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熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System
熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title コーティング型冷間鍛造用潤滑剤の性能評価 Author(s) 阮, 立群; 今村, 康博; 丸茂, 康男; 濟木, 弘行 Citation 熊本大学工学部研究報告, 50(1): 9-17 Issue date 2001-06-26 Type Departmental Bulletin Paper URL http://hdl.handle.net/2298/18958 Right 熊本大学工学部研究報告第50巻第1号(平成13年-6) 9 「謂一支司 コーティング型冷間鍛造用潤滑剤の性能評価 玩立群*’今村康博*2丸茂康男*3湾木弘行*4 Evaluati0n0fcoating-typeluMcantsincoldfbrgmg LiqunRUAN,YasuhiroIMAMURA,YasuoMARUMOandHiroyukiSAIKI 1.緒宮 2.実験条件および方法 高性能冷間鍛造用潤滑剤の性能評価を行う場合,鍛 開発した局所引抜き型摩擦試験機')を利用して,冷 造中の摩擦界面の表面積拡大,温度,面圧,すべり速 間鍛造用高性能潤滑剤の性能試験を行う.摩擦試験で 度,工具表面粗さ,材料の表面構造等が性能試験にで は,Fig.1に示すような様々な表面積拡大に対応できる きるだけ正確に反映されて取込まれなければならない. 波形ダイス')を用いて基準となる油系潤滑剤,高性能 特に,加工中に接触界面で生じる表面積の拡大は潤滑 燐酸塩系被膜潤滑剤(燐酸塩被膜十金属石鹸),燐を含 膜厚さを減じさせる.また,界面温度は潤滑剤の物理 有しないCa系被膜潤滑剤および簡易被膜型潤滑剤の 的・化学的特'性に影響を及ぼす重要なパラメータとな 摩擦特性を調べた.油系潤滑剤の性能試験には引抜き る.そこで,前報')では,前後方押し出しや歯形工具 棒鋼としてSCR420を用いた.被膜潤滑剤の‘性能試験 の押込みの剛塑性有限要素法解析を行い,鍛造加工に には引抜き棒鋼として,SCM435(ぴ=904go・l2MPa)お おける厳しい局所変形部の表面積拡大を評価した.さ よびSl5C(び=800EqlMPa)を用いた.これらの棒鋼 らに,塑性変形による加工発熱や工具面上のすべりに 表面に潤滑処理を施し試験を行う. 起因する工具一被加工材料界面の温度上昇を評価した. これらの結果に基づき,実際の冷間鍛造条件を具現で きる局所引抜き型摩擦試験機を開発した.この試験機 Specimen は鍛造における厳しい表面積拡大,連続鍛造における VV14 ダイス表面温度環境および多工程鍛造における前工程 までのトライボ条件変化などを考慮できる. 本報告では,試験潤滑剤として主に燐酸塩系被膜潤 W16 滑剤(燐酸塩被膜十金属石鹸),燐を含まない環境に優 しい硬質被膜潤滑剤および簡易被膜型潤滑剤を選び, 上記の試験機を利用して温度条件および工具条件を変 えて性能評価を行う. VV17 平成13年5月7日受付 Heater ・’助手学術博知能生産システムエ学科 ・2技術官知能生産システムエ学科 Fig・lTogemtricalonfgurations 聴3助教授工博知能生産システムエ学科 、4教授工博知能生産システムエ学科 )9( コーティング型冷間鍛造用潤滑剤の性能評価玩・今村・丸茂・済木 0 1 3.油系潤滑剤の性能評価 TablelTwotypesoflubricants m /geudisrfOtnuomA2 ここでは,燐酸塩系被膜潤滑剤の‘性能の優位性を確 認するため,4種類の工業用油系潤滑剤A~Dの性能 compounds 試験を棒鋼SCR420(#12mm)でダイスW14を用い て行った.その結果,Fig.2に示すように全ての潤滑剤 Sodiumstearate が0.4以上の大きな摩擦係数を示した.これは材料が高 Zincstearate 面圧を受けるため,潤滑油が摩擦面に残らないからで Zincphosphate Lub.B(S15C) Lub.A(SCM435) Chemical before after befbre drawing drawing drawing 1.63 0.7 drawin 0 2.32 0 . 