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岩手県 (PDF形式:3432KB)
東東東 北北北 地地地 域域域 ののの 農農農 商商商 工工工 連連連 携携携 等等等 チチチ ャャャ レレレ ンンン ジジジ 事事事 例例例 集集集 岩 手 県 CASE12 (株) 岩手エッグデリカ CASE13 (株) アーク (館ヶ森アーク牧場) CASE14 (株) ホップス CASE15 (株) プロ農夢花巻 CASE16 住田野菜工房 ( (株) 住田九州屋) CASE17 (有) 早野商店 IWATE CASE18 (株) バイオマスパワーしずくいし CASE19 岩手阿部製粉 (株) CASE20 (株) 南部美人 CASE21 (株) 高田自動車学校 (遠野ドライビングスクール) 32 33 農業主体事例 青森県 商品開発|高付加価値化 事業所 商品・サービス案内 株式会社 岩手エッグデリカ ●味付けゆでたまご・温泉たまご 1個70円、24個入り1,000円 CASE 12 自社の強みと地域資源を掛け合わせて、 ●いちご狩り(サラダファーム) 40分食べ放題・完全予約制 小学生未満(保護者同伴に限り)無料 多彩な農商工連携を推進。 1,000円 小学生 大人(中学生以上) 1,300円 ▲温泉たまご ▲味付ゆでたまご シニア(65歳以上) 800円 ※ドリンク無料券・お楽しみクジ券付 ▶事業所名 株式会社 岩手エッグデリカ ・事例のポイント・ 地域資源に目を向けて自 社の強みと掛け合わせる ①いちごをフルシーズンで生産し、 用した菓子の開発まで検討をしてい などの生産・販売を行うほか、観光農 菓子メーカーと連携して、いちごを る。また、盛岡農業高校と連携し、紫 園施設として「いちごの森」、「ドッグラ 利用した菓子を開発。 ニンニクの生産を行うことで、産地化 ン」、「うさぎふれあいコーナー」等を運 サラダファームの施設の充実 を目指す計画もある。さらに、岩手県 営している。 現在進行中の、サラダファームの施 ②盛岡農業高校と連携して、紫ニン ○自社の事業や強みを活かす 取組み ニクの産地化を実現。 ③桑の葉を活用したゆで卵の開発。 ○地域の資源、既存の資源を掛け合 わせる ㈱岩手エッグデリカでは、現在ハウ は桑の葉の生産が多いことから、岩 現在、トマトに関してはシンガポール 組織プロフィール ・今後の課題・ 【プロフィール】 平成13年12月設立、平成14年操業。 卵の販路先として、県外が約90%であ るが、そのうち約75%をコンビニが占め 設の充実。 ている。 手エッグデリカの主力商品であるゆで など富裕層が多い国で人気が高いた ①6次産業化に伴う観光施設 たまごに桑の葉を活用できないかを め、マーケットの調査中である。また、 …来年4月オープン予定。 検討している。 来年度から体験型農場を運営する予 ②レストランの開設 味付けたまご、及び温泉卵たまごの製 造・販売、サラダファーム事業(鉢花、花 苗の生産、販売)、ぶとう・いちごといっ た果実の生産を行う。 スでいちごの生産を行っているが、観 いずれにしても、農商工連携を目指 現在、㈱岩手エッグデリカでは、農 光農園程度の規模であり、フルシーズ すにあたって、自社の強みを活かしな さらに、ハウスを利用し植物工場の 以上の施設の利用満足度を上げる 商工連携に関わる取組みとして、次 ンの対応までは至っていない。そこで、 がら、地域活性や地域資源に目を向 テスト中である。温泉水を利用した地 ためにアンケートを実施し、様々な意 ラダファームとして独立。 【組織名】株式会社 岩手エッグデリカ にあげる3点を検討している。 年中生産する体制を整えることで県内 け、うまく掛け合わせているところに 場産品開発の検討も行っている。 見・要望を集約したうえで、即応で対 【代表者】代表取締役 田村昌則 の菓子メーカーと連携し、いちごを利 特徴がある。 処したい。そのためのスタッフの育成 【事務所住所】岩手県八幡平市平笠第2 定である。 ・取組みの成果・ …今年7月夏に開店予定 と人材の確保が必要だと考えている。 話し合いを重ねながら着実 に連携を進めていく 現在は、農商工連携や地域資源の ㈱岩手エッグデリカは、自然豊かで ・今後の方向性・ 農商工連携も含め、積極的 に事業展開を行う 前述の農商工連携に関わる取組み 山麓にあり、「味付ゆでたまご」や「温 可能性について、話し合いを重ねてい を進めていくことに加え、現在の事業 泉卵」を主力とする、たまごの加工・ る。 において、海外の販路開拓、植物工 いたが、2008年9月、その事業部を㈱ サラダファームとして独立させ、多種 場の運営の検討、温泉水を活用した 特産品開発などを進めていく予定。 また、来年度からは体験型農場を運 営する予定である。 な花苗と鉢花やメロン・中玉のトマト ▲「いちごの森」。名前の通り、森の形をした、摘み取りのしやすい栽培システムを採用。 34 『常に安全、安心な商品づくりを心がけ、お客 様の満足される商品を食卓へ送り続ける。』 『社 会の一員として自覚を持ち、法令を遵守し、積極 活用を検討している段階である。連携 できそうな事業者とは積極的に連携の また、花きや野菜等の生産も行って 【HP】http://www.egg-delica.com/ 【経営理念・ビジョン】 ミネラル豊富な水が湧き出る岩手山 販売を行っている。 地割6-8 【連絡先】0195-75-0288 ・取組みの経緯・ 卵の加工から野菜の生産、 そして観光事業へ サラダファーム事業は平成20年、㈱サ 35 的に地域貢献活動を行う。』 『鶏卵業界のパイ オニアとして、現状に満足することなく、常に挑戦 者であり続ける。』 農業主体事例 岩手県 商品開発|高付加価値化 事業所 商品・サービス案内 株式会社 アーク ●「館ヶ森高原豚」ロース肉 スライス プロジェクト運営 200g 630円 農 ロ 飼 遊休地を使った飼料米を利用し、 ジ料 ェ 用 ク 米 飼料米放牧豚「大地の米豚」を開発。 セ 業 ン 普 タ 及 地 元 ア 堆肥提供 ク など 肉の旨味をより引き出すために、数種 株 ) ー プ ー 13 農・牧連携! ( CASE 飼料用米提供 農 家 類のハーブやタピオカを食べさせたアー ク牧場の高原豚。