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先進的中小金属加工業の経営革新事例から- (PDF)
SCB SHINKIN CENTRAL BANK 産業企業情報 したう 16−1 (2004.4.21) 総合研究所 〒104-0031 東京都中央区京橋 3-8-1 TEL.03-3563-7541 FAX.03-3563-7551 URL http://www.scbri.jp 下請型製造業の国内での生き残りのポイント −先進的中小金属加工業の経営革新事例から− 視点 本稿は、国内生産での生き残りを目指す下請型製造業の存立要件を探ろうとするもの である。下請型製造業は発注元ユーザー企業のグローバル化、IT化・機械技術の革新 等と技術移転によるアジア諸国の追い上げ、ニーズの高度化等により転廃業が相次ぐな どかつてない難局の中にある。小規模層を中心に国内での生き残りが大きな課題になっ ているが、本稿では、下請型製造業の一般的な生き残りのポイントを取り上げる。先進 事例の中小金属加工業2社がこうした課題対応するための取組みにおいて共通してい るのは、多品種少量生産、IT活用、人材の活用、社内・社外(同業・周辺業種)ネッ トワークなどをキーワードとしたビジネスモデルの構築である。小零細層がそのままこ れを行えるわけではなかろうが、問題解決の基本的な考え方において共通する、あるい は参考になる部分がある。 要旨 金属加工業に代表される下請型製造業は、技術力や納期面ではまだ高い国際競争力 を有しているものの、コスト競争力は低下している。 ユーザーの海外シフトに伴い、 部品メーカーも追随しており、汎用品・量産品を中心に海外シフトが進んでいる。 このため、生産額はユーザーの海外シフト等から 97 年を直近のピークに減少して いる。 下請型製造業が国内で生き残りを図るためには、海外ではできない確固たる技術や、 特注品など多品種少量・変量生産、超短納期等高度化するニーズに応えられる生産 体制が必要である。 ここで紹介する事例企業は、国内での生き残りを図るため、今後ともわが国の競争 力が強く国内生産が中心と考えられる一般機械、産業機械などの業種・分野をタ ーゲットに高度化するニーズに対応できるビジネスモデルを構築している。 キーワード 下請型製造業、金属加工、海外シフト、多品種少量生産、経営革新事例 ©信金中央金庫 総合研究所 目次 1.下請型製造業を取り巻く環境変化 (1)国内需要の減少 (2)ユーザー企業の海外展開と現地調達の進展 (3)IT化・機械技術の革新等と技術移転によるアジア諸国の追い上げ (4)ユーザーニーズの急速な変化 イ.発注を取り巻く変化 ロ.技術を取り巻く変化 2.国内生産での生き残りのポイント (1)多品種少量・変量生産、超短納期への対応 (2)一括発注への対応 (3)求められる問題解決能力と情報発信 3.企業事例−新たなビジネスモデル作りの取り組み (1)岡田鈑金㈱∼一括発注への対応 イ.環境変化∼ユーザーのユニット、モジュール化志向 ロ.対応の方向∼小ロットの「EMS」を目指す (2)プラスエンジニアリング㈱∼「生産財の精密機械加工部品を専門に製造するシステム」 の追求 イ.環境変化∼内需は多品種少量・特注品へ ロ.対応の方向∼顧客価値の創造 おわりに 1.下請型製造業を取り巻く環境変化 本稿は、我が国加工組立型産業の発展を支えてきた板金、切削、めっきなどを中心と する中小金属加工業を代表例として、下請型製造業が、グローバル化の波の中で引き続 きサポーティング・インダストリーとして国内で生き残りを図るための示唆を得ること を目的としたものである。事例として紹介する先進2社の取組みには、ITや先進的な 技術の活用などかなり進んだものがあり、これを経営資源に限りのある小零細層の企業 でそのまま取り入れることは容易とはいえない。しかし、その底流にある基本的な考え 方を参考とし、それぞれの身の丈に合った形で課題解決に努力する意味は大きいと思わ れる。そこで、まず、中小金属加工業を事例として国内市場の縮小、ユーザー企業のニ ーズの高度化などの環境変化から簡単にみていく。 (1)国内需要の減少 金属加工業を素形材製品(鋳造品、鍛造品、金属プレス加工品、粉末冶金製品)でみ ると、その出荷額は、91 年に過去最高の5兆 3,863 億円に達した後、バブル経済崩壊か ら 94 年には4兆 5,445 億円に落ち込んだ。97 年には4兆 9,723 億円まで戻したものの 98 年以降はITバブル崩壊による関連需要の激減、中国などアジアへの需要シフトから 再び大きく落ち込んでいる。ちなみに、2001 年の生産額は4兆 252 億円と、91 年のピ 1 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 ーク比で 75%(金属プレス 1 兆 6,115 億円、 図表1 素形材生産額推移 十億円 6,000 同 80%、鋳造品 1 兆 8,092 億円、同 70%) 粉末冶金 鍛造品 鋳造品 金属プレス 5,000 の水準にとどまっている(図表1)。 4,000 また、素形材製品の輸出入はわずかであり、 3,000 国内中心の市場であることが特徴である。こ 2,000 れは、重量がありかさばることや、海外から 1,000 の調達ではユーザーの短納期要求に応えに 0 くいといった事情があろう。もっとも自動車 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 2001 年 (備考)経済産業省「工業統計」 等では最終製品の部品として輸出され、間接 図表2 金属加工事業所の 従業員規模別増減数・率(97→2001) 的に国際競争にさらされており、また、ユー (単位:人、%) ザー企業の海外市場への展開やコスト削減 のための海外生産の増加から、部品や最終製 品として輸入されるケースが増えていると みられ、国内生産品の市場縮小につながって いる。こうした国内需要の減少や、以下に述 べる環境変化の結果、ここ数年で事業所数が 大幅に減少している(図表2)。 (2)ユーザー企業の海外展開と現地調達 の進展 金属プレス 従業員別 97年 計 4,984 4∼19 3,934 20∼29 526 30∼49 230 50∼99 196 100∼ 98 2001年 4,651 3,717 453 212 183 86 増減数 増減率 -333 -6.7 -217 -5.5 -73 -13.9 -18 -7.8 -13 -6.6 -12 -12.2 鋳造品 従業員別 97年 2001年 増減数 増減率 計 3,186 2,689 -497 -15.6 4∼19 2,124 1,775 -349 -16.4 20∼29 437 346 -91 -20.8 30∼49 239 211 -28 -11.7 50∼99 221 202 -19 -8.6 100∼ 165 155 -10 -6.1 (備考) 経済産業省「工業統計」より作成 1985 年のプラザ合意以降の円高の影響な どにより、金属加工業のユーザーである組立型産業の海外進出が進み、製造業の海外生 産比率が大きく上昇した。特に近年は、中国を中心にアジア地域へのシフトが急速に進 んでいる。業種別に海外生産比率(2001 年度)をみると、製造業全体では 16.7%である が、輸送機械は 44.1%、電気機械でも 27.6%と高く、一般機械(11.3%)、精密機械(13.6%) では比較的低い。部品調達が国内か海外かは、一部の国内調達が不可欠なものを除き、 基本的にはユーザーの組立てがどちらで行われるかによる。ただ、精度や技術力を要す る製造装置、検査・測定機器など製造業を支える一般機械・産業機械は比較的我が国の 競争力が強く、国内での組立てが主体であり、部品調達も国内が中心といわれる。