10 3 5.65 10.35 after 9 0 0 16.03 3.35 ある.したがって良好な潤滑性能を維持するためには, 潤滑膜が切れにくく,材料に対する密着'性の良い被膜 い場合に対して,室温(約25℃)の素材を引抜いてい 系潤滑剤の使用が必要になる.現在,燐酸塩系被膜潤 る.ダイスを200℃に初期加熱した場合について見る 滑剤が冷間鍛造用高性能潤滑剤として最もよく使用さ と,Toulは焼付きや摩擦係数の著しい上昇がない限り, れている.次節では,本研究の比較基準にもなる燐酸 ほぼ一定温度となる.Touiは,ほぼ摩擦環境の温度で 塩系被膜潤滑剤の評価を行う. あり,この例では約'90℃である.そのときの摩擦係 o ]Di {l [ 1 Ap i l 00 08 06 04 02 00 08 06 04 02 00 2 221 11 11 Lubricant:(Zincphosphate+meta1s◎ap)A D『owingspeed:5.8mm/S MO↑eriolreduc↑ion:8% Die↑enpero↑ure:25℃ Die:WovyW14 1 . 0 。こ◎一ぢ一とも名①一・準の。。 顧踊〆[C1oiI[Bloil M o eC ri Mo↑ er↑ iol:S R420仲12mm) Tout(die:20℃) "▲f鞭 、 。n 公U ○( nU 斗《 同U 色 、〕 n》《U(U〈U Pへ言。』の』己、』gEの」 ユ仁○一↑U一』↑』○↑仁①一U蓬の0。↑仁①』oQQく 70 60 50 40 3●0 20 ‐0 ● 0 数媒はほぼ0.05である. マwツqwv‘.vMv” 茎 皇 夢 i三 禁 室 裏 =; 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 0 S↑roke/mm 0100200300400500 Fig、2Varitonfaprentcoeficentofrictonwith drawingstokefOlubcA,B,CandD StrOke/mm Fig、3Variationofmaterialtemperatureandinterface 2 :eru5 tare℃ pmete) idlaitini(ekortshtiwnoitcirf 4.燐酸塩系被膜潤滑剤の性能試験 ダイスを初期加熱しない場合でも温度が80℃以上 に上昇する.摩擦係数解はダイス初期加熱の場合に比 べて高くなっている. 本実験では,引抜き棒鋼としてSCM435およびSl5C を用いる.各棒素材に燐酸塩系被膜潤滑剤を用いてい さらに高温のToutにおいて,摩擦係数を評価する場 るが,SCM435材とSl5C材では潤滑剤を構成する各成 合には素材加熱を併用している.Fig.4に平面ダイスの 分量(Tablel)が異なっているので,それぞれ潤滑剤 場合と波形ダイスWl4の場合を示す.いずれの場合も A及びBと区別する.本試験機によってダイス温度環 Touiが300℃を越えると潤滑性能が劣化していくこと 境を想定した条件下で平面ダイスと波形ダイスを使用 がわかる. Fig.5は他の加熱条件における結果も含めて摩擦係 して引抜き実験を行う. 数の温度依存性を見たものである.燐酸塩系被膜潤滑 4.1摩擦係数に及ぼす加工面温度の影響 剤についてよく知られているように,摩擦界面相当温 冷間鍛造で想定される摩擦界面の温度変化範囲内!) で,平面ダイスを用いてSCM435材に施した燐酸塩系 度Tou1の増加につれて〆は減少し,250℃~300℃で 被膜潤滑剤Aの摩擦係数ノαとダイス出口近傍の素材温 最小となる.300℃を越えると潤滑性能が急に劣化し 度Touiを熱画像装置')で計測した例をFig.3に示す. はじめ,ほぼ320℃になると潤滑膜が燃焼して潤滑性 この例ではダイスを200℃に初期加熱した場合としな 能を完全に失い,引抜き限界となる. ) 01( 謡針汁椛H仰嬰雪謝難咋職巻眺職]叩︵判高畠補1つ︶ 樽】 戸こび「一OQコォ m×で男一一三mz『アFOOzO三○z鱒 負一コOでゴOいでゴQ↓の+「。①↓Ql吻○Qロ)ア 戸Cロユno.↓麺両一コOロゴ○駒ロゴQ↓の+『ゴの↓○一唾oQローア ロー①苓一Q↓ Tempero↑urelbu,/℃ 《 夢 Ⅷい○一○○一m○い○。いい。④COいい○ 「①「ゴで①「Q↓c『の『Cs一○○ 司侭・いく四コ目ざ。omoo里翫g①昌乏一三︷弓gざ己君一号旨[①臥画8 言①ヨロ①国冒⑦o開室里昌①ざ1号18昌少 Fこび「一OQコオ (里。