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Kobe University Repository
Kobe University Repository : Thesis
学位論文題目
Title
半導体レーザによるガス分子種吸収分光分析の研究
氏名
Author
福里, 克彦
専攻分野
Degree
博士(工学)
学位授与の日付
Date of Degree
2002-03-31
資源タイプ
Resource Type
Thesis or Dissertation / 学位論文
報告番号
Report Number
甲2619
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/D1002619
※当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。
著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。
Create Date: 2017-03-29
博士論文
半導体レーザによるガス分子種
吸収分光分析の研究
4年 2月
平成 1
神戸大学大学院自然科学研究科
福里克彦
目次
i
咽
品
3
. 3 C02ガス吸収線の選定方法及び選定結果
a - AE A せ Aせ
3
. 2 HITRAN
nununuti
第 3章 吸収線の選定とシステムの開発
3. 1 緒言
4445678889990001112567
1111111111112222222222
半導体レーザ吸収分光分析法の原理
2. 1 緒言
2
. 2 半導体レーザの特徴
2. 3 半導体レーザの発振原理
2
. 4 DFB型半導体レーザ
2. 5 ill-V族半導体レーザ
2. 6 近赤外吸収分光分析法
2. 6. 1 分光分析法
2
. 6
. 2 分子の自由度
2. 6. 3 分子のエネルギー準位
2. 7 ガス分子種吸収計測
2. 7. 1 赤外活性と不活性
2
. 7
. 2 電気双極子モーメント
2
. 7
. 3 C02分子と H20分子の振動
2. 7. 4 基準振動数(基本音)と倍音
2
. 7
. 5 C02分子と H20分子の赤外活性
2. 8 半導体レーザ吸収分光の原理
2
.8
. 1 L
a
m
b
e
r
t
B
e
e
rの法則
2
. 8. 2 吸収スベクトルの解析
2. 8. 3 温度計測の原理
2. 9 原理上における問題点
参考文献
iO64tFhυρ0
第 2章
噌
第 1章 序 論
1
. 1 背景
1
. 2 従来研究
1
. 3 最近の研究
1
. 4 本研究の目的と論文の構成
参考文献
3. 3. 1 吸収選定方法
3. 3. 2 温度測定範囲において吸収強度が強いことの検討
3. 3. 3 他の C02ガス吸収線による干渉の検討
3. 3. 4 H20ガス吸収線による干渉の検討
3. 3. 5 温度計測の感度の検討
3. 3. 6 他のガスの吸収線による干渉(重なり)の検討
3. 3. 7 吸収線の検証(1.5μm帯との比較)
3
. 4 H20ガスによる高温領域の温度計測
3. 4. 1 H20ガスの吸収線採択の理由
3. 4. 2 H20ガス吸収線選定方法
3. 4. 3 最適 H20ガス吸収線の組み合わせ
3. 4. 4 他のガスの吸収線による干渉(重なり)の検討
3. 4. 5 吸収線の検討(1.3μm帯との比較)
3. 5 半導体レーザ分光システムの開発
3. 5. 1 システム概略
3. 5. 2 システム仕様
3
. 5
. 2. 1 光源および制御回路
3. 5. 2. 2 光分岐回路
3. 5. 2. 3 送光・受光系
3. 5. 2. 4 光分波器
3
. 5. 2. 5 受信回路
3. 5. 2. 6 信号取込装置
3. 6 解析手法
3. 6
. 1 面積比とピーク比
3. 6. 2 波長掃引法
3. 6. 3 ベースラインフィッティング
3. 6. 4 波数カウント
3. 6. 5 スペクトル解析法
3. 7 高時間分解能計測
3. 7. 1 波長掃引法における時間分解能
3. 7
. 2 三角波
3. 8 結言
参考文献
第 4章 高 温 ガ ス セ ル を 用 い た 基 礎 実 験
4. 1 緒言
4. 2 実験装置
4. 3 高時間分解能による C02ガス濃度・温度計測
4. 3. 1 計測システムの直接信号評価
4. 3
. 2 常温における C02ガス濃度評価
41
42
42
42
43
44
44
44
44
44
45
45
45
46
46
46
46
47
47
48
48
48
48
48
49
49
49
49
50
50
50
51
52
80
80
80
8
1
81
8
1
4. 3. 3 常温における C02ガス温度評価
4. 3. 4 高温度領域での時間分解能計測評価
4. 3. 5 高温における計測濃度評価
4. 4 HITRAN値と実験値との比較検証
4. 4. 1 広範囲波長掃引可能な半導体レーザ
4. 4. 2 吸収線スペクトル比較
4. 4. 3 吸収線スベクトル比較検討結果
(
5
0
)
/
R
(
3
0
)における比較検討結果
4. 4. 4 R
4. 5 結言
参考文献
82
82
83
83
83
84
84
84
85
86
第 5章 層 流 ・ 乱 流 火 炎 へ の 応 用
5. 1 緒 言
5. 2 層流予混合平面火炎計測
5. 2. 1 実験装置
5. 2. 2 数値計算による計測温度との比較
5. 2. 3 熱電対による計測温度との比較
5. 2. 4 実験条件
5. 2. 5 実験結果及び考察
5. 3 乱流予混合火炎計測
5. 3. 1 20kHz評 価 実 験 装 置 及 び 条 件
5. 3. 2 20kHz評価実験結果及び考察
5. 3. 3 乱流予混合火炎の実験装置
5. 3. 4 実験験結果及び考察
5. 4 結 言
参考文献
98
98
98
98
99
99
100
100
103
103
103
104
104
105
106
第 6章 結 論
119
謝辞
第 1章 序 論
1. 1 背景
我々の生活に身近な自動車や航空機,火力発電,暖房機器などの多くの機
器は化石燃料を燃焼させることによりエネルギーを取り出すシステムであ
り,現代社会の繁栄を支える必要不可欠な技術である.しかし燃焼現象を理
解することが困難であるために未だその燃焼制御技術は確立されていない
のが現状である.制御技術の未確立ゆえに我々の身の回りにある燃焼装置か
ら排出される各種燃焼生成物が地球環境へ悪影響を及ぼすことが年々深刻
化し,大きな社会問題となっている(1).特に燃焼生成物の中でも C02ガス
は地球の温暖化を招き,早くからその環境への影響が危倶されている.しか
し C02ガスは燃焼の副産物であるため,燃焼すれば必ず発生する.そのた
めに,エネルギー需要を満たしながら C02ガス生成量を削減することが理
想的ではあるが,現実的には非常には困難なことである.
C02ガスが重要な役割を果たすことの一つに自動車用ガソリンエンジン
の排気ガスがある.ガソリンの高効率化をはかるための手段としての EGR
(ExhaustGasR
e
c
y
c
l
e
) には排気ガス温度の計測が重要である.ここで排
気ガス中に高濃度含まれている C02ガスは制御用ターゲット成分の強力な
候補になりうると考えられる.
