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ホンダ:次の10年の重点領域は、環境技術、小型車、新興国

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ホンダ:次の10年の重点領域は、環境技術、小型車、新興国
2016/4/5
ホン ダ:次の10年の重点領域は、環境技術、小型車、新興国市場 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
ホンダ:次の10年の重点領域は、環境技術、小型車、新興国市場
寄居新工場で環境商品、鈴鹿製作所で次世代軽・小型車の生産技術を構築
2010.9.28 No.916
ホンダ:次の10年の方向性として、3項目の重点領域を発表
国内販売車種を整理、開発・生産を環境対応車・小型車に集中
従来の"現地化"から、新興国での調達を増やす方向に転換
新興国事業(インド・タイ、中国、アルゼンチン)を強化
世界生産:2009年度海外生産は240万台(1%減)、国内生産は90万台(21.5%減)
2009年度世界販売は、アジアと日本で増加、欧米は減少
2009年度売上高は14.3%減だが、コスト削減により利益が倍増
IHS グローバルインサイト提携レポート
中期生産予測
要 約
ホンダは、2008年秋のリーマンショック以降、F1からの撤退、国内寄居新工場の稼働延期、中大型車向けディーゼルエンジンの
開発中止等で大幅なコスト削減を実施した。同時にHybrid強化を発表して、CR-ZやFit Hybridなどを当初計画より前倒し投入
し、次期型電動車両の開発を本格化した。
ホンダの2009年度決算は、販売費及び一般管理費等5,881億円のコストを削減して、日本自動車メーカー中最高の最終利益
2,684億円を計上した。
ホンダは、こうした方向転換が一段落したとし、2010年7月に「次の10年の方向性」を定め、3つの重点領域を発表した。(1)「環
境技術の進化」では、Hybridをさらに強化するとともに、2012年にPHEV (Plug-in hybrid electric vehicle)とEVを日米市場に
投入する。(2)「生産体制の強化」では、稼働を延期していた寄居新工場で2013年に生産を開始し、環境商品を生産する技術な
ど次世代に必要な高度な生産技術を確立し、世界の拠点に水平展開する役割を担う。また現在全量を八千代工業で生産してい
る軽自動車を、2012年から鈴鹿製作所でも生産し、車体軽量化と低コストの技術を確立し小型車にも採用する。八千代工業で計
画していた軽自動車の新工場建設は中止する。(3)「新興国事業の強化」では、2011年にインドとタイで新開発のエントリーレベ
ル車の生産を開始。中国では、生産能力を2010年9月時点の65万台から2012年後半に83万台に拡大する。
以上をまとめ、ホンダは、環境意識の高まりにはホンダ独創の先進環境技術を進化させて魅力的な商品を提供し、世界経済の構
造変化には、「小型車の競争力」と「新興国事業」を強化し対応するとしている。
ホンダ:次の10年の方向性として、3項目の重点領域を発表
ホンダは、2010年7月、伊東社長就任から1年が経過し、新たな成長戦略を描き実行する段階に入ったとして、次の10年の方向
性として、「環境技術の進化」、「生産体制の強化」、「新興国事業の強化」の3つの重点領域を発表した。
この数年で、地球規模での環境意識の高まりと、世界経済の構造変化により世界の自動車市場で小型車志向が一気に進んでお
り、ホンダの次の成長・発展には、こうした時代の変化への迅速な対応が必須としている。
■環境技術の進化:IMA搭載モデルを拡大し、PHEV、EVも開発
ホンダは、独自のHybridシステムIMA(Integrated motor assist)搭載モデルを拡大する。また2012年をめどに、ホンダが経営資
源を集中して取り組んできた先進環境技術の開発が商品として具現化するとし、PHEVとEVを日米市場に投入。ガソリンエンジン
とトランスミッションも、2012年をめどに刷新する。
環境技術の進化
Insightなど、Honda独創の軽量・コンパクトなIMA(Integrated motor assist)システムを搭載するモデルを発売し、
2009年の国内販売に占めるHybrid比率は16%に達した。今後もラインアップをさらに充実させてIMAの普及を加速さ
せる。ホンダは、2014年までに、世界販売でのHybrid比率10%を目指す。
2010年 7月からの 1年間をめどに、小型車を中心にIMAを搭載する複数のモデルを国内市場に投入する。第一弾と
