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第15号 廃棄物処理法と企業の廃棄物リスクマネジメント
新エターナル ENVIRONMENTAL INFORMATION No.15 廃棄物処理法と企業の廃棄物リスクマネジメント 2007年6月 三井住友海上・インターリスク総研 廃棄物処理法と企業の廃棄物リスクマネジメント 廃棄物処理法は、豊島、青森・岩手県境と相次ぐ不法投棄事件をきっかけ とした 2000 年 6 月の法改正以降も毎年、同法施行令・施行規則が改正され、 また法違反の際の罰則も強化されてきました。企業等の排出事業者は自社に 加え処理委託先においても廃棄物処理法に基づく運用が確実になされている かどうかを監視しなければならなくなりました。排出事業者にとっては法違 反のリスクが高まる一方、法規制の強化に対応した廃棄物管理の業務負担が 増えており、いかに抜けが無く且つ効率的に同業務を遂行するかが課題にな っています。本情報誌では、まず廃棄物処理法における排出事業者の責任を 確認した上で、排出事業者が抱えるリスクをマネジメントし負担を軽減する 手法を検討し、廃棄物リスクマネジメントとして効果的な手法として産廃処 理業者の登録制度、及び廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度を紹介しま す。 目次 1.不法投棄の現状 P.1 2.排出事業者の責任 P.2 3.罰則 P.4 4.遵法性リスクと企業の廃棄物リスクマネジメント P.4 5.産廃処理業者の登録制度 P.5 6.廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度 P.6 1.不法投棄の現状 廃棄物処理法が強化される背景には、依然として減らない不法投棄の問題があります。国 内の産業廃棄物の不法投棄状況を示す【図表 1】不法投棄件数及び投棄量の推移によれば、 平成 12 年(2000 年)6 月の不法投棄現場の原状回復責任に関する法改正後の平成 13 年度(2001 年度)をピークに、平成 14 年度以降の投棄件数は減少傾向にあります。一方、不法投棄量は 平成 13、14 年度は平成 12 年度以前に比較し減少していましたが、平成 15、16 年度は、岐阜 市、沼津市でそれぞれ大量不法投棄事案が発生し、平成 7 年以降の経年変化でみた場合は、 残念ながら減少傾向にはありません。不法投棄の実行者は、排出事業者から委託を受けた処 分業者の場合が多いことから、排出事業者としては、悪質な処分業者の見極めが重要になっ ています。 【図表1】不法投棄件数及び投棄量の推移 出典:環境省『平成 18 年版 図で見る環境白書』2006 年 6 月 19 日発行 1 2.排出事業者の責任 廃棄物処理法では不法投棄を防止するために適宜法規制内容が強化されてきましたが、そ の中で排出事業者の責任も強化されてきました。廃棄物処理法では事業活動に伴って生じた 産業廃棄物について「自らの責任において適正に処理しなければならない」と規定していま すが、自己処理の他、他人に処理を委託する委託処理が認められています。ただし処理委託 をする場合は排出事業者には次のような法的義務が課されています。 (1) 保管基準遵守義務(法 12 条第 2 項) 排出事業者には産業廃棄物の保管基準を守る義務が課せられています。その保管基準 は以下の通りです。 1)周囲に囲いが設けられていること。なお囲いには基準が設けられている。 2)見やすい場所に掲示板が設けられていること。なお掲示板には要件が設けられてい る。 3)保管場所から産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発生 しないように決められた措置を講ずること。 4)保管場所には、ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにす ること。 5)保管高さの基準に従うこと。 6)保管量の上限基準に従うこと。 (2) 遵法委託義務(法 12 条第 3 項) 排出事業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する場合は、都道府県知事から事業許可 を受けた処理業者に委託しなければなりません。なお処理は工程別に収集運搬、中間処 理、最終処分に区分され、それぞれ事業許可を受けなければ営めないことになっていま す。 産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については都道府県知 事から事業許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処 分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞ れ委託しなければならない。 (3) 委託基準遵守義務(法 12 条第 4 項) 「事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準 に従わなければならない。」とされており、政令によれば排出事業者は処理業者の取扱許 可品目の範囲内で処理委託をしなければなりません。また処理委託事業の許可は 5 年間 に区切られており、無許可期間中に処理委託業者に委託することがないよう注意・監視 しておかなければなりません。さらに排出事業者は収集運搬業者、処分業者とそれぞれ 直接、書面で契約を結ばなければならず、書面への記載事項が定められています。なお 2 契約書面と及びその添付書面は、契約終了日から 5 年間保存しなければなりません。 (4) マニフェスト交付・管理・注意・保存義務(法 12 条の 3 第 1,5,7,8,9 項) マニフェスト(「産業廃棄物管理票」のこと。)は、排出事業者が交付しなければなり ません。また排出事業者はマニフェストの写しを期限内に受け取るように運用管理し、 期限を超えた場合は都道府県知事に報告するなどの管理をしなければなりません。運用 管理上の期限は下記の通り規定されています。また排出事業者は受け取ったマニフェス トの写しを受け取った日から5年間保存しなければなりません。 管理票交付者は、管理票の写しの送付を受けないとき[管理票の交付の日から、①90 日以内にその写し(B2,D 票)の送付を受けないとき、あるいは②180 日以内に最終処 分が終了した旨記載された管理票の写し(E 票)の送付を受けないとき]又は規定す る事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送 付を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握 し、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講じるとと もに、規定期間を経過した日から 30 日以内に都道府県知事に報告しなければならな い。 (5) 適正処理の努力義務(法 12 条第 5 項) 排出事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物につ いて発生から最終処分が終了するまでの一連の処理行程における処理が適正に行われる ために必要な措置を講ずるように努めなければなりません。このため排出事業者は、産 業廃棄物の処理が適正に行われていることを注意・監視する必要があり、具体的な方策 としては、収集運搬、中間処分、最終処分の各状況を確認するために現場を視察するこ となどが考えられます。 また該当する一部の排出事業者には、次のような法的義務が課されています。 (6)多量排出事業者の義務(法 12 条第 7 項) 前年度の産業廃棄物の発生量が 1,000 トン以上になった事業場を持つ排出事業者は、 「多量排出事業者」に該当し、当該事業場における産業廃棄物の減量や、その処理に 関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければなりません。 (7) 電子マニフェストに係る登録義務(法 12 条の 5 第 1 項) マニフェストには紙マニフェストと電子マニフェストがあります。電子マニフェスト のメリットとしては、排出事業者にとって情報管理の合理化ができ、またマニフェスト の写しの送付期限について IT を活用して自動的に注意喚起されることなどが挙げられ ます。なお電子マニフェストの運用開始にあたっては、排出事業者、収集運搬業者、及 3 び処分業者すべてが電子化対応に切り替える必要があります。そしてもし排出事業者が 電子マニフェストの運用を開始する際は「情報処理センター」に登録しなければなりま せん。 3.罰則 廃棄物処理法では、罰則が第 25 条から第 34 条に規定されています。そのうち排出事業者 に関する主要な罰則は以下の通りです。 (1)無許可業者への委託(法第 25 条第 6 項) 産業及び一般廃棄物を無許可業者へ委託したものは、5 年以下の懲役、もしくは 1,000 万円以下の罰金が課されます。 (2)不法投棄(法第 25 条第 14 項) 産業及び一般廃棄物を不法投棄したもの、あるいは不法投棄未遂のものは、5 年以下 の懲役、もしくは 1,000 万円以下の罰金、またはこれらが両方課されます。法人に対し ては1億円以下の罰金が課されます。 (3)マニフェストの交付義務違反、記載義務違反、虚偽記載(法第 29 条第 3 項) マニフェストを交付しなかったもの、規定事項を記載しなかったもの、もしくはマ ニフェストに虚偽の記載をして交付したものは 50 万円以下の罰金、または 6 ヶ月以下 の懲役が課されます。 (4) マニフェストの写しの保存義務違反(法第 29 条第 7 項) 処理業者から送付されたマニフェストの写しを保存しなかったものは 50 万円以下の 罰金、または 6 ヶ月以下の懲役が課されます。 4.遵法性リスクと企業の廃棄物リスクマネジメント ここでは廃棄物処理法に関連する排出事業者にとってのリスクを確認し、企業における廃 棄物リスクマネジメントを検討します。前記「2.排出事業者の責任」及び「3.罰則」に よれば、リスク項目としては大きく以下の3点が挙げられます。 (1)処理委託先の法違反により、排出事業者に遡って課される法違反のリスク (2)毎年のように法施行令・施行規則の改正が実施され、排出事業者自身で最新の廃 棄物処理法関連の改正情報をフォローしきれないリスク (3)マニフェストの細かな管理を含め遵守すべき事項が多く、排出事業者自らが法違 反を犯しかねないリスク そして法違反を犯したときに負担するコストは、前記「3.罰則」にあるように最大で 1,000 万円(法人では 1 億円)の罰金を課される可能性もあります。 このような法違反リスクを低減するために、排出事業者は遵法性を担保した廃棄物管理体 制を確立した上で、適正に廃棄物管理業務を実施することが望まれます。廃棄物管理業務と 4 して具体的にリスクマネジメント上重要なのは、前記の(1)∼(3)の各リスクを低減す るための以下の業務の適正実施です。 (1)→ ・処理委託先の収集運搬・中間処分・最終処分の実施状況の監視 ・委託契約価格の適正性確認 (2)→ ・法規制・条例の改正情報の監視 ・マニフェストの運用管理 (3)→ ・処理委託契約書内容の適法性管理 ・処理委託先の各種許可証の許可内容と許可有効期限の管理 一方、廃棄物管理業務の適正化を図ると、同業務の負担を増加させることが懸念されます。 遵法性を確保し、かつ業務を効率化するには、各業務プロセスについて、その業務特性に応 じて自動化・ルーティン化するなどの効果的な施策を実施することが必要となります。例え ばマニフェストの写しの回収期限や処理委託先の各種許可証の期限を対象にして、有効期限 が来れば知らせるように PC 上で設定するなどの工夫が考えられます。 最後に、廃棄物リスクマネジメントと業務の効率化に有効な制度としてごく最近に発足し た産廃処理業者の登録制度、及び廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度について説明しま す。 5.産廃処理業者の登録制度 産廃処理業者の登録制度が法制化され、2005 年 4 月 1 日より各都道府県にて同制度の運用 が開始されました。同制度のポイントは評価基準に適合した産廃処理業者の情報にインター ネット上でスピーディにアクセスできることにあります。以下に、同制度の概要を説明しま す。 (1)産廃処理業者の優良性評価適合基準 産廃処理業者の優良性評価適合基準は以下の3点で、産廃処理業者が本制度に登録され るためにはこれらの基準をすべて満たす必要があります。 1)過去 5 年間に環境関連法令の違反がないこと 2)事業許可内容、施設や処理の状況、直前3年間の財務諸表などの情報をインターネ ット上で公開していること 3)「環境大臣が定める認証制度」としてのISO14001規格、エコアクション21及びこ れと相互認証されたマネジメントシステム(注1)に適合していること (注1)2007年4月1日時点で、エコアクション21と相互認証されているマネジメントシステムには、 「北海道環境マネジメントシステム」、及び「みちのく環境管理規格認証」があります。 5 (2)登録制度のメリットと留意点 排出事業者が同制度を活用する際のメリットと留意点を説明します。 1)メリット 産業廃棄物の処理を新たに委託する、あるいは産廃処理業者を切り替える場合、イン ターネット上でスピーディに処理委託先候補の遵法性や財政状況を確認できます。 2)留意点 評価制度が産廃処理業者の優良性そのものを認定するものではなく、あくまでも評価 基準への適合性を評価するものであり、産廃処理業者が不法行為や不適正処理を行わな いことを都道府県が保証するものではありません。 自らの判断で適切な産廃処理業者の 選定を行うことが必要になります。 (3)適合産廃処理業者の情報サイト 財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団が運営する 産廃情報ネット に、 優良性の評 価に適合する産廃処理業者として2007年6月15日の時点で424社が認定されており、その情 報が開示されています。また 産廃情報ネット では今回の「産廃処理業者の登録制度」 の詳細を解説した環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課作成の「産業廃 棄物処理業者の優良性の判断に係る評価制度の解説」等が閲覧できます。 産廃情報ネット のアドレスは次の通りです。 