OロゴOいロゴQ↓の+「ゴの↓QlmOQU)、 ラ録乞Sd訓前室s型茎両奔引吠芦ぺぐふぐ》・蒸鶏箭 淑鳶洞謹誰聖シ庁国S解詩碑両両コロ壷目哉劉sいき が強・柵前(叶難s洲癖諏)s覇・釧副鈎賞汁S汁吟 嫌乏弓刷碑煽蒋索簿参C・践匡什庁汁僻〈#ご醇諜扇 判庁舜が強》ぶつI暖◎ぴぶ碑l司滞柵后汁凧革舜謹誌 〃 bp=PいPb)。 司侭・望n引叫.汁硫rnS鉱咋昇糞謹言群叶零通行バ 。い一(ノ1卜〕いい(_、今 州獄蒸碍誌粥露読孟諦聖国酔啓庁汁望岩鉢華吋 誇嶺、へ〆執四一鴬言計鉱のS編蒋索鋒腸言訓I宙畔 O 載呂呂三ご胃○六①︵乏○異宮①8善8[ags−琶行︶ O Appo「en↑coefficien↑OffridionU コ、.﹂く自営二○国。南ョg①ユ里[①ョ己①国冒﹃①四邑巳旨篇ユ胃① O 三Q↓のユQ一率い一mO喜一い「ゴョー いき○六のヘコミゴ o ○い○○谷○○ 曇○○ ○ 0 1 一 一 ト コ ト コ ② 。 〕 O O L n O ( J U O m O O O O O O 琴 F 可 呈 T O O O ○ O ○ I 、 〕 ← O 、 0 0 一 い 今 C o e f f i c i e n ↑ ↑ ciTlfoo in l J o o o o p ー 一 O 曇い○ 『〕{目一丁言』 三Q↓の『一Q一必、互与いい(・一つ「づ『ゴ) 〃 、 ロ一の一の「ゴロの「Q↓こ「の函②○○○○ 妻一○号ロ一のnの恥ゴのQ↓①QC℃↓○一m○○○ ggggp 互Q↓のユQ一”の、一三今いい一合一℃『ゴ『ゴ) ロ「Q一ミーコCmDの①Q亜α・聾ゴコくい o ト ) ← O 、 0 0 一 Coefficien↑Offric↑ion似 カのQ亡g一○コ”一○誤 い○一○○一い○い○○いい。②。。 淋存庁舜0バラか. 『①ョでの「Qご「の『。c一へざ 函、.こい、ヘメミミ郎逓ラバ前溺印濁声吠痔計請S 国、.③ぐ四ユ昌一○コo南。。①兎亜g①己。︹動旨︹一○コ君一三○コ旨[①鴎胃① 偏荊索簿演師引Fベラが.載能旨っヨョ料。。拝・営遷 冒呂①国冒⑮呉島①さ二号18昌国 、へ〆前洞一呂行Iざ◎同S盆瞬一n粁が偏誘索簿強S 眺再針僻ご証①芦奄柵前S雛叩時ご誉#ご庫ぐ》.↑》〆 炉ペ謹爺冠哉毒舌を4〈茸華哉淳毒〈、 今.m爾満索鮮門湖面斗言H闘岡S鞭噸 繍誘繍溺s舷言冥罫議一)哉嵩入汁貯窒脚煽燕判副 Aparentcoficentofricton似 S前照一小郡噛斗が.詞信・函(四).(ず)要慧憲、へX 癖蕊索簿S淵一云叶洲斗・首選、へX前岡碑暖づ執獣が. 皿一詩叫臨師ご鋤尉ぐ︾届.uヨミのs雛の亘吟目。昌強]さづ粁 ロ『画乏言、⑯口のの。い い・画コゴゴヘい 乏画くくQ一の乏一割 下剤一 愈熟淵 。 乏云幣到ラバ聖罫眺闘洞吋渇捌庁汁読吟S判目前照代 一・・・蒜で.●” の一m○(e一画ヨヨ) 一○○ 画○○ ②。。 § 庫計斗い庁鍬洲①芦が.F汁訪Oペ.露↑ぐ》潟顎汽導 三鼻のユ里 タ ご詳誌ご吻加〈録が誌祁Sl叶執謹茄謡sヨ群麓言強 《 。 。 。 。 一 r、へX前岡四g同一、齢ラバ再載諦営遷Sj竺晶一 爵叫扇細強濁音べぐふ・謹爺洞奔前岡片和行O芦ぺ節 ◎ ト コ ニ ロ ン 。 。 一 ト コ 戸こす『一.四コ庁“(N一コ◎ロゴ○のロゴ四斤の+『ゴ①庁“一⑩◎四℃)、 今○○ 、。。 の庁『◎天のへ『ゴコー 頭、。『く胃巨一○国呉壁呂目8①鴎g①具三号旨冒雷8 執砿言r煽諦索鉾寓小S鞭噛畔刈辱。.S齢岡僻敏熟 回目①国冒『①きう昌這s①乏弓 (一一) コーティング型冷間鍛造用潤滑剤の‘性能評価玩・今村・丸茂・済木 2 1 少している.ただし,平面ダイスの場合のFig.5に示す 摩擦係数よりも表面積拡大の影響を受けて大きくなっ が25℃,200℃,300℃の結果をFig.9(a),(b)~ Fig.1(a).,(b)に示す. ている.温度依存性の大きな潤滑剤の場合,加工速度 初期温度が25℃であった素材温度Toutは,平面ダイ は界面温度に影響し,摩擦係数に著しい影響を与える スで75℃,最も表面積拡大の大きいWl7ダイスで110 ので,潤滑剤の性能評価には温度評価が極めて重要に ℃まで上昇している.平面ダイスの場合には摩擦係数 なる. が0.15で十分な潤滑‘性能を発揮している.