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Morningstar 週間展望(株式・為替・金利の動向)

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Morningstar 週間展望(株式・為替・金利の動向)
2008 年 7 月 11 日
モーニングスター株式会社
Morningstar 週間展望(株式・為替・金利の動向)
■ 株式コラム
【米国】下値模索の NY 株価
7 月 7−9 日に北海道洞爺湖でサミットが開催された。原油や食料品価格の高騰が世界経済へ
の「重大な試練」と認識され、米国は「強いドル」政策の重要性を強調したが、米国株式市場での安
心感は広がっていない。
NY ダウは 5 月 2 日の 13,058 ドルをピークに下落基調をたどっているが、7 月 9 日には 11,147 ド
ルまで下落した。5 月 2 日から 1911 ドル・14.6%の下落で、2006 年 8 月以来 1 年 11 ヵ月ぶりの安値
を記録した。
NY ダウは昨年 10 月 9 日の史上最高値 14,164 ドルから 7 月 9 日の 11,147 ドルまで、3017 ドル・
21.3%下落したが、この間の下落を三つに区分することができる。
昨年夏から 11 月 26 日の 12,743 ドルまでの下落は、サブプライム問題が表面化したことを背景
にしたもので、FRB は昨年 8 月から 12 月にかけて、慎重な金利引き下げ策を実施して対応した。
NY ダウは 12 月 10 日には 13,727 ドルに反発した、
昨年 12 月から本年 3 月 10 日の 11,740 ドルまでの下落は、サブプライム問題が金融市場の機能
不全リスクを顕在化させたことを背景に生じた。ベア・スターンズ社の経営危機が表面化して、FRB
は大幅利下げと 290 億ドルの特別融資を実行して対応した。NY ダウは 5 月 2 日には 13,058 ドルま
で反発した。
5 月 2 日から 7 月にかけての株価下落はインフレ懸念の拡大と FRB による金融引締め政策に対
する警戒感から生じているものと理解できる。本年 1 月から 4 月にかけて、FRB は FF レートを 4.25%
から 2.0%に引き下げた。強い金融緩和政策がインフレ心理を刺激したと考えられる。
原油価格は WTI が 7 月 3 日に 1 バレル=145 ドルまで上昇し、米ドル下落不安と合わせて、世界
経済の大きな懸念要因として認識されている。サミットで具体策は提示されなかったが、FRB によ
る短期金利引き上げが検討される可能性がある。原油価格高騰に歯止めをかけるには、FRB がイ
ンフレ抑制の政策スタンスを明示することが必要と考えられるからだ。
7 月 15、16 日に 6 月米国生産者物価、消費者物価指数が発表され、FRB のバーナンキ議長が
半期に 1 度の議会証言を行う。金融不安とインフレ圧力の二つの課題に FRB がどのように対応す
るのか、バーナンキ証言が注目される。
この資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としてモーニングスター株式会社(以下、当社)が作成した
ものであり、投資勧誘を目的としてはいません。また、金融商品等の将来パフォーマンスを保証するものではあ
りません。本資料の作成にあたり、当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完
全性等について保証するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並
びにMorningstar.Incに帰属し、許可なく複製、転載、引用することを禁じます。
1
【日本】日本株価は逆三尊底形成か
日経平均株価は 6 月 19 日から 7 月 4 日まで、12 日連続(営業日ベース)で下落した。前週コラム
にも記述したように、朝鮮戦争休戦後の景気低迷を背景にした 1954 年 4 月 28 日から 5 月 18 日ま
での 15 日続落以来、54 年ぶりの株価連続下落になった。
日本の株価は米国株価と比較して底堅く推移している。日経平均株価は昨年 7 月 9 日に高値
18,261 円を記録し、本年 3 月 17 日の 11,787 円まで 6474 円・35.5%下落した。下落率は NY ダウの
下落率 21.3%を大幅に上回っており、PER16 倍=株式益利回り 6.2%と 10 年国債利回り 1.6%の較差は
4.6%の高水準で、株式の割安感は非常に強くなっている。
それでも、日本の株価推移は米国株価推移の影響を強く受けており、米国株価の下落に歯止め
