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第4章 さいたま市が目指す総合都市交通体系(PDF形式:757KB)
第4章 さいたま市が目指す総合都市交通体系 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 第4章 さいたま市が目指す総合都市交通体系 本章では、5 つの基本的な考え方に基づいて交通体系を構築するための基本的な方針を示す。 これ以降、交通施策を展開していく上では、この方針に基づいて検討を進めるものとする。 4-1.活力ある都市活動を支える交通体系づくり (1) 骨格交通ネットワークの考え方 さいたま市の交通ネットワークに期待される機能としては、現在及び将来の交通需要を適切 に処理すること、将来都市像実現に向けて、主要拠点間の連携を強化すること、環境負荷の小 さな交通体系を実現することが挙げられる。そのためには、骨格となる交通ネットワークの段 階構成や各路線の機能を明確にした道路、公共交通ネットワークを構築する必要がある。 ネットワークの段階構成と機能の考え方 ○ネットワークの段階は「広域的な移動に資するネットワーク」と「都市内の移動に資する ネットワーク」の 2 種類で構成する。 第 4章 ・「広域的な移動に資する交通ネットワーク」は、市外との移動や通過交通を支えるネッ トワークであり、自動車専用道路や 4 車線以上の主要幹線道路、軌道系公共交通で構成 する。 ・「都心間の連携強化に資するネットワーク」は、大宮、さいたま新都心駅周辺地域と浦 和駅周辺地域の間の移動を支えるネットワークであり、大量の交通が集中することから、 都心周辺の 4 車線以上の主要幹線道路で構成する。 ・「地域間の連携強化に資するネットワーク」は、市内の主要な地域間の移動を支えるネ ットワークであり、2車線の幹線道路とバスネットワークで構成する。 地域間の連携強化に 資 する 道路ネッ トワーク 都市内の 移動に 資する ネットワーク 地域間の連携強化に 資 する バス系ネットワーク 広域的な 移動に 資する ネットワーク 広域的な移動に資する 軌道系ネットワーク 広域的な移動に資する 道路ネッ トワーク 交通 ネットワーク 公共交通 ネッ トワーク 道路ネッ トワーク 図 都心間の連携強化に 資 する 道路ネッ トワーク 骨格ネットワークの構成 39 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 (2) 骨格交通ネットワークの基本方針 【道路ネットワーク】 ■広域的な移動に資する道路ネットワーク ・通過交通を適切に処理し、広域との交流を高めるため、多車線のアクセスコントロールされ た自動車専用道、幹線道路で構成される広域的な移動に資する道路ネットワークを構築する。 第 4章 自動車専用道路:東北自動車道、東京外かく自動車道、高速埼玉中央道路、 高速埼玉東西連絡道路 一般道路:新大宮バイパス、上尾バイパス、第二産業道路、国道 122 号、 東大宮バイパス、西大宮バイパス、国道 298 号、国道 463 号 40 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 ■都心間の連携強化に資する道路ネットワーク ・都心間の連携強化を図るため、大宮駅周辺、さいたま新都心周辺地区と浦和駅周辺地区とを 結ぶ道路で構成される都心間の連携強化に資する道路を構築する。 第 4章 都心の自動車交通を処理する路線 :大宮岩槻線、南大通東線、産業道路、赤山東線、 与野中央通り線、田島大牧線 都心連携のために機能強化を図る路線:国道 17 号線、中山道 ※鉄道は現況鉄道ネットワーク 41 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 ■地域間の連携強化に資する道路ネットワーク ・市内の拠点間の連携を強化するために、主要地域間を結ぶ道路で構成される地域間の連携強 化に資する道路ネットワークを構築する。 