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ニュートリノ振動の 実験的測定

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ニュートリノ振動の 実験的測定
ニュートリノ振動と
その実験的測定
東京大学宇宙線研究所
神岡宇宙素粒子研究施設
森山 茂栄(もりやま しげたか)
2006年5月23日 岡山大学
|
素粒子、ニュートリノ、ニュートリノ振動
大気ニュートリノ、加速器によるニュートリノ
太陽ニュートリノ、原子炉からのニュートリノ
|
神岡での将来の実験
|
|
1,素粒子とは
原子核
中性子
中性子
原子
陽子
陽子
クオーク
クオーク、 電子は “素粒子”
粒子同士に働く力とは 1
素粒子物理学では、極端な例を考えて、それか
ら少しはずれた摂動という考え方を用いる。
| 例えば「自由に運動する粒子」を考える。
| 「自由」とは、何ともぶつからずに直進するだけ
の粒子。特に質量ももたないと考える。
|
粒子φ
|
特になにも面白いことは起きないし、誰もこの粒
子の存在に気づくことはない。
粒子同士に働く力とは 2
|
粒子同士に弱い力が働く場合(つまり希
にぶつかるような場合)は面白くなる。つ
まり「観測」が可能となる。
粒子φ1
粒子φ2
このような反応を、自由粒子からのずれとし
て考える。
| 反応の種類、確率が実験的に測定できる。
|
素粒子の間の力
|
|
|
素粒子間に力がなければ自由粒子であり、何の面白みも
なく、現実と切り離される。
力つまり相互作用があるために現実と関係を持てる。
力は力を媒介する粒子の交換によって成り立っていると考
えることができる。
素粒子: φ1
素粒子: φ2
|
力を媒介する
粒子ϕ
このような模型を用いて計算が可能となる
ニュートリノとは
第2世代
第3世代
クォーク
レプトン
第1世代
|
電子ニュートリノは、電子から電気を剥いだもの
素粒子に働く3つの力
第1世代
第2世代
第3世代
νe
νμ
ντ
-1
e
μ
τ
2/3
u
c
t
電荷
0
ニュートリノ
レプトン
弱い力
電磁力
クォーク
強い力
-1/3
d
s
b
粒子の分類と力、
そしてニュートリノ
クォーク: 強い力が働く
「グルーオン」が媒介
| レプトン: 強い力が働かないもの
つまり原子核を形成しない
残る力は「電磁力」「弱い力」
「光子」と「弱ボゾン」が媒介
| ニュートリノ: 電気も帯びていないので、
「弱い力」のみしか働かない。
「弱ボゾン」しか働かない。
|
ニュートリノの特性のまとめ
電気を持たない。
| スピン1/2の粒子。
| 「弱ボゾン」のみが力の媒介
反応の確率が非常に低い。ほとんど自由粒子。
Î 実験的に観測が難しい。質量も測定が非常に
難しかった。スーパーカミオカンデによる発見によ
り、初めて質量があることが示された。
|
ニュートリノは質量ゼロ?
ニュートリノの質量は0と矛盾しなかった。
| 素粒子の理論は「出来るだけ簡単であ
れ」という願いにより、質量を0とした素
粒子の標準理論が構築されてきた。
| 素粒子の標準理論には不満な点が多数
あるにもかかわらず、この数十年、標準
理論と矛盾する結果がなかった。
| 標準理論とあわない現象を見つけること
が理論の発展のために極めて重要と
なった。
|
岐阜県神岡町東茂住 神岡鉱山
カミオカンデ
岐阜県神岡町神岡鉱山
地下1000メートルの場所に
3000トン水タンクを建設
1000本の50cm光電子増
倍管
小柴昌俊先生 2002年ノーベル物
理学賞
Prof. M. Koshiba
天体物理学に対するパイオニア的貢献、
特に宇宙ニュートリノの観測に対して
スーパーカミオカンデ
„ 50000トンの容積の水タンク
(42m高さ、40m直径)
„ 11146本の50cm光電子増
倍管
„ 地下1000mの神岡鉱山内
カミオカンデの30倍の
有感度体積
(スーパー)カミオカンデでは
ニュートリノをどうやって観測するか
観測する実験装置は、(殆ど)電気で動く。
| 電気そのものを出すか、光が出てくれる必
要がある。
| ニュートリノそのものではなく、ニュートリノ
が物質と衝突した際に生じる電気を帯びた
粒子ならば簡単
跳ね飛ばされた電子
|
ニュートリノ
ニュートリノ
|
「チェレンコフ光」を利用できる。
(スーパー)カミオカンデの動作原理
„電荷を持った粒子が
超光速で運動 →
e
チェレンコフ光放出
(水中の光の速度
= c/n = c/1.33)
„以下の水面波の例と同等
池に石を落とした
水面波の速度よりも速くおよぐアヒル
詳しくは電磁場の計算が必要だが「衝撃波」でOK
チェレンコフ光を捉える
光電子増倍管とは