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IMAの
普及
(注1)
なるFit Hybridを2010年10月に日本で発売する(Fit Hybridは、1300ccエンジンを搭載し、燃費はInsightと同じ10・
15モード 30km/L、ベース車価格はInsightより30万円安い 159万円とされる)。
2011年に、ミニバンFreedのHybridを投入する見込み。
2011年に、Fitより一回り小さいクラスで、IMAシステムを搭載し、燃費は小型化により向上し40km/L程度、1000cc級
エンジンを搭載し、ベース車価格130~140万円のモデルを投入するとされる。
2011年発売予定の次期型Civic Hybridから、GSユアサとの合弁会社ブルーエナジーで生産するリチウムイオン電池
を搭載する。(なお、国内では次期型Civicはガソリン車を発売せず、Hybridモデルのみを販売する計画)。その後ニ
ッケル水素電池を搭載するHybridも販売する。
PHEV
中型以上のモデル向けにPHEV (Plug-in Hybrid electric vehicle)を開発中で、2012年に日米で発売する。開発中
(注2)
の、2モーターHEVシステムをベースとする計画。
バッテリ バッテリーEVは、航続距離や充電時間などの課題があるが、燃料電池電気自動車で培った技術を活かしバッテリー
ーEV
EVを開発中で、2012年に日米市場で発売する。
燃料電
池
中期的には、究極のモビリティは燃料電池電気自動車であり、FCXクラリティの技術進化や水素供給装置などの研究
電気自
も継続する。
動車
内燃エンジンも燃費向上
ガソリン
エンジ
ン
中期的にはガソリンエンジンが主な動力源であり、2012年から順次、エンジンとトランスミッションのラインアップを刷新
して、一層の燃費の向上を図る。(注3)
ディー
ゼル
エンジ
現在販売している2200ccのエンジンに加え、小型のディーゼルエンジンを開発中で、2012年に欧州で発売する。
ン
資料:ホンダ広報資料 2010.7.20、日刊自動車新聞 2010.4.6/2010.9.9、日刊工業新聞 2010.8.4
(注)1.ホンダの現行Hybridシステムは、エンジンを主動力とし、1個のモーターがアシストするIMA(Integrated motor assist)シ
ステム。ホンダは、クルマのサイズや用途に最適なHybridシステムを複数開発するとし、2000cc以上の中大型車に搭載す
る 2モーターHybridシステムを開発中。
2-1.ホンダは、EVは電池の性能から当面需要は限られるとし、米国での環境規制強化への対応程度にとどめ、PHEV開発を
強力に進める方針。
2-2.トヨタが2009年12月にリース販売を開始したPrius PHEV の燃費(国土交通省が定める、PHEV燃料消費率)は57.0km/L
だが、ホンダのPHEVは60.0km/Lを目指すとされる。
3.ホンダはアイドリングストップを開発中で、2010年度にも搭載車を欧州市場に投入する計画。
生産体制の強化:寄居新工場で環境対応車、鈴鹿製作所で軽と小型車の生産技術を構築
ホンダは、日本の工場は、「環境商品や小型車に関する先進生産技術の追求」、「国内向け商品の効率的な生産」、「海外支援
機能の強化」という3つの役割を担い、ますます重要さを増していくとしている。
この方針に基づき、延期していた2つの新工場(寄居新工場と八千代工業の軽自動車新工場)について方向を決定した。
寄居新工場では、2013年から生産を開始し、環境対応車生産技術を確立する。また鈴鹿製作所では、2012年から軽自動車の
生産を再開し、次世代の軽・小型車に採用予定の車体軽量化と低コスト化に寄与する生産技術を構築する。
生産体制の強化
<日本の役
割>
寄居新工場
日本の工場は、「環境商品や小型車に関する先進生産技術の追求」、「国内向け商品の効率的な生産」、「海
外支援機能の強化」という 3つの役割に集中する。
稼働を延期していた寄居新工場は、2013年の生産開始を目指して稼働準備を開始する。「環境商品を生産す
る技術」や「低炭素で生産する技術」を確立し、世界の拠点に水平展開する役割を担う。
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は、
次世代のホンダの鍵となる生産技術を寄居新工場から全世界に発信し、グローバルな成長に繋げる。
2013年稼働
(注1)
既存の狭山工場で同じクルマを作った場合と比べ、1台当りのエネルギー使用量を3割以上削減できる、環境負
荷低減に貢献する先進の工場とする。
鈴鹿製作所
