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第4章(PDF文書)

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第4章(PDF文書)
第4章
薩摩川内市の目指すべき方向
31
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
第4章 薩摩川内市の目指すべき方向
水道事業は,これまで安全で良質な水を安定的に供給する体制を築きあげてきました。しかし,
多様化する利用者ニーズへの対応と次世代に継承する水道を構築していくためには,現在の課題
を解決する必要があり,そのためには多大なコストと期間が必要となります。本市水道事業は,
地方公営企業としての立場と責務を勘案し,目指すべき方向を次に示します。
第1節 基本理念
本市は,県内一の面積を誇る本土と東シナ海に位置する甑島を有しており,全市的に自然の
恩恵を受けています。この自然から造りだされる水を次世代に継承していくために,本市の基
本理念(将来像)は,
「自然の恵み 未来に活かす薩摩川内のみず」
とし,将来につながる事業運営に努めてまいります。なお,基本理念(将来像)は,長期的な
(今世紀半ば頃)水道事業の政策課題を視点とした,薩摩川内市水道事業の基本理念(あるべ
き姿)を示しております。
薩摩川内市水道の基本理念(将来像)
「自然の恵み 未来に活かす薩摩川内のみず」
せ
樋脇地域藤本の滝
び かんのん み た き
下甑地域瀬尾観音三滝
40
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
第2節 施策の目標
水道事業が,抱える課題を解消するとともに,水道を取り巻く社会に対応できる水道を構築
するために,本市水道事業が掲げた基本理念(将来像)
「自然の恵み 未来に活かす薩摩川内の
みず」を実現するために,次に示す 6 つの視点に立脚して,施策を策定しました。
1) 安全で安心な水の供給
利用者は,蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水の安全
性を求めています。平常時はもとより,非常時においても安全で
安心な水の供給を行い,満足していただける水道水を目指します。
2) 安定した給水サービスの確保
水道水の供給は,利用者にとって必要不可欠のものであり,利
用者がいつでも利用でき全市的に公平でなければいけません。安
定した給水サービスの確保を目指します。
3) 災害対策の強化
自然災害は,いつ,どこで発生するかわかりません。水道水は,
国民の生活と社会経済活動を支える重要なライフラインである
ため,自然災害が発生する前の事前対応及び応急復旧などの事後
対応など災害対策の強化に努めていきます。
4) 持続可能な健全経営
水道は,利用者からの水道料金により施設整備や維持管理費
等を賄っています。適切な水道料金の設定により効果のある施
設整備を行い,将来においても持続可能な健全経営を目指して
いきます。
5) 利用者サービスの向上
窓口サービスの充実や利用者のニーズ等的確に対応していく
ことで,利用者サービスの向上を目指していきます。
6) 環境・省エネ対策への取り組み
水道事業は,水道水を造るために多くのエネルギーを消費する
機器を有しています。地球温暖化対策等の環境への配慮は,社会
的責務であり,環境との調和・バランスを重視した事業運営を目
指していきます。
41
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
効率的な事業経営
安全で安心な水の供給
災害に強い水道
施
厚生労働省の
策
定めた5つの
政策課題
安全で安心
な水の供給
安心
安定した給水
環境・省エネ
対策への取り組み
安定
サービスの確保
連
持続
視
携
点
利用者サービス
環境
災害対策の強化
の向上
持続可能な
(国際)
健全経営
目指すべき
将来像の実現
基本理念: 自然の恵み 未来に活かす薩摩川内のみず
42
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
第3節 水需要の動向
水需要の動向
第3節
将来推計人口では,少子化,過疎化の進展により人口が増加に転換することは困難な状況に
ありますが,今後は少子・高齢化対策などの動きから,人口減少が抑制する方向になると推定
されます。また,水需要については,給水人口の伸び悩みにより水量の増加は見込めないため,
減少すると推定されます。
さらに,給水量は,節水意識の高揚や節水型水道機器の普及,ペットボトルの普及等から給
水人口と同様に減少方向になるものと推定され,水需要は下記のように見込まれます。
本市の目標年度は簡易水道事業統合計画の統合期限である平成 28 年度とし,計画期間は平成
20 年度∼平成 28 年度とします。そのため,施設整備計画に使用する値は,その前年度に当た
る平成 19 年度を加えた推計値の中で最も一日最大給水量が大きいものを採用します。
■ 目標年度(平成 28 年)
計画給水人口:94,300 人(上水道+簡易水道)
計画給水量 :42,900m3/日(上水道+簡易水道)
■ 施設計画
計画給水人口:97,500 人(上水道+簡易水道)
計画給水量 :44,800m3/日(上水道+簡易水道)
※下記実績人口及び給水量には,不明な箇所もあります。
(人)
85,000
川内地域
樋脇地域
H19
H21
入来地域
東郷地域
75,000
65,000
55,000
H18
H20
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
年度
図4-1 上水道事業給水人口の推移
43
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(m3/日)
35,000
川内地域
樋脇地域
入来地域
東郷地域
H20
H22
H24
H26
30,000
25,000
20,000
H18
H19
H21
H23
H25
H27
H28
年度
図4-2 上水道事業給水量の推移
(人)
25,000
川内地域
里地域
20,000
樋脇地域
上甑地域
入来地域
下甑地域
東郷地域
鹿島地域
祁答院地域
図 4-2 上水道給水量の推移
15,000
10,000
5,000
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
図4-3 簡易水道事業給水人口の推移
H28
年度
(m3/日)
15,000
川内地域
里地域
12,000
樋脇地域
上甑地域
入来地域
下甑地域
東郷地域
鹿島地域
祁答院地域
図 4-3 簡易水道給水人口の推移
9,000
6,000
3,000
図 4-3 簡易水道給水人口の推移
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