波形ダイス 4.3摩擦係数に及ぼす表面積拡大の影響 Wl7はWl4より丸みが小さく,波高さが大きく,表 素材の表面積の拡大は,被膜系潤滑剤の膜厚さを支 配し,局所的な膜破断にも影響する重要因子であるの 面積拡大率が大きくなっているため,潤滑剤の摩擦係 数は,Wl4で0.22,W17で0.33と高くなっている. で,検討対象の問題に応じて選択しなければならない. このように表面積拡大の影響がはっきりと見られる. ここでは,波形ダイス(W14,W17)と平面ダイスで 各種波形ダイスを使用することで,同じ潤滑剤を使用 の結果を比較する.棒材はSl5C材(#12mm)で燐酸 しても局所変形の厳しさに応じて摩擦係数が異なるこ 塩系被膜潤滑剤Bを使用する.棒材の断面減少率は8%, とが分かる. ダイス初期温度を200℃まで上げると,潤滑剤Bも 棒材の引抜き速度は5.8mm/sである.ダイス初期温度 9へ一言》P。』己”』&E⑪』 三 /,W 畠 一 一 Ⅱ Typeofdies:WavydieW14 MateriaI:SCM435 Materialreduction:9% 00000 5.8mm/s/12.5mm/s 3 1975 11 0505050 5 21 0752 11 Pへ言。」の』己⑯』gEの』 B)paosltem+hcniz(:arbuL Material:S15C(。12mm),Drawingsped:5.8mm/s Materialreduclion:8%,Dietmperature:25℃ Lubricant:(Zincphosate+mlsoap)A 垂 ? y'wW度 iY、 一芸窯饗: 0100200300400500 0100 StrOke/mm 200300 400500 Stroke/mm ) ( a ) a( Typeofdies:WavydieW14 1巨呂農垣』○旨裡。握①8旨。』両&く A 00 300 200 400 WaしydにW17 K期峡踏 』 縄、 べ 周 孟 0100200300400S00 500 StrOke/m、 Stroke/mm ) b( ) ( b Fig.81nfluenceofdrawingspedontemperatureand interfacefriction B)paosltem+ahpsocniz(:tarbuL Materil:S15C(巾12mm),Drawingsped:5.8mm/s Materilduction:8%,Dietmpraue:25℃ 4 30 20 10 00 42186420 コこ◎種。遅」。〕この一。一と①。。》この』且〔ゼ 11 00 0 0 00 00 000 MateriaI:SCM435,Materialreduction:9% Fig.91nfluenceofsurfacexpansiontemperaturBand ℃ 52=) erutrepmeteidlaitini(noitcirfecafretni ) 21( 熊本大学工学部研究報告第50巻第1号(平成13年-6) 01 01 01 01 0 0 8 6 4 2 2 B)paosltem+hcniz(:IrbuL Material:S15C(中12mm),Drawingsped:5.8mm/s g一一コート⑪』昌国&Eのト 男へ一コs↑⑪』ョ:。E⑪P 200300 02 02 02 02 0 0 8 6 4 2 3 B)paosltem+』 t_aIhpsocniz(:tnacirb」 Material:S15C(○12mm),Drawingsped:5.8mm/s Materialreduction:8%,Dietmperature:30℃ Materilduction:8%,Dietmpratue:20℃ 0100 3 1 WavydieW17 j 州 w/鯵 駕 ‘ “ ←O一、、一今 400500 0100 Stroke/mm 200300 400500 Stroke/mm ) ( a ) ( a 1宮。g一』迄○旨豊呈準。8旨⑭』画呂く 患瀞彰e●篭蝕 4 30 20 10 00 B)paosltem+ahpsocniz(:tacrb1AL Material:S15C(。12mm),Drawingsped:5.8mm/s 4 30 20 10 00 1亘豆垣』o旨挫呈出go旨の』aQく B)paosltem+hpsocniz(:tarbuL Material:S15C(巾12mm),Drawingsped:5.8mm/s Materialreduction:8%,Dietmperature:20℃ %,D 8 : n o c u d l i r e t a M :3 u a r p m t e i ℃ 0 送 塞 墓 豊 姿 HJAIA 0100200300400S00 0100200300400S00 Strokc/mm Stroke/mm ) ( b ( ) b Fig.1OInfluencofsuracexpansiontempratu1℃ ℃ 02=) BIutarepmeteidlaitini(noitcirfecafretnidna Fig.11Influencofsurfacexpansiontemprature ℃ 003) =eIutarepmeteidlaitini(noitcirfecafretnidna 潤滑'性能が改善し,いずれの場合も摩擦係数が0.15前 性能を調べた.