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レポートの要約(サマリ)はこちら
2009 年 10 月 20 日
有限会社ナビアン
取締役社長 安藤 嘉泰
〒167-0041東京都杉並区善福寺2-18-2
Tel.03-5303-1303Fax.03-5303-1304
http://www.navian.co.jp/
UMTS 本格普及期におけるセルラー端末と高周波部品・モジュール市場
~Duplexer や Duplexer を使用した Front end Module などの市場が急拡大へ~
ナビアンでは、携帯電話をはじめとした“Cellular Terminal”の生産動向や、これらに
使用される高周波部品・モジュールの動向をまとめた調査レポート「RF Devices/Modules
For Cellular 2008-2009」を発刊した。
本レポートでは、従来の携帯電話に加えて、近年成長著しい Smart Phone や WWAN 端
末(アダプタ/モジュール)を含めて“Cellular Terminal”とし、その生産規模を算出した。
WWAN(Wireless Wide Area Network)端末とは、主に Notebook PC をセルラーネット
ワークに接続する為のもので、USB スロット等に挿入して使用される WWAN アダプタと
Notebook PC に内蔵される Mini PCI タイプの内蔵モジュールがある。
この他、FWT(Fixes Wireless Terminal)と呼ばれる GSM や CDMA といったセルラ
ー網を利用する固定型無線電話も Cellular Terminal に含めてカウントしている。
Cellular Terminal の分類
WWAN Terminal
WWAN Adapter
ZTE U350 TD-SCDMA
Smart Phone
WWAN Embeded Module
ERICSSON F3507 UMTS/GSM
NOKIA
M85 UMTS/GSM
Cellular Terminal
WWAN Terminal
Mobile Phone
Huawei ETS 2208 CDMA
SAMSUNG E1100H
Notes
Adapter/Dongle
Notebook PC向けのUSBやPCカード(PCMCIA)タイプのWWAN
Terminal。アンテナまで内蔵、3G規格対応製品が大半。
Embedded Module(Mini PCI)
Notebook PCなどに内蔵されるタイプのWWAN Terminal。
標準搭載するNotebook PCが増加傾向に。(Mini PCI express)
APIが公開されている汎用OSを採用。
ネイティブソフトがアドオンで利用可能。
音声通信を中心とした従来型の携帯電話。
データ通信も可能な製品が大半になっている。
固定電話をCDMAやGSMのセルラー網で実現。
新興国において、有線電話インフラより導入が容易とされる。
Smart Phone
Traditional Handset
Traditional Handset
Fixed Wireless Terminal
Mobile Phone
Fixed Wireless Terminal
本レポートでは、Cellular Terminal を3つに分類し、その生産動向やメーカーシェアを算出している。
WWAN Terminal の Adapter/Dongle と Embedded Module、Traditional Handset の Mobile Phone と Fixed Wireless
Terminal の内訳は、今回のレポートでは算出していない。
また、これらをベースに、各種高周波部品/モジュールの需要動向について分析した。
1
■WWAN 端末などを加えた Cellular Terminal の生産台数は、2013 年 20 億台超へ
Cellular Terminal の生産規模は、2009 年で 14 億 1,900 万台と前年比でほぼ横ばいの規
模を見込む。
いわゆる“携帯電話”の生産・出荷規模は、2008 年が 12 億台程度、2009 年が 11 億台
程度というのが、関連業界における大方の認識だ。これは、NOKIA などの大手携帯電話メ
ーカーや大手調査会社による携帯電話市場見通しをベースとしたもので、Cellular 用高周
波部品・モジュールの需要実情とは大きくかけ離れたものとなっている。
これは、有効な統計の存在しない中国の山寨機(いわゆるホワイトボックス)や WWAN
端末などが、一般的な携帯電話の生産・出荷データには含まれていないためだ。
景気減速の中、Cellular Terminal の生産台数が前年並みを維持するのは、これら“統計
外の端末”の堅調な需要が少なからず影響している。
景気後退で減少傾向にある音声通信主体の従来型携帯電話が前年比横ばい程度まで回復
すれば、2010 年以降、Smart Phone と WWAN Terminal の成長分で、一定規模の生産拡
大を期待できそうだ。
2013 年における Cellular Terminal の生産規模は、20 億 5,650 万台と予測した。2008
年からの年平均成長率は 7.8%となるが、Smart Phone 以外の従来型の“携帯電話”の年平
均成長率は 1.7%の伸びに止まる。一方、WWAN Terminal の年平均成長率は 44.3%で 2013