図 4-4 簡易水道給水量の推移
図4-4 簡易水道事業給水量の推移
44
H26
H27
H28
年度
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
表4-1(1) 給水人口と給水量【上水道事業】
事業名
川内
樋脇
入来
東郷
計(4事業)
H28年計画
H28年計画一日
給水人口
最大給水量
(人)
(m3/日)
59,945
23,000
5,517
3,500
4,859
3,100
6,129
2,900
76,450
32,500
施設計画
施設計画一日
給水人口
最大給水量
(人)
(m3/日)
60,831
23,300
5,811
3,700
5,257
3,400
6,129
2,900
78,028
33,300
表4-1(2) 給水人口と給水量【簡易水道事業】
事業名
土川
西方
湯之元
小倉
川内 高江
久見崎・寄田
水引
木場茶屋
湯田
野下
倉野
田代沢牟田
樋脇
藤本
武田
上手
長野
入来
山之口
東郷 鳥丸
黒木
上手
祁答院 下手
藺牟田
砂石
里
里
上甑 中甑
手打
片野浦
下甑 瀬々野浦
青瀬
長浜
鹿島 鹿島
計(31事業)
合計(上水道+簡易水道)
H28年計画
給水人口
(人)
91
489
77
293
1,634
1,522
2,136
491
557
153
280
277
251
79
471
158
121
87
747
781
1,132
767
362
1,239
1,120
757
173
214
221
753
399
17,832
H28年計画一日
最大給水量
(m3/日)
41
250
110
140
570
2,600
800
260
260
61
70
85
75
16
30
100
43
22
300
270
490
350
220
710
530
450
150
160
160
730
250
10,303
94,282
(94,300)
42,803
(42,900)
施設計画
給水人口
(人)
96
505
80
300
1,678
1,561
2,136
491
546
161
294
291
265
83
496
171
131
87
820
858
1,237
843
399
1,383
1,660
857
196
207
251
832
555
19,470
施設計画一日
最大給水量
(m3/日)
43
260
130
150
600
2,700
800
260
280
64
74
89
79
18
33
110
46
22
330
330
570
410
280
850
644
550
160
220
170
860
350
11,482
97,498
(97,500)
44,782
(44,800)
※施設計画は一日最大給水量を基に計画するため,施設計画給水人口は,施設計画一日最大給水量
の年次を採用している。
※( )は,計画値を示す。
45
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
第4節 施策体系
薩摩川内市水道の 3 つの目標である①効率的な事業経営②安全で安心な水の供給③災害に強
い水道を達成し,将来像である「自然の恵み 未来に活かす薩摩川内のみず」の実現に向けて,
平成 20 年度から平成 28 年度までに行う主要施策を以下に示します。
施策目標
主要な施策項目
(1) 水質管理体制の強化
1 安全で安心な水の供給
(2) 水道施設の保守・点検
(3) 浄水処理方法の調査・研究
2 安定した給水サービスの確保
(1) 水道施設の計画的な整備と更新
(2) 渇水対策
(3) 配水区域の再編成
(4) 事業体と利用者の給水装置への関与
(5) 遠方監視設備の充実化
(6) 配水管網図と戸番図のデータベース化
(1) 基幹管路の耐震化
3 災害対策の強化
(2) 水道施設の耐震化
(3) 配水区域間及び隣接事業体等の連携強化
(4) 災害対策マニュアル等の充実
4 持続可能な健全経営
(1) 適正な水道料金の設定
(2) 健全な財務体質の確保
(3) 事業と業務の効率化
5 利用者サービスの向上
(1) 窓口サービスの充実
(2) 利用者ニーズへの対応
(3) 情報公開の充実化
(4) 直結給水の検討
(1) 水源環境の保全
6 環境・省エネ対策への取り組み
(2) 省エネルギー対策の推進
(3) 浄水汚泥活用の検討
(4) 環境に配慮した事業運営の推進
46
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
第5節 基本施策
1
安全で安心な水の供給
(1) 水質管理体制の強化
ア 事業概要
水質基準は,昭和 33 年に定められて以降,生活様式の多様化と科学技術の進歩に対応するた
めに,改定がなされてきました。現在の水質基準は,平成 16 年 4 月に改正されたもので水質基
準項目は 46 項目から 50 項目となるなど大幅な見直しが行われ,水質管理の充実が図られる一
方で,利用者の水質に対する関心も高まってきています。
一方,近年,水質を取り巻く環境は,濁度や臭気,発ガン性物質,クリプトスポリジウムな
ど耐塩素性の微生物による感染症の問題や臭素酸,ハロゲン化酢酸等の新たな消毒副生成物の
問題がクローズアップされています。水質問題においても複雑な様相を呈しており,水道水質
の管理強化が求められているところです。
法定基準に準拠した水質検査計画の策定と水質検査を行い,水質を維持していますが,一層
の水道水の安全性や信頼性を確保するために,水源の水質汚染や事故等への対応,原水及び浄
水水質の管理体制のより一層の強化を目指し,多様化する水質に対して柔軟な対応ができる体
制を確立します。
また,水質管理体制は,現在簡素化した非常時対応マニュアルにより,管理されています。
水質汚染事故に備え,水道事業体共通の認識で対応を図っていくために,
「水質汚染事故対応マ
ニュアル」を策定します。
イ 主要な施策
水質監視システムの構築と水質管理体制の強化
河川水や伏流水,湧水,地下水(浅井戸)を水源とするところでは,クリプトスポリジウム等
の病原性微生物に対し,監視強化を図っていく。表流水を水源とするところでは,水質管理に
おける危機管理対策として魚類による原水の毒物等流入の監視と水質監視装置による監視
を行っていき,これまで以上に水質管理体制を強化する。
水質汚染事故対応マニュアルの策定
万が一の水質汚染事故に備え,水道事業体共通の認識で対応を図るために「水質汚染事
故対応マニュアル」を策定する。
47
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(2) 水道施設の保守・点検
ア 事業概要
水道施設の維持管理は,水道水の安全性・安定性に直接関わるものであり,適切かつ効率的・
合理的に行う必要があります。
現在多くの水道施設を抱え,本庁及び各支所の担当者が日常的な維持管理に従事しています。