がかかるまで、日本株価の下方リスクは残存すると考えられる。
日経平均株価は 1 月 22 日に 12,573 円、3 月 17 日に 11,787 円の安値を記録しており、7 月安値
が 11,787 円を下回らずに反発に転じれば、逆三尊底を形成する可能性もある。日本経済は減速局
面を迎えており、本年年初から景気後退局面に移行した可能性が高いが、米国株価が安値を確認
すれば、日本株価は水準が割安であるため、反転上昇することが十分に考えられる。
日本政府は 7 月 14 日の月例経済報告での景気基調判断を「景気は足踏み状態にあるが、この
ところ一部に弱い動きがみられる」と前月のまま据え置く見通しだが、各種経済指標は日本経済が
景気後退局面に移行した可能性を示唆している。
7 月 1 日に発表された日銀短観 6 月調査では、大企業製造業の業況判断 DI が 6 ポイント悪化の
プラス 5 に低下して、2003 年 9 月調査以来、4 年 9 ヵ月ぶりの低水準を記録した。2009 年 3 月期の
大企業の企業収益も 7 期ぶりに減益に転じる可能性が高まっている。
これまで、日本経済をけん引してきた設備投資も、2009 年度は減少に転じる可能性まで浮上し
ている。ガソリン価格の大幅上昇は個人の消費心理に強い抑制要因として作用し、個人消費の基
調も弱まりつつある。
経済政策には日本経済悪化を緩和するための対応が求められるが、福田政権は財政収支改善
を目標としての緊縮財政運営方針を維持しており、いまのところ、政策変更の可能性は示されてい
いない。
8 月にかけて、FRB の金融政策に関心が集まり、NY 株価への影響が注目されるが、日本の株式
市場では、NY 株式動向をにらんだ押し目買いのタイミングを模索する動きが続くと予想される。
この資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としてモーニングスター株式会社(以下、当社)が作成した
ものであり、投資勧誘を目的としてはいません。また、金融商品等の将来パフォーマンスを保証するものではあ
りません。本資料の作成にあたり、当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完
全性等について保証するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並
びにMorningstar.Incに帰属し、許可なく複製、転載、引用することを禁じます。
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■ 為替コラム
【米国】強い米ドルの条件
7 月 7 日の洞爺湖サミット開催を前に、7 月 6 日に日米首脳会談が開かれ、会談後の共同記者会
見で、ブッシュ米大統領は「強いドル」政策の堅持を改めて強調し、ドル防衛の姿勢を鮮明に示し
た。
7 月 3 日に ECB(欧州中央銀行)は 13 ヵ月ぶりに政策金利を 4.0%から 4.25%に引き上げることを決
定したが、ECB の利上げに先立って、米国のポールソン財務長官が欧州やロシアを歴訪した。
米国の FF レートは 2.0%の水準にあり、米欧の短期金利差が 2.25%に拡大した。ECB の利上げが
米ドル下落、ユーロ上昇を加速させることが懸念され、米ドル下落を回避するための協議が行われ
たと考えられる。
米国は現在も巨額の経常収支赤字を計上している。海外から巨額の資本が米国に流入すること
で、米国経済は支えられている。原油価格高騰に伴い、巨額の資金が産油国に流入しているが、
このオイルマネーが米国に還流することで米国経済が支えられている。
ドルとの為替レート連動性を採用している中東産油国でインフレ圧力が強まっており、産油国が
ドルとの連動性見直しに言及し始めている。産油国が米ドル下落警戒感を強め、資本をドル建て資
産から他通貨建て資産にシフトすると、米国は大きな打撃を蒙る。
これらが、米国が「強いドル政策」の重要性を繰り返し表明するようになった背景である。洞爺湖
サミットでは、原油価格高騰に対する強い懸念が表明され、投機資金に対する監視を強化する方
針が示された。
しかしながら、米ドル安や原油価格高騰を是正する具体策は提示されなかった。7 月 8 日から 9
日にかけて、原油価格は 10 ドルの急落を示した。サミットでの原油価格高騰に対する警戒感表明
に伴い、市場の買い方が利益確定の売りを拡大させたことが原因と考えられる。
一時的に原油価格が急落しても、インフレ心理を助長し、米ドル下落を促すマクロ経済政策が維
持されている間は、米ドル下落圧力、原油価格上昇圧力は残存することが予想される。
いずれの市場動向も FRB による金融超緩和政策が背景にある。米国のサブプライム 3 月危機に