一方、世界的な小型化に対応するために、2012年から鈴鹿製作所で軽自動車の生産を再開し(2007年までは
軽自動車を生産していた)、次世代モデルで採用予定の車体軽量化と低コスト化に寄与する生産技術を構築
で
軽自動車を生 する。この技術は、その後小型車にも採用し、将来鈴鹿製作所から世界の生産拠点に展開する。
産
子会社の八千代工業で予定していた軽自動車の新工場建設は中止する。八千代工業の既存工場での軽自動
(注2)
車生産は継続する。
<グローバル
「需要のあるところで生産する」という基本的な考え方のもと、新興国を中心に現地化を進める。
フレキシブルな生産体制を一層強め、工場や国をまたいだ供給体制を強化し、急激な需要の変化に対応でき
生産>
る生産体制を構築する。
資料:ホンダ広報資料 2010.7.20
(注)1.Hybrid車は現在鈴鹿製作所のみで生産しているが、2013年以降は寄居新工場が中核工場となる見込み。
2-1.ホンダは2008年3月、八千代工業が四日市製作所の隣接地に、エンジンから車体まで一貫生産する軽自動車工場を建設
すると発表していた。
2-2.ホンダは、軽自動車の販売が、国内販売全体の半分程度に拡大する可能性もあるとしている(2009年は約35%)。現在全
量を八千代工業で生産している軽自動車をホンダの鈴鹿製作所でも生産し、軽自動車事業を立て直すとしている(ホンダ
の軽自動車販売は、2004年度25.2万台、シェア13.4%から、2009年度15.8万台、シェア9.3%に減少している)。
新興国事業の強化:金型も含め、現地化を加速
新興国事業の強化
<現地化 小型車市場が急拡大する新興国で勝ち抜くために、「現地の金型で、現地の材料や部品を使って、現地で生産す
>
インド
タイ
る」という考え方をベースに現地化を加速する。
2011年に、エントリ-レベルモデルとして、50万ルピーを切る価格の新型車を発売する。
同じモデルをベースに、タイで、高い燃費基準を達成したエコカーとして発売し、ASEAN域内への輸出も行う。
資料:ホンダ広報資料 2010.7.20
国内販売車種を整理、開発・生産を環境対応車・小型車に集中
ホンダの世界販売では、Civic、Accord、CR-V、Fitの4車種が7割程度を占め、日本の自動車メーカーのなかで特に車種効率が
高いとされている。
ホンダはさらに、国内販売車を中心に車種を整理し、開発や生産を効率化する。2009年にS2000、Edixの生産を終了、2010年
にPartner、Civic Type R、Airwave、Crossroadの生産を終了した。
また、既に高級スポーツカーNSXの生産を終了し、次期型車の開発を凍結した。ホンダは、開発工数も環境対応車と小型車に集
中する方針。
ホンダ:国内販売車を中心に、車種を整理し効率化
実施、
発表時
概要
期
2008年
高級スポーツカーNSX次期型の開発を中止(生産は2005年に終了したが、V10エンジンを搭載する次期型車を開発
すると発表していた)。
Fit Ariaの国内販売を中止(Fitベースのセダンタイプで、タイから輸入していた)。
2009年
スポーツカーS2000の生産を終了。ミニバンEdixの生産を終了。
ライトバンPartner、ピュアスポーツモデル Civic Type R、ワゴンAirwave、SUV Crossroadの生産を終了。
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2010年 高級ミニバンElysion(2004年5月に発売)と高級乗用車Legend(2004年10月にフルモデルチェンジ)は、当面フルモ
デルチェンジを行わない予定と報道されている。
2011年 次期型Civicガソリン車の国内販売を中止(海外ではガソリン車販売を継続するが、国内はHybrid車のみ販売する)。
資料:日本経済新聞09.11.10/ 2010.7.15/2010.7.16、日刊自動車新聞 2010.6.8
(注) ホンダはさらに、国内販売車種で新車効果が薄れた後のモデルを対象に、グレード、オプション、カラーなどの仕様を絞り
込む方針。マイナーチェンジなど改良時に、種類を半分以下に低減する。また、FitやFreedなどの中核商品には、派生車
種や特別仕様車を集中設定し、1車種あたりの販売量を引き上げる方針。
従来の"現地化"から、新興国での調達を増やす方向に転換
ホンダは、小型車を販売して利益が出る体質を構築するため、グローバル購買体制を見直し、従来の完成車工場のある国・地域
から部品を調達する現地化から、グローバル調達コストを最大削減する購買に切り替える方針。
