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家庭ごみの有料化について 答申書

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家庭ごみの有料化について 答申書
家庭ごみの有料化について
答申書
平成23年1月
大津市廃棄物減量等推進審議会
答申にあたって
平成20年8月27日付け大環ご第211号にて諮問のありました「家庭ごみの有料化に
ついて」の事項について、審議結果をとりまとめましたのでご報告いたします。
当審議会は、専門家とともに市内の各方面でご活躍の方々で構成されており、有料化に係
る多くの課題について様々な視点で議論を重ねて参りました。
その結果、有料化によるごみ減量効果の他、市のごみ行政の現状や周辺自治体における実
施状況等を鑑みて、大津市においても「家庭ごみの有料化」を実施すべきであるとの結論に
至りました。
さらに、有料化の円滑な実施や市民生活への影響にも配慮し、実施内容の詳細についての
提案も行っております。社会情勢やごみ量の動向などに留意の上、適切な時期に条例改正等
の手続きに入られることを要望いたします。
「家庭ごみ有料化」の導入には、市民の理解を充分に得ること、そして、これまでごみ減
量に尽力して来られた諸団体・諸活動との連携を一層強めることが不可欠です。パブリック
コメントでは、ごみ減量に対する有料化以外での行政努力を求める声が多数聞かれました。
大津市におかれましては、
「家庭ごみの有料化」の導入と並行して、これまで以上にごみ減量
および資源化に係る施策の充実に努めることを切望いたします。
平成 23 年 1 月
大津市廃棄物減量等推進審議会
会長 樋口
能士
目
次
はじめに
1.大津市のごみ排出量の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2.家庭ごみ有料化の全国的な動き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
3.大津市における有料化の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
<参考1>有料化導入による家庭ごみ減量効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
4.有料化の仕組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
5.大津市で導入すべき有料化の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(1)有料化の対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(2)料金体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11
<参考2>大津市における超過量有料制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(3)手数料徴収の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
(4)手数料の設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
<参考3>ごみ処理手数料の設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
(5)有料指定ごみ袋等の種類・形状と販売方法・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
(6)手数料の減免・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
6.収入の使途の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
7.有料化にあたっての留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
【資料編】
・諮問書(写し)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資料編-1
・大津市廃棄物減量等推進審議会委員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・
資料編-2
・「家庭ごみの有料化について」答申書策定までの経過・・・・・・・・・・・ 資料編-4
・審議会関連条例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
資料編-5
・答申素案に対するパブリックコメントの意見集約項目・・・・・・・・・・
資料編-6
・答申素案に対するパブリックコメントの意見集約及び意見への考え方・・・
資料編-7
はじめに
環境の保全は我々の生存基盤に関わる極めて重要な課題であり、国際的な協調により環境
への負荷を低減する循環型社会を形成し、地球温暖化に対応した「低炭素社会」や「自然共
生社会」の構築により「持続可能な社会」を実現する時代に突入しています。
また経済活動の拡大に伴い形成されてきた大量廃棄型の社会は、環境保全と健全な物質循
環の阻害に結びついており、膨大な廃棄物が生じるだけでなく、廃棄物の多様化に伴う処理
の困難化や不適正な処理による環境負荷の拡大など、社会経済の持続的な発展に支障をきた
してきています。
国においては、環境基本法や循環型社会形成推進法によりその方向性を示し、廃棄物につ
いては廃棄物の処理及び清掃に関する法律の数次にわたる改正やリサイクル推進に係る諸法
の制定等の対応が図られてきました。国は平成17年に「廃棄物の減量その他その適正な処
理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」を改正し、市町村の
役割として「経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、排
出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の推
進を図るべきである」と定めたことにより、国全体の施策の方針として一般廃棄物処理の有
料化を推進するべきことが明確化されました。さらに平成19年には国から「一般廃棄物処
理有料化の手引き」が示され、全国的に導入が進んでいる状況です。
こういった背景の中、大津市長から本審議会に対し、平成20年8月27日付け大環ご第
211号で「家庭ごみの有料化について」の事項について諮問がありました。
諮問に対し、本審議会では9回の審議会を開催し、慎重に検討を行ってきました。検討に
あたっては答申素案に対してパブリックコメントを実施するなど、広く市民意見を聴取でき
るよう努めてきたところです。
その結果、
「家庭ごみの有料化」は、ごみの排出抑制のための新たな意識を生み出し、ごみ
排出量に応じた負担の公平化を図ることで有効な施策であり、さらに有料化による収入を新
たなごみ減量や資源化施策を通じ市民へ還元することで、持続的なごみ減量や資源化効果が
期待できる施策であるとの結論に達し、本市においても「家庭ごみの有料化」を導入すべき
であると答申します。その基本的な考え方について、本報告書にとりまとめたところです。
1.大津市のごみ排出量の動向
大津市では、大阪都市圏の拡大による人口増加の影響を受け、昭和40年代からごみ排
出量が急増しました。しかし、ごみ処理施設の建設が遅れており、昭和52年9月定例市
議会で「ごみ非常事態宣言」が決議されました。この決議を受けて、昭和56年5月には
市民・事業者・市が連携してごみ減量とリサイクル意識の高揚等を推進することを目的
に「ごみ減量と資源再利用推進会議」が発足され、市民ぐるみのごみ減量と資源再利用
の運動を展開されました。また、同会議は、昭和57年4月に、かん・びんの分別収集の
開始、同年5月には燃やせるごみの指定紙袋排出制導入にあたり、市と連携を図り、ご
み減量に貢献されました。
これらの活動により、ごみ減量行動は市民に定着し、昭和56年度から60年度まではご
み排出量は減少に転じました。
しかし、平成の時代に入るとごみ排出量は再び増加に転じました。大津市のごみ排出
量の動向を図1、表1に示しますが、家庭系ごみでは、平成13年4月からの指定透明ご
み袋制導入にあたり、市内各自治会への説明会を実施し、「ごみ減量と資源再利用推進
会議」との連携により多くの市民の理解を得ることができ、ようやく減少傾向に転じる
きっかけとなり、燃やせるごみと燃やせないごみを合わせたごみ排出量は、平成12年度
の約73千トンから平成13年度には約70千トンへ3千トン程度減少しました。その後、燃
やせるごみと燃やせないごみを合わせたごみ排出量はほぼ横ばいで推移しましたが、平
成16年度から18年度にかけて再び減少傾向を示し、平成18年度途中からプラスチック容
器の分別収集を実施(平成19年2月実施)し、約63千トンへとさらに減少しています。
また、平成20年1月の大型ごみ戸別有料収集の導入より、大型ごみは平成19年度の約
6千トンから平成20年度には約1千トンへ大きく減少していますが、これは有料化実施
前の一時多量駆け込み排出によって整理されたことと、有料化実施に伴う資源再利用の
意識の高まりと推察していますが、平成21年4月から平成22年3月までの排出量は632