肥育の仕上げ段階に おいて、動物性飼料を与えず、米や麦、 サツマイモを豊富に含んだ餌と、天然の ト 飼料用米の買い取り 大地の米豚生産 飼料用米の栽培 ・減反対策 ・所得向上 地下水を活性化させ、麦飯石を通した 水によって健康に育った豚肉。 通常の養豚でよく用いられる遺伝子組 ▶事業所名 み換えのトウモロコシは与えられていな 株式会社 アーク い。 ●飼料米放牧豚「大地の米豚」 しゃぶ しゃぶセット 5040円 など ・事例のポイント・ 農業を活性化させる、 有機資源の循環プロジェクト ・取組みの経緯・ 遊休化した土地を活用して 農家を救いたい 2008年に飼料米生産を開始。2009年 はじめには豚に飼料米を与えること ができ、飼料米生産量は年々増え続 ・今後の課題・ ・今後の方向性・ 国産飼料米を与えた、オレイン酸リッ チなブランド豚。放牧により肉質にコシ 高価格な飼料米の有効利用と 販路拡大に向けたネット販売 牧場の充実とブランド化 があり、脂身もあっさりしており、近年の 健康志向にもマッチしている。 けている。 ○農業に対する危機感からの飼料用 2007年に穀物相場が急騰した際、 米の作付依頼と買い取りで、農業へ 社長がアメリカを視察し、日本は農地 貢献 が廃れている所が多いと感じ、今後 ○循環型農業と、その過程で生産さ の日本の農業に危機感を覚えた。ま 飼料米自体の購入単価が高く、生産 ・取組みの成果・ 地元農業の衰退抑制に貢献 量も少ないため、利益を確保するまで を増やしたいと考えている。また、海外 には至っていない。 生産(アジアでの現地生産)を行うこと 冬は利用客が減少するので、イン た、日本では減反政策が行われてい 「大地の米豚」の生産は、飼料米農家 ターネット等を活用し、直販を強くして るため、農地はあるが米を生産できな との連携のもと、地域貢献が図られ、 いきたいと考えている。 い農家が多く存在していた。その結果、 付加価値が生まれることで、観光牧 目的は、県内の遊休農地と化してい 遊休化し放置されている農地がある 場事業にも好影響。 る田んぼを有効活用することである。 一方、海外から穀物を輸入し、飼料の 地元農家が遊休農地で飼料米を作付 原料としていた。一度遊休化すると、 業の衰退抑制に貢献している。また、 けし、飼料米をアーク牧場で使用して 生きた土地に戻すまでには長い年月 地域の農家と知り合いになれたことで、 米豚を生産。さらに、アーク牧場の家 がかかることから、社長自身同じ農業 今後新しい取組みを行いやすくなった。 畜の排泄物から製造した有機堆肥を を営む人間として、この状況を見逃す 臭いなどマイナスイメージのある畜産 地元農家に提供する。食料自給率の ことができなかった。 業に対する地元関係者の理解も進ん れる商品をブランド化 「アーク牧場飼料米プロジェクト」の 低下に悩む日本の農業を活性化させ、 「減反政策のため食料用の米は作 体験コーナーなど牧場のコンテンツ も検討している。 今後、館ヶ森高原豚のブランドを植 え付けていきたい。 ▲リブステーキ 遊休化した農地利用により、地元農 組織プロフィール 【プロフィール】 館ヶ森高原豚の生産。アーク牧場飼 料米プロジェクトの成果により、新たに 飼料米放牧豚「大地の米豚」を開発し、 2010年に命名、商品化。現在は、年間 だ。さらに、農家から飼料米を、他より 400頭程度の生産。 ▲放牧豚 有機資源を循環させるプロジェクトで れない。それならば飼料用であれば も高く買い取っているため、農家のメ ある。 作ることができる。農家に飼料米を リットが高い。 栽培してもらった飼料米を豚のえさ 作ってもらい、それをアークで購入し 「館ヶ森高原豚」はエサ・水・品種・ として使用した飼料米放牧豚を、2010 地元企業を活性化したい」という社長 健康に厳格な独自基準を設けている 年に「大地の米豚」として命名・商品 の思いが強くなり、「飼料米を買うから ため、安全・安心を提供することが可 化した。 作ってくれないか」と、若手農家に依 能である。また、「大地の米豚」は近 頼したところ、農業普及センター等を 年の健康志向に応えられる商品であ 巻き込んだ飼料用米利活用推進協議 ると考える。 会が設立され、プロジェクトが進んで 【組織名】株式会社アーク 【代表者】代表取締役社長 橋本晋栄 【事務所住所】岩手県東磐井郡藤沢町黄海 字衣井沢山9-15 【連絡先】0191-63-5100 【HP】http://www.arkfarm.co.jp/ 【経営理念・ビジョン】 経営理念:「食はいのち」 自分たちで安心した食物を作りたい。 ▲飼料米.圃場風景 そして作った物を他の人にも食べてもら いった。 36 37 いたい。 商業主体事例 岩手県 高付加価値化|販路拡大 事業所 商品・サービス案内 株式会社 ホップス ●まがりや . net 商 情報 各事業者 webを通じた販売チャンネルを提供! 注文 株( �)��� ( まがりや. ) net 14 中小・個人の生産者、事業者等を対象に、 消費者 CASE 岩手県内を中心に東北の商材を、57 注文 農 工 情報 ッピングサイトで、出店者はwebに詳し くない中小・個人の生産者・事業者、大 量生産に対応していない事業者等が中 心。 (株)ホップス内に制作委員会を設置し、 取り扱う商品一品一品を厳選し、この企 発送 ▶事業所名 社 約300アイテム販売するネットショ 業のこの一品と呼べるような商品のみ を取り扱っている。自分たちが厳選した 株式会社 ホップス セレクトショップにすることで、他サイトと の差別化を図っている。 その他に、webサイトやホームページ ・事例のポイント・ 地域資源を活用した中小 事業者の販路開拓に貢献 ○自社で厳選したセレクトショップとす 路開拓に貢献している。また、格安で ショッピングサイトを運営できる体制も 整えている。 ・取組みの経緯・ 行っている中小の事業者の販路開 拓を、webを通じて貢献 ・今後の課題・ ・今後の方向性・ リューションサービス、顧客管理や仕掛 ITに詳しくない事業者でも、 手軽にネット販売に参入可能に モリオカート同士の連携 顧客からの注文窓口・ネットの運営 現在数社で導入されているモリオ ITを活かした販路開拓の 促進 組織プロフィール カート同士で商品情報の共有ができる モールサイトの運営が可能なショッピ の生産と発送のみを行えばよいシス サイトを,充実させていきたいと考えて ングモールサイト開発支援パッケージ Webビジネスソリューションの推進と 「モリオカート」を開発・販売し、地域に Webを利用した業務用アプリケーション 大手のインターネット販売支援サイ そして、ITに詳しくない中小零細の テムを作り上げた。 