コストの高い日米欧の部品調達先を、中国、インド、ASEANなどコスト競争力のある新興国にシフトし、新興国で調達する部品を
先進国で生産する車種にも積極的に採用する。
そのため、従来同じ機能の部品でも地域ごとに微妙な差異があったが、まずグローバルで生産する4車種(Civic、Accord、CRV、Fit)を対象に、世界で販売するホンダ車の部品仕様を標準化する方針。
新興国での調達を増やし、グローバル規模で購買コストを削減
従来の"現地化"から、新興国での調達を増やす方向に変更
ホンダは、これまでは、完成車を生産する国・地域で部品を調達し、現地調達率を向上させてきた。しかし、先進国では部品調
達コストが高いため、今後はむしろ現地調達率を下げ、新興国で調達する部品を先進国生産車にも採用し、先進国での部品
調達コストを大幅に引き下げる方針。
グローバル生産車 4車種の部品仕様を全世界で統一、2013年発売車から適用
ホンダは、まずグローバルに生産する4車種(Civic, Accord, CR-V, Fit)の部品仕様を、世界各地で調達が容易な素材の使
用を前提に標準化する方針(これまでは、生産地ごとに微妙な差異があった)。また同じ機能の部品のモデル間での差異も調
整、標準化し、購買数量を引き上げ、単価を低減する。
調達先も、新興国を中心に、絞り込んだサプライヤーから調達するよう変更していく。現在の約2,200工場から最大半減させ、コ
スト削減と品質管理の徹底を目指す。2013年に発売するモデルから順次実施する。
資料:日本経済新聞 2010.3.31/2010.8.26、日刊自動車新聞 2010.3.12/2010.3.15
(注) こうした動きに伴い、日本を含む先進国での現地調達率を、現在の90%強から60~70%に下げ、中国、ブラジル、インドなど
新興国地域での現地調達率を、現在の60~70%から80~90%に高める方針とされる。
新興国事業(インド・タイ、中国、アルゼンチン)を強化
■インドとタイで、2011年から新開発小型車を生産
ホンダは、2011年にインドとタイで、新開発小型車 Honda New Small Conceptの生産を開始する。両国合計で年間10万台の生
産を目指す。
ホンダ:新開発小型車を、 2011年からインドとタイで生産
ホンダは、Delhi Auto Expo 2010に、5ドアハッチバックの新小型車 Honda New Small Concept を出展した。Fitよりひとまわ
り小型だが、ファミリーカーとして大人 5人が快適に座れるスペースを確保。当初1000cc クラスガソリンエンジンを搭載し、小型
ディーゼルエンジンも開発中。価格は50万ルピー(約100万円)以下に設定する。
インドでは、2010年夏時点で 115店の販売網を、2011年の新小型車発売に合わせて 150店に増強する。2009年で販売台数
62,337台、3%程度にとどまるシェアの拡大を目指す。
2011年からタイでも生産・販売し、両国合計で年間 10万台程度の生産を目指す 。タイでは、タイ政府の進めるエコカー適合車
として販売し、また順次 ASEAN諸国に輸出する予定。
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資料:ホンダ広報資料 09.12.21, Honda Siel Cars India 広報資料 2010.1.5, 日経産業新聞 2010.3.24
(注) ホンダはインドで、Accord、City、Civic、CR-V、Jazz(日本名 Fit)を販売している。
中国事業:2012年後半に、年産83万台体制
中国での生産能力は、2010年秋時点で広汽ホンダ36万台、東風ホンダ24万台、輸出専用工場の本田汽車(中国)5万台、計65
万台。2011年後半に広汽ホンダの増城工場の生産能力を12万台から24万台に増強、また東風ホンダに第2工場を建設し、2012
年後半から6万台規模で生産を開始し、中国事業の生産能力を83万台に拡大する。
東風ホンダの第2工場は将来24万台までの生産能力増強を想定し、実現するとホンダの中国生産能力は101万台に拡大する。
ホンダの中国生産能力増強計画 (1,000台)
2010年秋
2011年後半
2012年後半
黄埔工場
240
240
240
増城工場
120
240
240
第1工場
240
240
240
第2工場
-
-
60
本田汽車(中国)有限公司(輸出車専用工場)
5
5
5
650
770
830
広汽ホンダ
東風ホンダ
中国合計
資料:ホンダ広報資料 2010.4.23/2010.5.25
(注)1.投資額は、広汽ホンダの増城工場拡張が9.3億元(125億円)、東風ホンダの第2工場建設は11.5億元(154億円)。合計
