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HP BladeSystem c

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HP BladeSystem c
HP BladeSystem c-Class アーキテクチャ
技術概要
概要 ................................................................................................................................................... 3
次世代ブレードに対する要件の評価 ........................................................................................................ 3
HPの解決策:HP BladeSystem c-Classアーキテクチャ ................................................................................. 3
HP BladeSystem c7000 エンクロージャの製品説明 ................................................................................... 4
汎用コンピューティング環境 ................................................................................................................... 5
物理的にスケーラブルなフォームファクタ .............................................................................................. 5
ブレードフォームファクタ ................................................................................................................. 5
インターコネクトフォームファクタ....................................................................................................... 7
スタートポロジ............................................................................................................................... 7
NonStopシグナルミッドプレーンにより柔軟性を提供 ............................................................................... 8
I/Oファブリック間での物理レイヤの類似性........................................................................................ 8
ブレードとインターコネクトモジュール間の接続性.............................................................................. 10
モジュール方式を可能にするNonStopシグナルミッドプレーン................................................................. 11
BladeSystem c-Classアーキテクチャは高い帯域幅とコンピューティング性能を実現 ........................................ 11
サーバクラスのコンポーネント ........................................................................................................... 11
NonStopシグナルミッドプレーンのスケーラビリティと信頼性................................................................... 11
ベストプラクティス ........................................................................................................................ 12
電源バックプレーンの分離 ............................................................................................................ 12
チャネルトポロジと強調設定.......................................................................................................... 12
パッシブミッドプレーン .................................................................................................................. 13
電源バックプレーンのスケーラビリティと信頼性.................................................................................... 13
HPサーマルロジックによる電源および冷却アーキテクチャ ......................................................................... 14
サーバブレードとプロセッサ .............................................................................................................. 14
エンクロージャ ................................................................................................................................ 15
データセンターの構成要件を満たす設計 ......................................................................................... 15
効率の高い電圧変換 ................................................................................................................... 15
ダイナミック パワーセーバ モード.................................................................................................. 15
アクティブ冷却ファン .................................................................................................................... 15
機械設計機能............................................................................................................................. 16
構成テクノロジと管理テクノロジ............................................................................................................. 16
Integrated Lights-out (iLO)テクノロジ .................................................................................................. 17
Onboard Administrator................................................................................................................... 17
バーチャルコネクト テクノロジを使用した仮想化ネットワークインフラストラクチャ ....................................... 19
可用性テクノロジ ................................................................................................................................ 20
リダンダント構成 ............................................................................................................................. 20
信頼性の高いコンポーネント............................................................................................................. 21
論理遅延時間の短縮 ...................................................................................................................... 22
