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特定健診・特定保健指導の取組み方針
特定健診・特定保健指導の取組み方針 大日本印刷健康保険組合 平成25年3月 【背景及び趣旨】 我が国は国民皆保険制度のもと、高い保健医療水準を誇り、世界最長の平均寿命を達成 してきた。しかし、急速な少子高齢化や医療費の増加などの環境変化の中、医療保険制度 を堅持し、将来にわたり持続可能なものとしていくため、その構造改革が急務となっている。 このような状況に対応するため、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて、健康 保険組合は40~74歳の被保険者及び被扶養者に対し、糖尿病等の生活習慣病に関する 「特定健診」及びその結果により健康の保持に努める必要がある者に対する「特定保健指 導」を実施することとされた。 本取り組み方針は、大日本印刷健康保険組合の特定健診等の実施に関する基本的事項 並びに特定健診等の達成目標・対象者・実施方法等に関する基本的事項について定める ものである。 尚、「高齢者の医療の確保に関する法律」第19条により、5年を一期として、5年ごとに、 「特定健診・特定保健指導の取組み方針」を定めるものとされており、本計画は第 2 期計画 として位置づけるものとする。 【大日本印刷健保組合の現状】 大日本印刷健康保険組合(以下当健保と称する)は、印刷事業において、情報コミュニケ ーション、生活・産業、エレクトロニクスの各部門に関連する事業等を主たる業とする事業所 が加入している健保組合である。 平成 25 年度の事業所数は69個所で、全国15都道府県に所在するが、支店や営業所は 全国に点在しており、40歳~74歳の被保険者及び被扶養者の半数以上は、東京近郊に 勤務している。 加入事業者は、大日本印刷㈱をはじめDNPグループ関連会社で、被保険者数でみると 数人から 3000 人を超える事業所まで様々で、1事業所あたりの平均被保険者数は、約 560 人である。当健保に加入している被保険者は、平均年齢が 39.7 歳で、男性が全体の 8 割を 占め、逆に被扶養者は7割弱が女性である。 被保険者の健診については、診療所の設置されている事業所については直営診療所に おいて、直営診療所の設置されていない事業所については健診業者に委託して実施して いる。 当健保の直営診療所は現在東京都新宿区市谷にあるメインの診療所を含め東京近郊に 11 ケ所、その他名古屋、大阪、京都、奈良、岡山、三原に各 1 ヶ所、合計17 ケ所設置して いる。 診療所の設置されていない地域については、健診及びそのフォローを推進するため、そ の地域の医療及び健診機関と契約を結び、その機関を通じて受診の督励や受診後の健康 管理、治療の勧奨を行っている。被保険者の健診は、原則として当健保が全て受託し、安 衛法上の健診項目と生活習慣病項目を実施している。 被扶養者の健診については、40歳以上の方を対象に「集合契約による健診」「巡回健診」 「施設健診」の3つの健診を提供している。 被保険者、被扶養者とも、より充実した検査を希望する場合は、当健保直営人間ドック施 設と、全国27の外部契約人間ドックを利用できるようにしている。さらに加入者が居住地近く で受診できるよう、償還払い方式の人間ドック受診制度も設けている。 1 【DNPグループ健康づくり施策における位置付け】 健康の確保は、本来個人一人ひとりが主体的に取組む課題であるが、永続的な企業発展 と社員のこころ豊かな生活の実現を目指す会社にとっても、社員の健康の確保と活力の醸 成は重要な課題である。 当健保は、この度新たに法定化された「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて 行う「特定健診・特定保健指導」を実施するにあたっては、効率的な運用を行うため、DNP グループの健康づくり施策の一環と位置付け、当健保加入者の健康保持・増進施策として、 事業主の協力を得て積極的に推進していく。 