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日本ばね学会会報 - 日本ばね工業会

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日本ばね学会会報 - 日本ばね工業会
4266
Bulletin of Japan Society of Spring Engineers
日本 ばね学会会報
No. 500
2013年5月号
目次
頁
500号記念号寄稿…………………… 会長 当舎 勝次…1
…………… 副会長 大沢 基明…2
………… 名誉会員 西畑三樹男…2
………… 名誉会員 下関 正義…3
………… 名誉会員 小川 登…3
………… 元編集委員 華房 嘉夫…4
…………… 元事務局 松田 好央…4
500号記念号寄稿
頁
第16回基礎技術セミナー… ……………………………… 5
2012年度委員会活動報告… ……………………………… 6
会報の歩み……………………………………………… 10
会報に対するアンケート調査結果…………………… 12
特許情報/文献紹介(86)/学会行事/編集後記… … 14
500号記念号に寄せて
会長 当舎 勝次
昭和46年10月発行のばね技術研究会会報
(現日本ばね
学会会報)
No.1の会長挨拶では、創立以来、ばね技術研究会
がばね工業の基礎作りに果たしてきた役割について具体的
に触れられるとともに、
会報発行の契機やねらいとして、①
ばね技術研究会創立24年で運営方針の検討時期がきてい
ること、②日本ばね工業会の社団法人化にともなう会則の
改定があったこと、③新事業である会報の果たすべき役割
は研究会とメンバーとの密接な情報交換の場であることと
述べられています。
以来、
42年間、会報は情報交換の場として、研究会の各種
行事案内やばねに関する技術解説などの硬い記事を挟ん
で、喫煙室、談話室、海外レポートなどの比較的柔らかい記
事がバランスよく折り込まれてきました。毎月の発行にあ
たっての会報編集委員各位のご苦労が見て取れます。例え
ば、直近の498号では、テクニカルレビュー、技術英語&ビ
ジネス英語勉強会、
地域紹介、
技術トピックス、
ばね規格、随
筆、
特許/文献紹介などとなっており、
実に内容が豊富でま
さに
「ビッグデータ」の様相を呈しています。会員各位が多
忙な日常業務の中、そのビッグデータから必要な情報を取
り出し、解析して各自の業務に役立てることはかなりの困
難さがともなうかもしれません。しかし、円高、環境、税金、
エネルギーなどに関するいわゆる
「製造業の六重苦」を乗り
越え、今後のばね業界が継続して発展していくためには、
「戦略、戦術、技術」がしっかりと機能する必要があります。
企業のそれぞれの責任者は広い視野と知識を持って、技術
者が高い技術を発揮できる環境を整えることが必要ではな
いでしょうか。
先日の顧問会でも、
「技術の伝承だけでなく、
課題(未解決
問題点)の伝承が必要」とか
「金属ばかりでなく様々な材質
も検討すべき」
などの貴重なご意見をいただきました。その
ようなご要望に対して、
当学会では、
日本ばね工業会からの
委託事業である圧縮コイルばねの疲労限度線図の改訂調査
研究委員会をはじめとして3件の専門委員会、春と秋の定
例講演会、
見学会、
交流会、
基礎技術セミナー、
ものづくりセ
日本ばね学会会報
ミナー、復元力応用分科会、会報や
論文集の発行など、様々な交流の
場を提供しています。さらに、それ
ぞ れ の イ ベ ン ト で は、活 動 に 携
わっていただいているご担当の理
事をはじめ委員の方々の献身的な
ご尽力で、
様々なご意見を取り入れ
ながら、
会員各位のお役に立つよう
な新しい魅力のある内容を提供し
ています。これらの活動に積極的
に参加することは、特に若手技術者にとって、
問題点とその
解決手段を発見する貴重な場となり、結果としてその技術
者が所属する企業の発展につながるものと思われます。
技術開発はまさにエンドレスです。ある問題が解決でき
ても、その先にはまた解決すべき新たな問題が見えてきま
す。そのような時には、一見遠いと思われるような技術分野
や異業種の会合に参加することも必要ではないでしょう
か。所属の業界が異なれば、使用している設備も考え方も異
なりますし、技術者の知り合いが多いほど発想が豊かにな
ります。2012年度最後のイベントとして「新しいピーニン
グ技術」と題した懇話会がありました。内容は流体工学、
レーザー技術、金属技術などに及び、非常に内容の濃いもの
でした。古来いわれていますように「ものづくりは人づく
り」です。各方面に「技術のアンテナ」を張り巡らせておくこ
とは、優れた技術者となるためにはとても重要な要素と思
えます。
当学会は、これまで以上に会員各位のお役に立てるよう
に、各委員会や事業の統廃合も視野に入れて有機的に活動
し、会員各位からのご意見をいただきながら、日本ばね工業
会と歩調を合わせ、会員サービスの充実をさらに図りたい
と思っておりますので、ぜひ、当学会の顔であります会報も
有効にご活用ください。
(1)
2013年5月
4267
会報500号おめでとうございます
副会長 大沢 基明
会報500号おめでとうございます。会報発行は学会と会
論文集が「知識・技術」獲得であると
員をつなぐ最も重要な活動で、編集に携わってこられた
すると、会報は「能力=コンピテン
方々に敬意を表します。
シー」獲得になるのでしょう。コンピ
いうまでもなく、学会とはその分野の人達が集まって学
テンシー獲得には工学的基礎知識の
術上で情報交換するとともに切磋琢磨するための組織で
他に、問題設定能力、論理的思考能
す。
学会の会員が直接にいろいろな委員会、
分科会などの活
力、客観的評価能力、異文化対応力な
動に参加するのが望ましいわけですが、全てに参加するこ
どが含まれるそうです。会報には「巻
とはできません。
それを補い、
情報交換する場として本会報
頭言」「テクニカルレビュー」「技術
があります。
新しい技術は、
自分および他人の過去の成功や
トピックス」「海外レポート」「大人
失敗の経験や現在の知識をもとにして、発想を新たにした
の算数」「特許情報」などのいろいろな記事が載っています
思考、
洞察、
錯誤を繰り返しながら生まれるものと考えられ
が、ばね技術のコンピテンシーを養うものと思います。
会報
ます。ばね論文集は、新しい技術や理論が掲載されますが、
がその役割を果たしているものと思っています。
会報はそれにこだわらずに、いろいろな記事が掲載されま
また、若い人の学会離れが見られます。私自身を振り返っ
す。
その記事からいろいろな発想、
思考が生まれると思いま
て、当学会も含めていろいろな学協会の方々に勉強させて
す。
いただきました。年長者の経験を若い人に伝えていくこと
最近、大学生の就職試験で
「コンピテンシー(compe­
が重要な時代にもなっています。学会にもこの役割があり
tency)
」が話題になっています。コンピテンシーとは「個々
ます。本会報が若い会員に魅力のあるものとなり、
年長者と
の仕事に必要な能力」をいいます。コンピテンシー(能力)
若者とを結び付ける役割を果たすことを期待しておりま
に対して、
ナレッジ
(知識)
やスキル
(技能)
があります。ばね
す。
わが人生は、ばね技術とともに
名誉会員 西畑 三樹男
亘理会長
(当時)
とのやり取りです。
コ ネ ク タ と し てNB109合 金
(Cu―
「君は、酒は飲めるのか?」
「はい」
「この研究会の面々
1%Ni-0.9%Sn)
を開発しました。
は、
学問よりもばね作りのすごい腕の持ち主で、
この人たち
③医療機器部品
から学ぶのが技術である。酒の中の会話がばね技術の本質
ばね機構を取り入れた貴金属や特
であることを忘れることのないように」
と。
これがばね技術
殊金属からなる、微細な医療機器部
研究会との出会いでした。
品を開発し量産化しています。
NTT電気通信研究所、武蔵工業大学
(現在の東京都市大
本会報が記念すべき500号を迎え
学)
、
東海大学、
日本ベルパーツ株式会社において、電話機プ
られ、おめでとうございます。私と本
リンタ、
プロッタ、
半導体、
自動車用ばね、
医療機器部品など
会報とのご縁は、30年以上になりま
の実用化と量産を行い、
学協会に論文、
特許合わせて数百件
す。最初に「技術資料:ばね材料の強さとその評価法」を掲
発表し、現在も活躍できているのは当学会の皆様のおかげ
載させていただいたのは、1980年でした。また、
1988年か
です。
皆様からたくさんの重要なことを教わり、
技術の基礎
らは「技術資料:現場のマイクロテスト技術」を、
1995年
を身に付けることができ、以下のような世の中に誇れる技
から2006年まで「技術者の心得」を、さらに、2006年から
「現場の物つくりと材料試験」を掲載させていただきまし
術・製品を開発することができました。
①ばね用ステンレス鋼とテンションアニーリング法
た。
ばね用ステンレス鋼は均一性
(平坦性、直線性)が求めら
会報にこれらの記事を数多く掲載させていただいたの
れますが、
テンションアニーリング法を開発、
実用化しまし
は、私のこれまでのばね技術開発の経験を踏まえ、これから
た。また、はんだステンレスばねを実用化しました。これら
の世代を担っていかれる若い技術者に基礎知識をお教え
の技術は、
現在、
銅合金、
特殊合金、
磁性材料にも適用されて