維持管理には,運転管理と保守・点検に大別され,運転管理は,施設や設備の運転・制御は
もとより関連する施設・設備を統合したシステムとして効率的な運転・制御を行い,機能を充
分に発揮しなければなりません。
一方,保守・点検は①予防,②事後,③信頼性向上策の実施からなり,これらは設備や機器,
規模,特徴,設置場所等により状態が相違するため,
「運転管理マニュアル」及び「維持管理マ
ニュアル」を策定し,第三者委託の導入を対策メニューとして加えた効率的な維持管理を行っ
ていきます。
イ 主要な施策
運転管理マニュアルの策定
施設の異常や操作ミス,判断ミス(ヒューマンエラー)を防止する目的から「運転管理マニュ
アル」を策定する。正常時の機器の性能・特徴を生かす操作手順と異常時・事故時等に施設・
設備の状態を判断する基準や適切な処置方法などを明示する。
維持管理マニュアルの策定
効率的かつ適切な保守・点検を行うために「維持管理マニュアル」を策定する。運転管理業
務の一環としても行われる巡視点検は,保守・点検業務内容を明示する。
(3) 浄水処理方法の調査・研究
ア 事業概要
近年,水源周辺の環境悪化や新たな有害物質の発生による水質基準の強化など,水道を取り
巻く環境は厳しさを増す状況にあります。
浄水処理方法は,塩素のみの方式,緩速ろ過方式,急速ろ過方式があります。クリプトスポ
リジウムの恐れがある水源において浄水処理方式に塩素のみの方式を採用している①樋脇地域
中央,②入来地域盛水,③東郷地域中津俣,④祁答院地域上手(秋上)
,⑤祁答院地域砂石(第
2)に紫外線処理設備等を導入し,安全な水の供給に努めます。
また,現在,原水水質に応じた適切な処理を行っているところにおいても,将来にわたって
周辺環境や地下水環境によって変化する原水水質に対し,恒久的な水質安全確保から,必要に
48
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
応じて先端技術の導入について調査・研究を進めていきます。
イ 主要な施策
クリプト対策
クリプト対策として,①樋脇地域中央,②入来地域盛水,③東郷地域中津俣,④祁答院地
域上手(秋上),⑤祁答院地域砂石(第 2)で紫外線処理設備等を導入し,安全な水の供給に
努める。
浄水処理方法の調査・研究
将来にわたって周辺環境や地下水環境によって変化する原水水質に対し,恒久的な水質
安全確保から,必要に応じて先端技術の導入について調査・研究を進めていく。
ウ 定量的な目標値
浄水場のクリプト対策
実績
平成 17 年度
平成 22 年度
目標年度
平成 28 年度
対策箇所
−
3
2
達成率
90.2%
(46/51)
96.1%
(49/51)
100.0%
(51/51)
※達成率の( )は,浄水場の箇所数を示す。
※上記浄水場の箇所数には,飲料水供給施設に有する浄水場を除く。
49
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
2
安定した給水サービスの確保
(1) 水道施設の計画的な整備と更新
ア 事業概要
水道施設は,昭和 40 年代の高度経済成長期に建設された施設の多くが更新時期を迎えており,
災害に対する脆弱性や水質ニーズの多様化・高度化への対応が困難な状況にあります。また,
少子化,景気の鈍化による需要低迷から給水収益の減少が見込まれる中,計画的かつ効率的な
老朽化施設の更新や投資が求められています。中でも配水管は,水道水を利用者に供給するた
めのライフラインの根幹であり,安定した給水を行う上で重要な施設であります。
これまで漏水対応や下水道工事等に併せ老朽管路の更新を行ってきましたが,未だ多くの老
朽管が残っています。老朽度合の高い石綿セメント管,普通鋳鉄管,鋼管は,耐震性に劣り,
漏水及び折損事故,赤水など水質障害の原因となるため,布設替時期の調整を図り,計画的に
更新を行っていきます。
また,管路以外の施設のうち,基幹施設となる浄水場や配水池においては,計画的に更新・
増強等の整備拡充を推進します。
具体的には,本土では配水ブロックの再編成に伴い,給水に必要な川内川の水利権
26,400m3/
日を取得していますが,丸山浄水場の稼動率は現在 50%程度であるため,稼働率の向上と川内
川の水の活用の観点から川内地域と東郷地域に連絡管を整備します。
イ 主要な施策
老朽管の更新
老朽化が著しい鋳鉄管や塩化ビニル管は耐用年数 40 年を目安として計画的に更新・増強等
の整備拡充を行う。なお,平成 24 年度を目標に石綿管の更新を完了する。
主要な施設の整備・更新
多くの施設で老朽化が進行しており,計画的に施設整備・更新を推進する。また,配水池等
の施設においては,必要貯留量に合わせ適切な更新を推進する。
50
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
ウ 定量的な目標値
施設の整備と更新
実績
平成 17 年度
平成 22 年度
目標年度
平成 28 年度
石綿管残存率
16,238m
3,737m
0m
上記達成率※1
−%
77.0%
100.0%
※1 :達成率は,実績の石綿管残存率に対する達成率を示す。
(2) 渇水対策
ア 事業概要
甑島では里簡易水道(上甑島)
,中甑簡易水道(上・中甑島)
,と鹿島地域(下甑島)で渇水
に対し,不安を抱えています。特に中甑簡易水道では,大規模な山岳地帯が少ないため保水能
力が低く平成 19 年の渇水では水源確保に苦慮しました。
甑島の地形や降雨量等の自然条件を熟知した中での水源の対応策として,水源電探調査を実
施した上で新たな井戸の設置や海水淡水化施設(膜処理)の設置,連絡管の整備,貯水ダムの
有効利用等が考えられます。
甑島地域では,水源の確保が最優先課題であることを踏まえ,新たな水源の掘削や貯水ダム
の活用等の調査・研究を行うとともに,里地域と中甑地域,鹿島地域と下甑地域(芦浜)に連
絡管を整備します。
他地域においても,渇水や地震に対しても利用者に公平なサービス確保の観点から,事業体
間の連絡管を整備します。
また、万一災害により断水となった場合の応急給水対策として,水源施設への蛇口の設置及
び緊急浄化装置を利用したプールや河川水の利用による飲料水を確保します。
本市域には,水道事業の経営が難しい給水区域外の世帯も点在しており,これらの地域にお
ける渇水対策についても,市一般行政との連携を図りながら緊急的対応を実施します。
51
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
イ 主要な施策
甑島地域の水源の確保
水源電探調査を実施した上で新たな井戸の設置や海水淡水化施設(膜処理)の設置,連絡
管の整備,貯水ダムの有効利用等を行う。
非常時の融通機能の充実
渇水や地震に対しても利用者に公平な給水を行うために,また,融通機能の強化を図るた
めに,効果的な連絡管を整備する。
災害に備えた施設整備
