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全編(PDF:2321KB)
静 岡 県
H O M E
H O M E
●はじめに ………………………………………………1
さあ、森づくりを始めよう …………………………3
森林の働き ……………………………………………4
静岡県の森林の特徴 …………………………………9
森林の種類 ……………………………………………9
巨樹(スギ・ヒノキ)の森(1) ……………………11
巨樹(スギ・ヒノキ)の森(2) ……………………13
クロマツの森 ………………………………………15
アカマツの森 ………………………………………16
シイ・カシ類[照葉樹]の森 ………………………17
ブナ[落葉広葉樹]の森 ……………………………19
ケヤキ・クスノキなど[有用広葉樹]の森 ………21
クヌギ・コナラ[雑木]の森 ………………………23
竹 林 ………………………………………………25
広葉樹の苗木をつくろう …………………………27
苗木を植えよう ……………………………………29
下草を刈ろう[下刈り]
………………………………31
いらない木などを切ろう[除伐] …………………31
つるを切ろう[つる切り] …………………………32
下枝を切ろう[枝打ち] ……………………………32
間引き[間伐]をしよう ……………………………33
木の葉で樹種を見分けよう ………………………35
裸地から森ができるまで[植物遷移] ……………39
森づくりの問い合わせ先 …………………………40
H O M E
はじめに
森林ができあがるまでには、たいへん長い年月が必要です。今、
あなたがつくろうとする森林は、あなたの孫か、ひ孫の世代によう
やく実を結ぶことになります。
もし、森づくりに失敗すると、それまでの努力が水の泡となり、
後の時代にまで大きな影響を与えてしまいます。
だからこそ今、私たちの力で、今よりもっと元気な森づくりを進
めていくことが大切なのです。
このハンドブックは、あなた自身の手で森づくりをすすめるため
に、森のつくり方・育て方をわかりやすく解説した手引書です。
失敗しない森づくりを進めていくためには、その土地に合った樹
木を選び、森づくりの目標を持つことが大切です。この手引書を参
考にしながら、農林事務所などの専門家の意見をよく聞いて取り組
んでください。急がず休むことなく、そして楽しみを胸に、いつく
しみ育て続けることが、美しい森林をつくることになるのです。
1
この手引書にある写真などを見て、あなたが完成させたい森林の
姿を思い描いてみてください。そして、その森林を見るあなたの孫
やひ孫の顔も想像してみてください。
■ブナの森の紅葉
H O M E
2
日本は雨に恵まれているの
で、自然にまかせておけばほ
とんどの土地で森林は育ちま
す。ただし、それには長い時
間を待たねばなりません。そ
こで人間は知恵をしぼって、
自分たちの手で森をつくり、
守り育ててきました。少しで
も早くりっぱな森林を育てる
には、私たち人間の手が必要
なのです。
森林には、私たちにいろい
ろな恵みをもたらす力があり
ます。それは地球に住む者に
とって、とても大切な力です。
その力を少しでも大きくする
ために、私たちはまず、森林
を知ることから第一歩を踏み
出しましょう。
H O M E
さあ、森づくりを始めよう
◎人類に与えられた水と緑
私たちは、地球から水と緑という大きな恵みを与えられています。
しかし、人類の活動領域が地球全体にひろがった今日、水と緑の大
切さはいっそう増しています。
森林と人の長い歴史は、私たちにこう語りかけています。自然を
守り、数多くの生物たちと共存していくことが、私たちと私たちの
子孫の未来を支えるただ一つの手だてなのだ、と。
◎自然といっしょに森づくりを進めましょう
森林は、自然の力を借りてつくります。私たち人間がきちんと考えて
上手に育てていけば、自然の力を十分に活かすことができるでしょう。
その土地に与えられた土や水(雨)などの自然の恵みを利用して森
林をつくり、森林とふれあいながら末永く育てていきましょう。
◎美しい森林は働き者です
森林には、水をためたり、おいしい水をつくったり、二酸化炭素
を吸収して酸素を出したり、山くずれを防ぐなど、私たちのくらし
3
を守り住みよい環境をつくる働きがたくさんあります。
このような働きが高まれば、森林は美しくなります。ながめてみ
て美しいと思える森林は、働く力が大きい森林であるともいえます。
いろいろな力を持った美しい森林をつくりましょう。
◎森づくりは私たちの心を豊かにしてくれます
自然の中で森づくりに参加することは、心身の健康づくりにつな
がり、未来への夢と希望を持つことができる豊かな心を育てます。
森づくりは、私たち自身の生きがいづくりにもつながるのです。
◎未来の財産を育てるのは私たちです
森林は私たちにとって環境という財産。私たちの子孫にとっても財
産です。森づくりは、次の世代のための貴重な環境財づくりなのです。
あなたは、どのような森林の働きに期待していますか。目標をも
って森づくりに取り組んでください。
H O M E
森林の働き
森林では林業家の人々によって木材やきのこ、山菜などが生産さ
れていますが、森林の働きはそれだけではありません。
森林は、水を育む「緑のダム」としての働き、二酸化炭素を吸収し
地球の温暖化を防止する働き、土砂崩れや落石を防ぐ働き、いろい
ろな動物・植物の種類を守り育てる働きなど、私たちがこの地球上
で生きていく上で欠くことのできない大切な力を持っています。
こうした働きからは、地域にくらすたくさんの人々がその恵みを
受けています。そこで、これらをまとめて
[公益的機能]と呼んでい
ます。
ここでは、森林の働きについて一つ一つくわしく見ていきましょう。
◎文明を支える
地球上では、多くの古代文明が栄えそして滅んでいきました。
森林資源を利用することで繁栄した文明は、やがて森林とともに
滅んだといわれています。
[古代文明と森林]
エジプト、中国、古代ギリシャ、古代ローマなどかつて栄えた古代文
明は、森林から木を切り出し
て家をつくり、燃料に使い、
そして森林を肥よくな農地
や家畜の放牧地にして栄