高速で回転しているガソリンエンジンの効果的な制御には,非接触でモニ
タリングしつつ,この情報を燃焼器の動作パラメータにフィードパック出来
る時間応答性に優れた燃焼制御技術が必要である.現在,工業的に広範囲で
T-IRやガスクロ
用いられている温度計測法には熱電対,濃度計測法では F
マトグラフィ等が挙げられる.しかしこれらの手法は時間応答性・時間分解
能・空間分解能が十分であるとは言い難い.またそのほとんどが計測対象場
にプローブを挿入する接触法であるため,測定場を乱す影響が無視できない.
一方では非接触法として,様々な光学的手法を用いた方法がある.その一
つにレーザ誘起蛍光法 (
LIF:LaserInducedF
l
u
o
r
e
s
c
e
n
c
e
)(
2
)がある.こ
れはレーザ光をシート状にして,断面積を横切る燃焼場の濃度・温度計測が
主体である.対象ガス分子種としては OH,NO,CHなどがあり,定量計
測が可能である.また高温領域の温度計測用としてコヒーレント反ストーク
スラマン散乱法 (CARS:C
oherentAn
t
i
S
t
o
k
e
sRamanS
c
a
t
t
e
r
i
n
g
)(
の
が
ある.点計測ではあるが,最高 4000K程度の温度計測と窒素分子濃度計測
が可能である.しかしながら,これらの計測法は装置が大がかりであり,振
動や挨にも弱く壊れやすいことから実燃焼器への応用は非常に困難である
.
とされてきた ω
1
半導体レーザを用いたガス吸収分光分析法は,実機への応用性が高く,さ
らに燃焼ガスの温度・濃度を非接触かつ高時間分解能で計測できる新しい計
.本報ではこの半導体レーザガス分光法を用
測手法として注目されてきた ω
いて燃焼生成ガスの濃度計測及び温度計測の研究を行う.
まず,燃焼ガスの計測用ターゲットには前述の理由から C02ガスを選ん
だ.次に高温場の温度計測においては H20ガスの温度計測の方が有効であ
ると考え,実燃焼計測では C02ガス濃度と H20ガスの温度計測を行うこと
-v族の InGaAsP/lnP
とした.半導体レーザには近赤外域波長 2.0μm帯で m
素子を用いた.一般的にガス分子の吸収では赤外波長帯領域 (2.5μm以上)
に 基 準 振 動 ( 基 本 音 で 川 や V 3 で定義される:次章で詳細解説)の吸収帯
が存在し,吸収強度が強くなる.そのために波長が長い方が吸収強度は強い
とされている.特にこの波長 2.0μm帯の中には C02ガス吸収帯の強い吸収
線があり,計測には最適とされ選定した.この 2.0μm帯の波長は,室温発
D
i
s
t
r
i
b
u
t
e
dF
e
e
d
B
a
c
k一分布帰還型)レーザとして m-v族
振の DFB型 (
の InGaAsP/lnP素子を使ったものとしては,現在では最も波長が長いとさ
6
)
.
れている (
また実機への応用,特に燃焼制御用センサーを目指すために高時間分解能
は不可欠である.本研究ではこの半導体レーザの波長を高速変調することに
0k
H
z
"
"
'
'
2
0kHzオーダーの高時間分解能計測が可能であるかを研究
より 1
する.
1
. 2 従来研究
半導体レーザを用いた吸収分光法の研究は 1960年代の半ばからすでに行
われていた.その時代に使われたレーザというのは直接電流駆動による鉛カ
μm""'-'50μm まで
ルコゲナイト系半導体レーザであった (7). このレーザは 2
の長波長カバーすること出来るために化学分析等では使用可能である.しか
しながらバンドギャップエネルギーが狭く熱エネルギーの影響を受けやす
いために液体ヘリウムもしくは液体窒素により冷却しないと動作しない.ま
た素子の信頼性が低く,マルチモードで発振するために分光分析では専用の
分光器が必要となる.これより実用面で問題があり,用途は主に分析研究用
であった (8) 1980年代の後半になると鉛カノレコゲナイト系半導体レーザに
代わって,室温発振可能な通信用半導体レーザが登場し,このレーザを分光
分析用として使おうとする動きが出てきた.
まず最初に, 0
.
7
μ
m
"
"
'
'1
.5μm帯の近赤外領域の吸収を用いた半導体レー
. Hansonらによ
ザ分光法に関する研究はスタンフォード大学の RonaldK
.ここで同大学をこの分野の先駆者的な役割を果たし
って始められている ω
ていると考え,その研究の歴史について記す.最初に彼らは通信用半導体レ
ーザを使った 02 (
7
6
0nm) や H20 (830nm11
.3μm) 濃度,温度,流速
f法と呼ばれる WMS法
について計測例を報告している (10).ここでは主に 2
2
(WavelengthModulatedS
p
e
c
t
r
o
s
c
o
p
y
) (11)による検知法を採用している.
f法というのはレーザ発振波長を周波数 f(
k
H
z
"
'MHz) で変調し,
この 2
検出信号を周波数 2
fで位相検波するもので,現在では WMS法の中でも広
f検波では検出周波数帯域を高い周波数
く用いられている検出法である. 2
帯でシフトし,検出信号の AC成分のみを選択的に増幅することで,微弱な
0・3
吸収による信号強度の変化分のみを捉えることができるため,吸収率 1
'
"
'
'10・6程度の検出感度が実現できる(12).しかしながら,この 2
f法は高時間
分解能の可能性はあるものの,半導体レーザの高速変調でのモードホップの
問題,受光アンプの時間分解能などの制約から数 10kHzオーダーの時系列
計測の報告は,まだない(13)•
1993年には1.38μm帯 DFB型 InGaAsP半導体レーザを使っての平面火
炎の H20濃度計測〈1
4
),1995年には H2・02火炎パーナでの H20 (
1
.343μm
/1
.392μm) 温度計測,この時 2kHzの高時間分解能の生信号を確認して
いる(15) 1996年には波長 3
95nmと 670nmを使用し N02濃度計測 (
1
6
),
1
.65μm帯での CH4濃度, C3H8濃度の 2成分計測(17),H20濃度,温度を用
いた CH4拡散火炎の燃焼制御 (
1
8
),高圧場での H20濃度計測(19)の報告があ
る. 1997年には H20・N2を封入したセルを温度 473K 下で 1
0気圧まで加
圧しそのスペクトルファイル広がりの検討 (20) また 50kWモデ、ル燃焼器
losedLoop 制御 (
21)を行っている.一方,マルチ計
を使った H20温度 C
6
5
0K)・
測では 1395nmと 1400nmの波長を用いての超高音速化の温度 (
4500m
/
s
) ・H20 濃度の同時計測実施例がある (
2
2
) この頃までは通
速度 (
信用としての1.3μm帯や1.5μm帯の DFB型半導体レーザが盛んに開発さ
れており,入手しやすくなった.またこの波長帯には CH4ガスや H20ガス
の比較的強い吸収線が存在したために便利な波長帯とされてきた.しかしな
がらこれらの DFB型半導体レーザは掃引波長が極端に狭く,複数ガス計測
を行うためには複数のレーザが必要となる.また広い波長域を十分にカバー
できなかったために広範囲における吸収スベクトルの波形解析が困難など
998年には外部キャピティレーザ (ECDL:1
.953
の問題があった.その後, 1
・ 2
.
