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東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務
東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務 平成 27 年 3 月 東松島市 本調査業務は、東日本大震災の記憶を留め、その教訓を後世に伝えていくための震災遺構及び その他の用途を目的とするために、JR旧野蒜駅ホーム、旧野蒜小学校、旧浜市小学校、かんぽの宿 松島の4施設の保存活用に関する可能性を調査し、より具体的な計画策定に向けての資料とする ものである。 目 次 1. 周辺諸条件の確認 1-1 東松島市復興まちづくり計画 1-2 東松島市環境未来都市計画 1-3 復興支援に関る諸活動の現況 1-4 震災遺構候補施設の現況 2. ヒアリング調査 2-1 企業ヒアリング調査 2-2 地域ヒアリング調査(座談会) 3.保存活用計画案 3-1 震災遺構候補4施設保存活用の意義 3-1-1 東松島市と4つの震災遺構候補が持つ特性整理 3-1-2 保存活用の意義 3-1-3 保存活用の基本方針 3-1-4 保存活用可能性のまとめ 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 3-2-1 JR旧野蒜駅の現況確認 3-2-2 JR旧野蒜駅保存活用の基本的な考え方 3-2-3 展示コンセプト 3-2-4 保存活用の具体的な検討 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 3-3-1 旧野蒜小学校の現況確認 3-3-2 旧野蒜小学校保存活用の基本的な考え方 3-3-3 施設コンセプト 3-3-4 保存活用の具体的な検討 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 3-4-1 旧浜市小学校の現況確認 3-4-2 旧浜市小学校保存活用の基本的な考え方 3-4-3 施設コンセプト 3-4-4 保存活用の具体的な検討 3-5 「かんぽの宿松島」保存活用の方向性 4.運営計画 4-1 災害時・緊急時における避難施設としての機能検討 4-2 運営計画の基本的な考え方 4-2-1 施設整備費用の概算 4-2-2 活用計画案に基づく施設運用費用の試算 01 東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務 1.周辺諸条件の確認 1.周辺諸条件の確認 1-1 東松島市復興まちづくり計画 「あの日を忘れず ともに未来へ ∼東松島一心∼」をスローガンに、 おだやかな暮らしや美しい奥松島の自然を取り戻し、 東松島を次世代につなげていく 【まちの将来像】 災害を乗り越え、東松島市が目指す将来のまちの姿として、 1.災害に強く 安全なまち 2.安心して 笑顔で暮らせるまち 3.産業を育て 働く場をつくるまち を掲げ、震災を乗り越え、次の世代につながる新たなふるさと東松島市の再構築(一心・一新・一進)に向かい、 復興のまちづくりを進めていく。 【基本方針】 まちの将来像の実現に向けて、復興まちづくりの 4 つの基本方針を設定。 この方針に沿いながら、分野別の取組みやリーディングプロジェクトを構想し、推進していく。 (1)防災・減災による災害に強いまちづくり ∼防災自立都市の形成∼ ・防災体制、機能を強化し、 「命」を守るための防災・減災型の都市づくり ・被災時にも地域内でエネルギー・食がまかなえように地域の自給力を高める ・互いに助け合える複数の災害支援ネットワークを構築 (2)支えあって安心して暮らせるまちづくり ・子供から高齢者まで誰もが安心して暮らせる生活環境をつくる ・地域コミュニティなどの人のつながりを育み、互いに支えあえる地域社会を実現 (3)生業の再生と多様な仕事を創るまちづくり ・被災した農業、漁業、商業、製造業、観光業などの生業の基盤を整備し、迅速な再生を図る ・農業、漁業、林業、観光をつないで東松島市の新たな観光の魅力を創出 ・企業誘致を促進し、企業雇用を確保 ・地域のニーズに応え課題解決を図るソーシャルビジネス(社会的起業)などを支援 (4)持続可能な地域経済・社会を創るまちづくり ・震災で顕在したエネルギー・環境問題を解決する新たな仕組みや産業を育てる ・「地産地消」を進め、生業を再生・維持していくとともに、地域循環型経済を構築 ・民間の力を積極的に導入し、地域経営力の向上を図る 03 1.周辺諸条件の確認 1-1 東松島市復興まちづくり計画 【リーディングプロジェクト】 復興を牽引する「リーディングプロジェクト」として、緊急性・重要性が高い施策を「重点プロジェクト」、 将来に向け持続的に発展するまちをつくる施策を「いっしんプロジェクト」として推進。 暮らし・コミュニティ分野 1 安全で魅力ある暮らしプロジェクト 重点プロジェクト ①歩いて暮らせるまちづくり 歩いて暮らせる範囲(徒歩 20 分圏域)に、移転住宅・ 災害公営住宅のほか、学校等の公共施設、商業・医療機 関等の立地を進め、暮らしやすいまちづくりを推進し ます。 ②住みやすいまちなか住宅づくり 居住住民のニーズに合った、住みやすい災害公営住宅 にするために、住民参加による「モデル住宅」の企画と、 先行的な整備に取組みます。 1 地域コミュニティの再興プロジェクト いっしんプロジェクト ①地域コミュニティの再興 集団移転促進協議会の検討、防災体制の強化、復興地域 計画(仮称)の策定などの、地域コミュニティの住民自治 活動を促進していきます。そのため、活動を支援する「復 興まちづくり推進員」を配置します。 ②復興まちづくりへの市民参画 市民・コミュニティ、NPO、企業等が、当事者として 復興まちづくりに参加するために、「復興まちづくり市 民委員会」(仮称)を組織して、事業内容の協議、推進、 評価をしていく体制をつくります。 産業・経済分野 2 地域産業の持続・再生プロジェクト 生業の基盤整備を早期に回復させ、経営の安定を図り ます。また、「産業復興ビジョン」をつくり、将来を 見据えた生業の持続、振興に取組みます。 [内容例] ■農・漁・観光・製造業等を融合した産業創出とマーケティン グ戦略等の強化 ■地域課題解決型のソーシャル・ビジネス(社会的起業)、地 域資源を活用したコミュニティ・ビジネスの創出による多様 な仕事づくり ■集団移転後跡地を利用した企業誘致 2 分散型地域エネルギー自立都市プロジェクト 分散型再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス 等)システムや情報通信技術を導入することによって、 エネルギー自給による「防災自立都市」を実現し、誰も が安心して暮らせる、持続可能なまちづくりのモデル を構築します。 [内容例] ■公共施設への小規模再生可能エネルギー導入、緊急時情報通 信基盤の構築 ■省エネ型住宅モデル、低炭素型交通システムの導入、防災、 福祉・医療環境の充実 ■「環境未来都市」※注の重点的推進 リーディングプロジェクトの実現には、 地域内外の民間活力を集めた体制づくりが必要となります。 既存産業の持続・再生、エネルギー分野等の新産業創出、まちづくりなどの専門的、総合的な事業を 担う「東松島市復興事業推進機構」 (仮称)を組織し、推進していきます。 持続可能で安全・安心なまちづくりの実現 出典:東松島市復興まちづくり計画(平成23年12月26日) ダイジェスト版 震災遺構保存活用可能性を調査・検討していく視点として、 「防災・減災施策との連動」 「地域コミュニティの再興と活性化」 「生業の再生と産業の創出」が重要と考えられる 04 1.周辺諸条件の確認 1-2 東松島市環境未来都市計画 東松島市は、環境、社会、経済の三つの価値を創造し続ける 「誰もが暮らしたいまち」 「 誰もが活力あるまち」の実現に取り組む 「環境未来都市」構想の選定都市 東松島市の「環境未来都市」計画は「環境対策」 「少子高齢化対策」 「防災・災害対策」で構成され、 その取組みは東松島市まちづくり計画のリーディングプロジェクトとほぼ合致している。 (1)環境対策 ①再生可能エネルギーの促進 ②環境産業の誘致 ③CO 2 の削減 ④地域資源の活用 (2)少子高齢化対策 ①地域コミュニティの再興 ②雇用の対策の推進 ③産業の振興 ④医療・福祉の推進 (3)防災・災害対策 ①安全な地域への住宅移転 ②耐震化 ③自主防災組織 ④避難施設 【取組み例】 ○一般社団法人 東松島みらいとし機構(Higashimatsushima Organization for Progress and E (economy、education、energy) 東松島市復興まちづくり計画に基づくリーディングプロジェクトの事業化促進および環境未来都市関連事業を総合的、 統合的にマネジメントする産学官民一体の組織として、平成 24 年10月 1日に「東松島みらいとし機構(愛称:HOPE)」 を設立した。 ○奥松島「絆」ソーラーパーク&東松島「絆」カーポートソーラー 震災により使われなくなった公園跡地にメガソーラーを設置。 合わせて市内公共施設の駐車場にカーポート型の太陽光発電システムを設置し、平常時はカーポートとして使用しながら 売電を行い、災害時には非常用電源として活用する。 ○地域住民との協働による復興の「森の学校」 被災者のストレスケアと生涯現役を目指して、集団移転先団地の後背丘陵の森を「森の学校」として整備。 教育や医療と連携した活動の場として活用を図る。 ○自立・分散型電源による沿岸監視システム 独自の情報収集により、災害弱者の避難行動をサポート。災害に強く安全なまちづくりを進めるため、 自立電源を備え、無線通信が可能な沿岸津波監視システムを整備し、防災・減災効果の一層の推進を図る。 ○特定供給による東松島スマート防災エコタウン 自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業費補助金(環境省)を活用し、小規模な分散型電源を整備。 エネルギー自給率を高め、防災機能の強化を図る。 4施設の活用計画においては、 環境未来都市計画事業との連動、相乗効果が得られるような計画が有効 05 1.周辺諸条件の確認 1-3 復興支援に関る諸活動の現況 人材育成、産業再生・創出、コミュニティ活性化などを目的に、 さまざまな復興支援活動が行われている ■ステッチ・ガールズ 東松島みらいとし機構の呼びかけにより、デンマークの「フォルケホイスコーレ」に倣った社会教育プログラムとしてデンマークの 伝統工芸であるクロスステッチ刺繍に取り組む。 「メイドイン東松島」のクロスステッチ小物で、生きがいと雇用を生み出し、全国 販売を目指すプロジェクト。 フォルケホイスコーレ: 約170年前、戦争により国力が衰えたデンマークに誕生した「学び」のシステム。様々な分野の勉強を「教わる」のではなく、生徒 たちが対話や作品発表を通して刺激し合い学んでいく。戦争で疲弊したデンマークが立ち直る礎になったと考えられている。 写真出典:ステッチ・ガールズFACE BOOK ■東松島食べる通信 「東松島が全国に自慢できる ヒト や モノ を 食 を通じて発信して行こう!」をコンセプトにした季刊誌を発行。 東松島の「食」情報を通じた生産者との連携と、東松島の魅力や価値の再発見、 地域に自信と勇気、愛情を生み出すことを目的としている。 出典:東松島食べる通信 2014.11 秋号 06 1.周辺諸条件の確認 1-3 復興支援に関る諸活動の現況 ■ICT 地域の絆保存プロジェクト「東日本大震災を語り継ぐ」 震災の記憶の風化を防ぐ、防災教育の観点から東松島市図書館は「東松島市」に関する震災当時の写真や映像、市民の震災の体験 談(映像・文字)、震災当時に発行された資料(チラシ・行政発行資料・避難所や応急仮設住宅などで発行された「おたより」)等 を収集し公開している。また「まちなか震災アーカイブ」として、被災した市内の状況を示す写真や被災者の体験談などを市内各地で 閲覧できるように、QRコード記載のステッカーやペンダントを公共施設などに設置。 「東日本大震災を語り継ぐ」webサイト まちなか震災アーカイブ」パンフレット ■子供向けダンス教室 「東松島 Huddle!