えてきました。しかし、
木を切りすぎたことなど
から、森林が守っていた
豊かな土を流してしまい、
洪水を招くなどして滅び
の道をたどったのでした。
■ギリシャの古代遺跡
H O M E
4
◎自然災害を防止する
森林の木の根はしっかりと土をかかえこんでいるので、土砂が川に
流れこんだり土砂くずれを起こすのを防ぐとともに、土が水や風に削
り取られるのを防ぎます。また、森林の土は、水をたくさん吸収する
ことができるので、洪水の防止にも役立ちます。
◎水を育む
◆森林は水のもと
真水は陸上のあら
ゆる生物にとって、
なくてはならないも
のです。私たちも、
飲み水、すい事、洗
たく、風呂や学校の
プールの水など、い
ろいろな形で使って
います。水は水道の
5
蛇口をひねればいつ
でも使えますが、そ
■水を育む森(天城山)
の水のもとは、上流の森林地帯に降った雨です。
森林の土の中の水は、時間をかけて少しずつ湧き水となって地表に
生まれ出ます。その小さな水の流れは、谷から川へと集まって大きな流
れとなり、私たちの生活や地域の産業に大きな役割を果たしています。
◆おいしい水をつくる
降水
森林は、降った雨を土の
中に吸収し、長い時間をかけ
て、雨水の中に混じった不純
物をろ過して、きれいでおい
森林の場合
窒素 7.2
リン 0.45
しい水にしてくれます。
おいしい水とは、わずか
にミネラルをふくんでいる
水です。雨水が森林の地下
水としてゆっくり浸透する
間に、不純物は取り除かれ、
ミネラルが加わります。だ
窒素 1.7
流出水
リン 0.20
裸地の場合
流出水
窒素 6.5
リン 0.27
から森林が生み出す水はお
いしいのです。森林は天然
単位: kg/ha ・年
の浄水器といえます。
■森林と裸地の水浄化力の比較
資料/第 17 回 IUFRO 論文集
H O M E
◆水資源のかん養(水をたくわえ有効に利用させる)
森林の木の根は、土さえ深ければ大きなもので地下 5 ∼ 6 メー
トルにものびます。その土の中には、微生物から小動物までいろ
いろな生き物が活動し、目に見えないような小さな穴からアリや
ミミズの穴、そしてモグラが通るような穴まで、大小のすき間が
あります。
このような森林の土は、スポンジのように降った雨水を吸収し、
地下深くに地下水としてたくわえ少しずつ流し出すことで、大き
な貯水ダムの働きをして、一気に流れ出ようとする水を水資源に
変えるのです。
良好な森林
裸 地
6
蒸発散量 30
蒸発散量 10
流失量 160
流失量 275
利用可能水量
160
■森林と裸地の水資源比較
資料/東京大学山口教授
H O M E
利用可能水量
65
単位: mm
◎住みよい環境をつくる
◆新鮮な空気を生む
森林は植物の集団からできています。植物は光合成によって、空気
中の二酸化炭素を吸いこんで酸素を出します。つまり森林は、二酸化
炭素などを原料にして酸素と木材を製造する大きな工場といえます。
空気中の二酸化炭素を減らすのですから、森林は地球の温暖化を
防ぐことにも役立つのです。
また、木の葉などは空気中の汚れを吸いつけるフィルターの作用
をして、空気を浄化する働きもしています。
光合成
素
化炭
二酸
酸素
7
■二酸化炭素を吸い取る工場
◆風や騒音を
やわらげる
森林には、つい
たてのような役割
があります。風や
飛砂、津波、高潮
などの害から田畑
や住宅、道路を守
り、騒音をやわら
げる働きをします。
■海岸防災林
(福田町)
H O M E
■小国神社を守る森(森町)
◎自然環境を守る
◆くらしにうるおいをもたらす
森林は木陰をつくって暑さをやわらげます。保健・休養の場と
して、心身をリフレッシュさせてくれます。
はくしゃせいしょう
また、美しい自然景観をつくります。「白砂青松」という言葉
があるように、森林は自然の景色の中にとけこんで、いっそう美
しい景観を見せてくれます。
さらに、歴史や文化にゆかりのある場所では名所旧跡などを保
護し、厳かさや美しさをかもし出します。
8
◆動植物がくらす環境を守る
森林は、多くの種類の動物や植物にと
って大切な生息場所です。
最近は生物の研究分野で、将来に向け、
動植物の遺伝子の収集や保存、供給が重
要となってきています。森林は自然の中
で種の保存ができる場所でもあります。
◎木材などを産出する
森林からは木材がとれます。
森林資源の特徴は「再生」で
きることです。一度木を切っ
ても、その後に苗木を植えて
育てることで、また立派な森
に戻すことができます。この
ように自然の復元力の範囲内
で木を利用すれば、木はいつ
までも資源として使えること
になります。
■切った後には、また植える。上手に
育てていけば、資源は永久です。
H O M E
■カモシカは、1955 年に特別天然記念
物に指定されています。
静岡県の森林の特徴∼海岸から富士山まで∼
静岡県の森林は、伊豆海岸の波打ち際の植生や千本松原、三保
の松原、遠州灘などの海岸から、日本のシンボルである富士山や
南アルプスの高山地帯の森林限界まで分布し、他の県では見られ
ないほど、いろいろな森林の形があります。
■標高別・静岡県の植生
<広葉樹>
<針葉樹>
寒帯
(高山帯)
ハイマツ
▼
アカガシ
シラカシ アラカシ
ケヤキ コナラ
クヌギ シイ タブ 亜寒帯
亜寒帯
(亜高山帯)
(亜高山帯)
ダケカンバ
森林限界 2,600m
シラビソ
コメツガ
▼
ブナ
ミズナラ
温帯
(落葉樹林帯)
1,600m
ウラジロモミ
▼
暖帯
暖帯
(照葉樹林帯)
(照葉樹林帯)
9
800m
モミ
アカマツ
クロマツ ▼
0
海岸
森林の種類
◎木の種類で分けると
針葉樹林:スギ・ヒノキ・マツなどの針葉樹(細くとがった葉を
もつ木)でできている森林
広葉樹林:カシ・シイ・ケヤキなどの広葉樹(葉が平たく、網の
ような葉脈の見える葉をもつ木)でできている森林
混 交 林:針葉樹と広葉樹が入り交じっている森林
◎人間の影響で分けると
天 然 林:自然の力でできた森林
育 成 林:苗木を植えるなどして、人手を加えてつくった森林
(人工林)
H O M E
スギ、ヒノキ、クロマツ、クヌギ、コナラなど
10
私たちの身近な地域では、何
を植えればりっぱな森林ができ
るのでしょう?どんなふうに育
てていけばいいのでしょうか?