対応して、FF レートが一気に引き下げられたことがドル安、原油価格高騰の基本背景で、最終的に
は FRB による政策修正が求められる可能性が高い。この意味でも 7 月 15、16 日のバーナンキ議
会証言は注目される。
この資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としてモーニングスター株式会社(以下、当社)が作成した
ものであり、投資勧誘を目的としてはいません。また、金融商品等の将来パフォーマンスを保証するものではあ
りません。本資料の作成にあたり、当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完
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びにMorningstar.Incに帰属し、許可なく複製、転載、引用することを禁じます。
3
【グローバル】ECB はインフレ抑制スタンス維持
ECB は 7 月 3 日の定例理事会で政策金利の 4.0%から 4.25%への引き上げを決めた。6 月 30 日
に発表された 6 月のユーロ圏 15 ヵ国の消費者物価上昇率が前年比 4.0%の過去最高値を記録した
ことも、利上げ決定の一因になった。ECB はインフレ目標値を 2.0%未満としており、現実のインフレ
率は目標上限の 2 倍に達した。
ECB の利上げは 2007 年 6 月以来 13 ヵ月ぶりだったが、ECB が利上げを控えた最大の背景は、
米国による利下げ政策進展だった。米国 FRB は 2007 年 8 月から利下げを開始した。12 月までの
利下げは小幅で慎重なものだったが、2008 年年初以降は利下げが加速された。
サブプライム問題が拡大し、3 月には大手証券会社の経営危機が表面化した。サブプライム問
題に関連する大手金融機関の巨額損失は欧州にも波及し、欧州の大手金融機関も巨額損失を相
次いで公表した。
サブプライム金融危機に対する政策対応は、米国単独ではなく、欧州を巻き込んで検討された。
昨年 12 月、本年 3 月、5 月の 3 度にわたって、中央銀行による短期金融市場への緊急流動性供給
策が決定され、ECB はすべての協調政策に参加した。
しかし、ECB は FRB による利下げ政策にはまったく同調しなかった。ただ、米国が利下げを進め
ているときに欧州が利上げを決定すれば、為替市場での急激なドル売り圧力を生み出すと考えら
れ、ECB は米国に配慮して、利上げを見送り続けたと考えられる。
6 月 24、25 日の米国 FOMC(連邦公開市場委員会)で、FRB は利下げ政策を中断し、金融政策の
軸をインフレ抑制に回帰させた。ECB は FRB の政策軌道修正を待って利上げ再開に動いたと評価
することができる。
利上げ決定直前に米国のポールソン財務長官が訪欧して、ECB のトリシェ総裁と会談した。ポー
ルソン財務長官は米国のドル下落警戒感とインフレ抑制に向けての政策スタンスを伝えたのだと
考えられる。
トリシェ総裁は 7 月 3 日の利上げ後の会見で、追加利上げを示唆しなかったため、為替市場では
ユーロが米ドルに対して反落した。トリシェ総裁はドル下落回避の米国の意向に最大限の配慮を示
したのだと考えられる。
ECB のインフレ抑制スタンスは明確であり、ユーロは堅調に推移すると予想されるが、FRB の利
上げ姿勢が明確になれば、米ドルが急伸することも考えられ、バーナンキ発言に対する注意を怠
れない。
この資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としてモーニングスター株式会社(以下、当社)が作成した
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■ 金利コラム
【米国】注目される 8 月 5 日 FOMC
7 月 15、16 日にバーナンキ FRB 議長が半年に 1 度の議会証言を行う。また、15 日に 6 月生産
者価格指数、16 日に 6 月消費者物価指数が発表される。原油価格高騰、米ドル下落圧力が世界経
済の重要な懸念要因になっているなかで、バーナンキ議長がどのような意見を表明するか、注目
が集まる。
FRB は 2008 年前半に大幅な金利引き下げを実行した。米国の FF レートは年初の 4.25%から 4
月末に 2.0%に引き下げられた。1 月から 3 月にかけてのサブプライム金融危機の深刻化を背景に、
利下げが実行された。3 月にはベア・スターンズ社の経営危機が表面化し、大幅金利引き下げとと
もに、290 億ドルの特別融資が実行されたが、当時は投資銀行の経営破綻処理のスキームが確立
されていなかった。
6 月以降、米国政策当局から投資銀行の経営危機に対応する政策スキームに関する提案が相
