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免疫応答とリンパ球
Title Author(s) Citation Issue Date 免疫応答とリンパ球 大原, 達 結核の研究 = TUBERCULOSIS RESEARCH, 34: 1-17 1974-03 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/26828 Right Type bulletin Additional Information File Information 34_P1-17.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 綜 説 免 疫 応 答 と リ ン パ 球 大 原 達 北海道大学結核研究所細菌部 (昭和 4 8年 9月 2 9日受付) 彼の樹てたクローン選択説の基盤に立って胸腺の免疫学 1.まえがき 巨視的な観察から微視的な観察へと向う研究の方向 的役割に注目し,免疫応答の本態は,抗原刺戟に対する リンパ球の増殖反応であると述べている。 は,現代科学の多くが辿りつつある 1つの趨勢であるが, 鳥類は胸腺のほかにファブリキウス嚢と呼ばれるリン 免疫学においても,免疫を 1つの生体現象として個体の パ臓器を有し,生れたばかりの雛からこれらの一方を外 レベノレでこれをとらえていた時代は過ぎ,今や分子レベ 科的に除去すると,それぞれ異なったタイプの免疫学的 ノレ,細胞レベノレから免疫の機構を追究せんとする研究が, 欠陥状態を起こす。すなわち bursa を切除した場合は 漸くその実を結ぼうとしている。かくて近年の免疫化学 免疫グロプリンのレベノレおよび体液性抗体応答に著明な の進歩は,抗体にいろいろなc1a s sのある事を発見し, 低下を起し 6-12),胸腺摘出は遅延型過敏性と同種移植片 遂にその一次構造の大略を明らかにした。 Edelman と 拒否反応 homograftr e j e c t i o nの欠如ないし減弱を来た Porterがこれによって 1 9 7 2年秋にノーベノレ医学生理学 す13-16)。臨床的な観察によれば,先天的に胸腺を欠く 賞を受賞した事は,我々の記憶にまだ新らしし、。かかる 患者 (DiGeorge症候群)は遅延型過敏性を示さず,そ 研究と overlapして,過去十数年来胸腺の意義,骨髄並 のリンパ球は phytohemagglutinin の 刺 戟 を 受 け な びに胸腺由来リンパ球の役割について非常に多くの業績 い1 0, 1 1, 1 7, 1 8 )。しかし,かかる個体の血中免疫グロプリン が貯積され,現在の免疫学は,免疫化学的な研究から細 量は正常であり,ある種の抗原に対しては十分な抗体を 胞動態学 cytodynamicsの時代に入ろうとしている。こ 産生する。これと反対に,先天的にトグロプリンを欠く こでは免疫応答の成立機構を細胞レベルにおいて解析 か,またはその量の著しく低い患者 (Bruton型無ガンマ し,免疫に与かるリンパ球の役割とその生物学的並びに グロプリン血症)は正常の胸腺を有し, 正常の遅延型過 免疫学的性状について先人諸家の成績を纏めてみたいと 敏性を示す 19)。 このような事実を綜合すると,免疫担当細胞 1mmu ・ 思う。 I l . 免疫担当細胞の機能と起源 A. 歴 史 的 観 察 n o l o g i c a l l ycompetentc e l lであるリンパ球には機能を 異にする 2つのタイプが存在し 1つは主として細胞性 免疫 c e l l m e d i a t e dimmunityを司り,他は主として体 免疫応答に関与する細胞が何であるかについて過去い 液性免疫応答 humoralantibodyresponseに関与する ろいろな説がたてられたが,今日で、は,少なくともその ものと考えられる。前者は胸腺に由来するリンパ球であ 主役を演ずるものがリンパ球である事に疑いをはさむ余 り , : 1 走者 ' ibursaに由来するリンパ球である。崎乳類 地はなし、。しかも,免疫に与かるリンパ球には 2つの種 にあっては,後者の型に属するリンパ球の起源は不明で 類があり,抗体産生に当たっては,両者の協同を必要と あるが,骨髄由来のリンパ球が機能的にみてこれに近い するニとが分って来た。この基本的な事実は,歴史的に ものと見なされている。 みると胸腺および鳥類における 7 ァブリキウス嚢 bursa これら 2種類のリンパ球は,これを形態学的に区別す F a b r i c i u s(哨乳類にあってはこれと同格のもの)の役割 ることは出来なし、。 しかし生物学的, が明らかにされた事に始まる。 なった性状を有し,細胞学的には異なったマーカーを持 1 9 6 1年 Miller1)は , 出生直後にマウスの胸腺を摘出 物理化学的に異 つ。両者は上述の如く免疫学的に異なった意義と機能を すると,末梢血リンパ球が激減すると共に,抗体産生が 有するが,同時にまた,体液性抗体産生に当たっては, 著明に低下することを認めた。同じ頃 Burnet2-5)は , 後述するように,互に協同作用 c e l lcooperationを営 2 x むものである。 c e l l(AFC) またはその precursor(AFCP)である。 B . T 細胞と B 細胞 線照射に対して T,Bj 可細胞は抵抗性に若干の相違があ 1 . 定義と主な性状 a d i o r e s i s t a n t,B 細胞は s e n s i t i v eとさ り , T 細胞は r T 細胞とは,胸腺由来細胞 thymus-derivedc e l lの略 れているが,その差は相対的なものに過ぎない。また同 称で,胸腺から末檎に放出されたリンパ球をし、う。胸腺 じく相対的であるが, B 細胞は T 細胞よりも免疫寛容 内に存在するリンパ球は,元来骨髄にその起源を持つ。 を起し難く,これを起した場合も持続期聞は短い 22)。 すなわち骨髄細胞の一部は胸腺に入ってニニで独特な分 2 . リンパ球の芽球化現象 b l a s t o g e n e s i s 化を遂げ,もとの細胞に無い特異抗原を獲得して胸腺細 ( a ) 定義 リンパ球は白血球の一種で,形態学的には 胞 thymocyte となる。その大部分は胸腺内で死滅する こ乏しく,球形の核とこれを取りまくこく少量の細 特徴i が , 一部の細胞*はさらに成熟してここを離れ,牌,胸 μ から 1 5 μ 以上に豆り,便 胞質を持つ。その大きさは 5 管内,各リンパ節などに移動する料。これが T 細胞であ 宜上 5-8μ のものを小リンパ球, 8-12μ のものを中リ 0 T細胞と胸腺細胞とし、う百薬は, る料 * 乎ぶ。古来,小 ンパ球,それ以上のものを大リンパ球と l ニこではっき り区別して用いたし、。後に述べるように,その免疫学的 リンパ球は成熟した細胞で、もはや分化しないものとされ ( 7ーカー ていたが,この考えは訂正され,現在は抗原刺戟によっ 並びに生物学的性状は互に異なるからである .の 4参照)。胸腺細胞自体は免疫 の差違については B て小リンパ球も分裂増殖することが知られている。この 学的な活性に乏しいが, T細胞は十分な免疫機能を備え, 重要な発見の契機になったのは, Nowe 1l 23 • 24 ) の観察で c e l l m e d i a t e d immunity の主役を担うことは前節に述 ある。彼はヒトの白血球を培養して,これに 7 メ科植物 e l l とL、う言葉の代 べた通りである。 thymus-derivedc phaseolus v u l g a r i s (インゲンマメ)の抽出物である e l l という りに,胸腺依存性細胞 thymus-dependentc phytohemagglutinin(PHA)を加えたところ,培養 2 4 表現を使う学者もある。 時間頃から小リンパ球に形態変化が現われはじめ, 48- B 細胞と呼ばれるリンパ球は,骨髄由来の細胞 bone 72時間後にはその大半が大型化するのを見た。大型化 marrow-derivedc e l lで,胸腺を通らずに末梢に放出さ したリンパ球は分裂を起こす状態になっており,芽球様 れ,やがて抗体産生細胞またはその前駆細胞となる。 l a s t o i dc e l lに な っ て や が て 分 裂 m i t o s i s を起 細胞 b 胸腺細胞もまた骨髄に由来することを考えると bone す。かかる芽球化 b l a s t o i dtransformationは , PHA marrow-derived としづ言葉は必ずしも適当でなく, のような非特異物質ばかりでなく,特異的な抗原刺戟に thymus-independentc e l l,non-thymus-derivedc e l l, よっても起る。 