20.8億元(279億円)。
2.広汽ホンダは Accord, Odyssey, City, Fit を生産し、2010年内にAccordベースのCrossover クロスツアー、2011年に
自主ブランド「理念」の最初のモデルを投入する。東風ホンダは Civic, CR-V, Spiriorを生産している。東風ホンダも自主
ブランドを開発する。本田汽車(中国)は輸出専用車のJazz(Fit)を生産している。
3.自主ブランドは、日本だけで開発していては現地のニーズに十分応えられないとし、現地の人材を活用して開発し中国市
場の幅広いニーズに対応することを目指す。ホンダブランド車より、低価格で発売する見込み。
ホンダ:中国での生産と販売実績 (台)
2005年
生産
販売
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
1-7月
288,177
378,359
492,008
512,076
601,920
385,801
広汽ホンダ
230,773
260,096
295,299
306,230
365,623
216,068
東風ホンダ
26,244
63,373
127,042
164,035
210,601
150,195
本田汽車(中国)
9,697
24,600
43,124
45,500
28,299
15,027
266,714
348,069
465,465
515,765
604,523
381,290
合計
資料:ホンダ広報資料 2010.1.25, その他
アルゼンチン:2011年から、新工場で生産
アルゼンチン工場で、2011年前半に生産開始
ホンダは2007年7月に、アルゼンチンに新工場を建設し、小型乗用車を年間3万台生産すると発表した。その後の経済危機の
ため計画を延期してきたが、2011年前半から生産を開始することを決定。当初年産3万台でスタートし、順次生産能力を拡大す
る。
アルゼンチンは中南米でブラジルに次ぐ自動車市場(2009年の市場規模は、ブラジルは大型商用車を含め273万台、アルゼン
チンは乗用車とLCVで49万台)。ホンダは現在アルゼンチン市場で、ブラジル工場で生産するFitやCity、及びCR-Vを販売し
ている。
資料:Honda Information Meeting 2010 (Spring 2010)、日経産業新聞 2010.9.16
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世界生産:2009年度海外生産は240万台(1%減)、国内生産は90万台(21.5%減)
ホンダの2009年度輸出台数は、前年の57.4万台から23.0万台に6割減少し、国内生産は90.2万台に21.5%減少した(国内生産
に占める輸出の比率も49.9%から25.5%に低下)。海外生産は、240万台で1%減にとどまった。2010年第 1四半期は、国内生産、
海外生産とも3割弱拡大している。
ホンダの、世界生産・輸出台数 (台)
第 1四半期(4-6月)
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
2009年度
2010年度
前年度比
国内
1,348,085
1,296,682
1,148,361
901,775
182,749
236,559
129.4%
海外
2,354,307
2,658,801
2,425,936
2,402,755
501,556
639,841
127.6%
世界生産
3,702,392
3,955,483
3,574,297
3,304,530
684,305
876,400
128.1%
645,203
695,678
573,561
230,010
60,059
82,235
136.9%
輸出
輸出/国内生産
47.9%
53.7%
49.9%
25.5%
32.9%
34.8%
資料:各年度四輪車生産・販売・輸出実績(広報発表),
2009年度世界販売は、アジアと日本で増加、欧米は減少
ホンダの2009年度世界販売は、アジアと日本で増加したが、欧米で減少し、2008年度の351.7万台から339.2万台に12.5万台減
少した。2010年度は、北米販売が129.7台から148.0万台に増加し、世界で364万台を見込む。
ホンダの2010年度第1四半期の世界販売は、89.9万台に17.4%増加した。2010年7月の第 1四半期決算発表時に、通期世界販
売見通しを、4月発表に比べ2.5万台増の364万台に上方修正した(北米は148万台で変わらず、アジアで5.5万台増やし、日本・
欧州・その他地域は減らした)。
