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「FX特別レポート」(10/2) 日本の政治環境再点検 (株)マネー&マネー

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「FX特別レポート」(10/2) 日本の政治環境再点検 (株)マネー&マネー
「FX特別レポート」(10/2)
日本の政治環境再点検
(株)マネー&マネー編集長・吉田
恒
9 月 20 日ドバイG7(7 カ国財務相会議)を前後した為替の混乱で、同じ日におこなわれ
た自民党総裁選や日本の政治要因について分析する機会がなかったが、今回はこれについ
て少し考察してみたい。
◆「サプライズ人事」で求心力維持
小泉総理については、比較的早くから自民党総裁選での再選確定の見方となっていたも
のの、その一方で「この再選が小泉人気のピークで、その後は一気にレームダックに向か
いかねない」との見方も囁かれていた。その大きな根拠が民主党と自由党との合併、「民由
合併」効果の影響ということだった。
同合併が正式発表された後におこなわれた埼玉県知事選挙では、民主党の前国会議員が、
自民党が支持した候補者に圧勝した。投票率が 3 割台といったきわめて低い中で実施され
たこの選挙は、常識的には浮動票への期待の高い民主党支持候補には不利なはずであるの
に、逆の結果となったことは、自民党関係者の間でも危機感を強めていたようだ。
これを受け、都市部の「自民離れ」は一層進んでおり、また「民由合併」効果も予想以
上の可能性があることから、総選挙では自民党は伸び悩む懸念がある。そしてもしそうな
った場合は、
「選挙対策」としての小泉人気効果がはく落し、小泉総理の神通力は来年の参
院選までもたず、一気にレームダック化する懸念さえある――、そんな見方が永田町関係
者の間で囁かれていたのである。
ところで、総裁選および党役員人事、内閣改造が終わったところで、一部世論調査では
内閣支持率が大幅上昇しているようだ。これは、「やはり国民人気の高い安部官房副長官を
幹事長に抜擢するといった“サプライズ人事”の影響が大きい」(永田町関係者)と見られ
ている。これにより、小泉政権の「レームダック危機」は、まずは一つのヤマを越えた可
能性が高そうだ。
◆「人事ウルトラC第 3 弾」も?!
小泉総理は、これまで「人事権」の発動が、きわめて効果的におこなわれてきた。昨年
夏の竹中金融担当大臣抜擢や、道路公団民営化委員会メンバーの選出などがその成功例で、
人事権の発動後に、支持率が上昇する傾向が強い。今回の「安部幹事長」人事も、これま
でのところはまさにその成功パターン通りの動きになっている。
また、安部幹事長人事の衝撃に隠れた観はあるものの、内閣改造で石原国土交通大臣抜
擢に伴い、藤井道路公団総裁の更迭を表明したことも、内閣支持率上昇に貢献している可
能性はあるだろう。さらに永田町の一部では、
「人事ウルトラC第 3 弾」として、宮沢・中
曽根といった総理経験者らを含めた長老議員に対し「勇退」を促すことで、一気に世代交
代をアピールする可能性も取り沙汰されている。
今のところ、解散・総選挙は、衆院補欠選挙日程との関連などから 10 月 10 日解散、そ
して「11 月 10∼11 日発表見通しの第 3 四半期GDP成長率が前期の反動で大幅悪化する
懸念がある」
ため、その発表前の 11 月 9 日に総選挙といったシナリオが有力視されている。
もともと党内に政治基盤がないも同然の小泉総理としては、国民からの支持率が唯一の
基盤であり、その意味で小泉内閣は「支持率内閣」とされてきた。そんな小泉政権だけに、
今回の「人事ウルトラC」で衆院選挙も強気な見通しを取り戻している。
そうなれば、来年参院選に向け、小泉人気といった神通力も維持される見通しで、そう
なった時、拉致問題解決や、さらには憲法改正などの大きなテーマに取り組む可能性は注
目されるだろう。(Y)
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