し、真の技術者になるためには何が必要なのかを理解して
います。
いただき、世界に通用する強い技術者になっていただきた
②自動車コネクタ用Cu-Ni-Sn合金
いという思いからです。私の記事が少しでも参考になった
150~200℃の自動車エンジン内で使われる、
へたらない
のであれば幸甚です。
日本ばね学会会報
(2)
2013年5月
4268
会報との腐れ縁
名誉会員 下関 正義
いま本会報に
「大人の算数」を載せていただいています。
大方の読者は算数が得意科目で
この連載の前には
「ばねの周辺」というエッセイを23年間
あったはず。ならばこの懐かしい算
連載していました。
「ばねの周辺」は、
1987年のスタートで
数を、数学的視点から眺め直してみ
すから、私が40才という若き頃の話です。当時編集長をな
てはどうだろうか。いわば高所から
さっていた故平井さんから
「下さんの下ネタを載せたいん
の鳥瞰によって、技術者同士が同郷
だが」という突飛な依頼がありました。その理由を尋ねる
意識を共有することは、専門化・細
と、
会報は開封もされずにゴミ箱へ直行だそうで、この状況
分化の進む今日だからこそ有意義
をなんとか打破したいとのこと。要は客寄せを頼まれたわ
であろうと考えたわけです。いうな
けです。
それはそれで切実な問題ですから、
私も二つ返事で
れば、ばねという縦糸に対して、数
快諾しました。
理という横糸を通そうというもくろみです。
その後のアンケートによれば、この下ネタ路線はそれな
そろそろまとめに入りますが、いうまでもなく論文集に
りに功を奏したようです。そんなわけで調子に乗っていた
は論文集の、そして会報には会報の役割があります。
論文を
ら、
あるとき阪大の佐賀さんから
「君には下品な話が似合わ
シュートにたとえるなら、会報記事はそのアシスト的存在
ん」
とのお叱りを受け、
途中から硬軟織り交ぜたスタイルに
といえるでしょう。そうした意味で、的確な技術情報の提供
落ち着いたという経緯があります。
は、会報の主要な任務の一つだと思います。私としてもアシ
一方
「大人の算数」は私個人の発案です。当学会は技術者
ストのアシスト役として、次のパス出しを模索している次
の集団であり、
技術者の多くは理科系の出身です。とすれば
第です。
会報編集委員会の思い出
名誉会員 小川 登
会報500号の発行おめでとうございます。内容も充実し
りますが、これらが一致した時が編
編集委員会のご努力に感謝しております。
集活動としてはベストになると思
私が会報編集委員会を担当したのは1999年の335号か
い委員会で検討しましたが、内容の
ら2007年430号まででした。最初に委員会に出席した頃は
方向を定めることに苦労した思い
一次校正時に原稿の一部が揃ってないことが多く、二校で
出があります。
原稿を差し込むという綱渡りの編集を行っていて編集委員
研究の分野では多くの技術者や
会の方々は大変ご苦労されておりました。
研究者によりその内容は講演会や
その頃ある企業所属の理事から会報は1カ月おきの発行
論文集で発表されておりますので、
を検討したらどうかというご意見があり、私も感じていた
会報では維持会員会社で多くの会
ことですが、生産部門の技術者は当時のばね技術研究会に
員を占める生産部門の技術者の日常業務にも役立つ情報も
距離をおいていたように思えました。
提供することに目標を定めました。
会報を企業の技術者にもっと活用していただけるように
このような状況を踏まえて編集委員会と出版担当理事会
するためには内容を再検討する必要性を感じましたので、
で方向付けしました。それまで諸先輩が築いてきた会報の
当時面識のあった数社の維持会員会社の方々に会報の内容
内容は踏襲することにして、生産部門の技術者にも日常業
に対するご意見やご要望を直接うかがってみることにいた
務に活用できるよう、ばね業界の多くの製品のマニュアル
しました。
を共有できる資料として掲載し、市場情報をできるだけタ
各社の方々からは立場によって異なったご意見があり、
イミングよく提供することに重点を置き、多くの会員会社
多種多様の会員会社に対して会報でサービスできることは
の生産部門の方々にも執筆の機会を持っていただくように
何か、多くの会員に満足していただける記事を提供するこ
して、生産部門の技術者にも身近な会報になるように心掛
との難しさを感じました。
けました。
会報には筆者が載せたい原稿と会員が希望する原稿があ
日本ばね学会会報
(3)
2013年5月
4269
500号への回想と当学会への期待
元会報編集委員 華房 嘉夫
会報編集委員会から寄稿の依頼があり、昔のことでもあ
(平井さん・元鉄研)が1~2年交代
りどの程度記憶にあるのか、
不安を抱えながら、
厚顔にも執
で譲り合い、3名で対応していまし
筆させていただくことにしました。
た。とにかく手狭で窮屈な編集作業
ことわざに
「創業は易く守成は難し」というのがありま
でした。
す。1号が発行され、
200-300-400号と続き、
8年4カ月
尚友会館の取り壊しで秋葉原の
後の今月500号を迎えました。
編集委員会の皆さんと、寄稿
黒川ビルに移りましたがさらに狭
される執筆者のおかげで継続されたもので、同時に当学会
くなりました。続いて隣りの石川LK
のたゆみない
「よりよい発条の探求」
への結果でもあるので
ビル、さらに現在のMH-KIYAビル
しょう。
へと、日本ばね工業会と共に移りし
編集者にとって予定されている原稿が社内事情とかで突
ばらく落ち着きました。
然未着となると当然余白が生じてしまいます。
生憎、会報は
「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」とかいい
偶数ページでないとセットになりません。今なら広告など
ます。機械要素の一助をなすばね性は産業には欠かせない
で適宜埋められるでしょうが、当時は喫煙室やら文献紹介
が、
「歳々年々ばね同じからず」とばね材料はゴムから金属
などのコーナー、お知らせ、編集後記など、時には挿絵をバ
や空気・樹脂などへ、またその形状や加工法なども用途と
ランスよく組み込むなどで、結局印刷屋さんに無理をお願
ともに変わってきました。
いするしかありませんでした。
「ばね技術研究会」
も
「日本ばね学会」
と成長しました。
8年
当時の事務所があった尚友会館時代は在京組が主体で編
4カ月後には600号を迎えるでしょう。
宇宙で活躍する弾性
集していました。なにしろ日本バネ協会
(現日本ばね工業
に、どのような機能と性能が要求され、本会報はどのような
会)の事務所の片隅で、鉄研
(渡辺さん)
、三菱鋼
(上正原さ
記事を掲載してくれているだろうか期待したいと思います。
ん)
、堀切ばね
(田中さん)
、加藤発条
(小熊さん)
、丸上製作
絆で乗り越えた会報の刷新
元事務局 松田 好央
日本のバブル経済がはじけて、
4年後の96年度よりばね
た。まず、現行のB5版10ページ(8~
技術研究会
(現日本ばね学会)は日本ばね工業会から、財政
12ページ)をA4版にして8ページ建
的独立を迫られることになりました。創立より半世紀もの
ての設定、書体とレイアウト変更で
間、
財政面を同工業会に依存してきた研究会は、
お金を集め
収容文字数が1~2割増し、穴あけと
ることの実務経験がなく、
この不況期に独立ができるのか、
ホッチキス止めの廃止を行いまし
初めて迎える試練の時期でした。
た。論文集もA4版化をはかり、コス
会長の決意のもと特に庶務・会計担当副会長と同担当理
ト対策はフロッピーディスク提供
事が中心となり、
関係理事と喧々諤々の議論をしながら、新
で対応し印刷費の見直しをしまし
体制移行の進捗をはかりました。苦節の準備期間を経た結
た。これと別に図表説明の英文化、
果、幸いにも、同工業会会員の理解と協力を得て
「法人会員
英文キーワードの採用により国際化対応もはかりました。
制度」
の導入がかないました。
当時は同工業会技術部長と研究会事務局との兼務のた
一方経費節減の方は事務局が中心となり、同時に進行さ
め、両会の立場の違いからくる板ばさみの気持ちを抱えな
せました。
経費の半額を占める事業費を対象に
「入るをはか
がら、日常業務と並行しプロジェクト業務にあたらねばな
り出るを制す」の精神で、技術振興費
(約4割)と出版事業費
らないことに被害者意識を持ちました。関係者の協力を得
(約4割)について項目別に研究会活動への影響度を勘案し
て難問が解決していくにつれ、このような節目の業務に携
ながら、庶務・会計担当理事と検討を重ね担当理事とも調
わる機会に巡り合いこれを乗り切ることができて、幸せ
整の上実行決定をしました。
だったと感じるようになりました。
出版事業費を例にとりますと、即半減が可能な会報発行
最後に記念の500号おめでとうございます。今後も会員
の隔月案は
「会報は会員との絆である」
と否決されこれは勇
を支える絆として「会報の力」を発揮し続けてほしいと願っ
み足となりました。
決定をみたのは、
次のような刷新案でし
ています。
日本ばね学会会報
(4)
2013年5月
4270
基礎技術セミナー
「ばねのX線残留応力測定方法の原理と応用」開催報告
中央発條株式会社 技術開発部 久野 隆紀
実施日時:2013年2月19~20日
(参加者:22名)
講師:横山 亮一氏(リガク)
開催協力会社:株式会社リガク
電解研磨を用いて、研磨量のチェックと応力測定を繰り
実施場所:株式会社リガク 東京工場
返すことで、ショットピーニングを施した弁ばねの深さ方
1.