ホンダの世界販売台数 (1,000 台)
2010年度見通し
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
4月発表
7月発表
2009年
2010年
4~6月期
4~6月期
国内
672
615
556
646
635
630
128
145
北米
1,788
1,850
1,496
1,297
1,480
1,480
323
370
欧州
324
391
350
249
240
230
69
53
アジア
620
755
793
950
960
1,015
189
261
その他
248
314
322
250
300
285
57
70
3,652
3,925
3,517
3,392
3,615
3,640
766
899
世界
資料:ホンダ連結決算報告書
(注) 世界販売台数は、ホンダ及び連結子会社の完成車と、持分法適用会社への生産用部品の販売台数の合計(持分法適用
会社である、中国の広汽ホンダと東風ホンダの販売台数を含む)。
2009年度売上高は14.3%減だが、コスト削減により利益が倍増
ホンダの2009年度連結売上高は、8兆5,792億円に14.3%減少したが、営業利益は3,638億円にほぼ倍増した(純利益も2,684億
円にほぼ倍増)。利益変動の要因としては、売上変動・ミックスと為替影響はマイナス要因だが、コストダウン効果、販売費及び一
般管理費と研究開発費の削減により、合計で5,881億円のプラス要因となった。
ホンダの2010年度第 1 四半期の業績は、販売台数増により売上高が17.9%増加し 2兆3.615億円、売上変動・構成比等(1,751
億円)とコストダウン効果(707億円)により、営業利益は2.344億円(9.3倍)、純利益は2,725億円(36倍)と大幅改善した。
ホンダの連結業績 (100万円)
2010年度予想
http://www.marklines.com/ja/report/rep916_201010
2009年
2010年
6/9
2016/4/5
ホン ダ:次の10年の重点領域は、環境技術、小型車、新興国市場 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
2006年度
売上高
2007年度
2008年度
2009年度
4月発表
4~6月期
7月発表
4~6月期
11,087,140 12,002,834 10,011,241 8,579,174 9,340,000 9,100,000 2,002,212 2,361,463
営業利益
851,879
953,109
189,643
363,775
400,000
450,000
25,164
234,443
税引き前利益
792,868
895,841
161,734
336,198
410,000
470,000
5,458
256,149
関連会社持分利益
103,400
118,900
99,000
93,200
95,000
98,000
14,200
35,600
(内)アジア
72,600
86,100
97,500
90,800
-
-
17,500
27,500
当期純利益
592,322
600,039
137,005
268,400
340,000
455,000
7,560
272,487
設備投資
627,000
654,000
599,100
329,700
380,000
←
98,800
42,800
減価償却費
361,700
417,300
408,200
366,600
350,000
←
92,900
82,500
研究開発費
551,800
587,900
563,100
463,300
500,000
←
101,500
118,200
為替レート(1米ドル)
117円
114円
101円
93円
90円
87円
97円
92円
為替レート(1ユーロ)
151円
162円
142円
130円
120円
112円
132円
118円
資料:ホンダ連結決算報告書
(注)1.
2-1.
日本自動車メーカーの2009年度決算の純利益は、トヨタは2,095億円、日産は424億円で、ホンダの2,684億円が最高
益。
ホンダの中国事業のうち、広州ホンダと東風ホンダは持分法適用会社であるため、上表の売上高と営業利益には含まれ
ず、純利益相当分が関連会社持分利益に計上されている(輸出専用車を生産する本田汽車(中国)は連結子会社)。
2-2.2010年度の関連会社持分利益980億円のうち、中国事業の持分利益が800億円を超える見込み。
ホンダは、2010年第1四半期決算発表時に、2010年度通期業績予測を修正した。売上高は円高(第2四半期以降を85
3.