その土地に合った木を植え、そ
の木に合った手入れを続ければ、
効率よく美しい森林を育てあげ
ることができます。
ここでは、静岡県内のいくつ
かの森林をお手本にしながら、
あなたがつくる森林のプランを
立てましょう。写真の森林を参
考に目標を決めたら、いよいよ
森づくりです。
H O M E
巨樹
(スギ・ヒノキ)の
森(1)
11
■スギの巨樹がある穂積神社(静岡市)
神社は、静岡市街地の東北に位置する竜爪山の東の尾根上
(清水市境)
にあります。
境内にはスギの巨樹が林立しています。
●数百年後の巨樹を育てよう
スギやヒノキは建築に用いられる木で、古くから人工植栽され
てきました。スギは割りやすいことから縄文時代にも建築や農機
具などに使われていたことが、登呂遺跡(静岡市)や山木遺跡(韮
山町)の出土品からもわかっています。
後継樹を植えることで巨樹の森は永久に続きます。特にスギは
長寿です。
◆こんな場所に向いている
標高 800m までで、スギは沢筋や山の中腹以下の斜面が、ヒノキ
は中腹から上部の斜面が適しています。傾斜のゆるやかな場所なら、
巨樹とふれあえるレクリエーションの森として活かせるでしょう。
H O M E
◆つくり方・育て方
・スギ、ヒノキの苗木は安価で手に入ります。
苗木を植える(1年目)
(相談は静岡県山林種苗協同組合連合会へ)
下草を刈る
(1年∼8年目くらいの間)
/木についたつるを切る/下枝を切る
不要な木や形の悪い木を切る
(10年目)
現在20∼50年の森
間引き[間伐]
をする
(以後10∼20年目ごと)
巨樹の候補木を決めよう
(40∼50年目)
間引きをする(以後10∼20年目ごと)
後継樹を植える
(70∼100年目)
◆残す木のめやす(1ha 当たり)
区分
年数
区分
1代目
2 代目
(本)
(本) 年数
1代目
2 代目
(本)
(本)
1 年目
3,000
-
50 年目
550
-
15 年目
2,000
-
70 年目
400
1,500
25 年目
1,000
-
100 年目
300
500
35 年目
700
-
200 年目
200
200
Q.巨樹は何歳くらいなの?
A.静岡県内に残っている巨樹は、神社やお寺に多くみられます。
これらの木はスギが多く、昔、修験道の人たちによって植えら
れたものがほとんどで、300 年以上は経っています。中には
樹齢 1,000 年を超えるスギもあります。
Q.いろいろな巨樹の森を見たいけど?
A.写真の穂積神社のほか、北山本門寺(富士宮市)
、智満寺(島
田市)、秋葉神社の上社(春野町)、山住神社(水窪町)などが
交通の便がよいでしょう。
Q.今ある巨樹を守るにはどんなところに気をつければいいの?
A.いちばん大切なのは、根を保護することです。老木になると
活力がおとろえてきますから、肥料を施すのも有効です。
Q.巨樹にする木はどうやって選んだらいいの?
A.現在 30 ∼ 40 年生の森林から巨樹の森をつくるなら、まず巨
樹として残す木を選び、“巨樹のこども”とでも名づけましょ
う。“巨樹のこども”は、幹がまっすぐで成育がよく、先端が
枝分かれしていない木がよいでしょう。そ して、
“巨樹のこど
も”がすくすく育つようにまわりの木を間引くなどの手入れ
をします。
H O M E
12
巨樹
(スギ・ヒノキ)の
森(2)
13
■ 100 年生近いスギの森がある口坂本県有林(静岡市井川)
この森は、明治末に植林されたものです。巨樹の根元を背たけの低い広葉樹が
おお
覆っています。
●小鳥たちの楽園をつくろう
スギやヒノキの人工林の下に広葉樹があれば、植物の種類が豊
富になり、昆虫も増え、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロなどの
鳥がやってきます。また、地表が荒れることを防ぐ効果も高くな
ります。
◆こんな場所に向いている
標高 800m までで、スギは沢筋や山の中腹以下の斜面が、ヒノ
キは中腹から上部の斜面が適することは、巨樹の森(1)と同じです。
しかし、山の地形がけわしく立ち入りが難しい場所では、野鳥の
森や水源の森に利用するのがよいでしょう。
H O M E
◆つくり方・育て方
苗木を植える
(1年目)
・スギ、ヒノキの苗木は安価で手に入ります。
(相談は静岡県山林種苗協同組合連合会へ)
下草を刈る
(1年∼8年目くらいの間)
形の悪い木を切る
(10年目)
自然に生えた広葉樹は残すようにする
木についたつるを切る/下枝を切る
現在20∼50年の森
間引き
[間伐]
をして広葉樹を導入する
(以後10∼20年目ごと)
巨樹の候補木を決めよう
(40∼50年目)
間引きをして広葉樹を導入する
(以後10∼20年目ごと)
◆スギ、ヒノキの残す木のめやす(1ha 当たり)
区分
年数
本数
区分
年数
本数
1 年目
3,000
50 年目
15 年目
2,000
70 年目
400
25 年目
1,000
100 年目
300
35 年目
700
200 年目
200
550
Q.スギ・ヒノキの森が多いのはなぜ?
A.戦後、荒れた山を緑に回復して、建築材を供給するため、昭和 25
年頃から 40 年代まで、スギやヒノキなどの植林が全国で活発に
行われました。県内にもその頃、植えられた木がたくさんあるか
らです。世界的に地球温暖化がさけばれるなか、二酸化炭素の固
定能力が大きいスギ・ヒノキの森を大切に育てましょう。
Q.巨樹の森で、広葉樹はどうやって育てればいいの?