潤滑剤Aもしくは潤滑剤Bを施した 後まで低下する.表面拡大率の影響はあまり見られな S15C材の一段引抜き後の潤滑剤の残留状況をTablel およびFig.12に示す.潤滑剤Aに比べ潤滑剤Bの燐酸 い. 塩被膜の残留量は少なく,初期の1/5程度まで低下して ダイス初期温度が250℃を越えるとさらに摩擦係数 が低下する.平面ダイスでは初期行程においてTomが いる.また,潤滑剤Aに比べ,石けん成分の残留が極 250℃程度に達すると摩擦係数は0.1以下まで低下す めて少なく,鉄の成分も多く見られる. 二段引抜きにおける後段引抜き時の摩擦係数の変化 る.一方,表面積拡大が大きいW17の場合には,引抜 例をFig.13に示す.連続加工を想定し初期ダイス温度 き行程200mmを越えた付近で摩擦係数が急増し,引抜 き限界となる.界面域温度Tbu1が250℃までは,摩擦 を変化させた結果である.行程初期では初期ダイス温 係数は低下するが膜厚さも減少していると見られる. 度の相違による摩擦係数の差はあまり見られない.前 4.4工程累積の影響 加工がない場合と比べて摩擦係数がやや高く,初期ダ イス温度が150℃以上の全ての場合において,引抜き 多工程の鍛造では,加工熱による温度上昇と共に, 被膜潤滑剤の厚さの低下や劣化が生ずる.ここでは, 限界が現れている.したがって,潤滑膜の厚さ減少や 多工程の影響を調べるために平面ダイスで加工後,続 潤滑剤の加工に伴う性能劣化を引抜き限界条件と摩擦 いて波形ダイスWl4を用いて二段引抜きを行い,潤滑 係数値から評価できる. 1 (3 ) コーティング型冷間鍛造用潤滑剤の性能評価玩・今村・丸茂・済木 4 1 Table2Chemicalcompositionsoflubricants Lubricant:zincphosphate+metalsoap TemperatureOfdie:150℃ 番号 Drawingspeed:5.8mm/s、TooI:flatdie 匡○一]一のoQEOo︺このEの一の一⑩o−Eの二 5 03 53 02 52 01 51 050 44 自負 へ ifnli No.1 燐酸亜鉛被膜処理十金属石鹸 No.2 ステアリン酸カルシウム系金属石鹸A No.3 ステアリン酸カルシウム系金属石鹸B PTFE(テフロン)を5%添加したCa系金 No.4 属石鹸 潤滑剤のNo.1,No.2及びNo.3の摩擦係数ノαは0.1前 Z n N a F e P C O C a ○ 潤滑剤構成 後となり,大きな相違が見られない.潤滑剤No.4の場 ChemicaIeIements 合,摩擦係数ノαは約0.25以上と最も大きく行程250mm Fig・l2ChemicalcompoundSandchemicalelementsleft onthedrawnspecimens 以降,変動が大きい.連続引抜きの場合,潤滑剤No.l とNo.3では大きな行程においても安定した摩擦状態 ユ仁○一↑U一堂 42● 、86420 0000 1● 1 一○↑匡①一U一一一の○○↑この」OQQく となっている.No.2の摩擦係数解は最初の1本目では 低いノα値を示しているが,引抜きが進むにつれて次第 に高くなる. ダイスWl7の場合も同様に潤滑剤No.4は摩擦係数 ノ"が最も高く,約0.4程度まで達している.いずれの ダイスにおいても潤滑剤No.4の低い潤滑性能が認め L≦参鐸 られる.これは潤滑剤No.4の棒鋼表面への接着強度が 弱いことを示していると考えられる.そのため,大き 0 5 0 1 0 0 1 5 0 2 0 0 な表面積拡大を伴う母材変形に追随できない. S↑roke/mm 潤滑剤性能は表面積拡大の違いによってそれぞれ異 Fig・l31nfluenceoftwo-stagedrawingoninterface ( noitcrf. ,2eidtalf:gsw :egatsa v y d i e W l 4 ) なるが,例として平面ダイス,波形ダイスWl6及び Wl7で潤滑剤No.2を用いてSCM435棒材を連続引抜 きした場合の摩擦係数変化をFig.17に示す. 