(ハドル)」を開催 子供向けのダンスを通じた教育とそのプログラムの事業化に向けた教室を開催。ダンスを通じた体力の向上、チームの大切さ、 仲間を思いやる気持ち、自己鍛練の精神を学び、近い将来地域のリーダーとして活躍できる人材を育成することを目的とする。 また、新しい産業創出に向けたテストマーケティングとしても位置づけられる。 ・あくまでも継続性を重視したダンス教室の運営を目指し、事業採算性を鑑みたテストマーケティングを展開する ■新エネルギー活用推進協議会との協定書締結 東松島市と一般社団法人持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会(=JASFA)との協定で、東松島市に おいて環境学習を推進し、市の将来担い手を育成する取組み。 第一歩として、園芸教室や日曜大工教室など、親子で参加できるプログラムを計画している。 ■太陽光発電設置工事技術者の養成 企業や市民向けの養成講座、就労支援として、浜市小学校校舎の一室を利用し、太陽光発電などの設置工事を手掛ける技術者向け の養成講座を開催。 ■その他 ・最先端農業として、いちご水耕施設栽培の施設建設 ・市内農家・JA石巻などとのマッチングにより、直売所や農家レストランの設置についての実現性可能調査の実施 ・市内商工業者の宣伝活動実施 ・地元農業生産者、JA石巻や市内・近郊の農業資源生産者などと連携し、園芸設備や植物工場誘致の実現可能性調査を実施 震災復興に向けて、産学官民連携のさまざまな活動が行われている。 これらの活動拠点として4施設の活用を図ることも考えられる 07 1.周辺諸条件の確認 1-4 震災遺構候補施設の現況 JR旧野蒜駅 旧浜市小学校 旧野蒜小学校 かんぽの宿松島 ディスカバリーセンター 旧浜市小学校 「復興の森」予定地 旧野蒜小学校 JR旧野蒜駅 かんぽの宿松島 奥松島“絆”ソーラーパーク 旧野蒜小学校の活用に関わる周辺計画として、 東名運河北側の野蒜地区にスポーツ公園が計画されている 08 A3 東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務 2.ヒアリング調査 2 2.ヒアリング調査 2-1 企業ヒアリング調査 ○調査目的 企業ヒアリング調査は、復興まちづくり計画の一環として震災遺構候補である旧野蒜小学校、旧浜市小学校の 積極的な活用の可能性検討に資する基礎資料を得ることを目的とする。 ○調査期間 平成 26 年 10 月 15 日∼平成 27 年 2 月 19 日 ○調査方法 訪問面接調査を主体とし、一部は通信による聞き取りとした。 学校施設活用の条件と活用イメージを提示した上で、活用の意向、活用可能性に向けての自由意見を収集した。 【ヒアリング項目】 1.学校施設を使った事業への興味の有無 2.事業の一環として学校施設の活用可能性があるか 3.学校施設を利用して新たな事業を検討できるか 4.被災地支援を目的としての利用を検討できるか 5.その他 ○調査結果 ( 調査企業数 : 約 50 社 ) ・整備のための費用負担などの条件整理は必要であるが、いくつかの企業・団体から学校施設活用への前向きな 回答を得られた ・学校施設を活用のために必要な備品の提供や、 学校を利用しての講習会に講師を派遣協力など、 活用に際しての さまざまな支援の可能性を得た ・HOPE参加企業を中心に活用の可能性に関して、物産施設、コミュニティカレッジ、水耕栽培や建物内での 植物工場、郷土料理レストラン、健康チェック拠点、スポーツ施設等、具体的な提案があった ・そのほかにも、農業倉庫、滞在型防災学習プログラムの実施、奥松島地区観光と連動する観光体験施設、障 がい者の職業実践施設、地域コミュニティ拠点、スポーツ・健康増進施設などの活用可能性があるのではとの 意見を得た ・複数の企業から『観光集客を図るためには「かんぽの宿松島」を再生し、活用していくことが重要』との意見が あった 企業ヒアリングから、旧野蒜小学校・旧浜市小学校の活用可能性として以下が抽出された ▶ 企業などへの建物賃貸による 「倉庫・物流拠点」 「 植物工場」 「 奥松島との連動が期待できる 観光関連」の事業施設 ▶「地域コミュニティ」 「健康増進施設」 「障がい者支援施設」 などの公的なイメージのある施設 ▶ 観光集客面からは 「かんぽの宿松島」の再生など、宿泊機能が重要 10 2.ヒアリング調査 2-2 地域ヒアリング調査(座談会) ○調査目的 東松島市内及び東松島市周辺企業ヒアリング調査は、地域との関わりを持つ企業を中心に、復興まちづくり計画 の一環として震災遺構候補である旧野蒜小学校、旧浜市小学校の積極的な活用の可能性検討に資する基礎 資料を得ることを目的とする。 ○調査対象 小野地域:小野地域まちづくり協議会 役員 野蒜地域:野蒜地域まちづくり協議会 役員 ○調査期間 小野地域:平成27年1月21日 19時30分∼20時10分 野蒜地域:平成27年2月3日 19時40分∼20時30分 ○調査方法 東松島市復興政策課を交えた地域別の座談会を開催し、旧浜市小学校、旧野蒜小学校、JR 旧野蒜駅の活用 可能性についての自由意見を得る。 各会場において、旧浜市小学校と旧野蒜小学校の建築構造調査報告、学校施設活用に関する企業ヒアリングの 概要報告、宮城県内他自治体での震災遺構の保存に関する動向を紹介し、旧浜市小学校・旧野蒜小学校の 活用可能性に関する意見を収集した。 ○調査結果 【小野地域の主な意見】 ・ 旧浜市小学校の周囲には高い建物がないため、周辺居住者をはじめ、農業関係が活性化して作業する人が 増えてきた時、また魚釣りに遊びに来ている人などの緊急避難場所として活用できると思う ・ 万が一の津波の場合には、車を使って内陸部に逃げた方が良いという話もあるが、周囲に高い建物がないし、 旧浜市小学校の周辺で居住されている方は高齢者も多いことから、旧浜市小学校を緊急避難場所として使える ようにしておいた方が良い ・ 解体せずに緊急避難場所として残すのであれば、校庭の雑草除去や周辺の清掃など、維持管理体制を確立する ことが重要。維持管理にあたっては住民や地域に負担がないようにしてもらいたい ・ 魚釣りに来た人が屋上で寝ていたという話もある。残す場合にはしっかりとした管理が必要になると思う ・ 周辺に運動ができる施設がないので、地域住民の健康増進のためスポーツ活動ができる場が欲しい ・ 緊急避難場所以外に活用するのであれば、農業やその他の産業に利用するのが良い。雇用が生まれるような 活用が良い ・ 仮に、企業などが利用するようになった場合でも、緊急避難場所として利用できるようにして欲しい ・ 震災から 4 年がたって、周辺の居住者は減っている。また高齢者も多い。校舎を避難場所として残すのであれば、 利用方法を含め、住民と行政が一緒になって十分な検討が必要と考える ・ 活用方法は急いで決める必要はないと思う。住民の意見をしっかり汲み取って、決めて欲しい 11 2.ヒアリング調査 2-2 地域ヒアリング調査(座談会) 【野蒜地区の主な意見】 ・ 旧野蒜小学校は震災スタディツアーに活用するなど、新しい地域資源として残しても良いのではないか ・ 震災スタディツアーで活用するのであれば、被災した当時の状況を体験できるような施設にしてはどうか。 被災時に体験した教室の床で寝る、ランタンの明かりを頼りに裸足で校舎に移動したことなどの追体験が貴重な 学習になるのではないか。 ・ 旧野蒜小学校には、各地から震災の視察がある。校舎内の被災跡がわかるように、簡単な展示や案内板を 設置して欲しい。4 年もたっているのに「津波がここまで来た」という表示すらないのは良くないと思う。また 旧野蒜小学校での震災記録映像を作って欲しい。 ・ 教育委員会主導で「東松島の被災現場を実際に見て、被災情報を発信する施設」として残すのはどうか ・ 遺構体験施設と公民館として活用してはどうか ・ 全てをきれいに直してしまうのではなく、震災時、また避難生活時の「記憶」を留めるようにし、震災の体験を 次世代につないでいくような活用が必要だと思う ・ 旧野蒜小学校を使って、観光誘客にもつながる防災学習の拠点として整備してはどうか ・ 旧野蒜小学校の教室を、地域のサークル活動が行えるような機能を整備し、活用してはどうか ・ 例えば一部を企業などに貸し出し、残った部分を地域で利用するのはどうか。企業に全部貸し出す、あるいは 地域で全部利用するというのは難しいと思う ・ JR 旧野蒜駅については、入居した店舗をよく利用している ・ JR 旧野蒜駅プラットホームは、震災の体験を伝えるのに活用すべき ・「かんぽの宿松島」は、海水浴客の緊急避難場所に活用できるよう残して欲しい ▶ 旧浜市小学校については、 「条件次第では残すことも考えては良い」 という意見の方もいたが、 他は 「解体せずに残す」 という意見であった ▶ 旧野蒜小学校については、座談会参加者のほぼ全員が「解体せずに残す」意見 ▶ 地域の意向は、 「緊急避難場所」 「地域が利用できる施設」 としての活用 ▶ 旧浜市小学校は 「農業」 「企業への貸し出し」 による活用意向があり、旧野蒜小学校は 「震災の記憶の展示」 「防災学習観光の拠点」 として活用意向がある ▶ 企業などに貸し出して活用する場合には地域の雇用創出を期待 ▶ 企業などに貸し出す場合には、緊急避難場所として利用できる災害協定の締結が必要 ▶ JR旧野蒜駅舎及びプラットホームは、地域のために解体せずに活用を継続すべきという意見 ▶ 今後、活用計画を進めるにあたり、引き続き地域の方の意見を収集していく必要がある 12 東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務 3.保存活用計画案 3 3.保存活用計画案 3-1 震災遺構候補4施設保存活用の意義 3-1-1 東松島市と4つの震災遺構候補が持つ特性整理 はじめに、これまでの調査結果から東松島市とJR旧野蒜駅・旧野蒜小学校・旧浜市小学校・かんぽの宿松島の 震災遺構候補4施設の特性を整理し、保存活用の意義を導く。 東松島市と4施設の特性整理 [被災、復興] ●死者1,109人、行方不明者25人(平成26年1月1日現在)、被災市町村最大の市の65%が浸水地域となるなど、 甚大な被害を受ける ●東日本大震災後、約3000人の人口が減少 ●航空自衛隊松島基地がアメリカ軍のトモダチ作戦の拠点の一つとなるなど、 東松島市は、 国内外からの復興支援 のシンボル的存在として知られた ●JR仙石線の復旧により、仙台から最も近い大規模被災地になる ●産学民官連携による数々の独自性のある復興事業が進行中 一般社団法人東松島みらいとし機構(HOPE)/森の学校/奥松島 絆 ソーラーパーク/ 沿岸監視システム/ディスカバリーセンター/東松島型地域住宅/スマート防災エコタウン/ 震災の伝承、 まちなか震災アーカイブ など [地域資源] ●県内最大の海水浴場・野蒜海岸 ●宮戸島(景勝地、海苔と牡蠣の産地) ●里浜貝塚群と縄文村(宮戸島室浜遺跡出土人骨が縄文後期の津波被災者の可能性も/津波被害を受けない 高台に点在する縄文遺跡) ●野蒜築港跡、東名運河、北上運河(野蒜築港跡は台風被害を受けた被災遺構でもある) [東松島市の震災遺構候補施設] ①JR旧野蒜駅プラットホーム ②旧野蒜小学校(校舎棟) ③旧浜市小学校 ④かんぽの宿松島 ●他の被災地の震災遺構に比べ、損傷の程度が判断しにくく、災害の規模や当時の状況を理解しにくい ●その甚大な被害の規模に反して、震災スタディツアーなどにおける認知度が高いとは必ずしも言えない ●しかしながら、 JR旧野蒜駅は、 プラットホームで唯一の震災遺構候補施設である ●旧野蒜小学校、旧浜市小学校は、避難した住民の生命を守った建物であることなどから、 「解体せずに残す」 とのほぼ統一された希望が出ている ●地域ニーズとして緊急避難場所活用 (旧野蒜小学校、 旧浜市小学校) がある ●かんぽの宿松島も震災遺構としての活用、 また野蒜海水浴場が再開した際の避難施設としての活用可能性がある 14 3.保存活用計画案 3-1 震災遺構候補4施設保存活用の意義 3-1-2 保存活用の意義 東松島市とその震災遺構候補が有する条件整理から得られる特性とその保存活用の意義は、以下のとおりである。 これらを考慮し、東松島市ならではの保存活用の可能性を検討していく必要がある。 ①震災スタディツアーにより被災の記憶・教訓を広く発信 ・東日本大震災によって甚大な被害を受けた東松島市において、次世代へ被災の記憶・教訓を継承する上で、震災遺構 の保存公開は必要な取り組みである ・東松島市の震災遺構は他の被災地のそれと比較すると、一見して津波の破壊力や激甚さが理解できるようなものでは なく、 「震災遺構を見て回る」 というだけでは、他地域の人々に対する訴求力の点でやや不足がある ・しかしながら、 「トモダチ作戦」 の拠点となるなど、東松島市は国内外からの災害支援の地、大規模な復旧・復興支援の 過程を経験している。 さらに復興事業においても地域に根差した独自性の高い効果的な先進事例の多い地である ・このような東松島市の経験を体験する震災スタディツアーを通じて、 被災の記憶・教訓を広く発信し、 次の災害への備え、 防災・減災の貴重な情報としていく ②地域資源との連携による復興への波及効果 ・東松島市では、独自の効果的な復興事業が多数行われている ・縄文時代の遺跡から現代に至るまで、 自然と向き合ってきた人々の生活を見ることができる ・JR仙石線の復旧により、仙台から最も近い大規模被災地になるとともに、宮城県内有数の観光地松島に隣接しており、 取り組み次第で一定の集客が見込める ・これにより震災遺構候補と市域に広がる地域資源をネットワークし、地域の活性化につなげることが期待できる ③緊急避難拠点、防災・減災意識訴求の場として ・4つの建物はそれぞれが地域の人々が慣れ親しんだ、地域の人々の心に寄り添う建物であり、津波から住民の生命を 守った建物である ・旧野蒜小、 旧浜市小周辺地域はともに、 高台への移転が進められているが、 残留する方やここを生業の場とする方もおり、 周辺に大きな建物がないことから津波避難場所としての校舎を残して欲しいとの要望がある ・旧浜市小学校と旧野蒜小学校は、震災より少し前に耐震補強工事も完了しており、設備内装などの修復は必要では あるが、校舎建物自体の損傷は大きなものではなく活用が可能である ・JR旧野蒜駅は震災の被害を受けて唯一残された駅。震災遺構として残す価値があり、防災・減災の教訓を発信 していく 15 3.保存活用計画案 3-1 震災遺構候補4施設保存活用の意義 3-1-3 保存活用の基本方針 4施設の保存活用は、東松島市の震災の記憶を「広く・永く」伝えることと同時に、東松島市の社会・経済の再生、 復興事業の一つとして捉えることが重要である。 保存活用は、東松島市の様々な復興計画との連動を図り、また東松島市の豊かな自然環境と地域資源を最大限に 活用していくことで、震災遺構候補施設は被災の記憶・教訓を伝えていくだけでなく、未来を目指す東松島市の イメージと重なり、これを広く発信していくことができる。 つまり「防災+復興」を切り口に、地域内外との交流を創造し、東松島市の農業・漁業、観光産業の多角化や新しい 価値の創出、その結果として「行ってみたいまち」としての交流人口の拡大、 「住んでみたいまち」としてのUターン やIターン、定住へとつなぐ中長期的な視点を念頭に取り組んでいくことが重要であると考える。 これまでの調査結果から導き出された4施設の特性や、東松島市復興計画などのさまざまな条件から、4施設の 保存活用は以下のように考えられる。 4施設の保存活用によって、東松島市の復興まちづくり計画を推進し、持続可能な地域社会・地域経済づくりへの 貢献を図ることを基本方針とする。 保存活用事業の基本方針 ▶ JR旧野蒜駅は、震災遺構として保存活用し、人々の「想い」を次世代へとつないでいく場 として活用していくことが望ましい ▶ 旧野蒜小学校・旧浜市小学校は、東松島市の復興事業に寄与する施設として活用していく ことが望ましい ▶ 「かんぽの宿松島」は保存活用するためには、多額の整備費用がかかる。しかしながら 特別名勝「松島」のエリアに立地する建物であり、解体した場合は新たに建物を建てること ができないため、海水浴客などの避難施設としての活用を含めた検討が今後も必要である 16 3.保存活用計画案 3-1 震災遺構候補4施設保存活用の意義 保存活用事業のコンセプト 東松島市の復興計画と連動する「一心・一新・一進」のポータルを創出する 「想い」の共有/産業再生/交流活性化 4 つの施設を活用し「持続可能性」につなぐ仕組みの創造 東松島市、宮城県、 国、国内の各自治体 国内外の 大学・研究機関 JR 旧野蒜駅プラットホーム 東松島市、 国内外の企業 旧野蒜小学校 東松島市、 国内外の復興支援団体 国内外の 自然災害被災経験地 旧浜市小学校 市民 かんぽの宿松島 4 つの震災遺構対象施設を「入口(ポータル)」に、 東松島市の「課題」を解決/東松島市民の「想い」 「取組み」を実現 産業創出 東松島市の「課題解決」 コミュニティの再興 / 形成 雇用の創出・メンタルケア 復興加速 市民の「想い」の実現 防災・減災啓発で 世界へ貢献 忘れてはいけない想いを、東松島市の人と資源に結び、 復興に向けた取り組みへとつなげる 「一心・一新・一進」のポータル創出 東松島 一心 想いの共有 東松島 一新 産業再生 震災遺構候補の特性 + 東松島市の資源 ↓ 独自の防災 + 復興 ツーリズムとしての 震災スタディツアーを 展開 東松島 一進 交流活性化 17 3-1 震災遺構候補4施設保存活用の意義 3.保存活用計画案 3-1-4 保存活用可能性のまとめ 特 性 地域(住民)の合意 民間活用の可能性 市活用の可能性 保存活用の方針 ・震災被害を受け、解体されずに残っている JR旧野蒜駅 唯一のプラットホームである ・野蒜駅高台移転後にも ・震災前には地域のシンボルであり、 「野蒜駅が被災した記憶」 を残したい。 観光の玄関口であった そのためにはJR旧野蒜駅プラットホームを ・「森の学校」 「スポーツ公園」などの 震災遺構として保存する 復興計画との連動が可能な立地である 旧野蒜小学校 ・「駅プラットホーム」 であることから 民間活用の可能性は極めて低い ・民間活用の可能性が低いことから市が保存整備 ・復興計画との連動や地区交流センター機能との連動に 配慮した 「震災遺構」 として周辺を含めて整備することが 望ましい。 これにより野蒜地区を中心として、東松島市を 広く知っていただく拠点となりうる ・整備のためのイニシャルコスト、 ランニングコストは、 他の2つの遺構候補に比べて低くなると推計できる ・震災遺構として、周辺を含めて整備する ・震災時に多くの人の命を救った施設である ・解体せずに、緊急避難施設として ・民間活用を前提に保存整備 ・震災スタディツアー活動が行われている 活用したい ・民間活用の前提として、緊急時には ・「森の学校」 「スポーツ公園」などの ・震災の記憶を伝える施設、 復興計画との連動が可能な立地である 震災スタディツアーの拠点として活用する ・奥松島観光及び地域資源との連動や、 震災スタディツアーの受け入れ施設 としての民間活用が想定できる ・地域ニーズの高い緊急避難施設としての 活用が可能 ・観光エリアと近接しており、加えて JR新野蒜駅から至近であるため、 震災スタディツアーの拠点としても活用できる 避難施設として利用できる条件付きで 建物貸借する ・解体せずに、緊急避難施設として 旧浜市小学校 ・震災時に多くの人の命を救った施設である 活用したい ・民間活用を前提に保存整備 ・校庭を使った太陽光発電、 ・地域に不足している運動公園として ・民間活用の前提として、緊急時には 太陽光発電設置技術者養成講座が 利用したい 行われている ・雇用創出に貢献できる施設として 活用する ・新築建物が規制される かんぽの宿松島 特別名勝「松島」のエリアに立地 ・奥松島への観光客誘致、 再開を目指す野蒜海水浴場にとって、 重要な役割を果たすと考えられる ・農業(倉庫、集荷場など)への活用による ・地域ニーズの高い緊急避難施設としての 地域貢献、地域の雇用創出につながる 活用が可能 ・解体あるいは保存整備するにせよ、 緊急避難場所として活用したい 宿泊施設の再開は必要 建物貸借する 企業誘致による民間活用が想定できる ・野蒜海岸が再開された時には ・観光産業のために、 避難施設として利用できる条件付きで ・特別名勝「松島」 エリアに立地であることから ・野蒜海岸と隣接し、 観光拠点施設としての 宿泊施設として再整備(投資)する価値は 可能性や、 地域住民の温浴施設としての利用、 あるが、整備費は多額になると考えられる 加えて緊急避難施設としての活用が可能だが、 所有者との協議が必要 整備費用がネックとなる 18 A3 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 3-2-1 JR旧野蒜駅の現況確認 JR旧野蒜駅の現況は以下のとおりである。 「震災遺構」 として残すべき意味 ▶ JR旧野蒜駅は唯一残された震災の被害を受けた駅であり、 がある ▶ 変形したホーム屋根の支柱や電柱は、津波の脅威を実感できる ▶ 1階部分を被災した旧野蒜駅舎は、現在は地域交流施設として多目的ギャラリーに加え、 コンビニエンスストアが入居。地域内外の人々が多く立ち寄り、 コミュニティ拠点として地域 に貢献している ▶ 野蒜地区に残った、唯一ともいえる地域のシンボルである 3-2-2 JR旧野蒜駅保存活用の基本的な考え方 これまでの検討から、JR旧野蒜駅の保存活用において以下の方向性を設定する。 ●『①震災スタディツアーにより被災の記憶・教訓を広く発信』の点から JR旧野蒜駅プラットホームを、東日本大震災の甚大な被害を証言する震災遺構として保存し、公開するとともに 震災遺構だけでは補えない記憶を収集、公開し、東松島市の記憶として後世に伝える。 ▶JR旧野蒜駅プラットホーム及び線路の保存公開 ▶野蒜地域交流センター(JR旧野蒜駅駅舎)の展示活用 ▶駅周辺の敷地を含めて、日常的に「想い」を共有できる「震災遺構公園」的な施設として活用 ●『②地域資源との連携による復興への波及効果』の点から 交流人口の増加と市全域への波及効果を生み出し、持続可能な地域社会創出に貢献する。 ▶震災遺構を核とした新たな地域資源の創出と市域に広がる地域資源とを結ぶ ネットワークによる、他地域では体験できない震災スタディツアーの創出 19 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 3-2-3 展示コンセプト 「私たちに何が起きたのか」から、 「 私たちは何を興してきたのか」へ 東日本大震災から4年が経ち、被災時に何が起きたのか、その記憶と教訓に関する情報の収集と公開について は、東松島市をはじめとする被災した各地で取り組みが進み、一定の成果を上げつつある。その一方で、被災後の 復旧、復興の記録、記憶の収集は、十分とは言えない。 「私たちに何が起きたのか」から、 「私たちは何を興してき たのか」への移行は、未曾有の大災害に対峙してきた東松島市民の経験、アイデンティティの確認にもつながる。 また、この体験と知見は他地域の防災・減災の取り組みに活かす上でも、貴重な材料となるものと思われる。 東松島市は、その被災規模の甚大さからも、多くの支援団体や組織、全国からのボランティアが訪れ、大規模な 復旧・復興支援の過程を経験した。また、復興事業においても、地域に根ざした、独自性が高く効果的な先進的 事例の多い地でもある。 以上のことから困難な出来事に立ち向かった東松島市民の助け合い、思いやりの心を将来に伝えることを、あら ゆる支援への恩返しとして位置づけ、ともに東松島市の未来をわかち合うための施設、 「東松島 一心」を訴求する 施設として、JR旧野蒜駅の保存活用事業を位置づける。 わかち合う未来 震災の記憶 感謝の心 復興への希望 ふるさとへの想い 東松島の価値 東日本大震災の記憶・教訓を次世代の東松島市民、 そして震災を体験しなかった他地域の人々と分かち合う 被災時に受けた支援、ならびに共助の心を伝える、共有する 東松島市の復興への道のりを記憶し、市民と共有する。 訪れる人々とも東松島市の再生と未来をわかち合う 震災以前の在りし日のふるさとの風景を記憶し、地域の方々の 心のよりどころとする。また、次世代へと伝えていく 東松島市の地域資源を見直し、発見し、磨く。 