年に 3 億台に、Smart Phone の年平均成長率は 25.5%で 2013 年に 4 億 2,750 万台と、高
い成長が予想される。
Cellular Terminal の総生産台数推移と予測
2,000.0
セルラー市場の牽引役は、音声端末か
ら、Smart Ph oneやモバイルブロードバ
ンド(WWAN Module/Adapter)へ移行。
WWAN
1,800.0
1,600.0
Smart Ph one
2,056.5
2 ,0 0 0 .0
1,865.5
1 ,8 0 0 .0
1,695.5
1,528.5
1,361.6
1,400.0
1,409.5
1 ,6 0 0 .0
1,419.0
1 ,4 0 0 .0
-Million units-
Tradition al Handset
1,200.0
1 ,2 0 0 .0
1,109.7
1,000.0
1 ,0 0 0 .0
857.0
800.0
8 0 0 .0
684.0
549.0
600.0
6 0 0 .0
440.3
414.0
345.0
400.0
4 0 0 .0
200.0
2 0 0 .0
0.0
0 .0
CY2000
CY2001
CY2002
CY2003
CY2004
CY2005
CY2006
2
CY2007
CY2008
CY2009
CY2010
CY2011
CY2012
CY2013
■UMTS や LTE など周波数分割による送受切替方式のバンド数が増加
UMTS・LTE といった第3世代以降の Cellular 方式の大半は、送受信の切り替えを周波
数による分波によって行う FDD 方式が採用される。
また、第3世代以降の Cellular 端
末では、第2世代規格との後方互換が当面必須とされ、FDD 方式と GSM などが採用する
TDD 方式(時分割切替)が混在する回路構成となる。送受信切替用のキーデバイスには、
TDD 用にアンテナスイッチ、FDD 用に Duplexer と、異なる部品を要することになる。
更に、第3世代の Cellular 規格で使用される周波数の多様化による多バンド化が進行す
ることで、第3世代以降の Cellular 端末の RF 部は複雑化する。
Cellular Terminal 一台当りのバンド数は、2000 年の 1.7 バンド/台から、2008 年には 3.0
バンド/台に増加し、総バンド数は 6 億 8,380 万バンドから 42 億 5,960 万バンドに拡大した。
今後も、UMTS や LTE による FDD 方式のマルチバンド化の本格化によってバンド数は増
加、2013 年には一台当りのバンド数は 4.9 バンドとなり、総バンド数は 101 億 1,230 万バ
ンドにまで拡大すると予想した。
2008 年における FDD 方式のバンド数は 8 億 6,700 万バンドで、FDD 方式を採用する端
末一台あたりのバンド数は 0.6 バンドに過ぎない。これが、2013 年には FDD 方式を採用
する Cellular 端末一台あたり 1.8 バンドとなり、FDD 方式の総バンド数は 37 億 6,550 万
バンドに拡大する。
Cellular Terminal におけるバンド数(送受切替方式別)推移と予測
10,110.5
10,000.0
FDD Ban d
T DD Ban d
Ban d T OT AL
8,546.5
8,000.0
7,212.5
-Million Bands-
6,345.0
5,789.5
6,000.0
5,538.0
4,670.7
4,843.0
4,259.0
3,809.7
4,000.0
2,962.7
2,189.8
2,000.0
1,576.3
1,105.0
683.5
0.0
582.5
804.8
3,392.0
3,008.5
2,369.5
1,863.8
1,726.5
1,335.8
240.5
3,515.0
2,504.4
904.5
200.5
3,186.6
326.0
3,765.5
4,063.0
458.3
623.1
867.0
1,155.7
CY2000 CY2001 CY2002 CY2003 CY2004 CY2005 CY2006 CY2007 CY2008 CY2009 CY2010 CY2011 CY2012 CY2013
・同一周波数でも異なる規格で使用される場合は別々にカウントしている。例 UMTS PCS/GSM PCS は2バンドでカウント。
・FDD 方式のバンド数は、Duplexer の需要規模とほぼ等しくなる。(PDC と TDMA の一部で Duplexer を使用する端末があるが除外している)
・但し、本レポートの 2007 年までの Duplexer の市場規模は在庫積み増し分などを考慮している為、実需要よりも若干大きくなっている。
3
■Cellular Terminal 用高周波部品・モジュール市場は、2010 年から拡大基調へ
2009 年における Cellular Terminal 用高周波部品・モジュールの市場規模は、前年比
95.3%の 4,472 億 5,000 万円と、減少が見込まれる。
ただ、2009 年の 3 月以降、Cellular Terminal の過度な生産調整及び部品在庫圧縮の反
動から部品発注が急回復していることや、大幅な落ち込みが予想されていた Cellular
Terminal の最終需要も、堅調な中国市場、Smart Phone 及び WWAN Terminal といった
成長分野の顕在化などから、2009 年通年で前年比微減程度に止まるとの声もあり、楽観的