第 4章 一般道路:産業道路、国道 17 号、大間木丸ヶ崎線、大谷場高木線、砂本郷線、 大宮岩槻線、西遊馬三橋線、大宮中央通線、三橋中央通線、南大通東線、 南大通西線、田島大牧線、南浦和越谷線 ※鉄道は現況鉄道ネットワーク 42 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 【公共交通ネットワーク】 ■広域的な移動に資する軌道系公共交通ネットワーク ・ 県外を含めた広域地域との交流を支えるために、鉄道や新しい公共交通システム等で構成さ れる軌道系ネットワークを構築する。 ■バス系ネットワーク ・自動車以外の手段による市内の移動を支えるために、幹線バスやコミュニティバスの路線で 構成されるバス系ネットワークを構築する。 第 4章 軌道系公共交通:東北/上越/長野/山形/秋田新幹線、JR宇都宮線/高崎線/武蔵野線/ 川越線/埼京線/京浜東北線、東武野田線、埼玉高速鉄道線、 ニューシャトル伊奈線、東西交通大宮ルート(仮) ・都心と周辺を連絡する東西方向の主要な幹線バスを強化 ・地域拠点間を結ぶ地域間幹線バスを強化 ・幹線バスや鉄道駅までのアクセスを支える端末アクセスバスを強化 43 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 ■さいたま市の交通ネットワークの全体像 さいたま市の将来目指すべき交通ネットワークをまとめると以下の通りとなる。なお、ここで 示している交通ネットワークは広域的な視点から検討を進めたものであり、各地区別の交通計画 の面から重要と考えられる路線については、具体の検討が進んだ段階で反映する。 【道路ネットワーク】 第 4章 【公共交通ネットワーク】 44 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 4-2.便利で快適な公共交通 (1) 公共交通の利便性向上の考え方 公共交通機関に期待される機能は、アクセスしやすいこと、信頼性が高いこと、乗り換えし やすいことが挙げられる。これらの機能を満たすことで、自動車を利用できない人に対して安 全で快適な移動手段を提供する。また、公共交通を利用しやすくし、自動車利用から公共交通 へ交通手段の転換を図り、道路混雑の緩和や環境負荷を軽減することができる。 (2) 公共交通の利便性向上のための基本方針 ① 公共交通へのアクセス性を高める。 ② 幹線道路を走行するバスの移動性を向上させる。 ③ 鉄道の輸送力の増強を図る。 ④ 乗り換え施設の機能を充実し、使いやすさを向上させる。 ⑤ 新しい公共交通システムの導入の可能性について、LRT等を含めて検討する。 第 4章 ① 公共交通が利用しにくい地域を解消 ・市街地部では、バスへのアクセスがしやすいようにバスネットワークを検討する。 ・必要に応じて、駅やバス停に駐輪場を設置することで、利用圏域を徒歩圏から自転車利 用圏まで広げる。 ・居住地が低密に広がると、バスサービスを十分に提供できない地域が生じる恐れがある ため、駅を中心としたコンパクトな市街地を構築する。 ・利便性の高いバスネットワークを構築するため、バス事業者との協働により、取り組む べき施策を検討する。 ② バスの移動性の向上 ・バス路線となっている道路で渋滞が発生する と、幹線バスの定時性確保は困難となるため、 これら道路のボトルネックの解消に努める。 ・バスが道路の混雑に巻き込まれないように、 優先走行空間の確保を検討する。 写真 市内を走行するコミュニティバス ③ 鉄道サービスの向上 ・通勤、帰宅時間帯における鉄道の乗降密度は非常に高いため、ソフト的施策も含めた総 合的な取り組みを検討する。 ・鉄道の輸送力の増強や運行間隔の短縮化など、鉄道のサービス向上のため、鉄道事業者 との協働により、取り組むべき施策を検討する。 45 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 ④ 交通結節点での乗り継ぎ円滑化 ・駅前広場や駐輪場、駐車場など、各駅周辺地域の地区交通計画と連動させながら、乗り 換え機能の充実を図る。 ・高齢者のシームレスな移動を確保するために、駅などのバリアフリー化を進める。 ・駅やバス停で車両の運行状況を随時情報提供する。 写真 駅前広場内に設置されたエレベータ ・地球温暖化、高齢社会への対策として、LRTをはじめとする新しい公共交通システム の導入の可能性について検討する。 