この ように、中小金属加工業が今後国内生産で生き残りを図るためには、取引先ユーザーの 業種や国内での生産分野(試作・開発型のもの、多品種小ロット対応のもの、高付加価 値のもの、短納期のものなど)を見極め、これに対応できるものづくり経営力(技術力、 生産システム、マーケティング、社内・社外(同業・周辺業種)とのネットワーク)を 整備していくことが必要である。 2 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 (3)IT化・機械技術の革新等と技術移転によるアジア諸国の追い上げ これまでの金属加工技術は、経験、勘等によって支えられ日々の現場での改善の積み 重ねによって蓄積されてきた部分が少なくない。いわゆるノウハウ(技能)的要素が強 かったのである。継承人材の枯渇化の中で、技能の継承が大きな課題となるとともに、 電子・情報技術や機械技術などの高度化によって、機械化、自動化、情報化による技能 の技術化も進展している。同時にこうした技術の海外移転にともない、アジア諸国の追 い上げが急速に進行している。このため、CAD/CAM、NC機など高機能化した加 工設備の導入や活用といった一定の技術力・設備の保有を前提とした上での競争力が問 われる状況が多くなっている。これらは、ユーザーニーズの急速な変化によりもたらさ れたものである。 (4)ユーザーニーズの急速な変化 技術や生産プロセスなどにかかるユーザーニーズの変化として、多品種少量・変量生 産、超短納期、ピラミッド構造の崩壊、といった「発注を取り巻く変化」、高精密・高 精度、複合加工や新素材への対応など「技術を取り巻く変化」がある。 イ.発注を取り巻く変化 これまで、親企業は傘下に多くの協力企業を抱える安定的なピラミッド構造を構築し、 長期継続取引を行ってきた。しかしながら、低コスト化や製品寿命の短サイクル化など 需要環境の不確実性が高まる中で、従来の協力企業をそのまま抱え続けることは困難化 しており、ユーザーはこれまでの取引関係に必ずしもこだわらず、国際的な最適調達を 志向するようになってきている。また、組立メーカーの海外への生産シフトにより国内 市場での競争が一段と激化する中で、金属加工業は生産工程の情報化、技能の技術によ る代替でより装置産業化し、資金力・技術力などある程度の企業体力がなければ、企業 が独立して存続していくことがますます困難になってきている。加えて、部品の共通化 やモジュール化を進める一方で、発注先に購買機能の一部代替を求めるようになった。 このため、特定部品の専業者や、他企業とのネットワーク化などで複数工程分野を請け 負える部品企業が今後主流になってくるものと予想される。 ロ.技術を取り巻く変化 既述のように、最近の素形材技術においては「技能の技術化」が進展している。これ に伴って、情報機器や新しい技術の利用、新しい装置の利用・保守などに新たな技能が 求められてくる。重要なことは、これらの高機能加工設備の導入や活用を前提とした上 で、それらの活用ノウハウを含めた技能のさらなる高度化とその維持・継承が喫緊の課 題になっていることである。 また、日本国内に残るものづくりがますます高度化していく中で、素形材の分野でも 先端技術などより高度な研究が進められているが、こうした領域への対応は現状レベル の自社技術だけでは限界もあろう。自社技術の深耕や、新たな分野との融合化等を進め 3 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 るには、他企業、工業技術センター、大学等との連携など外部機関を有効に活用してい くことなども重要である。 2.国内生産での生き残りのポイント こうした業界環境の中で、後述する事例等から中小金属加工業に代表されるような中 小下請型製造業が国内生産で生き残りを図っていくためのポイントを挙げてみたい。 (1)多品種少量・変量生産、超短納期への対応 多品種少量・変量生産とは、多品種少量生産であって、かつロットや発注が安定しな いことを意味している。また、小ロットでも安定した発注であれば海外メーカーにシフ トすると考えられるため、国内生産の第 1 のポイントは、変量、超短納期にいかに対応 するかにある。最近の仕事は受注が安定せず、加工内容も変動が大きくなっている。企 業規模にかかわらず、受注品が多品種になればそれだけ効率的に現場の生産情報を管理 することが必要である。特に、中小企業の生産情報管理の問題点は、顧客からの問い合 わせ時に必要な情報がすぐに検索できないことや、図面等の情報の再利用(流用)がで きていないなどにある。まずは、ユーザーニーズへの対応という目的にあわせた管理の ため、情報を整理して使い勝手良く蓄積し、身の丈に合った見積の効率化等に活かすこ とが基本として重要である。その際、ツールとしてのIT活用も有効な手段である。 (2)一括発注への対応 グローバルな競争環境下、勝ち組、負け組が明確化してくる中で、最近のユーザーの 大きな変化として、事業の選択と集中を行い、従来内製していた製造部門のアウトソー シングを進めていることがある。たとえば、板金の受注だけではなく、プレス、塗装、 といった周辺分野を含めたユニット化、モジュール化した部品として納入できる業者を 求めるようになっている。ユーザーは、企画、営業、最終組立といった主要部分を担当 し、それ以外の部分を下請業者に任せつつある。こうした流れを受けて、下請企業側で も、対応を模索する動きが出てきている。金属加工業は従来、プレス、板金、塗装、な どそれぞれの工程分野の中で、専門業者が効率化を図り、ムダ取りを行ってきた。最近 では、これらの複数工程を一貫してこなし、下請間のやり取りにかかる横持ち費用など をなくして最終製品までの全体で「ムダ取り」を行うことが重視されるようになってき ており、そうしたもの作りを前提とした受注競争に移行しつつある。 これに対応するため、後述の事例の岡田鈑金㈱では、ユーザーの変化に対応しながら、 主力の板金に加えて、プレス、塗装、最終組立、そして設計、と漸次守備範囲を広げつ つ、一括発注に対応できる体制作りに向けて展開を行っている。もうひとつの事例のプ ラスエンジニアリング㈱でも、半導体、FA等生産財市場の精密部品のメニューを用意 して、外注工場のグループ化によってユーザー仕様の特注品生産という個別のニーズに 4 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 対応できる体制を整えている。 ユニット化、モジュール化への対応としては、このように自社での対応と、企業間連 携・グループ化も重要になる。後者の場合、その中核的企業となる場合と、グループの 一員として得意分野を活かしていく選択がある。中核的企業にはユーザーの製品設計へ の参画能力や周辺技術のコーディネート力などが必要となるため、これをこなせる企業 は限られる。また、グループに参画する場合でも、単に中核企業に任せておけばよいと いうものではない。後述するプラスエンジニアリング㈱の例のように外注グループへの 参画企業には一定の技術力、人材などの基準を設けており、保有技術等を明確化してア ピールし、これを的確に活かしていくことが不可欠であろう。 (3)求められる問題解決能力と情報発信 日本のものづくりの優れた点はムラのない一定の品質保持能力や納期厳守などにあ る。これを可能にしているのが日本の強みである現場での経験、ノウハウを活かした高 度な熟練技能や連携である。これによって高い品質、検査能力が保たれ、品質への大き な信頼につながっている。事例のプラスエンジニアリング㈱では、品質管理を標準化さ れた作業・行動の約束事として盛り込み、検査という工程を別途設けなくとも個々の社 員が結果的に各工程毎に実態として検査を担っている。