平面ダイスでは摩擦係数/αが約0.1という低い値を 5.燐を含まない硬質被膜潤滑剤の性能評価 示した.加工条件が一番過酷なW17ダイスでは1本目 5.1試験材料及び潤滑剤 本実験では,燐を含まない硬質膜を施した高強度ボ の摩擦係数狸は約0.16となり,2本目では,0.18まで 増大した.4本目では摩擦係数解は約0.2と高い値と ルト用SCM435棒鋼を試験に用いる.潤滑剤の分類を なった.摩擦係数はダイス先端半径の減少とともに増 Table2に示す.ここで比較の基準となる潤滑剤は,燐 加する.摩擦係数は行程の進展に伴い増加し,表面積 酸塩系被膜潤滑剤(No.l)である. 拡大率が大きければ大きいほど,大きな傾きで増加す 5.2連続引抜きの場合の表面積拡大と摩擦状態 るという傾向も現れている 5.3工具面の焼付き量 Fig.14に平面ダイスを用いて4種類の潤滑膜を施し た棒材を引抜いたときの摩擦係数を示す.基準潤滑剤 No.lでは摩擦係数mは約0.1で,潤滑剤No.2,No.3, Fig.18は4種類の潤滑剤を用いてSCM435材を引抜 いた場合の3種類のダイス表面焼付き量である.焼付 No.4では,それぞれ約0.11,0.12,0.13となり,これ き量は試験前後のダイスの重量を測定することで求め らの潤滑剤はほぼ同程度の潤滑性能を示している. た . 各ダイスを比較すると潤滑剤No.lを使用した場合 Fig.15およびFig.16に波形ダイスWl6およびW17を 用いて4種類の潤滑剤を試験した場合の摩擦係数変化 には,加工条件が一番過酷で表面積拡大率の大きい を示す.ダイスWl6の場合,行程500mmまででは, Wl7ダイスの表面への焼付き量が多い.他の潤滑剤に ) 41( 熊本大学工学部研究報告第50巻第1号(平成13年-6) 5 1 迅仁○一↑U一』」一○↑この一U一準①OU 2 5 10 50 00 JQ 0 ユヘ仁○一↑U一』↑一○↑この一○一室の○。 5 2J ‐0 50 20 Q 0 050 Lubricon↑:No.2 Material:SCM435(ウ19mm) Drawingspeed:0.8mm/s 〕n:10%〆No4 似 ‘ 、リ A 、ノ,、, 式、頚、,鍛 移、r影¥唖. 煮 if燕 w蜘 卿 Mo↑eriol「educ↑ion:10% 020040060080010001200 S↑roke/mm 05001000150020002500 Fig・l4Variationofrictioncoeficientwithdrawing strokefbrNo、1,No.2,No.3andNo.4(defbrmation ) eidtalfybcun S↑roke/mm Figl71nfluencofdiegometryoniterfacefrictonfbr lubricantNo.2 図Loadcellside■NOn-IoadceIlside 5 2 〕n:10% 鞭黙簿螺〆零踊噌蒋舗醗曜蝉 ■0 ●0 aO 。 ◎ 1234 NNNN bbb b uL uL uL u L ン, ,シ 一一一一一一一 1一2 34 NNNN (函E)函匡一一一⑩。 01 51 0 2 ユ仁○一↑U一』↑○↑仁①一○一一一の○。↑仁①」oQQく 5 50 32 5○ 21 50 10 50 44 0 0 03 0 O O 0 3 Materil:SCM435(中19mm) 5 05001000150020002500 S↑roke/mm 0 N1N2N、3N、4N、1N、2N3N、4N、1N、2N、3N、4 Fig・l5ValiationofTictioncoeficientwithdrawing strokefbrNo、1,No.2,No.3andNo.4(defbmlation inducedbywavydieW16) ユcO二塁」○一o↑仁①一o一幸①OU↑仁①』oQQく 5 50 32 5○ 21 50 10 50 44 ○3 0 0 0 0 0 0 FlatdieWavydie[W16]Wavydie[W17] Fig.18InfluenceofdiegometryongeometIyongaling thgiew Material:SCM435(巾19mm) おいてもNo.1の場合と同じように,.表面積拡大率の増 Drawingspeed:0.8mm/s 加につれて焼付き量も増える傾向がある.