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研究報告吉井 - 神戸市公園緑化協会

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研究報告吉井 - 神戸市公園緑化協会
神戸市市街地内に生育する外来ブナ科樹木の位置図の作成
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 環境科学専攻 森林計画学研究室
博士前期課程
吉井優
1. 研 究 背 景 と 目 的
養 菌 性 キ ク イ ム シ で あ る カ シ ノ ナ ガ キ ク イ ム シ ( Platypus quercivorus) が 病 原 菌 で あ る ナ ラ
菌 ( Raffaelea quercivora) を 運 搬 し て 生 じ る ブ ナ 科 樹 木 萎 凋 病 ( ナ ラ 枯 れ ) が 各 地 で 拡 大 し て
い る 。兵 庫 県 で も 北 部 で 発 生 し た 被 害 が 徐 々 に 南 下 し て お り ,神 戸 市 で も 京 都 市 と 同 様 の 甚 大
な被害になる危険性が高まっている。
京 都 市 市 街 地 周 辺 を 対 象 と し た 解 析 で は ,外 来 樹 種 が 先 行 し て 被 害 を 受 け ,そ れ を 起 点 に 周
辺 に 拡 大 す る 傾 向 が 認 め ら れ た 。こ の 原 因 は ,本 来 の 生 育 環 境 と は 異 な っ た 場 所 に 植 栽 さ れ た
外 来 樹 種 が 環 境 に 適 応 で き ず に 衰 弱 し て お り ,そ の よ う な 衰 弱 木 に カ シ ノ ナ ガ キ ク イ ム シ が 穿
孔 し た た め と 推 察 さ れ る ( 吉 井 , 2010)。 そ こ で , 神 戸 市 市 街 地 内 に 生 育 す る 外 来 ブ ナ 科 樹 木
の位置を把握し,位置図を作成することで,ナラ枯れの予防活動に資することを目的とした。
2. 研 究 方 法
2-1 調 査 対 象 地
神 戸 市 内 の 公 園 の 位 置 と そ の 面 積 を 把 握 す る た め ,財 団 法 人 神 戸 市 公 園 緑 化 協 会 よ り 神 戸 市
内 の 公 園 リ ス ト を 提 供 し て い た だ い た 。 こ の リ ス ト か ら 面 積 0.3ha 以 上 の 公 園 を 抽 出 し て 調 査
対 象 と し た 。た だ し ,自 然 林 を 切 り 出 し て 造 成 さ れ た 公 園 に つ い て は ,外 来 ブ ナ 科 樹 木 が 植 栽
さ れ て い る 可 能 性 が 低 い こ と か ら ,調 査 対 象 か ら 除 外 し た 。リ ス ト 以 外 の 緑 地 に つ い て も ,外
来 ブ ナ 科 樹 木 が 植 栽 さ れ て い る 可 能 性 の 高 い 場 所 と し て ,植 物 園 ,遊 園 地 お よ び 教 育 機 関( 大
学と高等学校)などを調査対象とした。
2-2 聞 き 取 り 調 査
リ ス ト に あ っ た 公 園 に つ い て は ,神 戸 市 建 設 局 公 園 砂 防 部 よ り 園 内 の 樹 木 植 栽 図 を 提 供 し て
い た だ き ,そ れ を 基 に 外 来 ブ ナ 科 樹 木 が 存 在 す る 可 能 性 が あ る 公 園 を 抽 出 し て 現 地 調 査 を 実 施
し た 。ま た ,こ れ ら 以 外 の 緑 地 に つ い て は ,外 来 ブ ナ 科 樹 木 の 有 無 を 電 話 ま た は 書 面 で 問 い 合
わせ,外来ブナ科樹木が有ると返答された場所と,有無が不明な場所の現地調査を実施した。
2-3 現 地 調 査
現 地 調 査 は 11 月 24 日 , 11 月 25 日 お よ び 12 月 19 日 の 3 回 行 っ た 。 調 査 対 象 地 に 赴 き , 数
名 で 手 分 け し て 外 来 ブ ナ 科 樹 木 を 探 索 し た 。外 来 ブ ナ 科 樹 木 が 見 つ か っ た 場 合 は ,そ の 位 置 を