その価値を広く発信していく 20 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 3-2-4 保存活用の具体的な検討 ●対象 JR旧野蒜駅の保存活用は、その特性などを考慮し、特に以下の人々の利用を想定して行うものとする。 ▶東松島市民 ※ ▶東松島市を訪れるゲスト 観光客 ※ゲスト:観光客、社用来場者、通過者、季節利用者など、 物理的な来場者全てと定義 震災スタディツアーの利用 視察利用(復興) ▶東松島市民への支援者 ●展示構成の考え方 [コンテンツ面の考え方] ■国内外から受けた支援の数々と、復興の歩みをメインに紹介し、 東松島市の経験を他地域の防災・減災に活かしてもらえるものとする ▶災害後の復旧・復興過程の知見を広く提供する(支援への恩返し) ■復興に関わる東松島市の取り組みを紹介し、その未来図を共有する ▶東松島市の復興事業への理解と協力の呼びかけ ■市内各所で見られる復興事業を紹介し、他の震災遺構に誘う ▶震災スタディツアー(防災ツーリズム+復興ツーリズム)の拠点 [ハード面の考え方] ■展示更新がしやすく、ランニングコストのかからない展示 ▶持続可能な展示空間の実現 21 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 ●展示構成案 IN プラットホーム(震災遺構)そのものをメインの展示資料と位置づける。 安全確保の観点から、ガイドツアーによる見学を基本とする。 JR旧野蒜駅 プラットホーム (震災遺構) ●プラットホーム(震災遺構)実物展示 ●JR旧野蒜駅と駅前のAR(仮想現実)展示※ ●震災前の駅舎のイメージ、音など OUT ※まちなか震災アーカイブの活用 JR旧野蒜駅駅舎2階 野蒜地区をはじめとして東 松島市の、東日本大震災と その後の大津波による被災 状況を紹介する。 全国からのボランティアをはじめ、支 援職員、デンマーク王国、アメリカ軍の トモダチ作戦など、国内外からの支援 とともに、東松島市が歩んだ復旧の過 程、災害廃棄物の分別など、東松島市 の経験と知見を詳細に紹介するととも に、感謝の想いを伝える。 ●年表型大型グラフィック ●証言映像・音声※ ●実物資料 ●証言映像 ●実物資料 ●大型写真※ ●記録映像・音声※ など B 手を携えて 東松島市の今を伝えるMAPを中心に、 市内の復興事業をはじめとする地域資 源や、まちづくりの将来構想を紹介。 ●ベースのMAPに最新情報をを利用者 が追加できるよう、掲示板型のものを 検討 ●市内の見どころ、各所で行われている 復興事業紹介のほか、スマートフォン などを経由し現地の詳細情報を提供、 現地へと誘う ●MAPの移り変わりで復興の過程が 分かるモニターも併設 ●ボックス展示:東松島市の産業や名産 品(実物)、団体の活動報告、パンフ レットの配架など ―ともに歩んだ復旧の道のり― C A 環境未来都市・ 東松島ガイド 2011.3.11 東松島 D IN OUT 想い出写真館 朝学校に通った通学路、友だち と遊んだ校庭、いつもの買い物の店……。 震災前の懐かしい東松島市の風景を記録 するコーナー。 JR旧野蒜駅駅舎1階 (コモンスペース) ●震災前の東松島市床面衛星写真:震災前の町並みや 一軒一軒が確認できる衛星写真を床面に展開 (床面MAPのポイントから情報を引き出し、タブレット PCでその地点の震災前の写真や懐かしい映像(海 水浴シーンなど)を引き出すことも可能) ●個人が所有するスナップ写真とコメントの提供を市 内外に呼びかけ展示 ●継続的なプロジェクトとし、興味・関心を喚起するこ とも検討 IN 震災スタディツアー デスク 野蒜地区を中心とした 震災スタディツアーへの申込デスク(有人)。 その他、地域の観光情報などを提供する OUT 22 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 3.保存活用計画案 ■JR 旧野蒜駅プラットフォーム周辺を含めた整備 メモリアルパーク メモリアルモニュメント P P P 奥松島パークライン 東名運河 野蒜石の蔵 [施設概要] 野蒜地域交流センター [構成要素] ▶JR 旧野蒜駅をプラットホーム含めた周辺を、緑地及び駐車場として一体整備 ▶駐車場(団体バス対応) ▶震災スタディツアーなどで、東松島市を訪れる人々の拠点となることで、 ▶緑地 野蒜地区、東松島市を広く知っていただくことができ、東松島市復興の波及効果となる ▶また多くの人々が日々、足を運べるような環境を整備することで、 震災記憶の風化を防ぎ、次の災害に備えることにつながり、 ・休憩スペース (東屋) ・遊歩道 ・被災した線路跡 ・被災した 「野蒜石の蔵」 被災した駅で唯一「遺構」として残る JR 旧野蒜駅プラットホームの価値も高まる 23 A3 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 3.保存活用計画案 ●活用のイメージ わかち合う未来:東松島市の震災の記憶と復興への取り組みを共有する場の創出 メモリアルパーク メモリアルモニュメント P P 野蒜地域交流センター内に展示施設を設置 P 奥松島パークライン 東名運河 野蒜石の蔵 野蒜地域交流センター 倉庫 案内カウンター ミュージアムショップ 展示室 ギャラリー展示 コンビニ 24 A3 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 ■JR旧野蒜駅プラットホーム メモリアルパーク ホーム 野蒜地域交流センター 奥松島パークライン 東名運河 [展示概要] ▶展示誘導員により、ガイドツアー(10 人単位で見学。1 回 10 分程度。展示室開館時間内で 1 時間に 1 回開催する)を行い、JR 旧野蒜駅の被災状況、復興までの取組みを説明する [展示手法] ▶ガイドツアーによるプラットホーム見学 ・誘導員の案内でホーム上に ・ホーム上には規制線を設置。規制線内で自由に見学していただく ・見学を終えた方から、 自由にホームから降りていただく ・誘導員はホームへの昇降口付近で待機し、全員の見学終了を確認する ▶JR 旧野蒜駅プラットホームでの展示 ・プラットホーム上では、展示演出として 「出発ベルの音」 「 震災前の時刻表」 「 仙石線の歴史」 「プラットホーム からの野蒜地区の様子」などをグラフィックパネルで紹介 ・QRコードを使ったAR(仮想現実)展示も行う (「まちなか震災アーカイブ」の活用) 25 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 野蒜地域交流センター内活用のイメージ ■野蒜ガイダンスセンター 倉庫 案内カウンター ミュージアムショップ 展示室 ギャラリー展示 コンビニ [概要] ▶震災スタディツアー及び 野蒜∼宮戸地区の観光ガイド機能を担う ▶地産品や復興関連グッズの販売も行う [主な設備] ▶ガイドカウンター ▶パンフレット置き場 ▶地産品、グッズの展示販売什器 など 26 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 3.保存活用計画案 ●展示施設全体構成 C B A 吹き抜け D B 手を携えて ―ともに歩んだ復旧の道のり― A 全国からのボランティアをはじめ、熊本県・福岡県支援職員、 デンマーク王国、 アメリカ軍のトモダチ作戦など、国内外からの支援とともに、 東松島市が歩んだ復旧の過程、災害廃棄物の分別など、 東松島市の経験と知見を詳細に紹介するとともに、感謝の想いを伝える 2011.3.11 C 環境未来都市・東松島ガイド ・東松島市の今を伝える 「東松島復興ウォールマップ」 を中心に、 市内の復興事業をはじめとする地域資源や、 まちづくりの将来構想を紹介する ・市内の見どころ、各所で行われている復興事業紹介のほか、 スマートフォンなどを経由し現地の詳細情報を提供し、 ここから東松島市内の各地へと誘う ―東松島― ・東日本大震災とその後の大津波による野蒜地区を はじめとして東松島市の被災状況を紹介する D 想い出写真館 ・毎朝学校に通った通学路、友だちと遊んだ校庭、 いつもの買い物の店……。 震災前の懐かしい東松島市の風景を記録するコーナー ・写真の提供を全国に呼びかけ、 プロジェクト化し、興味・関心を喚起することも検討していく 27 A3 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 A.2011.3.11 ―東松島― [展示概要] ▶東日本大震災とその後の大津波による野蒜地区をはじめとして東松島市の被災状況を紹介する [展示演出案] ○時のスクリーン ▶震災前の 「JR 旧野蒜駅前の風景」 から始まり、 震災・避難の状況など、 「3.11 以降、 野蒜のまち」 で起きたことを映像や写真のスライドショーで説明するミニシアター ▶映像は壁面だけでなく床面の一部も使用する 28 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 B.手を携えて ―ともに歩んだ復旧の道のり― [展示概要] ▶全国からのボランティアをはじめ、支援職員、デンマーク王国、アメリカ軍のトモダチ作戦など、 国内外からの支援とともに、東松島市が歩んだ復旧の過程、災害廃棄物の分別など、東松島市 の経験と知見を詳細に紹介するとともに、感謝の想いを伝える [展示演出案] ○東松島震災クロノロジー ▶復興の紆余曲折を表すような、波打つデザインで震災からの復旧、復興過程を時系列で 紹介していく大型のグラフィック ▶震災発生直後は、1 時間刻みで何が起きたかがわかるよう詳細に表記する ▶部分的に写真のスライドショーや証言が聞けるタブレットを配置 ▶証言映像・音声(「ICT地域の絆保存プロジェクト」の資料を活用)資料、復旧作業に用いら れた実物資料(スコップや軍手、長靴など)も、グラフィックに取り込む形でする展示する ※クロノロジー:過去の出来事を年代順に並べたもの。年表また、年代記 「東松島震災クロノロジー」展示イメージ ○インフォメーション・テーブル ▶東松島市の復旧・復興にあたって、国内外のどのような 機関・団体が協力してくれたかを紹介する ▶エリアにタッチするとその地域からの協力者が表示され、 その協力内容や規模などの情報や写真が現れる 「インフォメーション・テーブル」展示イメージ 29 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 C.環境未来都市・東松島ガイド [展示概要] ▶東松島市の今を伝える「東松島復興ウォールマップ」を中心に、市内の復興事業をはじめとする 地域資源や、まちづくりの将来構想を紹介する ▶市内の見どころ、各所で行われている復興事業紹介のほか、スマートフォンなどを経由し現地の 詳細情報を提供し、ここから東松島市内の各地へと誘う [展示演出案] ○東松島復興ウォールマップ ▶床面から壁面にかけて、震災前の東松島市のモノクロ市街地地図を展開。 展示室内を東松島市で包み込むイメージ ▶壁面では東松島市の航空写真を展開。 来館者からのメッセージを航空写真上に付箋紙やメモを 貼れるようにし、復興事業の最新情報を来場者が追加できる展示としていく 「東松島復興ウォールマップ」展示イメージ 30 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 ○メッセージ・ボックス ▶東松島市の名産品(実物資料)などを展示するボックス型の展示棚 ▶NPO、の地域団体、地場産業企業などがボックスごとに利用でき、活動の PR、自社製品、パンフ レットの配架などに利用できる。例えば縄文村などからのミニ展示(「縄文人は津波を避けて 高台に住んでいた?!」も展示していく。これにより更新性の高い展示となる 「メッセージ・ボックス」展示イメージ 31 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 D.想い出写真館 [展示概要] ▶毎朝学校に通った通学路、友だちと遊んだ校庭、いつもの買い物の店……。 震災前の懐かしい東松島市の風景を記録するコーナー ▶写真の提供を全国に呼びかけ、プロジェクト化し、興味・関心を喚起することも検討していく [展示演出案] ○野蒜スクエア ▶JR 旧野蒜駅を中心に、震災前の東松島市の高精細衛星 写真を床面に展開 ▶自宅などが確認できることで、震災前の町並みや 生活の様子を辿れるようにする。 