潤滑剤No.4 Materialreduction:10% の場合,ダイスWl7の焼付き量は平面ダイスの約10 倍程度となった.潤滑剤No.3はいずれのダイスにおい ても焼付き量が少ない.これらの状況は摩擦係数とよ く対応している.‘ ’ 2 5.4材料表面層の化学成分分析 pW〈、承 JXA-8900R電子顕微鏡EPMAを用い,潤滑剤のNo.l NO ~No.4において平面ダイス,波形ダイスWl6及びWl7 500 でSCM435材をストローク700mmまで引抜いた場合 000150020002500 s↑roke/m、 の試験片表面層成分の分析を行った. Fig.16Variationfrictioncoeficentwithdrawing Fig.19はダイスWl6を用いて引抜いた場合のスト strokefOrNo、1,No.2,No.3andNo.4(defbrmation ローク700miにおける材料表面層の化学成分を示す. inducedbywavydieWl7) Feの成分割合は潤滑膜の破損や潤滑膜厚を評価する 指標となるのでFeに注目する.基準潤滑剤No.1およ び潤滑剤No.3におけるFe割合は,潤滑剤No.2および ) 51( コーティング型冷間鍛造用潤滑剤の性能評価玩・今村・丸茂・済木 6 1 No.4の場合に比べ少ないが,このことは潤滑膜が損な ■FeZC□○皿P園Zn国CO目NC園○↑hers われにくいことを示している.一方,潤滑剤No.4にお いてはFeの成分が最も多く潤滑膜強度が弱いといえ 一一 雲 、 一 Ⅲ lllllI 〆 一 ■■ Bef - 一 三雲 易 / = ク ; 霊彰認■ / 一一 一 一 ノノ 0% フ 〆 、 一一 20% ク ー = 、 // 40% E■■』 60% 一一 E○一○駅へ仁○一一一m○QEoUEのE①一山 80% ン < ~ 一一一 ■FeZC□○mP国Zn画CO目NC□Cl□F囲○1hers 一 ■P■■ E○一○駅へ匡○差⑭○QEoU↑仁①E①一山 は摩擦係数の変化状態と良く対応している. % % %2 %0 % 0 0 0 80 64 00% なく,潤滑膜はあまり損なわれてない.これらの結果 00% 伽 る.ダイスWl7においても同様の傾向がみられる.平 面ダイスを用いた場合には,各潤滑剤ともFe割合は少 ク i/ ブ 、 ブ I FLATW16W16W17W17 E x p Cres↑RoolCres↑ROC↑ Ii Fig.20ChemicalelementcompositiontakenatdifferEnt rcgionsofthedrawnspecimenwhenNo・lwasused / / 一 6.簡易被膜型潤滑剤の性能評価 二 CreslRoo1Cres1RoofCres1Roo NO N0.2 Cres1Roo1 No.3 新たに開発された簡易被膜型冷間鍛造用潤滑剤の性 No、4 能試験を本モデル試験法で行った. Figl9Chemicalelementcompositiontekenatdiferent regionsofthedrawnspecimenwhenlubricantsNo、1, ここでは,白色水'性潤滑剤w-69A(Phoshonate+ phoshonatemetalsoap)の潤滑性能を評価した.材料は No.2,No.3andNo4fbrdieWl6 Sl5Cの棒鋼を使用した.材料表面に脱脂,水洗,乾燥, 簡易被膜付け及び乾燥を経て潤滑被膜を形成させた後 Fig.20は潤滑剤No.lを用いた場合の引抜き前後の化 学成分および各成分の量を示している.平面ダイスで 引抜いた材料表面のFeの成分は試験前の状況とほと んど変わらない.ダイスWl6を用いた試験片の谷部 (試験片の谷部はダイスの山部である)ではFeの成分 に引抜き試験を行った. Fig.21は潤滑剤w-69Aの温度特性を調べた結果であ る.ダイス初期温度150℃の場合はダイス初期温度 25℃の場合より摩擦係数が低下するが,ダイス初期温 が27%増加している.当然,潤滑剤成分もそれぞれ実 度200℃の場合はダイス初期温度25℃の場合より摩擦 験前より減少している.Wl7では試験片谷部のFeの成 係数は高くなる.潤滑剤w-69Aはダイス初期温度が 分が56%となった.これはダイス山部での表面積拡大 150℃の場合,行程300mmまでの摩擦係数は約0.16と が大きいため,潤滑膜が薄くなり破壊しやすいからで 低く,良好な潤滑′性能を示している. ある.