いる。 集合体のメリットを最大限に活かす 企画提案・コンサルティングから、開発・ ITに詳しくない中小零細の事業者や ッピングサイトを運営でき、販路開 の一握りであり、ほとんどの出店者は 組む中小零細の事業者等でも、格安 することで、サイトへの誘導がスムー 農商工連携や地域資源に取組む中小 拓できる体制 明確な投資効果も分からないまま出 な出店料で、とても手軽にネット販売 ズに行くような流れを作っていくことが 零細の事業者等に、ITを活かした販路 店経費を支払っているだけであった。 へ参入することが可能になった。 課題。 開拓技術を広めることで、地域を活性 化することが目的。 そこで(株)ホップスは、地域の魅力 【プロフィール】 の開発に特化した企業。Webに関する 展開していく。 ために、個々のモールの情報を集約 する システムのサービス等を行っている。 等を運営会社が行い、出店者は商品 事業者、農商工連携や地域資源に取 ○個々の商品ストーリー性を大切に 管理等をまとめて管理できる業務管理 格安(200万円)で簡単にショッピング トでは、利益を出せる出店者はほん ○中小零細の事業者でも格安でショ の企画をはじめとするクリエイティブソ 地域の魅力ある資源を事業が 継続できる形で伝えたい ることで他のサイトと差別化を図る ○地域資源を活かした商品開発を ・取組みの成果・ デザイン・制作・運営まで、すべての部 門に精通したスタッフが対応している。 顧客満足の追求を第一に掲げ、最適・ 最新のソリューションを適切な価格にて 顧客に提供している。新たな事業として 「まがりや.net」を立ち上げ、東北の「食」 ある資源を、事業が継続できる形で 「癒し」「匠」を紹介し、販売サイトとして 今まで、大手のインターネット販売 伝えていけるように、主にwebに詳し 支援サイトは、多額の出店料やサイト くない中小・個人の生産者、事業者、 に出店する競合他社が多くいるなど、 大量生産に対応していない事業者等 【組織名】株式会社ホップス 地域の中小の事業者にとっては不利 を対象として、販売支援サイトを運営 【代表者】代表取締役 工藤昌代 な条件が多かった。 することにした。そして格安な出店料 (株)ホップスが運営する“まがりや. Net”は、岩手県内を中心とした東北 成長させ、東北の地域産業に貢献。 【事務所住所】岩手県盛岡市本宮1-1617 1階 によって、生産者が生産に集中しなが 【連絡先】019-656-4040 ら、販路を開拓できる体制を構築した。 【HP】http://www.hops.co.jp/ の商材を57社、約300アイテム販売 【経営理念・ビジョン】 するネットショッピングサイトである。 企業理念として、社会への貢献、顧客 出店者はwebに詳しくない中小・個人 に感動してもらえる企業、スタッフが夢 ▲まがりや . netのページ の生産者、事業者、大量生産に対応 を持てる企業の3つを主にあげている。 ▲業務管理システムのイメージ していない事業者等を対象としており、 社会全体から自社の社員や顧客まで幅 広い人に影響を与えられる企業を目指 地域資源を活用した中小事業者の販 している。 38 39 商業主体事例 岩手県 商品開発|高付加価値化 事業所 商品・サービス案内 株式会社 プロ農夢花巻 現在取り扱っている雑穀は、10種12 穀。加工メーカー等との取引が中心。 また、加工品として、12穀(ひえ、キビ、 CASE 15 岩手県を雑穀生産量国内シェア シリアル、雑穀粉等がある。 約6割の一大産地に育成! ●12穀ブレンド スティックタイプ(210g) 550円 ●めんこいシリアル(100g) ▲第二工場ができ、大手流通からの注文に対応 できるロッドでの生産が可能になった。 の う む ▶事業所名 粟、大麦、黒米他)のブレンドや、おかゆ、 株式会社 プロ農夢花巻 420円 ▲主力商品である12穀のブレンド ●早池峰十穀米(170g) 315円 ●十穀がゆ(200g) 250円 ・事例のポイント・ 風土に根差した資源の活用と ニーズに合った商品開発 に取組んでいる。岩手県は雑穀生産 巻から雑穀を仕入れる形で進めて精 の産地化が進み、国内シェアの6割 白した穀種を加工業者へ販売するほ まで成長した。 か、自社のブランド商品として加工し ・今後の課題・ 生産者への支援体制の確立と 地元への販路拡大 ・今後の方向性・ 【プロフィール】 た製品も販売している。 ○岩手県の文化や風土に根差した 「雑穀」に目を付けた取組み ○健康志向の消費者ニーズを捉えた ・取組みの経緯・ 転作作物を製品化することで 付加価値向上を図る 雑穀加工品の開発 ○JAいわて花巻との連携により、地 花巻地域では米の生産調整に伴う 域の農業者に雑穀生産を拡げる 転作作物の1つとして、中山間地域の 小さな農地でも生産が可能な雑穀に 加工品は、雑穀の単品・ブレンド品、 雑穀の種類は多様であり、生産技術 組織プロフィール 販路拡大を図る 現在、雑穀生産の機械化や統一し ㈱プロ農夢花巻は、JA花巻80%出資 の子会社。平成11年に設立され、農協 おかゆ、シリアル、雑穀粉など多彩で の確立や専用肥料の開発など、様々 た肥培管理のマニュアル化を進めて 組合員向けの野菜苗の育苗、蘭などの ある。自社で加工できない製品は、地 な面において生産現場への支援体制 いる。 園芸品の栽培を手掛けていた。 元の食品会社や製粉会社に依頼し、 がまだ確立されているとは言えない。 また、販路拡大のために、加工品の その後、平成15年の株式会社化と同 お客様のニーズにあった製品を開発 販路開拓に関して、首都圏を中心に 新製品開発を進めるとともに、加工原 時にJAいわて花巻より雑穀事業が移管 している。 商品の需要は年々高まっており、今 行っているが、地元岩手での消費拡 料としての販売(加工事業者への原料 大が課題。 供給)にも力を入れている。 された。 【組織名】株式会社プロ農夢花巻 【代表者】代表取締役社長 高橋専太郎 ㈱プロ農夢花巻は、JAいわて花巻 着目し、平成6年頃から地域のJAが まで花巻地域の生産者で賄っていた 【事務所住所】岩手県花巻市太田42-239 が設立した農業生産法人。