トンで対前年比10%の増加であることから、他都市の事例でも示されているように、今
後の見通しとしては引き続きリバウンドにより、緩やかな増加傾向が続くものと予測さ
れます。なお、燃やせるごみと燃やせないごみを合わせたごみ排出量は約63千トンとほ
ぼ横ばいで推移しています。
一方、事業系ごみは、ごみダイエットブックの発行による企業(事業者)への減量啓
発と処理費用負担の適正化(平成20年1月にごみ処理手数料を100円/10kgから150円
/10kgに改訂)等に取り組んだことや、景気の低迷の影響を受け、平成17年度の約45千ト
ンから平成20年度には約38千トンへ、近年はごみ排出量が減少傾向を呈しています。
図2に市民1人1日当たりのごみ排出量の動向を示しています。全体的には、燃やせ
るごみと燃やせないごみを合わせたごみ排出量は減少しています。
最初に述べたように、大津市では「ごみ非常事態宣言」後に、市民のごみ減量とリサ
イクル意識が高揚し、市民にごみ減量行動が浸透しました。そして、現在でもごみ問題
に関心が高い市民や市民グループを中心に、ごみ減量の活動に取り組まれています。
-1-
平成18年3月に策定した「一般廃棄物(ごみ)処理基本計画
大津~HEARTプラ
ン(後期計画)」の平成20年度家庭系ごみの減量目標量約23千トンに対して、実績量(発
生抑制の推定量と再生利用実績量を合わせた量)は約24千トンで、計画に対しての家庭
系ごみの減量目標はクリアできています。
しかしながら、大津市のごみ排出量は減少しているものの、図3に示すとおり燃やせ
るごみと燃やせないごみとを合わせたごみ排出量は市民1人1日当たり512gとなって
おり、県内主要都市の平均と比較すると大津市の方が多くなっています。
周辺都市がごみ減量の促進施策として、家庭ごみ有料化の導入、拡充を進める中、さ
らにこの差が広がっていく可能性があります。大津市としても、これまで以上にごみの
減量化施策に取り組んでいかねばなりません。
家庭ごみの有料化は、①市民の行動をごみ減量の行動へ誘導(動機付け)するだけで
なく、②ごみ排出量に応じた負担の公平化を図るとともに、③ごみの現状、減量・リサ
イクル等に対する市民の関心を向上させる、④次期焼却施設の規模縮小等をもたらし財
政負担を軽減化する、⑤市民や市民グループの自主的なごみ減量等環境負荷低減行動を
育む財源が確保できるなどの効果が期待できます。
このことは、これまでごみ減量活動を活発に行ってこられた市民の諸活動が、さらに
推進、発展されることに資すると考えています。
図1
(千トン)
〔家庭系ごみ〕
100
94
11
80
5
5
96
大津市のごみ排出量の動向
92
93
95
12
13
13
5
4
5
5
5
5
11
5
6
91
13
4
5
88
89
89
14
14
14
4
4
5
5
6
82
14
6
5
63
63
60
40
72
73
70
70
72
68
66
65
1
集団資源回収
20
資源ごみ(かん、びん、ペット、プラ容器等)
大型ごみ
燃やせるごみ+燃やせないごみ
0
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
40
43
39
41
43
44
45
0
2
2
43
41
1
H20
〔事業系ごみ〕
(千トン)
50
40
1
1
1
2
2
38
2
30
39
42
39
41
42
43
43
41
39
20
36
資源ごみ(かん、びん等)
10
燃やせるごみ+燃やせないごみ+大型ごみ
0
H11
H12
H13
H14
-2-
H15
H16
H17
H18
H19
H20
表1
大津市のごみ排出量の動向
(人、トン)
人口
(年度末)
家庭系
燃やせるごみ
燃やせないごみ
燃やせるごみ+燃やせないごみ
大型ごみ
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
311,870
314,923
318,129
321,231
324,224
325,621
327,479
329,675
332,427
334,341
69,832
70,697
68,311
68,545
70,081
66,230
63,815
63,648
60,905
60,685
2,371
2,588
2,117
1,898
1,910
1,953
1,827
1,845
1,719
1,854
72,203
73,285
70,428
70,443
71,991
68,183
65,642
65,493
62,625
62,540
4,568
6,277
4,427
4,869
4,994
4,814
4,492
4,969
6,064
572
かん
1,941
1,775
1,667
1,424
1,194
1,090
1,030
980
921
793
びん(ペット)
3,363
3,289
3,475
3,317
2,743
2,644
2,519
2,580
2,419
2,291
102
612
666
683
721
739
716
327
2,050
1,607
32
ペット
プラ容器
乾電池
37
28
33
41
50
39
40
38
39
牛乳パック
32
29
29
35
30
30
26
24
23
23
5,373
5,121
5,204
4,919
4,629
4,469
4,299
4,669
6,190
5,462
資源ごみ
集団資源回収
11,376
11,108
12,065
12,870
12,923
13,462
13,600
13,618
14,052
13,540
家庭系ごみ合計
93,519
95,791
92,125
93,101
94,537
90,928
88,032
88,750
88,931
82,113
事業系
35,655
37,413
35,578
37,499
38,415
39,236
39,699
37,928
36,425
32,611
燃やせないごみ
燃やせるごみ
1,473
2,659
1,324
1,295
1,354
1,198
1,093
1,030
907
1,255
大型ごみ
1,910
2,264
1,695
1,957
2,334
2,082
1,969
1,906
1,915
1,919
事業系ごみ小計
39,038
42,336
38,597
40,751
42,103
42,516
42,761
40,864
39,247
35,784
かん
130
151
145
128
107
101
81
70
48
55
びん(ペット)
435
467
529
374
298
241
331
321
178
159
9
64
ペット
刈草剪定枝
資源等小計
事業系ごみ合計
総合計(集団資源回収含む)
58
81
81
74
57
1,158
1,519
1,654
1,256
1,501
565
618
674
511
469
1,558
2,012
2,126
1,555
1,773
39,603
42,954
39,271
41,262
42,572
44,074
44,773
42,990
40,802
37,557
133,122
138,745
131,396
134,363
137,109
135,002
132,805
131,739
129,733
119,670
※四捨五入の関係で合計が合わないことがある。
図2
(重量(g/人/日))
市民1人1日当たりの家庭系ごみ排出量の動向
700
633
638
607
601
607
574
600
549
544
515
512
166
156
燃やせるごみ+燃やせないごみ
500
400
300
資源(集団資源回収含む)
200
147
100
141
149
152
148
151
150
152
38
42
42
41
38
41
55
40
50
大型ごみ
5
0
H11
図3
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
県内主要都市との市民1人1日当たりの家庭系ごみ排出量の比較(平成20年度)
(g/人/日)
600
512
500
446
大津市
県内の有料化導入都市(5都市)
400
300
156
200
141
100
22
5
0
燃やせるごみ+燃やせないごみ
大型ごみ
資源ごみ
注1)県内の有料化導入5都市は、長浜市、草津市、野洲市、湖南市、米原市です。 2)資源ごみには集団資源回収も含みます。ただし、上記の県内有料化導入都市のうち、野洲市、米原市は集団回収への助成をしていないため、古紙類等については、
市で収集している回収量の数値です。
-3-
表2
ごみ処理されている家庭系ごみ中の資源化可能物の排出状況(平成21年3月調査)
本調査
資源化
プラ ス
可能物
チッ ク 類
小計
紙類
重量比 容積比
( %)
( %)
0. 05
0. 12
ペッ ト ボト ル( PET収集の対象品目)
プ ラ ス チ ッ ク 製容器包装
( 容器包装リ サイ ク ル法の対象)
7. 58
紙パッ ク ( 飲料水、 アルミ コ ーテ ィ ン グな し )
段ボール
その他紙製容器包装( 法律対象物のみ)
新聞紙( そのま ま 排出さ れたも ののみ)
雑誌・ 書籍
折込広告
小計
ガラ ス 類 リ タ ーナブ ルびん
( びん類) ワン ウェ イ びん( 化粧品びんを 除く )
小計
金属類
缶類( ス プ レ ー缶を 含む)
複合ア ルミ 箔の袋( レ ト ルト 含む)
乾電池
小計
繊維類( 衣類)
25. 40
7.