【第 1 期における特定健診・特定保健指導の実績】 (1)第1期の特定健診の実績 被保険者 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 対象者人数 15,501 16,109 16,941 17,798 18,475 実施者人数 11,576 13,899 14,593 16,598 17,447 実施率(%) 74.7% 86.3% 86.1% 93.3% 94.4% 目標実施率(%) 95% 95% 95% 95% 95% 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 対象者人数 7,508 7,724 8,036 8,216 8,367 実施者人数 2,732 2,937 2,854 3,507 4,000 実施率(%) 36.4% 38.0% 35.5% 42.7% 47.8% 目標実施率(%) 40% 45% 50% 55% 60% 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 対象者人数 23,009 23,833 24,977 26,014 26,842 実施者人数 14,308 16,836 17,447 20,105 21,447 実施率(%) 62.2% 70.6% 69.9% 77.3% 79.9% 目標実施率(%) 77.1% 78.8% 被扶養者 合計 79.6% 81.4% 83.3% 参考)国の参酌標準実施率 78.0% 被保険者の健診については、約 5 年間で 20%近く実施率を上げ、目標実施率の 95%に 対し、平成 24 年度の実施率は 94.4%と、ほぼ目標に近いところまで来ている。 被扶養者の健診については、30%台後半で移行していたが、平成 23 年度以降にさまざ まな受診促進策を実施した結果、ようやく 40%を越えることができた。しかし、平成 24 年度の 実施率は 47.8%と目標の 60%を下回っており、さらなる受診促進が必要と考えられる。 被保険者と被扶養者を合わせた全体の受診率については目標の 83.3%に対し、平成 24 年度で 79.9%であり、やや目標を下回るペースとなっている。 2 (2)第1期の特定保健指導の実績(被保険者+被扶養者) 対象者人数 実施者人数 実施率(%) 目標実施率(%) 20年度 3,167 0 0% 5% 21年度 3,617 63 1.7% 15% 参考)国の参酌標準実施率 45% 22年度 23年度 24年度 3,815 4,221 4,360 42 63 182 1.1% 1.5% 4.2% 25% 35% 45% 特定保健指導の実施率は、毎年1%台で推移していたが、平成 24 年度には 4.2%実施 した。しかし、依然として目標とはかけ離れている。 (3)第1期におけるメタボリックシンドロームの該当者の率 被保険者 メタボリック判定 対象人数 メタボリック 人数 該当者 対象率(%) メタボリック 人数 予備群 対象率(%) 人数 非該当 対象率(%) 20年度 11,774 1,868 15.9% 1,898 16.1% 8,008 68.0% 21年度 13,937 2,191 15.7% 2,261 16.2% 9,485 68.1% 22年度 14,708 2,429 16.5% 2,352 16.0% 9,927 67.5% 23年度 16,604 2,676 16.1% 2,689 16.2% 11,239 67.7% 24年度 17,463 2,677 15.3% 2,846 16.3% 11,940 68.4% 20年度 2,739 146 5.3% 152 5.5% 2,441 89.2% 21年度 2,981 139 4.7% 133 4.5% 2,709 90.8% 22年度 2,891 118 4.1% 99 3.4% 2,674 92.5% 23年度 3,522 150 4.3% 148 4.2% 3,224 91.5% 24年度 4,002 193 4.8% 165 4.1% 3,644 91.1% 20年度 14,513 2,014 13.9% 2,050 14.1% 10,449 72.0% 21年度 16,918 2,330 13.8% 2,394 14.2% 12,194 72.0% 22年度 17,599 2,547 14.5% 2,451 13.9% 12,601 71.6% 23年度 20,126 2,826 14.0% 2,837 14.1% 14,463 71.9% 24年度 21,468 2,870 13.4% 3,011 14.0% 15,587 72.6% 被扶養者 メタボリック判定 対象人数 メタボリック 人数 該当者 対象率(%) メタボリック 人数 予備群 対象率(%) 人数 非該当 対象率(%) 被保険者+被扶養者 メタボリック判定 対象人数 メタボリック 人数 該当者 対象率(%) メタボリック 人数 予備群 対象率(%) 人数 非該当 対象率(%) 平成 20 年度から平成 24 年度までの 5 年間を通し、メタボリックシンドロームの該当者・予 備群ともに 14%前後で横ばい状態である。従って、概ね全対象者の約 28%がメタボリックシ ンドロームに該当するか予備群ということになる。 