災害により断水となった場合の応急給水対策として,水源施設に蛇口を設置及び緊急浄化
装置の利用により,飲料水を確保する。
渇水時における給水区域外の対応
給水区域外の渇水対策についても,市一般行政との連携を図りながら緊急的対応を実施す
る。
ウ 定量的な目標値
連絡管の整備
実績
平成 17 年度
目標年度
平成 28 年度
平成 22 年度
連絡管整備
−
里 ⇔ 中甑
川内 ⇔ 東郷
鹿島 ⇔ 下甑
上記達成率
−%
50.0%
100.0%
(3) 配水区域の再編成
ア 事業概要
水道事業は,将来にわたって全市的に安定した給水を行う必要があります。本市は,水需給
バランスの適正化や水圧の均等化,非常時における断水や被害区域の最小化を図るために配水
区域のブロック化と再編成を推進していきます。配水区域の再編成においては,丸山浄水場の
稼働率向上と地形を活かした自然流下方式を優先的に活用し,加圧ポンプ区域の縮小化に努め
ます。また,配水管網の水理検証により水圧の過不足箇所,配水の滞留する管路,適正な管口
径等を分析・評価し,利用者に良質な水を最適に供給できる管路整備を行っていきます。
52
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
また,平成 19 年度に簡易水道等の施設整備費国庫補助金要件が見直され,現在同一行政区域
内の上水道事業,簡易水道事業及び飲料水供給施設の統合を推進されているところであり,平
成 22 年 3 月末までに水道事業統合計画書を策定し,平成 28 年度末までに統合しなければなり
ません。
基本的には,他の水道給水区域から 10km 以内(島を除く)であれば統合を行うことが条件
となっており,本市は 4 上水道事業,31 簡易水道事業,12 飲料水供給施設を段階的な統合に
より平成 28 年度までに1上水道事業,2簡易水道事業に再編成します。
イ 主要な施策
需給バランスと配水区域の適正化
水源水量と配水量の水需給バランスを考慮し,配水区域の適正化を行っていく。配水ブロッ
ク化においては,現状の配水区域の経過を踏まえ,丸山浄水場の稼働率向上と自然流下方式
区域の拡大を目標に,周辺の区域を含めた施設の統廃合を推進する。
加圧・減圧区域の見直し
維持管理費の軽減や運用管理の簡素化,エネルギー損失の抑制による環境負荷の低減を
目標に,加圧・減圧区域の見直しを行う。
事業統合の実施
4 上水道事業,31 簡易水道事業,12 飲料水供給施設の統合を段階的に行い,平成 28 年度
までに1上水道事業,2 簡易水道事業に再編成する。
53
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
【4 上水道,31 簡易水道,12 飲料水供給施設】
本土
事業間 10km 未満
黒木
湯之元
下手
西方
上手
湯田
枯木野
水引
鳥丸
藺牟田
牟田
中武
砂石
小倉
市野々
東郷地域
川内地域
入来地域
倉野
久見崎・寄田
土川
鍋原
田代・沢牟田
高江
長野
草渡
武田
上手
木場茶屋
中山
山之口
樋脇地域
神岡
赤仁田
藤本
八重
内之尾
野下
は上水道事業
は簡易水道事業
は飲料水供給施設
下甑島
鹿島
上・中甑島
内川内
長浜
里
瀬々野浦
青瀬
中甑
片野浦
手打
事業間
10km 未満
図 4-5 現状の薩摩川内市水道事業
54
事業間
10km 未満
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
【1 上水道,2 簡易水道】
本土
薩摩川内上水道
下甑島
上・中甑島
上・中甑簡易水道
下甑簡易水道
図 4-6 将来(最終形態)の薩摩川内市水道事業
55
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(4) 事業体と利用者の給水装置への関与
ア 事業概要
有効な水利用と施設の稼働率の向上には,有収率(※1 )の向上が不可欠となります。老朽
化した管路の布設替えに伴い漏水が減少し,ある程度有収率の向上が期待できます。しかし,
各家庭の給水管からの少量の漏水が積み重なり,有収率の低下に繋がっています。
利用者に水道の仕組み等を十分理解して頂き,同時に給水管布設替えの推進を広報やホーム
ページ等で利用者にお願いし,有収率向上に努めていきます。
イ 主要な施策
給水管の布設替えの推進
給水管は,利用者の財産であり,布設替えは原則利用者の負担となることから広報誌やホ
ームページ等を活用し,利用者に水道の仕組みを十分理解して頂き,給水管の更新を積極的
に推進する。
(5) 遠方監視設備の充実化
ア 事業概要
本土の水道施設の監視は丸山浄水場で行い,甑島は各支所で監視を行っています。川内地域
を除き管理・監視等の対応は,浄水場で操作ができないことから職員が直接現場まで足を運ん
でいます。監視制御がある管理事務所から現場まで遠い所で 1 時間程度を要し,対応の早急性
に欠けるところもあります。そのため,災害時や水質事故等の異常事態が発生した場合の情報
収集等も含め,迅速かつ的確な対応に支障をきたすことが懸念されます。水道施設の運転状況
の的確な把握と異常時の敏速な対応,効率的で安定した維持管理システムを構築するために情
報技術(IT)を活用した監視制御システムを構築します。
イ 主要な施策
遠方監視設備の充実化
異常時対応も含め,複数の浄水場,配水池等,水源から配水にいたる一連の水管理を一
元化し,効率的かつ安全に運用できる監視制御システムを構築する。
※1 有収率:有収水量を給水量で除したもの(%)
56
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
ウ 目標
遠方監視制度の充実化
実績
平成 17 年度
平成 22 年度
目標年度
平成 28 年度
川内
○
○
○
樋脇
△
○
○
入来
△
△
○
東郷
△
○
○
祁答院
△
△
○
里
△
△
○
上甑
△
△
○
下甑
△
△
○
鹿島
△
△
○
地域名
本土
甑島
※○は浄水場で制御や対応が可能,△は現場に行って制御や対応を行う。
※甑島は,各支所に監視装置がある。
(6) 配水管網図と戸番図のデータベース化
ア 事業概要
配水管網は,現在紙ベースで管理を行っていますが,埋設位置や布設年度等の管理情報が地
域により不明確な状況にあります。施設の根幹となる管路の埋設位置やバルブの位置を把握し
て,漏水事故等の緊急時における迅速かつ適切で効率的な対応を確保するため,データベース
化を図っていきます。
戸番図についても配水管網図と同様な状況であり,管路の更新を行う場合や給水管の布設位
置の確認や業務の効率化を図るため,データベース化を図っていきます。
イ 主要な施策
配水管網図のデータベース化
施設の根幹となる管路の埋設位置やバルブの位置を把握し,漏水事故や更新計画に迅速
かつ効率的に対応できるように配水管網図のデータベース化を図る。
戸番図のデータベース化