0.
0.
5.
2.
0.
1.
11.
63
69
41
76
24
53
76
39
25.
2.
0.
15.
3.
0.
2.
24.
52
80
46
17
63
22
52
80
0.
0.
0.
0.
13
13
10
62
0.
0.
0.
0.
03
03
11
90
0. 72
2. 37
1. 01
2. 57
資源化可能物の合計
22. 24
53. 93
堆肥化
可能物
38. 36
1. 51
12. 13
1. 40
堆肥化可能物の合計
39. 87
13. 53
堆肥化可能物を 含む資源化可能物の総合計
62. 11
67. 46
厨芥類( 流出水分等含む)
剪定枝
(出典)「平成20度家庭ごみの排出実態調査」
2.家庭ごみ有料化の全国的な動き
国の「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を
図るための基本的な方針」(環境省
平成17年5月告示)において、市町村の役割とし
て、経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、排出量
に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物の有料化の推進を
掲げました。また、それを受けて、国は市町村が有料化を導入する際の参考となる手引
きとして「一般廃棄物処理有料化の手引き」を平成19年に作成しました。平成20年には
「第2次循環型社会形成推進基本計画」の中で1人1日あたりのごみ排出量を平成27年
度までに平成12年度比で約10%減とする目標が設定されたところです。
家庭ごみの有料化の導入状況は、図4に示すように徐々に増加してきています。全国
に先駆けて守山市が有料化を導入した昭和57年(1982年)、出雲市や高山市が導入した
平成4年(1992年)頃は、有料化の導入は人口規模の小さな都市が中心でしたが、近年、
福岡市(平成17年(2005年)10月実施)、京都市(平成18年(2006年)10月実施)、仙台
市(平成20年(2008年)10月実施)、札幌市(平成21年(2009年)7月実施)のように
政令都市をはじめ大都市にも導入されつつあります。
図4の調査によると2009年7月現在で、全国の都市の51.9%が家庭ごみの有料化を実
施しており、町村を含めた全自治体では58.8%が既に有料化を実施しています。
滋賀県内を見てみますと13市の内、8市の61.5%が有料化を実施しています。
さらに滋賀県内では、超過量有料制を採用していた都市が、下記のとおり単純従量制
に制度変更しています。
○長浜市(平成22年1月1日に、1市6町合併)
・旧長浜市、旧虎姫町、旧湖北町、旧高月町
-4-
平成20年(2008年)10月から変更
・旧木之本町、旧余呉町
・旧西浅井町
平成21年(2009年)4月から変更
平成21年(2009年)5月から変更
○米原市
平成20年(2008年)10月から変更
○守山市
平成21年(2009年)7月から変更
○草津市
平成21年(2009年)12月に制度変更の最終答申
○栗東市
平成22年(2010年)4月1日から変更
このように、滋賀県内の主要都市の多くは過去に超過量制を導入しましたが、一定枚数
の無料ごみ袋を住民に配布する事務の繁雑さや経費の増大、各世帯への無料ごみ袋の配
布枚数の基準づくりの困難さなどから、単純従量制に制度変更されつつあります。
なお、有料化によるごみ処理手数料の収入については、収集費用や施設整備費用等の
清掃事業だけに用いるのではなく、市民のごみ減量行動への支援等、有用な活用先を模
索している都市も増えてきています(表3参照)。
図4
180
160
年代別有料化都市数(市区数)の推移
N=418
154
140
市数
123
120
100
75
80
60
40
20
28
23
12
3
0
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
前半
1990年代
後半
2000年代
前半
2000年代
後半
注)2009年7月現在
(出典)山谷「今は自治体が有料化に踏み切る好機」(月刊廃棄物2009.8)
表3
有料化の運営に必要な経費
排出抑制の推進に資するもの
手数料収入の使途の例
戸別収集の導入費
指定ごみ袋やシールの作成費
排出抑制の推進の助成・啓発事業費
資源ごみの回収及び選別に要する費用
再生利用の推進に資するもの
リサイクル施設の施設整備に要する費用
資源ごみの集団回収への助成
住民意識の改革に資するもの
その他
エコショップ認定制度に資する事業費
発生抑制及び再使用の推進のための助成や啓発のための事業費
ごみ処理施設の整備費の他、一般廃棄物の処理に要する費用
(出典)「一般廃棄物処理有料化の手引き」(環境省 H19.6)
-5-
3.大津市における有料化の目的
大津市で有料化を導入する目的を以下の5点に集約しました。
①市民の行動をごみ減量の行動へ誘導(動機付け)
家庭ごみを有料化することにより、その費用負担を軽減するため、ごみ排出量を減量
しようという動機(インセンティブ)が働きます。この結果、無駄な商品の購入の差し
控え、使い捨て容器ではなく再使用型の容器に入った飲料水の購入、家庭で不要となっ
た物を知人に譲渡、地域の集団回収に積極的に参加して古紙をリサイクル等、市民の行
動をごみ減量型へ誘導するものです。
環境省の「一般廃棄物処理有料化の手引き」の調査によると1~2円/ℓの手数料の料
金水準で10%強のごみの排出抑制効果があります。
②ごみ排出量に応じた負担の公平化
現在は税金でごみ処理費用を賄っており、ごみ減量に積極的に取り組みごみ排出量が
少ない市民も、ごみ減量の努力には消極的な市民も税金による間接的費用負担は変わり
ません。しかし、家庭ごみを有料化することにより、今までごみ減量に努力してきた市
民に対しても有料指定袋代による一定の直接的費用負担を求めることになりますが、3
R(※)の実践によりごみの減量に努力している市民の費用負担は少なく、努力をせず
にごみを多く出す市民はそれに応じて費用負担が増えることになり、ごみ排出量に応じ
た負担の公平化が図られます。
※3Rとは、Reduce(リデュース(発生抑制))、Reuse(リユース(再使用))、Recycle(リ
サイクル(再資源化))の総称。循環型社会形成のための基本的な考え方。
図5
ごみ排出量に応じたごみ処理費用負担の公平化の必要性
市民1人1日当たりの家庭ごみ排出量の分布状況
○家庭によってごみ排出量は大きくばらつ
いています。3Rの実践によりごみの減
量に積極的に取り組む市民と努力をせず
にごみを多く出す市民とでは、ごみ処理
に要する費用負担の大きさを変える仕組
みが必要です。
(出典)「家庭ごみ細組成調査」(京都市 H15.3)
大津市平均値(512g/人/日)
③ごみの現状、減量・リサイクル等に対する、市民の関心の向上
家庭ごみの有料化の導入は、導入前の地元説明会やマスコミ等によるごみ問題の取り
上げ、また、導入後には有料指定袋の購入時にごみ処理費用の負担を実感すること等に
-6-
より、市民のごみに対する関心を高めるものです。
図6