携 帯 電 話 ( iphone4) ま た は GPS( GARMIN 社 の GPSmap60CSx) で 特 定 し た 。 ま た , 財 団 法 人
日 本 緑 化 セ ン タ ー が 発 行 す る「 最 新 ・ 樹 木 医 の 手 引 き 」の 中 の「 地 上 部 の 衰 退 度 判 定 表 」を 用
いて外来ブナ科樹木の衰退度を判定した。
上 記 の 調 査 に よ っ て 得 ら れ た 情 報 を 基 に , GoogleEarth 上 で 神 戸 市 内 に 位 置 す る 外 来 ブ ナ 科
樹木の位置図を作成した。
3. 結 果
聞 き 取 り 調 査 を 行 っ た の は , 公 園 , 植 物 園 お よ び 遊 園 地 が 合 計 で 82 箇 所 , 大 学 が 21 箇 所 ,
高 等 学 校 が 48 箇 所 で あ り , う ち , 現 地 調 査 を 行 っ た の は , 公 園 , 植 物 園 お よ び 遊 園 地 が 合 計
で 13 箇 所 , 大 学 が 2 箇 所 , 高 等 学 校 が 1 箇 所 で あ っ た ( 表 -1~ 3)。 こ の う ち 外 来 ブ ナ 科 樹 木
が 存 在 し た の は 「 神 戸 市 森 林 植 物 園 」 と 「 神 戸 ワ イ ナ リ ー ( 農 業 公 園 )」 で あ っ た ( 図 -1)。
表 -1
31 有野台4号周辺緑地
32
33
34
35
-
有野台6号周辺緑地
有野台7号周辺緑地
有野台8号周辺緑地
西小部緑地
-
-
-
なし
36 フルーツフラワーパーク
なし
37
38
39
40
41
なし
なし
なし
なし
なし
名谷南センター公園
東落合緑地
竜が台緑地
名谷タウンズファーム
中落合緑地
備考
名称
1 神戸大学
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
神戸大学(深江キャンパス)
甲南大学
神戸夙川学院大学
神戸外国語大学
神戸学院大学(有瀬キャンパス)
〃(ポートアイランドキャンパス)
〃(長田キャンパス)
神戸国際大学
神戸松蔭女子大学
流通科学大学
神戸市看護大学
神戸海星女子学院大学
兵庫県立大学(神戸学園都市キャンパス)
神戸常盤大学
神戸薬科大学
神戸女子大学(須磨キャンパス)
〃(ポートアイランドキャンパス)
〃(三宮キャンパス)
神戸親和女子大学
頌栄短期大学
N o.
植栽図あり
植栽図あり
自然林
名称
植栽図あり
植栽図あり
植栽図あり
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
植栽図あり
植栽図あり
自然林
自然林
自然林
72 神戸市森林植物園
あり
自然林
自然林
自然林
植栽図あり
73
74
75
76
なし
あり
なし
なし
77 須磨浦山上遊園地
なし
植栽図あり
植栽図あり
植栽図あり
植栽図あり
植栽図あり
78
79
80
81
82
なし
なし
なし
なし
なし
植栽図あり
自然林
高倉台1号周辺緑地
高倉台3号周辺緑地
高倉台4号周辺緑地
多井畑東緑地
名谷団地周辺緑地
横尾団地周辺緑地
高倉団地周辺緑地
流通業務団地内周辺緑地
弥栄台緑地
多聞台東公園
西舞子緑地
池の谷緑地
きつね塚緑地
舞子台南緑地
平磯緑地
多聞1号緑地
多聞5号緑地
多聞6号緑地
マリンピア緑地
小寺緑地
樫野台緑地
神戸研究学園都市周辺緑地
西神住宅団地内周辺緑地1
西神工業団地内周辺緑地1
西神第2工業団地内周辺緑地
月が丘団地周辺緑地
井吹東緑地
神戸市フルーツフラワーパーク
六甲高山植物園
神戸王子動物園
ブナ科樹木
ブナ 科樹木
の 有無
-
-
-
なし
-
-
-
-
-
なし
なし
なし
なし
なし
なし
-
-
-
なし
なし
なし
-
-
なし
なし
-
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
表 -2
No
現 地 調 査 を 行 っ た場 所
調査対象(公園,植物園および遊園地)
ブナ科樹木
ブナ 科樹木
N o.
