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Chapter 11 Population Growth ∼個体群増加∼
Chapter 11 Population Growth ∼個体群増加∼ 館山 未生 個体群増加は生態学の核心となる作用である。しかし,永久に成長し続ける個体群はなく,個 体群調節(Chapter16 参照)という問題をもたらす。捕食や競争,草食,病気のような種間相互 作用 が個体群増 加に影響し ( Chapter12-15),個体群 増加は群集 構造の変化 を生じるため (Chapter21-24),どのように個体群増加が起こるのかを理解することは重要である。 Mathematical Theory 好適な環境に放たれた個体群は増加し始める。この増加はどんな形を成し,数学的にどのよう に表すことができるだろう?昆虫(1 年当たり 1 世代)や 1 年生植物のような世代が独立した単 純な場合を考えることからはじめるとする。 Growth in Populations with Discrete Generations 1 年に 1 回繁殖し,生活史が 1 年である種について考えてみる。各雌が平均 R0 の雌を産卵する と仮定すると, Nt+1= R0N t (11.1) N t:世代 t における雌の個体数 Nt+1:世代 t+1 における雌の個体数 R0:繁殖率あるいは 1 世代 1 雌当たり産卵する雌の個体数 この個体群が R0 の値に依存するときどんなことが起こるか 2 つの場合を考えてみる。 1. 繁殖率が一定 Ex) R0 が一定である R0>1 ⇒ 個体群が制限なく等比級数的に増加する。 R0<1 ⇒ 個体群は減少し,絶滅する。 t=0 のとき R0=1.5,N t=10 Generation Popukation Size 0 10 1 15=(1.5)(10) 2 22.5=(1.5)(15) 3 33.75=(1.5)(22.5) 1 2. 繁殖率が個体群サイズに依存する 個体群は Fig.11.1 にのように成長しない。時間に対する個体群の曲線は様々に変化する。 この様々な変化をどのように説明しうるか? 最も簡単な方法は,繁殖率が個体群密度の増減によって変化すると仮定することである。 高密度 ⇒ 食糧不足や伝染病のような様々な原因により出生率が減少もしくは死亡率が増 加する。 低密度 ⇒ 出生率が増加し,病気や天敵による損害が減少する。 密度と繁殖率の関係が直線であると仮定する(Fig.11.2 )。 R0=1.0 と直線が交差する点=出生率と死亡率が等しくなる平衡点である。以下に平衡点の 偏差を示す。 z = N − N eq (11.2) z :平衡点からの偏差 N :観察された個体数 N eq :平衡個体群数(R0=1.0) Fig.11.2 で示された直線式に当てはめると, R0=1.0−B ( N − N eq ) (11.3) R0:繁殖率 (−)B:曲線の傾き Fig.11.2 において,B=0.02, N eq =100 である。11.1 式は以下のように表される。 Nt+1=R0 N t=(1.0−B z t ) N t この式は平衡密度と直線の傾きに依存する。 はじめに,B=0.011, N eq =100,N 0=10 である場合 N 1=[1.0−0.011(10−100)] 10 =(1.99)(10)=19.9 N 2=[1.0−0.011(19.9−100)] 19.9 =(1.881)(19.9)=37.4 同じように N 3=63.2 N 4=88.8 N 5=99.7 個体群密度は 100 の平衡点に向かってだんだん収束する。 2 (11.4) 2 つ目の例は Table.11.1 を参照。また,3 つの例を Fig.11.3 に示している。 単純な個体群モデルは,多くの異なる個体群変化のパターンを生み出す。 L=B N eq と定義すると, ・ 0<L<1 ⇒ 個体群は変動せずに平衡点へと近づく。 ・ 1<L<2 ⇒ 個体群は収束性の変動をする(Fig.11.3a 参照)。 ・ 2<L<2.57 ⇒ 個体群は無制限に周期的な変動を続ける(Fig.11.3a 参照)。 ・ 2.57<L 個体群は初めの状態に依存してランダムに変動する(Fig.11.3c 参照)。 ⇒ 個体群増加に関する数学的仮説の多くは Robert May(pp163 参照)によって明らかにされ詳 しく述べられている。 Growth in Populations with Overlapping Generations 世代が重複する,または繁殖期が長くなる個体群において,異なる式を用いてより簡単に個体 群増加を表す。容易になるにつれて,時間 t の個体群増加はその時の状況にのみ依存し,過去の 出来事に依存しないと仮定する。 1. 繁殖率が一定 ある短期間 δ∆t (ɗt)において,個体が確率 bɗt で他個体を生じ,同時間に dɗt の確率で死 ぬと仮定する。