管路の更新時や給水管の漏水事故に対し,給水管の布設位置の確認や給水装置の設置
状況を把握するため,戸番図のデータベース化を図る。
57
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
ウ 目標
配水管網図のデータベース化
実績
平成 17 年度
平成 22 年度
目標年度
平成 28 年度
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
祁答院
簡易水道
×
○
○
里
簡易水道
×
×
○
上甑
簡易水道
×
×
○
下甑
簡易水道
×
×
○
鹿島
簡易水道
×
×
○
実績
平成 17 年度
平成 22 年度
目標年度
平成 28 年度
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
上 水 道
×
○
○
簡易水道
×
○
○
祁答院
簡易水道
×
○
○
里
簡易水道
×
×
○
上甑
簡易水道
×
×
○
下甑
簡易水道
×
×
○
鹿島
簡易水道
×
×
○
地域名
川内
樋脇
本土
入来
東郷
甑島
戸番図のデータベース化
地域名
川内
樋脇
本土
入来
東郷
甑島
58
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
3
災害対策の強化
(1) 基幹管路の耐震化
ア 事業概要
水道管路の耐震化は,
兵庫県南部地震を契機に内陸直下型の大規模地震への警戒心が高まり,
耐震化の重要性,必要性がより一層認識されています。
兵庫県南部地震や新潟県中越地震では,耐震型管路であるダクタイル鋳鉄管や耐震用配水ポ
リエチレン管ではほとんど被害が発生しておらず,断水期間が最小限に抑えられた実績があり
ます。本市においては管路は約 1,150km 布設されており,全て耐震型管路にすることは,莫大
な費用と時間が必要なことから,布設替時期に併せ口径 150φ以上は,耐震性の高いダクタイ
ル鋳鉄管を,口径 100φ以下は耐震用配水ポリエチレン管を採用し,耐震化を図っていきます。
イ 主要な施策
基幹管路の耐震化
口径 150φ以上の口径は,耐震管であるダクタイル鋳鉄管NS型に,口径 100φ以下は,耐
震用配水ポリエチレン管に布設替し,耐震化を図る。
(2) 水道施設の耐震化
ア 事業概要
(ア) 水道施設の耐震化
水道施設の耐震化は,管路と同様に水道事業など公共施設の耐震化の重要性,必要性がより
一層認識されている状況にあります。
現在の耐震設計では,兵庫県南部地震の地震加速度など観測データから大規模な内陸直下型
地震(気象庁震度階Ⅵ∼Ⅶレベル相当)とし,構造物の固有周期を考慮したレベル 1,レベル
2 地震動とする水平震度が設定されています。しかし,平成 16 年に発生した新潟県中越地震で
は,その教訓が十分に発揮できず,水道施設に甚大な被害が発生し,長期間にわたって断水が
生じました。本市においても鹿児島湾直下地震等の大規模地震による被害が危惧されており,
被害を最小限に抑えるためには,
基幹施設の耐震性を高めることが重要となります。
そのため,
現在の耐震レベルが確保されていない基幹施設について耐震診断を実施し,耐震性能の確認と
必要な耐震補強対策について検討します。
59
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(イ) 給水拠点の整備
配水池は,平常時の飲料水供給施設としての機能を果たすとともに,地震等災害時の給水拠
点施設として重要な役割を果たしています。配水池流出側に地震の揺れや過流量に対して弁が
作動する緊急遮断弁を設置しているところは,
川内地域の百次配水池と久見崎配水池だけです。
そのため,基幹施設に対し,地震等災害時の飲料水の流出防止対策として緊急遮断弁を設置し
ます。
イ 主要な施策
水道施設の耐震化
基幹施設で築造年度が古い水道施設は,耐震診断を実施し,耐震性能の確認と必要な補
強対策について検討する。
給水拠点の整備
主要な給水拠点施設に対し,地震における管路破損時など不測の事態に備え,緊急遮断弁
を設置する。
ウ 目標
根幹施設への緊急遮断弁の設置
地域名
川内
樋脇
入来
東郷
向鶴
芸ノ尾
永利
永野
百次
久見崎
中央
宇都
盛水
向山
中津俣(浄)
戸屋川(浄)
新藤川
鳥丸
山田
配水池容量
(㎥)
10,560
3,400
1,650
1,200
1,000
1,400
505
1,000
1,126
1,000
160
80
480
390
192
実績
平成 17 年度
×
×
×
×
○
○
×
×
×
×
×
×
×
×
×
※○は緊急遮断弁設置済み。
※
は,簡易水道事業に有する施設を示す。
60
平成 22 年度
○
×
×
×
○
○
×
×
×
×
×
×
×
×
×
目標年度
平成 28 年度
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
耐震診断の実施
地域名
川内
芸ノ尾
冷水
永利
築造年度
S29,S47
S45
S61
実績
平成 17 年度
×
×
×
平成 22 年度
○
○
○
目標年度
平成 28 年度
○
○
○
(3) 配水区域間及び隣接事業体等の連携強化
ア 事業概要
現在,一部の地域で非常時対応として①上水道事業間,②上水道と簡易水道事業間,③簡易
水道事業間が連絡管で結ばれています。
地震等により管路や構造物が被害を受けることは避けられないため,拠点施設や基幹管路の
耐震化と併せて,バックアップ機能を強化します。また,被害が生じた場合の対策として,現
在,管工事組合とは協定を締結していますが,今後,他事業体との連携を図るために災害時相
互支援連絡協議会を設置し,他事業体やメーカーからの資機材や応急給水支援など調達を図り
ます。併せて,隣接事業体との連絡管についても検討していきます。
イ 主要な施策
配水区域間のバックアップ機能の強化
非常時の安定給水を確保するために,融通が可能な配水区域間においては,連絡管を整
備し,バックアップ機能の強化を図る。
隣接事業体との相互連絡体制の強化
災害時のために日頃から隣接事業体との相互連絡体制を強化し,災害時の迅速な協力体
制により被害を最小限に抑える。
(4) 災害対策マニュアル等の充実
ア 事業概要
本市に影響を及ぼす災害として,地震,台風,渇水が挙げられます。これらは,水道への影
響度は高く,水道施設整備によるハード対策と発生した場合のソフト対策が重要となります。
水道施設の保全,二次災害の防止・減災を目的に応急給水及び応急復旧を直ちに実施できる体
制を整えておく必要があります。
「現在の危機管理体制」として以下のようになっていますが,災害時の復旧期間の短縮や復
61
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
旧期間中の応急給水の充実など事業体が共通の認識を図る必要があります。そのため,災害時