逆に,Wl7では試験片山部のFeの成分は実験 Fig.22は潤滑剤w-69Aを用いた場合のダイスへの焼 前とほぼ同じであり,Wl6では試験片の山部よりかな 付き量とダイス温度との関係である.摩擦係数が高い り少ない.これはWl7においてダイス山部(試験片谷 200℃の場合は焼付き量も多いが,摩擦係数が小さい 部に対応)からダイス谷部(試験片山部に対応)への 150℃の場合は焼付き量も少なくなっている.温度の 潤滑剤の流れ込みが大きいためと思われる.しかし, 影響は焼付き量にも反映されていることがわかる. ダイスWl7での試験片の谷部でも潤滑剤は残ってい 7.結言 る . 試験前後の材料表面成分を定性,定量的に分析した 結果はFeの成分の増減が表面積拡大率に関係 著者らが開発した局所引抜き型摩擦試験機を利用し していることを示している. て,冷間鍛造に用いられる燐酸塩系被膜潤滑剤,燐を 含有しない硬質被膜潤滑剤および簡易被膜型潤滑剤の ) 61( 熊本大学工学部研究報告第50巻第1号(平成13年-6) 7 1 性能試験を行った.得られた結論は下記のとおりであ 度,短いすべり距離および小さな表面積拡大率で る . 加工限界に至る. (1)燐酸塩系被膜潤滑剤の潤滑‘性能は摩擦界面温度 (2)大きな表面積拡大を引起こす波形ダイスを利用 の影響を強く受ける.界面温度の上昇によって摩 して試験することで,燐を含有しない硬質被膜系 擦係数は低下するが300℃を越えると性能は劣化 潤滑剤の潤滑性能を評価することができた.具体 し加工限界に至る.室温では,被加工材料の表面 的には,摩擦係数の計測,ダイスへの焼付き量の 積拡大率を大きくすると摩擦係数に大きな差が認 計測,ダイス表面および素材表面のEPMAを行う められるようになる.一方,温度が高くなると摩 ことで,潤滑剤性能を正確に評価した.3種類の 擦係数の差が減少する.しかし,表面積拡大率の 潤滑剤のうち,潤滑剤No.3(ステアリン酸カルシ 大きいW17ダイスでは,温度200℃を越えると, ウム系金属石鹸B)は燐酸塩系被膜潤滑剤に匹敵 行程200mm以上で加工限界に至る.前加工で被膜 する潤滑性能を示した. 厚さが減少すると,続く加工では相対的に低い温 (3)簡易被膜型潤滑剤の性能に及ぼす摩擦界面温度 555453525 仁o雲。逼半oゼの一。準のCO 50 030 020 Q1 0 040 の影響を評価した.ダイス初期温度150℃の場合 ExPERIMENTALCoNDmONs: の潤滑性能が良好であった.200℃の場合では, Typeofdie:FIatsur6ace Drawingspeed:350mm/min 室温の場合より潤滑‘性能は低下した. 以上のことより,本試験法は冷間鍛造で使用される MateriaIreductiOn:12% 異なるタイプの潤滑剤の実用性能評価に非常に有効で Lubricantw-69A あることが示された.現在,多くの潤滑剤メーカーで --Heateddies[200℃] 冷間鍛造用高性能潤滑剤が次々に開発されているが, il響 ;"、 本試験法はこれらの潤滑剤の性能評価を迅速に,容易 にかつ正確に評価するのに非常に優れた試験法である といえる. 0.1 0.05 0 謝 辞 0100200300400500600 本研究の一部は天田金属加工機械技術振興財団の研 StrOke[m] 究開発助成を受けて行われた.また,住友金属工業㈱, Fig.21Varitonfrictonceficentwihnitaldie tempraturefbrw-69A 日立金属㈱および日本パーカライジング㈱には試験材 料の提供等,本研究にご協力頂いた.ここに厚く御礼 申し上げます〃 EXPERlMENTALC○NDIT'○NS: Typeofdie:FIC↑surfoce 0.008 Drowingspeed:5.8mm/S 参考文献 0.007 1)玩立群・今村康博・丸茂康男・済木弘行:熊 LubricOn↑:w-69A 本大学工学部研究報告,Vb、50,No.1(2001),1. 語;'俵型 ● oE、↑二○一①芸①仁一一一CO 60 50 40 30 2 0 0 00 00 0O 0 0 0 % 2『 1:n↑ ociuderl↑ 『 oOeiM 淫さ ● iIl§ 1L 0.001 0 25℃150℃200℃ Diesurfoce↑empero↑ure Fig、22Influenceofinitialdietemperatureongaling thgiew ) 71(