次いで示されている。バーナンキ FRB 議長は 7 月 8 日にバージニア州で講演し、投資銀行の破綻
処理の枠組み整備を自ら議会に求める考えを表明した。
サミットでも問題になった原油価格高騰と米ドル下落圧力の最大の背景が FRB による金利引き
下げ政策の行き過ぎにあることを、FRB は認知していると考えられる。しかし、2010 年 1 月に任期
満了を迎え、FRB 議長再任を狙うバーナンキ議長は、安易に政策失敗を認められない立場にあ
る。
2008 年前半の大幅金利引き下げは、投資銀行の破綻処理スキームが確立されていなかった当
時の状況からすれば、やむを得ず取られた対応であり、政策失敗には当たらないとしたうえで、新
たに投資銀行の破綻処理スキームを確立したうえで、短期金利の再引き上げを早急に実施して、
政策修正を実現しようと考えているのではないかと思われる。
5 月の米国消費者物価上昇率は 4.2%の高水準に達しており、2.0%の FF レート水準はインフレ促
進的であると評価せざるを得ない。バーナンキ議長は、これまでの政策運営の正当性を示しつつ、
政策の軌道修正を実現しなければならない難しい立場に立たされている。8 月 5 日の FOMC では
0.5%幅での利上げも想定し得る。バーナンキ証言に対する最大の注目が求められる。
この資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としてモーニングスター株式会社(以下、当社)が作成した
ものであり、投資勧誘を目的としてはいません。また、金融商品等の将来パフォーマンスを保証するものではあ
りません。本資料の作成にあたり、当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完
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【日本】実質マイナス金利の日本
景気悪化とインフレの進行という、「スタグフレーション」シナリオがグローバルな警戒要因になっ
ている。米国経済は本年 4-6 月期からマイナス成長に移行した可能性が高い。6 月 4 日に発表され
た OECD(経済協力開発機構)の世界経済見通しでは、2008 年の米国実質経済成長率見通しが、本
年 3 月段階の 2.0%から 1.2%に大幅下方修正された。2009 年見通しについても 2.2%から 1.1%に大幅
下方修正された。
米国は景気後退に移行するなかで、インフレ圧力の高まりに直面している。サブプライム金融危
機に対応して FF レートを大幅に引き下げたことが、インフレ圧力増大の主因であり、FRB は 2008
年後半に政策修正に取り組む可能性が高い。
景気悪化進行下での金利引き上げは景気悪化や株価下落を加速させる懸念が強く、意思決定
が難しいが、長期的な経済政策運営上は、インフレの未然防止には最上位の優先順位が付与され
る。1970年代の第1次石油危機を契機に、主要国は激しいインフレを経験した。その教訓は金融引
締めの遅れが、そののちの経済悪化を深刻化させ、長期化させてしまったというものだった。
昨年から本年にかけて、原油価格高騰下でサブプライム問題が広がってきたなかで、ECB はイ
ンフレ抑制の重要性を意識し続けた。FRB は金融危機への警戒を強めてインフレ抑制の優先順位
を引き下げたが、現在、その修正作業に着手し始めた。
日本経済は本年年初から景気後退局面に移行した可能性が高く、日本銀行は現在の金融緩和
政策を当面維持すると見られるが、日本でも原油価格高騰と円安圧力持続の下で、インフレ圧力
が次第に強まっていることに留意が求められる。
日銀は 7 月 7 日に全国支店長会議を開き、白川総裁は「国際商品市況の高騰が続くなど世界的
にインフレ方向のリスクは高まっている」と述べた。日銀が 7 月 10 日に発表した 6 月の企業物価指
数は前年同月比 5.6%上昇し、27 年 4 ヵ月ぶりの高水準に達した。
米国が利上げに動けば、日本円が独歩安に陥る可能性もある。消費者物価上昇率も前年比
1.5%まで上昇しており、年内の日本の短期金利引き上げの可能性を考慮する必要が生まれてい
る。
この資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としてモーニングスター株式会社(以下、当社)が作成した
ものであり、投資勧誘を目的としてはいません。また、金融商品等の将来パフォーマンスを保証するものではあ
りません。本資料の作成にあたり、当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完
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