0
5
7nm掃引幅)を用いた H20濃度・温度及び C02濃度 (
2
3
)の計測を行
っている.この ECDL (
E
x
t
e
r
n
a
lCavityDiodeL
a
s
e
r
) は外部に回折格子
を持ち,半導体レーザの発振波長を外部的に変調するもので, 100nm程度
2
4
) そのために複数のガス分子種を分光分析出来
の波長掃引が可能となる (
るが,装置自体のロバスト性がなく,また掃引に時聞がかかるために燃焼制
御用のセンサーとしては不向きである.
その後,宇宙開発部門ではスペースシャトルのプ}スターロケット燃料に
用いられるヒドラジン N2H4 (
15
3
9
.
6nm) や CH3N2H3 (
1524.
4nm) の
リーク検知 (25)の報告がある.これはヒドラジンの毒性が強いために発射台
に長時間設置したロケットからの燃料リークは微量でも問題となり,安全面
を考慮する目的である. また 2.3μm帯 ECDLを用いた C02濃度 (
2
6
) 計測
3
などを行ってきている.
スタンフォード大学以外でもこの分野の研究は数多く行われている. PSI
社の MarkG
.Al
l
e
nは 1993年から 02ガス成分を検知し, CT (Computer
2
7
).その後は H20ガスをベースにした
Tomographic) 面計測を行っている (
2
8
)・(
3
6
).その他のガス分子
濃度・温度計測をさまざまな分野に応用している (
3
7
,
〉 NOガス (
3
8
)
(
3
9
),COガス, C02ガス同時計測 (
4
0
)などを
種では N02ガス (
行っている.
日本圏内でも企業・大学とも研究報告は少なくない.三菱重工業の田浦・
.852μm帯を用いた NOx計測 (
4
,
)
12
f法によるゴミ燃
牟田らは1.787μm--1
4
2
)を行っている.また東京ガスの田井・
焼炉内部での 02及び煤塵濃度計測 (
4
3
)
(
4
4
)を行い,ガスリークモニターに応用させている.一
井関らは CH4計測 (
方,大学・研究関連では東京工業大学の宮内・唐橋らが DNSを用いた半導
体レーザ H20吸収法の数値計算 (
4
5
)
(
4
6
),相津らが1.5μm帯の DFB型レー
4
7
)
(
4
8
) ここ
ザと ECDL型レーザを用いて OHラジカノレの計測を行っている (
では燃焼の中間生成物であるラジカルの計測が出来ることを示しており非
常に興味深い.また HITRANデータベースと比較したものとしては,大阪
大学の高城・中田らによる HITRANデータベースの計算補正がある (
4
9
).
1. 3 最近の研究
従来の研究のほとんどは,前述のスタンフォード大学と同様に通信用の半
.55μm) に近い波長のレーザが使用されていた.
導体レーザ(1.31μm,1
そのために計測できる気体の種類も限定されており,主に吸収が弱い波長帯
を使用せざるを得なかった.その大きな理由として,高時間分解能計測を実
現する DFB型半導体レーザの波長開発技術とアイソレータの製造技術に限
4μm--13μm帯の広い周波数領域をカバ
界があった.しかし最近では, 3.
ーする量子カスケード・レーザ (
5
0
)などが開発されており,より吸収の強い
波長帯へのアクセスが容易になりつつある.
また,計測に必要となる吸収線の波長,吸収強度,低準位エネルギーレベ
ル等といったスペクトルパラメータとして, HITRANデータベースに収録
されている値が用いられてきた (
51
)(
5
2
) しかし HITRANデータベースは大
気観測を目的として作成されたものであり,常温・常圧・大気雰囲気中にお
いては有効であるが燃焼場における高温条件下の計測用に用いることは必
ずしも適していない.そこで最近の研究では,高温場における HITRANデ
ータの信頼性の検証や HITRANに収録されていない吸収帯の吸収データ計
算や計測などの試みが行われている (
5
3
)
(
5
4
).
最近のスタンブオ}ド大学の研究は実際の応用分野での計測事例が多い.
829nm と 1304nm の 2波長を用い, C2H4/空気予混合層流火炎中すすの
5
5
),C2H4/空気予混合火炎での H20,CO,C02それぞれの濃度と
温度計測 (
4
温度のマルチ計測 (56),このマルチ計測を火炎中のパルスデトネーションエ
ンジン燃焼ガスに応用した例制),自動車エンジン排ガス中の CO計測 (58)
といった様々な分野への応用を行っている.
また大型のゴミ焼却炉に応用している事例もあり,ハイデルベルク大学では
10m四方の実機燃焼炉に半導体レーザを用い CH4,H20,02の同時計測を
行っている (59)•
圏内では,航空宇宙技術研究所のチームが1.8μm帯のレーザシステムを実
機の航空機に搭載し, NOガ ス 計 測 を 行 っ て い る 刷 ま た 東 京 ガ ス は 半 導
体レーザを含めた光学系をセンサー一体型に収納し,一般家庭用都市ガスリ
ークモニターを開発している (61)大阪大学の香月・握らは噴霧燃焼ガス計
測に応用し (62}(63),慶謄大学の川口,菱田等は面計測 CT化を行っている (64)
このように半導体レーザを用いた吸収計測の研究は実機応用へと移行を
始めているが,高時間分解能を有した燃焼制御用センサーとしての試みはま
だ数少ない.
.5μm付近の外部キャピティ型半
我々が着目した C02ガスに関しては, 1
導体レーザによる濃度計測に関する報告がなされている (40) しかしこの波
長帯は吸収強度が弱いため数 10mという長い光路長が必要であり,光路長
を増やすための多重反射型セル内にガスをサンプリングする必要があるた
n
S
i
t
uでの計測は困難であった.また最近になって 2.0μm帯の外部キ
めI
ャピティレーザを用いた例も報告されたが (65),前述同様に外部キャピティ
レーザを用いているが故に時間分解能に問題がある.本研究で用いられる波
長 2.0μmの DFB型レーザ光源は 1nmの波長幅を高時間分解能でスキャ
ンできるために時系列計測での温度・濃度計測が可能である.また C02ガ
スに関しては 2.0μm帯の吸収強度は1.5μm帯の約 70倍であるため (66)光
n
S
i
t
u計測の可
路長を短縮でき,将来,燃焼器内に直接ビームを照射した I
能性も十分に期待される.このように長波長 DFB型半導体レーザによる高
時間分解能でのガス吸収分光分析の研究の意義は非常に大きいと考えられ
る.