A.スギやヒノキの単一樹種を植えても、そこに自然に広葉樹類が
侵入してきます。これらの樹種を切らずに残します。さらに、
間伐を行うことでスギ・ヒノキの下に広葉樹が茂ってきます。
スギ・ヒノキを巨樹に育てながら、広葉樹も大切にしましょう。
ヤマブキやウツギなどは春に美しい花を咲かせますし、ガマズ
ミ、ムラサキシキブなどの実は秋を彩ります。また、アオキや
ヤブコウジなどの実は冬に風情を添えてくれます。
H O M E
14
クロマツの森
クロマツ
ラ
竹林
■千本松原のクロマツ林(沼津市)
沼津市から富士市にかけ、駿河湾に面して立ち並ぶ松原です。 戦国時代に植林を完成した
という記録も残っています。 潮風から私たちの生活を守ります。
15
●風を防いでくれる緑の壁をつくろう
クロマツは、砂地などのやせ地にも耐え、潮風にも強いことから、古く
から防風林として育てられてきました。
◆こんな場所に向いている
標高 300m までのやせ地で、特に海岸に向いています。
◆つくり方・育て方
・海岸などの風の強い場所に植える場合は防風垣を作って保護します。
ようじゅ
・陽樹(日かげに弱く、森林の下からは生育が難しい木のこと。反対に、
いんじゅ
日かげに耐える木を“陰樹”といいます)ですから、日当たりをよくし
ましょう。
・苗木は安価で手に入ります。(相談は静岡県山林種苗協同組合連合会へ)
◆残す木のめやす(1ha 当たり)
区分
年数
1 年目
海岸の
その他
防風林
の場所
(本)
(本)
10,000
4,500
区分
年数
45 年目
海岸の
その他
防風林
の場所
(本)
(本)
1,050
700
15 年目
4,200
2,800
70 年目
750
500
25 年目
2,700
1,800
100 年目
600
400
35 年目
1,500
1,000
H O M E
アカマツの森
■県立森林公園のアカマツ林(浜北市)
浜北市の北部に位置する県立森林公園には、静岡県内でも数少ないアカマツ林が残って
います。市民のレクリエーションの場として親しまれています。
●マツタケもとれる?美しい森をつくろう
まき
昔、農家が里山から薪や落葉などの燃料をとっていた時代によく見られ
た林で、日本の代表風景でした。アカマツはやせ地に耐え、木の肌が赤味
をおびて美しい景観が楽しめます。マツタケはアカマツ林で育ちます。
◆こんな場所に向いている
標高 1,000m までの土地で、やせ地に育ちます。谷筋やくぼ地はむき
ません。
苗木を植え付ける場合は土壌の良い場所が適しています。
◆つくり方・育て方
・苗木はクロマツ同様に購入できますが、生産量が少ないので自分でポッ
トを使って苗木をつくるのもよいでしょう(27 ページを参考にしてく
ださい)
。
・ 大 き な 木[ 親 木 ]が 残 っ て い る 時 は 、種 子 が 落 ち て 自 然 に 生 え る
てんねんかしゅこうしん
[天然下種更新]のを待ちます。クロマツと同じく陽樹ですから、日当た
りをよくします。下草やまわりの木を刈り払い、地表をきれいにする
ことが育て方のコツです。
H O M E
16
シイ・カシ類
[照葉樹]
の森
17
■大宮神社境内のシイ・カシ林(中伊豆町)
神社は、中伊豆町上白岩にあります。境内の森は典型的な鎮守の森の形で、
シイの大木をはじめ照葉樹の植生が残されています。
●どんぐり拾いが楽しめる森をつくろう
しょうようじゅ
照葉樹というのは、暖帯(静岡県内なら低地)を代表する広葉樹
(シイ、カシ、クスノキの仲間など)のことです。厚くて表面に光
沢のある葉を持つ木が多いので、照葉樹と呼ばれます。この地帯の
永続的な植生であることから、人の手の加わらない海岸や神社など
には、自然にできた照葉樹林が残っています。
神社の境内にはシイやカシなどの老大木がよく見られます。シ
イやカシの森は、身近な里にある「鎮守の森」として古くから親
しまれてきたのです。子供の頃、遠足などでどんぐり拾いをした
ことがある人もいることでしょう。
◆こんな場所に向いている
標高 800m までの中腹以下の山麓や平地がよいでしょう。照葉
樹林はさまざまな木が枝を張り、かんたんには立ち入れないほど、
うっそうとしてきますから、自然観察の森にするなら遊歩道をつ
くる必要があります。
◆シイ・カシ類の分布
地域 主な樹種
沿岸地 ウバメガシ、スダジイ
内陸低地 ウバメガシ、スダジイ、コジイ、アラカシ、シラカシ
内陸高地 アカガシ、ツクバネガシ
H O M E
◆つくり方・育て方
苗木を植える
(1年目)
・シイ・カシ類の森をつくるなら、どんぐり拾いから始めるのも
楽しみです。苗木のつくり方は 27 ページを参考にしてください。
樹種によっては、業者から苗木を手に入れることもできます。
(相談は静岡県環境緑化事業協同組合へ)
下草を刈る(1年∼8年目くらいの間)
不要な木を切る
木についたつるを切る
現在30∼50年の森
必要に応じて間引き
[間伐]
をする
森の中の稚樹を育てる
Q.シイ・カシ類の森は何年くらいでできあがるの?
A.比較的早く、りっぱな森に育ちます。護国神社(静岡市)の裏
山のシイ林は、昭和 17 年に神社ができてから 60 年足らずで
できた森です。
Q.シイ・カシ類の森をつくるコツは?
A.下刈りは、苗木の生長をさまたげるまわりの草木を刈る程度
にします。刈る時に幼木を刈り取らないよう注意しましょう。
森ができあがったら、自然に落ちたどんぐり(種子)から生え
ち じ ゅ
てくる稚樹を育て後継樹にしましょう。
Q.シイ・カシ以外の照葉樹の仲間をもっと教えて?
A.クスノキ、タブノキ、ヤブニッケイ、シロダモ…などたくさん
あります。図鑑をもって近くの森へ出かけてみましょう。
Q.拾ったどんぐりはどうしよう?
A.苗木づくりをするほかに、ようじを軸にしてコマにするなど、
おもしろい遊びを考えてみてはどうでしょうか。シイの実は
シイの実ご飯などにして食べられます。
H O M E
18
ブナ
[落葉広葉樹]
の森
19
■天城山のブナ林(天城湯ケ島町)
ブナは落葉樹なので、新芽の出る春、紅葉の秋と、いろいろな表情を見せてくれます。
●四季の変化が楽しめる森を育てよう
冷温帯(温帯)と呼ばれる地域では、森林はブナなどの落葉広葉樹で
おお
覆われます。そのため、この地域は“ブナ帯”とも呼ばれます。ブナ帯
には、ミズナラ、ヒメシャラ、カエデ類等の樹木が見られ四季の変化が
豊かです。
ブナの落葉は、地面に厚く積もって昆虫の住みかになります。また、
その昆虫を食べる土の中の動物も増えます。
地上の植物も豊富で、ノネズミ、ノウサギなどの小動物が増え、それ
もうきんるい
す
をえさとするワシ、タカなど貴重な動物になっている猛禽類も多く棲む
ことができます。
◆こんな場所に向いている
標高 1,000 ∼ 1,600m の中腹以上の肥よくな土地が適しています。
H O M E
◆つくり方・育て方
苗木を植える
(1年目)
・苗木は、業者から手に入れることができます。
(相談は静岡県環境緑化事業協同組合へ)
下草を刈る
(1年∼8年目くらいの間)
不要な木を切る
木についたつるを切る
必要に応じて間引き
[間伐]
をする
森の中の稚樹を育てる
Q.ブナの仲間にはどんなものがあるの?
A.ブナは、日本ではブナとイヌブナの 2 種類が自生しており、両種はよ
く似ています。ブナの幹はなめらかで灰白色ですが、コケ類がついて
青白色や淡い土色が大きな模様のようになっています。
宮城県金華山から南の太平洋岸に自生するブナは、日本海側のブナに
比べて葉が小さく、コハブナとかコバブナと呼ばれることがあります。
盆栽ではフジブナともよんでいます。
Q.ブナの森をつくるコツは?
