 コアプロトコルの他に、
いることが想定されることから、相
IPv6コアプロトコルと組み合わせて使
互接続性がより重要となってくる。
用されるIPsec、MobileIPv6について
このため、検証作業のスキル・ノウ
対象範囲が拡大された。
さらにIPv6 Ready Logo Committee
ハウが今後の通信事業を支えていく
上でより重要となってくる。
では、今年(2006年)4月に行なわ
れた主要メンバーによる会議で
SNMP、DHCPv6、SIP につい て
IPv6Ready ロゴプログラム
の今後の展開
IPv6Ready ロゴプログラムフェー
ズ 2 の認定に加えることが決定され
た。SNMP については、ネットワ
IPv6Readyロゴプログラムフェー
ーク機器を OSS(オペレーション
ズ 1 は、IPv6 の基本機能への適合度
サポートシステム)間で一般的に使
認定するもので、IPv6機能が確実に
用されているプロトコルである。ま
動くことが目的だった。このため
た IPv6 ではルータから送信される
ビジネスコミュニケーション
2006 Vol.43 No.11
【参考】
IPv6 Ready ロゴプログラム(フェ
ーズ 1、フェーズ 2)の認定情報を以
下のサイトで確認することができる。
ここでは製品の製品名、認定時期、取
得カテゴリ(ルータ、ホストなど)、
製品のバージョン、製品がどのような
ものであるかの詳細の情報が記載され
ている。IPv6 機器の購入する際に参考
することができると共に認定機器との
相互接続を実施する場合に製品のバー
ジョン等の有用な情報を得ることがで
きる。
・フェーズ 1 認定リスト
http://cf.v6pc.jp/logo_db/approved_list.php
・フェーズ 2 認定リスト
http://cf.v6pc.jp/logo_db/approved_li
st_p2.php
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