まとめ............................................................................................................................................... 22
関連情報 .......................................................................................................................................... 23
付録: 本書で使用している略語 ............................................................................................................ 24
ご意見をお寄せください ....................................................................................................................... 25
2
概要
この技術文書では、汎用インフラストラクチャとは何か、また BladeSystem c-Class アーキテクチャが柔軟性
の高い汎用インフラストラクチャとなるためにどのように設計されたかについて説明します。この文書では、
BladeSystem c-Class アーキテクチャがデータセンターおよびサーバブレードの主要な課題(たとえば、高い
計算性能と可用性を兼ね備えながらも、構成と管理がしやすく、設備運用コストの削減と、柔軟性とスケー
ラビリティを向上させる)をどのようにして解決するかについても説明します。
この技術文書では、c-Class アーキテクチャの最初の製品実装である、BladeSystem c7000 エンクロージャ
の実装の背景にある原理について説明します。この文書では、BladeSystem c-Class の基本コンポーネント
についてお客様に理解して頂くために、製品の実装と、コンポーネントが相互に機能する仕組みについて
簡単に説明します。他の技術文書では、製品の実装についての詳細な情報が提供されています。本書の
最後にある「関連情報」の項には、これらを含めた関連するリソースの URL のリストがあります。
本書は、読者が HP ProLiant サーバテクノロジに精通しており、BladeSystem アーキテクチャに関する一般
的な知識を有していることを前提にしています。
次世代ブレードに対する要件の評価
システムの消費電力がさらに高まり、設備コストが増大する中、データセンターの管理者にとって今までに
なく重要となっているのは、コンピューティングリソースを十分に活用する能力と、ビジネスニーズの変化に
伴って変更と適応が可能な俊敏なコンピューティングリソースを保有することです。また、24 時間 365 日の
可用性を維持して、電力コストと冷却コストを管理する能力も求められています。
サーバブレードは高密度化によってデータセンターの問題を一部解決しましたが、別の問題が発生してい
ます。たとえば、高密度化は通常、電力コストと冷却コストの増加に直結し、ネットワーキングインフラストラ
クチャを管理するために、多くのブレードスイッチを購入する必要も生じてきます。ブレードアーキテクチャを
導入する管理者は、導入するブレード数でインフラストラクチャのコストを効果的に償却できるようにする必
要があります。
HP がコンピューティングの傾向を評価した結果、以下のような I/O、プロセッサ、およびメモリのテクノロジ
に影響を及ぼす重大な変化の兆しがはっきりと浮かび上がりました。
• I/O 帯域幅への高まる需要を満たすための、新しいシリアル I/O テクノロジ
• マルチコア アーキテクチャを使用したより複雑なプロセッサによる、システムサイジングへの影響
• プロセッサとメモリが高性能になるほど、より多くの電力が必要となるため、データセンターの管理者は
サーバの配備方法を再考する必要がある
• サーバ仮想化ツールは、サーバあたりのプロセッサ、メモリ、および I/O の構成にも影響を及ぼす場合が
ある
上記の変化を鑑み、HP の次世代ブレード環境では、データセンターにおける顧客ニーズを満たすために、
これらの課題にできる限り対処する必要があると判断しました。
HP の解決策:HP BladeSystem c-Class アーキテクチャ
HP BladeSystem のアーキテクチャは、フル機能を完備したサーバブレードを高密度のフォームファクタでサ
ポートし、新しいシリアル I/O テクノロジをサポートしています。HP はこの機をとらえて、このアーキテクチャ
では、コンピューティングリソース、ネットワークリソース、およびストレージリソースのモジュール化と柔軟化
を極限にまで推し進め、また絶えず変化するビジネスニーズに対応する汎用アダプティブ インフラストラク
チャを構築しました。さらに、非常に効率の良い BladeSystem c-Class アーキテクチャは、データセンターに
おいていかに計算性能と電力および冷却能力のバランスを取るかという深刻化する問題にも対処します。
HP が構築したアダプティブ インフラストラクチャにより、計算性能を高めつつ、効率的にリソースを管理し
てシステムの設置と構成にかかる人件費を削減するというデータセンターの課題に対処します。
3
2006 年 6 月に発表された HP BladeSystem c7000 エンクロージャは、BladeSystem c-Class アーキテクチャ
を使用して実装された最初のエンクロージャです。BladeSystem c7000 エンクロージャは企業のデータセン
ター用に最適化されています。将来的には、リモートサイトや小規模ビジネスといった他のコンピューティン
グ環境に最適化した c-Class エンクロージャサイズをリリースする予定です。BladeSystem c-Class アーキテ
クチャでは、共通のフォームファクタ コンポーネントをサポートしているため、サーバブレード、インターコネ
クト、およびファンなどのモジュールは、他の c-Class エンクロージャでも使用できます。
HP BladeSystem c7000 エンクロージャの製品説明
HP BladeSystem c-Class システムは、エンクロージャ、サーバブレード、ストレージブレード、インターコネク
トモジュール(スイッチおよびパススルーモジュール)、ブレードをインターコネクトモジュールに接続する
NonStop シグナルミッドプレーン、共有電源バックプレーン、パワーサプライ、ファン、およびエンクロージャ
管理コントローラ(Onboard Administrator モジュール)で構成されています。BladeSystem c-Class では、エ
ンクロージャの動作可能時間を最大化するために、リダンダントでホットプラグ対応のコンポーネントを多数
使用しています。図 1 は、c7000 エンクロージャでのアーキテクチャの実装を示しています。
図 1. HP BladeSystem c7000 エンクロージャの前面図と背面図
c7000 エンクロージャ ― 前面図
ハーフハイト
サーバ
ブレード
フルハイト
ストレージ
サーバ
ブレード
ブレード
c7000 エンクロージャ ― 背面図
インターコネクトベイ 8 個
シングルワイドまたはダブルワイド
10U
Insight Display
リダンダント
パワーサプライ
リダンダント
ファン
リダンダント
Onboard
Administratorr
リダンダントな
単相電源または
三相電源
この項では、BladeSystem c-Classを構成するコンポーネントについて説明します。ここでは、HPが発表して
いる(または発表を予定している)すべての製品についての細かい説明は行いません。特定の製品の実装
についての詳細は、HP BladeSystemのWebサイト1を参照するか、またはISS technologyページ(英語)2の
c-Class技術概要を参照してください。
HP BladeSystem c7000 エンクロージャには、ハーフハイトサーバまたはストレージブレードが最大 16、フ
ルハイトサーバブレードが最大 8 つ、またはブレードフォームファクタ 2 つの組み合わせを収容できます。
サーバブレード内のオプションのメザニンカードによって、インターコネクトモジュールのネッワーク接続が可
能になります。サーバブレードとネットワークファブリックとの間の接続は、完全にリダンダントにすることが
できます。顧客はネットワークファブリック接続のために選択したメザニンカードとインターコネクトモジュー
ルを、エンクロージャ背面部の 8 つのインターコネクトベイに設置できます。
1
2
URL: www.hp.com/jp/bladesystem
URL: www.hp.com/servers/technology (英語)
4
エンクロージャは 1 つまたは 2 つの Onboard Administrator モジュールを格納します。Onboard
Administrator のインテリジェンスにより、消費電力と温度状態の監視、正しいハードウェア構成、ネットワー
ク構成の簡素化が、インフラストラクチャ全体を通じて可能になります。エンクロージャ前面にある Insight
Display パネルにより、構成と管理が容易に行えます。Onboard Administrator モジュールをもう 1 つ取り
付けることで、このモジュールをアクティブスタンバイモードで完全なリダンダントコントローラとして機能させ
ることもできます。
c7000 エンクロージャは単相または三相のいずれかの電源入力を使用でき、最大 6 台(一台あたり
2250W)のパワーサプライを搭載できます。パワーサプライはパッシブな電源バックプレーンに接続して、
そこから電力を共有方式ですべてのコンポーネントに分配します。
エンクロージャを冷却するために、HP はアクティブ冷却ファンというファンを設計しました。c7000 エンク
ロージャは、最大 10 個までのホットプラグ対応アクティブ冷却ファンを搭載できます。アクティブ冷却ファン
は、エンクロージャ全体にリダンダントな冷却を提供するために効率よく高い性能を発揮するように設計さ
れており、将来の冷却ニーズにも十分に対応可能です。
汎用コンピューティング環境
BladeSystem c-Class は汎用コンピューティング環境での使用を目的として設計されています。デバイスベイ、
インターコネクトベイ、NonStop シグナルミッドプレーン、Onboard Administrator を備えたエンクロージャは、