減量・リサイクル等に対する、市民の関心の向上
○有料化を導入したことによってごみ減量化・資源
化への市民の関心が高くなっています。
問:福岡市では、平成17年10月1日から家庭ごみ
の処理が有料となりました。あなたは、家庭
ごみの有料化をきっかけに、ごみ減量・リサ
イクルへの関心は強くなりましたか。
(出典)「福岡市ごみ減量・リサイクルに関する
意識調査報告書」(福岡市 H19.3)
④次期焼却施設の規模縮小等による財政負担の軽減化
大津市のごみ焼却場は、
「北部クリーンセンター」、
「環境美化センター」、
「大津クリー
ンセンター」があり、3施設の処理能力を合わせると425トン/日でありますが、定期
補修工事等のオーバーホール期間を除くと年間の処理能力は約119,000トンであります。
平成12年度には燃やせるごみ量が施設処理能力の限界に近い108,110トンに達しました
が、平成13年4月に指定透明ごみ袋制の導入を行い、ごみ減量の市民会議である「ごみ
減量と資源再利用推進会議」との連携により多くの市民の理解を得ることができ、減少
傾向に転じるきっかけとなりました。その後、平成20年度は93,296トンの実績になりま
すが、将来の規模縮小に向けてさらにごみ減量施策が求められます。本市は市街地形状
及び災害時の対応や、リスクの低い安定処理体制の確保等を考慮し、今後とも北部、中
部、南部の3地域分散処理方式を堅持していきますが、次期焼却施設の更新建設経費に
は約数百億円が見込まれます。このような状況の中、市民の行動をごみ減量へ誘導し、
ごみ排出量がさらに減少することは、ごみ焼却施設の老朽化により更新時期が迫ってい
るなかで焼却施設の規模を縮小することができ、多額の建設費を削減し(※1)、財政負
担の軽減が図れます。ひいては、次世代の負担軽減にも結びつきます。また、ごみ排出
量の減量化は、収集・処理・処分のごみ処理事業に要する費用を削減でき(※2)、財政
負担の軽減化を図れます。
(備考)
※1:焼却施設の建設費は1日当たりの処理能力1トン当たり、約6千万円前後と言
われています。
※2:焼却ごみ1トン当たり約3万円削減できます。
⑤市民や市民グループの自主的なごみ減量等環境負荷低減行動を育む財源の確保
税収入が伸び悩む中で、生ごみ処理機による堆肥化づくりや自治会・子ども会等によ
る古紙回収等、市民や市民グループの自主的なごみ減量等環境負荷低減行動を育成する
-7-
ための財源確保が難しいのが現状です。家庭ごみの有料化による収入の一部をこのよう
な活動支援のための財源とすることにより、環境に配慮した行動が市民や市民グループ
に定着することを目指します。
<参考1>有料化導入による家庭ごみ減量効果
有料化導入による家庭ごみの減量効果は、参考図1に示すように10~20%のごみ減量
効果が得られていると言われています。ただし、リバウンド(有料化導入により一旦ご
み排出量が減少するものの、数年後に再びごみ量が増加する動き)がおこらないように、
市民に対してごみ減量行動のインセンティブを継続していくことが望ましいとされて
います(参考図2、3)。また、有料化の料金水準と減量効果の関係では、参考図4に
示すように1~2円/㍑程度で10%強のごみ減量効果が見られ、2円/㍑を越えた料金水
準の場合は20%以上の減量効果が見られます。
参考図2
有料化とリバウンド
割合 )
(回答自治体
参考図1 有料化導入による家庭ごみの減量効果
※29の自治体への調査によれば、家庭系可燃ごみの減量
率の平均は20%前後で、10~20%と回答した自治体が
約7割を占めています。
(出典)山谷修作「ごみ有料化」(丸善株式会社)
(出典)山川「大阪府廃棄物減量化・リサイクル推進協議会資料」(2000)
参考図3
有料化前後のごみ量の変化
(リバウンドの例)
参考図4
家庭ごみの料金水準と減量効果の関係
燃やすごみの料金水準と平均排出抑制率
(注1) 廃棄物排出抑制率=
(導入2年前(g/人・日)-導入2年目(g/人・日))/導入2年前(g/人・日)
(注2) 平均排出抑制率:各手数料の料金水準区分(~0.99円、1.0~1.49円、1.5~1.99円、
2.0~2.49円、2.5円~)に該当する排出抑制率の平均
(注3) 容積当たりの料金単価がごみ袋の大きさによって異なる場合には、一番大きいごみ袋の
容積当たりの料金単価を採用
(注4) アンケート調査(有料化実施市町村等127市町村を対象に実施:調査対象の選定方法は
参考資料参照)によって排出量データ(g/人・日)を得られた24市町村が集計対象
(出所) 環境省「自治体のごみ処理有料化施策に関するアンケート調査」(平成18年10月
実施)参考(参考資料2参照)
(出典)「一般廃棄物有料化の手引き」(環境省 H19.6)
(出典)「一般廃棄物有料化の手引き」(環境省 H19.6)
-8-
4.有料化の仕組み
有料化の料金体系の基本パターンには、表4に示すように、単純従量制と超過量有料
制があります。両者には長所・短所がありますが、最近は単純従量制を採用する都市が
多くなっています。滋賀県内の都市では、栗東市が平成22年4月から単純従量制に制度
変更され、草津市も平成21年12月に単純従量制に制度変更する答申が出されました。
表4
家庭ごみ有料化の二つの仕組みと特徴等
単純従量制
超過量有料制
タ イプ
手
数
料
手
数
料
(二段階方式)
排出量
排出量
仕組 み
○ごみの排出量に応じて、排出者がごみ処理費用の一定
割合を比例的に負担する方式です。
一般的には、ごみ処理手数料が上乗せされた有料指定
ごみ袋を小売店等で購入します。
主な特 徴
〔仕組みの分かりやすさ〕
○ごみを多く排出するほど、ごみ袋を多く購入する単
純なシステムで市民に仕組みが分かりやすい。
〔ごみ減量意識や行動への誘導、減量効果〕
○経済的動機付け(インセンティブ)によるごみ減量
意識や行動への誘導が期待できます。
○ごみ排出量の多少に関わらず手数料負担が発生す
るため、減量効果は超過量有料制に比べて大きいと
言われています。
〔負担の公平性〕
○ごみを多く出す人ほど金銭的負担が大きくなるた
め、負担の公平性が図れます。
〔制度の運営に要する事務経費〕
○有料指定袋の制作、指定袋の流通・管理、指定袋販
売委託料等、有料指定袋制度運営のための一定額の
事務経費が発生します。
○一定枚数の指定袋の市民への配布等、超過量有料制
に比べて余分な事務経費は発生しません。
〔手数料収入〕
○超過量有料制に比べて大きな手数料収入が得られ
ます。
実施 市
〔滋賀県内〕
長浜市(H20.10)、守山市(H21.7)
米原市(H20.10)、栗東市(H22.4)
〔その他〕
福岡市(H17.10)、京都市(H18.10)
仙台市(H20.10)、札幌市(H21.7)
等
等
○ごみの排出量が一定量となるまでは無料(※二段階方
式では低額の負担)であり、一定量を超えると排出量
に応じてごみ処理費用の一定割合を比例的に負担する
方式です。
一般的に、無料(または低額負担)の範囲は、可燃ご
みで年間100~150枚(排出世帯数により異なる)です。
また、一定量を超えた場合は有料指定ごみ袋を小売店
等で購入します。
〔仕組みの分かりやすさ〕
