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大森愛 - 関西大学
情 04-87 大森愛 2007 年度 卒業研究 1/2 メディア・コミュニケーション -mixi とブログが何を変えたのか?- 情 04-87 大森愛 指導教員 加藤雅人 序論 インターネットの普及によって今までにない新しいメディアが生まれた。その中で mixi の 人気は絶大で誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。mixi やブログといった新たなコミュニ ケーションツールが登場し、現在多くの人が利用している。では、その新たなメディアによっ て、今までのコミュニケーション環境がどのように変化したのか。人々はどのような意識を持 ってコミュニケーションを行っているのか。その点に興味を持ち、調査をふまえメディアを使 ったコミュニケーションについて調べることにした。 本論 第 1 章「インターネットコミュニケーション」 物理的な距離を事実上無視できる、ADSL、FTTH のような定額料金での通信手段により金銭的 コストが低減される、送り手と受け手が自分の好きなときにメッセージを書いたり読んだりで きるという 3 点によってインターネットコミュニケーションが普及した(1.1.1)。その中で発 生した、顔文字、絵文字の登場は文字コミュニケーションでは伝わりづらい個人の感情を補っ ている(1.1.2)。また、近年のインターネット上のコミュニケーションの特徴として個人型コ ミュニケーションと公開型コミュニケーションがある(1.2)。そして、「チャット」と「mixi」 の 2 つの新たなコミュニケーション環境をとりあげ、その特性と普及の背景についてまとめた (1.3)。 第 2 章 「新しいメディアの登場」 Web2.0 とは、次世代におけるウェブの世界の総称であり、個人発信のしやすいユーザー参 加型のウェブの世界である。オライリー氏の論文をもとに Web2.0 の7つの原則を提示した (2.1.1)。原則の 1 つに「集合知の利用」がある。集団の知恵のほうが個人の知識より優れて いるという考えを、ウェブを使い実践するということである。オンライン上の百科事典 「Wikipedia(ウィキペディア)」のように、ユーザー参加型のコンテンツが増えている(2.1.3)。 Web2.0 を代表するキーワードに「CGM」がある。CGM の例としてブログや SNS があげ られる。CGM がメディアの働きを持つことによって、価値ある情報が受け手に届くようにな る(2.2.1)。ウェブ上の CGM では、消費者目線の情報が集まる。1 人 1 人の消費者の声がテ レビなどと同等のメディアを作っている(2.2.2)。 第 3 章「SNS コミュニケーションの実態」 調査概要-2007 年 10 月 関西大学学生内 mixi 利用者 32 人に対し mixi の利用状況におけ る調査を行った。 対照調査-2004 年 3 月にブログサービスサイト「はてな」の利用者に対しブログについて の調査を行った。 情 04-87 大森愛 ●mixi の利用実態 2007 年度 卒業研究 mix iの実態 m ix iをはじめ たきっ かけと日記を書く理由 mixi を始めた理由が友達 の人は日記を書くのに理由を持っていない人が多い →mixi の日記はコミュニケーションツー ルとして利用されているから。 わかる。 考察-mixi はコミュニケーションツールとして、 ブログは個人の公開日記として役割がある。両者と も今まで個人で隠されていた「日記」とは違う新し い日記の形態であることがわかった。 その他 ブログ2004 mixi 2007 実名 仮 名 実 名 を隠 す 努力 な し 仮 名 実 名 を隠 す 努力 あり 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 匿名 第 4 章「若者のコミュニケーションの変化」 mi x i とブ ログの違い 匿名性 そ の他 とから Web 内で自分の存在を示す名前の大切さが 特 に理 由 は な い 他者理解 →mixi の信用度は高い。匿名がほぼないこ 自分から関心を 持って 自己理解 mixi-実名利用 友達がしているか ら 情報提供 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 生活記録 ●匿名性(mixi とブログの違い) ブログ-仮名利用 2/2 インターネットの普及により、ブログが幅広い世代で認知されるようになっている。ブログ が新たなコミュニケーションツールとして利用されるようになり、コミュニケーションにも変 化がおとずれている(4.1)。 ブログは匿名性の高いメディアであり、一般的な日記とは違い 多数の他者に読まれるということを前提として書かれているものである(4.2)。また、ブログ では立場を超えた平等なコミュニケーションが行われ、多彩な立場の人物との交流が持てる。 一方で、望まない関係は簡単に遮断することができるという関係の解消の簡便さがある(4.3)。 文献表 ・ 秋月高太郎「ブログに書かれること、書かれないこと」 『日本語学』vol.26、no.4、明治書 院、2007 年、pp.46-55。 ・ 秋好陽介『意外と知られていない Web2.0 の謎を解く』C&R 研究所、2006 年。 ・ 池田謙一『インターネット・コミュニティと日常世界』誠信書房、2005 年。 ・ 伊藤史『消費者発信型メディア CGM Web2.0 時代のマーケティング戦略』毎日コミュニ ケーションズ、2007 年。 ・ 梅田望夫『ウェブ進化論』筑摩書房、2006 年。 ・ 岡本信一郎「ブログの心理学的特徴」 『日本語学』vol.26、no.4、明治書院、2007 年、pp.4-15。 ・ 大坊郁夫「若者のコミュニケーション環境」『言語』vol.35、no.3、大修館書店、2006 年、 pp.70-78。 ・ 西尾純二「ブログが広げるコミュニケーションの輪」 『日本語学』vol.26、no.4、明治書院、 2007 年、pp.16-25。 ・ 野村総合研究所ブログ調査チーム/シックス・アパート『ブログ白書 2007』ビートップ、2006 年。 ・ パトリシア・ウォレス『インターネットの心理学』川浦康至・貝塚泉訳、NTT 出版、2001 年。 ・ 山下清美・川浦康至・川上善郎・三上麻子『ウェブログの心理学』NTT 出版、2005 年。 ・ 和田悟・近藤佐保子『インターネットコミュニケーション』明治大学科学センター編、培 風館、1999 年。