転作作物 主体となって作付けを推進してきた。 仕入については、平成19年度から岩 【連絡先】0198-28-4649 として風土に合った「雑穀」に着目し、 平成11年にJAいわて花巻の80% 手県内の他地域にも拡大している。 【HP】http://www.pronoumu.co.jp/ 様々な商品に加工することで、雑穀 出資子会社として(有)プロ農夢花巻を 生産を拡げ、岩手県を雑穀の一大産 設立。平成15年に株式会社に変更 地にまで押し上げた。 するとともに、JAいわて花巻から雑穀 【経営理念・ビジョン】 ・取組みの成果・ 内外に発信し、元気で活力あるイーハ 生産シェア拡大と雇用の創出 ㈱プロ農夢花巻では、雑穀製品原 事業を移管。平成17年、㈱プロ農夢 料をJAいわて花巻から購入しており、 花巻では、雑穀のブレンド加工・包装 ㈱プロ農夢花巻が水田転作作物で 生産履歴の確認を行ったうえでの買 工場(第一工場)を建設し、雑穀加工 ある雑穀製品の販路拡大に取組み、 取である。買取った原料は、加工事業 製品を製造できるようになった。平成 付加価値を付けて販売することが、農 者に雑穀製品原料として販売するほ 19年には第二工場を建設し、大手流 家所得の向上につながり、農家が安 か、自社工場にて炊飯用のブレンド 通業者からの注文にも対応出来るよ 定的に雑穀栽培を行うことを可能にし 商品等に製品化し、付加価値を高め うになった。 た。そのことにより、岩手県の雑穀生 た販売を行っている。 雑穀は、花巻地域、二戸地域を中 現在は、行政やJAいわて花巻ととも 心に県内の農家が生産しており、JA に雑穀作付け拡大を継続的に推進し、 いわて花巻が農家から集荷・買取を 農家所得の向上と安定的な雑穀生産 行い、㈱プロ農夢花巻がJAいわて花 40 私たちは、農業を通して豊かな心を トーブ岩手の農業を支援します。そし てプロ農夢花巻しかできないことに挑 産シェアは全国の6割を占めるまでに 戦し、お客様に感動と喜びを提供しま す。 また、日本の食の原点である雑穀の 生産、そして普及拡大を通して、食文 化の育成や発展に貢献します。 ▲雑穀商品は、小麦アレルギーなどを抱える消費者からのニーズにも応えられる商品 として期待される。 成長した。 また、需要の向上などから工場を新 設し、新たな雇用も創出された。 41 商業主体事例 岩手県 商品開発|販路拡大 事業所 商品・サービス案内 住田野菜工房(株式会社 九州屋) ●完全制御型水耕栽培野菜「ピュアベジ」 CASE 16 ▶事業所名 スーパーからの農業参入! 施設の提供 地域と一体になった「先端植物工場」に 住田町 運営 (株)九州屋 野菜工場の取得 スーパー業 住田野菜工房 出荷 野菜工場 よる野菜づくり。 住田野菜工房(株式会社 九州屋) ▲店舗でのブランド販売 ・事例のポイント・ えた。当時企業の農業参入について ・今後の課題・ は、農地の取得などに高いハードル 地域と一体になった取組み が雇用の促進につながる があった。農業参入をあきらめかけた 地域農業・農家と共同の歩み ・今後の方向性・ 主な九州屋の店舗で発売している他、 ケール・小松菜を使ったジュースを 販売している店舗もある。 事業を軌道に乗せ、更なる展開を 組織プロフィール 時に、住田町から植物工場取得の話 が舞い込み、連携がスタートした。 ○過疎化に悩む地域が先端の「植 かつて林業と農業で栄えた住田町 物工場」を誘致 だが、担い手の高齢化や耕作放棄地 ○スーパーの経営ノウハウと販路を 農家の所得向上につながる仕組み 安定的な経営が課題。 (種苗センター含む)を軌道に乗せるこ 植物工場。光源や温度、湿度、二酸化 とが先決だと考えている。 炭素濃度、養液などを徹底して管理す 町の人口は減少している。住田町農 すでに野菜の買取りが始まって3年 屋の野菜工場取得に関するニーズ 協も隣接する農協に吸収された。この 目に入っており、毎年野菜作りの農家 ように住田町が農協の“空白地帯”に が増えてきている。 ○地域と一体となった取組みで、地元 ▲ピュアベジ ・取組みの経緯・ 百貨店や駅ビルで青果店を展開す る九州屋が、住田町の空き家になっ ていた施設を借りて連携が始まった。 なったことも、(株)九州屋との連携が 消費者へ安心・安全な野菜を 提供するために、農業参入 2008年7月、住田町で植物工場を運 2008年11月から稼働を開始し、2009 事業継続が困難になった。土地や建 制御型の植物工場で、「ピュアベジ」 物は住田町のもので、10人の社員が (水耕栽培野菜)を生産している。い 働く雇用の場でもあった。住田町は、 ずれは住田町の農家が生産した野菜 つてを辿って(株)九州屋に工場設備 を買い上げることも検討しており、住 の取得を持ちかけた。 る完全制御型。 2008年11月の稼働開始以降、水菜や 春菊、ロメインレタスなどの葉もの野菜 を栽培している。翌年1月中旬からは、 野菜工房で作った野菜が(株)九州屋の 店頭に並び始めた。完全制御型の植物 5300本を実験的に買い入れて、どれく 工場で作られる野菜は無農薬。安全・ 年1月からは生産された野菜が(株) らいの収量が見込めるかという検証を 九州屋の店舗に並んでいる。 している。 安心と消費者の評価も高い。 【組織名】 住田野菜工房 (株式会社九州屋) ・取組みの成果・ 【代表者】代表取締役社長 羽賀秀雄 【事務所住所】岩手県気仙郡住田町 販路の拡大と農業の活性化 世田米字川向11-22 【連絡先】0120-915-022 運営・稼働を止めていた施設が新た 【HP】htp://www.kyusyuya.co.jp/ に植物工場として生まれ変わり稼働、 一方、(株)九州屋は農業参入を模 地域人材の雇用も創出、(株)九州屋 れている。また、地域人材の雇用にも 索していた。輸入野菜の残留農薬問 の進出が町の農業活性に寄与してい つながっている。 題など、農作物の安全性に不安を感 る。 じる消費者は少なくない。その不安感 (株)九州屋とダイレクトにつながるこ を払拭する1つの方法として、自らが とで、販路が拡大し、市場流通の中間 生産した野菜を店頭に並べたいと考 マージンが縮小した。 introduction/index.html# 【経営理念・ビジョン】 九州屋の社是は「心を売る商売」。 経営理念に「お客様がすべて」を掲げ、 お客様に心から感謝をしながら、商いを 行っている。 ▲水耕栽培風景 42 果店を展開する(株)九州屋が運営する 業の町でもあるため、原木しいたけ 営していた企業の親会社が破綻し、 光源や温度、湿度を管理する完全 田町と一体となった取組みが進めら さらに種苗センターは、住田町が林 進んだ一因。 雇用を創出 百貨店の食料品売り場や駅ビルで青 房と、子会社である(株)住田九州屋 ○住田町の空き家施設の活用と九州 のマッチング 【プロフィール】 づくりと、それを運営する(株九州屋の の増加により、林業、農業とも衰退し、 強みとする (株)九州屋(本社)管轄の住田野菜工 43 工業主体事例 岩手県 商品開発|高付加価値化 事業所 商品・サービス案内 有限会社 早野商店 ・ほおずき(生食) 1パック 800円 CASE 17 ▶事業所名 ほおずきで地域の知名度アップ! 栽培指導や商品開発にとどまらず、 PR活動にも積極的に取組む。 県 内 メ�ィア ��発� ��・�� 外 部 � 関 (工業���ンター、 食 品 分 ��ンター) 個 � � �・取�先 契 約 栽 培農家 商品販売 生産指導 果�買い取り 早野商店 食 用 ほ おずきの普及、商 加工指導・ 品 開 発 、 加 工 ・ 販 売 、 流 � �分分� ツア ー ・イベントでの連携 ・ � 陸 �� ・ 岩 手 県 北 � ス ・ 地 � � ��� 岩 手 県 � ( 農 � 水産部流� � ・ � �事務所) ��発� 新�取�先�� 地 � へ の�� ・ 新 た な特産品 ・ � 名 度 ア ッ プ ・ � 休 耕 地�用 促 進 ・ � 用 � � 商 品 の 共�開発 ・ 和 菓 子店 ・ 洋 菓 子 店 ・ 酒 � メーカー ・ソース 160g 840円 ・コンポート 160g 840円 ・お茶の素 170g 840円 ・リキュール 180ml 680円 ・ヨーグルトパイシュー 1個 350円 有限会社 早野商店 ・事例のポイント・ 岩手県岩泉町を中心に、北上、盛 と本地域では作られていない作物で 岡、宮古、陸前高田等の農家と契約 あり、農協にも栽培のノウハウは無 を結び、食用ほおずきを栽培。収穫し かったが、岩手県の農業普及指導員 た食用ほおずきは(有)早野商店が全 OBと一緒に農家を回って栽培を指導 ○食用ほおずきは地域で栽培してい 量買い取り、ジャム、ソース等の加工 した。おいしさや生産の楽しさが広が なかった作物だったが、栽培ノウ は自社で行うほか、岩手県内の和洋 り、年々契約農家が増加。 ハウの共有を進めた結果、契約農 菓子店や酒造メーカーと連携して商 家の増加につながった 品開発と製造を行う。 積極的な普及活動の結果 特産化が可能に ・今後の課題・ 安定した採算と収穫量の確保 ・今後の方向性・ 体験型観光への参入 ビールとリキュールは月の輪酒造(紫 2009年の売上は700万円だが、まだ 採算ラインに乗ってはいない。 農業者の栽培ノウハウ・ベストプラク ティスの共有、投資の促進、組織化を 取締役の早野崇氏が、栽培指導の ほおずき収穫量4tが損益分岐点と ため農家を月に1度回るほか、「食用 なるが、09年産は2.5t。10年産は4tの また、ツアー・イベント関連事業者と ○食用ほおずきの栽培・加工にとどま ほおずきサミット」を主催して生産者・ 予定であったが、夏の猛暑の影響で の連携による体験型観光への参入を らず、サミットを開催するなどしてPR 消費者・地域との交流を図り、食用ほ 収穫量が未達。 目指している。 にも努めている おずきのPRに努めている。 波町)、パイシューはエピ(花巻市)が製 造。それ以外は自社製造。 図っていく。 組織プロフィール 【プロフィール】 もともとの主業は、岩泉町の中心部で酒 類の小売と海産物の加工品製造であった。 ○取締役の早野崇氏の積極的な普 及活動があったため、特産化が可 現在は、食用ほおずきの栽培と加工品の ・取組みの成果・ 開発・販売に力を入れている。 能になった 関連会社として、早野産業有限会社 龍 早野商店のブランド化へ ▲ジャムやソース等の加工商品 ・取組みの経緯・ 泉洞観光会館がある。 農家については、高付加価値作物 【組織名】有限会社早野商店 として収入があるほか、新たな作物へ 【代表者】代表取締役 早野貫一 のチャレンジとしてやりがいにつな 【事務所住所】岩手県下閉伊郡岩泉町 「食用ほおずきサミット」 での交流とPR がっている。(有)早野商店については、 「食用ほおずきの早野商店」というブ 【連絡先】 0194-22-2555 本地域では平地が少なく休耕地が ランドができつつある。他の連携事業 【HP】http://i-hayano.jp/ 増えているため、高付加価値作物の 者にとっては、話題性やおいしさで、 【経営理念・ビジョン】 栽培により農業の活性化が必要で 製造・発売後早々に売り切れとなって あった。 ▲フルーツほおずきのポスター ・ジャム 150g 840円 岩泉字村木18-32 水も空気も安全も全国一のこの街に誇 りを持ち、 地域の食材を活かし、地域の いる。 社長の次女がフランス旅行中に食 文化を表現する。 また、農商工連携の事例視察や社 べた食用ほおずきの味が忘れられず、 員研修の目的地として、岩泉町への 近所の農家に生産を依頼したのがは 入り込み数が増えている。 みんなに喜ばれる、安全安心の美味し い食品を作っていこう。 ▲すべて岩手県産素材のコラボレーションスイーツ 「ヨーグルトパイシュー」のポスター じまりとなる。食用ほおずきは、もとも 44 45 工業主体事例 岩手県 新技術|その他(循環モデルの確立) 事業所 株式会社 バイオマスパワーしずくいし 商品・サービス案内 ●「余剰電力」 11円/kwh 国内初!民間主体でのバイオマス発電。 CASE 18 ▶事業所名 家畜排泄物・食品残渣を活用した 持続型・循環型農業を実践。 (株)バイオマスパワー しずくいし 加工残渣 学校給食 買取 バイオマス発電、堆肥・液肥 生産、余剰電力・堆肥の販売 事業 設立時に出資 食品加工会社 小岩井農場 家畜排泄物 電力 液肥 堆肥 小岩井農牧 三菱重工業 東北発電工業 東京産業 雫石町 ※家畜排泄物と食品残渣を処理して得られ るメタンガスを利用したもの 小岩井農場 余剰電力 (2000Kwh/日)と 堆肥・液肥を販売 ●「液肥」 ●「堆肥」 株式会社 バイオマスパワーしずくいし ・取組みの成果・ ・事例のポイント・ ・今後の課題・ ・今後の方向性・ 地域の自然・生活環境の向上 コストの削減 民間主体でバイオマス発電を行う国 適正な設備管理に努めているが、メ ○官民の連携により推進した事業 内初の事例。