1
. 4 本研究の目的と論文の構成
本研究の目的は,通信用に開発され発展してきた DFB型半導体レーザ光
源を用いて,従来の計測法では実現できない高時間分解能,高速時間応答性
を有した非接触温度・濃度計測法を確立することである.そのためには,
C02ガスや H20ガス吸収線の適切な選択, 2.0μm帯 DFB型半導体レーザ
ガス吸収分光分析を用いた新たな計測システムの開発,本システムの高温場
での誤差評価が必要である.その後,本システムを実際の火炎に適応し,そ
の問題点を抽出し実際の燃焼コントロールに必要な課題点などを議論する.
5
第 1章は「緒論」であり,半導体レーザガス吸収分光分析法を用いた従来
の研究を,スタンフォード大学を中心に説明すると共に,本研究の目的と各
章の概要を述べている.
第 2章「半導体レーザ吸収分光分析法の原理 Jでは,半導体レーザの特徴,
b
e
r
t
.Beer法や吸
近赤外波長による分子の吸収,振動回転理論の基礎, Lam
収線スベクトル解析法について述べている.
第 3章「吸収線の選定とシステムの開発 J では HITRANデータベースを
使った C02ガス及び H20ガスのそれぞれの適切な吸収線選定について解説
する.特に温度計測に必要な 2 本の吸収選定に関しては詳細を述べる.ま
た 2.0μm帯 DFB型半導体レーザを用いたガス吸収分光分析システムは市
販されていないために新たに開発を行った.ここではその特徴・住様等を記
す.
第 4章「高温ガスセルを用いた基礎実験」では,本計測システムの評価を
中心に 10kHzの半導体レーザの掃引波長を使い,実際に高時間分解能での
計測が可能であるかどうかを検討する.また高温での C02ガス温度計測を
実施し誤差評価を行い,問題点を抽出する.その他に高温における HITRAN
データベースの評価を,吸収スペクトルファイルを使って行い,実験値との
誤差を評価する.
第 5章 「層流・乱流火炎への応用」では,本計測システムを実際の火炎
に応用する.まず, 1
0kHz の時間分解能にて層流予混合火炎計測を行い,
断熱火炎数値計算や熱電対と比較する.次に時間分解能を 20kHzまで上げ,
高温ガスセルで評価実験を行い,最後に乱流予混合火炎計測に応用する.
第 6章「結論 Jでは各章で得られた結論を総括で記述し,燃焼制御用とし
ての半導体レーザガス吸収分光分析システムの問題点及び今後の課題を記
す.
参考文献
(1)新井紀男,“燃焼生成物の発生と抑制技術"テクノシステム
(
2
)P
.M.Doherty
,D
.R
.C
r
o
s
l
e
y
,App
l
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p
t
.23,713,1984
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3
)P
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.Regnier
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.Moya,J
.P
.E
.Taran,AlAAj
o
u
r
n
a
l,1
2,826,1973
(
4
)大津敏彦,小保方富夫,“レーザ計測ぺ裳華房, pp.151・162,1994
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(
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)石田昭広,藤安洋,“波長 2μm以上の半導体レーザとその応用"電子情
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.Linden,Opt.Eng.19,945,1980
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. 32,No. 30,p
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6090・6103,1993
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)相津哲哉,“半導体レーザ吸収分光法による燃焼計測に関する研究'¥東
工大博士論文, pp.20・23,1999
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1,1997
(
4
2
)牟田研二,田浦昌純,藤村陪太郎,徳田君代,“半導体レーザを用いた燃
焼排ガス中の酸素.煤塵濃度計測"第 34回燃焼シンポジウム講演論文
集
, pp.551・553,1996
, Remoted
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.31809"814,1992
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(
4
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)田井秀男,山本和成,木村潔,上原喜代治,“半導体レーザ分光による気
体 濃 度 の 高 感 度 測 定 ぺ 第 34 回燃焼シンポジウム講演論文集, p
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1
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度 及 び OH 濃 度 計 測 ヘ 第 37 回燃焼シンポジウム講演論文集, p
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ス中の温度および OH濃度計測ぺ日本機械学会論文集 (
B編
)
, 66巻 642
号
,N
o.99-0653,2000
(
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9
)堂浦康司,小宮山正治,高城敏美,中田武男,“赤外吸収を用いた温度測
定法に関する検討ぺ第 34 回燃焼シンポジウム論文集, p
p
. 539・541,
1996
(
5
0
)D
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andW.B
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H20andNH3near2.0μm
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283,1998
1
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CombiningFlame Emission andModulatedLaser
00・0953,2000
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(
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6
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f CO, C02, H20 and
ぺProceedings
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Vol
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ぺAlAApaper,2001"0412,2001
Flows
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.282D04,2000
(
6
0
)田丸卓,牧田光正"航空機燃焼排気が大気環境へ及ぼす影響'¥燃焼研究
1
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7,2001
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g,2000
(
6
2
)雀敬民,芝原正彦,赤松史光,香月正司,池田裕二,中島健,“半導体レ
ーザ吸収法を用いた乱流火炎の燃焼ガス特性の実時間計測ぺ第 3
8回
燃焼シンポジウム論文集, p
p
.353・354,2000
.
0pm付近の半導体レーザ
(
6
3
)握敬民,芝原正彦,赤松史光,香月正司,“ 2
吸収法を用いた燃焼場の C02実時間計測ぺ第 37回伝熱シンポジウム
論文集, p
p
.273・274,2000
1
1口達也,菱田公一,前田昌信,“レーザ光吸収法による 3次元濃度場
(
6
4
))
7回伝熱シンポジウム論文集, p
p
.935・936,2000
の CT計 測 ヘ 第 3
1
2
(
6
5
)MichaelE
.Webber,SuhongKim,DouglasS
. BaerandRonaldK
.
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ぺAIAApaper,2000・0775,2000
LaserSensorsNear2.0pm
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.,HansonR
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.,
(
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)WebberM. E
.,KimS
IkedaY
.
, App.O
p
t
i
c
s40,821・828,2001
1
3
2章
半導体レーザ吸収分光分析法の原理
2. 1 緒言
本章では,初めに半導体レーザ吸収分光分析法で用いる半導体レーザについて
その特徴・発振原理・発振可能最大波長などについて述べる.そして,赤外吸
収法の基本原理・ガス分子種濃度・温度計測の方法について説明していく.
