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資料1 第3回会合で示された意見~映像国際放送強化の具体的な方向
資料1 第3回会合で示された意見~映像国際放送強化の具体的な方向性について 1 対象地域 ○ 総合的な放送、専門的な放送いずれを目指すのかが分かれ目。総合的な放送を 目指すのならば、対象地域、視聴者層に応じて、時間帯の編成、個々の番組、ニ ュースの扱い方を意識することが重要であって、対象地域を欧米、アジアいずれ かに絞ることに意義はなく、むしろ、日本的な物の考え方をどの程度出せるのか、 制作に当たって意識できるのかが問題。 ○ 既存のテレビ国際放送の実態を考えると、対象を絞り込むのは非常に大変。した がって、対象地域は世界が妥当。 ○ 外交戦略、すなわち日本の安全保障、経済発展のため、どの国をターゲットにす るかを冷徹に考えてみてもいいのではないか。フィリピン向けのタガログ語より中 国向けの中国語というように、少ない予算を日本の外交にとって一番大切な国に 向けた放送に重点配分することを考えるべき。 ○ 冷徹に考えて、日本が一番苦手とする、敵対的であるかもしれない国に理解して もらうことを目標に設定してはどうか。 ○ 欧米かアジアかというのは、答えのない問題設定で、地域に応じた番組内容を考 慮するという問題ではないか。欧米やアジアだけで十分という訳ではなく、濃淡の 違いはあるけれども、中近東、アフリカ等世界中の各地域を対象にすべき。冷徹に 外交的な利益を考えると中国が重要であるが、資源上の制約を踏まえて、他国と の関係で相対的なシェアをどうするかが問題。結局、地域の特定は問題ではなく、 日々の番組編成をどうするかという問題であって、それは議論になじまないのでは ないか。 2 視聴者層 ○ 外国の視聴者を対象とした日本で初めてのテレビ国際放送で、あまり視聴者を 広げるのではなく、いつでも日本について最新の情報が興味深く流れていることが 大変重要ではないか。したがって、視聴者層はオピニオンリーダーと次の世代が妥 当。 ○ 欧米向けについては、既に相当な文化交流があるから、ニュース、オピニオンリ ーダーを対象に、日本としての主張に重点を置いた発信でよい。アジア・アフリカ・ 南米については、文化交流が少ないので、日本人の顔が見えるような番組、例え ばバラエティを多くする、現地語で放送することを検討すべき。横軸をニュース、バ ラエティ、縦軸を欧米、アジアとして、地域に応じたコンテンツを考えてはどうか。 1 ○ オピニオンリーダー、次世代、一般はなかなか区別がつかないし、次世代でもオ ピニオンリーダー的な人はいる。ネットで情報入手が可能な若い世代よりももっと若 い小さな子供は、親が見ない限り見ないのだから、非常に若い世代をターゲットに した、家庭で見てもらえる放送を目指す方向もあるのではないか。そういう意味で、 ポップカルチャー的なものとニュースという硬派なものの長所をうまく採り入れなが ら組み合わせていく知恵が必要。 ○ オピニオンリーダーを狙うのであれば、もう少し個別訪問的なアプローチが必要 だろう。やはり放送的、マスメディア的なアプローチであれば次世代を狙うべきでは ないか。 3 番組編成、使用言語等 (1)番組編成のあり方(その1)~一般論 ○ 番組の訴求力の確保について、外国人の視点に立った放送と言うなら、日本か ら発信する必要はないのであり、あまり詰める必要はないのではないか。 ○ 我々が議論している放送は、外国人には多分興味のないものであって、現時点 ニーズがないことから、ただ単に電波を流しても見てはもらえない。そういう前提で、 相当精力的にかなり魅力的な番組作りが必要。その際、制作サイドのパッション、 インセンティブが絶対必要で、そのためには、見てもらいたいドラマの具体的内容 や、観光客誘致等、番組制作の明確な目的が設定されれば非常に作りやすい。た だし、「冬ソナ」に見られるように、観光客誘致は番組の副次的効果という側面があ ることに留意すべき。 ○ これまでと全く違う放送、すなわち特定のスポンサーによるコマーシャルでない、 オールジャパンのコマーシャルをする番組作りになるのではないか。 ○ 番組制作で重要な要素はヒーローの登場、きっかけが出てくることであって、外 国人に日本の情報を見てもらうために魅力的なコンテンツを流すことは重要だが、 ヒット作を恒常的に流すのは非常に大変な作業。 ○ 番組編成における色々な斬新なアイディア、ニュース中心だとしても、漠然と流す のではなく、他の国際放送でやっていない何か特色があるなと思わせるようなもの が必要。 (2)番組編成のあり方(その2)~具体論 ○ 野茂選手を通じて米国が本人を親しみ始めたように、個々の面白い人間像の売 り込みを通じて親日感が醸成されることに着目すべき。 ○ 「COOL JAPAN」の点に関連して、コンテンツ産業から最大限の協力をいただき、 最新の素材や様々なエピソード等を情報番組で紹介できるようにすれば、情報番 組の魅力が高まるだろう。オールジャパンの取組が大変望ましい。最新の J-POP 2 音楽と同様、色々なアニメ、コミック、ゲームを放送に乗せるための取り決めのよう なものがあると放送内容を魅力的にできるのではないか。 ○ 出版社等権利保有者の販売を促進するような仕組みを作ってもらえれば、最新 のコンテンツのカット等を一部提供していただいて情報番組に生かすことは可能だ ろう。アニメ作家等の実像を知らせるという意味でコンテンツが役立つ可能性もあ る。聖地アキバ、ビジュアル系バンド等、日本のコンテンツに対する欧米の関心が 高まりつつある傾向を踏まえて、何らかの形でコンテンツを発信していくことは重 要。 ○ アメリカで非常に話題になった「サムライ・チャンプルー」というアニメがあり、アメ リカンポップと COOL JAPAN の結合した傑作と言われている。背景には、アメリカ の大学生が作った自称ダークエナジーというシンジケートがあり、インターネットで 日本アニメをダウンロードし、日本語の字幕を付けることを誇りにしている。こうした サブカルチャーとして日本文化を楽しんでいる人々の存在を大切にするべき。日本 の漫画の米国での市場規模が拡大していることも注目すべき。 (3)番組編成のあり方(その3)~観光誘致の観点 ○ 海外(現地)での、観光誘致の取り組みの実例ということで、現地(台湾)の人気 女優を登用して、日本を舞台にしたCMを流し、そのCMの最後にウェブアドレスを 表示したが、CM放送後アクセス数が増加した。放送メディアの力を痛感する。 ○ 「ビジット・ジャパン」の点に関連して、BBC や CNN を見ていると、東南アジア各国 の航空会社、政府が観光のスポットコマーシャルを大変増やしていて、イメージアッ プに努力しているように見える。BBC、中国の CCTV も旅番組等にウェイトを大きく しており、国際放送を通じて、観光誘致に力を入れている。観光誘致番組を魅力的 にすることによって、放送全体のアクセスも増える。如何に質の高い日本紹介が紹 介できるかが問題。その際、競争がかなり厳しいことを理解しておくことが必要。 (4)番組編成のあり方(その4)~コンテンツ産業作成の観点 ○ コンテンツ育成という観点からは、新人クリエータ発掘、新規参入のための門戸 開放の実験的なものであってもよく、そういう意味でアイディアのコンペ、一般募集 も考えられるし、更にそのため24時間、オールジャパンで関係者が関与できる体 制を作ることが重要であり、それにより国費の投入についても理解が得られるので はないか。新規コンテンツの制作の促進は、制作者の育成、コンテンツの裾野の拡 大につながるのではないか。 ○ 経済発展の観点からであるが、放送のコンテンツも経済発展の一つの力となると 考えると、国際的な競争力を持つコンテンツを日本が発信することも国際放送の目 的となり得る。 3 (5)使用言語 ○ 外国の視聴者を対象とした日本で初めてのテレビ国際放送で、BBCのようにア ラビア語、ペルシャ語等の放送を始めるのは費用がかかり過ぎるだろうから、あま り手を広げないで、最初は、世界の共通言語である英語で始めることが必要であろ う。 ○ 日本語を勉強したいと考える外国人が増えているのならば、日本語で放送したり、 日本語に英語の字幕をつける等、放送を通して日本語の勉強ができるようなもの を提供してはどうか。 ○ とりあえず英語で、主要な国に対して、衛星放送等いずれかの手段を通じてコン テンツを発信すれば、その後、ネットを通じて10代~30代の人の間で流通する流 れがある。したがって、アニメ作品そのものでなくとも、関連情報を、情報番組を通 じて英語で出せば、想定していない国も含めて、どこの国にもいずれは届くのでは ないか。 4 アジア情報の取扱い ○ 24時間アジア向け放送をするのは、アジア向け、アジア情報いずれを意識する のかが難しい論点。 ○ アジア情報について、BBCやCNNのアジア情報が客観的でないとまでは言えな いが、独特な見方なので、日本的、アジア的視点の報道がもう少しあってもいいの ではないか。アジア的と言っても、民主主義、人権を軽視するという趣旨ではない。 例えば中国は国際放送で自国の宣伝をしているが、客観的ではないと感じられる ことがたまにあることから、「日本は中国についてこう見ている」という視点からの報 道をすれば、より客観的な姿が欧米に伝わることになる。 ○ NHKがアジアに敷いている取材網は、世界のどの国よりも充実しており、現地ス タッフの質も高いため、入手する情報は他にひけを取らない。国内地上波では必ず アジア情報を取り上げているし、何か大きな出来事があれば、アジア各地を結んで レポートを出してくる。国際放送向けに英語でのリポートを増やしていけば、アジア ネタということで、放送内容がバラエティに富み、質も向上し、結果として欧米の国 際放送とは趣の違う魅力的な放送を作ることができるのではないか。そうした努力 を通じて、BBC、CNNに伍した日本のアジア情報が出てくるだろうし、また必要で はないか。 5 受信環境 ○ 日本に来る外国人の 7 割を占める中国、韓国では放送が非常に厳しい規制を受 けていることから、放送ですべての目的を達成できるか疑問。ユーチューブに見ら 4 れるように、ネットの世界は異常に国際化している。コンテンツの効果的な発信の ために、内容に応じて国際放送、ネットを使い分ける視点も重要。 ○ 「COOL JAPAN」と言われる日本のコンテンツが、我々の気がつかないうちに広 まった大きな要因は、インターネットの普及。インターネットにより、これまで親しん だアニメなどが、初めて日本のものだったと知った人が非常に多い。興味を持った 人がインターネットにより自分で情報を探し、英語、あるいは自国語に翻訳し、流通 させている。コンテンツ、視聴者層に応じて、ネット、放送を選択するのがよい。 ○ 対象とする国によって環境は様々なのだから、地域に応じて効果的な配信方法 を考えるべき。現地の放送事業者の時間スロットを借りて放送するのが一番効率 的であり、その際、どういうものを選ぶかが重要。24時間放送する必要があるのか 疑問であり、放送時間を少なくして対象地域を増やす、コンパクトな情報発信も考 えるべき。視聴者の多い回線を借りるのは非常に高価であり、放送時間は短くなら ざるを得ないが、視聴率が高い時間帯を使って、短い時間でも多くの人に見てもら うのかどうか等の判断が重要。 ○ この際、コンテンツ制作と回路(受信環境)の話を分けて、コンテンツ制作はやや 長期的な課題としつつ、短期的にはラストワンマイル、回路の確保を支援する仕掛 けをすることに重点を置いてはどうか。特に、日本に興味のある人によるアクセス 促進という観点からは、インターネットが最も効率的で、こうした日本の情報を比較 的容易に提供できる仕掛けの支援をしてはどうか。 ○ とりあえず英語で、主要な国に対して、衛星放送等いずれかの手段を通じてコン テンツを発信すれば、その後、ネットを通じて10代~30代の人の間で流通する流 れがある。したがって、アニメ作品そのものでなくとも、関連情報を、情報番組を通 じて英語で出せば、想定していない国も含めて、どこの国にもいずれは届くのでは ないか。 6 その他 ○ 国際観光交流拡大も、国際放送の一つの柱として位置づけて欲しい。その際、 羊頭狗肉にならないように国内の環境インフラの整備も重要。 ○ 非常に多くの優秀な中国人留学生がいて、帰国後オピニオンリーダーになってい くものと予想しているが、こうした留学生に対する教育、生活環境を改善しない限り、 国際放送を強化してオピニオンリーダーに日本のいい所を宣伝しても、日本の悪 口を流されたら大きな問題。どこが悪いのか検討し、大学に悪いところがあれば直 していきたい。 ○ 何時でも日本が出ているのが望ましいのであって、その際、時差ゆえに必然的に 24時間になるのか、全時間新しい素材を使うのか、リピートも使うのか、運用上の 工夫の余地はある。 ○ 日本からの情報発信を受けたいというニーズがかなりあるとのことだが、それに 対して、どの程度対応すべきなのかという問題がある。 5 (参考)主査による議論のまとめは以下のとおり。 ① 対象地域については、総合性重視の観点から、欧米、アジアいずれか一方のみ を選択するべきではないこと、重点対象は決めながら、当該地域に最適なコン テンツを提供していく姿勢が大事であること ② 視聴者層については、まずはオピニオンリーダーと次世代に重点を置いて展開 すること ③ 番組編成、使用言語については、ヒーローの登場、日本にしかできない放送と いう視点が必要であること、英語を出発点とするが、日本語放送に英語字幕を 付すものも検討すべきであること ④ 配信手段については、24時間放送、時間限定放送の二つの考え方があり、必 要に応じて場合分けして検討すべきであること、インターネットなしのアプローチ は考えられず、特に COOL JAPAN を始めとする能動的に見に来るコンテンツの 発信にはフルに活用すべきであること 6