そのため各メディアから ンテナンスにかかる費用が高いため、 ギーを植物工場等で利用することを検 ○国内初の民間主体でのバイオマス発電 の注目度も高く、PR効果が強い。 コスト削減の策を講じていきたいと考 討したいと考えている。 環境貢献と持続型・循環型 農業の実践 また取組みの先進性による視察や 小岩井農場や食品加工会社・学校 今後、余剰ガスで得られるエネル ▲堆肥化設備の外観 約29t/日作られ、 作ったものは小岩井農場へ 販売される。 ・取組みの経緯・ り、電力・液肥・堆肥を生産している。 得られた電気のうち、施設内で使用 的として、小岩井農牧㈱・三菱重工環境・ 的交流も活性化している。家畜排泄 化学エンジニアリング㈱・東北発電工業 物や食品残渣を排出する事業体に ㈱・東京産業㈱・雫石町の4社1町が出資 とっても、法令順守と地域の自然・生 して設立。民間主体のSPC(特別目的会 社)運営で、複合バイオマス利活用事業、 活環境向上につながっている。 環境とエネルギーの調和を特徴にして事 業を展開。 家畜排せつ物や食品残渣の 活用を模索 【組織名】株式会社バイオマスパワー しずくいし 小岩井農場には牛が約2,100頭、鶏 する分を差し引いた余剰電力をクリー が約6万羽おり、これらの家畜系糞尿 ンエネルギーとして小岩井農場へ給 の量は一日約83トンにもなる。また、 平成16年4月、北東北における新たな 用における農林業・農山村の活性化を目 給食センターと連携し、排出される家 畜排泄物や食品残渣を有償で引き取 【プロフィール】 戦略的産業の重要性、バイオマスの利活 えている。 観光等の誘致につながっており、人 略」の民間主体モデル事業として初認定 エネルギー生産を実施するモデル事業 植物工場等での利用へ 組織プロフィール ※農林水産省「バイオマスニッポン統合戦 ○バイオマスを活用した環境に良い ▲発電設備の外観 場内使用2000kWh/日 場外売電2000kWh/日 余剰電力は小岩井農場へ売電されている。 【代表者】代表取締役 古川斉司 【事務所住所】岩手県岩手郡雫石町 中黒沢17-7 電している。堆肥やメタン発酵の過程 雫石町内の給食残渣や食品会社か 【連絡先】019-692-5010 で得られた消化液(液肥)は小岩井農 らの食品残渣が一日約33トンも出て 【HP】http://www.koiwai.co.jp/ 場の耕地に還元、有効活用されてい いるため、これらを活用する方法はな る。環境貢献とともに、持続型・循環 いかを模索していた。 guide/rakuno_2.html 【経営理念・ビジョン】 当社は、食品残渣や畜産糞尿といっ 型農業を実践している。 た地域のバイオマス系廃棄物を安定処 ▲食品残渣を集める様子 理するとともに、電気や肥料等として利 活用することで、地球と地域における低 ▲設備全体図とフローシート 総処理量や事業内容の他、発電能力・堆肥生産量・消化液生産量等も詳しく記されている。 炭素・資源循環型社会の構築に貢献す る取り組みを一生懸命行っていく。 46 47 工業主体事例 岩手県 商品開発|販路拡大 事業所 商品・サービス案内 岩手阿部製粉 株式会社 ●「穀」クッキー5種 雑穀を使ったクッキー作り! CASE 19 ゼルナッツ、桜/道明寺、黒ひら豆/抹茶) 原料供給 岩手の自然が育んだ良質な原料を使うことで JAいわて花巻 いずれも10枚入り 630円。 自社工場 商品製造 ヒエ・アワ・キビ など雑穀の栽培 直営店 「芽吹き屋」 商品化 顧 客 買い取り こだわりの商品提供が可能に。 納品 ▶事業所名 (ひえ/胡麻、あわ/南瓜、きび/ヘー 岩手阿部製粉(株) 駅・空港 県アンテナショップ 等 岩手阿部製粉 株式会社 ・事例のポイント・ 良質な原料にこだわった 商品を提供 ・今後の課題・ し入れがあり、本格的に今回の取組 みが始まった。 値段主義の壁 30~40トン程度なら菓子程度でも構 わないが、200トンにもなると主食的な ・今後の方向性・ しっかりと伝統・文化を伝え ていく 海外販路において、アジアでの商売 利用を考えなければならないと考え、 が難しい。これは、値段だけで買う風 JA関連から買い取り、加工・販売 平成8年に雑穀粉開発のための加工 潮が高い為である。 ○自社直営店舗で販売することによ 所を新設、平成17年に雑穀製粉棟を 連携事業をするにあたって、地域ブ はしっかりと伝統や文化を伝える り、顧客の声を直ちに開発や生産に 建設、平成18年から商品発売を開始 ランドとして取組みを進めていくうえで ことではないかと考えている。正し 反映することが可能 した。 大事なことは、まずは「食の安全・安 い原料を使い、基本的な製法・味 心」ではあるものの、これは食に携わ ・それぞれが持つお菓子の文化は る企業においては基本的な考えであ 守らなければならない。 原料屋らしい商品を提供 ・取組みの成果・ 岩手阿部製粉(株)は、県内の農業 り、そこがセールスポイントであっては ならない。 伝統を大切にする考え方 以上のような理念を、連携事業体で 者が栽培した雑穀をJAいわて花巻か ら購入し、自社工場で雑穀のクッキー 岩手の自然が生み育てた良質な原 共通の認識として持つ必要がある。 ▲自社直営のレストラン 手県盛岡・花巻地区の駅・空港・ 百貨店、県の東京都内アンテナ ○県内の農業者が栽培した雑穀を ○良質な原料だけを使うことによって、 ※自社直営店舗「芽吹き屋」、岩 売れるものと良いものは違うと 言われているが、製造者の使命 1個100円前後のお菓子であって ショップのみ発売。 ネットショップ:http://shop-mebukiya.net/ 組織プロフィール 【プロフィール】 元々家業が粉屋で、昭和29年に法人 化。 昭和30年代は草加せんべいが人気で、 も、おろそかにしてはいけないと考 関東の米菓事業者向けに米粉を販売し えており、岩手阿部製粉(株)の方向 ていた。その後米余りになると事業者間 性は、ここにある。 の競合が激しくなり、取引が減少。昭和 41年に自社工場を建設し、加工業に乗 やそばに加工。