b と d を瞬間出生率および瞬間死亡率とすると,1 個体当たりの瞬間個体群増加 率は 瞬間個体群増加率 =r=b−d (11.5) 個体群増加の型以下のように与えられる。 dN = rN = (b − d ) N dt (11.6) N:個体群サイズ t:時間 r:任意の個体当たりの増殖率 b:瞬間出生率 d:瞬間死亡率 これは,増加に本来備わっている能力に関して Chapter10 で議論した無制限の環境での幾 何学的な増加曲線である。 ある確率で個体数が倍加するのにかかる時間を推定するために,幾何学的増加モデルを用い ることができる。 Nt = e rt N0 しかし,個体数が倍加するならば, N t (11.7) N 0 = 2 ならば, Nt = 2 = e rt N0 3 あるいは, log(2) = rt あるいは, 0.69315 =t r (11.8) t:個体群サイズが倍加するのにかかる時間 r:実際の個体当たり個体群増加率 Ex) r t 0.01 69.3 0.02 34.7 0.03 23.1 0.04 17.3 0.05 13.9 0.06 11.6 人口が 1 年当たり 0.0300 の確率で増加し(実際は 1.0305),幾何学的増加が優勢であるなら, およそ 23 年で倍加する。 2. 繁殖率が個体群サイズに依存する 個体群は絶え間なく幾何学的に増加するわけではない。限られた空間で個体群が増加するとき, 他生物の出現によって個体の繁殖率や寿命が減少するまで個体群密度は徐々に上昇する。これは 個体群の増加が止まるまで個体群の増加率を低下させる。成長曲線はシグモイドまたは S 字型に よって表される(Fig.11.4)。 dN K − N = rN dt K (11.9) N:個体群サイズ t:時間 r:内的増加率 K:漸近線もしくは N の最大値(環境収容力) この等式はロジスティック曲線の別の表記方法で,以下のような意味がある。 [単位時間当たりの実際の個体数増加率]=[一個体当たりの内的増加率]×[個体群サイズ] Verhulst は,1838 年に人口増加を表すためにこの曲線を提案した。 Pearl および Read(1920)は,アメリカの人口増加を表すため同様の式をそれぞれ導き出した。 4 ロジスティック式の積分型は以下のように示される。 Nt = K 1 + e a − rt (11.10) N t :時間 t における個体群サイズ t:時間 K:最大数 e:2.71828(自然対数) a:原点を起点とした曲線のある点を定義づける積分定数 r:内的増加率 個体数増加に関して利用されなかった(K―N)/K について考えてみる。この要因が実際には基 本的な幾何学的増加パターンに歯止めをかけることを証明するために,以下のような状況を 考える。 K=100 r=1.0 N0=1.0(最初の密度) ごく初期の個体群増加ではロジスティック曲線と幾何学的方程式との間にはほとんど違いはな い(Fig.11.4 参照)。曲線が中間に近づくにつれて,2 曲線は離れていく。ロジスティック曲線の 上限に近づくにつれて 2 曲線はさらに離れていき,上限に達したとき(K−N)K が 0 になるので 個体群の成長が止まる。以下の計算でこれを証明する。 r 個体群サイズ (K-N) K 個体群増加率 1.0 1 99/100 0.99 1.0 50 50/100 25.00 1.0 75 25/100 18.75 1.0 95 5/100 4.75 1.0 99 1/100 0.99 1.0 100 0/100 0.00 ロジスティック曲線は数学的に単純であり,明らかに現実的である。ロジスティック曲線の微 分形式には r と K の 2 定数しか含まれていない。これらの 2 つの数学的記号は生態学的表現に言 い換えられる。r は 1 個体当たりの個体数増加率(Chapter10 の内的増加率)である。K は密度 が生物によって“飽和状態になる” ,“環境収容力”という生態学的意味をもつ。 ロジスティック曲線の視点は 2 通りある。より一般的でより順応性のある視点は,状況が初め 好適であるとき個体群がどのように増加するかという経験的描写である。もう 1 つの視点は,個 体群増加の絶対的な完全仮説として,また個体群増加の“法則”として,ロジスティック曲線を 考えるものである。なぜなら,ロジスティック曲線は個体群増加の完全仮説として提案されたた 5 めこの視点から検討した。 ロジスティック曲線は事実に合っているか?考える方法の 1 つとして,絶え間ない餌の供給が ある一定の空間の中で生物のコロニーを飼育し,この情報からロジスティック曲線を予測する。 ロジスティックのシグモイド型に当てはまれば,個体群増加のモデルを裏付けることができる。 Box11.1 rとは何か?また,なぜそれほど混乱するのか? 不運にも生態学者は全く異なる 2 つのことを意味するために r を用いてきた。