はじめに
向における残留応力分布を測定する実習を行いました。X
当学会の基礎技術セミナーは2000年4月から始まり、今
線応力測定装置の使い方も含め、電解研磨作業のやり方を
回で16回目を迎えました。2012年度セミナーは、リガクの
学ぶことができました。
高塚健司営業本部室長のご挨拶のもと開講いたしました。
2.
セミナー1日目
(2月19日)
(講義1:X線応力測定法の原理と基礎)
講師:大谷 眞一教授
(東京都市大学)
最も一般的に行われているX線応力測定法であるsin2ψ
法を中心に、測定原理と基礎理論を講義していただきまし
た。また、実際にsin2ψ法を用いて応力測定を行う際の条件
設定の仕方や注意点などについて、
「X線によるばねの残留
応力評価法研究委員会」での取り組みも交えながらプロセ
スごとにわかりやすく解説していただきました。
(講義2:応力測定に使われる装置・測定手順・応用測定例)
講師:横山 亮一氏
(リガク)
応力測定で使用される装置の特徴・構成について、専用
(実習2:4点曲げ負荷と発生応力の検定)
機・汎用機それぞれ、測定時の動画を交えて詳しく説明し
講師:松坂 ひとみ氏(リガク)
ていただきました。また、応力測定における検定・手順、残
板ばね用のSUP9Aに4点曲げジグにより荷重を負荷し、
留応力分布測定のための電解研磨作業などをわかりやすく
その荷重をロードセルにて計測、各段階でsin2ψ法により
解説いただき、全体作業の流れや測定における留意点を学
応力測定を行い、そのsin2ψ-2θ線図の傾きと発生応力の
ぶことができました。
比例関係からX線的応力定数Kを求める実習を行いまし
(設備見学)
た。グループにより、結果に差はありましたが、日本材料学
研究所ではX線回折や蛍光X線、熱分析などの様々な機
会の推奨値と結果を比較し、測定の条件設定の方法や、
その
器を、工場では非常に高い精度を求められる部品の加工や
重要性を学ぶことができました。
検査体制などを丁寧な説明を受けながら2班に分かれて見
学させていただきました。
(実習3:ψスプリットをもつばね材の残留応力測定)
講師:根津 暁充氏(リガク)
(技術交流会)
ショットピーニングを一方向から投射した丸棒を用い、
技術交流会は、セミナー参加者と講師の先生、リガクス
投射方向から約90°の位置の円周方向にφ=0°と180°と
タッフの方々、
セミナーの推進委員を含め、
リガクの食堂に
でsin2ψ法で測定し、ψスプリットが現れることを実習で
て行いました。
宴が進むにしたがい参加者も打ち解け合い、
確認しました。
楽しい交流の一時を過ごしていました。
4.最後に
3.
セミナー2日目
(2月20日)
事前アンケートに対する回答も含め、講師の方々に丁寧
(実習1:ショットピーニング処理されたばねの電解研磨
による深さ方向の残留応力評価)
なご指導をいただいたおかげで参加者にとって有意義な時
間が過ごせたものと思います。今後も会員ニ-ズに則した
セミナ-を企画したいと思いますので、ご意見、ご要望など
ありましたらお聞かせください。
日本ばね学会会報
(5)
2013年5月
4271
2012年度委員会活動報告
3月12日に開催した理事会・評議員会の委員会活動報告の要旨をお知らせします。
事業関係
事業企画委員会(委員長 榊原 隆之)
2012年度は委員会を2回開催し、定例の諸行事の企画および事
業活性化の検討を行った。
(1)
も のづくりセミナー、特別講演、マシンショ-、懇話会、交流
会、基礎技術セミナーの企画、検討などを行い、それぞれ担当
理事、および担当委員会へ展開した。
(2)
事業担当理事+委員長合同会議を2回開催し、各行事の実施内
容、計画、課題などについての意見交換、規定類見直しの確認、
ばね技術遺産の表彰方法について議論した。
(3)
事 業活性化に関し、開催場所変更、定例講演会応募へのモチ
ベーションを高める方策、講演発表のスムーズな進行(座長へ
のお願い事項)
などについて議論した。
懇話会推進委員会(委員長 伊澤 佳伸)
第28回「新しいピーニング技術」に関する懇話会の開催概要
(1)日時:2013年3月21日(木) 13:00~16:15
(2)場所:東京理科大学 森戸記念館 地下1階 第1フォーラム
(3)講演内容
開会挨拶 当学会 副会長 鈴木 聡
講演1.キャビテーションピーニング
東北大学大学院 工学研究科ナノメカニクス専攻 祖山 均氏
講演2.
微粒子ピーニングの最新技術
IKKショット株式会社 事業開発部 イノベーションチーム
安藤 正文氏
講演3.
レーザーピーニングによる金属構造物の長寿命化
株式会社東芝 電力・社会システム技術開発センター
佐野 雄二氏
閉会挨拶 当学会 会長 当舎 勝次
交流会(担当理事 吉田 昌平)
・10月26~27日に中部地区で第31回交流会を実施した。
・目的としては、新エネルギー、省エネ、エコ、環境対策をテーマと
して、ばね以外にも知見を広げることとし、また、グループ討議
を行い、参加者の研鑚を図ることとした。
・1日目はあいち臨空新エネルギー実証研究エリアの見学と講演
の聴講。2日目にグループディスカッションとその内容の発表
を行った。
・新エネルギー実証研究は、自然エネルギー分野、バイオマス・廃
棄物利用分野、燃料電池分野、その他革新的エネルギー分野の4
つに分けられていた。自然エネルギー分野では、主にシリコン系
の単結晶型・多結晶型・アモルファス型の太陽光発電や、翼の
騒音低減または蓄電式風力発電について実証研究が行われてい
た。次にバイオマス・廃棄物利用分野は、木屑を燃やし得た熱源
を利用したスターリングエンジン発電システムの研究が行われ
ていた。また、燃料電池分野では、家庭用燃料電池の耐久性評価
が行われており、その他革新的エネルギー分野では、電気自動車
用の短時間に充電可能な急速充電器についての実証研究が行わ
れていた。
・講演会では、自然界のエネルギー形態と人間が必要としている
消費エネルギー形態の違いによる問題や、現代社会の構造によ
るエネルギーの需要と供給のバランスの問題、また地球環境に
対する問題について、
詳しくお話ししていただいた。
・グループディスカッションは3グループに分かれて「将来のエ
ネルギーの展望と課題」
「ばね側から貢献できること」という
テーマで話し合った。各グループは常識にとらわれず自由な発
想で結果をまとめた。
・懇親会は、
仕事や趣味の話を含め多いに盛り上がり、参加者の満
足感も得られたのではないかと思われる。
・いくつかの反省点はあるものの、前年度の交流会の結果を踏ま
え今年度は満足いただける企画ができたのではないかと考え
る。
基礎技術セミナー推進委員会(委員長 大石 裕之)
第16回基礎技術セミナー「ばねのX線残留応力測定方法の原
理と応用」の開催概要
日時:2013年2月19日~20日
場所:株式会社リガク 東京工場
参加者:22名(募集21名)
実施内容:
2月19日セミナー実施項目
(講義1)X線応力測定方法の原理と基礎
(講師)東京都市大学 大谷 眞一教授
一般的に行われているX線応力測定法であるsin2ψ法を中心に
測定原理と基礎理論を講義。また当学会での「X線によるばねの残
留応力評価方法研究委員会」の取り組みを解説。
(講義2) 応力測定に使われる装置・測定手順・応用測定例)
(講師)リガク 横山 亮一氏
応力測定で使用される装置の特徴・構成について測定時の動画
を交えて解説。また応力測定における検定・手順・残留応力分布
測定の電解研磨作業や全体作業の流れ・留意点を講義していただ
いた。
(設備見学)2班に別れて研究所の設備および工場の高い精度の
加工や検査体制を見学。
(技術交流会)
講義、
設備見学終了後セミナー参加者および講師、リ
ガクスタッフ含め技術交流会実施。
2月20日セミナー実施項目
(実習1)ショットピーニング処理されたばねの電解研磨による深
さ方向の残留応力評価
弁ばねをサンプルに電解研磨による研磨量のチェックと応力測
定の繰り返しにより深さ方向の残留応力測定分布測定実習実施。
(実習2)4点曲げ負荷と発生応力の検定
板ばねに4点曲げジグにより荷重負荷し、その荷重をロードセ
ルにて計測、各段階でsin2ψ法により応力測定し、X線的応力定数
Kを求める実習実施。
(実習3)
ψスプリットをもつばね材の残留応力測定
ショットピーニングを一方向から投射した丸棒を用い、投射方
向から約90°の位置の円周方向にφ=0°と180°とでsin2ψ法で測
定を実施し、
ψスプリットが現れることを実習で確認。
国際化推進委員会(委員長 栗本 清)
英語勉強会は2011年11月に第1回を、その後2013年3月まで8
日本ばね学会会報
回開催した。
国際フォーラム開催準備に専念するため、本勉強会は
(6)
2013年5月
4272
今年度で一旦終了とした。
国際シンポジウム開催推進委員会(委員長 栗本 清)
7月に第1回を開催し、その後12月、2月と計3回の委員会を開
催。
<構想>
正式名称:The 1st International Forum on Spring Tech­
nologies(第1回国際フォーラム)
開催時期:2015年11月
開催地:東京
開催形式:講演発表+ポスター発表+エキジビジョン(小型検査機