小学校などの規模の大きい施設は、情報を タブレット端末で引き出せるようにすることも可能 ▶大型映像装置で、震災前の野蒜の街の様子を紹介する 「野蒜スクエア」展示イメージ ○フォト・メモリーズ ▶地区ごと、季節ごとなど、 テーマを決めて写真 (提供者のコメント付き)を 大小おりまぜて展示。 展示する写真は、市民はもちろん 全国からコメント付きで募集する 「フォト・メモリーズ」展示イメージ 32 3.保存活用計画案 3-2 JR旧野蒜駅保存活用の方向性 ●地域資源とのネットワーク化 東松島市への来訪者増、交流人口の増加をめざすには、JR旧野蒜駅展示施設(プラットホームと駅舎を活用した 展示)だけでは限界があり、市全体の地域資源を活用し、市内各所において波及効果を生み出す必要がある。その ため、JR旧野蒜駅の展示施設で市内に点在する震災遺構はもとより、復興の取り組みが行われている現場、東松 島の歴史や文化、自然資源などを紹介するとともに、各地へのアクセスを補助する取り組みを検討する。 展示施設内で アクセス情報 などを入手。 モデルコース の紹介も JR旧野蒜駅 駅舎(展示施設) 屋外へ 市内各所へ JR旧野蒜駅 プラットホーム [震災遺構] 旧野蒜 小学校 [復興事業] 旧浜市 小学校 ●津波到達レベルの表示 ●震災前、震災後の様子の紹介 ※まちなか震災アーカイブの活用 ●津波到達レベルの表示 ●避難建物としての機能紹介 ●復興事業への活用状況の紹介 ●震災前、震災後の様子の紹介 ※まちなか震災アーカイブの活用 ●奥松島 絆 ソーラーパーク 現場で ●沿岸監視システム 体験や証言の視聴など ●東松島型地域住宅 ●スマート防災エコタウン ●一般社団法人東松島みらいとし機構(HOPE)の活動 ●森の学校 ●ディスカバリーセンター [その他の地域資源] 震災の伝承、まちなか震災アーカイブ ●宮戸島 ●奥松島縄文村 ●えんずのわり ●多十郎 ●嵯峨渓 ●大高森 ●白鳥の里 ●鷹来の森運動公園 ●蔵しっくパーク ●地域の産業 ・漁業(海苔・牡蠣) ・農業 ・醸造業 ●航空自衛隊松島基地 ブルーインパルス ●野蒜築港跡 ●鳴瀬流灯花火大会 ●東名運河 ●野蒜石 ●北上運河 (●かんぽの宿松島) 33 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 3-3-1 旧野蒜小学校の現況確認 旧野蒜小学校の現況は以下のとおりである。 ▶ 体育館は現在撤去され、校舎は復興ボランティアやNPOなどの拠点に利用されている。 また校庭には仮設の地域センター、交番、消防署、郵便局がある ▶ 校舎内には数々の「被災の跡」が存在している。防災学習の貴重な資料として各地から多く の人が今も訪問しており、地域の方々が「語り部」 として対応している ▶ 地域からは、現在の「語り部」を拡大する防災学習拠点として、また緊急時の避難場所と して活用する希望がある ▶ 復興計画リーディングプロジェクトの「森の学校」、観光業や水産業の復興が進む宮戸地区 にも近い。 またJR新野蒜駅からも至近である 3-3-2 旧野蒜小学校保存活用の基本的な考え方 これまでの検討から、旧野蒜小学校の保存活用において以下の方向性を設定する。 ●『①震災スタディツアーにより被災の記憶・教訓を広く発信』の点から 震災時に多くの人を救い、現在も当時の状況を学ぼうと数多くの人々が訪れている旧野蒜小学校校舎は、 震災スタディツアーの拠点となりうる。 ▶校舎の一部を「震災時の状況を伝える防災・減災学習資料」として保存公開 ●『②地域資源との連携による復興への波及効果』の点から 宮戸島∼野蒜海岸の奥松島観光、復興の森、東名運河北側に移転するスポーツ公園との連携により、 「ヒト・モノ・コト」の交流を活性化する拠点として持続可能な社会創出に貢献する。 ▶震災スタディツアーの創出に加え、地域交流拠点として 東松島市の新たな魅力づくりを図る ●『③緊急避難拠点、また防災・減災意識訴求』の点から 地域の緊急避難場所として活用する。 ▶地域の日常に安心安全を提供 ▶震災スタディツアー 34 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 3-3-3 施設コンセプト さまざまな交流が復興の原動力となる 震災復興も4年目を迎え、住宅高台移転などの生活インフラの復興は順調に推移している。これと同じく、地域 コミュニティの復興も進めていかなくてはならない。 地域社会、地域経済の活性化に向けて、地域の人々のよりどころとなり、震災の記憶を含めた様々な地域資源 の再発見と発信の場。そして未来に向けた取り組みが実を結ぶさまを感じられるような、地域復興のシンボルと なる場が求められる。 地域内外の人々が集い、新しい、ふるさと東松島を築き上げていく。地域のさまざまな人と資源を復興に向け た取組みへとつなげていくハブ施設として、ともに未来を目指す施設、 「東松島 一進」を訴求する施設として、 旧野蒜小学校の保存活用事業を位置づける。 ともに向き合う合う未来 共生・協働 地域復興 震災の記憶 「環境未来都市」を支える新しいコミュニティ像を示す 復興プロジェクトを推進する、さまざまな交流を創出する 東日本大震災の記憶・教訓を次代につなぐ、地域の安心・安全への備え 35 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 3-3-4 保存活用の具体的な検討 ●対象 旧野蒜小学校保存活用は、施設コンセプトから以下の人々の利用を想定して行うものとする。 ▶宮戸島∼野蒜海岸を訪れる観光客など来訪者 ▶震災スタディツアー参加者(市内、県外) ▶地域居住者 ●施設構成の考え方 [ 震災スタディツアーのコア施設として ] ▶これまでも多くの人々が旧野蒜小学校を視察訪問し、 被災時の状況から数多くの有益な学びを得てきた。 これを発展させた旧野蒜小学校ならではの体験要素を備えた防災学習機能を整備する [復興支援、復興推進の場として] ▶「ステッチガールズ」 「東松島食べる通信」などの復興プロジェクトや、地域内外の人々が参加 するさまざまな復興事業を支援する拠点として活用 ▶さまざまな地域資源へのアプローチ空間として整備する。 宮戸島や野蒜海岸の観光産業活性化を牽引する拠点としていく ▶仙石線開通により野蒜地域は「仙台から近く、自然が豊かなベッドタウン」としてのポテン シャルを備えることとなる。 これに向けて地域と地域外の交流を促進する拠点として活用する [津波災害に備える施設として] ▶平成 17 年に耐震工事を完了した旧野蒜小学校校舎は建築物としての耐用年数は十分備えて いる。 短期周期型の津波災害が予想される場合の緊急避難場所として、 また非常時に備えての 防災資材、避難資材の保管倉庫として、東松島市や野蒜地区の安心安全な暮らしをサポート していく 36 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 3.保存活用計画案 ●活用のイメージ ともに向き合う未来:宿泊機能がもたらす、地域内外とのさまざまな交流が地域の復興を後押しする レスキュー・ストックヤード(防災倉庫) 出入口 厨房・倉庫 出入口 施設管理オフィス メモリアルモニュメント 広場 更衣室&シャワー室 1階 ■「記憶の教室(仮称)」 ・ 震災スタディツアーのサテライト型展示施設として、被災跡を展示として整備する ■「東松島商店(仮称)&「語り部カフェ(仮称)」 ・ 教室の雰囲気を活かした物産販売所&カフェを設置 ■更衣室&シャワー室 ・ 野外活動や防災学習プログラムの際に利用できる ■施設管理オフィス 校舎 駐車場 NPOなどへの貸し出しスペース 市道 2階 ■「泊まれる教室(仮称)」 ・ 教室を簡易宿泊所として改修し、活用する ・ 震災スタディツアーの宿泊、復興の森利用者、新設予定のスポーツ公園の利用者などの 宿泊施設として、地域内外の交流促進を目指す ・ 大部屋シェアルームタイプと、ファミリー単位の利用もできる個室タイプの宿泊機能を設定する ・ 緊急時には避難した人々を支援する拠点として活用できる ■ワークルーム(仮称) ・ 教室をそのまま多目的室として活用する ■「野蒜工房(仮称)」 ・ 工芸体験も可能な工作室 ■NPOなどへの貸し出しスペース 3階 ■「泊まれる教室(仮称)」 ■ワークルーム(仮称) ■レスキュー・ストックヤード(防災倉庫) ・ 防災備品の保管庫 37 A3 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 施設デザインイメージ案 1階 ■「記憶の教室(仮称)」 [概要] ▶震災スタディツアーのサテライト型展示施設として、被災跡を展示として整備する ▶被災時の状況を保存(水に浸かった痕跡、天井照明器具に食い込んだ土砂や草、壁の裂け目、 ゆがんだ建具、曲がったカーテン金具=生徒達が防寒や救助のため急いで外した痕跡、学校に 避難した人数が記された黒板など)し、パネルで解説する ▶野蒜地域の被災状況を示した画像・映像記録(「ICT地域の絆保存プロジェクト」)を展示 ▶震災語り部の方によるガイドツアーも実施する [主な設備] ▶被災時の痕跡を、アクリル板、透明樹脂などのカバーで劣化を防止と安全に配慮して展示する ▶無線LAN設備を導入。被災部分を示す場所に貼付したQRコードを使って情報端末 ( スマート フォンやタブレットなど ) で被災時の状況を写真や映像などで閲覧できる 38 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 ■「東松島商店(仮称)&「語り部カフェ(仮称)」 [概要] ▶教室の雰囲気を活かした物産販売所&カフェを設置。地域内外の交流を生み出すサロン空間と して整備していく ▶「東松島商店」では、 「 東松島食べる通信」との連携による地域産品や6次産業品、 「 ステッチ ガールズ」による服飾雑貨品事業者が開発する東松島ブランド品を購入できる ▶「語り部カフェ」では奥松島の特産品を使ったメニューを提供。社会福祉団体などとの協働で 「食と語らいを通じて、誰もが楽しく働き、生き生きと交流できる場」を創出する [主な設備] ▶講習会機能とギャラリー機能。語り部イベントや写真展、地域サークル発表などができるように、 ピクチャーレール、収納兼用展示棚、プロジェクター装置を設備する ▶旧野蒜小学校配膳室部分には、カフェ用厨房と物産用冷蔵庫を設置する ■更衣室&シャワー室 ▶野外活動や防災学習プログラムの際に利用 ▶海水浴客の利用も期待できる ■施設管理オフィス ▶防災無線設置 ▶施設使用予約受付機能 39 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 2階 ■「泊まれる教室」 [概要] ▶旧野蒜小学校の教室を簡易な宿泊機能として改修し、活用する ▶震災スタディツアーの宿泊、 復興の森利用者、 新設予定のスポーツ公園の利用者などの宿泊施設と して、地域内外の交流促進を目指す ▶改修費用が比較的かからない大部屋シェアルームタイプの宿泊機能と、ファミリー単位の利用も できる個室タイプの宿泊機能を設定する ▶緊急時には避難した人々を支援する拠点として活用できる。また防災、減災活動の一つとして、 災害に備えるための「被災者支援拠点運営訓練」の場としても活用する [主な設備] ▶宿泊設備(ファミリータイプとシェアルームタイプ。シェアルームタイプでも個室化が可能) ▶入浴(シャワー)、洗面所設備 40 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 参考:避難所の機能例 出典: 『避難所』から 『被災者支援拠点へ』 (日本財団 次の災害に備える企画実行委員会) 41 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 ■「ワークルーム(仮称)」 [概要] ▶旧野蒜小学校の教室をそのまま多目的活動室として活用する ▶震災スタディツアーに伴うさまざまなプログラムや復興プロジェクト活動、地域内外のサークル 活動や防災学習プログラムの講義などに利用できるレンタルスペース ▶震災スタディツアーの講義例 ・宿泊体験。