クッキーは自社店舗 料だけを用い、伝統を大切にした和 や県のアンテナショップで販売し、そ 菓子を作るという原料屋としての考え まで以上に妥協をせず作っていき 昭和45年から米菓の輸出に取組み、 ばは自社直営レストランで提供。 方が表れている商品を提供すること たいと考えており、その準備を現 ニューヨークへ毎月コンテナ10本を送る ができた。 在進めている。 までになった。 ・取組みの経緯・ 主食的な利用を考えた 商品の開発 今後提供していくお菓子は、これ 昭和50年代からは冷凍和菓子の製 海外販路は、売上全体の約15パー 造・販売を行い、自社店舗や軽食店の セントを占めている。海外ではドイツ 展開を行っている。 での売上が一番高く、ヨーロッパやア 【組織名】岩手阿部製粉株式会社 メリカ、カナダ、オーストラリア等に販 岩手阿部製粉(株)では、雑穀活用 の取組みを、20年ほど前から始めて いた。 り出した。 【代表者】代表取締役会長 阿部淳也 売している。 【事務所住所】岩手県花巻市石鳥谷町 売上の主力は冷凍和菓子だが、雑 好地3-85-1 【連絡先】0198-45-4880 穀クッキーの販売も好調である。 【HP】http://www.mebukiya.co.jp/ 8年前に、JAいわて花巻から、ヒエ 【経営理念・ビジョン】 200トンが売れなくて困っているとの申 ▲社屋の様子 48 スローガン:「目覚めた時がつくりたて」 49 「フレッシュ&セーフ」 工業主体事例 岩手県 商品開発|高付加価値化 事業所 商品・サービス案内 株式会社 南部美人 ●糖類無添加梅酒 CASE 20 ▶事業所名 ノンシュガー梅酒で他社と差別化! 原材料に地元産品を使用し、 新しい事業の柱を創出。 ※自社の全麹仕込み純米酒ベース、 女性層や 健康志向 の消費者 をター ゲットと した市場 展開 ㈱南部美人 日本酒・リキュール 製造技術 岩手県工業技術セ ンター 技術支援 黒石梅の里生産組合 梅の栽培技術 選果技術 JA新いわて 梅・ブルーベリー・ヤ マブドウの栽培技術 糖類等一切無添加 日本初の糖類、酸味料、保存料など 全て無添加の梅酒(リキュール)。 地元産の原材料を用い、独自の製法 技術で生産。カロリーは通常の梅酒の2 /3以下、アミノ酸の含有量は3倍以上。 株式会社 南部美人 組織プロフィール 【プロフィール】 創業、明治三十五年。「南部美人」と ・事例のポイント・ 他社との差別化を目指し 糖類無添加梅酒を開発 ・取組みの成果・ 部美人ファンの獲得につなげたいと ・今後の課題・ いう銘柄は昭和二十六年に、当時二戸 税務署長を勤めていた故伊藤正署長と 考えた。 「梅酒」は日本伝統の、和のリキュ 収益の向上と売上の拡大 ールであり、自社の日本酒を利用・応 生産者農家にとっては収益が大幅 ○地元産の梅・ブルーベリー・ヤマブ 用し開発することが可能と判断した。 に向上。(原料の梅は、最高品質であ ドウなどの原材料を用い、独自の製 しかし、当時、既に梅酒はブームであ 法技術で生産 梅の収穫量の安定と 漬け終わった梅の処理 当社会長久慈秀雄により命名された。 岩手県二戸市は昔から南部の国と称 し呼ばれており、素晴らしい自然、風土 生産量の拡大に伴い、梅の供給量 と豊富な水の恩恵に恵まれた土地で、 るが規格外品としてこれまで廃棄処 が足りなくなってきている。その年の気 綺麗で美しい酒をつくりたいという思い り差別化が不可欠であった。また、商 分されていたものを買い取ってい 候に左右され、収穫量が安定しないの から、地名の南部と綺麗で美しい酒質イ ○他の梅酒との差別化を図るため、 品開発に当たっては日本酒ベースで る。) が課題で、今後は安定的な岩手県産 「種類無添加梅酒」というヘルシー のノンシュガー製法の確立、原材料 な梅酒を販売 (梅等)の確保、加えて販路も課題で あった。 他社と差別化した新酒開発を目指し 平成18年の酒税法改正によってリ 新たな付加価値ブランドを手に入れ たことで、売上が拡大。 メージを得て「南部美人」と命名した。 南部美人の原料米のほとんどは岩手 梅の供給を検討していく。 県産米で、平均精米歩合を54%まで磨 さらに、梅酒に漬け終わった梅の処 き上げ、仕込み水には折爪馬仙峡の中 また、日本酒ベースのリキュール開 理が課題。今は全て破棄しているが、 硬水の伏流水を使用し、南部流手造り 発によって、伝統ある日本酒そのもの もったいない。漬け終わった梅の再利 技法を用いて醸す酒は、非常に優しい が酒質の絶妙なバランスと切れ味の良 黒石梅の里(岩手県奥州市)の生産 キュール類の免許が付与され、追い の価値を問い直すことが出来た。日 用方法を現在検討。ファーストモデル 組合から梅の供給を受け、2008年、 風となった。他社との差別化のためヘ 本酒ベースの糖類無添加梅酒から、 として、岩手県盛岡市の白石食品工 いわて工業技術センターと共同で全 ルシーな梅酒を開発テーマとした。 日本酒へとお客さんの誘導を図ること 業(株)(白石パン)共同で梅ジャムパン 【組織名】株式会社南部美人 麹純米酒をベースにした糖類無添加 (株)南部美人独自の「全麹仕込み」の で、日本酒の売上げにも貢献。 を2011年9月1日より発売。 【代表者】代表取締役 久慈浩 の梅酒(リキュール)の開発に成功し、 純米酒をベースとすることで糖類無添 事業化した。 加の梅酒が出来るとの着想を持ち、 が加わったが、農商工連携のみなら 現在、生産拡大に伴い、JA新いわ 岩手県工業技術センター醸造部と試 ず、産学官連携の地元における成功 てからも原料となる梅等の供給を受 験醸造を開始し実証することができ、 モデルとして他の刺激になっている。 け、地元生産農家の収益力向上にも 製造技術を確立した。 寄与している。 ・取組みの経緯・ 地域資源の新たな魅力として「梅」 さを特長としている。 ▲糖類無添加梅酒 【事務所住所】岩手県二戸市福岡字 ・今後の方向性・ 上町13 【連絡先】0195-23-3133 積極的な新商品の開発 【HP】http://www.nanbubijin.co.jp/ 【経営理念・ビジョン】 現在、スパークリング、ブルーベリー、イ 南部美人が目指すお酒の品質は「笑 原料の梅は、当時の岩手県二戸地 チゴ、ヤマブドウを原料とするリキュール 顔あふれる明るい酒」。飲んだ時に一瞬 方振興局によるビジネスマッチングの 類を販売しているが、半年に一度新商品 でわかるような、わかりやすい「美味し 結果、岩手県奥州市の梅生産組合の を手がけていきたいと考えている。 