それ自体が汎用システムであり、ブレードとインターコネクトデバイスの多種多様なオプションで構成できま
す。
汎用環境はスケーラブルで柔軟性があります。BladeSystem c-Class アーキテクチャは、以下を提供しま
す。
• ブレードとインターコネクトについて物理的にスケーラブルなフォームファクタ
• 高性能な NonStop シグナルミッドプレーンによるスケーラブルな帯域幅と柔軟性の高い構成
物理的にスケーラブルなフォームファクタ
BladeSystem c-Class の基本的なアーキテクチャモデルでは、デバイスベイ(サーバブレードまたはストレー
ジブレード用)と、インターコネクトベイ(I/O ファブリック接続を提供するインターコネクトモジュール用)を使用
しており、これによって、スケールアウトまたはスケールアップが実現できるアーキテクチャとなっています。
ブレードフォームファクタ
図 2 では、1 つのデバイスベイの中に、スケールアウト構成では 2 つのハーフハイトサーバブレードを上下
に重ねた構成で収容し、スケールアップ構成では 1 つのフルハイトの高性能ブレードを収容する方法を示し
ています。
いずれかのフォームファクタを同じスペースで使用できることにより、資産の有効活用が可能になります。
バックエンドのデータベース用には高性能のブレード、またWebサービスやターミナルサービス用にはメイ
ンストリームの 2Pブレードを、エンクロージャに完全に搭載することができます。あるいは、2 つのフォーム
ファクタを混合させてエンクロージャに搭載することもできます。3
c7000 エンクロージャは、ハーフハイトブレードをホールドするためにシェルフ(棚板)を使用します。シェルフを設置すると、2 つのデ
バイスベイにまたがるため、現時点で可能なエンクロージャの構成方法には制限があります。
3
5
図 2. 薄型ブレード(左) と幅広ブレード(右)を検証した結果、HP はコスト、信頼性、および操作性の要件を満たす幅広ブレードの
フォームファクタを選択しました。
薄型フォームファクタ
シングル
ワイド
ブレード
幅広フォームファクタ(c-Class で採用)
ダブル
ワイド
ブレード
フルハイト
ブレード
バックプレーン
コネクタは異なる
PCB に存在
ミッドプレーンコネクタ
は同じプリント基板
(PCB)上に存在
ハーフハイト
ブレード
斜めに配置
された DIMM
メモリ
大型ヒートシンク
用のスペース
垂直配置
された DIMM
メモリ
デバイスベイのスケーリングには、一般的に 2 つのアプローチがあります。シングルワイドブレードとダブル
ワイドブレード用のベイを提供して水平にスケーリングする方法と、ハーフハイトとフルハイトのブレードを提
供して垂直にスケーリングする方法です(図 2 を参照)。HP は、垂直にスケーリングして、ブレード用に幅広
のベイを提供する積み重ね構成の使用を選択しました。
デバイスベイを積み重ねた構成にすると、以下の利点が得られます。
• コモディティコンポーネントをサポートしてコストを削減しつつ、エンクロージャ インフラストラクチャ(エンク
ロージャ内のすべてのブレードで共有するパワーサプライやファンなど)のコストを償却するために十分な
数のブレードの収容できる。
• 2 つのシグナルコネクタが同じプリント基板(PCB)プレーン上にあるため(図 2 を参照)、フルハイトブレード
に拡張したとき、NonStop シグナルミッドプレーンに対して簡単な接続性と高度な信頼性が提供できる。
• 費用対効果の高い垂直 DIMM をサーバブレード内で使用できる。
• 垂直 DIMM コネクタはシグナルの完全性が高く、ヒートシンク用のスペースを広くでき、また DIMM 全体
にわたってエアフローが改善されるため、性能が向上する。
垂直 DIMM コネクタを使用すると、傾斜 DIMM コネクタに比べてプロセッサあたりの DIMM スロット数が増
え、PCB 上の占有面積が少なくて済みます。DIMM スロットが多くなれば、顧客は自社のコストパフォーマン
ス要件を満たす DIMM 容量を選択できます。通常、大容量の DIMM は小容量の DIMM に比べて GB あた
りのコストが高いため、小容量の DIMM を搭載可能な多くのスロットを持つ方が費用効率を高めることがで
きます。たとえば、16GB のメモリ容量が必要な場合、低価格の 2GB DIMM を 8 スロットに設置するほうが、
4GB DIMM を 4 スロットに設置するよりも費用効率は高くなります。一方、取り付けた DIMM の数に応じて
消費電力も増加するため、DIMM の購入コストと電力コストを比較検討する必要があります。
6
インターコネクトフォームファクタ
インターコネクトベイ 1 つで、スケールアウト構成では 2 つの小型インターコネクトモジュールを、また性能を
スケールアップする場合には大型の高帯域幅のインターコネクトモジュール 1 つを収容できます(図 3)。これ
によって、デバイスベイのスケールアップまたはスケールアウトと同じように、空間を効率的に使用できます。
顧客は自社環境のニーズにしたがって、エンクロージャに搭載することができます。
図 3. HP は、空間を効率的に利用でき、性能の向上が可能な水平のインターコネクト フォームファクタを選択しました。
シングルワイド インターコネクトモジュール
ダブルワイド
インターコネクト
モジュール
2 つのミッドプレーン
コネクタは同じ PCB
上に存在
スケーラブルな横並び型のインターコネクトモジュールを使用することで、スケーラブルなデバイスベイと同
様の以下のような多くの利点が得られます。
• 2 つのシグナルコネクタが同じ水平プレーン上にあるため、シングルワイドモジュールからダブルワイドモ
ジュールにスケールアップしたときに、接続が簡素化され、信頼性が向上する
• インターコネクトモジュールとブレードの間のトレース幅をできる限り短縮するため、インターコネクトモ
ジュールをエンクロージャの中央に、ブレードをその上下に配置したことにより、シグナルの完全性が向
上する
• 最大数のインターコネクトモジュールをサポートするために最適化されたフォームファクタ
c7000 エンクロージャのシングルワイド フォームファクタは、16 個のアップリンクコネクタを備えた一般的
な Gigabit Ethernet (GbE)またはファイバチャネル スイッチを最大 8 台収容します。ダブルワイドのフォー
ムファクタは、最大 16 個のアップリンクコネクタを備えた 10GbE と InfiniBand スイッチを最大 4 台収容しま
す。
スタートポロジ
スケーラブルなデバイスベイとインターコネクトベイにより、インターコネクトモジュールを中央にしたファンア
ウト トポロジ(スタートポロジ)を形成しました。具体的なスタートポロジは、顧客の構成によって決まります。
たとえば図 4 で示すように、シングルワイドのインターコネクトモジュール 2 つを横に並べて配置した場合、
このアーキテクチャはデュアル スタートポロジと呼ばれ、各ブレードは、2 つのインターコネクトモジュールと
リダンダント接続されています。2 つのシングルワイド モジュールの代わりにダブルワイドのインターコネク
トモジュールが 1 つ使用されている場合は、シングル スタートポロジとなり、各ブレードにより多くの帯域幅
を提供できます。ダブルワイドモジュールを使用する際に、別のダブルワイド インターコネクトモジュールを
エンクロージャ内に配置すれば、リダンダント接続が構成できます。
7
図 4. スケーラブルなデバイスベイとインターコネクトベイによってリダンダントなスタートポロジが可能(顧客の構成により異なる)。
ブレード
ブレード
インターコネクトモジュール A
インターコネクト
モジュール A
インターコネクト
モジュール B
インターコネクトモジュール B
ブレード
ブレード
c7000 エンクロージャは複数のデュアル スタートポロジをサポートしますが、以下のように、取り付けられ
たインターコネクトモジュールに依存します。
• 8 つのシングルワイドモジュールを備えたクワッド デュアルスター
• シングルワイド イーサーネットモジュール 2 つ、シングルワイド ファイバチャネルモジュール 2 つ、ダブ
ルワイド InfiniBand モジュール 2 つを備えたトリプル デュアルスター
• 4 つのダブルワイド インターコネクトモジュールを備えたデュアル デュアルスター
NonStopシグナルミッドプレーンにより柔軟性を提供
BladeSystem c7000 エンクロージャはブレード、インターコネクトモジュール、そしてそれらを接続するミッド
プレーンを搭載しているため、BladeSystem p-Class や、競合他社から提供される他のブレード環境と基本
アーキテクチャは同じではないかと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、BladeSystem c-Class は、高
速の NonStop シグナルミッドプレーンを使用することによって、まったく異なるアーキテクチャを提供してい
ます。NonStop シグナルミッドプレーンは、さまざまな方法でブレードとインターコネクトファブリックを混在さ
せる柔軟性を提供し、多くのアプリケーションニーズを解決します。
NonStop シグナルミッドプレーンは、GbE、ファイバチャネル、InfiniBand、Serial Attached SCSI (SAS)、ま
たは PCI Express シグナルを転送するために同じ物理的トレースを使用できるという点で、独特なものです。
その結果、たとえばイーサネットスイッチ 6 つとファイバチャネルスイッチ 2 つ、またはイーサネットスイッチ 8
つというように、顧客はニーズに応じて各種のインターコネクトモジュールをインターコネクトベイに搭載でき
ます。
I/O ファブリック間での物理レイヤの類似性
NonStopシグナルミッドプレーンは、異なるI/Oファブリックからの信号を転送できますが、これはこれらの
ファブリックの物理レイヤが類似しているためです。GbE、ファイバチャネル、SAS、PCI Express、および
InfiniBandなどのシリアルI/Oプロトコルは、SerDes (シリアライザ/デシリアライザ)インタフェースを備えた 4
つのトレースの倍数を使用する物理レイヤを基本としています。さらに、1000-Base-KX、10G-Base-KX4、お
よび 10G-Base-KRのバックプレーン イーサネット規格4と、将来の 8-Gbファイバチャネル規格5 では、類似
した 4 トレースのSerDesインタフェースを使用します(表 1 を参照)。
IEEE 802.3apバックプレーンイーサーネット規格(開発中)についての詳細は、www.ieee802.org/3/ap/index.html (英語)を参照し
てください。