その前提には「5S」など小零 細から大企業まで共通する基本動作の徹底といった重要な取組みがあることは言うま でもない。また、ユーザーから加工技術や製法で新たな提案を求められるケースも増え つつある。この場合には、既成概念にとらわれない新たな発想、問題解決能力が必要に なる。周知のように、我が国では、小規模であっても得意分野に秀でた専門企業が現場 経験の積み重ねによってものづくりに独自のノウハウを生み出しており、こうした潜在 能力を引き出していくことが欠かせない。しかし、せっかくの自らの技術がユーザー企 業にとって、どのように利用できるかを認知していない、あるいは認知できない場合が 多いのではなかろうか。 中小金属加工業は、自動車産業をはじめとするユーザー産業に主導されてきたが、今 後は、独自ノウハウを活かした提案型企業として、積極的にユーザー産業側の問題解決 へのアピールを行っていくことが期待される。そのためには、最終需要の動向など情報 を極力正確かつ幅広に把握したり、自らの技術力等について積極的に情報発信していく ことが必要である。 3.企業事例−新たなビジネスモデル作りの取組み 以下では、国内でのユーザーニーズへの対応に取り組む中小金属加工業の経営革新事 例を紹介する。はじめに、両社の取組み内容をまとめると図表3のようになる。 第 1 のポイントは、環境・ニーズの変化を十分把握し、対応の方向を明確にしている ことである。両社とも、ユーザーの海外シフトに伴い、国内でのニーズが高度化する中 5 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 で、あくまで国内での生産に生き残りをかけている。つまりターゲットの絞込みを図っ ている。具体的には、両社の主たるユーザーは我が国が強い競争力を有し、国内での生 産・組立が主体である製造装置、検査・測定機器等一般機械・産業機械の業種・分野で あり、この分野の部 品の多くは、規格化 されず、生産のノウ ハウ・工夫・熟練を 図表3 事例企業の取組み内容 岡田鈑金㈱ (環境変化と対応の方向) (1)環境変化 (2)対応の方向 要する多品種少量生 産品である。こうし (具体的取組み) (3)IT活用・生産管理 た分野で、岡田鈑金 プラスエンジニアリング㈱ ユーザーの海外シフト 標準・規格・量産品の海外シフト ユーザー自体の変化(アウトソーシング) 特注品の規格品並の調達 ユニット発注の増加 ユニット発注への対応(ムダ取り) 生産工程の自動化・省力化 小ロットのEMS 社内カンパニー制による柔軟経営 顧客満足・ユーザーのムダ取り 「生産財の精密加工部品」専門製造システム 製造力・営業力・社員力の充実 生産の自動化・24時間稼動 CAD/CAMデータベース構築 による多品種少量・変量生産システム 自社開発ERPによる社内情報化 GTを駆使したFMSによる 多品種少量生産システム ㈱(以下「O社」と (4)本社・工場・外注先 (パートナー)の連携 大田区(本社)・茨城(工場)の 分離と連携 都内(本社)・宮城(工場)の分離と連携 外注先(パートナー)の育成・活用 いう)では、ユーザ (5)人事管理 多能工によるカンパニー間の人材流動化 年俸制による業績給の導入 目標管理 従業員の自立性を重視した管理 「管理レス」の経営(役割の明確化) 社内業務のマニュアル化・標準化 目標管理と業績給の導入 (6)営業・顧客管理 1業種1社を原則とする戦略的営業 顧客データの作成・管理 技術情報提供によるニーズ対応 ーからのユニット発 注への対応を図り、 プラスエンジニアリ (備考)信金中金総合研究所作成 ング㈱(以下「P社」という)では、規格化されない特注品受注に対応した専門製造シ ステムを構築している。 企業によってノウハウ・販路等を含めて保有する経営資源に違いはあるが、自社の経 営資源の十分な吟味と環境変化を的確にとらえたうえで対応の方向を明確にすること が重要である。 第2のポイントとしては、「具体的取組み」における効率性の追求で、両社ではこれ にITを活用していること、人材の活用、社内・社外(同業・周辺業種)ネットワーク 化を図っていることである。 効率化のためのIT活用については、O社では機械・ソフトメーカーから多品種少量 生産の自動化システムを導入し、生産関係のデータベース構築による板金部門の多品種 少量の生産自動化を行っている。P社では、生産財市場での規格化されない特注品受注 にターゲットを絞り、これに対応した専門製造システム、すなわち多品種少量生産の作 業標準化を実現するためのGT(グループテクノロジー ( 注 1) )を駆使したFMS (Flexible Manufacturing System:多品種少量・変種変量に対応できる混合生産シス テム)を構築している。また、生産面にとどまらず、自社独自の全社的な統合的情報シ ステム(ERP(注 2))を開発している。両社に共通するのは、過去に受注した図面など (注 1) 類似製品を1つのグループにまとめて、できる限りの標準化を進めることによって工程編成、ロット編成、作業スケジュール 編成を合理化し、量産工場に負けない効率を実現するもの。 (注 2) 事業運営における販売、生産、購買、人事などの企業全体の経営資源を全体最適の観点から計画的に有効活用し、経営効率 を高めるための手法、概念 6 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 をデータベース化して、効率よく活用できるシステムを構築しており、このためにIT を活用していることである。 人材の活用については、O社では徹底的な自動化を進めた上でなお受注の変動に対応 するために多能工化を進め、仕事量に応じた部門間での人材の適正配置をフレキシブル に行うとともに、外部からの適材の採用により独立採算の社内カンパニー制としてユニ ット発注に対応している。一方、P社では社内情報の共有化により社員の自立性を育て、 独自の製造システムを担う社員力を強化している。また、生産管理面でも、機械的な計 画によらず、現場の社員、チームによる調整を重視し、現場主義を徹底している。中小 企業では大企業以上に個々人に依存する度合いが大きい。このため、従業員の能力が最 大限に発揮されるよう生産や人事面等での柔軟な仕組みや運用が重要である。 ネットワークの面でも、O社では生産データの一元化による「O・BANネットワー ク」という社内ネットワークを構築、P社では「ネットファクトリ」という外注工場を ネットワーク化し、社内工場と一体となった製造システムを構成している。 グローバル化の中で、これまでの取引関係の特徴であった系列、下請といった固定的 な企業間関係が激変している。このため、差別化された得意分野を活かして弱い部分を 互いに補完したり連携していくためのグループ化など新たな企業間関係の構築過程に あるとの認識が重要である。 (1)岡田鈑金㈱∼一括発注への対応 (精密板金加工業 創業 1923 年 従業員 43 人 年商7億円) 当社は、産業用電気機器の制御盤や遊戯機械、産業機械の板金を手がける精密板金加 工業者である。板金業界は海外との競合が他の金属加工よりは比較的少ない業界ではあ るが、コンピュータの筐体等量産物については中国などへの海外シフトが進んでいる。 こうした中で、国内生産のニーズ、すなわち、量産品と違って手間がかかるため他社の 手がけたがらない小ロット受注に対応して、中国など海外と競合する仕事を避けるのが 当社の基本戦略である。このため、主力である板金の多品種少量の生産自動化に加えて、 板金、プレス、塗装、組立、設計の各部門にカンパニー制を導入し、採算管理を徹底す るなど効率的で柔軟な体制の構築を図っている。 イ.