2
. 2 半導体レーザの特徴
半導体レーザは現在では光計測の主要な光源となってきた.それは半導体レー
ザが計測用光源として,
(1)小型・軽量・堅固・長寿命
(
2
)低電圧駆動・高い量子効率
(
3
)広い波長選択性
(
4
)高速変調可能
(
5
)大量生産可能
などの優れた特徴を有するからである(1).以下それぞれの特徴について説明する.
(1)小型・軽量・堅固・長寿命
光源が小型・軽量であることは,光計測法の実用化にとって非常に重要で、あ
る.一般的にレーザ計測といえば,レーザ装置の取り扱いの煩雑さから,その
利用法の大部分が研究室,実験室内での基礎データ取得に限定されてきた.半
導体レーザはこれらのレーザ(気体レーザ・固体レーザ)に替わる光源として
実用化の面で期待されている.また堅固(ロバスト)で、寿命時間についても非
常に長い.例えば気体レーザのそのほとんどが数千時間であるのに対して,半
導体レーザは数万時間である.
(
2
) 低電圧駆動・高い量子効率
半導体レーザは,半導体の順方向に電流を流して発振させるので低電圧で駆動
し,電源も小型・軽量となる.また半導体レーザは発振パワーの量子効率が高
.
0
1 %であることと比較
く
, 40%以上にも達する. He-Ne レーザのそれが約 0
1
4
して,エネルギーの有効利用の点で、も半導体レーザの方が 1
0
0
0倍以上も優れて
いる.このように半導体レーザが低電圧駆動,低消費エネルギーで、あることは
光応用センサーを大量に使う場合にとくに有利であることを証明している.
(
3
)広い波長選択性
半導体レーザは,気体レーザや固体レーザに比べて,容易に広い波長を選択で
きる.半導体レーザの発振波長は基本的に活 性材料のバンドギャップエネルギ
d
ーで決まるが, ill-V族半導体では赤色 近赤外, ll-VI族半導体では緑色
青色, N-VI族では中赤外領域での発振が得られる.中赤外領域の半導体レー
ザはまだ室温発振が不可能なため,計測器には実用化されていないが,このよ
うに結晶の組成の変化によって波長をかなりの範囲で変えることができる.
(
4
) 高速変調可能
半導体レーザには気体レーザや固体レーザにはない,高速変調可能(周波数)
という特色を有している.これは注入電流を変調することにより,光出力強度
を高速に(数 GHz以上)変調することである.これにより,計測回数を増やし
て精度を向上させたり(例えば:2
f法),高時間分解能で時系列計測が可能とな
る.
(
5
) 大量生産可能
半導体レーザはその発信素子がチップであるために大量生産が可能であり,
レーザ自体の価格が安価になりうる.
2. 3 半導体レーザの発振原理
半導体レーザは図 2・1に模式的に示されるような P型 N型接合ダイオードで
ある.ダイオード順方向にバイアスが印加されると, N型領域からは自由電子
が
, P型領域からは自由ホールがそれぞ、れ活性領域(活性層)に注入される.
注入された電子とホールが再結合して消滅する際に,活性領域のバンドギャッ
プエネルギー品にほぼ相当する波長 l,-...., h
c
!島 (
h
:プランク定数 c
:光速)
の発光が起こる.注入されたキャリアの密度が低いときに起こる発光は,自然
発光(発光ダイオード)であるが,高密度のキャリアが注入され反転分布(伝
導帯底部の電子占有数が価電子帯頂上部の電子占有数を上回る状態)が形成さ
れると,誘導放射が盛んになる.この時,活性層の両端を反射面として光を閉
じ込め,往復させ(ファブリ・ペロー共振),その結果,位相がそろい,また光
増幅による光学利得が光共振器の損失とつりあう時に,レーザ共振となるので
1
5
ある(図 2
2
).
図 2・
3は,ファブリ・ペロー共振器におけるレーザ発振の条件を示す.A点か
ら出発し活性領域を共振器の縦方向に増幅されながら伝搬した光は,反射鏡で
一部が反射され逆方向に伝搬する.これを繰返し共振器をー往復して A 点に戻
x
p
(
(g-α)2L)=1が
ってきたとき,光の振幅が出発時と同じである条件, R2e
定常的にレーザ光を出力しうる条件である.ここで,g は光の増幅を表す利得
係数である. α は共振器内での内部損失を表し,半導体レーザでは自由キャ
リアによる光吸収が主な原因である .Rは端面反射率,L は共振器長である.
1. 1
g
'
h=
α+-ln-
(
2
-1
)
L R
発振条件を満たす利得係数 g の値はしきい利得と呼ばれる.式 (
2・1)は,増幅
利得が全損失につりあう条件である.全損失は内部損失(右辺第 1項)と反射
損失(第 2項:反射鏡でレーザ光の一部が外に取出されるための損失)の和と
して表される.注入電流をゼロから増やしたとき,反転分布による利得が民h に
達するとレーザ発振が開始される.この電流をしきい電流と呼ぶ.電流がしき
い値を超えると余剰に注入されたキァリヤーがレーザ光に変換され,利得は gth
に固定される.
現在の半導体レーザでは,低いしきい電流で発振を得るために数々の構造上の
工夫がなされている.その主なものはダブルヘテロ構造とストライプ構造であ
る.通常,活性領域とそれをはさむ P型
, N型領域(クラッド層)は,異なっ
た組成の半導体結晶からなっており,このような構造をダブルヘテロ(接合)
構造(図と呼ぶ.クラッド材料としては活性材料より広いバンドギャップをもっ
材料を選ぶ.こうすると,バンドギャップ差で生じたエネルギーギャップのた
めに電子・正孔は活性層内に閉じ込められるので,低い電流で大きな反転分布
.
を得るのに有効である ω
2. 4 DFB型半導体レーザ
ブアブリ・ペロー共振器から放射される光の縦モードは,多くのモードが存
在し,出力が増すと長波長側にシフトする傾向がある.光ファイパー通信で、は
多数の縦モードを含む光を伝送すると,ファイパーの波長分散特性のため伝送
距離や伝送速度の制約が大きくなる.したがって,高速変調などの用途に対し
ては,単一縦モードの発振が必要となる.この目的のために開発された代表的
1
6
素子が,分布帰還型(D
i
s
t
r
i
b
u
t
e
dFeedBack:
DFB)半導体レーザである .DFB
型レーザは図 2
4 に示すように回折型共振構造をとっている.図のように活性
層に隣接した場所にガイド層として周期的な凹凸(回折格子:グレーティング)
構造を形成し,この凹凸によって帰還させられた光を発振させようとするもの
である(図 2・
5
)
. この構造では屈折率も周期的に変化するので,周期的に反射
されてくる光の位相の合ったところの波長で,ブラッグ反射(入射角を ,
J
f 格
子間隔を dとすると 2=2ds
i
n
8の関係、が成り立つ反射)により反射率が高くな
り,ついにレーザ発振が生じる.その発振波長は回折格子の周期によりほぼ決
まる.