浜松ホトニクス
ホームページより
„ 入射した光が、「光電面」において「光電効果」によっ
て「光電子」を生成
„ それを「ダイノード」により100万倍ほど増幅して通
常の電気回路で取り扱える量にする
„ このプロセスは1ns(10億分の1秒)程度の時間分解
能を与える(この時間に光は30cmしか進めない)
光電子増倍管を用いた位置測定
„短い発光をする光源(チェレンコフ光もその例)を
二つの光電子増倍管で観測すると、観測される時
間が異なる。10億分の1秒程度の時間が区別可
能。
„光子数個でも位置が数十cmの精度で決定できる
Î高エネルギー素粒子実験や、
スーパーカミオカンデには大変重要
„半導体を用いた近代化(これは真空管!)が進め
られている
スーパーカミオカンデの要:50cm光電子増倍管
ニュートリノ事象の例
タンクを上か
ら覗いた視
点でみたも
の。
| 綺麗なチェレ
ンコフ光が見
えている。
|
これで「ニュートリノとは何か」「如何にして捕らえるか」はOK!
ニュートリノ振動の観測
|
決まった質量mを持つ粒子があるとする。それを
質量固有状態と呼ぶ。質量固有状態は、決まった
振動数で振動しながら飛んでゆく。
波の伝播
|
時間
ニュートリノの生成においては必ずしもこの状態
で生成されるとは限らない。
相互作用の固有状態
|
ニュートリノの生成は、「力」が働くのと同じ。
W boson
e-
νe
(またはμ−)
(またはνμ)
|
νe
同じ
(またはνμ)
W boson
e+
(またはμ+)
「力」の固有状態は、質量固有状態と同じ必要
はない。簡単のためにニュートリノが2種類とす
ると、
電子ニュートリノ |νe> = cosθ|ν1> ー sinθ|ν2>
ミューニュートリノ |νμ> = sinθ|ν1> + cosθ|ν2>
と書ける。
ニュートリノの混合
νμ成分の大きさ
ν2成分の大きさ
θ
<νi| νj>=1 (i==j)
=0 (i!=j)
|
|
あるニュートリノの
状態を示す場所
νe成分の大きさ
ν1成分の大きさ
二つの座標の変換だと考えれば良く、二つの座標系がずれて
いるだけのこと。一つのニュートリノに二つの表現方法がある。
ただしニュートリノに質量がなければν1とν2は区別できない。
組み直してνeとνμを自由に作れるのでθに物理的意味がない。
ニュートリノに質量があると。
|
作られた「電子ニュートリノ」は、二つの質量固有状態を
持っているために、走行する時間の関数によって二つの
振動にずれが生じてくる。
その結果、距離L走ったあとで、電子ニュートリノのま
まである確率は
PνeÎνe (t)= 1-sin22θsin2(LΔm2/4E)
θは混合角
Δm2は二つの質量の2乗の差(m12-m22)
残りの場合は、別のニュートリノが観測される
これがニュートリノ振動
|
視覚化すると以下のようになる。
時間
波の伝播
質量状態 1
質量状態 2
合成した状態
電子
ニュートリノ
ミュー
ニュートリノ
電子
ニュートリノ
ミュー
ニュートリノ
時間、あるいは距離
ニュートリノの伝播
電子
ニュートリノ
ミュー
ニュートリノ
電子
ニュートリノ
ミュー
ニュートリノ
ミュー
ニュートリノ
タウ
ニュートリノ
ミュー
ニュートリノ
タウ
ニュートリノ
電子
ニュートリノ
タウ
ニュートリノ
電子
ニュートリノ
タウ
ニュートリノ
このように種類が変化してしまう現象を「ニュートリノ振動」
とよぶ。ニュートリノが質量を持つ場合に起こる。
ニュートリノ振動の発見
素粒子実験は、古くは宇宙から降ってく
る宇宙線を研究することが多かった。
| そのうち加速器が作られ、人工的に粒子
を生成できるようになった。
| ただし加速器には限界がある(エネル
ギー、粒子数、費用など)
| それで再び宇宙線を利用した素粒子研
究も脚光を浴びた。
| ニュートリノ振動の発見はまさに「宇宙
線」を利用したものであった。
|
2,大気ニュートリノ
Zenith angle
θ
Production
Downward
(L=10~100km)
p, He …
π±, K±
μ±
νμ
νμ
|
|
e±
νe
Upward
(L=up to 13000 km)
大気に降り注ぐ陽子が大気と衝突してニュートリノを作る。
それがスーパーカミオカンデに「地球の裏からも」降り注ぐ
大気ニュートリノの上下対称性
ニュートリノ振動がなければ地球に一様に降り注
ぐ宇宙線と同じ分布(一様等方)となるはず。
| 例えば宇宙線と、生成されたニュートリノの方向
が一致していれば、地球は貫通するから、、、
|
単位時間あたりの
ニュートリノ飛来数
F(θ)
一定のはず
Zenith angle
θ
F(θ)sinθdθ
=const.