環境変化∼ユーザーのユニット、モジュール化志向 最近の顕著な変化は、既述のように、板金だけでなく、プレス、塗装、といった周辺 分野を含めたユニット化、モジュール化した部品として納入できる業者を求めるように なっていることである。当社は1業種1社を原則に主要取引先 10∼20 社を擁し、従来 遊戯機械を主力としてきたが、現在ではユニット化、モジュール化への対応もあり、半 導体等の製造装置、試験機などに広がりをみせている。これらの分野はいずれも精密板 金を必要とするものである。 7 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 ロ.対応の方向∼小ロットの「EMS」(注 3)を目指す ユニット化、モジュール化に対応した当社の取組みをまとめると、(イ)生産自動化 とモジュール化への対応と、(ロ)人材の育成、効率的活用のための社内カンパニー制 導入と受注に応じた部門間での人材の適正配置等がある。 (イ)では、多品種少量生産と同時にコストダウンを図るため、生産管理を含めた製造 部門の生産関係データベースの構築・活用よる板金加工の自動化における積極的なIT 投資を進めてきた。その後、順次、塗装、プレス、組立工程についても社内で手がけ、 一貫生産体制を構築することにより、ユニット発注、モジュール化にも対応できる生産 体制を整備してきた。また、(ロ)では、板金、塗装等部門別採算の明確化と社員の原 価意識向上のため、社内カンパニー制による独立採算制を導入した。さらに、受注の変 動に対応するため、部門間での人材の適正配置を行い、ユーザーの多品種・変量生産と 超短納期生産に対応できる柔軟な組織作りを行っている。こうした取組みにより、当社 は小ロットの「EMS」になることを目標にしている。 以下、当社の具体的な取組みを述べる。 (イ)生産自動化とモジュール化への対応 ①データベース構築による板金部門の生産自動化 板金部門の多品種少量生産における生産自動化の狙いは、板金作業の 90%を占める段 取りなど準備・段取り時間の短縮による納期短縮、省力化にある。また、当然ながら、 新規設備・ソフト導入には、創業以来長年にわたり蓄積された板金加工での経験・ノウ ハウがベースになっている。多品種少量生産のための設備及び生産管理ソフトの導入に 際しては、生産の自動化を図る上でソフトとハード(CADとCAM)の連携が必要で あるため、機械単体ではなく、設計から機械加工までをネットワーク化したシステムと して提案できる機械・ソフトメーカーを選択した。生産管理ソフトについては、メーカ ー仕様を自社の生産実態や長年蓄積してきた現場のノウハウが活かせるよう修正を行 う一方で、活用実績を踏まえてメーカーへの提案を行うなど使いやすさの向上を図って いる。なお、受注・進捗管理については特別なものでなく、広く一般に利用されている データベースソフトを活用している。 板金部門では、一元化されたCAD用図面データ・設計データ、CAM用加工データ、 MRP(資材所要量計画)用部品データ等生産関係データベースを構築、展開図作成・ 加工データ入力など板金作業の 90%を占める段取りなど準備工程を省力化するととも に、材料供給、金型交換を含めた生産自動化による 24 時間稼動体制を実現した。なお、 (注 3) EMS(Electronics Manufacturing Service)はエレクトロニクス製品メーカーが自社の経営資源を競争力の要因であ る研究開発とマーケティングなどの集中し、設計や製造業務をアウトソーシングする際に、その受け皿となる業態である。エレク トロニクス産業の発展に伴い、急成長している。 8 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 板金に限らず、機械加工等において、機械設備の実稼働時間以外の段取り等準備作業は 大きなウエイトを占めるもので、ITの活用いかんにかかわらず、その合理化による時 間短縮の重要性は変わらない点に留意が必要である。当社は、これにより、設計から製 造までのリードタイムを大幅に短縮、板金後の溶接、塗装工程を入れても最短 1 日から 半月程度までの短納期で 90%以上の納期遵守率を実現している。 板金では、受注後、リピート品については直ちに(新規受注品についてはデータ入力 後)入力済みデータにより工程の能力・負荷計算がなされ、生産実行に移される。 生産工程の自動化省力化を優先し、365 日 24 時間稼動体制を取り、昼間の8時間は職 人が関与せざるを得ない仕事を重点的に行う。一方、無人運転する 16 時間をいかに有 効活用するかがポイントで、稼働率は最近では 80%と高まっている。 ②ユニット・モジュール化への対応 こうした板金部門での情報化投資を積み重ね、97 年、「O・BANネットワーク」と いう当社のITツールを完成させた。これで多品種少量生産対応ができると考えられた が、デフレ経済の下で、ユーザーからのコストダウン要請で価格が下がり(91 年ピーク 比で現在約△50%)、また、ユニット発注への対応も必要となり、板金の前後工程の合 理化が不可避となった。このため、2000 年に塗装部門、2002 年にはプレス部門におい てマネジメントができる技術者を中途採用することでこれを進めた。2003 年には、組立 部門をM&Aで、設計部門は個人会社を社内外注化した。こうして板金だけでなく、こ うした他部門にも生産関係データ管理の一元化を進め、「O・BANネットワーク」の 機能拡張を図っている。しかし、このITツールを使えば多品種少量・変量生産ができ ると考えたが、今の時代はこれでも十分ではないと気づいた。コンピュータによるネッ トワークシステムは、多品種少量生産でも所詮は安定受注を前提とした仕組みになって いる。ところが、最近の仕事は受注が安定せず、加工内容も変動が大きくなり、コンピ ュータネットワークによる生産管理ではこうした状況に対応するには限界があると認 識することになった。そこで、組織そのもののあり方を見直し、当社そのものが板金専 業から「EMS]を目指すなど業態を変えていく必要があると判断し、組織改革に取り 組むことになった。なお、生産面では品質管理などに課題が残っており、今後、専門家 の嘱託採用により社内での取組みでカンパニーによるISOレベルの品質を確立した いと考えている。 (ロ) 受注に対応した組織の見直し ①社内カンパニー制による部門採算管理 当社はそれまでフラットシステムという組織体制をとってきた。これは中間管理職を 置かず、社長や専務が直接現場に指示を出せる体制であったがうまく機能しなかった。 従業員が自分の業務のみにこだわり、人材を状況に応じて機動的に配置できなかったか らである。そこで、2002 年4月、この体制を抜本的に見直し、板金、プレス、塗装、組 9 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 立という4つのカンパニーを作り、部門別採算管理を徹底した。社長、専務が全社的な 統括を行うとともに、各カンパニーのトップが各部門の利益目標と実行行動計画を立て る独立採算制を取る。カンパニーのトップは収益責任を負う代わりに給与体系は年俸制 プラス成功報酬(業績給)である。部門採算は限界利益による損益分岐点で把握してい る。部門別利益は、本社費(金利は含まない)を控除して金利控除前の経常利益段階ま で算出している。兼務のマネージャーの人件費は業務量に応じて部門別に配賦し、本社 費の配賦は育成すべき部門の配慮など社長の裁量で決めている。 ②人材の流動化による効率的活用 従業員は板金、組立などそれぞれの部門に配置していたが、固定化して仕事の繁閑に 対応ができなかったため、状況に応じた機動的な人材の配置に取り組んだ。