の適切な人員配置や復旧用資機材の確保などを確立させ,応急復旧・応急給水体制を整備・拡
充していきます。
−現在の危機管理体制−
・ 簡素な危機管理マニュアルにより管理しています。
・ 復旧対応の敏速化から工事用車輌の優先的なリース車と管継手の資機材を確保します。
・ 水源地及び配水池に監視システムを導入します。
・ 管工事組合との災害協定を締結しています。
イ 主要な施策
災害対策マニュアル等の整備
水道施設は,地域により仕切弁の開閉の仕方や配管使用材料等が相違していることや本
市の特徴である本土地域と甑島地域で構成されていること等から災害時に即時に誰でも対
応できる災害対策マニュアルの整備が必要である。地震,台風,渇水に対して,応急給水・応
急復旧,他事業体との連携等の災害復旧に備え,具体的な行動を示した災害マニュアルを
作成し,災害が発生した場合の円滑な対応を目指す。
応急復旧・応急給水体制の整備
・災害時には,地域住民の協力が不可欠であるため,関係機関との連携により合同訓練を実
施するなど災害時の地域協力体制づくりを行う。
・応急給水は,給水車と給水袋の有効活用を行い,迅速な対応を図る。
他事業体やメーカーとの連携
現在,水道資材倉庫を保有しており,漏水修理等の最低限の資機材は確保している。資機
材の保有は,複数の保管場所と多くの資機材を確保する必要があるため,災害に対する資
機材保有の代替として,今後,他事業体やメーカーとの連携を図って対応していく。
テロ対策など人為的災害の予防
テロ行為などの予防から主要な施設を守るため,セキュリティ導入による施設の監視体制の
強化を図るとともに,施設への立入りを防止するために忍び返しフェンス等を設置する。
62
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
4
持続可能な健全経営
(1) 適正な水道料金の設定
ア 事業概要
現行の料金体系は,各地域によって相違し,口径別及び用途別を採用しています。また,水
道料金は同口径の使用で事業により利用者の負担格差が生じています。公平な給水サービスの
実現と健全な事業運営の観点から全市的に適切かつ公平な水道料金とします。
イ 主要な施策
適正な水道料金の設定
持続可能な健全経営を目指して料金体系は口径別を採用し,水道事業経営計画に基づき水
道料金の統一化と適正な水道料金の設定を今後検討する。
給水負担金の設定
新水道料金に併せ,公平な給水負担金とする。
(2) 健全な財務体質の確保
ア 事業概要
水道事業は,施設拡張の時代から維持管理の時代へと移り変わってきており,施設拡張時代
に建設した施設が老朽化し,それらの更新費用等が必要となってきています。
一方,人口は少子化により減少していき,節水意識の浸透や節水型機器の普及に伴った使用
水量の減少が予想されます。これらに対して,健全な財務体質を確保するためには,①収益の
確保,②コスト縮減,③資産の活用が考えられ,透明性を確保した効率的な事業運営と経営基
盤の強化を図り,利用者に理解が得られるように努めていきます。
63
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
イ 主要な施策
① 収益の確保
流量計の設置
流量計が未整備で配水流量を把握できていない箇所があり,確実な配水量の実態を把握す
ることは,有収率を向上させるための重要な指標となることからその対策として,配水池の流出
側に流量計を設置し,配水量の実態を把握する。
有収率の向上
有収率は,事業収益に直結する重要な指標である。有収率の向上は経営上の目標であり,
結果として施設利用率の向上や安定供給に繋がることから,その対策として老朽化した管路の
布設替えは持続的に推進し,有収率を向上させる。
収納率の向上
収納率の向上は,経営基盤の強化に繋がることから,水道料金の口座振替やコンビニ収納
による納付窓口の拡大を図ることにより利用者の利便性を高め,納入しやすい環境をつくる。
国庫補助金の活用
これまで簡易水道事業であった地域は,給水人口当りの管路延長が長いため,利用者の料
金収益のみでは対応できない状況にある。今後も最大限に国庫補助金を活用する。
② コスト縮減
公共工事の縮減
工事費のうち管路工事が全体事業の 6 割∼7 割を占めているため,少しの削減が結果として
大きなコスト縮減に繋がることから,「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」等を踏ま
え,継続した管路の浅埋化と他の公共事業との同時施工等に努めていく。
事業運営の効率化方策
水道の支出には,営業費用と営業外費用があり,このうち営業費用に関わる維持管理費の
圧縮に努めるとともに,水道事業の収支バランスを図った施設整備費とし,支払利息や企業債
の軽減に努めていく。
③ 資産の活用
資産の活用
現存の未利用財産の有効活用方法について検討する。
64
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
ウ 目標
配水池流量計設置
地域名
川内
樋脇
向鶴
今村
吉野山
杉ノ角
芸ノ尾
冷水
冷水高区
永利
永野
百次
石神
上川内
平佐
土川
西方
湯之元
小倉
高江
池ノ段
丸羽山
寄田
上野
久見崎
港
網津
水引
木場茶屋
湯田
中央
杉馬場城内
新開第 1
宇都
指月
グリーンタウン
野下
倉野
実績
平成 17 年度
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
×
×
×
○
65
平成 22 年度
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
目標年度
平成 28 年度
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
配水池流量計設置
実績
平成 17 年度
平成 22 年度
目標年度
平成 28 年度
藤本
武田
上手
盛水第 1
盛水第 2
大馬越
原
向山
副田
長野
山之口第 1
山之口第 2
○
○
○
○
○
×
○
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
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○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
中津俣
○
○
○
戸屋川
藤川
新藤川
鳥丸
新鳥丸
石堂
山田
板屋
黒仁田
手坂
宮脇
高区
黒木浦
上門
秋上
旧上門
下手第 1
小牧第 2
藺牟田第 1
城平
横石
千貫
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
地域名
田代沢牟田第 1
田代沢牟田第 2
樋脇
入来
東郷
祁答院
66