それは,内的増 加率(Chapter10)と一個体当たりの個体群増加率として用いられた。個体群が幾何学的に増加 するとき,二つの意味は全く同じである。 dN = rN dt or dN = r = 一個体当たりの内的増加率 dt これは数学的には正しいが,幾何学的ではない個体群増加を扱うときには困惑させる。この問 題を明らかにするために 2 つの考えを定義する。 r=一個体当たりの個体群増加率=内的増加率 dN/dtN=実際の一個体当たりの個体群増加率 これら 2 つの違いは,以下のロジスティック式をみれば容易である。 dN K − N = rN dt N dN K − N = r dtN K 実際の個体群増加率(dN/dtN)は,内的増加率(r)とは等しくない。フィールドで生態学者は 実際の増加率を測定するが,それは(ロジスティックモデル中の)内的増加率(r)や環境収容力 (K),存在する個体群サイズ(N)に依存する。 これら 2 つの考えを明らかにすることは重要である。内的増加率は特別な個体群には普遍であ ると考えられ,常に正の数である。実際の個体群増加率は個体群が減少するとき負になり,個体 群が増加するときには正になる。理想的状態で個体群が幾何学的に増加し,内的増加率と実際の 増加率は同じであったとしても現実ではまれな場合である。 Laboratory Tests of the Logistic Theory 多くの個体群がサイズを増加させることを実験室で観察されている。 Gause(1934):ヒメゾウリムシ Paramecium aurelia とゾウリムシ P.caudatum について Ph8 に緩衝した塩分溶液 5ml のある管中で Paramecium を 20 個体用いた。 →食物としてバクテリアの一定量を加えた。(塩分溶液内で増殖しない。) 6 →26℃で培養し,2 日ごとに廃棄物を取り除くために新鮮な塩分溶液で洗浄。 温度,体積,中間の化学合成が一定で,廃棄物が十分に取り除かれ,食物が毎日決められた量 を与えられるような限られた空間内の一定の環境を作成した。 結果)Fig.11.5 漸近的密度(K)は P. aurelia が 1ml 当たり 448 個体,P. caudatum は 128 個体であった。 より複雑な生活史をも生物は S 字曲線的に増加するかもしれない。 Pearl(1927):キイロショウジョウバエ Drosophila melanogaster 個体群 餌としてイースト菌をボトル内に入れた。 その個体群増加曲線はロジスティック曲線と一致(Fig.11.6)。 →ロジスティック曲線は個体群増加の普遍法則であるとした。 Sang(1950) :Pearl が認識しなかった Drosophila 培養の複雑さを発見することで,Drosophila 個体群とロジスティック曲線との適合を批判した。 1) 食物であるイースト菌はそれ自体個体群増殖するので,ハエは一定量の食物を 受けていない。イースト菌の競争が増殖時期で異なる。 2) キイロショウジョウバエは生活史にいくつかの段階があるので,“個体群サイ ズ”を測定するのにどの段階が用いられるべきか明らかではない。Pearl は成 虫のみを数えたが,成虫と幼虫は同じものを食べる。 Ex)小麦に生息するコクヌスモドキ:実験的個体群研究によく使用された。 →なぜなら,生活史が複雑(卵,幼虫,蛹,成虫)であるにもかかわらず,餌は小麦であ るため管理しやすい。 Chapman(1928) :生態学の実験でコクヌスモドキを初めて使用し,これらのコロニーがロ ジスティック的に増加することを発見した。多くは漸近線に到達すると すぐに増殖を止めた。 Thomas Park:数年間コクヌスモドキを飼育し,Fig.11.7 に示した結果を得た。密度は, 初めシグモイドにそって増加するが長期的に安定せず,減少する。 Birch(1953b):類似した Calandra oryzae の研究を行ったとき,初めにロジスティック的 に増加することを発見した。漸近線周辺で安定することなく,その後密度は 大きく変動した。 一定の環境で生息する甲虫の個体群でも個体数に大きな変動がある。温度や食物,病気の変動 とは関係なく,動物の相互作用によって生じた。複雑な生活史をもつ生物がロジスティック曲線 の漸近線で安定した状態になる場合は未だに示されていない。これらの理由から,ロジスティッ ク的“法則”は個体群増加を示す一般的なモデルとして棄却された。 Field Data on Population Growth 個体群増加はフィールドで不変に起こるものではない。多くの種は好適な環境では個体群増加 する。また,狩猟圧から開放されて後に個体数の増加がみられる個体群もある。 7 Ex.1) グース 過去 30 年間,ヨーロッパおよび北アメリカのどちらにおいても多くのグースの個体群が増加し ている。西部ヨーロッパで冬を過ごすコクガンは 1960 年の 20,000 羽から 1996 年には 250,000 羽に増加している(Fig.11.8)。