5
INCITS (International Committee for Information Technology Standards)についての詳細は、www.t11.org/index.htm (英語)およ
びwww.fibrechannel.org/ (英語)を参照してください。
4
8
表 1. I/O ファブリックの物理レイヤと、関連するエンコード帯域幅
インターコネクト
レーン
トレース数
レーンあたり帯域幅
(Gb/秒)
帯域幅の総計
(Gb/秒)
GbE (1000-base-KX)
1x
4
1.2
1.2
10 GbE (10G-base-KX4)
4x
16
3.125
12.5
10 GbE (10G-base-KR)
1x
4
10
10.3
ファイバチャネル
(1、2、4、8Gb)
1x
4
1.06、2.12、4.2、
8.5
1.06、2.12、4.2、
8.5
SAS (Serial Attached
SCSI)
1x
4
3
3
InfiniBand
InfiniBand DDR
InfiniBand QDR
1x – 4x
1x – 4x
1x – 4x
4 – 16
4 – 16
4 – 16
2.5
5
10
2.5 – 10
5 – 20
10 – 40
PCI Express
PCI Express (第 2 世代)
1x – 4x
1x – 4x
4 – 16
4 – 16
2.5
5
2.5 – 10
5 – 20
類似した 4 トレースの差動 SerDes 転送と受信シグナルを利用することによって、シグナルミッドプレーンは
ネットワーク セマンティック プロトコル(イーサネット、ファイバチャネル、および InfiniBand)またはメモリ セ
マンティック プロトコル(PCI Express)のいずれかを、同じシグナルトレースを使用してサポートすることがで
きます。異なるプロトコル間でトレースを統合および共有することで、ミッドプレーン設計の効率化を可能に
しています。図 5 は、物理レーンを 4 つのトレースのセットに論理的にオーバーレイできる方法を示していま
す。GbE (1000-base-KX)またはファイバチャネルなどのインタフェースは、1x レーン(4 つのトレースの 1
セット)のみが必要です。InfiniBand DDR などの高い帯域幅のインタフェースは、最大 4 レーンまでを使用す
る必要があります。したがって、ネットワークファブリックの選択によって、インターコネクトモジュールの
フォームファクタを、シングルワイド(1x/2x 接続用)またはダブルワイド(4x 接続用)のどちらにすべきかが
決まります。
図 5. NonStop シグナルミッドプレーン上のトレースは、使用される I/O ファブリックによって、多種多様の信号を転送できます。右側
の図は、信号をオーバーレイして、異なるプロトコルを同じトレース上で(同時に)使用する方法を示しています。
1X
(KX、KR、SAS、
ファイバチャネル)
2X
(SAS、PCI
Express)
レーン 0
レーン 0
レーン 1
レーン 0
レーン 1
レーン 2
レーン 3
レーン 0
レーン 1
レーン 2
レーン 3
4X
(KX4、InfiniBand、
PCI Express)
このようにトレースを再使用することで、NonStop シグナルミッドプレーン上の各種ファブリックをサポートす
るためにトレースの複製が必要になる問題や、インターコネクトモジュール コネクタ用に大量の信号ピンが
必要になるといった問題を回避できます。したがって、トレースをオーバーレイすることで、インターコネクト
モジュールコネクタは簡素化され、ミッドプレーンは資産を効率的に活用でき、顧客には柔軟性のある接続
が保証されます。これらの利点は、各サーバブレードの設計にも適用されます。
9
ブレードとインターコネクトモジュール間の接続性
c-Class サーバブレードは、メザニンカードを使用して各種ネットワークファブリックに接続します。サーバブ
レード上の複数の種類のメザニンカード間の接続は、NonStop シグナルミッドプレーンを経由して特定のイ
ンターコネクトベイに配線されています(図 6)。
注記:
ハーフハイトブレードとフルハイトブレードをインターコネクトベイに接続する方
法についての詳細は、『HP BladeSystem c-Class enclosure』(英語)を参照してく
ださい。
図 6. この図は、c-Class ハーフハイトのサーバブレードがインターコネクトベイとリダンダントに接続する方法を示しています。4 つの色
は、サーバブレードとインターコネクトベイとの間で対応するポートを示しています。
c-Class サーバブレード
c-Class インターコネクトベイ
ブレード
1
メザニン
カード 1
メザニン
カード 2
ブレード
2
メザニン
カード 1
メザニン
カード 2
NonStop シグナルミッドプレーンに固有の柔軟性を提供するには、サーバブレード上のメザニンカードをイ
ンターコネクトモジュールと正しく一致させるメカニズムがアーキテクチャで提供される必要があります。たと
えば、あるエンクロージャ内部で、サーバブレードのメザニン 1 コネクタにあるすべてのメザニンカードが、同
じ種類のファブリックをサポートする必要があります。エンクロージャ内の 1 つのサーバブレードが、メザニ
ン 1 コネクタにファイバチャネルカードを持つ場合、他のサーバブレードのメザニン 1 コネクタではイーサ
ネットカードを持つことができません。
HP が開発した Onboard Administrator 上での電気的キーイングメカニズムは、システム管理者が各エンク
ロージャを構成するときに、潜在的なファブリックのミスマッチ状態を認識して修正するのに役立ちます。
サーバブレードまたはインターコネクトモジュールの電源を入れる前に、Onboard Administrator はメザニ
ンカードとインターコネクトモジュールを照会して、互換性を判別します。Onboard Administrator が構成上
の問題を検出した場合、警告を出して、問題の修正方法についての情報を提供します。
10
モジュール方式を可能にするNonStopシグナルミッドプレーン
NonStop シグナルミッドプレーンのアーキテクチャは、柔軟性を提供するだけでなく、前世代のブレードシス
テムよりもさらにモジュール式のコンポーネントの開発が可能になりました。新しいタイプのコンポーネントを
ブレードフォームファクタ内に実装して、NonStop シグナルミッドプレーンを経由して接続することで、異なる
演算構造を形成することができます。HP が導入した、ミッドプレーンを経由して通信するストレージ ブレー
ド ソリューションはその一例です。ストレージブレードは、ディスクドライブ容量に対して標準の内部ディスク
ドライブまたはストレージエリアネットワーク(SAN)内のドライブとは異なる、もう 1 つのオプションを提供しま
す。
将来の c-Class アーキテクチャの実装では、たとえば隣接するブレードベイにまたがるローカル I/O インター
コネクトや、ブレードベイとインターコネクトベイ間にまたがるローカル I/O インターコネクトといった、他のコ
ンポーネントのモジュール化がさらに可能になります。こうした可能性があるのは、NonStop シグナルミッド
プレーンがネットワークセマンティックなトラフィックまたはメモリセマンティックなトラフィックのいずれかを同
じトレースのセットを使用して転送できるためです。c-Class エンクロージャをシステムとして設計することで、
HP は真のアダプティブアーキテクチャを構築し、現在および将来の IT アプリケーションのニーズを満たすこ
とが可能になりました。
BladeSystem c-Class アーキテクチャは高い帯域幅とコンピュー
ティング性能を実現
どのサーバアーキテクチャにも求められる要件として、将来の顧客ニーズを満たすために高いコンピュー
ティング性能と帯域幅を提供することがあります。BladeSystem c-Class エンクロージャは、最低 5 年から 7
年先を見据えて、帯域幅と処理能力の両方の要求に応える新しいテクノロジをサポートできるようなアーキ
テクチャとなっています。これは以下によって実現されています。
• サーバクラスのコンポーネントを可能にするブレードフォームファクタ
• 高帯域幅の NonStop シグナルミッドプレーン
• 電源バックプレーンの分離
サーバクラスのコンポーネント
HP では c-Class アーキテクチャの寿命を伸ばすために、2 インチのブレードフォームファクタを使用して、
サーバクラスの高性能コンポーネントを使用できるようにしています。ワイドブレードのフォームファクタを使
用することで、最も一般的なサーバ構成(プロセッサ 2 基、垂直 DIMM コネクタに 8 個のフルサイズ DIMM
スロット、SFF ディスクドライブ 2 台、オプションのメザニンカード 2 枚)をサポートするハーフハイトのサーバ
設計が可能になりました。フルハイト構成にスケールアップすると、サーバブレードはハーフハイトのサーバ
ブレードの約 2 倍のリソース(たとえば、プロセッサ 4 基、フルサイズ DIMM スロット 16 個、SFF ドライブ 4
台、オプションのメザニンカード 3 枚)をサポートできます。将来のブレードでは、同じフォームファクタでさら
に多くの機能をサポートできるようになるでしょう。
NonStopシグナルミッドプレーンのスケーラビリティと信頼性
NonStopシグナルミッドプレーンは、レーンあたり(つまり、4 つの差動転送/受信トレースのセットあたり)最
大 10Gb/秒までのきわめて高い信号レートの実行が可能です。したがって、ハーフハイトの各サーバブ
レードは、1 方向あたり最大 160Gb/秒を実行するクロスセクションの帯域幅を持つことになります。ハーフ
ハイトのサーバブレードを 16 個搭載したフル構成のエンクロージャでは、帯域幅の総計はNonStopシグナ
ルミッドプレーン全体で最大 5 Tb/秒になります。6 これはブレードベイとインターコネクトベイの間だけの帯
域幅です。インターコネクトモジュール間やブレード間の接続のトラフィックは、これに含まれません。
ベイ間でこの水準の帯域幅を達成するために、高速信号の完全性の維持に特に注意を払う必要がありま
した。これは以下によって達成されました。
• シグナルミッドプレーン全体でのエンドツーエンドの信号損失を最小限に抑えるため、信号の完全性につ
いての一般的なベストプラクティスを採用
6
バックプレーン帯域幅の総計: 160Gb/秒 x 16 ブレード x 2 方向 =
5.12Tb/秒
11
• NonStop シグナルミッドプレーンを独立して最適化するため、完全に分離したバックプレーンに電力を移
動