回折格子の実際の周期は 0.20μm-0.25μmで一定の波長の光のみが帰還発
振されるようになるので,図の凸部分から反射される光の波長 iが,格子の周
期 α 光強度 Pに対して次式のとき,反射は最大となる.
2cP= (
整数) x2/ (媒質の屈折率)
(
2・2
)
2
. 5 ill-V族半導体レーザ
低しきい電流・室温連続発振・高信頼性(長寿命)などの特徴を備え実用化さ
れている半導体レーザの材料系には 3種類あり,いずれも皿 -V族半導体で
al_x
A1xAs (活性層) /Gal_y
Al
y
As (クラッド層) / GaA
s (基盤)レ
ある. G
n
l χGax
A
s
l
Y
P
y
ーザは 0.7μm"'0.9μmで発振し光ディスク応用に,また, l
(活性層) /lnP (クラッド層) /lnP (基板)レーザは1.2'
"1
.6μm で発振
し,光ファイパ一通信に用いられている.格子定数の異なるヘテロ接合には格
子欠陥が生じやすく,発光効率やレーザの寿命に悪影響を与える.高性能・高
信頼性のレーザを得るには,良質なバルク結品が得られる 2次元化合物を基板
として用い,この上に格子整合条件を満たすダブルヘテロ構造をヱピタキシヤ
ル成長させることが望ましい (3)•
ー
図 2・
6 は種々の ill-V 族半導体について格子定数とバンドギャップエネル
ギ -E
geVの関係を示したものである.白丸は 2元化合物を,白丸を結ぶ曲線
(実線および破線)は 3元混品を示す.実線は直接遷移型,破線は間接遷移型
であることを表している.灰色および斜線の領域は,それぞれ, 4 元混晶
InG
aA
sPおよび InG
aAl
P に対応する.
4元混晶 InG
aA
sP を活性層, I
nPをクラッド層としてサンドイツチ状態で
レーザを製作する場合, I
n
l
x
G
a
x
A
s
l
Y
P
yでは,組成に 2つの自由度 χ,yが
存在するためには,格子定数を一定に保ったままバンドギャップエネルギーを
変えることが出来る.図 2
-7Aは
, InP と InG
aA
sPの格子定数 αが一定に保
1
7
たれた状態の模式図である.このとき,レーザ発振波長は1.2
0
'
"
'
'1
.67μm であ
る.ここで, 1
.67μm以上の発振波長を得る為には,この格子定数を何らかの
ひずみを与えて変化させバンドギャップエネルギー.EgeVを小さくさせなけれ
B) この様な物理的作用により活性層の格子定数がクラッ
ばならない. (
図 2・7
ド層の格子定数より大きくなり, 2.0μm程度の発振波長が可能となるのである.
aA
sP
/lnPの組成では,物理的に 2.2μmが限界になり,
しかしながら, InG
これ以上の発振波長を得る為には,新たな何らかのドーピングを加えるか, Sb
(アンチモン)系の組成に変更しなければならない.現状で製造出来る,室温
aA
sPIInPレーザの最大波長は 2.0μm前後である ω
.
発振可能な InG
2. 6 近赤外吸収分光分析法
2
.6
. 1 分光分析法
分光法とは光と物質との相互作用によって生じる光の強度やエネルギー変化
を求めるものである (5).分光法にはスペクトルがつきものであるが,ここでのス
ベクトルとは横軸に光の振動数(波長,波数など),縦軸には光の強度(吸光度,
散乱強度など)をとったものである.振動数(エネルギ~)に対する光の強度
分布がスペクトルで、ある.
光の波長λ,エネルギー E, 光速 α 振動数 v~ こは次の関係式がある (ω.
E=hv=h(cl
λ)
。
3
)
hはプランク定数である.ここで波数(
1
1
λ
)が大きくなればなるほど,波長が
小さくなり,エネルギーが高くなる.図 2・8 には,光の波長と波数,エネルギ
8
0
0
ーの関係を示した.本研究で扱う赤外というと広義では可視光の長波長端 (
1mm)を意味する.狭義では 2.5μm-25μm
nm)からマイクロ波の短波長端 (
をさす.狭義の赤外のことを中赤外と呼ぶ.近赤外というのは最も可視に近い
領域のことで 800nm から 2.5μmまでである (7).この近赤外領域を用いた分
光分析法について記述する.
2
.6
. 2 分子の自由度
全部で N 個の原子の位置を指定するのに必要な座標の総数は 3Nである.各
原子はその座標の一つを変えることによってその位置を変えることができるか
である.例えば,分子の重心の位置を指定するため
ら,有効な変位の総数も 3N
に 3個の座標が必要であり,したがって変位のうち 3個は分子全体としての並
a
).残りの 3
N3個は分子の非並進である.
進運動に対応する(図 2・9
1
8
空間で 1個の直線分子の方位を指定するには,二つの角度が必要である.実
際には,分子軸が向いている方向の緯度と経度をしている必要がある(図 2・9
b
)
.
しかし,非直線分子では,緯度と経度で決めた方向のまわりの分子方位も指定
ー
する必要があるから, 3個の角度が必要となる(図 2
9
c
)
. 3N 3個の内部変位
のうち 2個(直線分子)あるいは 3個(非直線分子)は回転変位である.そう
すると,原子のお互いの相対的な変位として, 3~5 個(直線分子)または 3N6
個(非直線分子)が残る.これらが振動モードである (8)•
2
.6
. 3 分子のエネルギー準位
このように分子は振動や回転を行うが,これらに伴うエネルギーは量子力学
では飛び飛びになっている (9).図 2・1
0は分子のエネルギー準位を表したもので
ある.
分子のエネルギー準位には,図に示すような電子のエネルギー準位 (
E
l、E2
、
…),振動のエネルギー準位(戸O、1、2…),回転のエネルギー準位 (
J
=
O、1、2
…)からなっており,これらが組合わさったある 2つの準位間で遷移が起こる.
この図から分かるように非常に多くの遷移が存在し,各遷移の共鳴振動数vがそ
れぞれ異なるため,吸収線は図 2・1
1に示すような複数の吸収帯を形成する.こ
の様な吸収線の分布は各気体分子構造によって異なり,表 2・1に示すような固
有の吸収帯を形成している(10)
2
. 7 ガス分子種吸収計測
2
. 7
. 1 赤外活性と不活性
量子力学によると,分子が赤外光を吸収または放出して,ある状態 m から
状態 n へ遷移するためには,次の 2・4式に与える定積分か、または同様の式で
表される (
μy
) nm . (
μz
) nmのうち少なくとも 1つの値が Oでないことが必要
である
い
xん=[
,
,
)
/
lnx mdQ
(
2・4
)
J
lV
/
ここで μxは電気双極子モーメントの成分1JT
は分子の振動状態の固有関数であ
1
る.振動の座標が変化すると基底状態での電子の分布も変化するので,双極子
モーメントは基準座標 Qの関数である.このときに μx成分が Oであれば,電気
双極子モーメント成分をもち,赤外域での遷移は起こり,逆に μx成分が Oでな
ければ,遷移は起こらないということになる.つまり電気双極子モーメントを
1
9
持てば赤外活性(その逆は赤外不活性)ということなる(11).