西部ヨーロッパのカオジロガンやマガンも近年増加している。 Ebbinge(1992): 狩猟圧の減少→個体群増加 グースの個体群増加は滑らかなシグモイド型をたどってはいないが, 1990 年代中頃に上限と考えられる 270,000 羽に到達した。この上限で安 定しているかどうかはまだわからない。 Ex.2) ベーリング海諸島のトナカイ 1891年 カリブの群れの減少のため,エスキモーによりトナカイを導入 1911年 トナカイはベーリング海のアラスカ沖,プリビロフ諸島の 2 地点で導入された。 :雄 4 頭と雌 21 頭→2000 頭(1938 年)→8 頭(1950 年) セントポール島(106km2) セントジョージア島(90 km2):雄 3 頭と雌 12 頭→222 頭(1922 年)→40-60 頭 狩猟圧もほとんどなく捕食者もいない環境で,トナカイは全く影響を受けなかったにもか かわらず,個体数は減少した。 2 諸島で全く異なる変動(Fig.11.9)。 しかし,2 つの諸島の生態学的違いはほとんどわずかである(それらは同じ植物を食べ, 同じ気候で生息する。)。さらに,セントジョージア島における不法な狩猟が違いの要因で あるとしても,2 つの個体群がそれほど異なる明白な環境要因がない。 1944年 ベーリング海のセントマシュー島(332 km2)29 頭(雌 24 頭,雄 5 頭)→1350 頭 (1957 年)→6,000 頭に増加(1963 年)→その後 42 頭に減少(1966 年) 冬季の食物不足(特にコケの過放牧による)が個体群の低下の主な原因 L(Fig.11.3 参照)が大きいとき,諸島のトナカイ個体群は世代が独立した個体群モデルに 従う。個体群サイズの急速な増加のあと,不安定な状態になり劇的な低下を招く。 Ex.3) アメリカシロヅル Grus americana 絶滅の崖っぷちから回復した絶滅危惧種の良い例である。 1916 年に保護されたとき 47 羽のみ存在→1941 年には 15 羽のみ アメリカシロヅルはカナダの North Territories で繁殖し, テキサス沖へ越冬のために移動する。 1938 年以来のテキサスの越冬場での全個体数は,Fig.11.10 に表示。個体群増加は不規則である。 Binkley and Miller(1983,1988): 個体数が急速に回復し始めた 1956 年ごろに増加率(r)が変化したことを発見。さらに,繁殖場 において 10 年周期でコヨーテやヤマネコのようなウサギ捕食者が,ウサギの減少によりアメリカ シロヅルの巣や幼鳥を食べるようになることを発見。 多くの生物は密度において年変動をするため, 個体群の増加パターンは 1 年に 1 回観察される。 Ex.4) ミジンコ 多くの湖や池に生息し,年々春季に増加→指数関数的に増加し,夏に豊度を維持→湖水の藻密 度の減少により秋季に減少(Fig.11.11)。最大密度は年によって大きく変化し,プランクトンには 8 一定の環境収容力(K)はない。 個体群増加のフィールドデータはおおまかすぎて,ロジスティック曲線に適合するか確実に示 すことはできない。 Pearl and Reed(1920):アメリカの将来の人口増加を予測するためにロジスティック曲線を 用いた。1790 年から 1910 年までの調査データはロジスティック曲線 に当てはまり,2060 年ごろには 1 億 9700 万人に達すると予測した (Fig.11.12)。1920 年から 1940 年までの調査データは曲線に十分に 合っていたが,後の調査データはロジスティックではなく幾何学的増 加を示した。実際に,1968 年には予測された 1 億 9700 万に達し,2025 年のアメリカ人口の推定値は 2 億 6000 万から 3 億 5700 万の範囲にな った。 多くの場合,自然界での個体群増加はロジスティックモデルに適合しないことがこの解析から 結論付けられた。自然界の個体群はロジスティック曲線の安定した密度である漸近線に達するこ とはなく,ロジスティックモデルは個体群増加の一般的なモデルとして深刻な欠点がある。 現在,個体群増加モデルの研究は以下の 3 つの方針に沿って進行している。 1) ロジスティックモデルにおいてタイムラグがないという仮定が複合生物の生態学的実 態の可能性を明らかにするため,タイムラグがグロジスティックモデルに及ぼす影響 を解析する。 2) 個体群増加の確率的(確率論的)モデルを構成する。 3) 個体群変化を予測するために年齢やサイズをもとにより特別なモデル(レズリー行列 モデル)を使用する。 Time-Lag Models of Population Growth 動植物は環境変化にすぐに反応せず,そのため,タイムラグが個体群増加モデルにどのような影 響があるのかを考えてみる。世代 t の繁殖率が同世代の密度ではなく,前世代 t-1 の密度に依存す ると仮定する(Fig.11.12)。