• エンドツーエンドの信号チャネルのトポロジに応じて、送信機の信号波形を最適化する手段を提供
ベストプラクティス
16 のブレードと 8 つのインターコネクトモジュールすべての間で高速接続を実現するためには、信号の完
全性のベストプラクティスに従うことが重要でした。c7000 エンクロージャ シグナルミッドプレーンの設計の
補助として、HP は Superdome コンピュータを設計したときと同じ信号の完全性の専門スタッフを関与させま
した。HP は特に以下の点について注意を払いました。
• PCB 上の各エンドツーエンドチャネルに沿って、コネクタステージを経由して、差動インピーダンスを制御
• 受信信号ピンをグラウンドプレーンによって転送信号ピンから隔離しつつグループ化されるように信号ピ
ンの割り当てを計画(図 7 を参照)。
• 信号トレースを短くして損失を最小化
• 信号スキューを最小化するために信号をグループで経路指定
• トレースを経路指定するためのレイヤを慎重に選択してスタブによってスルーホールの数を減らし、PCB
の厚みを制御して、信号反射を最小化するためにスタブを使用して長いバックドリルを実施
図 7. ミッドプレーンを経由して効率的な経路指定を実現し、クロストークを最小化するために、受信信号ピンはグラウンドプレーンに
よって転送信号ピンから隔離されています。
受信信号ピン
インターコネクトベイ コネクタ
送信信号ピン
電源バックプレーンの分離
シグナルトレースを含む同じ PCB 上で配電を行うと、基盤の複雑性が著しく増加します。電源バックプレー
ンを NonStop シグナルミッドプレーンから分離することによって、PCB の厚みが減少し、高速信号に影響を
及ぼす電気的ノイズ(電源コンポーネントに由来)を減少させ、温度特性を向上させることで、シグナルミッド
プレーンを改善します。このような設計上の選択が、コストの削減、性能および信頼性の向上という結果に
つながりました。
チャネルトポロジと強調設定
ベストプラクティスを使用したとしても、複数のコネクタと長い PCB トレースを経由して転送される高速信号
は、挿入および反射の損失で著しく劣化する可能性があります。コンダクタおよび誘電体の損失などの挿
入損失は、周波数が高くなると増大します。反射損失は、主にコネクタステージでのインピーダンスの不連
続性が原因です。これらの損失を補うために、送信機の信号波形は信号強調設定を選択することで整形で
きます。目的は、信号がチャネル全体を伝達した後に、受信機が正常な信号レベルを正しく検知できるよう、
波形が適切な波形と振幅を保っているかを調べて、損失を予測することです(図 8)。
12
図 8. この仮想例では、信号波形の先頭部分が減衰するチャネルを通過した後、信号が劣化することを示しています。同じ極性の信
号の終端ビットが強調解除されると(信号 b)、受信機側での信号の品質が改善されます。
元の信号(a)
終端ビットを
強調解除した
信号(b)
受信機側で
の信号(a)
受信機側での
信号(b)
しかし、送信機の強調設定は、エンドツーエンドのチャネルトポロジと、信号を送信するコンポーネントの種
類に依存します。BladeSystem c-Class では、アーキテクチャが柔軟なこと、メザニンカードを使用すること、
および NIC などの内蔵 I/O デバイスがあることから、これらのいずれも一定ではありません(図 9)。したがっ
て、HP では Onboard Administrator で電気的キーイングメカニズムへの補完的な方法を提供することで、
c-Class エンクロージャの構成に基づいた正しい強調設定ができるようにしています。
図 9. BladeSystem c-Class の電気的キーイングメカニズムが各デバイスのチャネルトポロジを識別し、Onboard Administrator が正し
い強調設定が定義されるようにします。この例では、サーバブレード 1 のデバイス 1 のトポロジ(a-b-c)は、サーバブレード 4 のデバイ
ス 1 のトポロジ(a-d-e)とまったく異なります。
サーバブレード 1
ミッドプレーン
PCB
スイッチ 1 PCB
スイッチ
デバイス
デバイス 1
サーバブレード 4
デバイス 1
エンクロージャ
マネージャ
パッシブミッドプレーン
最後に、高い信頼性を提供するために、NonStop シグナルミッドプレーンは完全なパッシブボードとして設
計されました。PCB は主にトレースとコネクタで構成されています。PCB 上には数個のコンポーネントがあり、
これらはほとんど障害が起きにくいパッシブデバイスに限定されています。唯一のアクティブデバイスは
FRU EEPROM で、これはミッドプレーンのシリアル番号などの情報を取得するために Onboard
Administrator が使用します。このデバイスに障害が起こっても、NonStop シグナルミッドプレーンの信号の
機能性には影響しません。NonStop シグナルミッドプレーンは設計のベストプラクティスに従っており、HP
NonStop S シリーズなどのフォールトトレラントなコンピュータに数十年にわたって使用されていたパッシブ
ミッドプレーンと同じ種類のものをベースにしています。
電源バックプレーンのスケーラビリティと信頼性
電源バックプレーンは硬い銅版と統合された電源供給ピンで作られており、損失を最低限に抑えた配電が
可能です(図 10)。硬い銅版を使用することで、低電圧ドロップ、高電流密度、そして高い信頼性が実現でき
ます。今後数年間でブレードの電源需要がどれだけ増加したとしても、この電源バックプレーンなら十分な
アンペア数を供給できます。
13
図 10. 電力供給ピンを示した c-Class 電源バックプレーンの図
ファン
モジュール用の
電源供給ピン
スイッチ
モジュール用の
電源供給ピン
サーバブレード
用の電源供給
ピン
電源供給コネ
クタボードに
取り付け用の
電源脚部
HP サーマルロジックによる電源および冷却アーキテクチャ
消費電力の節減と効果的な冷却は、BladeSystem c-Class を設計する上での主要な目的でした。これらの
目的を達成するために、HP は電源と冷却のリソースを統合して、これらをエンクロージャ内で効率的に共有
して管理できるようにしました。HP では、IT 管理者が電源環境と温度環境を最適化できるよう、機械的機能
と制御能力を示す言葉として、BladeSystem c-Class 全体でサーマルロジックという用語を使用しています。
サーマルロジックは、c-Class アーキテクチャ(CPU、サーバブレード、アクティブ冷却ファン、および c-Class エ
ンクロージャ)のあらゆるレベルのテクノロジを網羅しています。Onboard Administrator コントローラによっ
て、IT 管理者は電源および温度に関するデータにリアルタイムでアクセスでき、現在の電源環境および冷
却環境を理解することができます。また Onboard Administrator によって、顧客はデータセンターの要件を
満たすため、運用状態を動的かつ自動的に調節することができます。これにより、顧客は電源と冷却の予
算内で性能を最大限に引き出すことが可能になり、コストのかかる電源と冷却のアップグレードを未然に防
ぐことができます。
技術概要『HP BladeSystem c-Class enclosure』に、HPサーマルロジックテクノロジに関する追加情報があり
ます。これはHPのテクノロジWebサイトwww.hp.com/servers/technology (英語)から入手できます。
サーバブレードとプロセッサ
CPUレベルでは、HPのProLiant向けパワーレギュレータ7 は、HP ProLiantサーバのROMベースの電源管
理機能です。パワーレギュレータテクノロジは、Intel x86 プロセッサで使用可能なパワーステートの利点を
活用して、電源が不要なときに電源をプロセッサにスケールバックします。8 c-Classアーキテクチャはエンク
ロージャ内のすべてのブレードで電源を共有するため、HPはパワーレギュレータテクノロジの利点を活用し
て、サーバブレード間で電源負荷を分散させることができます。プロセッサテクノロジの進歩に伴い、HPで
は可能な限り低消費電力のプロセッサとコンポーネントのオプションの使用を顧客に推奨することができま
す。
CPU 用に特別に設計されたヒートシンクによって、より小スペースで効率的な冷却が可能です。これにより
サーバブレードに、フルサイズの完全バッファ型メモリモジュールとホットプラグ対応デバイスを搭載するこ
とができます。
ProLiantのパワーレギュレータに関する追加情報は、
http://h18000.www1.hp.com/products/servers/management/ilo/power-regulator.html (英語)を参照してください。
8
AMD x86 プロセッサのパワーステートは手動で変更できますが、変更はPower Regulatorに統合できず、システムのリブートが必要
です。
7
14
最も重要なこととして、c-Class サーバブレードにはインテリジェントな管理プロセッサ(ProLiant サーバブ
レードでは Integrated Lights-Out 2 (iLO 2)、Integrity サーバブレードでは Integrity iLO)を搭載しており、各
サーバブレードの詳細な温度情報を提供します。この情報は Onboard Administrator に転送され、
Onboard Administrator Web インタフェースからアクセスできます。
エンクロージャ
HP はエンクロージャレベルで以下を提供しています。
• データセンターの構成要件を満たすように設計された電源
• 効率の高い電圧変換
• 電源を高い効率で運用するためのダイナミック パワーセーバ モード
• 電力消費を最低限に抑えるアクティブ冷却ファン
• エアフローを最適化する機械設計機能
データセンターの構成要件を満たす設計
サーバブレードで予想される要件に基づいて c-Class アーキテクチャの電力予算を設計するのではなく、HP
はデータセンター施設の電力供給に適合するように c-Class エンクロージャを設計しました。したがって、エ
ンクロージャはインフラストラクチャ全体でブレードのコストを償却するだけでなく、現在使用可能な電力を
使ってほとんどすべてのブレードをサポートできるようなサイズになっています。IT 施設管理者が施設への
電力供給を増加する場合、c-Class エンクロージャは通常の電力供給予算に適合するように追加できます。
エンクロージャ全体が現在の電源インフラストラクチャに適合するサイズとなっているため、電源エンクロー
ジャを別途用意する必要はありません。
c-Class アーキテクチャは、単相または三相の電源エンクロージャのいずれかを使用するよう設計されてお