Nowellの 報 告 か ら 3年後, Paermain bursae q u i v a l e n tc e l l などの表現をとる学者もある。 ら25)はツ反応陽性者のリンパ球を PPDと共に培養し, B 細胞もまた T 細胞と同様に牌やりンバ節などの末梢 同様な芽球化とリンパ球の分裂を観察した。 リンパ組織内に存在し,細胞表面に抗原と結合するため nv i t r oまたは i nv i v oにおいて,小リン このように i e c e p t o rを持つ。ニの r e c e p t o r の性状は免疫グロ の r パ球が特異的または非特異的な因子により,大型化,幼 プリンに極めて近いもので,その特異性は産生される抗 l a st o g e n e s i sとL、 う 。 右イヒ,芽球化する変形現象を b 体と同ーか,または類似のものとされている。 T細胞も 芽球様細胞は 20-30μ の直径を有し,細胞質はよく発 e c e p t o rを有するが,これ また抗原と結合するための r 達して強し、好塩基性,好ピロニン性を示す。 PHAによ が免疫グロプリン様物質であると L、う確証はない。これ る芽球化現象と抗原によるそれとが同じメカニズムによ を要するに T 細胞は抗原と反応する細胞 a n t i g e n - r e a c t i v ec e l l(ARC)であるけれども抗体を産生する事は ないのに対し, B細胞は抗体産生細胞 antibody-forming キ 料 るか否かは議論の余地があるけれども,形態学的には両 者の聞に差を認めない。 , ( b ) 特異的並びに非特異的 mitogenに対する T B 成熟動物では,約 1 7 0程度の胸腺細胞が末梢に放出されるに過ぎな L。 、 マウスでは末梢血の 70%,胸管の 80%, リンパ節の 70%,牌の 3 0 7 0,Peyer板の 20%のリンパ球が T 細 胞である 20)。 料* 胸腺を出た T細胞は末梢のリンパ組織に長く止まらず,リンパ管から胸管を経て血行に入り,更に毛細管を e c i r c u l a t i o n とL寸。しかし,もし特異抗原が生体 通ってリンパ節へと,体内を移動する。これを再循環 r に与えられると, T細胞は抗原の存在する局所のリンパ組織に停留する 21)。このように T細胞には循環性が あるのに反 C,B 細胞には定着性があるので, 胸管を開いてリンパ球を持続的に流出させると ( t h o r a c i c ductd r a i n a g e ),主として T 細胞が澗渇する。 3 nv i t r oで b l a s t o 両細胞の比較特異抗原に対して i に対する r e s p o n s eが殆んど、無いのに,両タイプの細胞 g e n e s i sと m i t o s i sを起こすリンパ球は T 細胞に限ら を一緒に与えると十分な抗体産生の起こることを観察し れ , B細胞は一般にこのような反応を示さない。非特異 た。すなわち B 細胞は T 細胞のへノレパ一作用がないと T細胞, B 細胞にそれぞれ 抗体を産生しなし、。ただしこの種の抗原でも非常に大量 的な mitogenに対しては, 特有な p a t t e r nがある。 T 細胞は PHAによって m i - t o s i sを起すが, B 細胞は起さなし、。ただし胸腺細胞は を用いた場合には, T細胞の欠損を一部分補うことが出 3)らの実験に 来る 3 2 )。抗原に SRBCを用いた S i n c l a i r3 T 細胞と違って, PHAに殆んど反応しないとされてい よると,胸腺摘出マウスが正常マウスと比較し得ベき応 る2 6 )。また PHAは,これをセフアローズに結合せしめ 答を示す為には,約 1 0 0倍量の抗原を必要とした。なお, て不溶性にすると, B細胞を刺戟して免疫グロプリン産 胸腺除去によって免疫反応の低下を来たすのは 19G応 7 )がある。ナタマメから得られる 生を促すと L、う報告 2 答に限られ, 1gM応答は一般にさほど影響を受げないと ConcanavalinA は , T細胞のみならず胸腺細胞もよ く刺戟するが, Stoboらお)によると少なくとも幼若動物 においては,胸腺細胞の大部分がこれに反応しないとい されている 3 2, 3 4 3 7 ) 。 i i 胸腺非依存性抗原 thymus.independentantigen これに属する抗原は T細胞の h e l p e r作用なしに抗体を P h y t o l a c c aa m e r i c a n a )から う。アメリカヤマゴボウ ( 産生し得る。従ってこの種の抗原に対する免疫応答は胸 得られる pokewe巴dmitogen(PWM)は T 細胞ばかり 腺摘出によって何の影響も受けない。例えば S . a d e l a i d e でなく B 細胞をも s t i m u l a t eする。これに反し,肺炎 から抽出した p olymericformの f l a g e l l i n(POL)はそ o p o l y s a c c h a r i d eは 双球菌や腸内細菌から得たIip の例である。しかし同じ f l a g e l l i nでも monomericform B 細胞に対してのみ分裂を誘起し, T 細胞に対しては m i - のものは胸腺の関与を必要とするお)。抗原が thymus- togenて 、 な し 、2 8, 2 9 ) 0 dependentであるか independentであるかを決める要 ( c ) T 細胞の産生物 T細胞は,抗原と反応していろ いろな物質を遊離・分泌することが知られている。その 主なものの名称を挙げれば macrophagem i g r a t i o n 素は,抗原決定基の配列状態にあると考えられ 3 8 ),恐ら く同じ決定基の繰返し構造が非依存性に関係しているも のと思われる 3 9, 4 0 ) 0 POLのほかに,肺炎双球菌や腸内網 i n h i b i t o r yf a c t o r(M1F) ,Iymphotoxin ,m itogenicf a c - 菌のIip o p o l y s a c c h a r i d e(LPS),p o l y v i n y l p y r r o l i d o n e r a n s f e rf a c t o r,s k i nr e a c t i v ef a c t o r,chemotactic t o r,t (PVP),keyholel i m p e themocyanin ( K L H ) 4 1 ),Bru2) 2) c el 1a4 ,f e r r i t i n4 ,MS2ファージ 4 3 )などは良く知られ n t e r f e r o n等で, f a c t o r,i これらを総称して Iympho・ k i n e sと呼ぶ。 た胸腺非依存性抗原である。ただし KLHに関しては必 3 . 胸腺依存性による抗原の分類 ずしも報告が一致しておらず,これを胸腺依存性抗原に ( a ) 胸腺依存性抗原と非依存性抗原生下時に胸腺摘 数える学者もある 4 4, 4 5 )。 出手術を受けた 7 ウスは,免疫応答が著明に低下するこ 上記抗原のうち P VP46),E .c o l il i p o l y s a c c h a r i d e4 7 ) , とを 1 1 . の A( 1頁)において述べた。これは,胸腺を失 肺炎双球菌の SSS1 I I 4 8 )のような抗原は単に T 細胞を e なうことによってここから放出される T細胞が澗渇 d 必要としないばかりでなく, T細胞の存在はかえってこ p l e t eするためである。 れらの抗原に対する免疫応答を障害し,胸腺を取り除く しかし免疫応答に及ぼす胸腺摘 出の影響は,用いられた抗原によって著しく異なる。あ ことによって著しく昂進した抗体産生を示す。そのメカ T細胞を強く必要とする ニズムは明らかでないが,恐らく①免疫反応に対し阻 が,ある抗原はさほど必要とせず,また,ある抗原はむ 止的に働く寿命の短い T細胞が除去されるためか,ある る抗原は抗体産生に当たって, しろ T 細胞の無い場合に強い応答を示す。かかる胸腺 いほ②胸腺摘出によって代償的に B細胞が増加するた 依存性の有無によって,抗原を 2つに分類することが出 めではなし、かと想像される。 Kerbelら岨)はこのような thymus-independentantigenを“ n e g a t i v e l ythymus- 来る。 i 胸腺依存性抗原 thym u s -dependentantigen <' ウスの実験に好んで用いられるヒツジ赤血球 (SRBC) dependenta n t i g e n " と呼んで、いる。 ( b ) 胸腺依存性の種属による差違上記のような T細 はその代表的な例で,抗体産生に当たり T細胞の助け 胞要求性の区別は,動物の種属によって態度が異なる。 ( h e l p e rf u n c t i o n ) を必要とする。最初にこの事を実験 例えば,マウスにおいて SRBCは thymus-dependentの 0, 3 1 )であった。彼らは X 的に示したのは, Claman一派3 抗原であるが,ラットにおいては t hymus-independent 線照射によってリンパ球を死滅させたマウスにおいて, の抗原である 4 9, 5 0 )。 胸腺細胞または骨髄細胞を単独に与えた場合は, SRBC ( c ) 胸腺依存性の転換 thymus-independentの抗原 4 hymus-independentの抗原に転換せしめることが を t 出来る。 Anderssonら5 1 ),Mollerら鈎)は E .c o l iの LPS を SRBCまたはウマ赤血球に c o a tすることにより,赤 表 1 CBAマウスの免疫担当能力に障害を与 えた場合における末梢リンパ組織中の 0 抗原保持細胞百分率第 Lymph 血球を胸腺非依存性抗原に変化せしめた。すなわち胸腺 ;:;d~~' S p l e e n Blood 摘出,致死量の X線照射後骨髄細胞を投与したマウス に れ を TXBマウスと時記。骨髄細胞投与によって保護 すると,動物は死から免かれる)は, SRBCを単独に接 種した場合殆んど免疫反応を示さないが, LPSをこれに Normal(CBA) ALSt r e a t e d(CBA) Neonatalthymectomy(CBA) ∞ 6 5 1 0 1 0 3 5 5 5 7 0 5 2 0 5 2 0 c o a tすると, SRBCに対する反応は対照である NXB, . , . A d u + l t 9t h R y m + e f c e t t o a m l l y i v e r(CBA) ウス ( non-thymectomized,l e t h a l l yi r r a d i a t e d and Nude( c o n g e n i t a l l ya t h y m i c ) <10 bonemarrowr e p o p u l a t e dm i c e )と同程度に抗 SRBC 応答が現われる。 この場合興味あることは, TXB"<ウ o l e r a n c eの状態にしておくと スを予め LPSに対して t n t i L P S血清を 反応は増強し(胸腺非依存性が高まる), a <5 * Ra 任 , M.C: i n“ C e l lI n t e r a c t i o n s and Rec e p t o rA n t i b o d i e si n Immune Responses t al . ) , p .8 4,Acad. P r e s s . ( e d,O.Makelae 1 9 7 1より。 与えれば反応が低下することである。 LPSは,これを血 表 2 成熟 BALB/cマウスにおける T 細胞の分布* o a tすることが必要で,別々のノレートで両者を接 球に c 種しても上記の効果は見られない。また同じく胸腺非依 存性抗原である PVPには, LPS のように SRBCを 1ム ∞∞凹何回おおお ゐ v d egLo f a c t o r *や細網系細胞の影響を受けつつ分化したもので PSF-w 腺に入り,ここで胸腺の特異な環境,特にその humoral 崎 前述の如く,胸腺のリンパ球は,骨髄細胞の一部が胸 唱 ( a ) 胸腺細胞および T 細胞の同種抗原 a l l o a n t i g e n 円$ 市山 4 . マウス・リンパ球の同種抗原 b と考えられる。 eo t V63i ac 電 の代用をすることが依存性転換のメカニズムではないか ﹂h なしつ, B細胞の DNA合成を刺戟し,部分的に T 細胞 8 p o s i t i v ec e l l s (%) toH [山沖白砂川 ・札u r るので2 8, 2 9 )(3頁参照。 T 細胞に対しては mitogenで S0 胞に対する非特異的 m itogen であることが知られてい T i s s u e l s s u e ︽ n o - - a 渇 P c バ,n 、 a u に 1 LU1n's 団問 d p 況 。, r 戸 α 旧 m b・ 1 h h ' k y ,NF 引 句 TTBLSPP i n d e p e n d e n tの抗原に変える作用がな L。 、 LPSは B 細 * 向上, p . 8 5より。 a : (CBAxC5 L / 6 )F1マウス。 7B 0・ AKRと名付けられている。両者は抗原的に異なって ある(胸腺リンパ球の一部は,胎生期に胸腺上皮細胞から 8・ AKR)は AKR株と RF株のマウスがこ おり,後者 ( 6) 分化するという説もあるが 5 2 5 5 ),W e i s s5 ,Owenら5 7 ) れを有し,前者 ( 8 ・ C3 H )はそれ以外の多くの s t r a i n,例 H,A,BALB/c,C5 BL,DBA等のマウスに見 えば C3 7 はこれに疑義を述べている)。 胸腺細胞の特徴は,骨髄細胞が最初に持っていた H-2 8 )。胸腺細胞は殆んど 1 ∞%近く 0抗原を持 いだされる 5 抗原を失 L、(完全にではなし、),新たに θ抗原を獲得する つが,これが末梢に出て T 細胞になると 0抗原は減少 5 8)によって初め e i fandAllen ことである。。抗原は R し,代わって組織適合抗原 H-2が再び現われて来る。。 て記載されたもので,胸腺に特異的な抗原であるから, 抗原はまた脳にも存在する。その根拠は,胸腺細胞に対 l l o a n t i g e nは B 細胞と鑑別するためのマーカー この a n t i 8血清の c y t o t o x i c i t yが脳組織によって吸収 する a として役立つ。表 lは正常 CBAマウスのリンパ球とこ 9, 6 めからである。 される 5 れに T 細胞を澗渇せしめるような処置を加えた場合に さらに,胸腺細胞には T L 6 1 ),L y A 6 2 ),L y B 6 2 入Ly- ついて 0を持った細胞の百分率を示したものである。ま C 6 3 ),Grx 臼)と名付けられる a l l o a n t i g e nが存在する。 た成熟マウスのいろいろな組織における T 細胞の分布 TL 抗原は,マウス白血病の研究から見いだされた抗原で を表 2に示した。 (TL=thymusl e u k e m i a ),この項に記載する他の a l l o a n 司 マウスの場合, 8には 2種類あり,それぞれか C3H, * 骨髄細胞に胸腺抽出物を作用させると, t i g e nと異なり,胸腺細胞だけに存在し, 末梢のリンパ T 細胞の特徴である θ抗原が出現してくる事を示した報告94)がある。 5 l l o a n t i g e nの分布 表 3 マウス各系における Ly-A,Ly-B,Ly-Ca (Boyse,E .A.e t al . : Transplantation,1 1,3 5 1,1 9 7 1より) 、 3 v Al Ioantigenspresent Ly-C ーょっ ょっ“ヮ“ M1i1 ム っ “ 1 11121222 B一 T 一1 1 2 1 2 1 2 2 L一 Ly-A Mouses t r a i n sa L y o n ),DBA/2 C3H/An,C3Hf/Bi,CBA/T6( 8 ,PL/J,Cs 1 ,Ly-C・ 1( N 7 ) AKR,RF/J,CS 7BL/6-Ly-B・ C S 7BL/ 6-Ly-A・ 1( N 8 ) 1( N 8 ),CEjJ, , 1 GRjA Cs 7BLj6-Ly-B・ N 1 3 ) ,Cs j J,BALBjc,SJLjJ, CS7BLj6,Cs 7BLj6-H-2k( 7BLjlO A,A.S W,1 2 9,LPjJ、NZB,S羽TR,Cs 7BR/J,H-2H,H-2I, STjbjJ,DA/ HuSn! J a . Jの記号あるものは Jacksonl a b o r a t o r y から購入,他は Boyseらが飼育, 一 : このような分布 の系はマウスに存在しな L。 、 球には存在しなし、。 マウスの s t r a i nは TL抗原を持つ 存在する。 Kondaら6 9 )は前者を Thi(=thymusincom- TL+系とこれを持たない T L -系とに分けられるが,い p e t e n t ),後者を Thc(=thymuscompetent)と呼んでい ずれの系のマウスからも TL+の白血球細胞が発現す る。要するに後者は T細胞に近い性状を有するもので, る。従って TLを合成する遺伝子は両方の系に存在し, この意味から,胸腺髄質は胸腺細胞から T 細胞への成熟 TL一系は何らかの理由でその発現が抑えられているも を遂げる場所と考えられる 70)。かかる成熟細胞はやがて のと考えられる。 