円、通期で87円)を反映し、2,400億円下方修正。利益面は、営業利益予想を4,000億円から4,500億円に修正するなど、
第1四半期実績から見ると控えめな上方修正だが、国内のエコカー補助金終了の反動や、米国でのインセンティブ増大な
どのリスクを織り込んだ。
ホンダの、2009年度/2010年度決算の増益要因 (億円)
営業利益
売上変動
増加額
及びミックス
為替影響
コストダウン
販売費及び
効果
一般管理費
研究開発費
2009年度実績
1,741
(2,465)
(1,675)
674
4,209
998
2010年度第1四半期実績
2,092
1,751
(144)
707
(54)
(166)
2010年度
4月発表
362
1,989
(450)
60
(870)
(367)
見通し
7月発表
862
2,809
(1,250)
480
(810)
(367)
資料:ホンダの連結決算資料
IHSグローバルインサイト中期生産予測レポート
■ホンダ :国別・ブランド別生産台数 (IHSグローバルインサイト社予測) (台数)
国
ブランド
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
JAPAN
HONDA 1,264,390
840,924 1,053,254 1,147,030 1,206,550 1,235,833 1,437,908 1,309,310
CHINA
HONDA
518,359
602,455
631,505
673,742
723,862
759,426
799,383
827,988
TAIWAN
HONDA
18,584
23,340
25,744
31,157
31,774
32,765
31,770
32,743
PHILIPPINES HONDA
9,373
12,745
11,495
11,335
12,129
13,311
14,301
15,287
THAILAND
HONDA
161,108
128,590
178,528
211,937
248,573
280,334
312,415
329,579
INDONESIA
HONDA
42,769
41,491
33,155
37,248
38,323
42,551
43,313
44,762
MALAYSIA
HONDA
32,426
33,059
41,366
49,446
53,447
51,021
54,530
56,297
http://www.marklines.com/ja/report/rep916_201010
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INDIA
HONDA
53,298
60,740
59,356
92,534
96,522
110,225
117,721
127,692
PAKISTAN
HONDA
12,721
12,732
14,217
15,314
16,281
16,335
19,163
23,057
HONDA
230,423
75,583
150,717
174,480
196,596
241,693
255,858
258,716
TURKEY
HONDA
50,073
18,264
20,237
23,663
34,691
39,186
35,017
36,898
UNITED
HONDA
909,010
684,793
STATES
ACURA
78,166
38,740
55,132
58,118
76,035
87,876
91,721
94,182
HONDA
324,497
224,377
215,100
218,216
303,776
293,521
299,689
269,030
ACURA
58,514
35,758
63,876
54,558
53,267
59,869
55,682
53,101
MEXICO
HONDA
51,247
48,371
55,599
59,765
56,064
57,038
53,489
46,687
BRAZIL
HONDA
131,139
132,006
137,030
149,920
164,493
166,268
134,418
133,242
ARGENTINA
HONDA
0
0
0
0
0
12,650
44,458
46,093
UNITED
KINGDOM
CANADA
Total
879,405 1,001,138 1,122,608 1,209,190 1,329,463 1,365,583
3,946,097 3,013,968 3,625,716 4,009,601 4,434,991 4,709,092 5,130,299 5,070,247
資料:世界小型車生産台数データ (2010年9月3日時点)
(注)
1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値のみ。
2. 2008年と2009年は実績。
3. 本表の無断転載を禁じます。転載には IHSグローバルインサイト 社の許諾が必要となります。
IHS グローバルインサイト レポート
(2010年8月6日)自動車:中国:ホンダのCFOは、日本円高は長期的には”ありそうにないこと“と語った。
ホンダの北條陽一CFOは世界の他の主要通貨に対する最近の日本円高は長期的には”ありそうにないこと“と述べた。
IHS グローバルインサイトによる展望
重
ホンダの北條陽一CFOは世界の他の主要通貨、特に米ドルに対する最近の日本円高は長期的には”ありそうにな
点:
いこと“と述べた。
解
世界の他の主要通貨に対する日本円高は、最近自動車メーカーに対し海外からの売上を減らし採算を悪化させる
説:
という重大な問題を引き起こしている。
見通
し:
ホンダは米国ドルに対する1円の円高で営業利益が約160億円悪化すると考えられる。