名称
の 有無
1 シティヒル東緑地
なし
2 シティヒル西緑地
なし
3 渦が森団地周辺緑地
-
4 六甲マリンパーク
なし
5 青谷川街園
なし
6 鶴甲団地周辺緑地
-
7 空港島中央緑地
なし
8 空港島西緑地
なし
9 ハーバーランド広場ハーバーウォーク
なし
10 中突堤西地区緑地
なし
11 中央緑地(PI2期)
なし
12 K-CATパーク
なし
13 君影緑地
なし
14 君影北緑地
なし
15 星和台緑地
なし
16 ひよどり台1号周辺緑地
-
17 ひよどり台2号周辺緑地
-
18 ひよどり台3号周辺緑地
-
19 ひよどり台4号周辺緑地
-
20 ひよどり台5号周辺緑地
-
21 ひよどり台6号周辺緑地
-
22 城の西緑地
-
23 鹿の子台2号緑地
-
24 鹿の子台3号緑地
-
25 鹿の子台11号緑地
-
26 掖谷緑地
-
27 茶臼山緑地
なし
28 百合林緑地
なし
29 有野台2号周辺緑地
-
30 有野台3号周辺緑地
-
神戸花鳥園
神戸ワイナリー(農業公園)
須磨海浜公園
東遊園地
須磨離宮公園
神戸布引ハーブ園
神戸市薬科大学薬用植物園
神戸総合運動場
神戸異人館
なし
なし
なし
なし
なし
なし
〃
〃
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
植栽図あり
植栽図あり
自然林
自然林
植栽図あり
植栽図あり
自然林
なし
なし
なし
アメリカ区に14本,ヨーロッパ区に
4本,リガの森に22本。
園内にコルクガシが2本。
園内に大径のコナラが植栽。
ロープウェイ下にはクヌギもあり。
大径のコナラやウバメガシが植栽。
現 地 調 査 を 行 っ た場 所
調査対象(大学)
ブナ科樹木
ブナ 科樹木
の 有無
備考
自然林
自然林
自然林
植栽図あり
自然林
自然林
自然林
自然林
自然林
植栽図あり
植栽図あり
植栽図あり
植栽図あり
植栽図あり
ほとんどがマツ
自然林
自然林
自然林
備考
神戸大学グループの植栽位置図一覧を拝見した。小さい木が多く、大きいものはメタセコイヤなどであった。工学部
校内にコナラ、アベマキなど、正門前で大きなアラカシがあった。
タブノキ・ソメイヨシノ・キンモクセイ・ヒマラヤスギ・アキニレ・ケヤキ・カナメモチ等。
メタセコイヤ・カリン・ポプラ等。
アメリカハナミズキ・サクラ(タブンソメイヨシノ)・クスノキ等。
7~8月にコナラが枯れたがナラ枯れではない。伐倒処理済み。
自然に植わっているものばかり。
ナラガシワ・シラカシ。
表 -3
No
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
名称
公立校
兵庫県立神戸高等学校
兵庫県立東灘高等学校
神戸市立葺合高等学校
兵庫県立御影高等学校
神戸市立六甲アイランド高等学校
神戸市立科学技術高等学校
兵庫県立兵庫高等学校
兵庫県立神戸甲北高等学校
神戸市立神港高等学校
兵庫県立夢野台高等学校
兵庫県立兵庫工業高等学校
神戸市立兵庫商業高等学校
兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
14 兵庫県立神戸北高等学校
なし
15
16
17
18
19
20
21
22
23
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
兵庫県立長田高等学校
兵庫県立舞子高等学校
兵庫県立星陵高等学校
兵庫県立神戸高塚高等学校
兵庫県立北須磨高等学校
兵庫県立伊川谷高等学校
兵庫県立須磨東高等学校
兵庫県立須磨友が丘高等学校
神戸市立須磨翔風高等学校
私立共学校
神戸第一高等学校
神戸龍谷高等学校
神港学園神港高等学校
啓明学院高等学校
須磨学園高等学校
神戸学院大学付属高等学校
滝川第二高等学校