器、
ビデオ、
パネルなどの展示)
その他:諸外国の協力を得るためInternational Committeeを設
立する
(英、
米、
独、
中、
韓、
日)
。
<役割> ・査読
・自国からの発表者、
参加者集め
・次回フォーラム開催を討議する委員会への参加
当委員会はLocal Organizing Committeeとしての位置づけと
なる。
ばね機械展示会実行委員会(委員長 加藤 金治)
2012年度は、委員会を1回開催した。
・
「2011スプリングマシンショー」終了後、出展社へのアンケー
トをとったところ、2013年度は経済情勢から出展を控える企
業が多く、開催を見送ることとした。
・2015年の国際フォーラムとの共催に関しては、今後の課題と
する。
・従来の出展会社には書面にて連絡した。
・ばね機械展示会委員会は活動を休止とする。
ばね技術遺産保護委員会(委員長 久納 孝彦)
前回理事会での議論を踏まえ、楯の型と書式などを第4回委員
果、会員への紹介と受領者に敬意を表するため、定例講演会時
会
(1月29日開催)で審議し、以下のように決定した。
に贈呈するのが望ましいとのことになった。
(1)
楯は木製縦型とし、書式は横書きでロゴ、認定番号に続き、名 (5)
贈呈はとりあえず、調査委員会がばね文化財候補として挙げ
称、製造年、所有者名および認定理由の見出しのもとに記述。
た30件のうち所有者が認定を受諾した17件を対象とし、講演
発行年月日は贈呈日とする。
会ごとに5~6件、
贈呈する。
(2)
用語「認定」「認証」の選択については他学会の例も参考に、一 (6)
費用は、初年度に、楯10件17万円
(三賞株式会社見積り)およ
般的に使用されている「認定」とする。
び表彰状製作費と容器代など10件約3万円の計20万円と見積
(3)
楯は、ばね技術遺産のうちの機器についてのみ定例講演会時
もられる。
に贈呈し、表彰状を付す。文献遺産については感謝状を、また (7)
当 委員会の活動任期を考慮して前記17件の贈呈は、平成25、
当学会に寄贈された場合にはお礼状を所有者に郵送すること
26年度中に完了させたい。この後の継続的保護活動について
とした。
は、
当学会の体制をあらためて検討していただきたい。
(4)
贈 呈方法について事業担当理事会(2月4日開催)に諮った結
ものづくりセミナー推進委員会(委員長 今井 智之)
第4回「ものづくりセミナー」を開催した。
(1)日時:2012年9月20日(木)13:30~17:30
(2)場所:新梅田研修センター(大阪)
(3)講演内容
司会:ものづくりセミナー推進委員 渡邊 吉弘氏
開会挨拶 事業企画 委員長 榊原 隆之氏
1.基調講演「エネルギーとのお付き合い」
豊橋技術科学大学 教授 滝川 浩史氏
2.事例発表「中小企業ができる省エネルギー」
㈱丸上製作所 東村 公治氏
閉会挨拶 ものづくりセミナー推進委員長 今井 智之
(4)
参加者:55名
(5)
感想
(改善に向けて)
:
・日本ばね工業会との共催を踏まえ、事前のコミュニケーション
を深めておけばよかった。
・当日、積極的に会員募集のPRタイムを入れてもよいのではない
かと思う。
(6)2013年度委員長の件:
・住友電工スチールワイヤー永井達二氏に委員長を引き継ぐこと
になった。
研究関係
研究企画委員会(委員長 丹下 彰)
(1)2012年度共同研究テーマ進捗
テーマ名
開始年度
終了予定
2009
2014年3月
(1年延長)
①
「ばねの遅れ破壊に関する研究委員会」
②
「圧縮コイルばねの疲労限度線図の改訂調査研究委員会」
2010
2015年3月
(2年延長)
③
「圧縮コイルばねのへたりに関する研究委員会」
2011
2013年6月
④
「ばね鋼の熱処理及び窒化処理に関する調査委員会」
2012
2014年3月
(1年延長)
(2)2013年度研究テーマ
・2012年度以降の継続委員会は3委員会となる。2月5日に研究担
日本ばね学会会報
(7)
当理事会・研究企画委員会の合同会議を開催し、
2013年度の新
テーマを検討した。
2013年5月
4273
・日本ばね工業会が
「ばねの試験評価法」をISO規格にする計画を
立てていること、当学会会員会社にも共通したニーズがありそ
うなことから、
ばねの試験評価法に関連するテーマがよさそうで
あることで意見が一致したが、
具体的な案はまとまらなかった。
ばねの遅れ破壊に関する研究委員会(委員長 松山 晋作)
2012年度活動状況
(1)
研究委員会5回開催(第9回5月24日、第10回7月30日、第11回
10月3日、第12回12月14日、第13回2月25日)
(2)活動実績
引 張 強 さ1700~2000MPa級 の 懸 架 コ イ ル 用 一 般 ば ね 鋼
SAE9254について、実際のばねを考慮した試験片(平滑試験片お
よび人工ピット付試験片)を作製し、引張CSRT(Conventional
Strain Rate Technique)試験およびねじり試験を行った。その
結果、以下の結果が得られた。
・引張CSRT試験において、水素量の増加にともない引張強度は
低下した。破壊形態は、内部の介在物を起点とし、起点部周辺は
擬へき開破壊、その外周は粒界破壊であった。
・平滑材およびピット付試験片による水素チャージ後ねじり試験
において、水素量の増加にともない破断トルクおよび破断エネ
ルギーは低下した。破断エネルギーで整理すると、ピット付試験
片では低水素濃度域から顕著な脆化を示し、低水素濃度域では
ピット起点、高濃度水素域では平滑表面起点となり、水素量に
よって破壊形態が変化した。
・昨年度の実験結果も含め、引張CSRT試験およびねじり試験に
おける水素量レベルと破壊形態の関係、試験片種類と水素の影
響について整理を行った。
以上から、高力ボルト向けに考えられた環状切欠試験片の
CSRT評価法は、より高強度なばね鋼にそのまま適用するは無理
があることが判明。平滑試験片
(ピット有無)などの適用、水素
チャージの方法など吟味する必要があると結論された。
これらの知見は、
9月17日の日本鉄鋼協会水素フォ-ラム、11
月2日の日本ばね学会秋季講演会にて発表した。また、これまでに
得られた委員会活動の取り組み結果をまとめ、
2013年発行のば
ね論文集に投稿した。
(3)2013年度の予定
理事会にて活動1年間延長が承認され、今後、SAE9254V(V添
加 鋼 )に よ るCSRT試 験 お よ び ね じ り 試 験、SAE9254相 当 材
(SWOSC-V)の小形コイルばねによる模擬CSRT試験を実施し、
素材での優劣評価および実ばねでの遅れ破壊性評価の可否を検
討、ばねにおける遅れ破壊試験法に関するガイドラインの提案に
結びつける。
圧縮コイルばねの疲労限度線図の改訂調査研究委員会(委員長 山田 凱朗)
(1)
今 年度5回(第14回~18回)の委員会と1回の小委員会を開催
した。
(2)2012年度秋季講演会(11月2日開催)において、当委員会の
活動状況の概略を中間報告として報告した。
(3)
経過状況…疲労試験対象ばね:材種2種(ピアノ線SWP-Aと弁
ばね用OT線SWOSC-V)、線径3種類(4mm、3.5mm、
1mm)
、
ショット条件2種(有と無)
①ショットピーニングを施さないばね…4mm径ばねの応力比R
≦0.4の疲労試験は終了したが、R>0.5の疲労試験データと動
的へたり解析をさらに充実したい。細径1mmのばね疲労試験は
ある程度得られているが、さらに充実する必要がある。
②ショットピーニングを施したばね…3.5mm径のばね疲労試験
はある程度得られたが、まだS-N線図を得るまでに至っていな
い。1mm径のばねではピアノ線ばね、OT線ばねともにS-N線
図を得るまでに至っていない。
③細径ばねのデータ充実のため、第17回委員会から中央発條の委
員会参加を得た。さらに同目的で第18回から鈴木金属工業の参
加を得た
(第17回委員会にもオブザーバとして参加)。
(4)前述の状況から、当初の委員会終了予定である2012年度末を
2014年度末まで2年間の延長を第172回理事会・第72回評議
員会にて審議、
了解された。
圧縮コイルばねのへたりに関する研究委員会(委員長 新谷 紀雄)
前回の理事会・評議員会(2012年12月13日)に報告した報告
書案を当学会春季定例講演会(2013年6月6日)にて講演※ するこ
ととし、そのための準備を進めている。講演内容は、コイルばね材
料のへたりのメカニズム、へたり対策としてのばね材料および圧
縮コイルばねの高強度化、圧縮コイルばねの実使用環境とその苛
酷化を含む。当委員会は2012年度末で解散するが、報告書の内容
を当学会誌に投稿する予定である
(※事務局注:講演件数調整の
ため秋季定例講演会に延期いただくことで調整)
。
ばね鋼の熱処理及び窒化処理に関する調査委員会報告(委員長 中尾 航)
(1)委員会報告
今年度、2回の調査委員会を開催し、以下について現状技術の調
査報告があった。
①鋼の熱処理の基礎について:鋼の結晶構造、
浸炭、
窒化反応に関す
る熱力学的知見について説明。
また、鋼材中のCの拡散係数に関
して情報
(特に合金元素の影響)