すなわち、 各従業員はいずれかのカンパニーに本籍を持つものの、要求があればカンパニー間を自 由にシフトする体制に切り替えた。この体制をとるため全従業員が多能工となっている。 また、正社員に限らず、パートの人材派遣もカンパニー間で柔軟性を持たせるようにし た。当社の仕事は納期が非常に短く、海外にシフトし難いものである。こうした強みが あるとはいえ、受注が安定しないため、この変動に対応できる生産体制を組むことが重 要と考えた結果である。 カンパニー制によって、社員の原価意識が高まる、独立採算で社内の問題点が明確に なる、などのメリットがある。まだ全体的には年功給の色彩が強く、業種柄技能・技術 レベルを反映した人事考課制度などの面で取組みが遅れているが、処遇については管理 者層を中心に社員の約3割(10 人)で年俸制とするなど、成果給を導入しつつある。 (ハ) 営業・顧客管理 当社は現在では板金、プレス、塗装、組立、設計、という5つの製造部門と営業部門 のあわせて6つのカンパニー制を取っている。営業部門は、3人の専任者と社長、専務 が担当し、主力の板金を中心とした周辺加工を含む複合加工部品の全社的な受注活動を 行い、成約すれば製造各部門(カンパニー)に工程別に仕事を流すことになる。同時に納 期厳守のために工程管理は営業部門が板金部門と連携を取り、ミス、遅れのないよう行 っている。なお、営業部門は各製造部門への発注に際して 10%の管理費を受け取ること で採算を取っている。また、板金、プレスなど製造部門も、営業部門に依存するだけで は受注の確保が難しいため、同時に各カンパニー独自に営業活動を行うこととしている。 (2)プラスエンジニアリング㈱∼「生産財の精密機械加工部品を専門に製造する システム」の追求 (精密機械加工部品製造業 創業 1974 年 従業員 115 名 年商 25 億円 ) 当社は精密機械加工部品の製造業者で、「生産財の精密機械加工部品を専門に製造す るシステム」を特徴とする当社のビジネスモデルは製造工程の標準化により、完全なオ 10 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 ーダーメイドでありながら規格品並みの価格と納期を実現するものである。自社開発に よる「ERP」ソフトの導入など基幹系、情報系を含めた全社的に徹底されたIT活用 による経営効率化によりこれを実現している。 イ.環境変化∼内需は多品種少量・特注品へ (イ)ビジネスモデルの発想 当社は 1974 年の創業時から経営理念として「精密加工技術、産業インフラを目指す、 顧客の技術開発の一翼を担う」を掲げ、多品種少量の特注品を専門的に扱ってきた。し たがって、その後、バブル経済が崩壊し右肩上がりの時代が終わり、国内需要が量産・ 規格品から多種少量・特注品へと変わる中で、当社のビジネスモデルが活きる時代にな った。いわば、環境が変化し時代が後からついてきたというのが実態である。 当社のビジネスモデルの原点には、現社長が当社を創業する前に従事した特殊鋼卸売 業での経験がある。問屋として自動車部品業者に材料を販売していたが、得意先の部品 業者を観察する中で、下請型企業では特定の受注先に依存せざるを得ず、付加価値の拡 大にも限界があることを強く感じていた。そこで、創業に際して「自立」を経営の中核 に位置付けることになった。すなわち、当社は、特定のもの(個人・企業・顧客)に依 存せず、また、社員も個人として当社に依存しない、言い換えれば、当社は自立した主 体性を持った組織として社会にその存在価値を訴えていく、そのためにも、自立した主 体性を持った社員に、その能力を存分に発揮できる「場」をどうしたら提供できるかを 考えてきた。また、特定の受注先に依存しない、自立した企業を目指す中で、その独自 性を「多品種少量の部品加工で取引先の納期・予算の期待に応えるファウンドリー企業 (受託企業)」に求めることになった。 (ロ)高度化するユーザーニーズ 当社のターゲットとする生産財の精密機械加工部品の市場は約 500 億円と推定され、 このうちの約 10%の確保を目指している。この市場は、生産設備市場と工場消耗品市場 に分けられる。前者は、半導体、FA、医療、製薬等様々な分野の製造・検査等の機械・ 装置で我が国が世界的に競争力を有する分野であり、そのキーパーツをターゲットにし ており、コスト競争力強化が課題である。後者は、ユーザーの海外シフトによる空洞化 リスクがあるが、全国に散在する顧客のフォローとサービスの強化が課題である。こう した分野ではユーザーは部品についてはほとんど内製しておらず、これまで、標準部品 については専門部品メーカーから調達するほか、特注品については、多様な中小金属加 工業者に発注してきた。しかしながら、ユーザー側では、需要の変動に加えて、グロー バル競争の下で、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)のいずれにおいても競争環境 が激化し、部品業者に対する要求が厳しさを増している。 ロ.対応の方向∼顧客価値の創造 11 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 多品種少量・特注品受注に対応した当社の取組みをまとめると、(イ)企業目標の明確 化、(ロ)GTを駆使したFMSによる多品種少量生産システム、(ハ)自主性を活かし た成果主義である。 まず(イ)では、当社は顧客価値の創造を企業目標として顧客満足度を第一に考え、顧 客の「ムダ取り」に貢献することを目指している。これを実現するため、納期について は、「その部品を必要とするお客様が決めるもので、供給者の都合が優先するものでは ない」と考えている。このため、先方の発注(希望納期)イコール生産指示と考えて、 「管理レス」、つまり、「計画・管理」より「仕組み・システム」を重視した組織作り を行っている。IT活用については、自社開発による「ERP(統合業務ソフト)」の 導入により、経営・営業・技術・製造の各データベースにより最新の情報を全社員のパ ソコンに提供し、統合システムによる協業により業務のスピードと効率を実現している。 (ロ)では、製造工程の標準化により、完全なオーダーメイドでありながら規格品並み の価格と納期を実現するビジネスモデルを目指している。生産管理面でも、工場でのチ ーム間の調整・協力など従業員の自主性を活かした納期・品質管理を行っている。 また、(ハ)では、顧客満足度という企業目標が、成果給による目標管理を通じて、 従業員が自主性を発揮することで達成される仕組みを作っている。社内規程の文書化・ 標準化、役割の明確化によって、「自分の給与は自分で決める」仕組みづくりを行って いる。 以下、当社の具体的な取組みを述べる。 (イ)企業目標の明確化∼顧客価値の創造 当社は顧客価値の創造を企業目標として顧客満足度を第一に考え、 「在庫のムダ」「メ ンテナンス・品質管理のムダ」 図表4 プラスエンジニアリングの経営モデル 「標準品に合わせるムダ」「納 顧客価値の創造 期管理のムダ」など顧客の「ム ダ取り」に貢献することを目指 顧客満足と強化戦略 している。 これを実現するため、 「生産財の精密機械加工部品を ク ト ト ワ リ ー ターゲット ク 受注生産においてユーザーニー 個人と組織と強 化戦略 営 製 業 造 ァ 給するシステムを構築している。 自己革新 成長支援研修と 強化戦略 目標と結果 ッ 特注品を規格品並みの価格で供 業務システム フ なわち、キーパーツに不可欠な 社員の自己実現 企業価値と強化戦略 ネ 専門に製造するシステム」、す マ ン ス に 対 す る 顧 客 の 評 価 企業理念・リーダーシップ 強化戦略 成果配分 活動結果 情報マネジメント ズに的確に対応するには、現場 での対応が重要である。