http://www.sanpainet.or.jp/HomePage/Buisiness05/tekigo01.htm (4)産廃処理業者にとってのメリット 評価基準に適合する産廃処理業者にとってのメリットとしては、一部の許可申請書類の 提出を省略できることや、ホームページを通じて自社名が広く一般に公表されることから 事業拡大に結び付けられるチャンスが増えることが挙げられます。 6.廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度 2004 年 9 月産業構造審議会環境部会にて、廃棄物問題に企業経営の観点からいかに取り組 むべきかについて『排出事業者のための廃棄物・リサイクルガバナンスガイドライン』が策 定・公表されました。その後、このガイドラインをサプライチェーンやステークホルダーと の関係まで含めて現在の企業体制に合うように制度設計し直し、循環型社会の推進に向けて 産業環境管理協会にて制度として事業化したものが 度 廃棄物・リサイクルガバナンス登録制 です。同制度を活用するポイントは、排出事業者自身がどの程度の廃棄物・リサイクル ガバナンスレベルにあるかを自己チェックできる点にあります。以下に、同制度の概要他を 説明します。 6 (1) 廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度 の概要 排出事業者が廃棄物管理とリサイクルのガバナンス体制をどの程度整備できているかを 自己評価し、あるレベル以上であれば事業者名を登録してレベルを公表する制度です。経 営者にはガバナンス体制に関する記述形式の 4 項目、廃棄物等管理担当部門及び現場の廃 棄物等管理担当者には YES・NO の回答形式の 63 項目及び 66 項目が用意されています。 経営者、廃棄物等管理担当部門及び現場の廃棄物等管理担当者の回答が、それぞれ 2:4: 4 の重み付けで配分されており、総合的に YES の回答率が 60%以上をブロンズ、70%以 上をシルバー、80%以上をゴールドとしてクラス分け登録が行われています。なお、廃棄 物等管理担当部門及び現場の廃棄物等管理担当者両方とも 50%以上 YES 回答でなければ 登録対象にはなりません。 (2) 廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度 のメリットと活用法 排出事業者にとって同制度を活用するメリットは、制度上の登録をせず、排出事業者自 身がどの程度の廃棄物・リサイクルガバナンスレベルにあるかを自己評価するツールとし ても活用できる点にあります。 活用法としては、産業環境管理協会のホームページの 登録制度 廃棄物・リサイクルガバナンス から登録シートをダウンロード(無償)し、経営者による記述表、及び YES・ NO 評価用チェックシート(【図表2】に例示)に記入すれば、下記の 2 種類の図が表示さ れ、自己評価用に活用できるというものです。 ① 廃棄物等管理担当部門、現場の廃棄物等管理担当者に関する情報管理、教育などカ テゴリー毎の構築度合いを示すレーダーチャート(【図表3】に例示) ② 及び経営者、廃棄物等管理担当部門及び現場の廃棄物等管理担当者のガバナンス構 築度合いのマップ(【図表4】に例示) なお 廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度 http://www.wrg..jemai.jp/ 7 のアドレスは下記の通りです。 【図表2】評価用チェックシートの例 現場の廃棄物管理等担当者に係る登録項目 「廃棄物・リサイクルガバナンス」の取組状況の登録項目の中で YES に該当する場 合は,YES の欄に半角の 1 を記入して下さい。 社内体制 (社内体 制・日常業 務管理) 番号 項目 1 事業所に当該事業所の廃棄物・リサイクルの取組みを担当する部門があ りますか?または、担当者がいますか? Yes の方にお聞きします。上記の管理部門または、担当者は、以下の業 務を担当していますか? 2 廃棄物の流れ(排出、分別、処理・リサイクルの実態)の把握 3 分別管理のルール化、従業員への教育・啓発(周知)、実績の集計 4 分別または排出・保管場所等の環境(設備等)整備 5 廃棄物保管場所等の巡回監視 6 廃棄物・リサイクル業者の選定時または委託契約後の定期的な現地調査 8 マニフェストの運用(交付、回付期限管理、保管等)管理 9 日常業務の改善に関する活動 【図表3】カテゴリー毎の構築度合いに関するレーダーチャートの例 8 Yes 【図表4】ガバナンスの構築度合いに関するマップの例 (3) 廃棄物・リサイクルガバナンスの体制と仕組み 廃棄物・リサイクルガバナンスの体制と仕組みは、次頁の【図表5】で示すように以下 の 3 つを柱としています。 1)社内体制の構築 社内体制としては、企業経営者の積極的な関与が重要です。