Ly抗原 (Ly=lymphocyte)は胸腺細胞 胸腺を出て末梢に入るもので,干写言すれば,胸腺細胞と に高濃度,末梢 T細胞に低濃度に存在し, A,B,Cの T細胞の主な相違点は,後者が十分な免疫担当能力を持 いずれも 2つの a l l e l eよりなる遺伝座に支配される。こ つ事,低い密度の θ抗原と高い密度の H-2抗原を有し, れによってそれぞれ Ly-A・ 1または Ly-A・ 2,Ly-B・ 1 TL抗原を全く欠如する事である。 または Ly-B・ 2,Ly-C・ 1または Ly-C・ 2が発現する。 ( b ) 骨髄細胞および B細胞のレセプター マウスのいろいろな系統における Ly抗原の分布は表 3 T細胞が体液性抗体を産生する事がない 71)のに対し, の如くである。 このほか末梢の T細胞にのみ認められ B細胞は抗体産生能を持つ(あるいは抗体産生細胞の前 l l o a nt i g e n として, MSLA65)(mouses p e c i五cpe るa 駆細胞となる)。従って B 細胞は,抗原と反応するため ripherallymphocytea n t i g e n )が記載されている (T細 2 8 8 )のが特色で の免疫グロプリン様レセプターを持つ 7 司 II . の 胞上の免疫グロプリン様レセプターに関しては I ある。ゆえにリンパ球の populationを 適 当 な 稀 釈 の A.の 2において述べる〕。 a n t i c血清と補体で処理すると, B 細胞を除くことが出 前述の如く,胸腺細胞は末梢の T 細胞に較べると免疫 来る。また B細胞は抗原抗体結合物に対するレセプター T細胞 を持つから, B細胞を抗体と共に incubate した後,対 に比して抗原の uptakeは殆んど無いに等しし、 6 6, 6 7 )。胸 応する抗原で c o a t したビーズのカラムを通すと, T 細 学的な活性を欠き, i nv i t r oの実験においても, 腺リンパ球の大多数,すなわち約 85%(学者によりこの 胞だけが e f f i u e n tに出てくる。これらの操作はリンパ球 数字は多少異なる)はこのように活性が低しその細胞 浮器産液から T 細胞を分離するのに利用される。 しかし 学的な特徴は, 高レベルの O抗原と極めて少量の H-2 細胞表面の免疫グロプリン ( s u r f a c eimmunoglobulin. 抗原を持ち,ステロイドに感受性が高く, PHAの刺戟 s I gと略記)はすべての B 細胞が持つ訳ではなし、。細胞 を受けない 6 8 )ことである。かかる胸腺細胞は主として 内部にこれを含有する B 細胞は s I gを欠くか或いは極 皮質 cortexに存在する。 これに対し少数の胸腺リンパ めて少なく,また細胞内,細胞表面のいずれにもこれを 球すなわち約 15% (同前)は,。抗原の数(密度)が少な 持たない B 細胞も可なり存在する 8 9 )0 s I gの H 鎖は主 く比較的 H-2抗原に富み, ステロイド抵抗性で PHA に感受性を示す。かかる細胞は主として髄質 medullaに として μであるが,日鎖, r 鎖も報告されている 90)0 B 細胞は s I gの ほ か に MBLA抗原 9 1 )(mouses p e c i f i c 6 ( c ) T 細胞と B 細 胞 の 比 較 bone marrow-derivedlymphocytea n t i g e n , ) , CR抗 原 92) (抗原・抗体・補体複合物に対するレセプター), PC T 細胞, B細胞の両者を鑑別する諸性状をまとめ, 抗原93) (形質細胞抗原)等の a l l o a n t i g e nを持つ。 表 表 4に示した。表には,これまで述べた諸点および後に 4 T細胞と B細胞の性状比較 T 目 項 。 B 細 胞 細 胞 細胞表面の同種抗原 抗 TL 抗 Ly 抗 H-2 抗 お1SLA MSBA PC 抗 原 十 原 _1) 原 十 lowd e n s i t y 原 十 十 + + 原 表面免疫グロプリン 存 否 存否両論あり 存 5分子以上 細胞当り 1 0 状 03分子以下 細胞当り 1 L鎖のみ 2),または IgX d e n s i t y 性 在 H鎖l 主主として μ 表面レセプター + 抗原に対し C3 対 十 し 十 免疫複合物に対し 十 処理に対する感受性 X 照 線 射 コノレチコステロイド r e s i s t a n t3) T細胞より感受性大 4) s e n s i t i v e ALS5) 感受性高い 感受性低い 感受性低い Mitogen に対する反応 PHA PWM 十 + 十 菌体リポ多糖体 十 免疫学的機能 抗体産生 抗体産生せず,へノレパー作用 抗体産生細胞に分化 細胞性免疫 遅延型, GVH 反応,移植免疫の主役 関与しないかまたは補助的 産 lymphokine 免疫グロプリン 生 物 免疫記憶 獲 免疫寛容 なり易く回復遅い 分 獲 得 なり難く回復はやい 布 末 胸 リ 梢 血 管 ンパ節 牌 注 得 90%以上 80-85% 75% 35-40% 1 ) 胸腺細胞のみ TL抗原(+) 2)μ 鎖を持つという報告もある 3 ) 胸腺皮質細胞は s e n s i t i v e,髄質細胞は r e s i s t a n t 4 ) 骨髄を離れる前の細胞は r e s i s t a n t 5 ) a n t i l y m p h o c y t es e r u m . 10%以下 15-20% 25% 60-65% 7 述べる性状のほかに,本文では記述を割愛した項目も含 免疫応答におけるマクロファージの関与がどれだけの 意義を持つものかについて,解明すべき点は残されてい めである。 るが,概括的に言うと,マクロファージは抗原を取り込 1 1 1 . 免疫成立の細胞学的機構 み,これを処理してより効率のよい情報を与え得る形に 生体が免疫応答を行なうには,少なくとも 2種ないし 変え,しかる後抗原刺戟をリンパ球に伝えるものと考え 3種の,異なった c e! ll i n eに属する細胞がこれに関与す られている。確かに KLH,HSA,BSAのような蛋白抗 n t i g e n p r o c e s s i n gc e , l ! る。すなわち①抗原処理細胞 a 原は, ② a n t i g e n r e a c t i v ec e l l(ARC)および③抗体産生細 (マクロファージ)と結合した形で与えた方が,免疫原性 これを f r e eの形で与えるよりも腹腔内診出細胞 胞 antibody-formingc e! l(AFC)の 3つである。しか は高い。しかし 7 クロファージはすべての抗原に必要な し現在,免疫に関する細胞は,学者によっていろいろ異 わけでなく,抗原の種類やその立体構造により,あるも なった名前が与えられている。例えば, Sercarzand 9 5)の“ X-Y-Z"c Coons e l l,Clamanら31)の a u x i l i a r y のはマクロファージを必要とし,あるものは必要とせず, あるものはその中間の態度を取る。 Mosier102)はマウス f f e c t o rc e l l,Daviesら9 6 )の r e a c t o rc e , l ! c e!lおよび e の牌細胞を試験管内で培養し,容器のプラスチックに付 Kennedyら9 7 )の a n t i g e n s e n s i t i v ec e l l,Shearerら9 8 ) e l lpopulation 着するものと付着しないものとの 2つの c のa n t i g e n s e n s i t i v eu n i tまたは precursoro fp l a q u e - を得,前者を“ macrophager i c h "population,後者を formingc e l l,恥1akinodanandA l b r i g h t 9 9 )の PC1お “lymphocyter i c h "populationと名付けたが, いずれ よび PC2 などはその例である。ここでは最も普遍的に i l l e randM i t c h e l l100)の上記命名を 用いられている M 産生はみられず,両方の populationを混ぜ合わせた時 の population も単独にヒツジ赤血球と混ぜた場合抗体 採ることにする。なお a n t i g e n r e a c t i v ec e l l *は訳さな のみ抗体が作られるのを見た。 Sjobergら103) も,異種 い方が意味が明瞭なので,邦訳は与えないことにした。 nv i t r oの免疫応答には adherentc e! l 赤血球に対する i これら 3つの細胞タイプのうち,抗原処理細胞はマク (マクロファージと考えられる)と non-adherentc e l lリ ( ロファージであり, ARC'土 T 細胞, AFCは B 細胞で ある。