○指定ごみ袋を市民が入手する方法として、無料配布
分と有料購入分の2つがあり、単純従量制に比べて
仕組みが複雑です。しかし、ごみの減量に積極的に
取り組む市民にとって、無料配布枚数以下であれば
ごみ処理費用の負担はなく、理念的には優れた仕組
みですが、現実的には以下のような問題をかかえて
います。
〔ごみ減量意識や行動への誘導、減量効果〕
○経済的動機付け(インセンティブ)によるごみ減量
意識や行動への誘導が期待できます。
○一定枚数までは無料であり(二段階方式は除く)、さ
らに、一定枚数が通常多めに配布されるため、減量
行動への動機付けが働かず、減量効果は発揮しにく
いと言われています。
〔負担の公平性〕
○一定枚数までは無料であり(二段階方式は除く)、さ
らに、一定枚数が通常多めに配布されるため、その
範囲内では、負担の公平性は図られないと言われて
います。
〔制度の運営に要する事務経費〕
○有料指定袋の制作(無料分、有料分)、指定袋の流通・
管理、販売手数料等に加えて、一定枚数の無料の指
定袋の市民への配布、そのための保管等の超過量有
料制の有料指定袋制度運営のための事務経費が上乗
せされ、単純従量制に比べ多くの事務経費を要しま
す。
〔手数料収入〕
○指定ごみ袋の無料配布分のウェートが大きく、単純
従量制に比べて手数料収入は少ないのが現状です。
〔滋賀県内〕
草津市(H21.12 単純従量制へ制度変更の答申が出され
た)
等
〔その他〕
高山市(H4.4)、河内長野市(H8.2)等
※(
-9-
)内有料化開始年月
5.大津市で導入すべき有料化の内容
本審議会で審議した大津市で導入すべき有料化の仕組みは以下のとおりです。
(1)有料化の対象
有料化の対象は、資源化されているごみ(かん、びん、ペットボトル、プラスチック
製容器包装)を除く、「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」が適切と提案します。
〔理由〕
○資源ごみも収集・処理に費用を要しており、表5に示すように、使い捨て容器入り
商品の購入抑制等の動機付けが働くよう有料化の対象としている都市もあります。
しかし、資源ごみを有料化することは、一方で資源化のための適正に分別をせずに
燃やせるごみに混入するケースが予想され、逆に燃やせるごみ等の減量につながり
にくいと考えます。これは、有料化の目的の一つであるごみ減量のための行動につ
ながらないことが懸念されるからです。このため、有料化の対象とするごみは、焼
却処理、最終処分しているごみに限り、既に導入している大型ごみに加え、
「燃やせ
るごみ」、「燃やせないごみ」とすることが適切と提案します。
図7
大津市のごみ処理の流れ
焼
破
大型ごみ
燃やせない
ごみ
選
別
砕
(
資源ごみ
却
最終 処分 (
埋立)
燃やせる
ごみ
資源化
表5
有料化の対象品目
(出典)「一般廃棄物処理有料化の手引き」(環境省 H19.6)
-10-
(2)料金体系
有料化の料金体系は、「単純従量制」を提言します。
〔理由〕
○有料制には、「単純従量制」と「超過量有料制」の2つがあります。
「超過量有料制」は、ごみの排出量が一定量となるまでは無料(※二段階方式では
低額の負担)であり、一定量を超えると排出量に応じてごみ処理費用の一定割合を
比例的に負担する方式です。「単純従量制」に比べて仕組みが複雑です。しかし、
ごみの減量に積極的に取り組む市民にとって、無料配布枚数以下であればごみ処理
費用の負担はなく、理念的には優れた仕組みです。しかし、現実的には以下のよう
な問題をかかえています。
○家族構成等により排出量の異なる市民のごみ排出量の一定量の定義が難しいこと
から、一定量を多くの市民が不満を持たない高い水準に定めることが一般的で、例
えば、燃やせるごみでは年間100から150枚の無料の指定ごみ袋が配布され、実質的
に無料(すべて税負担)と同じ機能しか果たしていないのが現状です。
さらに、一定量の時点を行政で把握、また、一定量までの無料指定ごみ袋を確実に
配布する場合、例えば、自治会に対して協力をお願いする方法も考えられますが、
仕分け作業等に係る多大な負担から事務作業の困難さが際立つとともに、ごみの有
料制導入による収入と事務作業に伴う支出との差がほとんど生じないと考えられ
ます。この結果、表6に示すように、全国の多くの都市(市区)で「単純従量制」
が導入されています。
表6
全国の料金体系別家庭ごみ有料化導入状況
都市(市区)数
有料化導入都市(市区)
単純従量制
超過量有料制
割合
418
100.0%
384
91.9%
34
8.1%
注)2009.7現在 山谷氏(東洋大)調査結果から
表7
平成20年度以降に超過量有料制から単純従量制へ移行した滋賀県内の都市
長浜市
H20.10 から(ただし、一部 H21.4又は H21.5から移行)
米原市
H20.10 から
守山市
H21.7から
栗東市
H22.4から
草津市
H21.12
単純従量制へ制度変更等の答申が出された
○大津市では、平成13年度から指定透明ごみ袋制を導入し、市民には指定袋を販売店
で購入してもらっています。超過量有料制は、市民に根付いた指定透明ごみ袋制の
取扱店での指定透明ごみ袋の購入の仕組みを市からの無料配布に置き換えること
になり、財政負担の増加をもたらすとともに、一定の負担のもとにごみを排出して
-11-
いる状況から逆行とも言えます。また、自治会の加入率が概ね70%であることから、
市民全世帯に一定枚数を無料配布することは事務作業として困難を極めるととも
に、コスト面では、厳しい財政事情の中、有料化による手数料収入以上の経費の確
保は非常に困難であります。例えば、あくまでも概算ですが、参考図2で一世帯あ
たりの無料配布枚数を100枚として試算した場合、歳入経費は約4,200万円ですが、
歳出経費は約1億9,400万円となり、差し引き収支額としては約1億5,200万円の持
ち出しとなります。さらに、不公平感にならないための配付枚数の基準については、
世帯の人数や生活様式の違いにより、ごみ排出量が異なるにもかかわらず、配付枚
数が一律ではごみ減量に取り組んでおられる方が不公平感を持たれることとなり
ます。また、ごみ減量に取り組んでおられる世帯を正確に把握することは不可能で
あります。世帯の人数を把握し、世帯ごとに配付枚数を設定することは可能であり
ますが、配付方法等を鑑みると事務作業がかなり煩雑になります。
○以上のことから、大津市の家庭ごみの有料制導入においては、ごみ排出量を減量し
ようという動機(インセンティブ)付け、ごみを多く出す市民がその排出量に応じ
て費用負担額が増える負担の公平化などの有料化の目的に即して考え、ごみ袋のは
じめの1枚目から、ごみ処理費用の一部を負担する「単純従量制」が望ましいと提
言します。
<参考2>大津市における超過量有料制
草津市の事例から、大津市における超過量有料制について以下に整理しました。
ア)ごみ袋の流れ
参考図5
ごみ袋の流れ
参考図5に示すように無料配布分は自治
会経由で、超過分は販売店(スーパー、コ
ンビニエンスストア等)で販売します。
イ)収支計算
無料配布枚数は1世帯当たり100枚、超過分の指定ごみ袋販売価格は1枚105円(税込
