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Q6 高機能自閉症とはどのような 状態ですか

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Q6 高機能自閉症とはどのような 状態ですか
Q6
高機能自閉症とはどのような
状態ですか
高機能自閉症を理解するためには、まず自閉症を理解することが必要です。
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自閉症の診断基準と原因
自閉症の診断では、次の3点が基準となっています。
・ 相互的な人との交流が困難
視線が合わない、感情表現が難しい、
「自閉症」とは
集団行動がとりにくい
・ 言語を中心としたコミュニケーショ
ンの障害
自分のからに閉じこもっている
母親の養育
・ 興味や行動の幅が狭く、こだわりが
自閉症は中枢神経の障害
みられる
自閉症は中枢神経の障害です。心理的な
外からのいろいろな情報をきちんと知るはたらきに障害があるた
め、周りの状況を知り、それに対応することがうまくできない 原因や環境的な要因によるものではありま
せん。
周囲に理解されない行動になる
目や耳などの感覚器官に問題はありませ
んが、そこから脳内に入ってくる情報を処理する過程に課題があります。そのため、
一般の人とは違った感じ方(認知)をしていると思われます。
また、知的発達の面で遅れのある子どもが多くいます。
2
自閉症の行動
自閉症児の行動
自閉症は認知の発達に大きな偏りがあり
ます。そのため、学習面や行動面に大きな
一人でいつまでも遊んでいたりする
困難が生じます。
たとえば名前を呼ばれても反応しなかっ
○○く∼ん
たり、いつまでも一人で遊んでいたりする
名前を呼ばれても振り向かない
など、コミュニケーションに課題がある場
合や、変化がきらいで時間や場所、順序や
同じ場所でくるく
手指や物をひら
る回ったりする
ひらさせて遊ぶ
物、日程などへのこだわりがあることなど
があります。
また、偏食がある子どもも多くいます。牛乳や野菜、魚などを食べられないことが
あります。 ※25ページ参照
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高機能自閉症とは
(1)高機能自閉症
自閉症の診断基準がみられ、知的発
達の遅れをともなわないものを高機能
自閉症といいます。
この場合の「高機能」という表現は、
必ずしも知的能力が平均よりも高いと
いうことを意味しているのではありま
せん。「明らかな知的発達の遅れがな
い」という意味で使われています。
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自閉症の診断基準(DSM−Ⅳ)
① 相互的な人との交流が困難
視線が合わない、感情表現が難しい、
集団行動がとりにくい
② 言語を中心としたコミュニケーション
の障害
1994年
アメリカ精神医学会刊行
③ 興味や行動の幅が狭く、こだわりが みられる
したがって、
「高機能」といっても知的能力が境界域の人から非常に高い人まで
います。
(2)アスペルガー症候群
知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わ
ないものをアスペルガー症候群といいます。なお、高機能自閉症やアスペルガー
症侯群は、広汎性発達障害(Pervasive Deve1opmental Disorders・・・PDD
と略称)に分類されます。
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高機能自閉症の症状
(1)社会性の欠如
他者との交流がスムーズにいかない状態がありますが、高機能の場合は慣れ親
しんだ環境では、社会性の欠如が目立たないことがあります。この子どもたちを
理解するためには、友達との遊びの場面などを詳細に観察することや、発達の過
程を知ることが必要です
(2)コミュニケーションの障害
高機能の子どもたちはことばがないということはありません。しかし、その使
い方が問題となっています。
覚えたことばを相手や場所、時間などに応じて調節していくことに課題があり
ます。また、ことばの意味を深くとらえることができにくく、字義のみの意味理
解にとどまることがあります。
また、相手の表情や身振りなどの非言語的な要素の理解が難しく、ことば以外
の表現をコミュニケーションの手段とすることがあまりありません。
これらのために相手の気持ちを傷つけることがわからずに、いやがるようなこ
とばを発してトラブルとなることがあります。また、恥ずかしさがわからないこ
ともあります。
(3)想像力の不足
物を何かにみたてることや現実の経
感じ方に一貫性がない
験に想像力を働かせて、アレンジする
ことが苦手です。
・耳が聞こえない、ことばや音に反応しない
ようにみえることがある。
想像力が働きにくいため遊びなどの
・掃除機の音や犬の吠える声などをいやが
ることがある。
レパートリーや方法がかぎられてしま
・暑さ、寒さなどに敏感であったり、逆に感じ
い、同一性を保持しようとするために
なかったりする。
こだわり行動があらわれます。
「聴覚過敏」や「触覚過敏」など、「感覚過敏」のある子ども
(4)感覚異常
がかなりの数存在する
視覚、聴覚、味覚、臭覚、皮膚感覚
運動会などで、ピストルの音をいやがる場合がある。
の全ての感覚に過敏さ、あるいは鈍感
さがみられることがあります。
視覚が過敏なため、目に入った文字を読んでしまったり、聴覚が過敏なために
犬の吠える声や運動会のピストルの音を怖がったりします。
また、皮膚感覚が鈍感なために暑さや寒さをあまり感じないこともあります。
味覚の過敏さは極端な偏食というようなものとしてあらわれる場合があります。
(5)運動のぎこちなさ
歩き方や走り方がぎくしゃくしている、運動競技が苦手、字が上手に書けない
などとしてあらわれます。
ストレスのたまった状態や緊張している状態のときに、体を前後にゆすること
やその場で飛び上がったりすることがあらわれることがあります。
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