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
配水池流量計設置
実績
平成 17 年度
平成 22 年度
目標年度
平成 28 年度
砂石第 1
旧砂石
里第1
里第2
里第3
里第4
江石第 1
中甑第 1
中甑第 2
中甑第 3
中甑第 4
瀬上
小島
平良第 1
平良第 2
桑之浦
桑之浦第 1
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
−
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
手打
○
○
○
新手打
低区
高区
瀬々野浦
青瀬
長浜第 1
長浜第 2
芦浜
藺牟田第 4
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
地域名
祁答院
里
上甑
下甑
鹿島
※○は流量計設置済み。
※
は廃止を示し,
は予備,
は新設を示す。
※鹿島地域の藺牟田第 1∼第 3 配水池は,第 4 配水池へ流入している。
67
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(3) 事業と業務の効率化
ア 事業概要
平成 14 年度の水道法改正により貯水槽水道の管理強化,第三者委託の制度化等が示されま
した。
これに伴い,
本市は近隣事業体に先駆けて丸山浄水場運転管理の一部委託を行っており,
一定の成果を挙げています。
その他の浄水施設は,水源水質に対応した水処理システムを有していますが,コスト縮減に
向け,民間への委託化を検討します。
一方,2007
年度は,
「団塊の世代」の大量退職を控え,職員の世代交代が見込まれており,
水道サービス水準を確保・向上させるために,平成 19 年 4 月より東郷支所に職員を集約化し,
技術・技能の継承を図りつつ,効率的な事業執行体制で取組んでいます。
また,職員の能力活用と人材育成を図るために水道の技術講習会等に積極的に参加し,専門
的な知識・経験を有する技術者の養成・確保を目指すとともに,次世代に継承するにふさわし
い水道を目指して,組織機構の強化を図り,職員の人材育成と技術の継承に努めます。
○ 現在民間委託を実施している業務
・検針業務
・休日開栓業務
・施設・管路設計
・丸山浄水場運転管理一部委託
・施設の点検業務
・配管図修正業務
・末端給水栓水質検査
・量水器取替業務
・水質分析・検査業務
・電気保安業務
○ 民間委託を検討する必要がある業務
・電算入力(利用者登録)業務,料金滞納整理業務,料金収納業務,料金精算業務,浄水汚泥処
理業務,漏水修理業務,開閉栓業務,上水道管理システム(給水装置台帳,水道配管台帳,送配
水管現況図,工事関係図面のデータベース化)
丸山浄水場運転管理一部委託
68
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
イ 主要な施策
第三者委託の検討
業務を効率的に行っていくために,民間で行う方が効率的な業務は,指定管理者制度(※1)
や PFI(※2)等も視野に入れた民間委託の検討を行う。
人材育成と技術の継承
より一層の技術・技能の継承を図り,効率的な事業執行体制を目指していく。また,職員の
能力活用と人材育成を図るために水道の技術講習会等に積極的に参加し,専門的な知識・経
験を有する技術者の養成・確保を目指していく。
組織機構の強化
水道局の総職員数は上水道事業 24 名,簡易水道事業 10 名の計 34 名(平成 17 年度)で構
成されており,平成 19 年 4 月からは水道局を東郷支所に集約(甑島を除く)して総職員数を減
らして対応している。本局及び支所では,事務分掌に基づいて人員配置を行って業務に携わっ
ているが,効率面,利用者サービス面からより弾力的な体制づくりを目的とした組織機構の見
直しについて検討する。
(人)
8,000
6,000
4,000
2,000
北見市
富士見市
深谷市
岩槻市
飯田市
白山市
小松市
東海市
多治見市
彦根市
池田市
岩国市
八代市
浦添市
※
薩摩川内市
0
は用水供給を行っている事業体を示す。
※ 用水供給を除くと、本市の職員一人当りの受持つ人口は比較的多い。
図 4-7 職員一人当りの受持つ人口(平成 17 年度)
※1
指定管理者制度:地方公共団体やその外郭団体に限定していた公の施設の管理を,株式会社をはじめと
した民間法人にもさせることができるという制度。
※2 PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)
」
:公共施設等の建設,
維持管理,運営等を民間の資金,経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法で,民間の資金,経
営能力,技術的能力を活用することにより,国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的
に公共サービスを提供できる。
69
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
5
利用者サービスの向上
(1) 窓口サービスの充実
ア 事業概要
水道利用者と接する主な業務は,①引越に伴う水道の使用開始・中止手続き,②料金の窓口
収納,③水道料金,使用水量等の問合せ,④給水工事や断水等の問合せ等があります。
水道事業は,
利用者の水道料金によって成り立つもので,
現在の未回収率や苦情件数の減少,
水道料金の簡素化等を目的にコンビニエンスストアにおける水道料金の支払やインターネット
での給水使用開始・中止手続きの導入の検討を行い,業務の効率化と市民からより一層の信頼・
理解を得るために,窓口サービスを充実させます。
イ 主要な施策
窓口サービスの充実
窓口担当者と利用者の人数からサービスの向上に限界があるため,市民生活の多様化に
対し,水道料金のコンビニエンスストアにおける水道料金の支払,インターネットでの給水使用
開始・中止手続きの導入の検討を行い,業務の効率化を図る。
(2) 利用者ニーズへの対応
ア 事業概要
これまで利用者のニーズに応えてきましたが,今後も利用者の視点に立った水道事業を構築
するために,利用者からの意見やモニター制度の導入の検討を含め,水道サービスの向上を図
ります。
イ 主要な施策
意見やモニター制度導入の検討
利用者からの意見やモニター制度導入の検討を含め,水道サービスの向上を図る。
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第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(3) 情報公開の充実化
ア 事業概要
平成 14 年 4 月に改正された水道法により,水道事業に対する理解を深めるとともに,利用
者の知りたい情報を積極的に提供していく観点から,水道の安全性やコストに関する情報提供