Bloombergの報ずるところによれば、ホンダのCFOである北條陽一は世界の他の主要通貨、特に米ドルに対する最近の日
本円高は長期的には”ありそうにないこと“と述べた。同氏は「もし日本経済が1米ドル85円をベースに生産構造を再構築する
ことを迫られるとすれば、日本が海外から生活必需品を輸入するための資金を輸出から十分に得られないことを意味すること
となり、それは大変なことになる」と述べ「もし輸出が出来なくなればそれは輸入も出来なくなることだ」とも述べた。またダウ・ジ
ョーンズ・インターナショナルによれば、北條氏は「1米ドル85円の為替レートでは日本でホンダ車を生産してもペイしない」
「現在の日本円・米ドルのレートが長く続くとは思っていない。長期的に円がこのレベルに留まっていることは単純に言って不
可能ということだ」と述べている。北條氏はさらにホンダが短期的に出来ることは通貨の先物の予約をすることだけだ、ホンダ
は既に9月30日に終了する2010/2011年度の第2四半期のドル・アマウントに関しては90%を90円でカバーしていると述べ、
さらに「2010/11年度の第3四半期に関しても同様の予約を行いたいが現在の円・ドルレートの状況では困難である」とも述べ
ている。
一方ロイター報告によれば、北條氏は先にあった中国の部品供給工場で起きた一連の労働争議は2010/11年度第2四半期
の売上に影響を与えるとは考えていないと語った。「我々は7-9月期に生産の遅れを取り戻す計画である。」と述べている。こ
れとは別に共同通信によれば、政府の“エコカー“スクラップ・スキームが9月末で終了(実際は予算切れで9月初に終了)した
後に需要が落ち込むことを予想してホンダは10月に日本での生産をカットすることを計画している。共同通信によればホンダ
は10月の生産を9月の生産計画より3.5%削減する計画である。
見通しと解説
日本の自動車メーカーまたは日本自動車工業会(JAMA)が世界の他の主要通貨、特に米ドルに対する日本円高に懸念を
示したのは一年にも満たない期間のうちにこれで6回目である。7月1日以降平均1米ドル87.4円で円が取引されており、昨日
(8月5日)8ヶ月ぶりの高値である85.3円をつけたことが発表されたことにより今回の懸念がとりあげられた。加えてギリシア問
http://www.marklines.com/ja/report/rep916_201010
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題に端を発したユーロ通貨圏の混乱の後遺症により、日本円は6月の最終週に8年半ぶりの高値となる1ユーロ107.3円とな
り、以降最近は平均1ユーロ110.5円で取引されている。ホンダは既にこの主要通貨に対する日本円変動の影響を
2010/2011年度下期の予測に織り込み済みであるが、もし第1四半期の決算報告時のホンダの平均予測レートである1米ド
ル87円、1ユーロ112.1円以上にさらに円高になれば、日本からの輸出コスト増を招き採算の悪化は避けられず、近々ホンダ
にとって重大な問題となってくるであろう。米国ドルに対する1円の円高でホンダの営業利益は約160億円悪化するものと見ら
れている。
他の主要通貨に対する日本円高による輸出コストの増大に対抗するため、ここ数ヶ月に亘りホンダは日本国内の生産を再編
する努力を行ってきた。同社は生産コストを下げる努力を続ける一方、中国、インド、タイといった新興国での自動車部品の
国産化の努力を続けてきた。これはビジネス環境の変化、排気ガス規制の強化、そして代替燃料車への焦点のシフトといっ
た中で長期的に財務を強化していくという計画に沿ったものである。さらに為替変動の影響を受けなくするための長期的方
策の一環として、ホンダは日本国内の工場における海外からの部品調達の割合を現在の17%から出来る限り早期に引き上
げることを目指しているといわれている。しかしサブコンパクトカーのフィット、ハイブリッド・モデルのインサイトの生産を米国
に一部でも移管するということは、北米では比較的これらのモデルの需要は低いので考えにくい。むしろインドが2008年にA
SEANと経済協力協定を交わし経済圏を形成することが原則として合意されて以来、加盟国間で段階的に関税を撤廃して
行くというASEAN諸国の貿易自由化システムを利用して新興のアジア市場でプレゼンスを拡大して行くことになりそうであ
る。しかしこれは長期的に見て、生産ベースの大部分が未だ日本にあるホンダにとり多くは期待できない。
一方、ホンダは中国の生産工場でたびたび生産を一時中断せざるを得なかった。中国の生産工場で5月後半から、中国の
部品サプライヤーが賃上げを要求してストライキを起こしこれにより部品の供給に支障を来たし、およそ2万台の生産ロスを引
き起こした。その結果ホンダは2010年に中国で632,000台の生産目標を達成できないことが予想される。しかし北條氏はこの
問題は主に在庫の減少となっており、中国の売上は1四半期遅れて収益に反映されるが、収益及び売上に大きな影響は及
ぼさないであろうとしている。同氏は中国における労働コストは中国でのトータル製造コストのわずか2%に過ぎず、したがっ
て労働コストが10%上昇してもホンダの2010/11年度の収益に及ぼす影響は限定的であると断言している。ホンダは中国で
販売を伸ばし、7月には現地の合弁会社を含めて対前年11.9%増の56,688台を販売した。この結果1-7月の累計では対前
年20.3%増の366,266台を販売した。これらを背景に、北條氏は「我々の中国での本年の販売見通しはこれまでと同じ
630,000台を維持している」と述べた。
出典:マークラインズ
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