2
. 7
. 2 電気双極子モーメント
電気双極子モーメントが変化するということは,電磁場との相互作用によっ
て赤外吸収を起こす.つまり分子振動によって分子の双極子モーメント (
d
i
p
o
l
e
moment) が変化することが必要である.双極子モーメントは,原子の電子を引
きつける能力,すなわち電気陰性度 (
e
l
e
c
t
r
on
e
g
a
t
i
v
i
t
y
) の違いにより,分子
回りの電子の分布が不均一になり,正電荷の重心と負電荷の重心が一致しない
場合に発生する.すなわち,極性分子である事が双極子モーメントを持ち,赤
外活性となるのである.ここで双極子モーメントは次式でも表される(12)•
μ=qR
~・ 5)
μ :双極子モーメント
(負電荷の重心から正電荷の重心に向かうモーメント)
q 正電荷
R 双方向の重心間の距離ベクトル
2
. 7
. 3 C02分子と H20分子の振動
本研究では,多原子分子である H20と C02のガス分子種吸収計測をおこなう
ために,これらの分子について考えてみる.二酸化炭素 (
C02;直線 3原子分子)
と水 (H20;非直線 3原子分子)の基準振動について, C02は前述のように非
直線分子であるために 3X3-5=4つの基準振動をもっ.図 2
・
1
2はその 4つの
基準振動 1,2,3
a,3
bを示したものである(13)•
基準振動 1と 2は 2つの結合が同位相あるいは逆位相で伸びたり縮んだりす
る振動で,それぞれ対称伸縮振動,逆対称伸縮振動と呼ばれる.一方,基準振
動3
a,3
bはともに OCOの角度が変化する振動で変角振動と呼ばれる. 3
a,3
b
0
は独立した振動であるが,振動する面が 90 異なるだけで,振動に要するエネ
ルギーは原理的に等しい.すなわち ,2つの振動は同じ振動数をもっ.
2
. 7
. 4 基準振動数(基本音)と倍音
C02の対称伸縮振動 Vlが基準振動数(基本音)とすれば,その倍音は 2V 1,
3Vl となり,結合音とはこれらの振動周波数の組み合わせである. (例:川+
V2
) ここで倍音の倍数が大きくなるほど,また結合が増えるほど,振動数は大
きくなる. (波長は短波長側にシフトする). COZの中で最も振動の小さい基本
6
7
.
3
8c
m
-1つまり 14.98μmの赤外域に吸収が起こる u心.
音は変角運動 V2で 6
その次が対称振動 Vlで 1
2
8
5.
41c
m
-1 (7.78μm),次は変角運動の 2倍音 2V2
20
で1
3
3
5
.
1
3cm-1(7.
49μm). このとき V1と 2V2は隣接しており共鳴を起こす
(Fermi共鳴と呼ばれグループ化されている).これらの振動数(波長)よりも
さらに高い振動数(短波長側)に逆対称伸縮振動川の 2
349.16c
m
-1(4.25μm)
が表れる.本研究での対象となっている 2.0μm帯は近赤外領域で,波数 5000
cm-1あたりの振動は 2V 1+V 3である.
また,非直線 3原子分子である水分子の場合は, 3X3-6=3個の基準振動を
もっ(15). 図 2・13にそれらを示す.
2
. 7
. 5 C
02分子と H20分子の赤外活性
ここで分子の構造を考える. CO
2は直線性分子で 4種類の振動モードがあっ
たが,基準振動 1の対称振動運動は,赤外不活性である.これは,分子が図の
様に対称に振動する為に不電荷の重心から正電荷の重心に向かうベクトルが打
ち消され,モーメントが 0 となるからである.その他の振動モードは偏りを持
つのでモーメントが存在し,また水の振動モードも全て赤外活性である(同.
2
. 8 半導体レーザ吸収分光の原理
2
.8
. 1 L
a
m
b
e
r
t
-Beerの法則
分子に振動数 Vの光を照射するとその分子は波長λ(振動数 v=c/
λ;
cは光速)
の光を吸収し,より高いエネルギー準位に遷移する(吸収).ここで,遷移前の
低準位のエネルギーをあ,遷移後の高準位のエネルギーを E2とすると,分子に
吸収される光の振動数 v
は式(
2・3
)が,次式(
2・6
)と変形される(図 2・1
4
).
v=
(E
2 - E1)/h
(
2・6
)
振動数 Vの光が一様な気体媒質中を通過するとき,その透過率九は式(
2
7
)に
a
m
b
e
r
t
-B
e
e
rの法則(図 2・1
5
) に従う(17).
示す L
(
2
7
)
T
=(
1lIo
}
v=e
x
p
(
k
v
L
)
m=
'
v
ここで,L は光路長 [
c
m
],1
0
,よ k
v
はそれぞれ振動数 こおける入射光強度,
透過光強度,吸収係数であり ,k
v
=
A
v
) は吸収度を表している.また,吸収
L(
係数 k
v
は次式(
2・8
)で表される(1紛.
k
v=
s
(
r
)
九b
s
O
v
(
2・8
)
21
ここで,S(
T
)[cm
匂t
m
-1]は吸収線遷移強度,九bs[
a
t
m
]は光を吸収する気体の
[
c
m
]は後述するスペクトルの形状を表す線形関数 (fO
v
d
v
=
lで定義さ
分圧,ゆv
れる)である.
理想気体の場合は,上記の式(
2・6
)に従し、 (E2-E
l
)のエネルギー差に相当する共
鳴振動数 v
o
の光のみを吸収するはずである.ところが実際の気体に吸収される光
は純粋な振動数 v
o
の単色光で、はなく v
o
の近傍で、ある広がりを持った光となる.
これは気体の分子が振動・回転などの複雑な動きに起因するからである.この
吸収度の分布をスペクトル線プロファイル(以下スペクトル)と称し,この遷
移に起因する吸収スベクトル全体を考えるときは,吸収係数 k
v
を振動数 Vで積分
した式(
2
9
)で表される積分吸収係数 Kを用いる.
K =にk
vdv=
S
(
r)P
a
b
s
(
2
9
)
各吸収線は,分子の振動・回転を伴うために,このスペクトルは,広がりの
影響により,隣の吸収スベクトルと重なり合い,複合スペクトルを形成する.