被保険者、被扶養者毎に見ると、被保険者は該当者・予備群ともに 16%前後で推移して いるのに対し、被扶養者は 4~5%で推移しており、大きな差が生じている。 3 Ⅰ.第 2 期の特定健診等の実施に関する基本的事項 1.第 2 期の全国目標 「特定健康診査等実施計画作成の手引き(厚生労働省保険局)」によると「平成 25 年度か ら平成 29 年度の特定健診・保健指導の実施率の目標は第 1 期と同様にそれぞれ 70%、 45%」となっている。しかし、詳細において保険者種別毎の目標は以下の表のとおりとな っており、単一組合は、特定健診が 90%(1 期の目標は、当組合においては 78%)、特定 保健指導は 60%(第 1 期は 45%)といずれも第 1 期より高い設定になっている。 <保険者種別毎の目標> 保険者種別 特定健診の 実施率 特定保健指 導の実施率 全国目標 市町村 国保 国保組合 きょうかい 健保 単一建保 総合健保 共済組合 70% 60% 70% 65% 90% 85% 90% 45% 60% 30% 30% 60% 30% 40% 2.当健保組合の特定健診・保健指導の第 2 期の実施についての基本的考え方 ①特定健診 上記目標受診率が達成できるよう、第1期に引き続き受診促進策を展開していく。 ②特定保健指導 いまだ実施率が、数パーセントに過ぎず、充分に実施されているとはいえない状況であ る。今後は事業主に理解と協力を仰ぎ、DNP グループ全体として取り組んでいく。 ③特定健診受診後の健康管理のあり方 特定保健指導以外の施策も検討していく必要があると考えている。被保険者、被扶養 者ともに、健診後の「要治療者」をフォローする体制づくりの確立が急がれる。 ④健康意識の向上策 DNP 健康情報管理室における健康関連セミナーの開催(ハイリスクアプローチ)や、現 在グループ全体で実施している「健康チャレンジキャンペーン」(ポピュレーションアプ ローチ)を通し、健康に対する意識向上を図っていく。 ⑤蓄積データの活用 特定健診・特定保健指導は、制度発足から5年を経過し、現在、健診データについて は5年分が蓄積されている。第2期では、この健診データを活用、分析することで、これ までの保健事業の見直しや、優先順位付けを行っていくことが可能と考えている。 4 Ⅱ.特定健診等の達成目標・対象者数・実施方法等に関する事項 1.特定健診等の達成目標 及び 対象者数 (1)特定健診 被保険者 対象者人数 目標実施率(%) 目標実施人数 被扶養者 対象者人数 目標実施率(%) 目標実施者人数 被保険者+被扶養者 対象者人数 目標実施率(%) 目標実施人数 25 年度 19,290 95% 18,326 26 年度 20,062 95% 19,059 27 年度 20,834 95% 19,793 28 年度 21,607 95% 20,527 29 年度 22,379 95% 21,261 25 年度 8,724 60% 5,234 26 年度 8,967 65% 5,829 27 年度 9,211 70% 6,448 28 年度 9,454 75% 7,091 29 年度 9,698 78.5% 7,609 25 年度 28,014 84.1% 23,560 26 年度 29,030 85.7% 24,888 27 年度 30,046 87.3% 26,241 28 年度 31,062 88.9% 27,618 29 年度 32,078 90% 28,870 (2)特定保健指導 被保険者+被扶養者 特定健診対象者数 25年度 28,014 3,348 10% 335 1,979 10% 198 5,328 10% 533 26年度 29,030 3,479 20% 696 2,053 20% 411 5,532 20% 1,107 対象者人数 積極的支援 目標実施率(%) 目標実施人数 対象者人数 動機付支援 目標実施率(%) 目標実施人数 対象者人数 合計 目標実施率(%) 目標実施人数 *積極的支援の該当率を 12% *動機付支援の該当率を 7% で試算 27年度 30,046 3,610 30% 1,083 2,127 30% 638 5,737 30% 1,721 28年度 31,062 3,741 40% 1,496 2,201 40% 880 5,942 40% 2,376 29年度 32,078 3,872 60% 2,323 2,275 60% 1365 6,147 60% 3,688 (3)特定健診等の成果に係る目標 平成 29 年度において、メタボリックシンドロームの該当者+予備群を平成20年度に 対して 25%以上減少させる。 5 2.