いんじゅ
A.ブナは陰樹(日かげに耐える木)ですから、何種類かの木(ミズナラ、
イタヤカエデ、ヒメシャラなど)と混植して、まわりの木で日かげを
つくりながら育てます。なお、苗木は植栽地域の種から育てたものを
つかいましょう。
小さな苗木はノウサギの食害を受けやすいので、金網等を利用して被
害を防ぐようにした方がよいでしょう。
下刈りの時に、幼木を刈り取らないよう注意しましょう。森ができあ
ち じ ゅ
がったら、自然に落ちた種子から生えてくる稚樹を育て後継樹にしま
しょう。
Q.いろいろなブナ林を見たいけど?
A.静岡県内では、ブナの純林(ブナだけの森林)は少ないですが、函南原
生林(函南町)
、天城山(天城湯ケ島町・河津町)
、頼朝の井戸の森(裾
そ ば つ ぶ
野市)
、富士山東臼塚(富士市)
、井川峠
(静岡市)
、蕎麦粒山(本川根町・
中川根町)
では、250 ∼ 300 年を超えると思われるブナが見られます。
また、静岡県では、富士山 3776 自然林復元大作戦によって、ブナ
林の再生運動を進めています。
H O M E
20
ケヤキ、
クスノキ
など
[有用広葉樹]
の森
21
■元気に生育している美しいケヤキ林(修善寺町)
修善寺町温泉場の桂川沿いにあるケヤキ林で、静岡県内では貴重なケヤキの森です。
●くらしに役立つ森をつくろう
建築用材には、スギ・ヒノキなどの針葉樹だけでなく広葉樹も
使われています。また、家具や木製食器類には広葉樹材は欠かせ
ません。建築や家具に利用されている木には、ケヤキ、クスノキ、
ミズナラなどがあります。このような木は、有用広葉樹と呼ばれ
ています。クスノキは古くから植えられ、老大木となって、各地
の神社の境内などに残っています。ケヤキは本州各地に分布し、
暖温帯から温帯にかけての地域に多く生育しています。
◆こんな場所に向いている
ケヤキは、土地が肥えた谷筋の日当たりがよい場所(水はけのよ
されきしつどじょう
い砂礫質土壌 )が適します。また、関東より南に分布するクスノキ
は、標高 300m までの中腹以下の肥えた土地が適しています。
H O M E
◆つくり方・育て方
苗木を植える
(1年目)
・苗木は、業者から手に入るものもあります。
(相談は静岡県環境緑化事業協同組合へ)
下草を刈る
(1年∼8年目くらいの間)
不要な木や形の悪い木を切る
木についたつるを切る
間引き
[間伐]
をする
後継樹を育てる
Q.ケヤキやクスノキなどは、
なぜ家具や木製品に使われる材なの?
A.適度な硬さがあり、加工しやすく、美しい木目が出るからです。
キリなどには防湿効果や防虫効果があるのはよく知られてい
ます。生活に役立つ広葉樹です。
Q.ケヤキ、クスノキなどの森をつくるコツは?
A.建築用材や家具用材にするには、幹がまっすぐのびていること
が大切です。形の悪い木を切り、つる切りなどをしっかり行い
ましょう。
その木の性質を知り、植え付け場所を選ぶことが成功のコツで
す。近くの農林事務所に相談してとりくみましょう。
樹種
ケヤキ
(建築材・家具材)
クスノキ
(建築材・家具材)
ミズナラ
(家具材)
生育場所
植える本数 材 が 利 用 で き る
(1ha 当り) 森になるまで(年)
900 m以下、沢筋、中腹、 6,000 ∼
れきしつ
礫質の肥よくな土壌
300 m以下、尾根∼中腹、
10,000 本
3 ∼ 5 本/穴
1,500 穴
700 m以上、尾根∼中腹、 10,000 本
100
70
150
Q.そのほかに、どんな有用広葉樹があるの?
Å.キハダの樹皮(内皮)は整腸下痢止めの薬になります。また、
クリやクルミは実が食用、材は家具材などになる身近な有用広
葉樹です。そのほか、ミズメは家具材、アオダモはバットをつ
くる木として有名です。
H O M E
22
クヌギ・コナラ
[雑木]の森
23
■明るく見通しの良い手入れされたクヌギ林(修善寺町)
木の根元には、シイタケを育てるほだ木が並べられています。クヌギ・コナラ
はシイタケをつくる木としても最適です。
●気軽に自然とふれあえる身近な森をつくろう
ぞうきばやし
雑木林とは、ケヤキなどの大型の木よりもやや低い広葉樹がい
ろいろ集まってできたものを指します。昔から、集落近くの里山
でよく見られた森林です。クヌギやコナラはその代表で、燃料革
まき
しんたんりん
(肥料)をとる役割をもち、薪炭林とも
命以前は、薪(燃料)や落葉
呼ばれていました。現在でも、シイタケ栽培に必要な森です。森
の中は明るく、カブトムシ、クワガタなどの昆虫類がよく集まり、
子供が喜ぶ自然学習のできる森です。
◆こんな場所に向いている
標高 500m までの中腹以下で、肥よくな土地に向いています。
H O M E
◆つくり方・育て方
苗木を植える
(1年目)
・苗木は種子(どんぐり)からつくることが
できます。また、苗木業者から手に入れる
こともできます。
(相談は静岡県山林種苗協同組合連合会へ)
下草を刈る(1年∼5年目くらいの間)
不要な木や形の悪い木を切る
(10年目ぐらいまで)
木についたつるを切る
下枝を切る
現在30∼50年の森
ば っ さ い
森を伐採する(15∼20年目)
シイタケ栽培や炭焼きに利用する
2代目以降は切り株から芽生えた枝を2∼3本に整理
し森を再生する
切り株と切り株に空間があれば大きめの苗木を植える
◆残す木のめやす
(1ha 当たり)
区分
年数
本数
1 年目
3,000
15 年目
2,000
Q.苗木をつくるにはどうしたらいいの?
A.クヌギ・コナラの種子は、シイ・カシ類のどんぐりよりも大
きめ。シイ・カシ類と同じようにどんぐり拾いから森づくり
を始めるのも楽しみです。苗木のつくり方は 27 ページを参考
にしてください。
Q.クヌギ・コナラの森はどう育てるの?