を調査する必要が示唆された。
②窒化処理について:窒化処理の歴史、窒化処理に関する用語の
定義、結晶学的知見、レーラー図などについて解説。鉄窒化物に
関して議論され、またばね鋼の主要添加元素であるSiやCrの窒
化への影響について議論された。
③軟窒化処理について:窒化、軟窒化処理の比較、軟窒化処理法の
概略、浸炭窒化処理法について説明。窒化処理法との違いについ
て議論がなされ、
窒化処理においては炭素、
酸素の影響が極めて
大きく、これらの元素が存在すると化合物層を生成しやすい傾
向にあるとの知見も出された。炭素量の大きいばね鋼において
は、窒化処理雰囲気にCOガスを加えずとも、軟窒化処理と同じ
現象が起きているのではないかと議論された。
④浸炭処理について:さまざまな浸炭処理法について説明され
た。
特に、
表面での反応性について詳しい説明がなされた。また、
浸炭反応時の鉄中のCの拡散について議論がなされた。
(2)
今後の予定
今後2回の委員会を経て、引き続き現状技術の調査を行う。その
後、
当学会として取り組むべき、
ばね鋼の熱処理技術に関して議論
を行い、
共同研究委員会としてふさわしいテーマの抽出を行う。
復元力応用分科会(主査 中川 紀壽)
2012年度は5月に第13回分科会講演会、11月に第14回分科会
講演会を開催した。また、各講演会に合わせて分科会運営委員会を
開催し、次年度の第15回分科会講演会の企画・準備を行った。概
要は以下である。
日本ばね学会会報
(1)
第13回分科会講演会
開催日時:2012年5月18日
(金)13:00~16:40
場 所:東京理科大学 森戸記念館
(東京都新宿区)
出 席 者:24名
(8)
2013年5月
4274
①自動車用シートの乗り心地について
株式会社デルタツーリング 藤田 悦則氏
②ゴルフクラブのばねの機能について
ダンロップスポーツ株式会社 山口 哲男氏
③非金属製竹フレーム車いすの開発
(独)産業総合研究所 岩月 徹氏
(2)第14回分科会講演会
開催日時:2012年11月28日(水)13:00~16:40
場 所:京都テルサ(京都市南区)
出 席 者:21名
①ばねの柔軟変形を利用したコンプライアントメカニズムの応用
名古屋工業大学 荒田 純平氏
②圧縮コイルばねを利用した中腰作業補助装置
宮城県農林水産部 相澤 正樹氏
③可変支持荷重上下免振装置の開発
京都大学大学院 荒木 慶一氏
(3)
第15回分科会講演会の計画
開催日時:2013年5月20日
(月)13:00~16:40
場 所:ウインクあいち
(名古屋市中村区)
①機械へのモーダル解析応用事例 中央大学 大久保 信行氏
②福祉機器における復元力の応用
パラマウントベッド株式会社 三宅 徳久氏
③木材の材料特性と疲労強度
名古屋大学大学院 佐々木 康寿氏
広報出版関係
ばね論文集編集委員会(委員長 大沢 基明)
(1)ばね論文集第58号関連
①58号用原稿は、投稿時期が例年よりも遅かった57号用よりも
さらに遅くなった。このため、発行は例年よりも1~2カ月遅い6
月~7月発行になる見込みである。
②投稿件数は昨年と同じ7件で、現在、査読が進行中である。
③図表がカラーのものがいくつかあり、
基本的には白黒で判別でき
るように修正をお願いしているが、
どうしてもカラーが必要なも
のは、
論文集編集委員会で確認後、
カラーを認める予定である。
(2)
その他
①定例講演会のポスター発表に使用するポスターと講演論文集用
原稿の書き方をよりわかりやすくするため、
当委員会が主管の規
程類として、
「講演論文集原稿及びポスター原稿」
を検討、作成し
た。
②ばね論文集への一般投稿件数減少の傾向が強まってきているこ
とから、
投稿件数増加策などについて委員会で話し合いを行い、
ポスター発表論文も投稿可とすることとした。
ばね技術情報システム委員会(委員長 野村 一衛)
(1)2012年度は委員会を3回開催した。今年度は、ホームページ
の更新(継続活動)、2012年6月に開設した会員向け専用ページ
コンテンツの充実および当委員会の内規作成の3点について重
点的に活動を進めた。
(2)ホームページの更新
①ホームページの質向上には毎月の逐次更新が望ましいが、現状
の業者(扇精光)との保守契約でカバーするのは困難であった。
そこで逐次更新のニーズが高い「文献紹介」と「特許情報」
につい
て更新ツールを扇精光から購入し、事務局での逐次更新を可能
とした。
(3)会員向け専用ページコンテンツの充実
①会員専用ページを2012年6月に開設した。開設にあたって、ま
ずは「ばねづくりの勘どころ」「特許情報」および「文献紹介」の
3点を会員専用コンテンツとして掲載した。
②
「用途別ばねの紹介」および「会報アーカイブ」を新たなコンテン
ツとして検討を進め、2013年3月より公開した。また今後、事務
局での更新を容易にするためにこれらコンテンツ用の更新ツー
ルを購入した。
③
「用途別ばねの紹介」については「ばねづくりの勘どころ」
と同様
のイメージでコンテンツを製作した。
④
「会報アーカイブ」についてはPDFデータのある2008年以降を
公開した。なお運営会議内で1号から掲載してはどうかとの意
見があり、すべてをPDF化する場合の見積もりを行った。しか
し概算で約74万円が必要なため、今後
「会報アーカイブ」へのア
クセス数などで反響を確認し別途検討することとした。
⑤
「セミナーテキスト」についても検討を行ったが、有料資料であ
ることから今回は公開を見送ることとした。
(4)
内規の作成
①当委員会の活動内容を規定する内規を新たに作成した。
(2013
年3月制定)
(5)
ばね技術遺産保護委員会からの提案
①ばね技術遺産保護委員から
「登録済みのばね技術遺産」のホーム
ページでの公開について提案があり、当委員会および担当理事
会にて承認された。
(6)2013年度の活動方針
以下の3点について重点的に活動を進める。
①ホームページの更新
(継続活動)
②会員向け専用ページコンテンツの充実
(総会資料の掲載などを
検討)
③英語版ホームページの充実
会報編集委員会(委員長 綾田 倫彦)
(1)2012年度実績
・会報編集委員会を毎月2回開催し、
会報を滞りなく毎月発行した。
定例講演会、基礎技術セミナー、ものづくりセミナー、復元力
応用分科会などの学会行事の開催報告は、主催者のご協力を得
て、タイムリーに会報に掲載することができた。
・7月号から新しく第一資料印刷に切り替え、これを機会に表紙
も一新したが、支障なく発行でき、ひと月あたり約4万円のコス
トダウンとなった。
・テクニカルレビューのコーナーは、主にばねに関連した計測技
術を紹介しており、大槻先生の「めっきの内部応力」が9月号か
らスタートし、連載中である。12回くらい連載の予定である。
・会員会社のある地域自慢、会社紹介を兼ねた「地域紹介」が10月
号からスタートし、連載中である。
・技術トピックスのコーナーは、ばね及び復元力応用分科会やも
のづくりセミナーなどで発表いただいた内容を、受講できな
日本ばね学会会報
かった会員にも情報提供するという主旨で掲載しており、3月
末で46回目となった。
・1月に会報に関するアンケート調査を実施し、約150件の回答
をいただいた。
(2)2013年度計画
・5月号は500号記念号となり、
16ページの拡大版を発行する予
定である。
前述のアンケート内容をまとめて掲載するとともに、いただ
いたご意見を参考に内容の充実化を図る予定である。
・記念号と一緒に、別冊で401号~500号の総目次
(10ページ程
度)
も発行する予定である。
・地域紹介、
海外レポートなどは継続予定であり、
会員皆様のご協
力をお願いしたい。
・テクニカルレビューの次のテーマが課題である。
(9)
2013年5月
4275
会報の歩み
1971年の創刊からの会報の歩みを下表に示します。
年代
1970
1980
編集委員長
会報の主な内容
’
71.10 創刊。
第一回定時総会の報告。~’
75.07 「ひと口メモ」
(30回)
。
’
72.04~74.06 おとみさんの
「ばねるはなし」
の連載
(27回)
。
富田勝信
’
73.04 「喫煙室」
の連載開始。
これが’
76のなべさんのばね教室へと続く。
(~’
75.05)
’
74.08 なべさんの
「やさしいばね技術」
の連載開始
(29回)
。
’
79に日本ばね意外史と改称。
亘理 厚
’
75.03 改善事例発表会の内容を
「研究会動向」
として掲載。
尚友会館
(’
60.11~’
79.05)
’
76.02~’
76.06 「技術資料
(特許法改正)
(
」5回)
。
(千代田区霞が
’
76.11~’
77.12 「技術資料
(ばねの破壊)
(
」8回)
。
関3-3-3)
’
60.07~’
82.12
’
78.02~’
78.05 「技術資料
(機械の振動防止)
(
」4回)
。
渡辺信一
(~’
80.05)
’
79.07~’
81.02 「やさしいばね技術
(日本ばね意外史)
(
」15回)
。
’
80.01 創刊100号。
’
79.12~’
80.03 「喫煙室」
で会報100号によせる記事を連載。
水野正夫
’