Box.11.2 で計算方法の詳細を得て,Fig.11.13 に結果を示す。 Maynard Smith(1968,pp25): L = BN eq と定義 0<L<0.25 ⇒変動はなく安定した平衡 0.25<L<1.0 ⇒収束性の変動 1.0<L ⇒安定したサイクルもしくは絶滅に向かう変動 タイムラグがないモデルとあるモデルを比較する(pp159 参照)。 Ex) 実験室でのミジンコ Pratt(1943): 池水を入れた 50ml 管にそれぞれ 2 つの単為発生する雌を入れた。ミジンコは 2 日おきに数え,新しく増殖したものは除き,食物は緑藻クロレラのみであった。 結果)25℃での個体群は個体数に変動 18℃での個体群はほぼ安定 (Fig.11.14) 25℃の変動は個体群密度が出生率や死亡率に与える抑圧効果による遅れが原因。 25℃で出生率は初めに密度増加に影響を受け,その後死亡率が増加する。これは 9 ミジンコ個体群において平衡密度に対する頻繁な正負の“行き過ぎ”による。こ の変動は内在する生態学的システムであり,外部の環境変化によるものではない。 タイムラグの原因となるミジンコの生態学的メカニズムは十分に理解されている。 食物が過剰→ ミジンコはオイル滴の形で,主にトリアシルグリセロースとしてエネルギー を貯蔵する。食物供給がなくなるとこの蓄えたエネルギーを使用するため, 食物供給の低下による影響は遅れる。 食物が不足→ 雌は子孫を生み出し続ける。蓄えたエネルギーが使い果たされた後, Fig.11.14 で示される変動により餓死してしまう。 単純な個体群増加モデルにタイムラグを導入することで 3 つの代替を可能にする。 (1)平衡点に向かう収束的変動 (2)平衡点付近の安定した変動 (3)平衡密度に滑らかに達する。 さらに,いくつかのタイムラグは不安定で個体群の絶滅を招く発散的変動をもたらす。これらの 結果は自然の個体群に起こりうることをより現実的なモデルで表すとき明らかになる。 BOX 11.2 個体群増加の単純なタイムラグモデル 世代が独立した単純な個体群増加モデルを考えてみる。世代 t の繁殖率が密度に依存すると仮 定すると,繁殖率は世代 t の密度ではなく(Fig.11.2),前の世代 t-1 の密度に依存する。平衡点 からのずれとして密度を測定する。 Z = N − N eq (11.11) Z:平衡点からのずれ N:観察された個体サイズ N eq :平衡個体サイズ(R0=1.0) 繁殖率は Fig.11.2 で示すように, R0=1.0−Bz で表される。個体群増加モデルは以下に示す。 N t +1 = R0 N t (11.12) = (1 − Bz t −1 )N t 繁殖率が 1 世代前の密度で定義される以外は前に扱った式と類似する。この式の特性は平衡密 度や直線の傾きに依存する。 タイムラグのある個体群サイズを単純なモデルで表すため,タイムラグのある場合を解析する。 B=0.011 N eq =100 初めは N0=10 の個体群とする。(第 1 世代の計算に N=10 を用いる)(11.12) N 1 = [1.0 − 0.011(10 − 100 )]10 = 19.9 N 2 = [1.0 − 0.011(10 − 100 )]19.9 = 39.6 N 3 = [1.0 − 0.011(19.9 − 100)]39.6 = 74.4 10 (結果:Fig.11.13 参照) タイムラグがない平衡密度に滑らかに近づいていくのとは対照的に, 6,7 世代の周期で個体数 にピークがありおおよそ定期的に変動する。 Stochastic Models of Population Growth 我々がこれまでに議論したモデルは決定論的モデルである。それは初期状態を得るものであり, 各モデルは正しい結果を予測する。しかし,生態学的システムは確率論的である。したがって, 雌が次の単位時間で 1 個体産む確率または与えられた年にコーンがある確率,あるいは捕食者が 来月までにある数の動物を殺す確率のことを述べる。個体群の動向は多くの個々の確率を合わせ た結果であると理解することで,確率的あるいは確率論的モデルの発展につながる。 とても簡単に確率論的モデルの基本の性質を示す。私たちが以前に世代が独立した場合に用い た決定論的モデル,幾何学的増加式である(11.1 式)。 N t +1 = R0 N t Ex) 純繁殖率(R0)=2.0,最初の密度=6 N t +1 = (2.0)(6) = 12 このように決定論的モデルでは世代 1 の個体群サイズは 12 であると予測する。この場合の確率 論的モデルを構成するには,繁殖率の確率が以下のようになると仮定する。 可能性 雌の子 1 個体 0.50 雌の子 3 個体 0.50 明らかに,平均すると 2 匹の雌から 4 匹の雌が生まれるので R0=2.0 である。 Ex) コイントス:コインが表(h)ならば 1 匹,裏(t)ならば 3 匹生まれるとする。 