写真 ストラスブール(仏)の LRT 写真 ルーアン(仏)の BRT 46 第 4章 ⑤ 新しい公共交通システムの導入の可能性の検討 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 4-3.地区の特性に応じたみちづくりの考え方 地区の特性に応じた道路整備は、単に生活道路を整備することにとどまらず、ソフト施策など 他の交通施策との整合性を確保しながら進めることが重要である。そのため、ここでは地区のタ イプ別に基本的な方針を提示する。 地区交通計画の対象となる地域は、鉄道駅を中心にコンパクトな市街地の形成を進めることを 視野に入れ、鉄道駅を中心とした地域としてとらえた。駅周辺地区を大宮駅・さいたま新都心周 辺および、浦和駅周辺地域からなる都心地区と、それ以外のすべての駅周辺を対象とした拠点地 区の2つに分け、さらに、駅を中心とした地域以外を周辺地域と定義し、周辺地域における道路 整備の考え方を整理した。 <地区の分類> 都心地区 − 大宮駅及びさいたま新都心駅周辺、浦和駅周辺 拠点地区 − 上記以外の駅周辺地域 周辺地域 − 駅周辺以外の地域 第 4章 都心地区の交通環境の考え方 ・都心駅は、都市機能や商業施設の集積から人を引き寄せる一方、東京区部への経由地と して双方の利用がある駅である。 ・都心は本市の顔でもあるため、人々を引きつける魅力ある空間を形成する。 ・都心を通過する交通と集中する交通を円滑に処理しつつ、公共交通利用者、歩行者、自 転車利用者にとって快適で、容易に乗り継ぎができる環境を形成する。 拠点地区の交通環境の考え方 ・拠点駅の徒歩圏には多くの人が住んでおり、日々の通勤、通学の経由地であり、毎日の 買い物をする商店のある暮らしの拠点である。 ・駅を中心としたコンパクトな暮らしの拠点の形成、そのための歩行者、自転車利用を中 心としながら、駅への送迎など自動車利用との折り合いを図る。 ・特に本市の平坦な地形を利用した自転車利用の促進を図る。 周辺地域の交通環境の考え方 ・住宅地域では、住環境にふさわしい移動空間を形成する。 ・自然資源が残された地域では、自然環境を保全しつつ、これら空間を楽しむことができ るような移動空間を確保する。 47 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 (1) 都心地区交通計画の基本方針 ① 都市の顔にふさわしい駅周辺の都市交通基盤を形成する。 ② 都心地区を通過する交通と都心に集まる交通を分離する。 ③ 空間の棲み分けや時間の使い分けによるマネジメントを実施する。 ④ 都心地区全体としての交通結節性を高める。 ① 駅周辺の都市交通基盤の形成 ・駅へのアクセス道路をはじめとして駅周辺の骨格道路は、都市の顔にふさわしい骨格道 路形成のため、駅アクセス道路のシンボル性、街路樹等によるうるおいある道路空間を 形成する。 ・違法駐車、違法駐輪をなくすため、民間事業者と協力して駐車施設を整備する。 ・通行を阻害する荷捌き車両について、共同荷捌きスペースの設置や既存駐車施設の利用 等を推進し、円滑な交通流動を確保する。 ・広域交通を処理する骨格道路を形成し、都心通過交通と都心アクセス交通を分離し、駅 周辺に集中する自動車交通を抑制することで、にぎわいのあるまちをつくり、歩いて快 適・安全な駅周辺を形成する。 ③ 空間の棲み分け、時間の使い分けによるマネジメント ・都心に集中する多様な交通を適切に処理するための交通のマネジメントを実施する。 ・都心の限られた空間を有効に利用するために、交通基盤の配置を検討する。 ・多様な目的の交通が同じ時間帯に都心に集中することで混雑が激化していることから、 ピーク時に都心を目的地としていた交通の時間帯をずらす等、交通の時間による棲み分 けを実施する。 ④ 交通結節性の向上 ・都心地区は、集中する交通を円滑に処理し、公共交通、歩行者、自転車利用者にとって 快適で、容易に乗り継ぎができる環境を実現するマルチモーダル化を図る。 ・公共交通サービスの向上、また、エリアとしての自動車、歩行者、自転車のマネジメン トと多様なニーズに対応する多段多層な計画的施策展開を実施する。 48 第 4章 ② 通過交通とアクセス交通の分離 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 【都心地区周辺交通の考え方】 ・都心を通過する自動車は都心周辺の広域幹線道路を利用する。 ・都心を目的地とする自動車はなるべく中心部まで入らせないように周辺の駐車場を利用する。 ・駅に直結する道路は、シンボル性のある道路を整備し、公共交通利用を中心にする。 ・駅直近は極力歩行者を優先とした移動空間を確保する。 都心駅 第 4章 凡 例 広域幹線道路 駐車場 市内幹線道路 駅前交通結節ゾーン シンボル性のある道路 時間的棲み分けによる マネジメントゾーン 公共交通・歩行者優先道路 空間の使い分けによるマネジメントゾーン 49 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 (2) 拠点地区交通計画の基本方針 ① 暮らしの拠点を支え、地域の個性ある交通基盤を形成する。 ② 地域に応じて、誰もが利用しやすい乗り継ぎ環境を確保する。 ③ さいたま市の平坦な地形を利用し、自転車による移動を促進する。 ④ 市民に身近な公共交通としてバスサービスを確保する。 ① 暮らしの拠点を支える個性ある都市交通基盤の形成 ・身近な暮らしの拠点を形成するため、駅周辺の通過交通の抑制、駅アクセス道路を始め とした駅周辺道路の安全性、快適性を確保する。 ・駅付近のボトルネックとなっている踏切を解消する。 ・地域特性(駅の性格、幹線道路との関係、駅前広場の有無等)に応じた駅周辺の外周道 路や駅アクセス道路等の交通基盤を形成する。 ・地区の個性をいかした交通基盤整備を進める。 ・駅を中心とした地域の拠点性を高めるために、駅への多様な手段でのアクセスを確保す る。 ・多様な交通機関間の乗り継ぎ機能を向上する。 ③ 自転車利用の促進 ・比較的平坦な地形をいかして、拠点地区への自転車でのアクセス性を高める。 ④ 地域の足となる利用しやすいバスサービスの確保 ・都心への移動に比べて、地域間の移動には不便をきたす状況にあるため、自動車を使え ない人々の日常の足となるバスサービスを確保する。 ・地域のバスの利便性を向上させるため、バスレーンを設置したり、時間帯別のバス優先 レーンを実施する等のバス優先策を展開する。 50 第 4章 ② 地域に応じて、誰もが利用しやすい乗り継ぎ環境 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 【拠点地区周辺交通の考え方】 ・駅前では公共交通、自転車、歩行者によるアクセスを優先し、自動車によるアクセスは極力 抑える。 ・自転車利用を促進するために、駅周辺には自転車駐輪場を設置する。 ・自動車駐車場は駅直近ではなく、駅から少し離れた場所に設置する。 ・バスは駅まで直接乗り入れられる駅前広場を確保する。 第 4章 駅 凡 例 広域幹線道路 市内幹線道路 地区生活道路 公共交通 ・歩行者優先道路 駅前交通結節ゾーン 歩行者動線 商業系土地利用 駐輪場 住宅系土地利用 51 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 (3) 周辺地域に関する基本方針 ① 住宅地域での安全で快適な交通環境を構築する。 ② 自然環境と調和した交通環境を確保する。 ③ 地域間の連続的な移動空間を確保する。 ① 住宅地域での安全で快適な移動空間の確保 ・市内を通過する交通に対して、広域幹線道 路の整備や適切な誘導方策により、住宅地 域への必要以上の交通の流入を抑える。 ・住宅地域での安全な移動空間を確保するた め、歩車共存道路や自転車優先道路などの 整備を進めるとともに、快適な移動空間を 確保するため、街路樹やバリアフリーなど の整備を推進する。 ② 自然環境と調和した交通環境の確保 ・県内でも有数の見沼や荒川に代表される自 然環境を保全するため、必要以上の自動車 交通の流入を抑える。 ・サイクリングロードや遊歩道など自然と親 しむ空間の拡充を図る。 ・幹線道路の沿道環境向上のため、街路樹の 整備を推進する。 写真 見沼の緑地 ③ 地域間を結ぶ移動空間の整備 ・住宅地域から都心地区や拠点地区までの交 通環境の充実を図るため、バス路線や運行 本数の拡充など公共交通の整備を推進す る。 ・歩行者や自転車が安全に通行できる環境の 整備や、歩行空間のバリアフリーなどの整 備を推進する。 写真 氷川参道 52 第 4章 写真 幅広い歩行空間が確保された道路 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 4-4.