神戸星城高等学校
神戸国際大学付属高等学校
私立男子校
神戸野村工業高等学校
灘高等学校
育英高等学校
六甲高等学校
神戸弘陵学園高等学校
滝川高等学校
私立女子校
愛徳学園高等学校
神戸常盤女子高等学校
須磨ノ浦女子高等学校
神戸野田高等学校
神戸市山手女子高等学校
甲南女子高等学校
神戸海星女子学院高等学校
神戸国際高等学校
松蔭高等学校
親和女子高等学校
調査対象(高等学校)
ブナ科樹木
ブナ 科樹木
の 有無
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
不明
不明
なし
なし
なし
なし
なし
なし
なし
不明
なし
なし
なし
現 地 調 査 を 行 っ た場 所
備考
ハゼ・モミ・クロガネモチ・シラカシ・エノキ・クリ・クヌギ・シュロ・ツガ・クスノキ・カイヅカイブキ等。
植物が好きな教員が作った独自の植物図鑑がある。
サクラ・イチョウ・カエデ・ウバメガシ・アオギリ・フジ・マテバシイ等。
シラカシ1本・ウバメガシ2本。
構内を見させてもらったが外来ブナ科樹木はなし。
サクラはある。設立8年目で、以前植わっていたものを移植しているが、ブナ科はない。
ユーカリは枯れてる。
平成24年8月から1年間旧鈴蘭台西高等学校に移転。カシ・マキ・サクラ等。
サクラ・クスノキ等。
トウネズミモチ・モミ・トウカエデ・マツ・ヒマラヤスギ・ヒバ・イロハカエデ・クスノキ・ヤマザクラ・イチョウ・
アキニレ(伐採?)・イチジク・アオギリ・プラタナス・ポプラ・ソメイヨシノ・カイヅカイブキ・ニッコウヒバ。
外国産ならアメリカフウが植栽されている。
クスノキ・プラタナス・ベニモッコク・シュロ・カイヅカイブキ・ハクモクレン・サクラ・アメリカハナミズキ・フェニックス等。
外来種ならプラタナス7~8本。
そもそも外来種がない。
カイヅカイブキ・ヒマラヤスギ・クスノキ・ヤマモモ・メタセコイヤ・イチョウ等。
H21年度開校で、大きな木はない。
何十年も植栽された記録はない。上からの写真を見た感じ山を切り出して校舎を建てているので在来ではないか。
ヒマラヤスギ・サクラ。学校の敷地が都市の中にあって、大きな木は植えていない。
純国産のものを使用している。
山の中にある、自然に生えたものや、鳥が種子を運んだものが主だが、管理はしていない。
クスノキ・エノキ・アンズノキ等。
クスノキ・リム・サクラ等。
レイランディ・クスノキ・サクラ等。
アラカシ・シラカシ・コナラ・マテバシイ。
キョウチクトウ4~5本・シュロ4~5本。
アカマツ・クロマツ・サクラ・オリーブ・イチョウ・クスノキ。20年前調べたチェックリストあり。
ユーカリなら植えてる。
建て替え工事をする。どの樹種を植えるか、残すかまだ分からないので返事はできない。
アカシア・マツ。
外来種を植えていない。
造園会社が管理している。
マツやサクラは植えているが、外来ブナ科はなし。在来のシイ・カシはある。
ガーデニング業者に問い合わせの上、返答。返信あり。
図 -1
外来ブナ科樹木が存在した場所
3-1 神 戸 市 森 林 植 物 園
神 戸 市 森 林 植 物 園( 142.6ha)は 神 戸 市 六 甲 山 に 位 置 す る 植 物 園 で あ る 。植 栽 さ れ て い た 外 来
ブ ナ 科 樹 木 は , ア メ リ カ 区 に ア カ ガ シ ワ ( Section Lobatae), ピ ン オ ー ク ( Q.palustris) お よ び
ベ ニ ガ シ ワ( Quercus coccinea Munchh),ヨ ー ロ ッ パ 区 に ヨ ー ロ ッ パ ブ ナ( Fagus sylvatica),リ
ガ の 森 に ヨ ー ロ ッ パ ナ ラ ( Q.robur) で あ っ た ( 図 -2)。
アメリカ区に植栽されていたアカガシワのうち 2 本はカシノナガキクイムシ以外のキクイム