特定健診・保健指導の実施方法 (1)実施場所 被保険者の特定健診については、現行通り事業主健診として、各事業所ごとに診療所ま たは委託業者で実施する。特定保健指導については、各診療所をはじめとして、対象者の 身近な場所で行っていく。 被扶養者の特定健診・特定保健指導については、居住地の近くの健診施設又は、健診会 場で実施する。 (2)実施項目 被保険者については、標準的な特定健診項目を含めて既に決定した大日本印刷グルー プ共通の基準項目を実施する。 被扶養者については、①集合契約は、「特定健診項目」 に限定して実施し、②生活習慣病健診(巡回健診・施設健診)は、一部のがん検査や婦人 科検査を付加する。 被保険者 計測 問診 身長 体重 BMI 腹囲 血圧 心電図 胸部X線 胃部X線 眼科 視力 眼底 聴力 血算 赤血球 血色素 ヘマトクリット 血小板数 赤血球色素量 赤血球色素濃度 肝機能 赤血球容積 白血球 GOT GPT γーGTP 尿素窒素 血清クレアチニン 腎機能 尿蛋白 尿潜血 ウロビリノーゲン 総コレステロール 脂質代謝 中性脂肪 HDLコレステロール LDLコレステロール 尿酸 糖代謝 尿糖 空腹時血糖 ヘモグロビンA1c 便潜血 子宮頚部細胞診 マンモグラフィ 乳がん検査 乳房エコー 備考 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 被扶養者 集合契約 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ● 生活習慣病健診 (施設健診・巡回健 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ ● ○ ● ○ ● ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ △ ●は医師の判断で実施 △はオプション検査 6 (3)受診時期 被保険者は従来通り各事業所で決めた時期に年1回受診する。 被扶養者には、受診案内を毎年 5 月に送付し、その年度(翌月 3 月まで)に1回受診する。 (4)受診方法(委託の有無含む) ①特定健診 被保険者については従来通り各診療所、あるいは委託健診業者にて、安衛法上の健 診の中に含めて行う。 被扶養者については、受診希望者が、①集合契約②巡回健診③施設健診のいずれ かを選択し、各手順に従い、予約を行う。 ②特定保健指導 被保険者については、各製造拠点を中心に事業主経由で対象者に通知し、主に DNP グループ会社の管理栄養士が委託業者と連携して保健指導を行う。 被扶養者については、全国での実施が可能な保健指導業者に委託するが、年度毎 の保健指導状況、保健指導機関の技術水準や充足状況、被扶養者の希望等を勘案し て随時業者の見直しを検討する。 (5)特定健診・特定保健指導データの受領方法 被保険者については、契約健診機関・契約保健指導機関―事業主―当健保の経由にて 行う。 被扶養者については、契約健診機関・契約保健指導機関又は他の健保-代行機関又は 本人-当健保の経由もしくは当健保への直送にて行う。 特定健診・特定保健指導のデータの保管年数は、法又は省令等により定められたもの以 外は5年間とする。 3.受診率の向上策 被扶養者の特定健診受診者は 3 割~4 割となっており、第2期においても引き続き、被扶 養者の特定健診受診者を増やすことが必要なので、以下の受診促進を行う。 ①年間を通して文書やメール、電話による受診勧奨通知を複数回実施する。 ②施設健診、巡回健診の場所を増やし、自宅から気軽に行ける環境を整備する。 ③案内文書を見直し、分かりやすく伝えるよう工夫を重ねる。 ④特定健診の必要性をホームページや機関紙などのツールで PR する。 7 4.個人情報の保護 当健保は、大日本印刷健康保険組合個人情報保護管理規定を遵守する。 当健保及び委託された健診・保健指導機関は、業務によって知り得た情報を外部に漏ら してはならない。 当健保組合のデータ管理者は常務理事とする。またデータの利用者は当健保の職員で 業務を担当する者、又は当健保が認めた者に限る。 外部委託する場合は、データ利用の範囲・利用者等を契約書に明記することとする。 5.公表・周知 本取組みについての周知は、当健保の機関紙やホームページに掲載して周知する。 また関連する資料等については、事業主・被保険者を経由して配布する。 6.評価及び見直し 本取組み内容については、毎年特定健診・特定保健指導実施後、見直しを行う。 また、平成 27 年度に3年間の評価を行い、目標と大きくかけ離れた場合、その他必要が ある場合には見直すこととする。 7.その他 当健保に所属する保健師等については、特定健診・特定保健指導等の実践養成のため の研修に随時参加させる。 以 上 8