-1
cosθ
上向き
横向き
+1
下向き
大気ニュートリノのニュートリノ
振動
μ
μ
|
|
|
上から来るものは振動する暇がない
下から来るものは角度が少し変わると走る長さがかわる
また、ニュートリノの方向を知るための分解能は有限である
残っている数
½ sin22θ
に比例
νμのcos θ
μのcos θ
大気ニュートリノ振動の観測では
「上下比」が重要で、強力な証拠となる。
大気ニュートリノを
スーパーカミオカンデで観測
|
νμから生成されるミューオンを観測した
青線:ニュートリノ振動なしの場合
赤点:実測データ
緑線:ニュートリノ振動がある場合
このように、上向きの事象が減って
sin22θ~1を意味する 見えるÎ ニュートリノ振動の発見
注:青線の「横向き」が多いのは、
説明を省略します。
「ニュートリノ振動の証拠=ニュートリノに質量がある」証拠
何と何が振動しているのか
実は電子ニュートリノを見ても、期待通りの分
布をしている。従って電子ニュートリノは振動
に関係していない。
| 今ミューニュートリノを見ているので、残るはタ
ウニュートリノだと考えられる。
| ミューニュートリノとタウニュートリノの振動!
|
ニュートリノ振動のパラメータ
|
|
|
sin22θと、Δm2が振動を決める。
sin22θは、上下の数の比で決まる。上向きが下向きより半分
になっているから、ほぼ1
Δm2はsin2(LΔm2/4E)という依存性から、
LとEが分かれば決まってくる。
例えば
L~500km, E=1GeV程度なのでΔm2~2x10-3eV2程度
(ヒント:自然単位系 ch=1=200 MeV fm) f=フェムト、10-15
陽子の質量~ 109eV, ニュートリノは非常に軽い。
パラメータの決定
混合角θ~45度
| 質量の2乗の差
~0.002eV2
|
この曲線の
内側が正しい
パラメータと
考えられる領域
高い信頼度ほど
大きい領域になる。
2
2
Δm (eV )
10
SK-I + SK-II
-2
質量の大きさ
99% C.L.
90% C.L.
68% C.L.
-3
10
0.7
0.75
0.8
0.85
sin22θ
0.9
0.95
1
ν3
νμ
ντ
ν2
νμ
ντ
半々に混じっている
加速器による再確認(K2K実験)
つくば
スーパーカミオカンデで
ニュートリノを捕らえる。
高エネルギー加速器
研究機構(KEK)
12GeV陽子加速器
でニュートリノを作る。
大気ニュートリノで分かった
「ニュートリノに質量がある」検証を行った。
大気ニュートリノの結果と
加速器実験からの結果
2
Δm2 [ eV ]
K2K-I & K2K-II
0.009
|
0.008
K2K
0.007
SK
|
0.006
0.005
0.004
0.003
68%
90%
99%
0.002
0.001
0
0
0.25
|
0.5
0.75
2
1
sin (2θ)
大気ニュートリノ観測
と、K2K実験(すでに
完了)は無矛盾。
統計が少ないために
混合角は決めづらい
が、距離がはっきりし
ているのでΔm2には感
度がある。
最近のアメリカの実験
(MINOS)でも無矛盾
な結果。
大気ニュートリノと加速器を用い
たニュートリノ振動実験のまとめ
大気ニュートリノを観測することにより、
上からと下からの数の違いによりニュー
トリノ振動が明らかになった。
| 加速器を用いた実験により、その結果が
確認された。
| これまでの素粒子の標準理論の枠を超
えた結果のため、標準理論の不満な点
を理解するための突破口となると認識さ
れるようになった。
|
ひとやすみ
3,太陽ニュートリノ
太陽はどのようにかがやいている?