親 試行 1 試行 2 試行 3 試行 4 1 (h) 1 (t) 3 (h) 1 (t) 3 2 (t) 3 (h) 1 (t) 3 (h) 1 3 (h) 1 (t) 3 (h) 1 (h) 1 4 (t) 3 (t) 3 (t) 3 (t) 3 5 (t) 3 (t) 3 (t) 3 (h) 1 6 (t) 3 (t) 3 (h) 1 (h) 1 次世代の合計 14 16 12 10 12 を超えるものと下回るものがある。これを何度も続けると,簡単な問題に用いる個体群サイ ズの度数分布を生み出す。 Ex) Fig.11.15:全く同様の生態学的パラメータをもつ同じ値からはじめたが,実際は 6 から 18 のサイズで 1 世代を終えた。 11 世代が重複した種の個体群増加もまた確率論的モデルで表される。この場合の幾何学的増加は 以下の異なった式になる dN = rN = (b − d )N dt (11.13) b:瞬間出生率 d:瞬間死亡率 単純な場合として,d=0(死亡個体がいない)と仮定する。繁殖は単純な 2 分裂型であると仮定 すると,生物が期間 dt で繁殖する確率は b dt である。b は瞬間出生率である。 Ex) b=0.5,N0=5 11.7 式に従う N t = N 0 e rt N t = (5)e (0.5 )(1) = 8.244 この単純なモデルの確率論的な同値に関して瞬間出生率から 2 つのことを決定する。 ある時に繁殖しない確率=e-b =0.6065 ある時に少なくとも 1 度は繁殖する確率=1.0−e-b=0.3935 このように 5 個体全て繁殖しない確率は (0.6065)(0.6065)(0.6065)(0.6065)(0.6065)=0.082 12 回の試行のうち 1 回でも個体群変化は起こらない(N1=5)。個体が単位時間ごとに 1 回以 上分裂を行うと覚えていれば,他の確率すべてを苦労して数えることもできる。もしくは, Fig.11.16 で示される結果に至るために確率論的仮説の数学的手法に従う(Pielou 1969 , pp9)。 出生が確率論的方法であると考えるとき,最終的な個体群サイズはばらつく。Fig.11.17 に個体群 増加の確率論的モデルの法則を示す。 確率論的モデルを用いて出生も死亡もランダムに起こるとするならば,個体群が絶滅する可能 性がある。N0 で始まり,Fig.11.17 のように平均瞬間出生率 b と瞬間死亡率 d をもつサイズが確 率論的に変動する個体群が絶滅する可能性はあるか? Pielou(1969,pp17)は 2 つの場合について議論している。 1. 平均死亡率<平均出生率 これらの個体群は幾何学的に増加するが絶滅する可能性がある。特に,個体群サイズが小さい とき最初の数回で絶滅することがある。絶滅の可能性は以下の式で与えられる。 d 絶滅の可能性= b Ex) b=0.75,d=0.25,N0=5 であるとき 12 No (11.14) 5 0.25 絶滅の可能性= = 0.0041 0.75 しかし,b=0.55,d=0.45,N0=5 であるとき 5 0.45 絶滅の可能性= = 0.367 0.55 このように,初めの個体群サイズが大きく,出生率と死亡率の違いが大きくなると,個体群が 生存する可能性は高くなる。個体の出生率と死亡率のランダムな変動の影響は,人口統計学的確 率もしくは人口統計学的不確定要素と呼ばれる。最も重要なことは,平均で出生率が死亡率を上 回る時でさえ,個体群は絶滅する可能性があるということである。 2. 平均死亡率=平均出生率 平均すると現実的な特徴を持つように,一定の密度付近で変動し,個体群が静止した状態であ る。11.14 式を示す。 d 絶滅の可能性= b N0 = (1.0) N 0 = 1.0 時間が無限である。平均すると出生率と死亡率が等しいとき,長期間にわたるとき出生と死亡の 確率論的変動を条件として絶滅は必ず起こる。 個体群増加の確率論的モデルによって,個体群変化の考えに生態学的変動の重要な考えを加え られる。これらの生態学的問題への対処はより現実的である。確率論的モデルをより現実的にす るためにはらう代償は数学の難しさであるが,この一部はコンピューターを用いて解決できる。 確率論的モデルの本来備わっている変動はより重要となる。なぜなら,ある年から翌年までの一 家族の人数変化を予測する方が世界の人口変化を予測するよりも不確かであると同時に,個体群 サイズがより小さくなるからである。全ての個体群が大きいのならば,確率論的モデルは必要な く,決定論的モデルで十分である。 Population Projection Matrices P.H.Lesile(1945): 年齢別出生率や生残率からの個体群変化を予測する年齢別階級モデル,レ ズリー行列を発案。生態学的な問いを多くの数学的手法で説明した。 レズリー行列モデルの重要な要素は生物の生活史が一連の段階で分類することである。