な見方が強まっている。2009 年の市場規模見通しは、Cellular Terminal の前年比横ばい程
度の生産台数を前提としているが、2009 年夏から顕在化してきた世界的な景気回復傾向が
本格化すれば、生産台数は上振れる可能性もある。
また、2009 年における Cellular Terminal 一台当たりの高周波部品・モジュールの搭載
金額の前年比が、2008 年の 87.7%から 2009 年には 94.7%と下げ止まり傾向なっているこ
とは、明るい材料だ。UMTS のマルチバンド化が、Smart Phone や WWAN Terminal の
みならず、UMTS 携帯電話でも本格化してきたことで、Duplexer や Power amplifier
Module の員数が急増していることが主な要因となっている。
2010 年以降も、UMTS 及び LTE 実用化によるマルチバンド化は進み、Duplexer 及び
Power amplifier Module に加えて、RF 部の複雑化に伴ってニーズが顕在化する Multi
Duplexer Module などの高単価な Front end Module の需要増が確実視される。これによ
り、これまで Cellular Terminal の生産台数伸び率を下回ってきた RF Devices/Modules 市
場は、今後 Cellular Terminal の生産規模の伸びに近似する形での成長が期待できそうだ。
2013 年の RF Devices / Modules の総市場規模は、6,712 億 8,800 万円と予測した。
RF Devices / Modules の総市場規模推移と予測
2056.5
RF De vic e s / Mo du le s Mar ke t :Millio n YEN
900,000
2,000
Ce llP h o n e P r o du c t io n :Millio n u n it s
1865.5
800,000
1,696
671,288
1,362
600,000
-Million YEN-
1,529
1,410
1,419
516,971
472,0 37
1,110
500,000
400,000
400,921
341,815
276,912 289,411
300,000
469,244
615,488
1,500
563,460
490,424
447,250
1,000
379,925
857
684
237,686
549
200,000
500
440
414
345
100,000
0
0
CY2000 CY2001 CY2002 CY2003 CY2004 CY2005 CY2006 CY2007 CY2008 CY2009 CY2010 CY2011 CY2012 CY2013
4
-Million units-
700,000
■調査対象 RF Devices / Modules の概要
PRODUCTS
RF MODULEs
FEMs
Notes
Antenna Switch Module
中国の山寨機などのローエンド GSM 向け が大半を占めるが、
UMTS/GSM に対応した Smart Phone での需要も増加中。
RX Module
Antenna Switch Module に SAW Filter 等の受信用 RF Band Pass
Filter を搭載するモジュール。GSM 向けは TX Module への移行が進
んだが、UMTS/GSM での採用率は高くなっている。
RX + Duplexer Module
UMTS/GSM 用の RX Module に、Duplexer を一つ加えた Module。現
時点での製品化例はないが、2010 年から急速に需要が拡大する
Module として期待される。
TX Module
Antenna Switch Module にパワーアンプを加えたもの。GSM では中国
山寨機など一部を除いて、TX Module の採用が標準化。ただ、
UMTS/GSM については NOKIA 等が限定的に採用。
Multi Duplexer Module
複数の Duplexer を集積化するモジュールで、対応バンド数などで
様々な仕様があり、Antenna Switch や GPS フィルタが組み合わされ
るケースもある。
Duplexer + PA Module
CDMA 及び UMTS(WCDMA)といった FDD 方式の端末で採用があ
る。Huawei や Apple がメインの需要先となっている。
TRANSCEIVER MODULE
Transceiver IC に Band Pass Filter を加えた MODULE。CDMA 向けで
Qualcomm が、日本の FOMA(UMTS/GSM)向けで村田製作所などが
量産中。GSM 用は縮小へ。
FILTER BANK RX
基本構成は、受信用 Band Pass Filter とマッチング回路をモジュール
化したもの。これにアンテナスイッチ・LNA といった MMIC や GPS 用
BPF を加えたものもある。
TX
GSM の送信用 Band Pass Filte2 つとこれを切り替えるスイッチをモジ
ュール化したもの。NOKIA のみが GSM と UMS/GSM 端末で採用。
Diversity
受信ダイバーシチ対応のトリプルバンド以上の端末、KDDI 向けの
CDMA 端末や ERICSSON の WWAN Module などで採用例。今後、
UMTS のマルチバンド化とダイバーシチ普及で増加傾向に。