み)、ごみ袋製造費用は1枚13円とし試算しました。大津市では約1億5,200万円を税金
で負担することになります。
参考表1
項
有料指定袋配布・販売にかかる収支計算
目
金
ごみ袋製造費用
支出
自治会配布手数料
取扱店販売手数料
合
収入
計
超過分ごみ袋販売
差し引き
額
備
考
1億8,076万円 45リットル袋 13,905,000枚製造
1,200万円 配送先1,200箇所
182万円 スーパー、コンビニ等
1億9,458万円
4,252万円 配布枚数の3%程度を販売枚数として
△1億5,206万円
-12-
(3)手数料徴収の方法
ごみ処理料金の徴収方法は、「指定ごみ袋制」が適切と提案します。
〔理由〕
○手数料徴収の方法として、指定ごみ袋制、有料シール制等があります。シール制の
方が、既存の指定ごみ袋を使えるので資源の有効利用にもつながるという意見もあ
りますが、以下の理由から、図8に示すように多くの都市で採用されている「指定
ごみ袋制」を採用することが適切と提案します。
・大津市においては平成13年度から実施している指定透明ごみ袋制が市民に定着し
ていることから、シール制よりも指定ごみ袋制を維持したほうが市民には受け入
れられやすいと思われます。
・「出したごみの量に見合った費用」を負担する制度を効率よく運用するには、よ
り小さい袋を使用することにより負担が少なくなるように大きさが異なるごみ
袋を数種類設定しておくことが望ましいと考えます。また、このことによって費
用負担を少しでも少なくするために、小さい指定ごみ袋を使用しようとする動機
付けが働き、ごみ減量の効果が期待できます。
・手数料徴収済みが一目で分かりやすいと考えます。
図8
全国のごみ処理料金の徴収方法の状況
有料指定袋方式
シールまたは収入証紙方式
納入通知書方式
その他
0
20
40
60
80
100 (%)
※家庭系一般ごみの処理を有料化している522都市の回答
(出典)「ごみ処理の有料化に係る調査」((社)全国都市清掃会議
H15.3)
(4)手数料の設定
有料化を既に導入している都市における手数料の設定の考え方は図9に示すように、
ごみの収集・処理に要する総費用の一定割合、近隣自治体の手数料に見合う水準、市民
の受容性等を考慮して決められています。有料化を実施している県内近隣都市のごみ処
理費用の負担割合等は表8、表9に示すとおりです。
大津市における手数料の設定においては、市民に負担を求める手数料範囲は、家庭ご
み(「燃やせるごみ」、「燃やせないごみ」)の収集、中間処理(焼却処理等)及び最終処
分にかかる、車両、処理・処分施設等の減価償却費を除く平成19年度の運営経費(人件
費、委託費、オーバーホール等物件費等)及び有料指定袋の製造・配送等にかかる経費
とすることを提案します。そのうち、収集、中間処理(焼却処理等)及び最終処分にか
-13-
かる費用については、総費用の一定割合の負担を市民に求めることとし、有料指定袋の
製造・配送等にかかる経費は、市民に全額負担を求めることを提案します。
表8のとおり、県内近隣の有料化導入都市においては、料金水準が1㍑当たり0.9~
1.2円の範囲で設定されています。料金水準が1㍑当たり1~2円で10%強のごみ減量効
果が期待できるとされており、大津市において、燃やせるごみと燃やせないごみを合わ
せたごみ量が10%の減量ができれば、県内の有料化を導入している都市の1人1日当た
りのごみ量(図3)とほぼ同水準となります。市民には、新たな費用負担を求めること
になることから、ごみ減量効果があり、かつできるだけ市民に負担をかけない料金水準
として1㍑当たり1円程度を提案します。
この結果、負担割合は15%程度の負担を求めることとしますが、より小さい袋を使用
することによってごみ減量が促進される側面があることを考慮し、小さい袋ほど負担割
合が少なくなるような累進的要素を盛り込んだ手数料設定が必要です。
なお、表9に示しますが、負担割合15%は、全国的に比較しますと低い負担割合です。
図9
他都市における料金設定の考え方
○最も多いのが、ごみ収集・処理に
要する総費用の一定割合です。
(出典)山谷修作
「ごみ有料化」
表8
市町名
草津市
守山市
栗東市
(丸善株式会社)
滋賀県内の有料化導入近隣都市の有料指定袋代等
1㍑当たりの
ごみ処理手数料
大きさ
料金
1㍑当たりの
割合
1/4
0.8円/㍑
45㍑
40円/枚
0.9円/㍑
~
~
1/3
1.1円/㍑
15㍑
13円/枚
0.9円/㍑
H21.7
超過量制から
単純従量制へ
移行
30㍑
36円/枚
25%
1.2円/㍑
20㍑
24円/枚
10㍑
12円/枚
1.2円/㍑
H22.4
超過量制から
単純従量制へ
移行
10%
H21.12答申
不燃ごみの有料指定袋代
可燃ごみの有料指定袋代
ごみ処理費用
負担割合
導入年度
大きさ
料金
1㍑当たりの
割合
15㍑
13円/枚
0.9円/㍑
1.2円/㍑
45㍑
54円/枚
1.2円/㍑
1.2円/㍑
30㍑
36円/枚
1.2円/㍑
1.1円/㍑
45㍑
50円/枚
1.1円/㍑
45㍑
50円/枚
1.0円/㍑
30㍑
35円/枚
1.2円/㍑
30㍑
35円/枚
1.2円/㍑
(切り捨て設定)
15㍑
20円/枚
1.3円/㍑
15㍑
20円/枚
1.3円/㍑
-14-
参考3に具体的なごみ処理手数料の設定方法を示していますように、有料指定袋1枚
の価格は、現在の大きさで試算しますと、45㍑の袋で45円、30㍑の袋で30円、20㍑の袋
で20円となります。
4人世帯の標準的排出量の場合、「燃やせるごみ」1ヶ月当たり360円、「燃やせない
ごみ」1ヶ月当たり6円になりますが、ごみの排出量を半分に減らせば、負担額は、
「燃
やせるごみ」1ヶ月当たり180円、「燃やせないごみ」1ヶ月あたり3円に減ります。
表9
ごみ処理費用の負担割合
都市名
負担割合
北海道旭川市(※)
33%
北海道北見市
25%
宮城県仙台市(※)
18~27%
静岡県伊豆市(※)
18%
岐阜県多治見市
22~27%
奈良県奈良市(※)
20%
京都府京都市
15%
京都府宮津市(※)
30%
備考
袋の大きさにより負担割合が異なる。
袋の大きさにより負担割合が異なる。
答申時10~30%
(出典)各都市の家庭ごみ有料化の答申書等から引用。(※印のある都市は答申書から負担割合を引用。)
図10
(%)
全国の有料指定袋代の分布状況
40
29.8
30
○有料指定袋で手数料を徴収
※有料指定袋制で手数料を徴収している
と回答した 428 都市の回答
している都市の有料指定袋
21.6
19
20
代は、30 ㍑の袋換算では 20
円~40 円に約 70%の都市
8.5
10
7.4
3.3
3.3
1.9
1.5
80
90
が集中していました。
2.5
0.4
0.4
0.3
300
300以上
0
10
20
30
40
50
60
70
100
200
(出典)「ごみ処理の有料化に係る調査」((社)全国都市清掃会議
-15-
(円/30㍑)
H15.3)
<参考3>ごみ処理手数料の設定の考え方
燃やせるごみと燃やせないごみを合わせたごみ1t当たりの処理単価からごみ処理