太陽中の核融合反応
4p → 4He + 2 e+ + 2 νe+ 26.7MeV
熱エネルギー
• ニュートリノの個数 :
~660億個 / sec /cm2
標準太陽模型
Flux (cm-2 sec-1MeV-1)
太陽ニュートリノのスペクトルと観測装置
10
12
10
11
10
10
10
9
10
8
10
7
10
6
10
5
10
4
10
3
10
2
10
Ga
Cl
pp ±1%
13N
SK, SNO
7Be
±10.5%
15O
pep ±2%
8B
17F
7Be
hep
±10.5%
-1
±16%
±16%
1
Neutrino energy
10
(MeV)
http://www.sns.ias.edu/~jnb/
太陽ニュートリノの観測結果
塩素に太陽ニュートリノを吸収させる方法
| 水チェレンコフを使う方法(カミオカンデ)
| 金属ガリウムを使う方法
|
などの実験が行われたが、どれも期待される量
よりも少ないニュートリノしか来ていないことが
判明した!
大気ニュートリノ振動とは違い、電子ニュートリノ
が減っているように見える。
LMA
大気ニュートリノ
の振動パラメータ
SMA
LOW
VAC
ガリウムと塩素の実験で
得られた95%信頼度での
許容領域
スーパーカミオカンデ及び
SNO実験の台頭
|
太陽ニュートリノ問題は40年越しの大問題だった。
SKの、精度が高く、高統計のデータ
| SNOの重水(D2O, Dは陽子と中性子からなる)
|
による測定。これも検出数が多い。
これを簡単に説明してゆく
スーパーカミオカンデで地下から見た太陽
θ
e
ν
Galactic Latitude
太陽方向と、ニュートリノ
が散乱した電子の方向
との相関
銀河座標に描いた、
ニュートリノ飛来方向の図
太陽の軌跡がよく見える
Galactic Longitude
データを期待値で割った値
ニュートリノ振動がなければ1となる
エネルギースペクトルに違いが出るか
振動パラメータによってはエネルギースペクトルに
ゆがみが見えるはずだが、観測結果には見えない
その結果、いくつかのパラメータ領域を否定できた
0.7
SMA
LMA
0.6
VAC
SK-I 1496days
0.5
0.4
0.3
5
10
15
20
反跳した電子のエネルギー (MeV)
エネルギースペクトルと日夜時間変動
をもとにSKで排除した領域 (95%C.L.)
SNO (サドバリニュートリノ観測所)
http://www.sno.phy.queensu.ca/
1000t D2O
2092m underground
Sudbury, Ontario, in
Canada, since Nov. 1999
1000トンしかないが、重水を使用
スーパーカミオカンデと違う反応を
使って、ニュートリノの種類をわけて
測定することができた。
電子ニュートリノが重水素に
吸収される反応等を応用した。
大角度混合解が太陽
ニュートリノ振動の解
SNOの結果を用いた
許容範囲 (95%C.L.)
SKでの時間変動、エネル
SKとSNOを併せた
ギースペクトルを用いて
許容パラメータ領域
排除した領域 (95%C.L.)