A.クヌギ・コナラは、植えてから 15 ∼ 20 年くらいでりっぱな森
になります。この森は、繰り返し木を切って再生することで森
の姿を維持します。一度にまとまった面積を切って、地面に光
を当てましょう。たくさんの草本類が生えてきます。後継樹は、
切り倒した木の株から芽生える枝を 2 ∼ 3 本残して育てます。
ぼうがこうしん
。切る時期は 10 月下旬から 3 月までで、地際から
[萌芽更新]
5cm 以内の高さで切ります。芽生えた枝は、2 年目に 4 ∼ 5 本に
整理し、4 年目に 2 ∼ 3 本に残します。株と株の間隔があきすぎ
るときは、その間に大きめの苗木を植えます。
Q.カブトムシを集めるには?シイタケをつくるには?
A.木の幹にナタで傷をつけましょう。切り口からでる樹液に虫
が集まります。また、森の中にオガコを堆積させましょう。
カブトムシが卵を生む場所になります。シイタケづくりは、
近くの農林事務所に相談しましょう。
H O M E
24
竹 林
■タケノコを栽培している竹林(岡部町)
傘をさして歩けるほどの密度にすると、タケノコがよく出るといいます。
●ぐんぐんのびるタケをくらしに活かそう
25
農山村では、裏山に竹やぶをつくって、タケノコの栽培や竹かごなどの工
芸、農林業用資材に使ってきました。タケの代表は、モウソウチクとマダケ
です。モウソウチクはタケノコの栽培に、マダケは竹製品の材料などに多く
使われています。竹とんぼ、竹ばし、花筒、貯金箱などをつくってみよう。
◆こんな場所に向いている
標高 500m までの中腹以下の土地が向いています。今ある竹林を適切に
管理するのが効率的です。
◆つくり方・育て方
タケノコがよく出るタケは 5 年生くらいまでで、竹材として利用できるの
も 4 ∼ 5 年生です。タケの表面に、生えた年次をマジックで書き込んでおく
と便利です。
管理のしかた
1 拡大の防止
ち か け い
しゃだん
・境界近くの地下茎を遮断する。 →境界部に地中壁を設置したり溝を設ける。
ばっさい
・境界近くの若竹を伐採する。 → 1 ∼ 2 年に一度、春頃
・タケノコを採る。
→ 1 年に一度、タケノコのでる時期
2 若返りの促進
・目標密度を設定して維持する。
→モウソウチク……250 本程度/ 1,000m2(夏期の本数)
→マダケ…………1,200 本程度/ 1,000m2(夏期の本数)
・ 5 年目の古い竹を切る。
→毎年 10 ∼ 12 月頃に切る。翌春、切ったタケと同数の
タケノコを親竹として育てる。
H O M E
26
ここでは、元気な森林を育
てるための基本を知りましょ
う。
「元気な森林」といっても、
最初はどんな森林が元気なの
か見分けがつかないかもしれ
ません。一般には、
「大きな木
と木の間隔がちょうど枝が接
するくらい開いていて、下草
が育つ程度に明るい森林」は
健康といえます。身近な森林
をよく見て、元気かどうか調
べてみるのもいいでしょう。
そして、あなたがつくる森林
を、どの森林にも負けないく
らい元気にしてください。
H O M E
広葉樹の苗木をつくろう
◎種子をとる(拾う)時期:秋(9 月∼11 月上旬)
シイ・カシ・クヌギなどの場合は、落ちたばかりのどんぐりを拾い集
め、3 ∼ 4 日間水につけてからまきます(スダジイ: 9 ∼ 10 月、アカガ
シ・シラカシ: 10 月、クヌギ・コナラ: 10 ∼ 11 月)
。
ブナは、9 ∼ 10 月に小枝ごととり、数日間陰干しにして種子を取り出
し、水につけて種子を選り分けてまきます。
ケヤキは、10 月に小枝ごととり、7 日間ほど陰干しにして、風で種子
を選り分けてまきます。
[参考]スギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹は、秋に開かないうちに松かさ
(球果)を取り、日かげで乾燥させて中の種子を出します。翌年の春まで冷
暗所に置いておき、3 月下旬∼ 4 月上旬に 1 昼夜水につけてからまきます。
は し ゅ
◎種子をまく[播種]時期:秋(取りまき)
まきつけ床に種子をまきます。ごく少量の場合は、まきつけ床として
プランターとプランター用の培養土を使います。
1 ◆必要な材料(1m2 当たり)
た い ひ
肥料:堆肥(2kg)またはタネガス(500g)
、配合肥料(200g(5:5:5)
)
27
おお
まきつけ床の覆い:ワラ(2 束くらい)またはコモ(0.7 枚)
かんれいしゃ
、支柱など
日覆い:寒冷紗(1.5m2 分)
2 ◆まきつけ床[播種床]をつくる
種子をまく 1 カ月くらい前に、肥料と土をよくかき混ぜて、まきつけ
床をつくっておきます。まきつける直前に、まきつけ床を深さ 5 ∼ 6cm
程度軽く耕して平らにならします。
3 ◆床の全面にむらなく種子をまく
まきつける
量のめやす
樹種
まきつけ量
シイ・カシ類
200 ∼ 230 粒
ブナ
130ml(3/4 カップ)
(1m2 当たり) ケヤキ
クヌギ
24ml(1/7 カップ)
80 ∼ 100 粒
4 ◆覆いの土をかける
覆い土の厚みは、種子の直径の 2 倍程度とします。
5 ◆日覆いをする
床の土が乾燥しないように、ワラかコモで覆います。その上に、寒冷紗
で日覆いをします。芽が出始めたら、床のワラやコモを取り除きます。
6 ◆管理する
春から秋にかけては水やり、草取りをします。発芽した本数が多く、苗木
と苗木が接するようになったら、間引きをして適度の間隔をあけてやります。
H O M E
■まきつけ床
かんれいしゃ
寒冷紗
ワラ
(コモ)
種子
(横にする)
肥料
10∼20cm
覆土は種子の直径の 2 倍
80∼100cm
とこがえ
◎苗木を移植する[床替]時期:1∼ 2 年後の春(3 月中旬∼4 月上旬)
苗木が適当な大きさになったらまきつけ床から掘りとり、紙質のポット
(ジフィーポット)
に植え替えます。苗木を大きくして植えたい場合は、さら
に 1 ∼ 2 年後に、ひとまわり大きいポットに植え替えます(2 回目の床替)
。
ジフィーポットで育てた苗は、そのまま、山に植えつけることができます。
このポットは保水力や通気性が良く、腐植土化して肥料になります。
ポットを使わずに、畑で床替して育てた苗を山に運ぶときは、水ごけな
どで根の乾燥を防いでください。