まず、 納期については、「その部品を 社会環境との調和 地域社会の発展に貢献 (備考)信金中金総合研究所作成 12 産業企業情報 16−1 2004.4.21 パ フ ォー ォー パ フ マ ン ス に 対 す る 顧 客 の 評 価 ©信金中央金庫 総合研究所 必要とするお客様が決めるもので、供給者の都合が優先するものではない」と考えてい る。このため、(物理的に生産可能な範囲での)先方の発注(希望納期)イコール生産 指示と考えて、「管理レス」、すなわち、「計画・管理」より「仕組み・システム」を 重視した組織作りを行っている。 具体的には、「顧客満足と強化戦略」のため、「社員の自己実現」を通して社員力の 充実を図るとともに、「業務システム」として、ネットワークファクトリ(外注工場) を含めた製造力(技術、価格、納期、品質)および営業力を強化する。そして、自立性 を持つ「社員」が「業務システム」を活用して、「目標」を遂行する、というのがシス テムの中心であり、これを支えるのがITを活用した情報マネジメントである(図表4)。 情報システム構築の目的は業務プロセスの革新であり、ITはそのための重要な手段 である。当社のIT活用は生産面の情報化から始められたが、その後、コンピュータの 経験者の受入れにより漸次自社開発による「ERP(統合業務ソフト)」の導入を進め てきた。経営・営業・技術・製造の各データベースにより最新の情報を全社員のパソコ ンに提供し、統合システムによる協業が業務のスピードと効率を支えている。同時に、 業務毎の初期画面に当社における各業務の目的、方針やルールが表示されており、社員 の基本動作の確認と遵守を促す仕組みを確立している。また、「掲示板」による経営環 境情報など徹底した社内情報の共有化が図られている。 (ロ)GTを駆使したFMSによる多品種少量生産システム ①「生産財の精密機械加工部品を専門に製造するシステム」 製造工程の標準化により、完全なオーダーメイドでありながら規格品並みの価格と納 期を実現する「産業インフラ」を目指している。生産財の需要分野は多岐にわたるが、 最新鋭機種の導入と要素技術の蓄積、多品種少量生産の作業標準化を実現するためのG T(グループテクノロジー)を駆使したFMS(Flexible Manufacturing System)の 採用によって、高稼動と低コストを実現している。 具体的には、24 の市場(FA、半導体、電子部品など)に対応した 79 の製造ライン で 3,418 メニューの精密部品の製造工程を標準化している。同時に、表面処理を入れて 200 社に上る外注先(パートナー)を持つ。 ②従業員の自立性を重視した生産管理 多品種少量生産の作業標準化を実現するための上記GTを駆使したFMSと約 200 社 に及ぶ多様な加工、表面処理技術を持つ外注先ネットワーク(ネットワークファクト リ)の体制により、見積の約 80%で社内・外注の選択→見積→納期回答まで4時間以内 というクイックレスポンスが可能となっている。見積には、類似品や外注単価(市場価 格)を参考としている。 受注してからは、リピート品については過去の図面(CAD/CAM)データから、 新規オーダーについては生産技術課での工程設計と基準日程作成を経て製造に指示が 13 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 回る。製造部門(9ショップ(工程)に分かれ、1ショップが2∼3チーム(1チーム 3名)で構成される)が日程調整の上、フォワード・スケジューリング(仕事を最早着 手日に合せて決める)で生産に着手する。 工数計画、小日程計画による納期管理はチームリーダーによる現場の調整(前後工程 の調整、3チーム間の相互協力)に任せられている。工数・負荷にはもともとかなりの 幅があり、機械的な工数計算はかえって自主的な努力を失わせるとの考えから、計画は 現場のチ−ムリーダーに責任を持たせることで、短納期(2日∼15 日)での高い納期遵 守率を実現している。 この製造システムの成果は営業データ6項目の目標(目標値)で評価される。すなわ ち、不良率(0.1%以下)、指示納期遵守率(90%以上)、リードタイム(8∼10 日、 60%、11∼15 日、25%)、見積ヒット率(85%以上)、見積時間(4時間以内 100%)、 納期確定率(4時間以内 100%)である。 こうした目標達成を促す仕組みが社員の自主性を重視した目標管理と成果給による 処遇というインセンティブである。目標時間設定など管理のための時間管理を排して、 仕事の実績(成果)としての生産金額(付加価値ベースの受注額)等を自己申告し、経 験年数に応じて決められた目標生産金額の達成度や顧客からの品質クレームの実績、納 期や加工時間短縮などが成果給に反映する仕組みとし、受注の確保や品質管理、納期管 理のインセンティブとなっている。 ③品質管理は約束事−不良ゼロは会社の収益と信用に寄与する 約束事(正しい考え方、正しい工程設計、標準化された作業・行動)を守れば不良品 は発生しないとの考え方から社内品の検査は行わない(良品を作るプロセスを重視し、 品質は作りこむ)。また、受入不良品は発注者の責任として、不良ゼロの記録達成度を 成果給に反映し、やりがいに直結する。また、不良品に関するデータ(発生場所、何が、 誰が)がトレーサビリティとして品質管理に役立つ情報になる。 ④本社・工場・外注先の連携 当社は本社機能・営業を都内に置き、スペースを要する工場は地方に配置している。 また、独自の製造システムを支えるため、外注先(パートナー)と緊密な関係を保持し ている。パートナーは従業員規模 10 人前後の得意分野(技能)を持つ先で、ランク付 けで評価選別する。基準としては、実力に合致した発注を行うこととし、スキル(競争 力となる技能)を持った人材、機械別に経験年数を有する人材を持つ企業を選定する。 発注は特定先に依存せず、3社の相見積もりを実施するため、Q、C、D、S(サービ ス)を評価して3∼5社を選定し、主力と準主力先のランク付けを行い、1 社につき1百 万円/月を発注限度としている。 (ハ)人事管理∼自立性を重視した成果主義 ①経営はシンプルが一番 14 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 自己管理ができて「一人前」であり、「管理」はコストであることから「管理レス」 を重視する。このため、役割の明確化(生産管理−納期、営業−受注確保、生産−コス トダウン)が重要であり、全体の整合性が取れた手順、行動、基準を徹底して文書化、 標準化している。たとえば、既述のように、生産・作業の実績は本人が申告するといっ た自主性を重視した生産管理を行い、品質管理もほとんどが約束事として標準化してい る。作った人が「部品検査員」として検査を実施しているという意味で社内品について別 途検査工程を設けることは行わず、社外からの受入検査のみ実施している。人による作 業を含めた工程能力は理屈どおりではなく、工夫次第で向上する。目標とする計画値は どうしても甘めになりがちで、目安にはなっても信頼できるデータにならない。こうし た考えから、単なる生産量等の目標値の達成度合ではなく、結果としての生産・生産外 金額(研修、保守・点検等)を申告することで、インセンティブが働くことになる。 ②「自分の給与は自分で決める」 給与については「自分の給与は自分で決める」を原則として、会社はいかに公平に決 めるか、そのための客観的なものさしを作ることに腐心している。 給与は、大きく年功給的色彩が強い所定内給与と成果給である諸手当に分けられ、そ の割合はまだ7:3と成果給のウエイトが低いが、今後は高めたいとしている。 