カムランド(KamLAND)東北大学
http://www.awa.tohoku.ac.jp/KamLAND/index.html
In the Kamiokande cavern
since Jan. 2001
1000トンの
液体シンチ
レータ
1879 PMTs
H2O Cherenkov
veto counter
• 原子炉からの
ニュートリノを計る
• 大きな原子炉が同
じような距離に集中し
ているため幸運
νe + p → e+ + n
~200μsec
n + p→ d + γ
原子炉からのニュートリノを観測
明確なニュートリノ欠損が見えた
| 特にエネルギー依存の欠損であることが重要
|
-4
質量の大きさ
Solar+KamLA
ND KamLAND
99.73
%
95%
Solar
ν3
νμ ντ
ν2
νμ ντ
νe
ν1
sin2θ = 0.30
Δm2=8.0x10-5eV2
ニュートリノの質量の
関係の一つの例
太陽ニュートリノ観測による振動パラメータと、
原子炉ニュートリノ観測による振動パラメータが重なった。
太陽ニュートリノ、
原子炉ニュートリノのまとめ
40年前から問題になった太陽ニュートリ
ノ欠損問題は、スーパーカミオカンデとS
NO実験により確かにニュートリノ振動が
原因であることがはっきりした。(電子
ニュートリノの振動)
| カムランドは原子炉から来るニュートリノ
を捕らえる実験だが、それによる結果も
太陽ニュートリノの結果と無矛盾であっ
た。(反電子ニュートリノの振動)
|
ニュートリノ振動実験のまとめ
大気ニュートリノ、加速器からのニュートリノ
sin22θ23~1.0, Δm232~2x10-3eV2
| 太陽ニュートリノ、原子炉からのニュートリノ
sin2θ12~0.3, Δm122~8x10-5eV2
|
質量の大きさ
ν3
νμ ντ
ν2
νμ ντ
νe
ν1
大気ニュートリノで観測された
Δm232~2x10-3eV2
太陽ニュートリノで観測された
Δm122~8x10-5eV2
再建作業終了後、給水中のスーパーカミオカンデ
3,神岡での将来の実験
スーパーカミオカンデのこれから
|
大気ニュートリノと加速器を用いた研究:
まだ見ぬ3つめのニュートリノ振動の観測
より高い精度での振動パラメータの決定。
未発見!!
質量の大きさ
ν3
νμ ντ
ν2
νμ ντ
νe
ν1
大気ニュートリノ
加速器ニュートリノで
見えた振動 2x10-3eV2
太陽ニュートリノ
原子炉ニュートリノで
見えた振動 8x10-5eV2
J-PARC-ニュートリノ実験計画
Kamioka ~1GeV ν beam
Super-K: 22.5 kt
JAERI
(東海村)
0.75MW 50 GeV
大強度陽子加速器
( conventional ν beam)
JPARCニュートリノ計画: 2009年よりビームスタート
世界で最初に、最後のニュートリノ振動を発見したい
スーパーカミオカンデの
これから
太陽ニュートリノ:スペクトルのひずみが見えれ
ば、もっと良くパラメータを制限できる。
| 超新星ニュートリノ:超新星は我々の「材料」を
作ってくれたいわば我々の祖先。今超新星が見
つかれば宇宙物理学は大きな進展を遂げる。
|
星の一生
ブラックホール
>30xMsun
超新星
~ 25xMsun
~ 10xMsun
中性子星
~ Msun
白色矮星
軽い星
星の重さ(太陽と比べて)
NHK出版「百億個の太陽」 P52
1054年に超新星爆発をおこしたカニ星雲
星の周りの物質が吹き飛ばされている
中心部には高速回転す
るパルサーがある。(毎
秒30回、回転している)
ハッブル望遠鏡
超新星爆発直前の星の内部構造
内側から、
鉄
ケイ素
酸素
炭素
ヘリウム
水素
超新星爆発では、中心の鉄の核が一気につぶれて爆発し、
生成した元素を宇宙に返すÎ 星は我々の祖先!!
暗黒物質の探索
宇宙の歴史
http://spaceboy.nasda.go.jp/note/shikumi/j/shi01_j.html
ドップラー効果
近づく物の音の周波数は高くなり、波長は短くなる。
遠ざかる物の音の周波数は低くなり、波長は長くなる。
聞こえる周波数=元の周波数×
1
1 – V/C
聞こえる音の波長=元の波長× (1- V/C)
V: 車の速度(近づく方が正)
C: 音速
波長=C/周波数
遠ざかる速度
膨張する宇宙
http://www.hubbleconstant.com/
距離
http://www.astro.utoronto.ca/~mcclure/RASC/title.html
膨張速度から逆算すると約100億年前に宇
宙はある一点から発生したことになる。
(火の玉モデル)
宇宙が火の玉から発生したという証拠
1965年にペンジャズ
とウイルソンは、宇宙
から届く不思議な電波
を発見した。
波長:~7cm
周波数:~4ギガヘルツ
(参考:携帯電話の周波数は、~1ギ
ガヘルツ)
それは、宇宙が晴れ上がった時
に宇宙全体に広がった光であっ
た。
http://spaceboy.nasda.go.jp/note/shikumi/j/shi01_j.html
最近の宇宙観測
第2ラグランジュ点
5m
高感度電波観測衛星
(WMAP)
http://map.gsfc.nasa.gov/m_mm.html
太陽
地球
(地球ー太陽間の距離:1.5億km)
地球から150万kmの
場所で観測。
http://www2.odn.ne.jp/celestial/voyage/ngst.html
宇宙が生まれて40万年後の姿
ひとつひとつの小さなゆらぎが成長して、銀河が作られた。
http://map.gsfc.nasa.gov/m_mm.html
これ以上なにを知りたいのか?