独自の純米酒をベースに 製造技術を確立 県内産梅を採用。2009年からは今 南部美人は日本酒ブランドであるが、 いわての梅も採用を開始した。 さ」を追及。そのために手造りのこだわ ▲仕込み風景 り、最新の技術と融合させ、貯蔵管理を 徹底。 後の商品増産を見越し地元のJA新 国内だけではなく、日本の伝統文化の 代表として、世界で評価されるような地 日本酒以外の酒を作る事で新たな南 酒「南部美人」を目指し努力。 50 51 その他事例 岩手県 商品開発|高付加価値化 事業所 商品・サービス案内 株式会社 高田自動車学校(遠野ドライビングスクール) 合宿自動車免許の教習とグリーンツーリ ズムを組み合わせた企画。20日間のうち、 CASE 21 合宿の自動車免許教習と 前半は午前中が教習で午後がグリーン グリーンツーリズムの リズムで午後が教習というプログラムになっ ツーリズム、後半は午前中がグリーンツー ている。また、敷地内に合宿所を持たない ため、市内の民宿や農家に宿泊する。 新しいコラボレーション! 農業では、トマトと米の無農薬栽培、しい たけ、雑穀(アマランサス等)を栽培。特に、 しいたけは合宿免許教習と繁忙期が重なら ▶事業所名 株式会社 高田自動車学校(遠野ドライビングスクール) ・事例のポイント・ 合宿自動車免許の教習と グリーンツーリズムの融合 ㈱高田自動車学校は、平成16年か ・取組みの経緯・ 大学生を主要顧客にした 新しい企画の検討 平成15年以前、当時の遠野市役所 ら、しいたけ、雑穀の栽培も始めてい ないため、従業員の生産性を格段に上げて ▲年間の合宿の繁忙期としいたけ栽培のスケジュール ・今後の課題・ る。 いる。 組織プロフィール 資源を活用)、平泉(農業資源を活用) のドライビングスクールに拡げていくこ 適正価格の設定の検討 ・取組みの成果・ 経営理念と教育理念の実現 グリーンツーリズムに関する費用に とも検討したいと考えている。 ドライビングスクールに申し込んだ人 【プロフィール】 ドライビングスクールの経営(陸前高田・ 遠野・平泉)、農業(水稲、トマト栽培、しい ついては、(株)高田自動車学校が負 が、価格が高くても、他の人にしっかり たけ、雑穀等) 担している。将来的には、グリーン と本校の価値を説明できるようにする。 【組織名】株式会社高田自動車学校 ら岩手県遠野市において遠野ドライビ の担当部長(現在は山里ネットのマ ングスクールを運営しており、NPO法 ネージャー)から(株)高田自動車学校 平成21年度は、約850名の生徒のう ツーリズムの費用を適正価格に設定 人遠野山・里・暮らしネットワーク(以 田村社長に対して、自動車学校の遠 ち、合宿免許教習参加者が約400名。 し、継続的に安定した事業としていくこ 下、山里ネット)と連携して、合宿自動 野市誘致の提案があった。田村社長 グリーンツーリズムを通して、生徒と 車免許の教習とグリーンツーリズムを は、遠野市では大学生を中心に毎年 地域の住民(特に農家)との交流によ 組み合わせた企画(グリーンツーリズ 約200名の人がグリーンツーリズムで り、「全ての出会い、巡り合いを大切 ム流合宿免許教習)を実施。 農泊や農業体験などをしていることを にしよう」という経営理念を実現。 (遠野ドライビングスクール) 【代表者】代表取締役社長 田村満 【事務所住所】岩手県陸前高田市竹駒字 とが課題。 相川74-1 【連絡先】 0192-55-3990 ・今後の方向性・ 【HP】 http://www.johoiwate.or.jp/homepage/tak 将来的に定住、経済効果を ada.html その部長から聞き、この大学生を主 乗馬では馬とのノンバーバルコミュ 教習と並行して、りんご・ブルーベ 要顧客にした合宿免許の教習とグ ニケーション(言葉を介さないコミュニ 合宿免許教習の生徒が毎年増加し リー・野菜などの農業、乗馬・草木染 リーンツーリズムのコラボレーションで ケーション)が求められ、これは安全 ており、商店街・宿泊施設等に経済的 め・そば打ち・ワラ細工などの体験を の企画を検討することとなった。 意識につながる。また、農業を通して、 な効果が出ている。最も大きな効果は、 教官・生徒の豊かな心の醸成にもつ グリーンツーリズムにより毎年約400 出会いが大切。全ての出会い、 巡り合 リーンツーリズムのコーディネートをし ながっており、「生徒さんの心の中に、 名の遠野ファンが生まれていることで いを大切にしよう。 また、山里ネットの紹介で、遠野市 ており、(株)高田自動車学校と山里 安全の小さな種を蒔く」という教育理 あり、大学生等の若者が再度遠野に 教育理念: 内の農地を借りてトマトと米の無農薬 ネットが連携してグリーンツーリズム 念を実現。 グリーンツーリズムで訪れたり、将来 「生徒さんの心の中に、安全の種を蒔く。 栽培、しいたけ、雑穀(アマランサス 流合宿免許教習を進めていくことに 的には二地域居住や定住に繋がる可 等)の栽培をしている。 なった。平成16年3月に遠野ドライビ 能性もある。 合宿参加者の90%以上の生徒が、 し、市内の民宿・旅館や農家民泊など を利用している。 その際、山里ネットが遠野市内でグ 【経営理念・ビジョン】 ▲しいたけの原木切り出し 経営理念: 「邂逅に悦びを!!」 社員と生徒、会社と社員、社員同士等、 しかも、その種は丈夫で強い種でなけ ればならない」 免許を取ることを目的にくる生徒が、 ングスクールがオープンし、その年の また、今後、遠野ドライビングスクー ドライビングスクールの生徒にグリー 夏休みから合宿免許教習とグリーン ルが直接行う農業を生徒に手伝っても るかが使命。そのために、指導員が豊 ンツーリズムの場を提供していく予定。 ツーリズムの企画がスタートした。 らったり、近くに馬場を作って、生徒が かな心を持って接し、安全とは何かを少 今後これらの資源も活用して、遠野 平成17年からは、山里ネットの紹介 52 卒業後いかに事故を起こさないようにす しでも考えられるような人に育てること 自由に乗馬できるようにしたいと考え により市内で農地を借り受け、トマトと 米の無農薬栽培を始め、平成20年か ▲建物外観 が重要である。 ている。さらに、遠野ドライビングス ▲乗馬風景 クールでの取組みを、陸前高田(漁業 53