81.08~09 技術資料
「SRAMA:英国ばね研究製造協会の年次報告」
。
(’
79.05~’
83.05)
’
81.12 技術資料
「第1回SP国際会議」
。
’
82.06 技術資料
「SRAMA紹介」
。
黒川ビル
’
82.11 欧州ばね工場視察記
(熱間、
冷間グループ)
。
(千代田区神田練塀町) ’
84.06 「技術資料
(JSMA No.11 ばね用シリコンクロムオイルテンパー線)
」
。
金尾正雄
’
85.09~86.09 久納氏の
「喫煙室
(イギリス風物誌)
(
」12回)
。
(’
83.05~’
87.05)
’
86.01~86.04 「技術資料
(SRAMAの近況)
(
」4回)
。
’
87.04~’
10.08 下関氏の
「喫煙室
(ばねの周辺)
」
連載
(275回)
。
’
88.01~89.06 西畑氏の
「技術資料
(現場のマイクロテスト技術)
(
」7回)
。
石川LKビル
平井 健
89.03~89.06 小林顧問の
「技術資料
(SRAMAの近況)
(
」4回)
。
(千代田区鍛冶町) ’
田中千秋
(~’
97.06)
84.09~’
93.06
(’
87.05~’
91.06) ’
’
89.12~91.10 「懇話会
(最近のばね用素材、
高強度ステンレス鋼、
Ti合金など)
(
」20回)
。
1990
ばね学会会長
事務局所在地
西島 敏
(’
91.06~’
99.06)
青木純久
(~’
99.07 )
2000
金澤健二
小川 登
MH-KIYAビル
(’
99.06~’
05.06)
(~’
07.07)
(千代田区神田
美倉町)
’
93.06~現在
安藤 柱
07.06~’
11.06)
綾田 倫彦 (’
(’
07.08~)
2010
当舎勝次
(’
11.06~)
’
91.01 第1回若手技術者交流会報告。
以降、
「交流会報告」
として現在まで続く。
’
91.11~’
92.05 「研究会動向」
でBANEXの開発について連載
(7回)
。
’
92.07~’
94.09 技術資料
(ばね用材料の動向)
(
」10回)
。
’
93.04~’
96.04 なべさんの
「やさしいばね教室
(ばねを楽しむ学校)
(
」36回)
。
’
95.01~’
06.02 西畑氏の
「技術者の心得」
(11年間)
。
’
96.04~’
96.06 「最新のばね用新素材に関する懇話会」
(3回)
。
’
96.11~’
97.08 「接合技術に関する懇話会」
。
’
96.12~’
05.03 「大学・研究所の紹介」
。
’
98.04~’
98.09 「ばねのFEM解析に関する懇話会」
(6回)
。
’
99.05~’
99.10 「精密プレス加工技術に関する懇話会」
(5回)
。
’
00.04 「特許情報」
連載開始。
これは現在も継続中。
’
00.12~’
05.08 「ばねづくりの勘どころ」
(41回)
。
’
01.12~02.02 「技術情報
(フランクフルト、
東京モーターショー)
見聞録」
(3回)
。
’
02.11~03.10 「ばね鋼の疲労・遅れ破壊に関する懇話会」
(7回)
。
’
04.04 IAAモータショー見学記。
’
04.10~’
04.11 「6価クロムフリーに関する懇話会」
。
’
05.12~’
10.02 「用途別ばねの紹介」
掲載
(34回)
。
⇒’
10.3小冊子発行
(2000部)
。
’
06.05~’
06.12 西畑氏の
「現場の物つくりと材料試験」
(6回)
。
’
06.10~’
07.07 下関氏の
「ばねの舞台裏」
(9回)
。
’
08.03~ 「技術トピックス」
がスタートし、
現在も掲載中
(47回)
。
’
09.09~ 下関氏の
「大人の算数」
がスタートし、
現在も連載中
(31回)
。
’
10.04~ 「テクニカルレビュー」
がスタートし、
現在も連載中
(27回)
。
’
10.09~ 「ばね文化財の紹介」
スタートし、
現在も連載中
(5回)
。
’
10.09~’
12.12 「研究室紹介」
(11回)
。
’
12.01~ 「海外レポート」
がスタートし、
現在も連載中
(12回)
。
’
12.10~ 「地域紹介」
スタートし、
現在も連載中
(5回)
。
現在の会報編集委員
前列左が委員長の綾田
(日本発条)、
右が斉藤
(日本発条)
、
後列左から
伊藤
(日本ばね学会)
、
内堀
(日本ばね学会)、
副委員長の鎗田
(鈴木金属工業)、
池田
(パイオラックス)
、
押田
(日本ばね学会)
、
板谷
(三菱製鋼)
会報編集委員から一言
綾田(日本発条)
:会報編集委員の冥利は、皆様より2カ月前に原稿を読ませていただくことです。最近は、皆様からタイム
リーにレイアウトされた原稿を送っていただけるので、助かっています。今後もご協力をよろしくお願いします。
鎗田(鈴木金属工業)
:500号までを現在の会報の厚さとして積み重ねてみると、230mmの高さにもなる計算です。この後ど
こまで重ねることができるでしょうか?会員皆様のご協力をお願いします。
日本ばね学会会報
(10)
2013年5月
4276
会報の主な内容
’
71.10~’
75.12 「ばねのQ&A」
(35回)
。
’
85までは研究会動向、
委員会動向、
技術資料、
講演要約、
連載記事など主に6ページ構成。
’
73.10 技術資料
「最近の線ばね材料の動向」
。
11 技術資料
「最近の薄板ばね材料の動向」
。
’
74.12~’
75.01 技術資料
「非鉄ばね材料の最近の動向」
。
’
75.06 ねじりコイルばね設計基準の規格原案。
’
76.11~’
77.03 「ばね史考」
(5回)
。
’
77.06 「技術資料
(鉄鋼材料改正)
」
。
10 ばね技術研究会30周年記念号。
’
78.12~’
79.07 「技術資料
(圧縮・引張コイルばね設計基準)
(
」4回)
。
’
79.08~’
79.10 宮川氏の
「喫煙室
(鋼線鋼索業の沿革)
(
」3回)
。
’
80.12~’
82.05 西畑氏の
「技術資料
(ばね材料の強さとその評価法)
(
」12回)
。
’
81.09~’
82.11 下関氏の
「FEM技術資料」
(12回)
。
’
82.09~’
85.06 「喫煙室
(なべさんのやさしい非理工系ばね教室)
(
」35回)
。
’
83.08 「書籍紹介
(ばね)
(第3版)
」
。
’
84.06 「書籍紹介
(日本のばねの歴史)
」
。
09 「技術資料
(SRAMAの現況と交流推進の状況報告)
」
。
’
85.04 「技術資料
(ばねの疲労問題の動向と課題)
」
。
’
86.11 「随筆」
の連載始まる。
(小玉氏以降、
荒川氏、
小林氏と90.03まで続く)
。
’
88.02 ばね技術研究会40周年記念号。
’
88.05 創刊200号。
’
88.06 表紙デザインの変更。
喫煙室
「ばねの周辺」
を談話室に改称。
’
89.09~90.05 金尾顧問の
「技術講座
(新材料技術への誘い)
(
」4回)
。
社会一般の出来事
’
71.12 1ドル308円へ、
06 沖縄返還協定調印
’
72.02 札幌冬季五輪、
05 沖縄本土復帰、
09 日中国交正常化
’
73.02 円変動相場制へ、
10 第一次オイルショック
’
74.08 ウォータゲート事件、
12 雇用保険法公布
’
75.03 山陽新幹線開通、
07 沖縄海洋博開催
’
76.02 ロッキード事件発生、
05 資本自由化完了
’
77.09 王選手本塁打世界新、
12 円高1ドル240円
’
78.08 日中平和条約締結、
12 米中国交正常化
’
79.06 東京サミット開催、
第二次オイルショック
’
80.09 イラン・イラク戦争、
11 ボイジャー土星観測
’
81.03 神戸ポートピア完成、
04 スペースシャトル打ち上げ
’
82.06 東北新幹線開通、
11 上越新幹線開通
’
83.10 ロッキード事件の裁判、
三宅島噴火
’
84.03 グリコ・森永事件発生、
06 鉄鋼の輸出自主規制
’
85.03 青函トンネル開通、
つくば科学万博
’
86.04 男女雇用均等法施行、
11 三原山噴火
’
87.04 国鉄民営化、
11 連合発足
’
88.04 瀬戸大橋開通、
週労働時間46hへ
’
89.04 消費税創設(3%)、 06 天安門事件、
11 ベルリンの壁崩壊
’
90.05~’
91.11まで12~14ページの増刊が続く。
最大ページは227号
(’
90.08)
の16ページ。
’
90.04~’
92.03 河島氏の
「技術余話
(特許への誘い)
(
」22回)
。
’
92.10~’
96.03 「海外だより」
(10回)
。
’
92.03 華房氏の
「随筆」
開始、
’
01.05まで22回。
’
93.03~’
98.03 河島氏の
「技術余話
(米国との特許騒動)
(25回)
。
’
94.02~’
94.10 「最新設備技術」
の連載。
自動ばね端面研磨機、
NCマシン、
加熱炉など。
’
95.01~’
96.02 「ショットピーニングに関する懇話会」
(断続的に6回)
。
’
96.05~’
96.10 小玉顧問の技術資料