企業経営者は廃棄物・リサ イクルガバナンスの重要性を認識し、全社への浸透と社外コミュニケーションの役割を担 っています。具体的には、廃棄物等管理担当部門に予算や権限等を割り当てるとともに全 社的な取組を指示します。廃棄物等管理担当部門は、経営者の指示を受け各社の実情に即 して社内体制を構築します。現場の廃棄物等管理担当者は、廃棄物等管理担当部門からの 全社的ルールの伝達を受けつつ、日常業務を適正に実施し、適宜実施報告をします。 2)幅広い関係事業者との連携・体制構築 関連会社や販売会社などの自社以外からも、自らのブランドマークのついた商品が廃棄 される可能性があります。このため、廃棄物・リサイクルガバナンスの構築にあたっては、 関連会社や販売会社等の幅広い企業に協力を求めることが重要です。また排出事業者にと って、廃棄物処理・リサイクル業者との連携は廃棄物・リサイクルガバナンスを構築する 上での鍵といえます。現地調査等を行い廃棄物処理・リサイクル業者を適切に選定すると ともに、廃棄物処理・リサイクル業者と連携をとり、より適切な廃棄物処理・リサイクル を行うことができるように情報共有や意見交換等を行うことが重要です。 9 3)自社の取組状況の情報発信・情報共有(社外コミュニケーション) 自社の取組状況を、顧客・消費者、株主等の投資家、及び自治体を含む地域社会等に情 報発信・情報共有していくことが求められています。その手法として、例えば環境報告書 の発行や工場の場合は地域住民を招いての説明会(ステークホルダー・ダイアログ)も効 果的でしょう。その結果、自社の取組に対する適切な評価を受けることもでき、かつ寄せ られた指摘等を踏まえて、廃棄物・リサイクルガバナンスの更なる改善に取組むことも重 要です。 (4) 登録制度の現状 産業環境管理協会の 廃棄物・リサイクルガバナンス登録制度 は、2006 年 12 月 12 日開始されました。2007 年 2 月 1 日から 28 日にかけて登録制度の第 1 次募集があり、 その結果、5 社 29 組織がゴールドとして登録されました。今後は、第 2 次募集 2007 年 6 月1日∼7 月 31 日、第 3 次募集 2007 年 9 月 1 日∼10 月 31 日、第 4 次募集 2008 年 1 月 1 日∼2 月 29 日の順で予定されています。 10 【図表5】廃棄物・リサイクルガバナンスの体制と仕組み 3)自社の取組状況の 1)社内体制の確立 情報発信・情報共有 情報発信(取組成果の公表) 経営者 顧客・消費者 投資家 双方向コミュニケーション 経営理念の提示 全社的取組の指示 人員・予算の確保 地域社会 廃棄物マネジメ ントの進捗状況 報告 市場・社会からの評価 廃棄物等管理担当部門 2)幅広い関係事業者と の連携・体制構築 全社的ルールの伝達 日常的な作業 現場の廃棄物等管理担当者 リサイクル 最終処分 廃棄物等の リサイクル の確認 中間処理 廃 棄 物 等 の最 終 処 分 ま での 確認(コンプラ イアンス) 収集・運搬 サプライチェーン上の 廃棄物に係るマネジメント 自社事業活動 原材料調達 関連会社 流通・販売 協力会社 企業グループ全体 での廃棄物等に係 るマネジメント 出典:経済産業省『排出事業者のための廃棄物・リサイクルガバナンスガイドライン』 のデータをもとに、インターリスク総研にて作成 11 参考文献 1.環境省『平成 18 年版 図で見る環境白書』2006 年 6 月 19 日発行 http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/zu/h18/html/vk0604000000.html 2.産廃情報ネット『優良性評価制度』 http://www.sanpainet.or.jp/HomePage/Buisiness05/tekigo01.htm 3.産業環境管理協会『廃棄物・リサイクルガバナンス制度』 http://www.wrg..jemai.jp/ 4.経済産業省『排出事業者のための廃棄物・リサイクルガバナンスガイドライン』 http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/new/041101.html 不許複製 本資料の全部又は一部の複写・転記等に関しては、お手数 ながら、(株)インターリスク総研(03-3259-4283)まで事 前にお問い合せ下さい。 ENVIRONMENTAL INFORMATION 新エターナル No.15 廃棄物処理法と企業の廃棄物リスクマネジメント 発 行 日:2007年6月26日 発 行 者:三井住友海上火災保険株式会社 企 画 編 集:株式会社 インターリスク総研 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3−9 TEL:03-3259-4283 12 FAX:03-3259-6116