各年齢 級群は単純なレズリー行列の 1 段階であり(Fig.11.18a),これは生命表を用いた Chapter10 と 同じ方法である。生物は 1 つのステージから次のステージまで確率 Px で生残し,Fx の子を産む。 従来の生命表の表記法 Px = l x +1 = (1 − q x ) = {生命表で年齢 x の個体が x+1 に生残する確率} (11.15) lx Fx = bx s x = {年齢 x から x+1 に変わるときに生まれる雌の数; 生まれた雌は次の時間で 0 年齢群に入る} lx:x 年齢群の始まりの生存個体数 13 (11.16) bx:年齢 x の雌一個体当たりが x+1 までに産む子の数 Sx:子 bx が次の時まで生残する確率 qx:年齢群 x の個体が x+1 へ生残できない確率 時間 t の年齢構造の個体群で始めると, N0=年齢 0 から 1 までの個体数 N1=年齢 1 から 2 までの個体数(最も高齢級群をわかっている) Nk=年齢 k から k+1 までの個体数(最も高齢の生物) レズリー行列の齢間隔は 1 年であるが,生物によって異なる。有性生殖する種に関しては雌個 体群のみを検討する。 移出入がないと仮定すると,次の時間間隔での個体群の年齢構造は以下のように定義される。 {時間 t+1 の新生物の個体数}= F 0 N 0 + F1 N 1 + F 2 N 2 + F 3 N 3 + ...... + F k N k k = ∑F x =0 x (11.17) Nx 時間 t+1 での年齢 1 の個体数=P0 N0 時間 t+1 での年齢 2 の個体数=P1 N1 時間 t+1 での年齢 3 の個体数=P2 N2 Leslie(1945): この問題が推移行列 M のような単純な行列で計算できると気づいた。 F0 F1 F 2 P 0 0 0 0 P1 0 0 0 P2 M =0 0 0 0 0 0 K K K K K K 0 0 0 F3 F4 K Fk −1 0 0 K 0 0 0 K 0 0 0 K 0 P3 0 K 0 0 P4 K 0 0 0 K Pk −1 Fk 0 0 0 0 0 0 (11.18) Fx≧0,0<Px<1 とする。現在の年齢構成を列ベクトルとして計算すると, 14 N0 N 1 N2 r Nt = N3 N4 K N k (11.19) Leslie:将来の年齢分布が年齢構造の列ベクトルを左からかけていくことでわかることを示した。 r r MN t = N t +1 r r MN t +1 = N t + 2 (11.20) Lefkovitch(1965) : レズリー行列は成長段階を基にした行列の特別な場合であると考え,年齢 を生活史の成長段階に置き換えた(Fig.11.18b)。 一方,年齢 x の全個体は x+1 になるが,段階あるいはサイズを基にしたモデルではいくつかの 個体は同じ生活史段階のままである。このように,各段階にともなって 2 つの確率がある。 Px=個体が生残し,段階あるいはサイズが x のままである確率 Gx=個体が生残し,次の段階あるいはサイズが x+1 になる確率 段階を基にした行列では,段階を 2 つ以上飛び越えないように時間を設定しなければならない。 Ex) アカウミガメ Crouse et al. (1987):南東アメリカ沖の大西洋で絶滅危惧種とされるアカウミガメの動態を解析。 ウミガメは長期の生活史をもち,サイズを基に 7 段階に分類される。 各段階でのウミガメのサイズと年齢にそった成長段階を表す(Table.11.2)。 生残はサイズによって異なり,87cm を超える個体は性的に成熟している。 この生活史を基にした個体群推移行列は以下のようになる。 P1 G 1 0 M =0 0 0 0 F2 P2 F3 0 F4 0 F5 0 F6 0 G2 P3 0 0 0 0 G3 P4 0 0 0 0 G4 P5 0 0 0 0 0 0 0 G5 0 P6 G6 この行列のパラメータを概算は Table.11.3 に示す。 15 F7 0 0 0 0 0 P7 (11.21) アカウミガメに関する個体群増加モデルが得られたことにより,絶滅危惧種の個体群減少を回 復させる方法について考えてみる。 ・一つを除く全部の生活史パラメータを一定にすることで,保全効果を定量的に調査できる。 出産率を 50%に増加させた結果,あるいは生活史の各段階で生残を改善した結果(Fig.11.19)。 50%の出産率でも個体群は減少する。 ・ウミガメの子供の生残を改善する。(最大の改善策) たとえ 20-30 年間で海岸の巣を保護してウミガメの数が増えなかったとしても,現在では 海岸の卵を保護することが重要視されている。実際に,Fig.11.19 の示すモデルの予測と等 しい。保護のために必要なことは海中の子ガメの生残を改善することである。子ガメの死 亡はエビ捕獲網で漁獲され溺れ死ぬことによるため,エビのトロールがウミガメの混獲や 溺死を回避するための方法として現在取り付けられている。 