(6回)
。
09 創刊300号。
301号よりB5版からA4版に。
’
97.12 ばね技術研究会50周年記念号
(講演会、
式典、
祝賀会)
。
’
98.06~’
99.08 「わが社のばね材料」
(12回)
。
’
99.05~’
01.07 当学会発行の書籍紹介。
’
99.10~’
00.10 「わが社の国際交流」
(9回)
。
’
90.10 東西ドイツ統一、
11 天皇即位の礼
’
91.06 雲仙普賢岳の火砕流、
12 ソ連邦解体
’
92.06 PKO法成立、
07 山形新幹線開通
’
93.01 EC12カ国市場統合、
05 Jリーグ開幕
’
94.06 PL法成立、
09 関西国際空港開港
’
95.01 阪神淡路大震災、
03 地下鉄サリン事件
’
96.07 O157感染、
12 ペルー日本大使館事件
’
97.03 秋田新幹線営業開始、
05 消費税5%へ
’
98.02 長野冬季五輪、
04 明石海峡大橋開通
’
99.01 ユーロ誕生、
04 改正男女雇用機会均等法施行
’
00.11 「わが社の新製品」
連載開始。
これは’
03.02の
「わが社の自慢」
へと続く。
’
01.06~’
01.09 「極限環境下にある材料挙動と安全性懇話会」
(3回)
。
’
02.10、
’
02.12 基礎技術セミナー
(熱処理、
ショットピーニング)
。
’
03.01 「ハノーバーモーターショー見聞録」
。
’
03.02~’
05.09 「わが社の自慢」
(19回)
。
’
05.01 創刊400号。
’
05.10~’
11.02
「会員会社の紹介」
掲載
(45回)
。
’
06.03 「ばねづくりの勘どころ」
の小冊子発行。
10 広告掲載。
11 会報の電子配信開始
’
07.11~’
09.05 西畑氏の
「技術開発小史」
(15回)
。
’
07.10 日本ばね学会60周年特集号発行。
’
08.03~’
10.08 大槻氏の
「薄板細線のEを求める方法」
(18回)
。
’
09.09~ 阿久津氏の
「ばね規格化情報
(日本ばね工業会)
」
がスタートし、
現在も連載中
(14回)
。
’
10.08 下関氏の
「ばねの周辺」
が276回
(足かけ23年)
で終了。
’
10.10~’
11.12 山本氏の
「特許と技術開発ーおもしろ話」
(15回)
。
’
11.04~’
12.04 安藤氏の
「やさしくて役に立つ破壊力学」
(9回)
。
’
12.09~ 大槻氏の
「めっき内部応力」
がスタートし、
現在も連載中
(7回)
。
’
13.05 創刊500号。
’
00.06 南北朝鮮首脳会談、
12 BSデジタル放送開始
’
01.04 401k法成立、
09 米国同時多発テロ
’
02.02 H2ロケット打ち上げ、
06 サッカーワールドカップ日韓共催
’
03.03 米国イラク侵攻、
SARS猛威、
12 地上デジタル放送開始
’
04.02 イラク派兵、
10 新潟中越地震
’
05.03 愛知万博、
06 日本ばね学会発足、
10 郵政民営化法成立
’
06.01 ライブドア事件、
03 WBC初優勝 ’
07.03 能登半島地震、
07 新潟中越沖地震
’
08.09 リーマンブラザーズ破綻⇒世界恐慌ヘ
’
09.04 GM、
クライスラー破綻、
08 衆院選・民主党圧勝
’
10.06 はやぶさ帰還、
09 尖閣諸島問題発生
’
11.03 東日本大震災、
07 なでしこジャパンワールドカップ
サッカーで世界一
’
12.12 衆院選で自民党圧勝・政権奪回
’
13.01~’
13.03 米国、
韓国、
中国の新首脳体制発足
内堀(日本ばね学会)
:先刻実施した会報に対するアンケート調査で多くのご意見をいただき、誠にありがとうございまし
た。会員の皆様の要望に沿うべく努力したいと思います。継続が力になることを願っています。
斉藤(日本発条)
:会報編集委員の中で唯一、技術者でも研究者でもありませんが、文系の私に課せられた役目を果たし、今
後も会員の皆様に役立つ、
わかりやすい誌面づくりに努めていきます。
板谷(三菱製鋼)
:会員の皆様のおかげで、
500号の発行となりました。これからも会員の皆様にわかりやすくお伝えできる
誌面づくりをしていきたいと思いますので、
ご意見・ご感想がありましたらお寄せください。
池田(パイオラックス)
:会報も500号という節目を迎えました。これも会員の皆様方のご協力によるものと感謝いたしま
す。これからもよりよい会報づくりを目指していきたいと思いますのでご協力をお願いします。
伊藤(日本ばね学会)
:事務局で会報の配信や発送を行っています。会報は全会員の皆様とのつながりです。会報を通じて会
員の皆様のお役に立つような情報を発信していきたいと思っています。
押田(日本ばね学会)
:500号を年月にすると40年以上。新入社員も定年退職してしまう長さです。この長い間に努力された
諸先輩のご苦労を思いながら、
よりよい会報にしていく努力を続けたいと思います。
日本ばね学会会報
(11)
2013年5月
4277
会報に対するアンケート調査結果
会報編集委員会
会報の内容を充実させるためにアンケート調査を行いま
方々は毎月読むが80%とよく読まれていることがわかり
した。配布575件に対し、
151件の回答、回答率26%でし
ました。
た。図1に回答者の年代別人数を示します。40~60代が大
ẖ᭶
部分を占めましたが、
10~20代と80代以上もわずかなが
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ら含まれました。
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ϭϬ
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ϮϬ
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図5 年代別の会報を読む頻度
図1 年代別回答数
50
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40
30
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図6 回答者の職種
図2 回答者の企業社員数
図2に回答者の企業社員数を示しますが50~500人と
1000人以上が40人強となり、
500人を境にほぼ同数の回
図6に回答者の職種別比率を示しますが、技術開発が
答数となりました。
34%を占め、研究、設計、品質管理、製造の順となり、営業
(事務部門)も3%を占めました。
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図3 文字の大きさ
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図4 会報を読む頻度
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ϲϬ
ϰϬ
ϮϬ
Ϭ
図3に文字の大きさに対する回答を示しますが、ほとん
どはちょうどよいであり、現状の大きさで問題ないと思わ
れます。また、図4に会報を読む頻度を示しますが、毎月が
図7 職種別の会報を読む頻度
77%でたまに読むも含めると、
96%とよく読まれている
ことがわかりました。さらに、図5に年代別の会報を読む頻
図7に職種別の会報を読む頻度を示しますが、研究や製
度 を 示 し ま す が、
30代 以 下 の 方 々 よ り も40代 ~70代 の
造の方は毎月読むが64~70%とやや少ないものの、技術
日本ばね学会会報
(12)
2013年5月
4278
開発や設計の方々は80%と毎月読む頻度が高いことがわ
・各種行事(懇話会、講演会、交流会など)については個別の
案内書で配布しないで、会報への記載がよいです。
かりました。
【現状の内容に対する要望】
ᅇ⟅ᩘ
↓ᅇ⟅
⯆࿡࡞ࡋ
⯆࿡࠶ࡾ
・特許情報の内容がわかるように、特許情報に発明の要約
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ϭϰϬ
ϭϮϬ
ϭϬϬ
ϴϬ
ϲϬ
ϰϬ
ϮϬ
Ϭ
を記載してほしいです。
・ばねづくりの勘どころのようなばねの技術情報は盛り込
んでほしいです。
・巻頭言は多方面の方々の言葉がほしいです。
・地域紹介や規格化情報をもう少し充実させてほしいで
す。
・巻頭言は随筆的なものでよいと思います。
・日本ばね工業会の機関誌「ばね」の中の工業会通信のコー
ナーのように、学会行事は開催日と委員会名だけではな
く、活動内容がわかるように、議事や内容を簡潔にまとめ
てほしいです。
図8 記事別の興味度
・ばね業界に携わる企業の紹介(製品、設備、試験機)
を今後
図8に記事別の興味度を示します。記事によってはやや
もお願いしたいです。
興味度が低いものもありますが、平均で80%近く各記事に
【新しい企画に対する要望】
興味を持っていただいていており、中でも技術トピックス
・各社の新製品、新技術などの紹介をしていただきたいで
す。