所定内給与は職歴給(年齢給)+基本能力給(執務態度)+専門能力給(専門能力・ 成果)に、諸手当は、生産目標金額を基準とする成果給と、自己管理による管理成果を 基準とする責任給などからなる。基本能力給および専門能力給のベースとなる執務態度 と専門能力・成果については、具体的な行動で明示した判定基準を基に自己評価とグル ープ評価を半年ごとに行い、その期間の給与額を決定する。生産目標金額を基準とする 成果給については、「目標を公平に設定する唯一の基準は本人の給料」との考えから、 「給料を基準とした生産目標金額を設定し、成果給を決定する」。すなわち、原則とし て本人の給料(社会保険料等の本人にまつわる付随費用を含む)の3倍を生産目標金額 とし、その達成度合いのほか、顧客満足度指標としての指示納期達成率、契約納期達成 率などの達成度を基準に成果給が決定される。自己管理による管理成果を基準とする責 任給については、品質クレーム、不良の有無などによって責任給が決定される。これら の算定は 1 日単位など最小単位での管理をすることで、新たな達成意欲を促進できるよ う考慮している。また、これらのきめ細かな管理はITの活用により容易になっている 点が重要である。 (ニ)営業・顧客管理 営業は見込み先を担当するマーケティングチーム(3人)と、既往先を担当するカス タマーサービス第1∼4チーム(各3∼4人)が管理する。 取引先は既往先 600∼700 社、 見込み先(潜在顧客)600 社。顧客はデータシートで管理し、既取引先は親密度でラン ク付け(固定客∼スポット先)をする。取引先に対しては、「テクニカルレポート」等 15 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 で技術情報等を発信し、当社HPへのアクセスも月7万件を超えている。また、パート ナーへは品質管理等啓蒙のための情報発信(「PEC通信」)を行っている。 営業部門の評価は、見積枚数×ヒット率=営業成果、指示納期遵守率など顧客志向の 目標管理により、やりがい、成果および給料を連動させる。 おわりに 本稿では、下請型製造業の典型として自動車など組立型産業の裾野を形成する中小金 属加工業を取り上げた。下請型製造業は素形材を中心とする中小金属加工業などものづ くりの基盤産業であり、加工組立型産業のサポーティング・インダストリーとして戦略 的重要性を有する。 しかしながら、近年の組立型産業の海外シフトに伴う部品の海外調達傾向、IT化・ 機械技術の革新等と技術移転を背景としたアジア諸国の追い上げ、顧客ニーズの高度 化・多様化等からかつてない困難な局面に直面している。 本稿では、事例企業における対応のポイントとして、多品種少量生産、IT活用、人 材の活用、社内外(同業種・周辺業種)ネットワークなどの取組みを挙げたが、これら 以外にも、素形材に特有の取引慣行の見直し、知的財産の保護、技能者の育成などの環 境整備も重要であろう。 しかしながら、これらの具体的対応以上に重要な点は、国内生産において諸外国と比 し比較優位にある分野や自社の技術力・ノウハウの優位性等を見極め、モジュール化や 徹底した特注品生産への対応など顧客ニーズに的確に対応しようとした経営の基本的 舵取りそのものである。 事例企業の取組みは、単なる合理化努力や効率化努力というレベルではなく、外部環 境や顧客ニーズおよび自社の経営全般について客観的視点から絶えず分析を行い、将来 に向けて必要な対応を図っていくという経営革新の領域に踏み込まなければ下請型製 造業は生き残るのが難しいということの証左であるように思える。 以 上 (平井昌夫) <参考文献> 素形材技術戦略策定会議『素形材技術戦略』素形材センター(2000) 素形材センター『我が国素形材産業の直面する課題と将来展望』機会振興協会経済研究所(2002) 安室憲一『中国企業の競争力』日本経済新聞社(2003) 新原浩朗『日本の優秀企業研究』日本経済新聞社(2003) 本レポートのうち、意見にわたる部分は、執筆者個人の見解です。投資・施策実施等についてはご自身の判断によ ってください。 16 産業企業情報 16−1 2004.4.21 【バックナンバーのご案内(旧産業調査情報)】 号数 №1 題 名 生き残りを模索する書店業界 号数 発行年月 1998 年4月 題 名 発行年月 №32 顧客指向の徹底で生き残りを目指す中小衣料 品店 2月 №33 きめ細かな顧客対応が成長のカギを握る中小 ペットショップ 2月 地域との調和が求められる中心市街地活性化 2月 雇用の多様化と規制緩和で拡大続く人材派遣 業界 5月 市場成熟で新展開を模索する中古車販売業界 7月 №35 中心市街地活性化への取り組み事例①∼東京 都葛飾区のケース∼ 2000 年3月 真価を問われる商店街(その1)−厳しい景 況下にある商店街の現状− 8月 №36 中小企業基本法の改正と中小企業政策の新し い展開 3月 タクシー業界における新規参入の動向 8月 №37 中心市街地活性化への取り組み事例②∼群馬 県前橋市のケース∼ 3月 №6 真価を問われる商店街(その2)−街づくり 関連3法の概要と商店街− 9月 №38 構造変化の中で新たな成長を模索する中小文 具店 3月 №7 二極化が進む金型業界 な戦略がカギ∼ 9月 №39 厳しい事業環境が続く中、経営感覚が求めら れる中小学習塾 4月 10 月 №40 ニュービジネスとして期待される時間貸駐車 場 4月 中小企業向け施策の有効活用について(続編) 5月 №2 №3 №4 №5 №8 ∼強みを生かす明確 経営感覚が求められる病院・診療所 №34 業績低迷が深刻化する中小建設業界 11 月 №41 №10 真価を問われる商店街(その3)−活性化を 目指してー 11 月 №42 定期借家権制度の導入で質への転換が予想さ れる貸家市場 6月 №11 構造変化により再編が予想される自動車部品 業界 12 月 №43 中小企業経営革新支援法の実際(前編) 6月 №44 中小パチンコ店は地域密着の顧客指向で魅力 あるホールづくりを!! 7月 №45 医薬分業の進展で拡大が予想される薬局マー ケット 7月 №46 中小企業の活性化策として注目される異業種 交流活動 8月 №47 環境変化の大波に洗われる中小写真店 9月 №48 中小製造業における新分野進出の必要性と留 意点 9月 №49 商店街の活性化と信用金庫との関わり 9月 №50 独自戦略が求められる中小ガソリンスタンド 経営 2001 年2月 №51 介護保険施行後における介護ビジネスの現状 と課題 2月 №52 環境変化の下で新しい対応を求められる葬祭 業 3月 №53 構造変化への対応を迫られる青果店など青果 物関連業者 3月 №54 中小企業経営革新支援法の活用に向けて(続 編) 3月 №55 地域活性化・ビジネスチャンスの創出が期待 されるNPO(前編) 5月 №56 地域活性化・ビジネスチャンスの創出が期待 されるNPO(後編) 5月 №57 競争・淘汰の局面を迎えた建設業界 8月 №58 コーポラティブハウスによる新しい住宅づくり №59 中小ビジネスホテルの経営改善策 ラン部門のテコ入れを中心に∼ №60 自店の強みを活かす戦略が一段と求められる 中小鮮魚店 №9 №12 転換期を迎えつつある消費者金融業界 1999 年1月 厳しい状況が続くクリーニング業界の動向 1月 技術革新への対応を迫られる印刷業界 2月 企画力・販売力で大手に挑む中小マンション 事業者 3月 高付加価値化が求められる金属プレス加工業 界 3月 意識転換が求められる理美容所の動向 3月 中小企業におけるISOマネジメントシステ ムへの取組み 4月 中小零細事業者の転業の動向 5月 №20 需要停滞下、特色ある事業展開を求められる 中小米菓製造業 5月 №21 明確なコンセプトに基づく経営が求められる ビジネスホテル 6月 №22 