り、顧客が自社のデータセンターに適合するどちらかを選択できる柔軟性を備えています。
効率の高い電圧変換
電源装置をエンクロージャ内に移動したことで、配電に必要な距離を短縮しました。これにより、c-Class
BladeSystem では業界標準の 12V インフラストラクチャを使用できるようになりました。12V インフラストラク
チャを使用することで、電源に関係するコンポーネントをいくつか取り除くことができ、サーバブレードとイン
フラストラクチャの電源効率が改善されました。
ダイナミック パワーセーバ モード
ほとんどすべての電源装置は、低負荷のときは効率が悪く、高負荷のときは効率よく運用されます。ダイナ
ミック パワーセーバ モードを有効にすると、必要な電源装置を高い使用率で運用して、不要な電源装置を
スタンバイモードにすることによって、電力を節約します。電力需要が増加すると、スタンバイモードの電源
装置が必要な電力を即座に追加供給します。その結果、エンクロージャは最適な効率で運用可能となり、
冗長性にも影響を与えません。電源装置が統合され、エンクロージャ全体で共有されているため、効率性と
冗長性の両立が可能となります。
アクティブ冷却ファン
ブレードまたは 1U サーバなどのスモールフォームファクタ サーバでは、多くの場合、特定の領域のみを局
所的に冷却する設計の非常に小さいファンを使用しています。そのようなファンは、中程度の背圧で比較的
小さいエアフロー(CFM: 立方フィート/分)しか発生させないため、シングルサーバでは多くの場合、適切な
冷却を確保するために複数のファンが必要になります。したがって、1 つのエンクロージャ内にそれぞれ複
数のファンを備えた多数のサーバブレードを収容すると、ファンへの電源供給とブレードの冷却とのトレード
オフが起こります。この種類のファンがスケーリングに優れていることは BladeSystem p-Class で実証されて
いますが、HP は新しい設計によって、よりバランスの取れた電源と冷却とのトレードオフを実現できると確
信しました。
冷却についてのもう 1 つのソリューションは、エンクロージャ全体を冷却できる大型のブロア型ファンを使用
することです。このようなファンは CFM が良好ですが、通常、多くの電力を必要とし、騒音も大きく、エンク
ロージャの最大負荷に合わせて設計する必要があります。これらの大型のファンはエンクロージャ全体を
冷却するため、1 つのファンに障害が発生すると、故障したリダンダントファンを交換するまで、エンクロー
ジャのオーバーヒートが発生するリスクがあります。
15
HP ではこれら 2 つの相反するソリューションを念頭に置きつつ、エンクロージャ全体にリダンダントな冷却を
提供するため、アクティブ冷却ファンを設計してファンを集約することで、この問題を解決しました。
アクティブ冷却ファンは Onboard Administrator で制御されているため、システム全体の需要に基づいて冷
却能力の増減が可能です。この制御アルゴリズムによって c-Class BladeSystem では、エアフローを最適化
することに加えて、騒音レベルと電力消費の最適化も可能です。アクティブ冷却ファンは機械設計と制御ア
ルゴリズムによって、サーバ業界においてアクティブ冷却ファンの次に優れたファンよりも 3 倍以上の性能
を実現しています。アクティブ冷却ファンの設計の結果、c-Class エンクロージャは従来のラックマウントサー
バよりも 60 パーセントも高密度のフル機能を備えたサーバをサポートします。さらに、アクティブ冷却ファン
は通常必要な電力の 50 パーセントしか消費せず、エアフローも 30 パーセント少なくて済みます。冷却能力
を少数の高性能のファンに集約したことで、HP は各サーバブレードに多くの局所的ファンを設置するという
オーバーヘッドを削減し、簡素化することでアーキテクチャ全体のコストを削減することが可能になりまし
た。
機械設計機能
エンクロージャの全体的な機械設計は、サーマルロジック テクノロジの主要な構成要素です。エンクロー
ジャは PARSEC (パラレル、リダンダント、スケーラブル、エンクロージャベースの冷却の頭文字)アーキテク
チャを使用しています。ここでいうパラレルとは、冷却された外気がすべてのブレード(エンクロージャ前面)
およびすべてのインターコネクトモジュール(エンクロージャ背面)に流れることを意味します。外気は、エンク
ロージャ前面の専用サイドスロットを経由してインターコネクトベイに取り込まれます。エンクロージャ前面か
ら取り込まれた空気は、ダクトによって背面に流され、インターコネクトと中央プレナムに取り込まれた後、
システム背面から排気されます。
各電源モジュールには、その電源のエアフロー特性に最適化された専用のファンがあります。電源装置と
設備の電源接続はエンクロージャの離れた領域にあるため、サーバブレードとインターコネクトモジュール
のエアフローを妨げることなく、ファンは電源モジュールに対して冷却された外気の提供と排気用の経路を
確保することができます。
エンクロージャは 4 つの物理的冷却ゾーンに分けて設計されているため、アクティブ冷却ファンはそれぞれ
独自のゾーンを冷却するとともに、エンクロージャの残りの部分に対してもリダンダントな冷却を提供します。
1 つまたは複数のファンに障害が発生した場合でも、エンクロージャを適切に冷却するのに十分なファンが
残っています。
HP ではスケーラビリティを保証するために、演算、ストレージ、および I/O の各コンポーネントのニーズを将
来にわたって満たすことができる、十分な能力を持ったファンと電源装置を設計しました。
HP は比較的気密性の高い中央プレナム、ファンを囲むセルフシール型のルーバー、およびデバイスベイを
囲む自動シャットオフドアを使用することで、エアフローを最適化して漏れを最低限に抑えており、これに
よってエンクロージャ全体の冷却能力を最適化しました。
構成テクノロジと管理テクノロジ
導入部分で述べたように、HP はビジネスニーズの変化に適応できる俊敏なコンピューティング インフラスト
ラクチャとして c-Class アーキテクチャを開発しました。とりわけ、BladeSystem c-Class アーキテクチャの目的
の 1 つは、IT 担当者が新しいシステムを配備するのに要する時間を大幅に削減することでした。もう 1 つの
目的は、重要な電源情報および冷却情報を管理者に提供でき、またインフラストラクチャの管理の自動化
に役立つ、インテリジェントなインフラストラクチャを提供することでした。BladeSystem c-Class では、iLO 2
管理プロセッサと Onboard Administrator を通じてこうしたインテリジェントなインフラストラクチャを提供して
います。また、Onboard Administrator の独自の Insight Display 機能を使用することで、容易に構成が可
能なシステムになっています。
BladeSystem c-Class アーキテクチャでは、ブレード環境のスイッチ管理の複雑性も軽減されています。ブ
レード環境はスイッチとブレードの間でのダイレクトなバックプレーン接続によって、ケーブル数が減ることで
コスト削減と複雑性の軽減が実現するという明確な優位性がありますが、多くの小さな追加スイッチを管理
するという課題は解消されていません。HP はバーチャルコネクト テクノロジの開発という革新的な方法で、
この問題を解決しました。バーチャルコネクト テクノロジは、イーサネットまたはファイバチャネル ネット
ワークへのサーバ I/O 接続を仮想化する方法を提供します。
16
技術概要『Managing the HP BladeSystem c-Class』(英語)および『HP Virtual Connect technology
implementation for the HP BladeSystem c-Class』(英語)に、これらのテクノロジについての詳細な情報があ
ります。これらはHPのテクノロジWebサイトwww.hp.com/servers/technology (英語)から入手できます。
Integrated Lights-out (iLO)テクノロジ
BladeSystem c-Class用に設計された各ProLiantサーバブレードには、iLO 2 管理プロセッサが搭載されてい
ます。iLO 2 プロセッサは、各サーバブレード内の温度と運用状態を監視して、この情報をOnboard
Administratorに送信します。iLO 2 管理プロセッサは、サーバブレードの運用状態にかかわらず、リモート
コンソールへのアクセス、仮想メディアへのアクセス、仮想電源ボタン、およびハードウェアヘルス、イベント
ログ、構成などのシステム管理情報といった、顧客がProLiantサーバに求めるリモート管理機能を有効にし
ます。iLO 2 デバイス9 は高性能のリモートコンソール(仮想KVM)と仮想メディア機能を提供しており、管理
者はWebブラウザ、コマンドライン、またはスクリプトを使用してこれにアクセスできます。仮想KVMで使用
するアーキテクチャでは、ビデオコントローラから直接ビデオを取得し、高度な圧縮およびリフレッシュテクノ
ロジを使用することで、ネットワークのトラフィック量を減らす(したがってネットワークの効率を向上させる)こ
とができます。
Onboard Administrator
Onboard Administrator は、BladeSystem c-Class エンクロージャ内にある管理コントローラモジュールです。
Onboard Administrator コントローラは各サーバブレードの iLO 2 管理プロセッサと通信することで、
BladeSystem c-Class の管理アーキテクチャの中核機能を形成します。また、オプションとして c7000 エンク
ロージャ内に Onboard Administrator ボードをもう 1 つ取り付けることで、アクティブスタンバイモードで完全
なリダンダントコントローラとして機能させることもできます。IT 技術者と IT 管理者は、c7000 エンクロージャ
の LCD 表示(Insight Display)、Web の GUI、またはコマンドラインインタフェースを使用して Onboard
Administrator にアクセスできます。
Onboard Administrator は、温度および電力状況、システム構成、および管理対象ネットワーク構成に関
連したシステムパラメータを収集します。これらの変数はインテリジェントに統一管理されるため、IT 担当者
は他のソリューションで必要な時間の数分の一で BladeSystem c-Class を構成および管理できます。