ただしこれは免疫応答における細胞聞の相互作用 ンパ球)の両者が必要なことを報告している。 さてマク を極度に単純化して述べたもので,以下の記述もこのよ ロファージから T 細胞ないし B 細胞へ伝達される因子 については,これを①抗原情報を持ったマクロファー うに取り扱うが,実際は抗原の種類や動物の種属によっ ジ RNA(immunogenicRNA) と す る も の と ② 抗 原 て異なり(例えばウサギ。 1 2 頁参照),必ずしも一概に公 と結合した RNA,すなわちいわゆる superantigen と 式化し得るものではないことをお断りしておく。 考えるものがある。第 1の説を最初に唱えたのは F i s h - 第一次免疫応答は, ARCがマクロファージの助けを 1 0 4)である。彼は T ファージと共に i man nv i t r oで培 2 o t s e l f 借り,またはこれを借りずに,抗原を「非自己 Jn 養したマクロファージから,抗原を含まない RNAを抽 として認識することに始まる。 ARCすなわち T 細胞 出し,次いでこれをリンパ球と共に培養すると,ファー は,抗原と反応するけれどもそれ自身は抗体を産生する ジに対する中和抗体が産生されるのを観察した。この場 ことが出来ず,その役割は,抗体産生に必要な刺戟ない 合 , 1頁)で B細胞に与えるの し情報を適当な方法(後述, 1 られない。この事から,抗原情報を持ったマクロファー に止まる。 B細胞はこのような刺戟を受けることによっ ジの RNAが抗体産生の主役を担っていることが分る。 て AFCまたはその前駆細胞 (AFCP)となり,抗体産生 これに対し,第 2の考えをとる Askonasら1侃)や F r i e d - を営む。抗原の一次刺戟を受けると, AFCを生ずると 0 6 )は,粒子状の抗原がマクロファージに取り込 manら1 リンパ球を T2 ファージと共に培養しても抗体は作 共に免疫記憶細胞 memoryc e l lと呼ばれるものを生じ, まれて処理され,適当な大きさの抗原に変わると共に これが第二次免疫応答を起こす細胞である。かかる免疫 RNAと結合してより有効な抗原となり, 記憶は T 細胞にも B 細胞にも存在する。ここでは紙数 球に受け渡されるものとみている。 この場合の RNA の都合上免疫記憶については割愛し,抗原認識機構と抗 は,前者のような抗原情報を持つものでなく,非特異的 体産生機構について細胞レベルから観察してみたい。 に抗原性を高めるアジュパント的な作用を持つに過ぎな A . 抗原E 宮、識機構 いと考えられる。上記のような t h r e e c e! lmodelは Tal- 1 . マクロファージの役割 これがリンパ ) , P i e r c eら1田)によっても唱えられている。 mageら1部 * a n t i g e n r e a c t i v ec e l lを字義通りに解釈すれば AFCもまた「抗原と反応する細胞」であるが, Abdouら101) も注意しているように,抗体を産生する細胞に対してはこの言葉を用いるべきでない。 8 2 . T 細胞の抗原受容体 ターを持つことが当然期待される。これに対する諸家の ARCすなわち T 細胞が抗原を認識するに当って,抗 意見は現在一致しておらず, Ra 任ら 7 6, 1 8 4 )は 1mmuno・ 原に特異的に働くのか,それとも非特異的な,マクロ 7 f l u o r e s c e n c eおよび immunoradioautographyにょっ ァージの抗原処理に近いものなのか,については議論の て T 細胞の表面に Igレセプターを認めることが出来 余地を残しているが,現在 T 細胞が抗原を特異的に認 ず ,P e r n i sら 7 7 ) ,R abellinoら7 8 ),Unanueら7 9 ),Lamelin 識するものであることは,ほほ確立されたと言ってよ ら8 9 ),Takahashiら9 3 ),V i t t e t aらlll) も T 細胞表面にお い。然りとすれば,正常個体の T細胞が抗原を読みとる ける I gレセプターの存在を否定している。これに対し, ための機構,すなわち抗原に対する何らかのレセプター I gレセプターの存在を認める学者もまた少なくなし、。 を先天的に持つことが前提条件になる。この考えはク 一般に Igレセプターの存否が議論を呼んだ原因の一端 ローン選択説の立場をとる事になるが,次のような事 は , T 細胞表面の I gが存在するにしても極めて微量な 実は,少なくとも部分的にこの説を支持するものと言え ことにあると考えられる。 Greyら1 1 2 )によると, B細胞 6 0 個あたりの Ig量が 30-90ngであるのに対しへ は1 ょう。 ( a ) antigens u i c i d e 細胞障害性の強い放射性向位 元素を標識した抗原で動物を免疫し,一定期間後にラベ 牌およびリンパ節の T 細胞 I gは 1 06個あたり 0. 4-0.6 ng,胸腺細胞のそれは 0.04-0.09ngの微量に過ぎない。 ノレしない同じ抗原を注射して免疫応答を調べてみると、~ossal ら 90) も同様に, T 細胞の Ig レセプターは B 細 抗体は産生されないかまたは著しく産生が低い ( s u i c i d e 胞の I gレセプターに較べ 2桁ないし 3桁低いことを報 t e c h n i que) 13 , 1 0 7, 1 0 8 )。しかしこの動物の他の抗原に対す 告している。一方, T 細胞の I gは大部分が細胞膜の内 る応答は正常に保たれる。この事実は,ラベノレした抗原 部に埋没しているため,元来 B細胞とほぼ同程度の量を e c e p t o rを持った細胞が,抗原と結合する事 に対する r 持つにも拘らず, a n t i I g血清が働かないのではないか, によって放射性元素の働きを受け,死滅した事を示して とL、う可能性も考え得る。そこで Greyらは 1 1 5 ), ① いる。ただしこれだけでは r e c e p t o rを持った細胞が T detergent処理,② u r e a a c i d処 理 お よ び ③ 凍 結 融 解 0 7 )は v i r g i n 細胞か B細胞か明らかでないが, Bastenら1 の 3つの方法で, B細胞を除いた牌の T 細胞および胸腺 Tc e l lの表面に r e c e p t o rが存在すると考えている。 細胞の s u r f a c eI gおよび t o t a lIgを定量した。その結 ( b ) ロゼット形成作用正常マウスの牌細胞浮滋液を 果,処理リンパ球は I g量が 2倍ないし 4倍に増加する 作ってヒツジ赤血球と混合し,一夜 4Cに放置,これを のを認め,これが 再浮世産させて顕微鏡下で観察すると,細胞表面に赤血球 証拠はないとしながらも, T 細胞, B細胞聞に I gのあ o s e t t eを作っている像がみられ が付着していわゆる r まり大きな量的差違はないと述べている。 Hammerling 0 T細胞に埋没された Igであるという る。この事は,マウスのリンパ球がヒツジ赤血球に対す ら1 1 6 )も同様に,マウスは T 細胞も B細胞もほぼ近い量 e c e p t o rを ap r i o r iに持っていることを示してい るr のs I gを持つと L、 う 。 Greyら1 1 5 )はマウスに増殖した る 。 B 細胞もロゼットを作るが, r o s e t t e f o r m i n gc e l l 8 b e a r i n gの lymphomac e l lについて,前記 3つの方 (RFC)の大部分は胸腺特異抗原を持つので,胸腺由来の 法で K 鎖と μおよび ものと考えられる。かかる RFCはマウスの牌全体で はJ12 5でラベルした抗 L鎖抗体によるオートラジオグ 1 , 000個から 4, ∞0個存在する 1 0 9, 1 1 0 )。 ( c ) アロタイプ血清による b l a s t化 r 2鎖を証明した。 Bankhurstら1 1 7 ) ラフィーにおいて, 6時間露出では B細胞だけにしか L 同系動物の間で 鎖を証明出来なかったが,露出時聞を 30日から 60日に も免疫グロプリンは個体を認識するアロタイプ抗原を 延長すると T 細胞にも L 鎖 抗 原 が 検 出 さ れ る の を 見 持っている。かかるアロタイプ抗原に対する抗血清を正 た。更にまた, T 細胞を抗 I g抗体で処理すると GVH 常リンパ球に加えて培養すると,大部分のリンパ球は幼 反応や遅延型過敏性が低下すること 11~) , h a p t e n c a r r i e r 若化現象として b l a s t化する。この事は,殆んどのリン 系抗体産生におけるヘノレパー作用が g レセプターは 1 05個程度である 7 8, 1 1 3, 1 1 4 )。 *数に寸ると, B 細胞 1個あたりの I 9 有することを示す 1つの事実と見てよいであろう。かか 胞が異なった部分を認識することが考えられる。 Senyk るI gレセプターの性質に関しては,これを IgMなし、し ら1ぬ)は 29のアミノ酸から成る glucagonに対する応答 IgM様物質とするデータ 90.116.124.125)がある一方 e p t a d e c a p e p t i d eに を調べ,抗体の特異性は N 末端の h L鎖 は証明されるがこれまでに同定されている既存の H 鎖 向けられているが,牌とリンパ節の T細胞は C末端の は検出できないとするもの 118.126),新らしいタイプの免 dodecapeptideによって刺戟され DNA合成を行なう 疫グロプリン, IgXであろうとするもの 127)などいろい ことを観察した。すなわちこの実験において, ARC と ろな報告があって,その本態はし、まだ明らかでない。 AFCのレセプターは質的に異なっており,前者は C 末 3 . T 細胞上の Ig様レセプターと B 細胞 Ig c h i r r 端を認識し,後者は N 末端を認識する。同様に S 同 macherら1(0)は BSA,メチノレ化 BSA,ハプテン等を用 レセプターの関係 量的な相違は別として, T 細胞もまた I g様のレセプ いた実験で, T細胞と B細胞が BSA分子上の異なった ターを持つと L、う事実が積み重ねられてくると,次に問 e p i t o p eを認識する可能性を示している。 gレセプターとの関係であ 題となるのは B細胞の持つ I B . 抗体産生機構 る。両者の聞には,抗原に対する態度に若干の質的,量 的な差違が認められる。言い換えれば両者は抗原に対す る感受性と特異性において多少異なる点を持つ。 ( a ) 感受性の相違 1 . hapten.carrierconjugate応答における 細胞間協同作用 抗体産生に当たって,起源、と機能を具にする 2種の細 T 細胞は B細胞に比し温かに少 胞の協同 c e l lt oc e l l cooperation ( c o l l a b o r a t i o n, 数のレセプターを持つに過ぎないが,抗原に対する感受 s y n e r g i s m )を必要とするという免疫学上の新らしい発 性は高く, B細胞の認知し得ないような少量の抗原を認 見は, Clamanら30)を初めとする異種赤血球による研 識する四 -131)。この意味から,抗体産生のみを免疫応答 究 100.141-143) と , Mitchisonl27)に始まる h a p t e n c a r r i e r の指標とすることは単に AFCを検出するに止まり,抗 系の応答との 2つの実験系によって確立された。ここで 体は産生しないが免疫には参画している細胞を見逃す結 は後者の系について抗ハプテン抗体産生における T-B 果になる,と Abdouら132)は警告している。 協同作用を見て行こう。 ( b ) 特異性の相違既に述べた如く, T細胞は遅延型 ハプテンはその定義が示すように単独では抗体産生の 過敏性, homograft r e j e c t i o nのような c e l l m e d i a t e d 刺戟とならないが,これは T 細胞がハプテンを認識でき immunityに関与し, B 細胞は humoralimmunityに ない 144.1(5)ためと考えられる。従って抗ハプテン抗体を 関与するが,その特異性を細胞レベノレからみると, T細 産生するためには,ハプテンを認識する細胞と c a r r i e r 胞の特異性は B細胞のそれほど厳格でない。例えば,異 を認識する細胞とが,何らかの形で協同しなければなら ない。 この場合 c a r r i e r r e a c t i v ec e l lは T 細胞146-1(8) 種赤血球を抗原としたマウスの実験133.134)において,抗 体レベノレ ( B細胞)でみると互に交叉反応を示さない血 球に対し, T細胞は両者をさほど厳しく区別せず,交叉 反応、を示す場合が甚だ多 L、。またモルモットの実験135) であり, h a p t e n r e a c t i v ec e l lは B 細胞1(9)である。す なわち B 細胞は carnerを認識する T 細胞の補助作用 h e l p e ra c t i v i t yを受けることによってノ、プテン抗体を において, リゾチームに対する抗体は還元・カノレボキシ 産生する。このような補助作用を持つ細胞をヘノレパー細 T細胞に 胞 h e l p e rc e l l と呼ぶ。 T 細胞がヘノレパーとして働くた メチノレ化したリゾチームと交叉反応しないが, よる遅延型過敏性は強い交又反応を示す。同様な成績は めには,ハプテンが c a r r i e r分子上に結合していること 他の抗原に対しても見られるが 136.137),一方これと矛盾 を要する 1(6)。なお,ヘノレパー細胞を必要とするのはひと する成績も報告されている。すなわち h a p t e n c a r r i e r系 りh a p t e n c a r r i e r系の応答ばかりでなく,胸腺依存性 の免疫応答において,活性のない s p a c e r分子を hapten 抗原がすべてヘノレパーを必要とすることは言うまでもな とc a r r i e rの聞に挿入すると,遅延型反応、は起こらなく い。胸腺非依存性の抗原はこれに反し,直接 B細胞を免 なるのにハプテンに対する二次抗体応答は何ら障害を受 疫すると考えられているが,この場合にもへ Jレバー B細 けな", 1 問。この事は, T 細胞上のレセプターが hapten 胞が存在し, B-Bi n t e r a c t i o nが起こっている可能性は とc a r r i e rの両方を含む d e t ai!を認識し, carner構造 否定できない。 の僅かな違いも区別出来るのに対し, B細胞上のレセプ ターは c a r r i e r部分までは認識しない事を示すものと考 えられる。 ( c ) 認識部位の相違抗原によっては, T細胞と B細 T 細胞が B 細胞と協同するための条件として, C l a manら150)151)は細胞移入の方法から次のように要約して いる。①生きた同系 syngeneicの胸腺由来細胞のみが B細胞と協同する。超音波をかけたり磨砕したりした T 1 0 細胞にはこの働きがない。② X線を照射した T細胞ま a r r i e re f f e c tを説明するために,免疫担当細 以前は c たは異種 xenogeneicの T 細胞は協同しなし、。③ T 細 a r r i e r部分の両方を認 胞がハプテンとこれに隣接する c 胞は特異性を持つ。 a p t e n このうち①に関しては h 識する必要がある,といういわゆる l o c a lenvironment I II .B .の 4参照) c a r r i e r系応答において異なった報告 ( h y p o t h e s i sが採られた。 があり,また haptens p e c i五ch e lp e rT c e l lの存在を 体に c a r r i e r特異性がないこと,ハプテンと c a r r i e rの 152-154) もある。 報告している学者 144, p a c e rを入れても c a r r i e re 任e c tは変 聞に活性のない s しかし産生されたハプテン抗 2 . c a r r i e re f f e c t わらないことからこの説に疑義がもたれるに至り,現在 h a p t e n p r o t e i nconjugateで免疫した動物に二次応 a r r i e r r e a c t i v ec e l lの増殖が h a p t e n r e a c t i v ec e l l では c 答を起こさせる場合, o n j u g a t eに 対 し て の み 同じ c maximumの応答を起こし,異なった c a r r i e rと結合し と協同して抗ハプテン応答を促進するというこれ迄述べ た考えが定説化しているロ たハプテンによっては,通常抗ハプテン応答を起こさな 3 . a l l o g e n e i ce 鉦e c t いか,または最少限度の反応を示すに過ぎなし、 155-161)。 予め DNP-OVAで免疫したモルモットに同種動物の carner のこのような作用を“ c a r r i e r巴 妊e c t " と呼ぶ。 リンパ球を受身に移入すると,抗原刺戟を加えなくても c a r r i e re f f e c tについてこれまでに得られた実験成績を 抗 DNP抗体および OVA抗抗体の増強が認められる。 要約すると次の如くである。