とテクニカルレビューは94~97%の高い関心があること
がわかりました。
・大人の算数をまとめて本にしてほしいです。
なお、
151件の回答の中で60件、会報に対する感謝をは
・書いた内容の反響が知りたいです(著者から)。
じめ、内容や企画に対する要望などのコメントをいただき
・女性社員の活躍を記事にしてはいかがでしょうか。
ました。
それらをまとめますと以下のようになります。
・若い方が同じ間違いを繰り返さないために、失敗事例を
記載してはいかがでしょうか。
・ばね業界以外の技術紹介や技術動向も取り上げていただ
【会報への感謝】
きたいです。
・毎回楽しみに拝見しています。
・会報編集のご苦労は大きく、記事執筆にも一方ならぬ労
・テクニカルレビューや技術トピックスはまとまった段階
で小冊子にして発行してほしいです。
力を要しますが、編集者と執筆者のご努力に敬意を表し
・技術委員会、技能検定、技術連絡会など日本ばね工業会の
ます。
動きも取り入れていただけるとよいです。
・現在の日本のばね産業活動の概況を知る手掛かりを得る
・ばね技術を応用した製品・技術開発の紹介も取り上げて
という意味において貴重な存在になっています。
ほしいです。
・米国駐在中ですが、毎月の会報を楽しみに拝読していま
・海外ばね、材料メーカーの動き、日本メーカーの海外情
す。
報、ばねの使用側の要望事項などの市場動向を取り入れ
【システムに関して】
ていただきたいです。
・電子配信だけでもカラ-化してほしいです。
・2007年7月以前のバックナンバーはPDFで読めるので
・会員数、新規会員の紹介、会員募集(会費)などを毎月記載
してほしいです。
しょうか?読めるなら、
その方法を教えてほしいです。
・テクニカルレビューや技術トピックスは非常に参考にな
ります。
参考書としてまとめるために、
バックナンバーを
今回のアンケート調査に協力いただいた方々にお礼申し
当学会ホームページ上でダウンロードできるとよいで
上げます。概ね、現状の内容や構成に満足いただいているよ
す。
うですが、改善すべき点もたくさんご指摘いただきました。
・容量によるのか、
会報の電子配信版が開きにくく、改善し
てほしいです。
日本ばね学会会報
皆様にとって有益な会報にすべく、今後ともご意見やご要
望をお寄せください。
(13)
2013年5月
4279
特許情報
登録公報一覧(平成25年2月4日~2月28日)
出願番号
登録番号
出願人
発明の名称
2009-503492
5135322
クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネン
ファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュ 吸込み領域に弁ユニットを備えたコンプレッサ装置
レンクテル ハフツング
2008-552730
5137852
ナ ノ ス カ レ シ ス テ ム ズ、ナ ノ ス ゲ ゼ ル シ ャ フ ト ミット ベシュレンクテル ハフツング,ヨハン ヴォ ミニチュアばね要素の製造方法
ルフガング ゲーテ-ウニフェルジテート
2009-288932
5143116
鈴木 正平
免震装置
2010-280346
5145404
株式会社TOZEN
吊下げ式防振具
2011-538152
5148759
オリイメック株式会社
線ばね成形装置
2008-112177
5153435
中央発條株式会社
板ばね
2007-341256
5154217
東海ゴム工業株式会社
防振装置用板ばねとそれを用いた能動型流体封入式防
振装置や能動型制振装置、電磁式アクチュエータ
公開公報一覧(平成25年2月4日~2月28日)
出願番号
公開・公表番号
2011-160277
2013-023093
新日鐵住金株式会社
鉄道車両用操舵台車
2011-157818
2013-024284
日本発條株式会社
皿ばねおよびその製造方法
2011-161824
2013-024366
NOK株式会社
回転変動吸収クランクプーリ
2011-164363
2013-029133
日立オートモティブシステムズ株式会社
シリンダ装置
2011-168217
2013-032796
日盛金属工業株式会社
コイルスプリング
2011-173544
2013-036087
日本発條株式会社
ばね用材料およびその製造方法並びにばね
2011-175520
2013-036113
日本発條株式会社
圧縮コイルばねおよびその製造方法
2012-172557
2013-036612
三星電子株式会社
バネモジュール及びそれを備える携帯端末機
2011-173666
2013-038627
三洋電機株式会社
電子機器
文献紹介
出願人
発明の名称
(86)
内堀 勝之
File No
146
題目
2.車体系(1)ばね
著者、誌名
岡田秀樹(日本発条)、特殊鋼、VoL.61(2012)、No.4、p.23-25
概要
本文は「自動車のHV・EV化と特殊鋼」という特集記事の中で述べられている。自動車の軽量化は、ガソリン自動車が
ハイブリッド(HV)あるいは電気自動車(EV)に変わったとしても、燃費向上を図るために必須の技術開発である。自
動車の重量は、安全性ならびに快適性の面からも増加している。したがってサスペンション用のばねも軽量化の要求
は今後さらに増すものと予想される。ばねの軽量化の手法としては、次の三つに大別される。①高応力設計(高強度
化、高寿命化)を指向し、線径、板厚の減少を図ること②どこの部位も一定の応力になるような無駄を省いた設計をす
ること③低比重材料の軽合金、樹脂を使用することである。②の手法は最初、板ばねに応用され、曲げ応力が最大とな
る中央部を厚くし、曲げ応力が小さい両端末を薄くしたテーパリーフである。また、②の手法をスタビライザや巻ば
ねにも取り入れようとする動きがみられる。ひとつは中空化であり、もうひとつは径の不連続化である。前者は中心
部の無駄な肉を除く発想であり、後者は中実をベースに径を変化させて余分な材料を除く発想である。スタビの場
合、中実材から中空材への置き換えによる軽量化は早くから採用されてきた。最近は肉厚と外径の比が0.26前後のパ
イプの製造が可能となり、設計応力と製品外径を変えないで、中実材に比べて最大20%の軽量化が可能となった。そ
の作り方は、帯板を成形し、高周波溶接して母管とした後、引き続き中間加熱装置によって加熱し、熱間域(約
1,000℃)で、絞り圧延機(StretchReducer)により縮管加工する。さらに、中空のスタビを薄肉化して軽量化する
ケースもある。肉厚を薄くするとパイプ内面の応力が高くなり内部から疲労で壊れやすくなる。そこで、内面にも外
面と同じようにショットピーニングを実施して、圧縮の残留応力を導入することが有効である。
■学会行事
月/日
3/ 1
(金)
(金)
3/ 8
3/12
(火)
3/15
(金)
3/19
(火)
行 事
月/日
運営会議
会報編集委員会
顧問会、
理事会/評議員会
国際化推進委員会主催
「英語勉強会」
圧縮コイルばねの疲労限度線図の改訂調査研究委員会
行 事
3/21(木) 懇話会
3/22(金) 会報編集委員会
3/26(火) ばね論文集編集委員会
編集後記
立春から数えて88日目の5月1~3日頃を八十八夜といいます。
春から夏に移る節目の日でもあります。
八十八夜の頃は新茶
の茶摘みが盛んになり摘んだ茶葉は古くから珍重され、現代では緑茶が健康によいと、医学的、科学的にもわかっています。
朝
の出掛けに飲むお茶は福を呼び、
災難を遠ざけるともいわれ縁起のよいお茶を毎朝飲む習慣にしてはいかがでしょうか。
(T.I)
日本ばね学会会報
(14)
2013年5月
4280
簡易カバレージ測定器
※イメージ画像
カバレージチェッカーは、人が行っていたカバレージの測定および判定を、人に代わって簡便に、正確に行
う装置です。
● 判定者による測定のバラツキを大幅に軽減できます。
● ショットが当りにくい狭い部位や、コイルスプリングの内径部の測定も可能です。
● 目視では見れなかった穴部のカバレージも専用アタッチメントで測定が可能です。
● 目視によるカバレージ測定には経験と熟練が必要ですが、この装置により新人担当者でも容易に測定が
可能です。教育用ツールとしても最適です。
※イメージ画像(PC は製品に含まれません)
日本ばね学会会報
● お手持ちの PC(WINDOWS XP,7 )に、ソフトをインストールしてご使用下さい。
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2013年5月
4281
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■2013年5月1日発行
■編集責任 会報編集委員会
綾田 倫彦(日本発条)、鎗田 博(鈴木金属工業)
、
内堀 勝之(日本ばね学会)、斉藤 浩明(日本発条)
、
板谷 利幸(三菱製鋼)、池田 清一(パイオラックス)
、
伊藤 由紀子、押田 守(事務局)
■印 刷 第一資料印刷㈱
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