シ に よ る 穿 入 孔 が 少 数 認 め ら れ た 。ま た ,そ の 近 く の ア カ ガ シ ワ 1 本 は 衰 弱 し て い た 。判 定 し
た 衰 退 度 区 分 を み る と , ほ と ん ど の 樹 木 で 「 や や 不 良 」 と 判 定 さ れ た ( 表 -4)。 ヨ ー ロ ッ パ 区
に 植 栽 さ れ て い た ヨ ー ロ ッ パ ブ ナ 4 本 の う ち 1 本 に は コ ウ モ リ ガ ( Endoclyta excrescens) に よ
る 食 入 孔 が あ り ,別 の 1 本 に は ク ワ カ ミ キ リ( Apriona japonica)の 穿 孔 が 認 め ら れ た 。こ の よ
う に ,ア メ リ カ 区 と ヨ ー ロ ッ パ 区 に は 衰 弱 し た 大 径 の 外 来 ブ ナ 科 樹 木 が あ り ,カ シ ノ ナ ガ キ ク
イ ム シ に よ る 穿 孔 を 受 け や す い 状 況 に あ る た め ,警 戒 を 要 す る 。な お ,リ ガ の 森 に 植 栽 さ れ て
い た ヨ ー ロ ッ パ ナ ラ は 若 齢 で あ り ( 平 均 胸 高 直 径 5.3cm), 健 全 で あ っ た 。
表 -4
外来ブナ科
樹木
図 -2
外来ブナ科樹木の位置
外来ブナ科樹木の衰退度
N o.
詳細
樹種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
アメリカ区
ヨーロッパ区
ヨーロッパ区
ヨーロッパ区
ヨーロッパ区
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
リガの森
アカガシワ
アカガシワ
アカガシワ
アカガシワ
アカガシワ
ピンオーク
ベニガシワ
ベニガシワ
ベニガシワ
ベニガシワ
ベニガシワ
ベニガシワ
ベニガシワ
ベニガシワ
ヨーロッパブナ
ヨーロッパブナ
ヨーロッパブナ
ヨーロッパブナ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
ヨーロッパナラ
胸高
直径
33.9
31.8
28.0
31.9
64.5
25.6
42.8
23.2
25.8
32.0
30.8
30.3
30.0
51.7
22.4
4.4
10.7
4.9
3.1
5.5
5.6
3.7
2.8
6.0
11.2
5.3
2.2
7.1
4.5
4.8
8.5
5.6
3.6
10.6
7.7
2.2
3.4
5.2
2.9
5.4
樹高 衰退度
21.4
22.0
20.0
17.0
28.0
18.0
22.8
14.0
21.0
20.0
21.0
23.0
25.0
12.6
-
0.7
1.6
1.8
2.8
1.2
1.0
1.1
1.4
2.0
2.1
2.2
1.0
0.9
1.6
0.6
0.3
0.6
0.8
-
衰退度
区分
備考
良
やや不良 穿孔有
やや不良
著しく不良 枯死寸前
やや不良
やや不良
やや不良
やや不良
不良
不良
不良
やや不良
やや不良
不良
穿孔有
良
三又
良
良
やや不良
3-2 神 戸 ワ イ ナ リ ー ( 農 業 公 園 )
神 戸 市 西 区 に あ る 神 戸 ワ イ ナ リ ー( 200ha)は ,神 戸
ワインの原料となるブドウを栽培している農業公園で
あ る 。調 査 の 結 果 ,園 内 に コ ル ク ガ シ( Quercus suber)
2 本 が 植 栽 さ れ て い た( 図 -3)。こ れ ら 2 本 の 胸 高 直 径
は そ れ ぞ れ 25.6cm,8.6cm と 小 さ く( 表 -5),カ シ ノ ナ
ガキクイムシによる穿孔を受ける可能性は低い。
表 -5
No.