Onboard Administrator では、温度状態、電源の割り当てと出力、ハードウェア構成、および管理ネット
ワーク制御機能を監視します。
熱負荷が上昇すると、Onboard Administrator のサーマルロジック機能がファンコントローラに指示を与え
てファンの速度を増加させ、増えた熱負荷に対応します。
Onboard Administrator は、さまざまなコンポーネントの電源の割り当て規則と電源容量の上限を管理しま
す。また高度な電力測定センサーを使用して、消費電力と利用可能な電力を正確に判断します。Onboard
Administrator は最大限の電源エンベロープを使用する代わりにリアルタイムな電力測定データを使用する
ため、顧客は利用可能な電力に対してサーバとインターコネクトをいくつでも配備できます。
BladeSystem c-Class の主要な優位性の 1 つとして、顧客の好みに応じて事実上どのようにもシステムを構
成できるという柔軟性があります。IT 管理者の構成および設定プロセスを支援するために、Onboard
Administrator は、各ブレードとインターコネクトがエンクロージャに追加されるごとに、インターコネクトとメ
ザニンカードの電気的キーイング、電源容量、冷却能力、およびコンポーネントの場所という 4 つの属性を
確認します。電気的キーイングメカニズムは、インターコネクトとメザニンカードの互換性を保証するもので
す。またこれは信号トポロジを判別して、信号が高速な NonStop シグナルミッドプレーンを通過した後に受
信機側でベストな信号の受信ができるように、送信機側の強調レベルを正しく設定します。
Onboard Administrator は、既存の管理ネットワークでの BladeSystem c-Class コンポーネント(DHCP をサ
ポートするコンポーネント)を自動的に識別して、IP アドレスを割り当てるツールを提供しています。これに
よって BladeSystem c-Class の構成プロセスの簡素化と自動化が可能になります。
Insight Display 機能(図 11)は、Onboard Administrator のすべての設定、管理、およびトラブルシューティ
ング機能への迅速なオンサイトアクセスを提供します。たとえば、エンクロージャの電源を初めてオンにした
とき、Insight Display はインストールウィザードを起動し、構成プロセスに沿って IT 技術者を誘導します。技
9
iLO 2 とは、Lights-Outリモート管理の第 4 世代です。
17
術者がエンクロージャを初期設定した後、インストールまたは構成上のエラーがあれば、Insight Display は
そのフィードバックおよび助言を行います。さらに、技術者はエンクロージャ管理、電源管理、および
18
HP BladeSystem の診断についての情報を提供するメニューにアクセスできます。Insight Display は電子的
な付箋に相当するユーザーノート機能を提供します。管理者はこの機能を使用して、連絡先の電話番号な
どの有用な重要情報を表示できます。さらに、Insight Display は Insight Display と Web の GUI との間で
の双方向のチャットモード(インスタントメッセージのようなもの)も提供しています。したがってデータセンター
の技術者は、何を行う必要があるかについて、リモートの管理者と即座に連絡することができます。
図 11. Insight Display のメインメニューは、エンクロージャ全体のすべてのエンクロージャ設定、構成、ヘルス情報、ポートマッピング
情報、およびトラブルシューティング機能に技術者が簡単にアクセスできるようになっています。
バーチャルコネクト テクノロジを使用した仮想化ネットワークインフラストラク
チャ
HP BladeSystem c-Class は、バーチャルコネクト テクノロジを統合して積み上げ方式で設計されています。
Onboard Administrator、c-Class PCI-Express メザニンカード、内蔵 NIC、および iLO のすべてがバーチャ
ルコネクト テクノロジを支える機能を提供しています。バーチャルコネクト機能が HP BladeSystem c-Class
インフラストラクチャと緊密に統合されているからこそ、この機能が有効かつシームレスなものとなりえてい
るのです。
バーチャルコネクトは、サーバエッジの仮想化を実装しています。これは、サーバと外部ネットワークとの間
に抽象化(仮想化)レイヤを配置することで、LAN(ローカルエリアネットワーク)および SAN が個々のサーバ
ではなく、サーバのプールを認識できるようにします(図 12 参照)。特定のインターコネクトモジュール(バー
チャルコネクト モジュール)によって、仮想化された接続が提供されます。仮想レイヤは、指定ドメイン内の
すべてのサーバブレードに対して、NIC とファイバチャネルのアドレスのグループを設定して、ドメイン全体
のソフトウェア内で、これらのアドレスを一定に保ちます。何らかの変更が必要な場合(たとえば、サーバブ
レードのアップグレードが必要な場合)、サーバ管理者はサーバブレードを交換することが可能で、物理
NIC アドレスの変更はバーチャルコネクト マネージャによって管理されます。
19
図 12. HP バーチャルコネクトテクノロジによって提供される仮想化レイヤによって、イーサネットとファイバチャネルポートの物理マッピ
ングがネットワーク管理者およびストレージ管理者の視点から隠蔽されます。
サーバ管理者
HP バーチャルコネクト モジュール
ネットワーク管理者
サーバエッジの仮想化
ストレージ管理者
ブレードエンクロージャ
ネットワーク管理者から見ると、LAN 接続および SAN 接続はサーバのグループに対して設定されており、
ネットワークには何の変更もありません。これによって、LAN または SAN に影響を与えずに、サーバ構成を
移動、追加、または変更することができます。さらにバーチャルコネクト モジュールはスイッチと異なり、
ネットワーク制御アクティビティ(イーサネットのスパニングツリープロトコルやファイバチャネルの FSPF など)
に参加しないため、ネットワーク管理者はネットワークのエッジにスイッチを追加して管理するという心配が
なくなります。
HP バーチャルコネクト テクノロジにより、HP BladeSystem c-Class サーバと外部ネットワークとの接続を管
理するための簡単かつ使いやすいツールが提供されます。これによってサーバエンクロージャ管理と LAN
および SAN 管理が明確に区別されるため、LAN および SAN の管理者はサーバの保守から解放されます。
さらに、このテクノロジにより HP BladeSystem c-Class サーバブレードはいつでも変更可能な状態にあるた
め、サーバ管理者は LAN または SAN に影響を与えずにサーバを追加、移動、または交換できます。
可用性テクノロジ
BladeSystem c-Class は、アーキテクチャ全体を通して何層もの可用性機能が組み込まれており、データセ
ンターに必要な 24 時間 365 日稼動できるインフラストラクチャを実現しています。BladeSystem c-Class は、
単一点障害を排除するためにリダンダント構成を使用し、コンポーネントの障害リスクを緩和して変更に必
要な時間を削減するアーキテクチャを採用することで、可用性を高めています。
リダンダント構成
BladeSystem c-Class はリダンダントなモジュールとパスを提供することで、障害発生のリスクを最小限に抑
えています。
20
c-Class アーキテクチャは、リダンダントな電源装置、ファン、インターコネクトモジュール、および Onboard
Administrator モジュールを搭載しています。たとえば、顧客は N+N リダンダント構成または N+1 構成から
選択して電源装置を使用することができます。インターコネクトモジュールは図 6 で示すように、冗長性を確
保するために横並びで配置できます。またエンクロージャはアクティブスタンバイ構成で 1 つまたは 2 つの
Onboard Administrator モジュールをサポートすることが可能です。
このアーキテクチャでは、施設の複数の電力供給(最大 6 つの IEC C19-C20 電源コードを受け付ける単相
c7000 エンクロージャ、およびデュアル入力を使用する三相 c7000 エンクロージャ)、ブレードとインターコ
ネクトベイの接続、およびブレードとエンクロージャマネージャの接続の使用による、リダンダントパスが提
供されています。
さらに、すべてのコンポーネントがホットプラグ対応であるため、管理者は障害発生時に完全なリダンダント
構成にすばやく戻すことができます。
信頼性の高いコンポーネント
HP は c-Class アーキテクチャについては、機会あるごとに設計の信頼性を高めてきましたが、単一点障害と
考えられる重要なコンポーネントについては、特に注意を払ってきました。顧客の中には、BladeSystem
c-Class エンクロージャの NonStop シグナルミッドプレーンには複製がないため、単一点障害だと考える方
もいるかもしれません。しかし HP は、以下の対策を講じることによってこのリスクを緩和し、PCB の信頼性を
著しく高めました。
• ブレードとインターコネクトベイ間にリダンダントパスを提供するために NonStop シグナルミッドプレーンを
設計しました。
• 機能に影響を及ぼすアクティブコンポーネントを PCB からすべて取り除くことで、潜在的な障害の原因を
除去しました。
• 電源を NonStop シグナルミッドプレーンから除去することで、基盤を薄くし、温度ストレスを緩和して、
データ信号に影響を及ぼす電源バスの過剰負荷のリスクを緩和しました。
• コネクタ数を最小限に抑えて、機械的な調整に関する問題を減らしました。
• クロストークを最低限に抑えつつ 10Gbps の高速信号にも対応する、機械的に堅牢なミッドプレーンコネ
クタを使用しました。
これらの結果、NonStop シグナルミッドプレーンの MTBF(平均故障時間)が著しく向上しました。
顧客によっては、Onboard Administrator モジュールを 2 つにして冗長化せずに、1 つだけ選択する場合が
あります。この場合、Onboard Administrator が単一点障害となることがあります。万が一 Onboard
Administrator に障害が発生した場合でも、サーバブレードとインターコネクトモジュールはすべて通常どお
り稼動し続けます。このモジュールは、サーバブレードとインターコネクトモジュールに影響を及ぼすことなく、
除去および置換できます。
