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電気自動車用充電設備の集中管理装置に関する研究(2011 Vol.2 No24)
電気自動車用充電設備の集中管理装置に関する研究 エネルギア総合研究所 蓄電システム技術推進担当 妹尾 誠※ 1 (2)充電制御アルゴリズムの構築 まえがき 地球環境に優しいクルマ「電気自動車」の将来像と して,経済産業省では平成22年4月にまとめた「次世 代自動車戦略2010」において,2020年の乗用車新車 販売台数の15∼20%を電気自動車およびプラグイン・ ハイブリッド自動車にするという普及目標を公表して いる。また同時に,充電インフラ整備として,普通充 電器200万基,急速充電器5,000基の設置を目指して いる。 当所において,この充電インフラ整備に関する研究 の一環として標記研究を実施したので,その概要を以 下に説明する。 2 100Vまたは200Vの交流電源を使用する普通充電 は,一般に定電流で充電される。その特性を考慮して 充電負荷が一定以下となるように充電台数を制御し, 平等に充電を実施する「巡回充電」アルゴリズムを構 築した。 (3)集中管理装置の開発 集中管理装置の試作にあたっては,実用化されるこ とを前提に,①利用者認証機能,②誤操作時充電ロッ ク機能,③車種区分判定機能,④充電台数or充電電流 制御機能,⑤停電復電後自動充電開始機能,などの機 能を盛り込んだシステムを開発した(写真1参照) 。 概 要 平成22年度においては,複数の普通充電器を一括 コントロールするシステムとして「充電設備集中管理 装置(以下,集中管理装置) 」を開発した。 (1)充電インフラ整備における課題 電気自動車の充電インフラ整備において,集合住宅・ 公共施設・ショッピングセンター等のように一般・不 特定多数利用の多い駐車場では,設置コスト,充電時 の課金・安全性など様々な課題がある。 なかでも,一般利用の駐車場においては多数の電気 自動車が一斉に充電を開始した場合,受電設備が過負 荷となる恐れがあるため,充電負荷を一定以内に抑え るように複数の充電器を一括コントロールし,負荷制 御する必要がある(図1参照) 。 ∼ 受電設備 過負荷の恐れ 商用系統 写真1 集中管理装置の試作機 開発した集中管理装置においては実証試験を実施 し,製品化に向けた改善点の洗出しを実施した。 3 あとがき 以上,当所で開発した普通充電器を一括コントロー ルする集中管理装置について概要を紹介した。 充電器 充電器 充電器 その他負荷 ・・・ 充電器の 一斉使用 図1 充電インフラの問題 今後は,普通充電器だけでなく急速充電器も制御対 象に加え,また電気自動車ユーザの充電要望(希望充 電量・希望充電完了時間など)から充電優先順位を決 定するアルゴリズムを構築・適用することで,より実 用性の高いシステムの開発を進めていきたいと考えて いる。 ※:現 出雲電力所 企画課 エネルギア総研レビュー No.24 Page 5