外来ブナ科樹木の衰退度
樹種
1 コルクガシ
2 コルクガシ
胸高
樹高
直径
25.6
8.6
7.0
4.5
衰退度
備考
-
二又
外来ブナ科
樹木
図 -3
外来ブナ科樹木の位置
3-3 そ の 他
現 地 調 査 を 行 っ た 際 に , ナ ラ 枯 れ が 発 生 す る 危 険 性 が 高 い 場 所 ( 図 -4) が 認 め ら れ た の で ,
それらの概略を報告する。
1) 須 磨 浦 山 上 遊 園 地
須磨浦山上遊園地は須磨浦山上に
あ る 遊 園 地 で あ る 。こ こ に は ,大 径 の
ブ ナ 科 樹 木 ( 最 大 直 径 32.0cm) が 多
数 存 在 し た 。ま た ,ロ ー プ ウ ェ イ 下 の
伐開された明るい場所にクヌギが植
栽されていた。
2) 須 磨 離 宮 公 園
須 磨 離 宮 公 園 ( 82.6ha) で は , つ ば
き園のそばに株立ちした大径のウバ
メ ガ シ ( 3 株 の 平 均 胸 高 直 径 39.0cm)
が 存 在 し た 。ま た ,植 物 園 内 の ボ タ ン
が 植 栽 さ れ て い る 林 内 に は ,直 径 43.0cm
図 -4
ナラ枯れが発生する危険性が高い場所
の コ ナ ラ が 存 在 し ,そ の 周 辺 に も 同 じ よ
う な 大 き さ の コ ナ ラ が 30 本 ほ ど 存 在 し た 。 花 の 庭 園 の 近 く に も 大 径 の コ ナ ラ ( 最 大 直 径
68.0cm) が 10 本 ほ ど 存 在 し た 。
3) 神 戸 大 学
工学部キャンパス内の特高受電所のそばにコナラやアベマキなどのブナ科樹木(最大直径
63.0cm)が 存 在 し た 。ま た ,正 門 前 の バ ス 停 裏 に は 大 き な ア ラ カ シ( 直 径 82.0cm)が 存 在 し た 。
4) ポ ー ト ア イ ラ ン ド 南 緑 地
ポ ー ト ア イ ラ ン ド 南 緑 地 は ,ポ ー ト ア イ ラ ン ド で も 代 表 的 な 公 園 で あ る 。こ こ に は ナ ラ 枯 れ
被 害 を 受 け や す い 樹 種 で あ る ナ ラ ガ シ ワ ( Quercus aliena) の 大 径 木 が 46 本 ( 平 均 直 径 20cm,
最 大 直 径 34.6cm) 存 在 し た 。
5) そ の 他
須 磨 海 浜 公 園 ,ポ ー ト ア イ ラ ン ド 北 公 園 ,ポ ー ト ア イ ラ ン ド 中 央 公 園 ,神 戸 異 人 館 ,神 戸 大
学 海 事 科 学 部 深 江 キ ャ ン パ ス ,CAT パ ー ク ,神 戸 花 鳥 園 お よ び 六 甲 ア イ ラ ン ド 高 等 学 校 も 調 査
したが,いずれも外来ブナ科樹木は植栽されておらず,特に大きなブナ科樹木もなかった。
4. 考 察
古 く か ら 港 町 と し て 栄 え た 神 戸 市 は ,海 外 と の 交 流 も 深 い こ と か ら ,外 来 ブ ナ 科 樹 木 が 多 い
と 予 想 し て い た が ,今 回 の 調 査 で は ,外 来 ブ ナ 科 樹 木 が 見 つ か っ た の は 2 箇 所 の み で ,合 計 本