コンポーネントの動作温度は信頼性に重要な影響を及ぼします。動作温度が指定された最大値を超えて
上昇するにつれて、温度ストレスが増加し、短寿命化を招きます。BladeSystem c7000 エンクロージャの
PARSEC 設計は、サーバブレード、インターコネクトモジュール、および電源装置などの重要コンポーネント
すべてに冷却された外気を送り込むことで、コンポーネントの動作温度を最小限に抑えます。エアフローは
わずかな量の空気も逃さないよう隙間なくダクト内に詰め込まれ、最小限の空気で最大の温度効果を発揮
するようになっています。サーバブレードは吸気とヒートシンク(CPU とメモリモジュールの両方)について、十
分に余裕を持たせた設計になっています。HP では従来の CPU 用ヒートシンクを使用せずに、銅製フィンの
ヒートシンクで設計したため、1U ラックに最適化されたサーバで使用されていた従来のヒートシンクよりも小
さい筐体で高い熱交換が可能になりました。
最後に、Onboard Administrator によるシステム全体の温度監視によって、アクティブ冷却ファンがエンク
ロージャ全体を適切に冷却できます。一方、ファンは高性能のモーターと回転翼を使用した設計であるため、
従来のファン設計と比べると電力消費が低く、エンクロージャの冷却に使用するエアフローも少なくなってい
ます。独自設計の羽根、筐体、モーター巻線、ベアリング、および駆動回路を使用したアクティブ冷却ファン
は、通常のサーバファンよりも高い信頼性を実現しています。
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論理遅延時間の短縮
BladeSystem c-Class は、BladeSystem p-Class および他の ProLiant サーバと同じように、使いやすさを最優
先に設計されました。システムの交換、アップグレード、および構成に必要な時間の短縮は、Onboard
Administrator とこれに関連する Insight Display、バーチャルコネクト テクノロジ、およびホットプラグ対応デ
バイスといった、BladeSystem c-Class における複数の重要なテクノロジによって実現されました。
Onboard Administrator とバーチャルコネクト テクノロジについては、すでに「構成テクノロジと管理テクノ
ロジ」の項で説明しました。Onboard Administrator のインテリジェンス機能と使いやすい Insight Display パ
ネルを使用することによって、管理者はシステム構成およびトラブルシューティングに数時間あるいは数日
もかけることなく、数分で実行できるようになります。また、バーチャルコネクト テクノロジを採用することで、
サーバブレード環境で構成変更が起こるたびにネットワーク設定を変更するといったことが不要になるため、
サーバ管理者は LAN 管理者および SAN 管理者の管理上の負担を取り除くことができます。さらに、サー
バブレードのプールに対してネットワーク接続が行われるため、障害が発生したサーバブレードから動作可
能なサーバブレードへのネットワークサービスの移行が、わずかな時間で簡単に実行できます。
最後に、ファン、電源装置、インターコネクトモジュール、Onboard Administrator モジュール、サーバブレー
ド、およびストレージブレードはホットプラグ対応になっているため、エンクロージャ内の他のコンポーネント
に影響を及ぼすことなく取り外すことができます。サーバブレードまたはストレージブレードなどの一部のコ
ンポーネントについて、エンクロージャから取り外す前に、ブレードの電源がオフになっていることを確認し
たいと考える管理者もいるでしょう。しかし、ホットプラグ対応コンポーネントは、取り外してもエンクロージャ
自体には何ら影響ありません。
まとめ
HP はデータセンターのモジュール化、高い適応性、そして自動化を約束するアーキテクチャとして、
BladeSystem c-Class を設計しました。この作業を行うために、HP は顧客と緊密に協力して、データセンター
を管理する上での要件と課題の理解に努めました。ここで得られた知識と将来予想される業界標準および
テクノロジを結びつけ、HP の複数のビジネスユニットから集結した専門家チームの共同作業によって、
c-Class アーキテクチャ、エンクロージャ設計、およびサーマルロジック冷却テクノロジが定義されました。
c-Class アーキテクチャモデルが提供するスケーラブルなデバイスベイとインターコネクトベイによって、顧客
は必要なコンポーネントをいつでも追加できます。次世代のブレードに備えて電源および冷却のヘッドルー
ムが十分にあるため、顧客は最小の 1 ブレードから上限数に達するまで、ファンと電源装置を追加すること
でエンクロージャを簡単にスケールアップできます。顧客のニーズとテクノロジの方針について数世代先ま
で適応可能な独自設計の NonStop シグナルミッドプレーンによって、HP は BladeSystem c-Class の高い柔
軟性と長寿命を実現させました。BladeSystem c-Class では、ボリューム容量、電力、冷却能力、およびミッ
ドプレーン間の信号トレースといったこれらのリソースを統合することで、顧客の所要量に合わせてリソース
を効率的に共有することができます。c-Class アーキテクチャは長寿命化を配慮した設計となっており、サー
バブレード、ストレージブレード、インターコネクトモジュールの製品を数世代にわたって相互運用できるよう
設計されています。c-Class エンクロージャはメインストリームのエンタープライズ製品として最適化されてい
るだけではなく、将来はワークステーションブレード、ストレージシステム、あるいは NonStop システムをサ
ポートする能力を備えた汎用インフラストラクチャとしての最適化もなされています。
HP は BladeSystem c-Class によって、旧世代のブレードシステムを超えるハードウェア制御能力、インテリ
ジェント監視、自動化機能、および仮想化機能を実現しています。Onboard Administrator と Insight
Display は、各サーバ上のインテリジェント管理プロセッサと連携して動作することで、管理者に情報と制御
機能を提供します。さらに、BladeSystem c-Class は、電力と冷却能力をきわめてコスト効率良く動的に監視
および制御する HP サーマルロジック、そして I/O 接続を仮想化することでネットワーク管理と IT の変更を
簡素化する HP バーチャルコネクト テクノロジという 2 つの機能により、他社製品との差別化を図っていま
す。
22
関連情報
詳細については、以下のリソースを参照してください。
ソース
ハイパーリンク
HP BladeSystem c-Class の文書
http://h71028.www7.hp.com/enterprise/cache/316735-0-0-0-121.html(英語)
HP BladeSystem 電源サイジングツール
www.hp.com/go/bladesystem/powercalculator (英語)
HP BladeSystem Web サイト
www.hp.com/jp/bladesystem/
HP ProLiant 用パワーレギュレータ
http://h18000.www1.hp.com/products/servers/management/ilo/power-regula
tor.html (英語)
HP 技術概要
http://h18013.www1.hp.com/products/servers/technology/whitepapers/proli
ant-servers.html#bl (英語)
HP BladeSystem c-Class のエンク
ロージャ
HP BladeSystem c-Class に実装さ
れている HP バーチャルコネクト
テクノロジ
HP BladeSystem c-Class の管理
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付録: 本書で使用している略語
本書では、以下の略語を使用しています。
表 A-1. 略語
略語
意味
CPU
中央演算処理装置(Central processing unit)
DDR
ダブルデータレート(Double Data Rate)
DHCP
動的ホスト構成プロトコル(Dynamic host configuration protocol)
DIMM
デュアル インライン メモリ モジュール(Dual Inline Memory Module)
EEPROM
電気的に内容を書き換えることができる ROM (Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)
FRU
フィールド交換可能ユニット(Field replaceable unit)
FSPF
Fabric Shortest Path First。ファイバチャネルスイッチ用の経路指定プロトコル
Gb
ギガビット(Gigabit)
GB
ギガバイト
GUI
グラフィカル ユーザー インタフェース(Graphical user interface)
IT
情報技術(Information Technology)
I/O
入出力(Input/output)。一般的に、ディスクドライブやネットワークインターコネクトなどのストレージまたは
周辺機器を指す。
KVM
キーボード、ビデオ、マウス(Keyboard, video, and mouse)
LCD
液晶ディスプレイ(Liquid crystal display)
MB
メガバイト(Megabyte)
NIC
ネットワークインタフェースカード(Network Interface Card)
PCI
Peripheral component interconnect
PCIe
PCI Express
QDR
クワッドデータレート(Quad Data Rate)
RAM
ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)
ROM
読み取り専用メモリ(Read only memory)
SAN
ストレージエリアネットワーク(Storage Area Network)
SCSI
Small Computer Systems Interface
U
ラックマウント装置の測定単位(ラック単位 U は 1.75 インチ(4.44cm))
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TC061105TB、2006 年 11 月
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