効果的な道路整備と交通需要管理の推進 (1) 道路整備と交通需要管理の考え方 効率的、効果的に交通施策を展開するためには、道路整備による容量の拡大と交通需要管理 による需要の調整を総合的に展開していくことが重要である。交通需要管理施策を展開するに は、ある程度の道路の容量が確保されている必要があるが、本市の道路整備状況を見ると、都 市計画道路整備率が低く、道路の容量が需要と比較して非常に小さいため、道路整備を積極的 に進める必要がある。 道路整備に関しては、できる箇所から整備を進めるのではなく、優先度の高い場所から整備 を進めることが重要である。これまでの問題整理から、道路混雑の緩和、都心間の連携強化、 バスの走行性の向上の 3 つの視点から優先的に整備する路線を定めるものとする。なお、この 優先度は必ずしも、交通需要の面だけから判断するものではなく、たとえば、地区の交通を円 滑に処理するために必要となる路線等についても、優先度を高く設定することは可能である。 そのため、優先度は必要に応じて見直しを進めることが望ましい。 交通需要管理に関しては、本市として実行可能な、自動車利用抑制に資する交通需要管理施 第 4章 策を検討する必要がある。交通需要管理は単純に経路を変更するだけのものから、交通手段の 変更、目的地の変更、さらにはライフスタイルの変更まで含めた広い概念のものであるが、こ こでは特に、市内全体の交通流動からみた交通需要管理を対象とする。なお、地区レベルの交 通需要管理については、「4-3.地区の特性に応じたみちづくりの考え方」で扱うこととする。 ←この分 の 自動車を減らす 道路整備量 自動車交通量 自動車交通量 道 路整 備量 道路 計画道路 道路 計画道路 自動車交通量に道路整備が 間に合わず混雑発生 図 道路整備を進めながら、自 動車 交通 量を 減ら すこ とで 混雑緩和!! 道路整備と交通需要管理による自動車利用抑制の考え方 53 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 (2) 道路整備と交通需要管理の基本方針 ① 混雑の緩和、都心間の連携強化、バスの走行性向上の 3 つの視点から優先度の高い路線の 整備を進める。 ② 重要な路線の整備とあわせて交通需要管理施策を展開する。 ① 整備優先性の検討 ・道路混雑の緩和は本市の喫緊の課題であり、これらの寄与する道路整備を優先的に進め る。 ・将来都市像を実現する上でも地域間の移動を強化する必要があり、とりわけ都心間の連 携強化に資するネットワークの整備が進んでいないことから、これら路線の整備を優先 的に進める。 ・自動車利用から公共交通利用へ転換を図るためにもバスの走行性を向上させることが重 要であるため、これら路線の整備を優先的に進める。 ・既存道路の拡幅や新規道路整備を行わずとも、ボトルネックとなっている主要交差点の 交通基盤整備についても、整備の優先性を検討した上で進めていく。 ② 交通需要管理施策の展開 ・社会実験を通じて、交通需要管理の効果や実行可能性を確認し、うまく機能しない場合 にはシステムの見直しを図る。 ・社会実験等を通じて、効果が認められ、かつ継続的な実施が可能な交通需要管理施策に 関しては、積極的に実施していく。 ・交通需要管理は行政だけで推進できるものではなく、市民や事業者等の協力が不可欠で あることから、市民等との協働による計画づくり、施策を推進する。 ・交通需要施策の展開にあわせて、学校等での交通学習などの教育を進めることで、交通 に関する市民の意識を高める。 54 第 4章 改良などを実施することで、道路混雑を緩和することができる場合があるため、これら 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 交通需要管理施策の対象範囲 <適切な手段への誘導> 自動車以外の他の交通手段の魅力をハード、ソフト両面にわたる施策によって向上させ、 自動車の利用からの転換を図り、自動車交通の負荷を削減させる手法。 <交通需要の効率化> 自動車利用の仕方を工夫したり、時間的、地域的に集中する交通を平準化することにより 自動車の走行性を向上させ、渋滞や環境への負荷を小さくする手法。 <適切な自動車利用の誘導> 交通渋滞や環境への負荷の上で通常最も問題となる自動車交通量を直接的に規制や誘導に よって削減したり、駐車政策により自動車利用をコントロールする手法。 出典:都市交通問題の処方箋 適切な手段への誘導 第 4章 公共交通の利用促進 自転車利用の促進 ・パーク &ライド ・パーク &バスライド ・サイクル&ライド ・サイクル&バスライド ・バスレーンの設置 ・交差点でのバス優先 ・バス停でのバス優先 ・バスサービス改善 ・自転車道路ネットワーク ・自転車走行上の優遇 ・都心部レンタサイクル 交通需要の効率化 適切な手段への誘導 自動車個通の規制・誘導 自動車利用の仕方の工夫 交通需要の低減・平準化 ・ノーマイカーデー ・商、社会習慣の見直し ・持ち帰り車の排除 ・物流システムの合理化 ・ゾーンシステム ・モール ・トランジットモール ・大型車通行規制 ・その他乗り入れ規制 ・時差出勤 ・フレックスタイム 図 交通需要管理施策の一例 55 駐車政策による誘導 ・駐車場供給コントロール ・違法駐車への規制強化 ・荷捌き駐車場の付置義務 ・駐車料金コントロール 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 4-5.市民等との協働による交通体系づくり 本市では、総合振興計画基本計画にも位置づけられているように、市民と行政との協働によ り都市づくりを進めることを明確に打ち出しており、市民との協働により、よりよいものを創 りあげていくことが重要である。特に、交通体系づくりにあたっては、交通需要管理など市民 や交通事業者等の協力があって初めて機能する施策も少なくない。 ここでは、市民との協働による交通体系づくりの考え方を整理し、市民との協働による交通 体系づくりの基本方針を提示する。 (1) 市民との協働による交通体系づくりの考え方 ライフスタイル多様化に伴い、市民のニーズはますます多様化し、従来のように、行政が市 民ニーズを把握し、それに対応するための施策を展開していくだけでは、効率的に交通施策を 展開できない。 このため、市民が積極的に交通計画づくりに参画し、また、場合によっては市民が主体とな って交通施策を展開していくことができるように、市民、交通事業者、行政それぞれの役割分 第 4章 担を明確化し、情報を共有化することが重要である。 市民 ○情報の提供 ○計画検討プロセス の監視 ○施策の評価 ○問題の共有化 ○計画の検討 ○施策評価 行政 交通事業者 ○情報の提供 ○計画の検討・決定 ○施策の実施 ○情報の提供 ○サービスの向上 ○交通施策への協力 56 第4章 さいたま市が目指す総合 都市交通体系 (2) 市民との協働による交通体系づくりの基本方針 ① 交通戦略のテーマの共有化を図る。 ② 交通戦略プログラムを共有化する。 ③ 市民等との協働による交通問題検討体制を確立する。 ① テーマの共有化 ・市民が積極的に交通体系づくりに関与するため、行政が市民に対して情報を提供する。 ・市の交通問題とそれに対する基本的な考え方の共有化を図る。 ・情報提供の手段として、シンポジウムやセミナーを開催する。 ② 戦略プログラムの共有化 ・テーマが共有化された後、限られた財源、時間の中で、交通問題に適切に対応していく ため、段階を踏んだ戦略的な検討を行う。 ・どの段階でどのような交通問題に対応していくのかを明確にした戦略プログラムを市民 第 4章 とともにつくりあげ、実行性の高い計画をつくる。 ③ 検討体制の確立 ・市民との協働による交通体系づくりを進めるためには、市民等と行政がともに検討する 場を設置することが重要であり、市民や交通事業者と行政により構成される「交通まち づくり市民会議(仮称)」の設置等、議論する場を設けていく。 ・行政内部での協議・調整を図るための、部門横断的な協議の場として、 「交通まちづくり 戦略会議(仮称) 」の設置等、行政も一体となって計画づくりを推進していく。 ・前述したテーマや戦略プログラムの共有化を図り、その計画づくりを進め、場合によっ て行政と共に交通施策を展開するような市民と行政の協働の場づくりを進める。 市民 交通まちづ くり 市民会議( 仮) ・市民、交通事業者、 行政の協議の場 行政 交通事業者 交通まちづくり戦略会議 (仮 ) ・行政内部の協議調整 ・部門横断的な組織 57