1 ∼ 2 年後の春
培養土
■床替
H O M E
ジフィーポット
28
苗木を植えよう
じ
◎植えつける区域を整える[地ごしらえ]
植林区域の作業のさまたげとなっている低木や雑草を全面にわたり刈
り取ります。取った木の枝などは、水平方向に沿って筋状に積み重ねて、
苗木を植えやすいようにします。
しょくさい
◎植えつける[植栽]
◆植える場所の地表面をかく
苗木を植えつける場所のまわり 70 ∼ 80cm 四方の落葉、枯れ枝、雑草
など地表面のものを取り除きます。
◆穴を掘る
直径 40cm、深さ 25 ∼ 30cm 程度
(根が十分ひろがる大きさ)
の穴を掘り
ます。穴の底は耕しておきます。
◆苗木を植えつける
苗木の根際(根と茎のさかいめ)までが地中に入るように、苗木を垂直
に立て、掘ったまわりの土をほぐして埋め戻します。苗木の先を持って、
29
上下に軽くゆすり、上に引っ張る感じで埋め戻した土を踏み、根と土が
おお
なじむようにします。最後に苗木の根元のまわりを落葉や雑草で覆い乾
燥を防ぎます。植栽の時期は、春が最適です。くもりの日や降雨前に行
うと良いでしょう。
ジフィーポットの苗はそのまま植えつけます。ポットがぐらついたり
露出したりしないよう注意してください。
■苗木を植えつける地面をきれいにしてから穴を掘ります。背負っているのはヒノキ苗で
す。根に日が当たらないようにしましょう。
H O M E
時期:植えつけ前
道具:ナタ・
ノコギリ・
カマ、
手袋
■地ごしらえ
1 植え穴を掘る 取り除いた落ち葉等。
2 埋め戻す
垂直にする。
埋め戻しに使う。
穴の真ん中を少
し盛る。その上に
根を広げておく。
3 引っ張る
上下に軽く
ゆする。
4 踏む
足で良く踏み固
め、最後に根元
の周りを落ち葉
等で覆います。
時期:春
用意するもの:苗木
道具:クワ
■植えつけの手順
H O M E
30
し
た
が
下草を刈ろう[下刈り]
植えた苗木が育つのをさまたげる雑草やまわりの木などを刈り払って、
十分に日光を当て、丈夫に早く生長させるようにします。普通、植えた
年は 1 回
(ブナの場合、5 年目までは苗木のすぐそばだけを刈る
[坪刈り]
)、
その後は年に 2 回刈ります。
植えた苗木が生長して、まわりの草や低木などに負けないくらいに育
つまで(8 年間くらい)行います。1 回刈りのときは 7 月下旬頃、2 回刈
りのときは 6 月中旬∼ 7 月上旬と 8 月中旬頃がよいでしょう。
時期:夏
といし
道具:カマ、研石、
カマ研ぎに使う水、
手袋
31
■下刈り
じ ょ ば つ
いらない木などを切ろう[除伐]
植えた苗木がりっぱに生長できるように、まわりの不要な木や形の悪
い木などを切ります。将来美しい森林になるよう、残す木の 1 本 1 本を
選んで育てます。苗木を植えてから 10 年くらいたった夏に行います。
道具:ナタ・ノコギリ等、
手袋
■除伐
H O M E
つるを切ろう
[つる切り]
新しい植林地などでは、クズなどのつる植物が苗木に巻きつきます。
そのまま放っておくと、苗木が生長するにつれてつるに引っ張られたり
しめつけられたりして、幹が曲がったり枯たりします。下刈りをする時
は、下刈りをしながらつるの根元を切りますが、その後は 2 年ごとに山
を見回り、つるの根元を切ります。
時期:つるを見つけた時
道具:ナタ・カマ、
手袋
32
■つる切り
え
だ
う
下枝を切ろう
[枝打ち]
スギ、ヒノキなど
の木材の生産を目的
にする場合は、とれ
る木材の品質をよくするた
めに下枝を切り落とします
[枝打ち]
。枝打ちをすると木
の材質がよくなるだけではな
く、森の中が明るくなって下
草が生えるので、地表の土の
流出を防ぐ効果、枯れ枝から
害虫が侵入するのを防ぐ効果
時期:夏は避ける
道具:ノコギリ・ナタ、
はしご、手袋
などがあります。樹齢 10 年
を過ぎた頃から始めます。ス
ギ、ヒノキでは 10 年おきに
2 ∼ 3 回繰り返し、4 ∼ 8m
の高さまで行います。
■枝打ち
なるべく幹に沿って枝を切り落とし、切り口を小さくします。
[参考]ノコギリの使い方
ノコギリは手前に引く時に切れます。刃の全体を使って、手前には強く
引き、向こう側へは軽く押し返す感じで使うとうまく切れます。
H O M E
か ん ば つ
間引き[間伐]をしよう
植えた木が生長するにしたがい、隣の木と枝が交差するようになり、
れっせいぼく
木が競争し合うようになります。そうなると勢いの弱い木[劣勢木]がで
き、森林全体の幹が細くなって風で倒れるなどの被害がでます。また、
枝がいっぱいに張って日光が地上に入らなくなり、森林の中は暗く草も
生えなくなって森林が荒れていきます。このようなことを防ぐために間
引き[間伐]をします。間伐はスギ・ヒノキなどの森を育てるためには必
要な作業です。
せんぼく
◎切る木を選ぶ[選木]
まず、森林の将来像を考えて、残したい木と間伐したい木を見分けま
す。この作業を選木といいます。選木では、木と木の間隔が適度に保た
れるように木を選びます。木と木の間があまり離れすぎても、風などに
弱くなるので注意が必要です。
ばっとう
◎木を切る[伐倒]
間伐する木を切る時に注
意することは、立木と立
33
木の間に木を倒すことで
す。木が倒れる途中で
か
立木にかかると[掛 か
ぎ
り木 ]、木を倒すのが難
しくなり危険です。倒す
方向の根元にくさび形の切
り 込 み を 入 れ [ 受 け 口 ]、
反対側から切ってい
くと[追い口]、ねら
った方向にうまく倒
すことができます。
作業は経験者に従っ
■選 木
生長の悪い木や形
の悪い木は切る。
間伐したいが、切ると
開きすぎるので残す。
注)間伐する木はテープなどで目印を付けると便利です。
て行いましょう。
3 追い口
1 倒す方向の決定
2 受け口
時期:木がびっしりと生い茂
って森の中が暗い時
道具:ノコギリ、ヘルメット
手袋ほか
手順:1.倒す方向の決定
(退避場所の確保)
2.受け口 3.追い口
受
け
口
の
高
さ
35 °
くらい
1/3
注)次の伐倒は危険ですから、やめましょう。
■木の切り方
・胸のあたりの直径が 70cm 以上の木。
・胸のあたりの直径が 20cm 以上で、重心が著しくかたよった木。
・チェーンソーでの作業など。
H O M E