品質認証規格ISO9000 シリーズ取得のポイ ント 8月 №23 環境変化への対応迅速な対応が求められる飲 食店 8月 №24 得意分野確立の重要性が高まる中小釣具製造 業 9月 №25 厳しい環境下独自の生き残り策を迫られる中 小家電販売店 9月 №26 新しいビジネス形態として脚光を浴びるSO HO 9月 №27 環境変化への厳しい対応を迫られる工作機械 製造業 10 月 №28 多様化する顧客ニーズへの対応力が問われる 中小トラック運輸業 11 月 ビジネスチャンスが広がる中食市場の動向 11 月 №30 業界再編への取り組みを迫られる中小建設業 界 12 月 №31 環境変化への新しい対応を迫られるリース業 界 2000 年1月 №13 №14 №15 №16 №17 №18 №19 №29 №61 №62 №63 ∼レスト 成長続くフランチャイズビジネスの現状と加 盟における留意点 規制緩和が弾みを付ける地域交通の新たな動 き−「乗合タクシー」、「コミュニティバス」への取り組 み 本格的な淘汰が始まる中小工務店業界 2002 年2月 3月 3月 5月 8月 9月 17 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ©信金中央金庫 総合研究所 (旧産業調査情報) 号数 (旧ベンチャービジネス情報) 題 名 発行年月 号数 題 名 発行年月 №64 10月 №1 №65 激変する販売環境への対応が求められる中小 酒類製造業者 10 月 №2 №66 期待されるシルバービジネス 12 月 №3 ベンチャー企業の株式公開戦略 −株式公開基準の見直しで一段と身近な成長 戦略のひとつに− 1999 年1月 №67 民間事業者が目指す新たな保育サービス №4 ベンチャー企業創出をめぐる現況と問題点 −新事業創出促進法の制定でベンチャー企業 支援は新たな局面へ− 3月 №5 ベンチャーキャピタルの現況 −重要性が高まる「投資」を通じたベンチャ ー企業の育成支援− 8月 №6 新市場創設などで高まる信用金庫顧客の株式 公開の可能性 −信用金庫はいかに対応していくべきか− 2000 年4月 2003 年3月 (旧企業経営情報) 号数 題 名 発行年月 2001 年6月 「投資事業組合」制度改革の動きとベンチャ ー企業 1998 年4月 注目高まる介護ビジネス −急増する「グルー プホーム」事業について− 注目される産学連携 ∼その現状と問題点∼ 6月 №1 中小企業の経営課題とその解決法(総論) №2 環境マネジメントシステムISO14001 取得 のポイント−身の丈に合ったシステム構築で マネジメント能力の向上を− 8月 №7 「ベンチャー企業」評価のポイント −信用金庫にとって身近な存在:「ベンチャ ー企業」− 12 月 №3 中小サ−ビス業のマーケティング戦略−喫 茶店を事例に− 9月 №8 地域単位で活動を活発化するIT系ベンチャ ー企業−“都市型産業集積”から“新しいタ イプの地場産業”へ− 2001 年6月 11 月 №9 どんな企業が株式上場を果たしているのか (前編)−2000 年に上場を果たした企業群の 分析− 9月 №10 どんな企業が株式上場を果たしているのか (後編) −2000 年に上場を果たした企業群の分析− 10 月 №11 信用金庫取引先企業の上場事例 −2001 年新規株式上場企業 169 社の中の事例 から− 2002 年3月 №12 信用金庫取引先企業の上場事例(続編) −2001 年新規株式上場企業 169 社の中の事例 から− 6月 12 月 №4 診療所の患者獲得戦略 №5 中小企業における経営計画の作成と実行 −経営計画の意義と留意点− №6 中小企業の人材活用による組織活性化事例 −能力を引出す5つのポイント− 2月 №7 実践! 中小小売店の経営コンサルティング −洋菓子店のケーススタディより− 2月 №8 中小企業のIT導入時における基本的留意 点 −業務プロセスの分析などを通じた目的 の明確化が不可欠− 3月 №9 広がりを見せる環境ISO取得の動き ∼「PDCAサイクル」を核とした環境マネ ジメントシステム∼ 5月 №13 期待が高まる「大学発ベンチャー」 −経営面や地域活性化などには課題− №10 中小企業が成長・発展するための社長の役割 ∼社長に期待される役割と求められる能力 ∼ 5月 №14 創業支援を巡る最近の動向−“普通の創業” のすそ野拡大で信用金庫の活躍機会も増大へ − №11 中小企業の製品開発戦略・マネジメント事例 ∼コア技術をベースにしたニッチ市場の開 発∼ 8月 №12 中小企業の事業内容変革におけるポイント ∼円滑な新分野への進出と既存事業の縮 小・撤退のために∼ 9月 №13 工程管理を中心とした中小企業の生産管理 ∼多品種少量生産の管理改善事例∼ 11 月 №14 中小企業経営改善支援業務の実際 ∼中小ガソリンスタンドを事例として∼ 12 月 №15 *バックナンバーの請求は信金中央金庫営業店 にお申しつけください。 2003 年1月 中小企業の特許活用の現状と留意点 −重要性を増す特許の有効活用− №17 2003 年3月 中小製造業の有効なマーケティング活動につ いて−販売など競争力強化のために− №16 2002 年2月 中小企業のインターネット活用 −期待される効果と活用のポイント− 2月 3月 18 産業企業情報 16−1 2004.4.21 (産業企業情報) 号 数 題 名 発行年月 中小企業の財務管理 2003 年 4月 2003 年 8月 2003 年 8月 2003 年 9月 2003 年 10 月 2003 年 10 月 2003 年 10 月 15−8 −コミュニティ・ビジネスの一領域として信用金庫に求められる積 2003 年 極的対応− 11 月 15−1 −財務をめぐる環境変化と改善の進め方− 厳しい事業環境下で正念場を迎える内航海運業界 15−2 −競争的市場構造への対応が急務− 15−3 中小企業再生支援協議会の制度概要とその現状 大口債務先の経営改善支援の手順・ポイント 15−4 −大・中規模の温泉旅館のケーススタデイを中心に− 中小企業の経営改善支援事例 15−5 −空調ダクト事業者を事例として− 中小企業の経営改善支援について 15−6 −非鉄金属鋳物製造業を事例として− 金型産業の現状と今後の方向 15−7 −問われる国際競争力と企業の対応− 「ヘルスケア・サービス」の重要性と今後の展開 中小トラック運送業の動向 2003 年 12 月 15−10 −「やりたいこと」を決断のインセンティブに進化させる手立てが 2003 年 不可欠− 12 月 15−9 −排気ガスの規制強化など環境変化への対応− 創業実現のカギを握る「創業決断」 リラクゼーションビジネスの広がり 15−11 2004 年 1月 2004 年 3月 −小規模マッサージサロンの事業化のポイント− 15−12 「伸びる産業」として注目に値する高齢者介護事業 *バックナンバーの請求は信金中央金庫営業店にお申しつけください。 ご意見をお聞かせくだ さい。 19 産業企業情報 16−1 2004.4.21 ご意見をお聞かせください。 信金中央金庫 総合研究所 行 今回の産業企業情報(№16−1)について 今後、取り上げてもらいたいテーマ 信金中央金庫 総合研究所に対するご要望 差し支えなければご記入ください。 年 月 日 貴金庫(社)名 ご担当部署・役職名 御芳名 御住所 (お取引信用金庫名) ありがとうございました。信金中央金庫営業店の担当者にお渡しいただくか、総合研究 所宛ご送付ください。 (〒104−0031 東京都中央区京橋3−8−1) (E-mail:[email protected]) (FAX:03‐3563‐7551) 20 産業企業情報 16−1 2004.4.21