手数料を設定
(1)大津市のごみ処理費用
○収集運搬、焼却・破砕等の中間処理及び最終処分別の大津市の平成19年度のごみ処
理費用とごみ1トン当たりの処理単価を参考表2に整理しました。
○「燃やせるごみ」及び「燃やせないごみ」を合わせた費用は、収集運搬に12,533円
/t,焼却・破砕等の中間処理及び最終処分に17,490円/tで,合わせて30,023円
/tを要しています(施設等の減価償却費は含みません。)
○「燃やせるごみ」及び「燃やせないごみ」を合わせた容積換算係数0.16kg/㍑(「燃
やせるごみ」及び「燃やせないごみ」の年間容積排出量で加重平均)から、容積当
たりのごみ処理単価は、4.9円/㍑です。
参考表2
大津市のごみ処理費用(平成19年度)
家庭系ごみ収集運搬(①)
収集費用
(千円)
燃やせるごみ
+燃やせない
ごみ
784,893
収集量
(t)
62,624
1t当たり
収集単価
12,533円/t
中間処理及び最終処分(②)
焼却等中間
処理及び
最終処分費用
(千円)
1,748,218
燃やせるごみ
及び燃やせない
ごみ処理量
(t)
99,956
合計(①+②)
燃やせるごみ
及び燃やせない
ごみ1t当たり
の処理単価
(t)
1t当たり
単価
17,490円/t
30,023円/t
(2)ごみ処理手数料の設定
○ごみ処理手数料は、収集、中間処理(焼却処理等)及び最終処分にかかる総費用の
一部と、有料指定袋の製造、配布等にかかる経費により設定しました。
○市民のごみ処理費用の負担割合別におけるごみ1㍑当たりの負担額を参考表3に
整理しました。収集、中間処理(焼却処理等)及び最終処分にかかる総費用の15%
負担とし、現在の指定ごみ袋の大きさで試算した場合、「燃やせるごみ」は、1㍑
当たり0.7円の負担額32円(45㍑のごみ袋換算)及び45㍑の大きさの有料指定袋の
製造・配送等にかかる経費13円(有料化導入都市の実績が10~15円/袋であり、13
円/袋と設定(※))を合わせ、45㍑の有料指定袋の販売価格は1枚45円となります。
※有料指定袋の製造・配送等にかかる経費は、有料化導入の条例制定時には、市況に見合った
価格に精査することになります。
また、「燃やせないごみ」では、1㍑当たり0.7円の手数料負担額14円(20㍑のごみ
袋換算)及び20㍑の大きさの有料指定袋の製造・配送等にかかる経費8円(45㍑の
有料指定袋13円/袋を基準とし、袋の大きさによる価格差を考慮し比例配分の結果、
20㍑の有料指定袋8円/袋と設定)を合わせますと、20㍑の有料指定袋の販売価格
で1枚22円となりますが、累進的要素から20㍑の有料指定袋の販売価格は1枚20円
となります。
-16-
○同様に、30㍑の大きさの袋では、1㍑当たり0.7円の負担額21円、30㍑の大きさの有
料指定袋の製造・配送等にかかる経費10円を合わせて31円ですが、累進的要素から
30㍑の有料指定袋の販売価格は1枚30円となります。
参考表3
市民負担割合別有料指定袋1袋当たりの負担額と家族人数別負担額の目安
〔燃やせるごみ〕
有料指定袋
1袋当たりの
製造・販売・
流通経費
(円/袋)
②
45㍑の有料
指定袋の
販売価格
(円/袋)
③(=①+②)
4人世帯及び
標準的排出量
の場合の月間
必要指定袋数
(45㍑換算)
④
4人世帯の場合の標準的排出量と、半分に減量又は
1.5倍に増えた場合の月負担額
市民負担
割合
1㍑当たり
の負担額
45㍑1袋換算
負担額
(円/袋)
①
10%
0.5円/㍑
23円
36円
288円/月
144円/月
432円/月
15%
0.7円/㍑
32円
45円
360円/月
180円/月
540円/月
20%
1.0円/㍑
45円
58円
464円/月
232円/月
696円/月
40%
2.0円/㍑
90円
824円/月
412円/月
1,236円/月
13円
8袋
103円
標準世帯
③×④
半分に減量
(4袋/月で積算)
1.5倍に増加
(12袋/月で積算)
60%
2.9円/㍑
131円
144円
1,152円/月
576円/月
1,728円/月
80%
3.9円/㍑
176円
189円
1,512円/月
756円/月
2,268円/月
100%
4.9円/㍑
221円
234円
1,872円/月
936円/月
2,808円/月
注1)1㍑当たりの負担額=30,023円/t×0.16kg/㍑×市民負担割合
2)45㍑1袋換算負担額=1㍑当たりの負担額×45㍑
3)有料指定袋1袋当たりの製造・販売・流通経費は導入都市の実績が10~15円/袋であり、45㍑の有料指定袋13円/袋と設定しました。
4)家族人数4人及び標準的排出量の標準世帯の月間必要袋数=60,905t(H20燃やせるごみ収集量)÷0.16kg/㍑(容積換算係数)÷45㍑/袋
÷332,427人(H19年度末人口)×4人÷12(カ月)
5)ごみ袋に満杯に入れて排出した場合の負担額です。
〔燃やせないごみ〕
市民負担
割合
1㍑当たり
の負担額
20㍑1袋換算
負担額
(円/袋)
①
有料指定袋
1袋当たりの
製造・販売・
流通経費
(円/袋)
②
20㍑の有料
指定袋の
販売価格
(円/袋)
③(=①+②)
4人世帯及び
標準的排出量
の場合の月間
必要指定袋数
(20㍑換算)
④
4人世帯の場合の標準的排出量と、半分に減量又は
1.5倍に増えた場合の月負担額
標準世帯
③×④
半分に減量
1.5倍に増加
(0.16袋/月で積算)
(0.48袋/月で積算)
10%
0.5円/㍑
10円
18円
6円/月
3円/月
9円/月
15%
0.7円/㍑
累進的要素
14円→12円
20円
6円/月
3円/月
10円/月
20%
1.0円/㍑
20円
40%
2.0円/㍑
40円
60%
2.9円/㍑
58円
80%
3.9円/㍑
78円
100%
4.9円/㍑
98円
28円
8円
9円/月
4円/月
13円/月
15円/月
8円/月
23円/月
66円
21円/月
11円/月
32円/月
86円
28円/月
14円/月
41円/月
106円
34円/月
17円/月
51円/月
48円
0.32袋
注1)1㍑当たりの負担額=30,023円/t×0.16kg/㍑×市民負担割合
2)20㍑1袋換算負担額=1㍑当たりの負担額×20㍑
3)有料指定袋1袋当たりの製造・販売・流通経費は導入都市の実績が10~15円/袋であり、45㍑の有料指定袋13円/袋を基準とし、
ポリ袋の大きさによる価格差を考慮し20㍑の有料指定袋8円/袋と設定しました。
4)家族人数4人及び標準的排出量の標準世帯の月必要袋数=1,719t(H20燃やせないごみ収集量)÷0.27kg/㍑(容積換算係数)÷20㍑/袋
÷332,427人(H19年度末人口)×4人÷12(カ月)
5)ごみ袋に満杯に入れて排出した場合の負担額です。
-17-
(5)有料指定ごみ袋等の種類・形状と販売方法
①種類と形状
○有料化導入に伴う市民のごみ減量行動の実践に合わせて、各世帯が排出量に応じ
た大きさの袋を選択できように、また、袋が小さくなると負担が少なくなること
により、少しでも費用負担が少ない指定ごみ袋を使用しようとする動機付けが働
くように、現在の大きさに加え10㍑程度の小さな袋を含めて各種の指定ごみ袋を