POWER AMPLIFIER
MODULE
GSM で は 、 ハ イ バ ン ド ( PCS/DCS ) 用 PA と ロ ー バ ン ド
(EGSM/GSM850)用 PA を Module 化。他のシステムは、バンド毎の
構成。(一部例外有り)。今後 GSM 以外でもマルチバンド化に。
DUPLEXER
BAW
PCS CDMA 用で、独占的なシェアを獲得。UMTS 向けでも、Band-Ⅰ
や Band-Ⅱ向けで一定の需要。供給メーカーは、Avago が独占。
SAW
Duplexer 市場の大半を占めているが、PCS CDMA や UMTS といった
高付加価値・成長期待分野での BAW Duplexer との競合が激化。
SAW/BAW
Duplexer 用として優れるもののバランス化が難しい BAW フィルタを
送信用に、バランスタイプが容易な SAW フィルタを受信側に採用す
ることで、バランス入力タイプの RF IC に対応する。
Dielectric
UMTS(WCDMA)2.1GHz向けで、2004 年から 2005 年にかけて一旦需
要が拡大したものの、BAW 及び SAW Duplexer への置換えが急テン
ポで進行し、需要は消滅。
BAW
PCS CDMA 用の TX Full band Filter や Duplexer + PA Module 向けの
需要がメイン。
BAW Duplexer は除外。
SAW
パッケージレベルではなく、機能レベルで市場規模を算出。Front end
Module 向け需要を含むが、SAW Duplexer 向けは除外。
RF Band Pass Filters
TCXO
ISOLATOR
GSM では、TCXO 非採用が進む一方、UMTS/GSM や CDMA では
TCXO 採用が一般的。
今後、GSM 向けの TCXO 需要は無くなるものの、UMTS/GSM 端末の
増加分がカバ
CDMA、PDC、TDMA、WCDMA、iDEN の送信部で PA 保護やインピー
ダンスマッチングを目的に使用される。基本的には採用削減の方
向。
5
■マルチバンド化の恩恵を受ける高周波部品・モジュールの市場が急拡大へ
Multi Duplexer Module・Duplexer・Power Amplifier Module といった“マルチバンド化”
の恩恵が大きい3製品の市場拡大が有望視される。
Multi Duplexer Module は、主にトリプルバンド以上の UMTS 端末や LTE 端末で市場を拡
大する。現在は、北米向けのデュアルバンド CDMA や日本向け端末などに需要は限定されて
いるが、UMTS のマルチバンドや PA のマルチバンド対応による UMTS の RF 部の変化に伴って、
Multi Duplexer Module の需要が急速に立ち上がる。2013 年における Multi Duplexer Module
の市場規模は、11,163 億 6,000 万円に拡大すると予測した。
Power Amplifier Module は、UMTS 端末や LATE 端末のマルチバンド化の恩恵を受けるもの
の、2010 年から複数の UMTS バンドに対応するマルチバンド PA、更に GSM モードにも対応
するマルチバンド・マルチモード PA など、Power Amplifier Module の員数増を拒む製品の
実用化が予定されている。PAM 全体としては、UMTS 及び LTE の普及拡大とそのマルチバン
ド化による需要増が、マルチバンド・マルチモード PA による員数減を上回ると予想され、
2013 年における市場規模は 2,261 億 3,800 万円となる。
UMTS 及び LTE のマルチバンド化の恩恵を最も受ける部品となる Duplexer は、現在のとこ
製品別市場規模と予測:金額ベース
Million YEN
260,000 220,000 180,000 140,000 100,000
60,000
20,000
15,001
ASM
RX Module
20,000
25,646
15,060
36,300
66,655
TX Module
42,388
9,085
Multi Duplexers
19,235
Duplexer+PA
12,070
232,919
10,307
Transceiver Module
Duplexer
116,360
135,622
Filter Bank
PAM
100,000 140,000 180,000 220,000 260,000
10,741
RX Duplexer
FEM TOTAL
60,000
6,309
16,145
500
159,826
226,138
47,466
97,236
42,271
BPF
38,977
38,787
TCXO
54,592
6,664
Isolator
4,782
CY2009
CY2013
Est imat e by Navian
PAM(Power Amplifier Module)・Duplexer・BPF(Band Pass Filter)は、モジュールで使用される需要分も含む市場規模。
この為、モジュール向け需要分が、モジュール市場規模とダブルカウントとなる。
6
ろ、Duplexer 員数を減少させる技術や製品の具体的な実用化見込はない。2013 年における
市場規模は 972 億 3,600 万円と予測した。
7
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