を水道事業者の責務として位置付けられました。
現在,利用者に水道事業に関する理解と知識を深めてもらうため,ホームページの活用や丸
山浄水場の施設見学,広報誌等を活用した活動を行っています。
利用者ニーズに的確に対応するために,定期的な意識調査を実施し,事業に反映させる仕組
みづくりに努めていきます。また,水道事業の経営状況や水質データ等の情報を敏速にわかり
やすく提示し,情報公開に努めていきます。
水道事業者
○ 水道料金等の利用者の負担
○ 今後必要な施設整備・更新の
計画とそのコスト
○ 事業の効率化への取組み
など
利用者の知りたい情報
(水道の水質等に関する情報)
○ 安全性向上への取組み
○ 水質検査の計画及び結果
○ 原水水質等の水源の状況
○ 渇水や震災への備え
など
水道水の安全性など水道に対する信頼
○ 事業の運営コスト
客観的で分かりやすい
(事業に関するコスト等の情報)
情報の積極的な提供
水道事業者の施策・投資に対する理解
利用者に理解を促す情報
利 用 者
水道事業者と利用者の対話
インタネット等による情報提供
図 4-8 情報提供の推進
出典:厚生労働省
イ 主要な施策
情報公開の充実化
水道事業に対する理解を深めてもらうために丸山浄水場の施設見学,広報誌等を活用した
活動を継続的に実施する。
インターネットからの意見・相談
利用者のニーズに応えていくために,インターネットで水道事業に対する利用者の意見や相
談を受け付ける。これにより,水道事業者と利用者が一体となり,市民の視点に立った事業運
営及び水道事業の透明性を確保する。
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第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(4) 直結給水の検討
ア 事業概要
マンションや高い建物への給水方式は,一般に受水槽給水方式を採用しています。近年,衛
生面の問題から維持管理が必要であったり,設置者に対して経済的な負担を生じさせたりして
います。水道水が利用者に届く過程での水質劣化を防止するためには,受水槽を経由しないで
配水管から直接給水する直結給水システムの拡大が有効となります。
そのため,利用者への給水サービスの向上を目的として市内を中心に直結直圧給水あるいは
直結増圧式給水の普及や拡大が可能かどうか検討していきます。
イ 主要な施策
直結給水の検討
平坦な市内を中心に配水管網整備などにより直結給水の普及や拡大が可能かどうかの検討
を行う。
市街地のマンション
72
第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
環境・省エネ対策への取り組み
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(1) 水源環境の保全
ア 事業概要
水源は,表流水や湧水,地下水を主体とし,比較的清浄で良好な状態であります。しかし,
気象環境及び社会環境の変化に対し,将来に亘って健全な水循環系を維持し,安全で清浄な水
源を確保するために,水源環境の保全に努めていきます。
また,自然豊かな場所に多くの水源を有しており,この水源周辺環境の保全と監視を行って
いきます。また,本市が最も多く取水している一級河川の川内川は,関係機関と協力・連携を
図り,水質汚濁防止対策に努めていき,次世代に良好な水質の水源を継承します。
イ 主要な施策
水源の監視
水源周辺を監視する体制を強化する。
水源環境の保全
関係機関との協力・連携を図り,水源周辺の水質汚濁に関わる状況の把握に努める。
(2) 省エネルギー対策の推進
ア 事業概要
平成 9 年に京都で開催された国際会議においては,温室効果ガス排出削減のための数値目標
及び政策措置を定めた京都議定書が採択されました。先進国では,最低 5%の削減が約束され,
日本は 6%の削減目標が設定されております。現在,その達成が非常に困難な状況におかれ,
水道事業においても環境,省エネルギーといった視点での貢献が求められています。
本市においては,配水方式は自然流下方式を主体としておりますが,地下水の汲み上げや地
形特性による加圧配水ポンプの使用などに電力エネルギーを使用しています。地球環境保護の
見地から加圧配水区域の縮小や機械設備の更新においては,インバータを始めとした高精度制
御機器の導入により,環境負荷の低減を図っていきます。
また,太陽光発電やマイクロ水力発電(※1)の活用についても調査,研究を推進していき
ます。
※1 マイクロ水力発電:身近にある沢や堰などから取水し,水車までの高低差を利用することによってエネ
ルギーを回収します。
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第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
イ 主要な施策
高精度制御機器の導入
水道施設で使用するポンプ設備や照明設備等についてインバータ等の高精度制御機器の
積極的な導入を行う。
立地特性を活かした自然流下方式への見直し
川内地域の石神,平佐,上川内配水区は,加圧配水方式を採用しており,隣接する自然流
下方式の配水区を拡張し,動力費の削減に努める。
自家発電の調査
太陽光発電やマイクロ水力発電の調査,研究を進める。
(3) 浄水汚泥活用の検討
ア 事業概要
水源の多くは,良質な水源である地下水に依存しています。一方,本市の重要施設である丸山
浄水場は,川内川を水源として,浄水処理方法は薬品沈殿方式及び急速ろ過方式を採用し,適切
な処理を行い,良質な水を提供しています。本浄水場で発生する浄水汚泥は,現在,廃棄物とし
て処分されていますが,年間 65DS-t 発生する浄水汚泥を資源として活用できないか検討を行い
ます。
イ 主要な施策
丸山浄水場発生汚泥の活用の検討
丸山浄水場で発生する 65DS-t/年の浄水汚泥を資源として活用する検討を行う。
浄水汚泥の状況
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第 4 章 薩摩川内市の目指すべき方向
(4) 環境に配慮した事業運営の推進
ア 事業概要
水道事業においても循環型社会の形成には,廃棄物の排出を抑制した環境負荷を低減する取
り組みが必要であります。本市は,廃棄物の排出抑制に取り組み,環境に配慮した事業運営を
推進します。
イ 主要な施策
施設更新における環境負荷への取り組み
施設更新では重機を使用し,産業廃棄物が多い状況にあります。このため,施設更新にお
ける環境負荷への取り組みとして,管路の浅埋化,発生土の再利用,環境にやさしい材料の
使用,建設副産物の発生抑制の取り組み,重機の環境対策型の使用を継続的に推進する。
内之尾の棚田
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