数 は 42 本 で あ っ た 。た だ し ,神 戸 市 森 林 植 物 園 で は ,外 来 ブ ナ 科 樹 木 の 多 く が 衰 弱 し て お り ,
昆 虫 に よ る 被 害 も 見 受 け ら れ た 。ナ ラ 枯 れ は ,周 辺 林 分 に 次 々 に 拡 大 す る が( 谷 口・末 吉 ,1990;
周 藤 ら , 2001; 井 上 ら , 2003), こ の 場 合 , 被 害 地 を 中 心 に 毎 年 2km 程 度 の 速 度 で 拡 大 す る 傾
向 が あ る( 布 川 ,1993;小 林 ら ,2000)。し か し ,被 害 地 か ら 十 数 km も 離 れ た 場 所 で 飛 び 火 的
に 発 生 す る こ と が あ る た め ( 小 林 ・ 上 田 , 2001; 布 川 , 2001; 佐 藤 ら , 2004), 平 均 す る と 年
6km 程 度 の ス ピ ー ド で 拡 大 す る ( 布 川 , 2001; 在 原 , 2009)。 神 戸 市 森 林 植 物 園 は 神 戸 市 で 最
初 に 発 見 さ れ た 被 害 木 か ら 6km 程 度 し か 離 れ て お ら ず ,本 来 の 生 育 環 境 と 異 な る 場 所 に 植 栽 さ
れた外来ブナ科樹木が衰弱していることから,ナラ枯れの新たな起点となる可能性がある。
神 戸 市 に は ,ナ ラ 枯 れ を 受 け や す い 大 径 な ブ ナ 科 樹 木 が 多 数 存 在 し て お り ,ナ ラ 枯 れ が 発 生
し や す い 状 況 に あ る 。 そ れ に も 関 わ ら ず , 平 成 22 年 に 初 め て 被 害 が 発 見 さ れ て 以 降 , 被 害 は
拡 大 し て い な い 。こ れ は ,神 戸 市 で は 被 害 発 生 前 よ り チ ラ シ 等 で 警 戒 が 呼 び 掛 け ら れ た た め に ,
被 害 発 見 が 早 く ,し か も 迅 速 に 対 処 で き た こ と が 功 を 奏 し て い る 。聞 き 取 り 調 査 で も ,ナ ラ 枯
れ を ご 存 じ の 方 が 多 く ,調 査 へ の 協 力 を 拒 否 さ れ た 方 は 少 な か っ た 。ナ ラ 枯 れ は ,被 害 発 見 が
遅 れ た り ,発 見 さ れ て も 対 応 が 遅 い た め に 拡 大 す る こ と が 多 く ,神 戸 市 の よ う に 拡 大 を 食 い 止
め た 事 例 は ほ と ん ど な い 。今 後 も 被 害 の 拡 大 を 防 ぐ た め に は ,被 害 発 生 を 見 落 と す こ と の な い
よ う 警 戒 を 継 続 す る 必 要 が あ る 。特 に ,今 回 の 調 査 で は 確 認 で き な か っ た 高 等 学 校 3 校 と ,衰
弱 し た 外 来 ブ ナ 科 樹 木 が 存 在 す る 神 戸 市 森 林 植 物 園 や ,ブ ナ 科 大 径 木 が 多 い 須 磨 離 宮 公 園 ,ナ
ラガシワが多数植栽されているポートアイランド南緑地については注視する必要がある。
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