成長段階もしくはサイズを基にした行列モデルは植物群に広く用いられている。行列モデルに よって植物は生態学的特徴であるサイズを増加または減少させる。年齢もしくはサイズ段階を基 にした個体群増加行列モデルの解法は,以前に示した単純な個体群増加モデルと同じぐらい複雑 である。個体群は幾何学的に増加または減少するかあるいは変動するかもしれない。これらのモ デルは生残率や繁殖率が一定であると仮定しているので,仮定が有効であるわずかな期間でのみ 自然の個体群に当てはまる。 ESSAY 11.1 良い個体群増加モデルとは何か? Raymond Pearl(1920s): 個体群増加の国際的なモデルとしてロジスティック式を発案。 →現在,これはとても楽観的であり,多くの個体群増加がこのモデルに当てはまらない。 現実にほとんどの個体群増加パターンは多様であるため,単純なモデルで表現しにくい。 にもかかわらず,応用生態学者は絶滅危惧種が保護されるならば,個体群はどのように増加して いくのか,もしくは魚群は乱獲からどのように回復するのかを予測する必要性に直面している。 私たちは何ができるのか?対処法の選択は私たちが種についてどのくらい知っているかによって きまる。 1. かなりの知識があるとき いくつかの種に関して,出生率や産卵数,世代時期,平均寿命を知っている。これらの種に 関して,個体群サイズの短期間での変化を簡単に予測するためにレズリー行列モデルあるい は成長段階を基にした行列モデルを使用する。 2. あまり知識がないとき 多くの種に関して,人口統計学パラメータについてほとんど何も知らない。短期間の変化を 予測するには,ロジスティック式や幾何学的増加式のような単純なモデルの使用することが 最も良い。これらの単純なモデルが正確でないが何もないよりはいい。そして,生態学者は 乏しいモデルはモデルがないよりいいという古い諺を残すにちがいない。 16 数学的モデルが正しいか間違っているかもしくは有効であるか無効であるかを区別するもので はないと心に焼き付けておかなければならない。全てのモデルは間違っているがいくつかは役立 つ。モデルは問題を答える手助けをするのに有効であるかで評価されるに違いない。全てのモデ ルは理解することを容易にさせ,個体群動態の問題を探求するのに役立つ。それゆえ,個体群増 加の幾何学的モデルが個体群増加を表すのに乏しいモデルであるとしても,絶滅危惧種のカエル においてわずかな期間での回復を予測するために用いるかもしれない。有効性はどのモデルが生 態学者に貴重であるかを決める鍵となる。 Summary 個体群増加は,世代が独立する生物も世代が重複する生物も単純な数学的モデルで表すことが できる。繁殖率が一定であるなら,幾何学的な個体群増加が起こるであろう。繁殖率が個体群サ イズに依存するなら,個体群は一定のサイズで安定し,また大型個体群は小型個体群より繁殖率 が小さくなるであろう。独立した個体群を表す単純なモデルは,安定した平衡点から周期的およ び無秩序に複雑なずれを導く。世代が重複する種にとっては,ロジスティック式が漸近的制限を もつ個体群増加の簡単な数学的描写である。 S 字曲線は,実験室中でゾウリムシやイースト,単純な生活サイクルをもつ他生物の個体群増 加を表すのに適当である。より複雑な生活サイクルをもつ生物の個体群増加はロジスティック曲 線にほとんど合致しない。特に,ロジスティックにおける安定した漸近線が自然個体群では得ら れず,個体数は変動する。 3 つの異なる個体群増加モデルは単純なロジスティックモデルを改良し発展させた。タイムラ グモデルは個体群増加曲線に対する異なるタイムラグの影響を分析するのに使用されている。個 体群増加の単純なモデルにタイムラグを導入すると,安定した漸近的密度の代わりに個体群サイ ズの変動が生じる。個体群増加の確率モデルにより,個体群に対する出来事の影響を取り入れる。 同密度で同平均繁殖率と死亡率から始まる個体群でも,特に小型個体群で絶滅の可能性があるた めに異なる割合で増加する。個体群増加の行列モデルは年齢やサイズを基本にしており,植物や 動物も同様に使用することができる。行列モデルは,特別な生命表パラメータが個体群増加にど のように貢献しているかを仮説的に答えることや絶滅危惧種もしくは害虫の代替的管理計画の影 響を探求すること理想的に適している。 Key Concepts 1. 個体群増加は世代が独立する生物も重複する生物も簡単な数学的モデルで表すことができる。 2. 世代が独立する生物の単純なモデルは安定した平衡点から周期的および無秩序な変動へと複 雑なずれを導く。 3. 世代が重複する種にとって,ロジスティック式は漸近的制限のある個体群増加の簡単な数学 的描写である。 4. 自然界の個体群は急速に成長するが,それから密度は安定した漸近的密度で安定するよりも 大きく変動する。 5. より複雑でより現実的な個体群増加モデルは,タイムラグや個体群増加モデルの偶然性を組 み込んでいる。 17