提供することを提案します。
ただし、小さなごみ袋によっては販売価格が製造等原価よりも安くなってしまう
可能性があることから、小さなごみ袋を使うことによる費用軽減が実感でき、か
つごみ袋の販売価格が適正に設定できる大きさとすることを提言します。
○色、素材、手提げ付き等使いやすい形状等の他に、有害物質を含まない顔料の選
択、カラスへの対策等にも配慮するよう提案します。
②販売方法
○市民が市内で便利に有料指定ごみ袋を購入できるよう,多くの販売店の協力を得
られるように努力するよう提言します。
(6)手数料の減免
家庭ごみの有料化においては、低所得者や社会的弱者、日常的に紙おむつを排出する
世帯への無料袋の配布などの手数料の減免措置を、乳幼児施策や高齢者施策といった福
祉施策等と調整し、実施に向けて検討するよう提言します。ただし、公平負担の原則は
堅持すべきであり、一定枚数の無料袋配布など、その具体的な方法については検討願い
ます。また、本庁窓口だけではなく支所においても申請書の受領ができるようにする、
紙おむつ販売店にて紙おむつ購入時に配布するなどが事務手続きの一例として考えら
れますので、効率的かつ利便性のより良い方法について検討するよう提言します。
また、地域清掃等のボランティア活動から排出されるごみへの無料袋等の配慮を行う
こと、さらに、無料袋等を配布する範囲や具体的な方法についても十分検討することを
提案します。
図11
申請
手数料の減免措置事務手続きの一例
支所(受領)
申請書送付
申請
廃棄物減量
推進課
申請者
ごみ袋配布(直接、郵送等)
-18-
図12 減免措置事例の紹介
家庭ごみの有料化に伴う減免措置の事例を以下に紹介します。
【旭川市】
◇生活保護需給世帯
◇乳幼児紙おむつ使用世帯 ◇高齢者等紙おむつ使用世帯
【新潟市】
◇災害ごみ
◇ボランティア清掃ごみ
6.収入の使途の検討
家庭ごみの有料化により年間2億円程度(※)の収入が見込まれますが、得られた収
入及び支出金額、収入の使途等を市民に公表するよう提言します。なお、使途について
は、廃油回収への支援や生ごみ処理機購入助成金拡大等による市民・市民グループの自
主的なごみ減量行動への支援制度の充実等をはじめ、カラス対策ネットの助成等による
日常のごみ出しへの支援、また、大型ごみリユースセンターの整備や将来のごみ処理施
設への基金積立等、図13に他市の事例を挙げているように、現在及び将来のごみ行政全
般に役立てるように検討していくことを提案します。
なお、検討にあたっては、使途等を公表する中で、ごみ減量に努力されている市民か
らの意見はもちろん、広く市民から意見を徴収し、また、事後評価を実施するなどによ
り、常に適正な費用配分に努めるよう提言します。
※今回提案した単価で試算し、有料指定袋の製造・配送等にかかる経費を除いた額。
図13
収入の使途の事例の紹介
<岡山県津山市>
(出典)「ごみゼロ新聞」(津山市)
-19-
<岡山県岡山市>
平成22年度における有料化経費(袋製造費など)を差し引いた約4億9,800万円につ
いて、環境先進都市実現のための施策に特化した使途を予定しています。
(出典)岡山市有料化導入に関する資料
<京都府京都市>
(平成21年度予算)
(出典)京都市有料化に関する資料及び平成21年度予算書
-20-
単位:千円
7.有料化にあたっての留意事項
家庭ごみの有料化導入にあたっての留意事項について以下に列挙しました。有料化を
具体化するにあたり、以下の内容に留意して実施計画を検討するように提言します。
①事業者に対して社会的責任を果たすように要請
ごみの減量を推進するには市民が環境にやさしい行動を実践するだけでは難しく、
販売業者は、簡易包装による商品の販売、リターナブルびん入りの飲料水の販売など
環境に配慮した販売活動、また、製造業者は、長く使える製品の生産等環境に配慮し
た生産活動を行い、事業者も一定の責務を果たすことが重要です。このため、大津市
は拡大生産者責任の推進に向けて、国の法制度の運用の改善と整備が図られるよう国
に対しても要請していくよう提案します。
②家庭ごみ有料化導入に関して市民へ十分な説明・周知の実施
以下の内容に留意して、家庭ごみ有料化導入に関して市民へ十分な説明・周知の実
施を提案します。
○有料制の導入に対する市民の疑問へきちんと回答して納得を得る。
○地元に出向いて説明する。
○広報、ホームページ、メディア等を積極的に活用する。
○周知徹底の期間を十分とる。(現在の指定袋の在庫を処分する期間も考慮する。)
○自治会に未加入の市民や学生への説明も十分行う。
○初期段階はステーションに出向いて市民へ説明する。
○単なる有料制導入の説明だけでなくごみ減量の方法も合わせて説明する。
③ごみ減量のための手段を市民に十分提供
家庭ごみの有料化の目的を達成するため、ごみ減量のための手段を市民に十分提供
するよう提言します。
○分別収集の拡充、ごみ減量のための市民・市民グループ活動の自主的なごみ減量
行動への支援制度の充実、販売店等の事業者と協働した発生抑制等の取り組みの
充実などに取り組み、ごみ減量のための手段を市民に十分提供する。
④不法投棄・不適正排出防止対策の充実
家庭ごみの有料化導入により懸念される不法投棄・不適正排出を防止するため、以
下の対策を充実するように提言します。
○散乱ごみの収集などに従事する人材の投与や地域と行政との連携などを図り、美
しいまちを維持することで、不法投棄・不適正排出の誘発を防止する。
○不法投棄の防止や販売店、公共施設のごみ箱への家庭ごみの投棄を防止するため
不法投棄防止呼びかけ等の具体的内容の検討を含め、啓発活動をさらに発展・充
-21-
実する。
○ごみ集積所における、導入当初の市担当職員による排出指導の実施など、市の指
導体制を拡充する等、不適正排出防止対策を充実する。
○家庭ごみの悪質な不法投棄常習者に対しては、刑事告発等も視野に入れて厳しく
対処するなど、不法投棄を許さない市の姿勢を明確にする。
⑤有料指定ごみ袋の効率的な流通
有料指定ごみ袋の保管、市民へ販売、有料指定ごみ袋の流通事務経費等の負担が少
ない指定ごみ袋の流通システムを先行的に導入している都市から学び、市民からのご
み処理手数料収入を少しでも有効に活用できるように運営していくように提案しま
す。
⑥現在の指定ごみ袋への対応
現在は市が指定したごみ袋によるごみ排出の指定ごみ袋制を導入しており、家庭や
販売店には現在の指定ごみ袋の在庫があります。適正な在庫数に調整するための新し
い制度導入に到る期間への考慮等を提案します。
⑦家庭ごみに排出している小規模事業所への対応
ごみステーションでの監視体制の強化等により、家庭ごみに排出している小規模事
業所のごみを許可業者収集へ移行を指導する必要があると提言します。
⑧減量効果や手数料収入の使途等の把握と市民への公表
家庭ごみの有料化を先行して導入している京都市や津山市のように、ホームページ
や市民新聞等でごみ排出量の減量効果や手数料収入の使途等について把握し、公表し
ていくように提言します。
-22-
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