体温を奪われことのないように体を休める方法や工夫を学ぶ ・エコノミークラス症候群を予防する体操教室 ・最新の防災グッズ、ツールの展示および使用体験 ・救急救命処置体験 ・非常用食糧の調理体験 ▶農業法人や6次産業などで、起業を目指す団体向けのシェアオフィスとして活用することも可能 [主な設備] ▶教室設備をそのまま利用する ▶椅子、テーブルは大人が使えるサイズに変更する 42 3.保存活用計画案 3-3 旧野蒜小学校保存活用の方向性 ■「野蒜工房(仮称)」 [概要] ▶工芸体験も可能な工作室 ▶震災スタディツアーの一環として、 工具を使った救助活動、 簡易シェルターづくりなども体験できる [主な設備] ▶木工工作、金工工作用の機器、工具 ■NPOなどへの貸し出しスペース [概要] ▶復興支援ボランティア団体などに貸し出すスペース [必要な設備] ▶教室設備をそのまま利用する 3階 ■「泊まれる教室(仮称)」 ■レスキュー・ストックヤード(防災倉庫) ▶防災備品の保管庫 ▶未使用及び再使用可能な支援物資などを保管しておく 43 3.保存活用計画案 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 3-4-1 旧浜市小学校の現況確認 旧浜市小学校の現況は以下のとおりである。 ▶ 国道60号線が広域からのアクセス動線となるが、動線からはやや離れた位置に立地 ▶ 住居移転が進み、周辺の居住者は減少。周辺は農地が多い ▶ 周囲に高い建物がないことから、居住者、農業従事者、来訪者などが緊急避難できる建物 は必要 として位置づけられている。 ▶ 旧浜市小学校の周辺は、復興プロジェクトでは「発電ファーム」 校庭に風力発電設備やソーラーパネルが設置されており、教室の一部、屋内運動場を使って 「太陽光発電設置工事技術者養成講座」が行われている 3-4-2 旧浜市小学校保存活用の基本的な考え方 これまでの検討から、旧浜市小学校の保存活用において以下の方向性を設定する。 ●『②地域資源との連携による復興への波及効果』の点から 周辺居住者は減少傾向。企業誘致など地域産業振興拠点としての適合性が強いと考えられる。 ▶農業に資する施設や企業誘致など、地域の産業活性化と雇用創出に寄与する活用 ▶現在の利用状況と関連付けやすいスマートエネルギー関連事業などでの活用 ●『③緊急避難拠点、また防災・減災意識訴求』の点から 地域の緊急避難場所として活用する。 ▶地域の日常に安心安全を確保 44 3.保存活用計画案 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 3-4-3 施設コンセプト 地域産業と環境未来都市・東松島のシンボル施設 東日本大震災では当地域をはじめ、東松島市の産業は大きな打撃を受けた。4年が経ち、当地域の基幹産業 である農業も復旧から復興に向けた取組みが行われている。こうした復興の進行と同時に新たな課題も現れて きている。当地域においては従事者の高齢化、産業高度化の遅れである。 当地域に限らず、農業、水産業は他産業と比べ、経営規模やICT(情報 通信技術)への投資余力が少なく、 その活用も限定的となっている。東松島市を含め東北では農林水産業が地域経済において大きなウエイトを占 めており、特に農業と水産業の再生が産業復興の鍵を握っているといえる。 「環境未来都市」を目指す東松島市ではICTの利用、スマートエネルギー推進が進められている。これを旧 浜市小学校の保存活用にも考えていきたい。 旧浜市小学校の保存活用事業においては、新しい産業の創出、あるいは地域の基幹産業である農業の活性化 (ITCの導入、共同作業システムの構築など)を導く場として、産業の持続可能性を示していく。 「環境未来都 市」のシンボル的施設として、また当地域における「東松島 一新」を目に見える形で示していく。 高め合う未来 地域のオープンイノベーション※ 地域のコラボレーション 地域の活性化、雇用創出に寄与する 新しい産業を呼び込む場 地域内外の資源、力を集め、 復興の新しい活力を生み出す場。 ※オープンイノベーション:組 織の枠組みを越え、広く知識・技術を結集して新技術、新製品などを生み出す試み。 一例として、産学官連携プロジェクトや異業種交流プロジェクト、 大企業とベンチャー企業による共同研究などが挙げられる。 45 3.保存活用計画案 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 3-4-4 保存活用の具体的な検討 ●対象 旧浜市小学校保存活用は、施設コンセプトから以下の人々の利用を想定して行うものとする。 ▶小野地域居住者 ▶小野地域農業就業者 ▶当地域で、既存あるいは新規産業の活性化を目指す方 ●施設構成の考え方 ▶旧浜市小学校の校舎の形状を利用し、3 階まである部分を緊急避難場所としての活用を想定 した地域利用スペースとして、2 階部分までの部分は産業振興スペースとして活用する。 また屋内運動場についても産業振興スペースとして活用する 46 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 3.保存活用計画案 ●活用のイメージ 高め合う未来:雇用創出・経済活性化を目指して企業を誘致。校舎建物を植物工場として活用する 地域活性化エリア 1階 ■地域活性化機能:「エコ・カフェ(仮称)」 校舎 ・地場産品を中心にしたカフェ。地域の方、地域産業に従事する方の交流場所 2階 ■地域活性化機能:「浜市の間(仮称)」 ・旧浜市小学校の教室をそのまま多目的室として活用する 道 体育館 3階 ■防災倉庫 ・3階及び屋上を津波時の緊急避難スペースとして利用する ・また防災備品の保管場所としても利用する 経済活性化エリア 校舎棟 広場 ■「ハマイチ・エコラボファーム(仮称)」 ・旧浜市小学校校舎を使った屋内型栽培施設として活用する 駐車場 ■屋内運動場 ・農業生産物の集荷スペース、共同倉庫として利用する ・産直販売機能も備える 校庭 ■スマートモビリティ支援機能:ハマイチ・EVポート(仮称) ・校庭を利用し、環境未来都市構想ともリンクするスマートモビリティ(交通)システムの関連設備 市道 ・産業電気自動車のカーシェアリング、充電設備など 47 A3 3.保存活用計画案 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 施設デザインイメージ案 旧浜市小学校の3階建て校舎の部分を地域活性化機能施設として、2階建て校舎の部分を産業活性化機能施設 として展開する。 3階建て校舎部分 1階 ■地域活性化機能:「エコ・カフェ(仮称)」 [概要] ▶地場産品によるメニューを中心にしたカフェを設置。震災スタディツアーなどで訪れた方の休憩 場所として、また地域の方、地域産業に従事する方の交流場所としていく [主な設備] ▶講習会機能とギャラリー機能を用意する。 語り部イベントや写真展、 地域サークル発表などができる ように、ピクチャーレール、収納兼用展示棚、プロジェクター装置を設置する 48 3.保存活用計画案 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 2階 ■地域活性化機能:「浜市の間(仮称)」 [概要] ▶旧浜市小学校の教室をそのまま多目的室として活用する ▶集会室、サークル活動、多目的かつ自由に利用できる空間とする [必要な設備] ▶教室設備をそのまま利用する ▶椅子、テーブルは大人が使えるサイズに変更する 3階 ■防災倉庫 ▶3 階及び屋上を津波時の緊急避難スペースとして利用する ▶また防災備品の保管場所としても利用する 49 3.保存活用計画案 3-4 旧浜市小学校保存活用の方向性 2階建て校舎部分 ■「ハマイチ・エコラボファーム(仮称)」 [概要] ▶事業の多角化、新規事業として「野菜工場」 「果物工場」など屋内栽培施設として活用する ▶太陽光発電や風力発電による自然エネルギーを利用する施設としていく ▶企業誘致で地域雇用を創出する 50 3.保存活用計画案 参考:先行事例の紹介 スマートアグリカルチャー、あるいはスマート・シーファーミングの具体的な事例として、 「東北スマートアグリカル チャー研究会」が研究開発、実践している農業振興に資するITシステムの研究開発と、ICT(Information and Communication Technology)を活用したイチゴ生産で震災復興を目指す農業生産法人 GRA の取組み を紹介する。 【東北スマートアグリカルチャー研究会の取組み】 ・クラウドを活用した農業支援システムの導入 宮城県沿岸の農地などで塩分や放射線、土壌温度をセンサーで測定し、計測値をクラウド経由でスマートフォ ンやタブレットで閲覧・共有できる仕組みを開発している。 ・地域の気象条件や土壌条件と農作物の関係をITでマネジメントする 農業経営にIT技術を活用するスマートアグリカルチャーの実現に向けて、スマートフォン、クラウドの利用、汎 用センサーを活用した大幅なコスト削減への研究開発を行っている。またIT化が進んでいない中小農家など を支援する地域発の農業プラットフォーム形成を検討目指している。 【農業生産法人GRAの取組み】 ・データに基づくイチゴの生産システムの構築 イチゴは同じように赤く色づいていても、その甘さや酸味は果実によって異なる。そしてこれを見分けるには長 年の経験と知識が必要になる。これまでは経験や知識が個人に属してしまい、共有されることはなかった。これ をICTにより、誰もが同じ品質のイチゴを生産できるシステムを確立した。例えば甘いイチゴ生産に必要な「ち ょうどいい温度」 「 ちょうどいい湿度」を具体的な温度・湿度の数値に置き換え、これまでの個人の経験、知識 を具体的な数値で表す生産システムを確立した。 ・確立した技術を標準化し、地域の活性化を目指す 最先端技術により高い生産性の栽培方法を確立させるため、2011 年には農林水産省の「被災地の復興のため の先端技術展開事業」を受託し、約 1 万㎡の最先端大規模園芸施設を建設した。ICTで栽培環境を制御し たイチゴの研究的生産に着手し、同時にその研究成果を新設した自社農場(2 万 5000 ㎡)で実践。開発した 技術を標準化することで地域全体が営農を続けられる環境整備を目指している。 51 3.保存活用計画案 3-5 「かんぽの宿松島」保存活用の方向性 調査時点において「かんぽの宿松島」は、日本郵政株式会社の所有物であり、東松島市としての「震災遺構候補」 にはなりにくい。また宿泊施設としての機能を復旧するには10億円近い費用が想定されている。 しかしながら、以下のような背景がある施設であることから、活用の可能性については、今後も「かんぽの宿松島」 を取り巻く状況の推移に注視しておく必要があると考える。 整備活用に関する「かんぽの宿松島」の背景 ①特別名勝「松島」エリアに立地する宿泊施設であり、再開されることにより 奥松島観光交流の中核施設となりうる ②特別名勝「松島」エリアに立地しているため、建て替えることができない。 解体してしまうと、 この場所に新規に建設することが難しい ③震災当時、 「かんぽの宿松島」の4階において100人以上の生命が救われた。 このことから次の災害に備える緊急避難施設として位置づけることができる 52 東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務 4.運営計画 4 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 4-1 災害時・緊急時における避難施設としての機能検討 ○旧野蒜小学校・旧浜市小学校を活用するにあたり、その運営主体が民間企業・団体となった場合には、施設 貸借条件として災害時、緊急時に施設を開放し、避難施設として利用できるような「災害協定」を締結する。これ により津波警報発令時などには、必要に応じて避難施設として即座に避難する人々の受け入れが可能となる。 ○前章の活用計画案においては、旧野蒜小学校・旧浜市小学校ともに防災倉庫を設定(旧野蒜小学校、旧浜市 小学校とも校舎 3 階部分)している。東日本大震災における被災経験を活かした防災備品、避難施設運営のた めの資材、食糧などを備蓄しておく。 ○活用計画案として簡易宿泊機能を主体にしている旧野蒜小学校は、2 階、3 階に設定している宿泊機能が避難 施設として有効活用ができる。 