︵追
受
けい
口口
のの
高位
さ置
の
3
分
の
2
く
ら
い
︶
34
H O M E
木の葉で樹種を見分けよう
◎針葉樹
・ス ギ
すい
葉がやや曲がった四角錐になっている。
・ヒノキ
35
葉はりん片が重なったようになり、
葉の裏にY字型の白い筋がみえる。
・クロマツ
木の幹が黒っぽい。
芽が白くみえる。
・アカマツ
大きくなった木の幹は赤っぽい。
芽が赤くみえる。
H O M E
◎常緑広葉樹(照葉樹)
・スダジイ
葉の裏に茶色のつやがある。
・アカガシ
ようへい
きょ歯がない。葉柄が長く 4cm ぐらい。
葉の裏につやがある。
36
・アラカシ
葉の上の方に大きなきょ歯がある。
葉の裏はうすい緑色。
・シラカシ
きょ歯はとがらない。葉の裏側は白
くならない。
・タブノキ
枝の先に大きな芽がある。葉は
クスノキ科特有の匂いがする。
H O M E
◎常緑広葉樹(照葉樹)
・クスノキ
ようみゃく
3 本の大きな葉脈が目立つ。
葉を切るとシナモンのにおいがする。
◎落葉広葉樹
・ブ ナ
37
葉脈がきょ歯のへこみまでとどいて、
葉のふちは波状。
・ミズナラ
コナラと比べると、葉柄が短くはっきり
しない。
・コナラ
ミズナラと違い、長い葉柄がある。
H O M E
◎落葉広葉樹
・クヌギ
葉がクリの葉に似ている。
樹皮は厚いコルク質。
きょ歯の先はかっ色。
・ク リ
葉柄はクヌギより短め。
樹皮は滑らか。
きょ歯の先まで緑色。
38
・ケヤキ
表面はやや光沢があってざらつき、
裏面は淡緑色。
◎タケ(イネ科)
・モウソウチク
節の環は 1 個。
ようしょう
葉鞘は無毛で肩毛は早く落ちる。
・マダケ
節の環は 2 個。
葉鞘の肩毛は長く開出している。
H O M E
[図版提供:
(株)インプル]
せ
ん
い
裸地から森ができるまで[植物遷移]
◎桜島(鹿児島県)の噴火によってできた溶岩地帯の例
ち い る い
新しい溶岩の上のわずかなくぼみに、地衣類やコケ類がまず小さな集
団をつくります。
これと平行して、火山灰や火山砂のたまったくぼ地には、ススキ、タ
マシダなどの草本類などが育ち、さらにヤシャブシ、クロマツなどの陽
樹が定着して、ヤシャブシの低木林ができます。そして、クロマツが大
きくなってきて、クロマツの下では陰樹が育ち、やがて、アラカシやタ
ブへとかわります。
この後、タブ林の下では、タブの後継樹が育ち、上木のタブが枯れて
も下から生えたタブがあとを継いで、タブ林は続いていくようになりま
す。桜島の場合は、溶岩が流れ出して、最終的に永続性のあるタブ林に
達するまで 500 年∼ 700 年かかっています。
地衣・コケ類
草本
39
陽樹林
低木林
強い光の下で発芽し、生長量の高い樹
種からなる林
混交林
■植物遷移
H O M E
陰樹林
日照量の少ないところでも生育に耐え
る樹種からなる林
森づくりの問い合わせ先
◎最寄りの県の相談窓口
●静岡県環境部自然保護課森づくりスタッフ
〒 420-8601 静岡市追手町 9-6 (TEL:054-221-2682)
●静岡県伊豆農林事務所林業振興課
〒 415-0061 下田市中 531-1 (TEL:0558-24-2082)
●静岡県東部農林事務所林業振興課
〒 410-0055 沼津市高島本町 1-3 (TEL:0559-20-2170)
●静岡県富士農林事務所林業振興課
〒 416-0906 富士市本市場 441-1 (TEL:0545-65-2202)
●静岡県中部農林事務所林業振興課
〒 422-8031 静岡市有明町 2-20 (TEL:054-286-9066)
●静岡県志太榛原農林事務所林業振興課
〒 426-0075 藤枝市瀬戸新屋 362-1 (TEL:054-644-9243)
●静岡県中遠農林事務所林業振興課
〒 438-0086 磐田市見付 3599-4 (TEL:0538-37-2301)
●静岡県北遠農林事務所林業振興課
〒 431-3313 天竜市二俣町鹿島 559 (TEL:0539-26-2327)
●静岡県西部農林事務所林業振興課
〒 430-0915 浜松市東田町 87 (TEL:053-458-7234)
●静岡県林業技術センター
〒 434-0016 浜北市根堅 2542-8 (TEL:053-583-3121)
40
◎苗木購入の問い合わせ先
●静岡県山林種苗協同組合連合会
〒 420-8601 静岡市追手町 9-6 静岡県庁西館 9F (TEL:054-254-8916)
●静岡県環境緑化事業協同組合
〒 420-8601 静岡市追手町 9-6 静岡県庁西館 9F (TEL:054-253-0717)
◎参考とした文献・資料
●近田文弘 ………………………………静岡県の植物群落 第一法規
●垰田宏 …………………………………森林のしくみ 全林改普協
●佐藤敬二 ………………………………日本のマツ第 3 巻 全林改普協
●静岡県林業試験場 ……………………静岡県林業試験場研究報告 13 号
●四手井綱英編 …………………………アカマツ林の造成 地球出版
●浅川澄彦・黒田義治編 ………………広葉樹を育てる 全林改普協
●藤森隆郎・河原輝彦編 ………………広葉樹林施業 全林改普協
●村井宏ほか編 …………………………ブナ林の自然環境と保全 ソフトサイエンス社
●関中林試協 育苗部会編 ………………樹木のふやし方 農林出版
●林業技術ハンドブック ………………全林改普協
●森の便利帳(社) ………………………国土緑化推進機構
●林業関係用語集 ………………………静岡県林業・水産部
●森林がなくなると私たちは …………(社)日本林業協会
●里山保全ハンドブック'97 …………愛知県自然環境保全室
●環境材の整備と保全 …………………日本造林協会
(注) 全林改普協:全国林業改良普及協会
関中林試協:関東中部林業試験場連絡協議会
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身近な森を元気にしよう 森のつくり方育て方
平成 10 年 3 月 31 日発行
監 修 (社)静岡県山林協会
編集・発行 静岡県林業・水産部森林整備課
印 刷 中部印刷株式会社
静 岡 県
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