„僕たちは自分の周りのことは十分わかっ
ているのか?
„たとえば、宇宙は僕たちの周りにあるもの
でできていると考えていいはずだ。。。
とんでもない!!最近の研究は、我々がみたこともない
エネルギー・物質でできていることを証明している!!
最近の観測からわかったこと
„ 宇宙の年齢は、137億年であることをはじめ。。。
宇宙の物質組成
暗黒物質
23%
通常の物質
4%
ダークエネルギー
73%
宇宙は闇のエネルギーと物質で支配されている!
暗黒物質は現在大注目
„名前は「暗黒」だが、実際は「透明」物質
„通常の物質とは重力相互作用を通じての
み、その「存在」が見えている。
„電気を帯びていたり、他の既知の粒子に
容易に崩壊したりすれば、すぐに気づく
(観測にかかるし、今の宇宙に残れない)
のでそのような物質でもない。
„それにもかかわらず、宇宙の物質の85%
を占めている!
暗黒物質の正体は?
„まだ未解明。知られている粒子や物体では
ない。
„宇宙初期に生成されたとして、宇宙論による
計算を信じれば、通常の粒子と「弱く」相互作
用する場合に丁度期待通りの量が残る。
„候補としては例えば「超対称性理論」の
「ニュートラリーノ」という物質等が考えられる。
暗黒物質の有力な候補
粒子の種類
通常の素粒子
超対称性素粒子
クォーク属
u
d
c
s
t
b
~
u
~
~
c
~
s
レプトン属
e
νe
μ
νμ
τ
ντ
~
e
~
ν
~
μ
~ν
ヒッグス粒子属
H+
H- H10 H20
H+
~
~-
~
~
ゲージ粒子属
g
W
γ
~
g
W
~γ
Z0
Z0
d
e
H
~
μ
~t
~
~
τ
~ν
b
τ
H10 H20
~
暗黒物質の有力な候補と考えられる中性粒子
直接暗黒物質を捕らえる方法
普通の「物質」を希に跳ね飛ばすところを見る
(量子力学では、跳ね飛ばすか、飛ばさないかしかない)
暗黒物質が飛んでくる
原子核
この時でる光を捕らえる!!
またどこかへいってしまう
光る物質は何が良いか
„素粒子がエネルギーを付与すると光る物質
は様々知られている。
„そのうちで、「液体キセノン」は大変良い性質
を持つ。
1.発光量が大変大きい
2.暗黒物質探索に関わる「ノイズ事象」が少
なくできる。
神岡で準備中の液体キセノン実験装置
XMASS実験
1トンの液体キセノン
多数の光電子増倍管に
よって蛍光を捕らえる。
直径80cm
光の密度分布によって衝突点を求め、光の大きさから
暗黒物質による反跳エネルギーを求める。
液体キセノン実験装置:これまでの成果と現状
100kgキセノン実験装置を用いて開発研究を行ってきた。
54本の光電子増倍管
MgF2 窓
液体キセノン
(30cm)3
= 30L
= 100Kg
低バックグラウンド環境の
開発と実証試験
低放射能増倍管の開発
蒸留による精製装置の開発
次期1トンクラス実験装置にて暗黒物質探索を行う準備が整った。
暗黒物質探索のまとめ
„宇宙のエネルギー・物質組成を調べると、物
質の85%は未知の「暗黒物質」
„これを理解せずに宇宙を理解できたとは考
えられない。新しい粒子の発見は宇宙・素粒
子物理学の大転換をもたらす可能性がある。
„直接検出するプロジェクトを進めている。
„今後数年程度の間に暗黒物質の発見を目
指している。
全体のまとめ
ニュートリノ振動実験により、
大気ニュートリノ、加速器からのニュートリノ、
太陽ニュートリノ、原子炉からのニュートリノ
を観測し、ニュートリノの質量を発見した。
| 今後、より強力となるニュートリノビームを使ったニュー
トリノ振動実験でより良い精度でニュートリノを理解。
| 超新星からのニュートリノを検出することにより宇宙の
発展、元素の合成について理解が深まる。
| 暗黒物質は宇宙の大きな謎。発見を目指す実験の準
備を進めている。
御質問、お問い合わせ:
森山茂栄 [email protected]
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