今後、本活用計画案を軸に旧野蒜小学校の活用計画を進めていく場合には、災害時・緊急時をも想定した宿泊 機能として、例えば日本財団の提唱する「あるべき避難所」を参考に、避難施設としての機能を検討していく。 ○活用計画案として植物工場を設定した旧浜市小学校は、避難施設として供することのできる機能を 3 階建て校舎 部分に設定した。これは緊急時に植物工場の設備などによる危険を避け、また通常時においては植物工場作 業動線と重ならない避難施設利用者動線を確保するためである。 ○旧浜市小学校では、緊急時・災害時において 3 階に設定した防災倉庫内を避難施設として利用する。 また 2 階の多目的室(浜市の間)も避難施設として利用が可能である。 ○収容可能人数: 東日本大震災時に石巻赤十字病院が行った石巻市内の避難所調査(4月)で、避難者1人当たり専有面積が 2 ㎡程度であったことから、石巻赤十字病院は、最低でも国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が定める難 民キャンプの設置基準(3.5 ㎡ / 人)との提案があった。この 3.5 ㎡ / 人を用いて、本活用計画案での旧野蒜小 学校、旧浜市小学校の収容可能人数はおおよそ次の通りとなる。 ○旧野蒜小学校:避難用途に供せる想定面積 およそ1,322㎡ 377人 (1階283.5㎡、2階487.8㎡、3階550.8㎡ 面積合計1,322.1㎡) ○旧浜市小学校:避難用途に供せる想定面積 およそ1,635㎡ 467人 (1階463.5㎡、2階526.5㎡、3階123.25㎡,体育館522㎡ 面積合計1,635.3㎡) ※3階建て部分:357.3㎡ 102名、2階建て部分:756.0㎡ 216名 ○体育館部分:522㎡ 149名 【参考】 収容基準は、避難所では避難者の居住スペースのほかにも、災害弱者の介助、医療の提供、会議などに使用されるスペー スの確保が必要となることから、避難者1人当たり建物面積として6㎡程度(うち有効建物面積3㎡程度)を確保するもの とすることが望ましい(最低でも3.3㎡あたり2人が限度) (消防庁・( 財 ) 地域活性化センター「大規模地震発生直後からの避難生活の安定確保の手引き」) 54 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 4-1 災害時・緊急時における避難施設としての機能検討 ○その他必要な機能 その他、避難施設としての機能検討にあたって、留意すべき事項として「避難所における良好な生活環境の確 保に向けた取組指針(平成 25 年内閣府(防災担当)」に記載の避難所における備蓄などの項目と、設備や備品 について以下に示す。 避難所における備蓄など (1)食料・飲料水の備蓄 避難所として指定した施設には、あらかじめ応急的に必要と考えられる食料・飲料水の備蓄を検討しておく こと。また、指定した避難所に食料・飲料水を備蓄しない場合は、避難所が開設された場合に備えて、食料・ 飲料水の供給計画を作成すること。その際、食物アレルギーの避難者にも配慮し、アルファー米などの白米と 牛乳アレルギー対応ミルクなどを備蓄すること。なお、備蓄食料については、近年の食生活の向上と保存食の 多様化を踏まえ、乾パンなどの画一的なものだけにならないよう検討すること。食物アレルギー対応食品等に ついても、必要な方に確実に届けられるなど、要配慮者の利用にも配慮すること。また、避難所を運営する職 員の食料などの確保を検討しておくこと。 (2)その他備蓄品の備蓄など 被災者の生命、身体の保護を優先とし、次に示した備蓄品の備蓄を検討しておくこと。また、備蓄品の品目、 所在、配付方法については、事前に市のホームページや広報などで公開することが望ましいこと。 ①仮設トイレを備蓄しておくこと。なお、バリアフリーに対応したトイレも備蓄しておくこと ②高齢者、乳幼児、女性に配慮し、紙おむつや生理用品を備蓄しておくこと ③避難所の感染症予防のため、マスクや手指消毒液等を備蓄しておくことが望ましいこと ④発災時から、灯りのある生活及び通信環境を確保するため、自家発電装置、非常用発電機及び衛星電 話が避難所には設置されていることが望ましいこと。なお、通信手段の確保において、無線機や避難所 の衛星電話の使用について定期的に確認を行っておくべきであること。避難所に備え付けのその他の物 品についても使用が可能か確認しておくこと ⑤マッチ・使い捨てライター・プロパンガス・固形燃料などの燃料を備蓄しておくこと。なお、大規模・広 域的な災害での外部支援の期間を見通し、燃料の備蓄について、必要十分な量を備蓄しておくことが望 ましいこと。ただし、ガソリン、石油などについては、消防法で定める危険物に規定されているため、備蓄に 当たっては同法との関係に留意する必要があること ⑥その他生活必需品の品目については、地域、時期により、様々なものが考えられ、個々の実情において決 定するものと考えられるが、被災者の生命、身体の保護を念頭に置き、次のとおり例示的に示した生活 必需品を備蓄しておくことが望ましいこと ア:タオルケット、毛布、布団などの寝具 イ:洋服上下、子供服などの上着、シャツ、パンツなどの下着 ウ:タオル、靴下、靴、サンダル、傘などの身の回り品 エ:石鹸、歯磨用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの日用品 オ:炊飯器、鍋、包丁、ガス用具などの調理道具 カ:茶碗、皿、箸などの食器 55 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 4-1 災害時・緊急時における避難施設としての機能検討 (3)生活用水の確保 飲料水の他に、トイレや避難所の清掃、洗濯、機材の洗浄などの用途に欠かせない「生活用水」の確保が必 要になる。命の継続に不可欠な飲料水は支援物資として確保されるが、その他の用途の水についても、感染 症の防止など、衛生面の観点から、衛生的な水を早期に確保できるようタンク、貯水槽、井戸などの整備に努 めることが望ましいこと。 ◇設備や備品 ・災対法 86 条の 6 に基づき、被災者の避難所における生活環境の整備に必要な措置を講ずるため、優 先順位を考慮して、必要に応じ、次の設備や備品を整備しながら、被災者に対する男女別のトイレ・更 衣室・洗濯干し場や授乳室の設置によるプライバシーの確保、暑さ寒さ対策、入浴及び洗濯の機会確 保の他、子どもの遊びや学習のためのスペースの確保など、生活環境の改善対策を講じること。 ア:畳、マット、カーペット、簡易ベッド イ:間仕切り用パーティション ウ:冷暖房機器 エ:洗濯機・乾燥機、洗濯干し場 オ:仮設風呂・シャワー カ:テレビ・ラジオ キ:簡易台所、調理用品 ク:その他必要な設備・備品 ・避難生活が長期化した場合、被災者の孤立感を解消し、生きがいや居場所を見出し、心身の健康を確 保していくため、避難所内に喫茶、足湯、集会所などの交流の場を提供することが望ましいこと。 56 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 4-2 運営計画の基本的な考え方 4-2-1 施設整備費用の概算 4施設の活用計画案に基づき、施設整備費用の概算を設定する。算出範囲は、 ①JR旧野蒜駅は、震災遺構として保存活用するプラットフォームの見学施設としての整備費用と、その周辺の緑地・ 駐車場などの整備費用 ②JR旧野蒜駅舎の「野蒜地域交流センター」内におけるガイダンス機能及び展示機能を設置する費用 ③旧野蒜小学校は、活用計画案をベースに企業・団体への一括賃貸を前提に、貸借者に引き渡す状態にするまで の施設整備の費用 ④旧浜市小学校は、活用計画案をベースに企業・団体への一括賃貸を前提に、貸借者に引き渡す状態にするまでの 施設整備の費用 とする。 【①JR旧野蒜駅 施設整備費概算】 <プラットホーム整備費> およそ4,990万円 ○仮設工事(安全対策費など) 500万円 ○遺構周辺整備費(保全管理など) 1,550万円 ○遺構整備費(展示・サイン工事) 1,410万円 ○設備整備費用(電気) 260万円 ○緑地・駐車場等の整備費用 ***円 ○設計費/その他諸経費 1,270万円 <野蒜地区交流センター内展示機能整備費> およそ2,710万円 ■1階部分(150㎡)施設整備費 およそ1,610万円 ■2階部分(114㎡)施設整備費 およそ1,100万円 90万円 70万円 ○仮設工事 ○仮設工事 320万円 240万円 ○内装修繕修復費 ○案内カウンター/現地販売什器等整備費 750万円 440万円 ○設備整備費用(電気・空調) ○設備整備費用(電気・空調) 70万円 ○解体撤去工事(活用にあたり発生する費用) 60万円 ○解体撤去工事(活用にあたり発生する費用) 290万円 ○設計費/その他諸経費など ○設計費/その他諸経費 380万円 ※ 〈参考〉展示工事費など 5,800万円 ※ 〈参考〉展示工事費など 4,400万円 (参考:奥松島縄文村歴史資料館展示工事費(204㎡) : 7,897万円) 【②旧野蒜小学校 施設整備費概算】 (参考:奥松島縄文村歴史資料館展示工事費(204㎡) : 7,897万円) およそ3億6,250万円 ○仮設工事(安全対策費など) 1,180万円 ○設備整備費用(電気、空調、給排水衛生、厨房) 15,800万円 ○内装修繕修復費 6,490万円 ○用途整備費(震災遺構展示、コミュニティー機能など) 2,000万円 ○解体撤去工事(活用にあたっての発生する費用) 990万円 ○設計費/その他諸経費 9,790万円 【③旧浜市小学校 施設整備費概算】 およそ1億9,590万円 ○仮設工事(安全対策費など) 1,230万円 ○設備整備費用(電気、空調、給排水衛生、厨房) 7,210万円 ○内装修繕修復費 4,200万円 ○用途整備費(震災遺構展示、コミュニティー機能など) 1,000万円 ○解体撤去工事(活用にあたっての発生する費用) 660万円 ○設計費/その他諸経費 5,290万円 【参考:解体費用の概算】 ●JR旧野蒜駅プラットホーム解体 ●旧野蒜小学校解体 ●旧浜市小学校校舎+体育館解体 ・校舎部分解体 ・体育館部分解体 およそ9,100万円 およそ1億円 およそ1億2,300万円 8,000万円 4,300万円 ※ 「JR旧野蒜駅プラットホーム解体費用」 については、暫定数値のため、JR東日本より関係書類を入手の上、再算定を要する。 57 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 4-2-2 活用計画案に基づく施設運営費用の試算 4施設の活用計画案をベースに、3施設の運営費用について試算した。 ①JR旧野蒜駅(JR 旧野蒜駅プラットフォームおよび野蒜地区交流センター内の整備) 科目 屋内 1.人件費 金額 7,231,200円 2.水光熱費 291,000円 3.施設維持管理費 整備費 1% 4.清掃・警備・保守管理 252,200円 5.事業費 別途 6.広告宣伝費 別途 7.事務費 別途(1∼4 3%) 58 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 1. 人件費 ■前提条件 ・年間開館日数 360日(年末年始休館) ・一日の開館時間 8時間 ・正規職員1名、それ以外にスタッフはパートタイマーのシフト勤務 ・正規職員休日数は年間平均休日123日+5日(休館日)=128日 ・正規職員年間勤務時間は(365日−128日) 8時間=1896時間 ・全員がツアーガイドと販売を兼職 ・終日2名体制とする。加えて昼食時間帯の1時間は3名体制 ・宮城県の職業安定所平均賃金(販売職)平成26年平均は 月給204,000円(千円未満四捨五入) 時給790円(10円未満四捨五入) ①必要人時 360日 8時間 2名+360日 1時間(昼食時)=6120時間 6120時間−1896時間(正規職員勤務時間)=4224時間(パート勤務時間) ②正規職員賃金 204,000円 15か月=3,060,000円 ③パート賃金 790円 1,25(交通費・保険料など) 4224時間=4,171,200円 ④賃金合計 7,231,200円 2. 