①特殊な細胞を用いれば また同種細胞を移入された動物は,思Ijの c a r r i e rと結合 eterologousp r o t e i nとの c o n j u g a t eに対 ハプテンと h したハプテンに対しても二次応答を起すようになる。 a p t e n しても二次ハプテン応答を起こす。すなわち h l l o g e n e i ce 任e c t と呼ぶ。 この効果 このような現象を a p r o t e i nc o n j u g a t eで免疫した動物の細胞と,最初の は最初モルモットにおいて記載されたが 175, 1 7 6 ),後にマ p r o t e i nと関係のない secondp r o t e i nで免疫した同系 ウスでも成立することが認められた 177)0 Osborneら177) 動物の細胞を i nv i t r oで混ぜ合わせ, はマウスを DNP一KLHで免疫した後 2週を経て異なっ これに h a p t e n - 2ndp r o t e i nconjugate を加えると,ハプテンに対する た系の 7 ウス牌細胞を移入,更に 6日後 DNP-BGGで 二次応答が起こる 162)。 ② i nv i v o においても同様に, c h a l l e n g e したが,細胞移入を省略した以外は同じ処置 r o t e i nc o n j u g a t eと 2ndp r o t e i nの両 動物を haptenp をした対照群が全く反応を示さなかったのに,実験群に 者で免疫しておくと, hapten-2ndp r o t e i nc o n j u g a t eに は明らかな DNP抗体の上昇を認めた。すなわち a l l o・ よって二次抗ハプテン抗体産生が起こる 158, 1 6 3 )。 ③ ま g e n e i ce f f e c tが見られる場合には, c a r r i e rs p e c i 五cな た , h a p t e n p r o t e i nconjugateで免疫された動物は,ハ T細胞のへノレパー作用を必要としない。またこの時移入 プテンを欠く c a r r i e rのみによっても二次ハプテン応答 される細胞は, 正常細胞であっても免疫細胞(二次抗原 を起こし得る 160)。④ i nv i v oの応答と異なり に対する)であっても,二次応答の強さに変わりはな L。 、 i nv i t r o で培養された正常牌細胞は,通常の h a p t e n p r o t e i nc o n - この場合ハプテン抗体を産生するのは, donorの細胞で j u g a t e ( 例えば DNP-HGG, DNP-BSA, DNP-KLH等) ostの細胞である。この事を Katzら175)は次のよ なく h に対して primaryの抗ハプテン応答を起こさなし、 164)。 うな巧みな実験で証明した。先ず DNP-OVAで免疫し onjugateに対して免疫された この場合,牌細胞が予め c たs t r a i n1 3のモルモットに s t r a i n2のモノレモットから 動物から得たものであれば二次ハプテン応答を示すのは e c i p i e n tを 2群に 得たリンパ球を受身移入し, 6日後 r 当然であるが, c a r r i e rに用いた p r o t e i nだけで免疫し 分け,一方には DNP-BGGを,他方には食塩水を注射 た牌細胞で、も抗ハプテン応答を起こす1白)。⑤さらにま する。 boosting1 1日目に動物を殺して牌を取り,両群 た i nv i t r o の実験において, 細胞が h a p t e n p r o t e i n の抗体産生細胞数を数えたが, c o n j u g a t eおよび関連のない 2ndp r o t e i nの両者で免疫 o r i g i nを明らかにするために, s t r a i n s p e c i f i cの抗血清 この際抗体産生細胞の o n j u g a t eと反 された動物のものであれば,この細胞は c を用いた。 すなわち s t r a i n1 3のモルモットに作らせた 応しない 2ndp r o t e i nのみによっても二次ハプテン応答 ant Is t r a i n2血清と, s t r a i n2に作らせた ant Is t r a i n1 3 r o t e i nc o n j u g a t e を示す 166)。⑥ hapten-heterologousp 血清とを用意し, J e r n eの方法で p l a q u ecountを行な は,次の場合 c a r r i e re f f e c t を超越 o v e r r i d e して二次 う際,これらの抗血清を細胞に働らかせて PFCの由来 ハプテン応答を起こし得る。 ( i )2回の抗原注射の間隔を ost を調べる。得たる結果は抗体産生細胞が完全に h 十 分 延 ば し た と き 167-169)0 ( ii )h a p t e n h e t e r o l o g o u s o r i g i nであることを示していた。 a l l o g e n e i ce 妊e c tの p r o t e i nc o n j u g a t eを非常に大量与えたとき 170-173)0 ( i i i ) 起こるメカニズムは, donor細胞が h o s tの細胞を攻撃 h e t e r o l o g o u sc a r r i e r の抗原性が非常に高いとき 174)。 して GVH反応を起こすためと考えられている。 GVH 1 1 反応によって hostの免疫担当細胞が刺戟を受ける結果, 起こすよう刺戟される 178, 179)0 旬腺摘出による免疫応答 ヘノレパーとして働く細胞が非特異的に増殖し,これにつ の消失ないし低下は,多量の抗原を与えることによって AFCPの応答も昂進するのであろう。従って,例え ある程度補われるが,これは高濃度の抗原が一部 T細胞 れて ばs t r a i n2のモノレモットのリンパ球は子である ( s t r a i n の濃縮作用を代用するものと考えることが出来ょう。い 2Xstrain1 3 )F Iに a l l o g e n e i ce f f e c tを惹起するが,こ ずれにしても仮説であるから, ( a )の説を唱える M i t c h i - の逆,すなわち子の donorc e l lは親の r e c i p i e n tにこ sonらも,同時にこの説の可能性を肯定している。 れを起こし得ない。 F1の細胞は遺伝学的に裁の組織適 合抗原と反応せず,GVH反応が起こらないからである。 ( c ) 液体因子説 この説が ( a )とはっきり違う点は, T 細胞と B 細胞が協同するに当たって両者の直接的な接 妊e c t¥ thostが既に primingを受け また a l l o g e n e i ce 触は必要でなく,協同作用は専ら T 細胞の遊離する ていることを要する。従って同種細胞を先に注射し,あ s o l u b l ef a c t o rによって行なわれるという点である。 とから primingを行なった場合にはこの効果がみられ Feldmanら180-183)は図 1に示すような 3つの層から成 r a f tc e l lに X 線を照射した後受 ない。 Katzら176) は g るc u l t u r echamberを考案し,試験管内で T-B協同 身に与えてみたところ, a l l o g e n e i ce f f e c tは全く消失し 作用のメカニズムを追求した。用いた抗原は hapten- ているのを認めた。かかる g r a f tc e l lは h o s tの細胞に p r o t e i nconjugateである。最内層(図 1の uppercom- 免疫学的な a t t a c kを与えない為と思われる。 partment) の底部は孔径 1μ の nucleporemembrane これに反 しsyngenelcの細胞を移入する場合はその特異性が重要 をもって中間層(図 1の lowercompartment)と隔てら な役割を有し, primingを受けた細胞のみが有効であ るが, これを強力な X 線に曝してもその効力は失われ ない。 4 . 細胞間協同作用のメカニズム 抗原が胸腺依存性のものである限り,すべての免疫応 答に T 細胞, B細胞の協同を必要とするが coopera- t i o nの機序ないし T細胞の果す役割については,現在 のところ未だ定説がな L、。一般には次のような 3つの考 LOWER C : Oh 4PART h 4ENT NUCLEPORE MEMBRANE D I A L Y S I S MEMBRANE え方が挙げられており,大きく分ければ両細胞の接触を 要するという説と, T細胞から出る液性因子を要因と考 える説との 2つに集約出来るであろう。 ( a ) antigen.focusinghypothesis Mitchisonら1岨) Rajewskyら158, 1 5 9 )によると T 細胞の役割は c a r r i e r 図 1 Feldmanらの考案した T-B協同作用を 調べるための培養瓶 (Feldman,M.andBasten,A . :J .Exp.Med. ,1972より) 1 3 6,49-67 の determinantを認識することによって抗原を p i c kup し,同じ分子上にある抗原の他の determinant( h a p t e n carner系においては h a p t e n )を B細胞上のレセプター と結合せしめる ( f o c u sする)ことにある。この場合,抗 原は T 細胞と B 細胞の聞に橋渡しをする役目をし, T, B両細胞はかかる a n t i g e nb r i d g eを介して互に接触す る。その結果 B細胞は抗体産生細胞に switchされる。 ( b ) antigen.concentratinghypothesis こ れ を 唱 える学者によって多少ニュアンスを異にするが,要する にi l Iiの説と次に述べる説の中間に位する考え方と言って よかろう。 T 細胞は抗原上の 1つの determinant と反 応して免疫グロプリン様の物質 IgXを産生する。 IgX は血清中に分泌されることなく他のタイプの細胞,恐ら くは B細胞に吸着される。この IgXは次いで同じ抗原 上の他の determinantを B細胞の c r i t i c a lな部位に濃 縮して提示し, B細胞はこれによって容易に抗体産生を 図 2 抗体産生に関与する細胞協同作用のモテソレ (Feldman,M.: 1 9 7 2より) J . Exp. Med. 136,737-760, 1 2 表 5 一次抗体応答に関与する細胞の動物種属による差違* C e l l s mediatingt h eimmuneresponse Secondc e l l Firsic e l l Animal s p e c 1 e s Functional type Rabbit Macrophage Mouse Macrophage Bonemarrow Third c e l l nal Organsource Functional Organs o u r c e Organsource Functio t y p ea typeb ワ a ARC:a n t i g e n r e a c t i v ec e l. l *Abdou,N. 1 .Richter,M: ARC Bonemarrow AFC ワ ARC Thymus AFC Bonemarrow b AFC: antibody-formingc e l l Adv. lmmuno. l1 2,p .2 4 0,1 9 7 0より れ,中間層の底部は透析膜によって外層と分離されてい ギについての報告は数が少ない上に,マウスと異なる点 る 。 c a r r i e rで活性化された T 細胞を最内層に, hapten が多々あって混乱を来たす恐れがあるからである。表 5 に対して免疫された牌細胞(B細胞とマクロファージを はマウスとウサギについて免疫に関与する細胞を比較し 含むもの)を中間層に, 十分量の培養液を最外層にそれ たものであるが,例えば,マウスにおいて抗体産生細胞 ぞれ入れ,これに抗原を加えて培養すると, T細胞と B の organs ourceは骨髄である事が確定しているのに, 細胞は nucleporemembraneに隔てられて接触し得な ウサギではその起源がまだ分っていな L、。最近は SAPP T,B両細胞を混合培養した場合と同程 organs( s a c c u l u srotundus,appendix, P e y e r ' sp a t c h e s いにも拘らず, 度のハプテン抗体産生が認められた。 この結果から, T の総称)がこれに擬せられているけれど, まだ確定的で appendixについては否定的な成績も得られて 細胞と B 細胞は直接接触する必要のなし、ことが分る。 はなく, すなわち細胞間協同作用は T 細胞から遊離する s u b c e l - いる。更に大きな違いは,ウサギの場合 ARCはマウス l u l a r の componentによるもので,抗原の特異性はマ と違って骨髄由来とされていることである。こうなると クロファージを介して B 細胞に伝達される。 ウサギにおける胸腺の働きは謎と言わざるを得ない。 ァージの関与する事は, マクロフ トリプシン処理によってこれを 除くと免疫応答が低下することから証明された。 T細胞 e l e a s e さ れ る 彼 の い わ ゆ る “ antigens p e c i五c から r I V . 結 び 免疫応答を細胞レベルで眺めること,すなわち m f a c t o r "については,これが nucleporemembraneを通 v i v o,i nv i t r oでの免疫反応ないし寛容状態に与かる細 過し透析膜を通過しないことから, T 細胞の持つ mono- 胞のタイプ,機能,生物学的ならびに免疫学的性状を解 mericformの IgM(7SIgM)と抗原との結合物である 8 4)は T-B協同作 と考えられる。更に進んで Feldmanl 析することがここ十年内における免疫学の大きな主題で あり,多くの業績が集積されて来た。然し現在この研究 用について図 2のようなモテリレを提唱している。すなわ は発展途中にあり,その意味ではこれまで述べて来た成 ち抗原によって活性化された T 細胞は monomeric な 績も部分的に訂正されることがあるかも知れな L、。これ IgMレセプターを遊離してこれが抗原と complexを作 が科学の進歩であり,世界の免疫学者が,残された未解 り,更に complexはマクロファージの表面に結合する。 決の分野に向って,更にたゆみない研究を続けることを a t t i c e これによって抗原決定基の適当に並んだ格子模様 l 期待するものである。 が出来,その結果 B細胞は免疫されて抗体を産生するに 至る。このモデノレで興味ある点は,抗原が胸腺依存性で 引用文献 あると非依存性であるとを問わず,協同作用の最終段階 1 ) 乱1 i l l e r,J .F.A.P.: Lancet,2,748( 1 9 6 1 ) . すなわち B 細胞の免疫に当たっては,同じような i n t e - . 乱1 .: New Eng. ] . Med.,2 6 4,2 4 2 ) Burnet,F ( 1 9 6 1 ) . . M.: B r it . Med.J .,2,807( 1 9 6 2 ) . 3 ) Burnet,F . M.: The I n t e g r i t yo ft h e Body. 4 ) Burnet,F Harvard Univ. P r e s s . Cambridge( 1 9 6 2 ) . .M.andHalmes,M.C . : Nature,1 9 4, 5 ) Burnet,F r a c t i o nが B c e l lr e c e p t o r と抗原の間に起こる,と説 いていることである。 C . 動物の種属差による免疫担当細胞の相違 これまで、述べて来た細胞レベルにおける免疫疫応答の 研究は,殆んと、すべてがマウスから得られたもので,ウ サギについての研究成績は意識的に記述を避けて来た O Richter一派の精力的な一連の研究1 8 7 2 1 8 )を除くとウサ 1 4 6( 1 9 6 2 ) 6 ) Cooper, 乱1 .D. Peterson,R . D. A . and Good, R .A . : Nature, 2 0 5 .1 4 3 6( 1 9 6 5 ) . 1 3 7 ) Cooper,M. D .,P e t e r s o n,R .D .A . , South,M. A.and Good,R .A . : J . Exp. Med.,1 2 3,7 5 1 0 2( 1 9 6 6 ) . . , Cooper,M. D . and Good,R .A . : 8 ) Cain,W. A Nature,2 1 7,8 7 9( 1 9 6 8 ) . .,Van Alten,P .J . 9 ) Cain,W.A.,Cooper,M.D and Good,R .A . : J . Immuno , . l1 0 2,6 7 1 6 7 8 ( 1 9 6 9 ) . .J . and Good, 1 0 ) Meuwissen,H.J" VanAlten,P . Immuno , . l1 0 2,1 0 7 9 1 0 8 3( 1 9 6 9 ) . 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