光熱水費 ■前提条件 ・展示面積 194㎡ ・光熱水費単価 1500円/年・㎡(事例による設定) ①光熱水費 1500円 194㎡=291,000円 4. 清掃・警備・保守管理 ■前提条件 ・展示面積 194㎡ ・清掃・警備・保守管理単価 1300円/年・㎡(事例による設定) ①清掃・警備・保守管理費 1300円 194㎡=252,200円 59 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 5. 人件費 ■前提条件 ・年間開館日数 360日(年末年始休館) ・一日の開館時間 8時間 ・スタッフはパートタイマーのシフト勤務 ・終日2名体制 ・宮城県の職業安定所平均賃金(販売職)平成26年平均は 時給790円(10円未満四捨五入) ①必要人時 360日 8時間 2名=5760時間 ②パート賃金 790円 1,25(交通費・保険料など) 5760時間=5,688,000円 7. 施設維持管理費 ■前提条件 ・面積 38,345㎡ ・施設維持管理費単価 800円/年・㎡(事例による設定) ①施設維持管理費 800円 38,345㎡=30,676,000円 60 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 ②旧野蒜小学校 科目 カフェ機能 宿泊機能 1.人件費 金額 5,688,000円 2.水光熱費 928,800円 3. その他販管費 774,000円 1.人件費 13,608,000円 2. リネン費 5,400,000円 3.水光熱費 7,560,000円 4. その他販管費 2,268,000円 61 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 〈カフェ機能の試算〉 1. 人件費 ■前提条件 ・年間開館日数 360日(年末年始休館) ・一日の開館時間 8時間 ・スタッフはパートタイマーのシフト勤務 ・終日2名体制 ・宮城県の職業安定所平均賃金(販売職)平成26年平均は 時給790円(10円未満四捨五入) ①必要人時 360日 8時間 2名=5760時間 ②パート賃金 790円 1,25(交通費・保険料など) 5760時間=5,688,000円 2. 光熱水費 ■前提条件 ・面積 172,8㎡ ・席数 1席/2㎡ 86席 ・回転率 1回転/日 ・客単価 500円 ・年間営業日数 360日 ・年間売上 86席 1回転 500円 360日=15,480,000円 ・水光熱費比率 8%/売上 ①水光熱費 15,480,000円 6%=928,800円 3. その他販管費 ■前提条件 ・その他販管費比率 5%/売上 ①その他販管費 15,480,000円 5%=774,000円 62 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 〈宿泊機能の試算〉 1. 人件費 ■前提条件 ※合宿民宿施設の実績値 ・面積 1295㎡ ・宿泊定員 1295㎡ 6(一人当たり面積)≒200人 ・営業日数 360日 ・売上 3,500円 200人 30% 360日=75,600,000円 ・人件費比率 18%/売上 ①人件費 75,600,000円 18%=13,608,000円 2. リネン費 ■前提条件 ・リネン単価 250円 ①リネン費 250円 200人 30% 360日=5,400,000円 3. 水光熱費 ■前提条件 ・水光熱費比率 10%/売上 ①水光熱費 75,600,000円 10%=7,560,000円 4. その他販管費 ■前提条件 ・その他販管費比率 3%/売上 ①その他販管費 75,600,000円 3%=2,268,000円 63 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 ③旧浜市小学校 科目 カフェ機能 植物工場機能 1.人件費 金額 5,688,000円 2.水光熱費 626,400円 3. その他販管費 522,000円 1.投資額 生産原価 8,500円/㎡ 2.原料費比率/総経費 10% 3.人件費比率/総経費 55% 4. その他生産原価費比率/総経費 29% 5. その他販管費比率/総経費 6% ※植物工場は広島県補助事業実績により設定 64 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 〈カフェ機能の試算〉 1. 人件費 ■前提条件 ・年間開館日数 360日(年末年始休館) ・一日の開館時間 8時間 ・スタッフはパートタイマーのシフト勤務 ・終日2名体制とする。 ・宮城県の職業安定所平均賃金(販売職)平成26年平均は 時給790円(10円未満四捨五入) ①必要人時 360日 8時間 2名=5760時間 ②パート賃金 790円 1,25(交通費・保険料など) 5760時間=5,688,000円 2. 水光熱費 ■前提条件 ・面積 117㎡ ・席数 1席/2㎡ 58席 ・回転率 1回転/日 ・客単価 500円 ・年間営業日数 360日 ・年間売上 58席 1回転 500円 360日=10,440,000円 ・水光熱費比率 8%/売上 ①水光熱費 10,440,000円 6%=636,400円 3. その他販管費 ■前提条件 ・その他販管費比率 5%/売上 ①その他販管費 10,440,000円 5%=522,000円 65 4.運営計画 【参考】廃校舎の利活用を住民主体で行う場合のポイント 国土交通省の調査(「既存施設を活用した集落活性化方策検討調査(平成22年3月)」によれば、ケーススタディ として廃校舎などの既存施設活用を住民主体で行う場合の管理運営ポイントは以下の通りとなる。 【管理運営】 ・まちづくり主体が指定管理者の指定を受け管理運営 ・廃校舎を普通財産化して跡地の活用範囲を拡大※ ・自治体がまちづくり主体に施設を貸し付け ・閉校となる以前に地域住民の参画を得た早期対応 【行政との連携】 ・既存施設を官民連携で活用 ・既存施設の無償貸付と活動主体の自主的運営の支援 ・既存施設活用のノウハウ支援 ・まちづくり活動主体の活動支援 【活動主体の組織体制】 ・リーダーとそれを支える人材配置による分業体制の構築 ・迅速な意思決定の体制づくり ・活動主体の後継者育成 ※廃校舎は「公有財産」であり、 「公有財産」は、 「行政財産」と「普通財産」に区分される。 「行政財産」は、一般的 に貸付、売却、譲渡、私権の設定は認められない。一方、 「普通財産」は、貸付、売却、譲渡、私権の設定などが 認められている。 学校は、行政財産(教育用財産)として管理されているため、公共的な用途以外の利用を検討する場合、 「普通財産」 化を図り、活用範囲を拡大することが重要となる。 66 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 【参考】廃校施設などの活用にあたり利用可能な補助制度 対象となる転用施設 事業名 所管官庁 地域スポーツ施設 スポーツ振興くじ (toto)助成 (地域スポーツ施設整備助成) 史跡などのガイダンス施設、 埋蔵文化財センター 地域の特性を活かした史跡等 文化庁 総合活用支援推進事業 (国宝重要文化財等保存整備費補助金) 児童福祉施設など (保育所、子育て支援のための 拠点施設を除く) 私立保育所、 子育て支援のための拠点施設 放課後児童クラブ 老人福祉施設など 次世代育成支援対策施設整備交付金 文部科学省 厚生労働省 (独) 日本スポーツ振興センター スポーツ振興事業部助成課 審査第三係 TEL:03−5410−9129 文化財部記念物課管理係 TEL:03−6734−2876 雇用均等・児童家庭局総務課 (児童福祉) TEL:03−5253−1111 (内線7824) 雇用均等・児童家庭局総務課 (児童福祉) TEL:03−5253−1111 (内線7824) 子育て支援対策臨時特例交付金 (安心こども基金) 放課後子ども環境整備事業 雇用均等・児童家庭局育成環境課 TEL:03−5253−1111 (内線7909) 地域介護・福祉空間整備等 施設整備交付金 (介護基盤緊急整備等臨時特例基金) 老健局高齢者支援課 TEL:03−5253−1111 (内線3928) 障害者施設など 社会福祉施設など施設整備費補助金 社会・援護局障害保健福祉部 障害福祉課 TEL:03−5253−1111 (内線3035) 都市と農村の交流拠点施設 山村・都市交流促進のための 自然体験学習・農業体験 学習などの拠点となる滞在型活動施設 農山漁村活性化プロジェクト 支援交付金 農山漁村の持つ豊かな自然や 「食」 を 都市農村共生・対流総合対策交付金 観光、教育、福祉などに活用する地域の 手づくり活動に必要な拠点施設 (農産物直売施設、体験学習施設、 福祉農園、移住・定住促進施設 など) ・介護・福祉農園などの附帯施設(休憩室) 「農」 のある暮らしづくり交付金 ・滞在型市民農園の休憩(簡易宿泊)施設 ・農産物処理加工施設、人材育成施設 など 農林水産省 農村振興局整備部農村整備官 TEL:03−3502−8111 (内線3098) 農村振興局農村政策部 都市農村交流課 TEL:03−3502−8111 (内線5451) 農村振興局都市農村交流課 都市農業室 TEL:03−3502−0033 67 4.運営計画 運営計画の基本的な考え方 対象となる転用施設 交流施設などの公共施設 事業名 森林・林業再生基盤づくり交付金 (木造公共建築物などの整備) 地域間交流・地域振興を図るための 過疎地域など自立活性化推進交付金 生産加工施設、資料展示施設、教育 (過疎地域遊休施設再整備事業) 文化施設、 地域芸能・文化体験施設など (過疎地域の廃校舎などの遊休施設を 改修する費用が対象) 旧合併特例法第5条に規定する 市町村建設計画に基づき 実施する事業 都市再生整備計画に位置付けられた まちづくりに必要な施設 所管官庁 林野庁 林政部木材利用課 TEL:03−3502−8111 (内線6127) 総務省 自治行政局過疎対策室 TEL:03−5253−5111 (内線5536) 市町村合併推進体制整備費補助金 社会資本整備総合交付金 (都市再生整備計画事業) 自治行政局市町村課 TEL:03−5253−5111 (内線5516) 国土交通省 都市局市街地整備課 TEL:03−5253−8111 (内線32763) 空き家住宅などの集積が居住環境を 社会資本整備総合交付金 阻害し、 又は地域活性化を阻害している (空き家再生など推進事業) 区域において、 居住環境の整備改善に 必要となる宿泊施設、 交流施設、 体験 学習施設、 創作活動施設、 文化施設 など 住宅局住宅総合整備課 住環境整備室 TEL:03−5253−8111 (内線39394) 既存公共施設を再編し、 ワンストップサービスの実現や サービスコストの低減を図る事業に 必要な施設整備 国土政策局地方振興課 TEL:03−5253−8111 (内線29543) 集落活性化推進事業 企業立地促進法により、国の同意を 対内投資など地域活性化立地 得た基本計画の対象区域内で、 推進事業費補助金 当該計画に基づいて成長産業における (企業立地促進基盤整備事業) 企業立地・産業集積形成のために整備 される貸工場・貸事業場 経済産業省 経済産業政策局 地域経済産業グループ産業施設課 TEL:03−3501−1511 (内線2781) 電源立地地域における地域住民の 福祉の向上に資するものとして 必要と認められる公共用施設 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部電力基盤整備課 電源地域整備室 TEL:03−3501−1511 (内線4766) 文部科学省 研究開発局原子力課 立地地域対策室 TEL:03−5253−4111 (内線4424) 電源立地地域対策交付金 出典: 「未来につなごう みんなの廃校プロジェクト (文部科学省)」パンフレット 平成26年4月現在 68 東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務 平成27年3月 東松島市復興政策課 業務名 平成26年度 東松島市震災遺構保存活用可能性調査業務 受託者 株式会社 丹青社 〒110-8549 東京都台東区上野5-2-2