この様な場合,その複合スベクトノレの積分吸収度 A
(
=K
L
)は,以下の式(2-10)
に示すように複合スベクトルを形成する各吸収線の吸収度の総和で、表される.
ιL:
LS;(T)
A='
L
/
<
L=
(
2・1
0
)
つまり,振動数 vにおける吸収度Av
が vにおけるスペクトルの高さであり,こ
の複合スベクトルの積分吸収度Aは複合スベクトル下部の総面積を意味してい
2・2・5
)から,全圧P[atm],光路長L[cm],気体の温度 T[K]における各吸
る.式 (
収線の吸収線遷移強度広〈のが既知である場合,気体のモル分率 Xabsを求めるこ
とが可能となる.
v
_
Aabs
~bs
(
2
1
1)
p
2
.8
. 2 吸収スベクトルの解析
吸収スベクトルの形状を表す線形関数仇を求める.前節でも述べたが,計測さ
o
の近傍である広がりを
れる吸収スベクトルは様々な要因によって共鳴振動数 v
持つ.このスペクトル線幅の広がりを線幅 (
L
i
n
ew
i
d
t
h
) という.放射・吸収
エネノレギーの極大値の半分になる二地点間の間隔を半値全幅 (FWHM=F
u
l
l
2
2
Widtha
tHalfMaximum,以下半値幅),その半分を半値半幅 (HWHM=Half
Widtha
tHalfMaximum) と言う.スペクトル線が広がる原因のうち,重要な
ものとして次のようなものがある.
(1)自然幅 L
1v
N
[
c
m
-1
]
自然放出による広がり.自然幅は励起原子に寿命があること,つまり有限時
間内に自然放出によって下位準位へ遷移することに伴って生じるものである.
一般に衝突広がり, ドップラー広がりに比べると小さいため,本研究では無視
して考える.
(
2
)衝突幅 L
1vc[
c
m
-1]
(
2・1)ローレンツ幅(Lo
r
e
n
t
zW
i
d
t
h
)L
1VL[
c
m
-1]
原子またはイオンが他の原子や分子と衝突するために生ずる線幅の広がり.
ガス体の圧力が大きくなればこの広がりも大きくなる.
(
2・
2
) ホルツマーク幅 L
1v
H
[
c
m
-1
]
光を発光または吸収する原子が,同一の原子との衝突によりエネルギー交換
することによって生ずる線幅の広がり.同一原子との衝突に起因するので測定
元素濃度が大きいときに問題となる.
(
3
) ドップラー幅(
D
o
p
p
l
e
rW
i
d
t
h
)L
1VD[
c
m
-1]
スペクトル線を与える原子やイオンが運動しているために観測系に対するド
ップラー効果によって周波数にずれが生じ,その結果線幅が広がる.このよう
な広がりをドップラー広がりと言う. ドップラー広がりは高温媒体中で,原子
スベクトルを観測する場合には無視することができない.図 2・ 16~こ示すように
スベクトル線の広がりにはローレンツ型とガウス型があり,自然幅と衝突幅は
ローレンツ型, ドップラー幅はガウス型の形状をしている.
一般にスベクトルはこれらのローレンツ型(均一広がり)とガウス型(不均
一広がり)の畳み込みであり,その合成プロファイルはフォークトプロファイ
ルと呼ばれている.まず,自然幅と衝突幅であるローレンツ型は次式で与えら
れる.
o
c
r
υ)=竺
竺
2
レ
フ
l
?
7
r (υuol+(L
1u
c/2l
ここで、 Aυc [
c
m
-1]は衝突広がりの半値幅, V
oは中心波数である.
23
(
2・1
2
)
次にドップラー幅であるガウス型は
次式で与えられる.
[
1
九 州 =LFem│-4ln2k
与
L
iv
r
~ I
Li v~
D V7
(
2・1
3
)
ここで、 .
1UD[
c
m
"
l
]はドップラー広がりの半値幅である.
プロファイルの型を与える線形関数
される.
o
J
土,この世cとゐとの畳み込みで下の式で表
,
厚
生
」
か=
2
(
2・1
4
)
ここで,V(a,
x
)はフォークト関数 (
V
o
i
g
tF
u
n
c
t
i
o
n
) と呼ばれ, V(a,
x
)は以下の
式で示される.
v
d
日
,円M
、
,
/
一
V
4
4
司句
一a
7一
x
id一
イ
一
+
mh
a一Z
一
一
、﹄/
x
o
/'t
y
(
2・1
5
)
x=2.
j
厄L
竺二回
L
iv
D
(
2・1
6
)
一
似
(
2・1
7
)
で
乙
y=2.
Jln2
(
2・1
8
)
LJV
D
χ は吸収線中心波数からの無次元相対位置,mは分子質量,
()は単位あたりのシ
フト幅である .a
は衝突拡がりとドップラー拡がりの寄与率を示す V
o
i
g
t
a
パラ
メータである.すなわち a
=
Oのときは純粋なドップラー幅,a=1
のときは純粋な
ローレンツ幅となる.
…
また,式のドップラー幅は下記で表される.
与陪互
υD
4
2
4
(
2
1
ω
mは分子の質量である.
衝突幅は下記で表される.
約j,2
r
j
)
A
υc=p
Pは全圧力
(
2
2
0
)
xは分子のモル分率, y [
cm-1/
a
t
m
]はj分子種における衝突の半
値半幅である.この yは温度に依存性があり,各温度では次式で与えられる.
釘
2
r
(
作 2
r
{
九)
x
(
(
2・21
)
ここで 2y(
T
o
)
[
c
m
-1,] n
:空気広がり幅の温度依存係数の値はHITRANより得ら
れる.以上の関係により,各パラメータの値がわかれば,ある吸収線における
吸収スペクトルプロファイルが算出できる.
2
. 8
. 3 温度計測の原理
式(
2
8
)に示すように,吸収度は温度・濃度・全圧の関数であり,スベクトル
線形状は気体の状態によって変化するため,一つのスベクトルのみでガスの温
度・濃度を計測することは困難で、ある.しかし 2つの異なるスベクトルを同
スペクトルの高さの比,または面積の
時計測できた場合,それらの吸収度比R(
比)は,式 (
2・
2
4
)に示すように,濃度・圧力の項が相殺され,温度のみの関数と
なる.これによりガス温度計測が可能となる.まず,吸収線遷移強度S
(
T
)は
,
以下のように表される(1
9
)
=問中(苧Hホ1吋乎)]~千]
S(T)
(
2・2
2
)
ここでA旬まローシュミット係数,g
は縮退係数 o
は高速, Q(
,
)
Tは分配関数 E"
は下位準位のエネルギー, R
I
は遷移確率,そしてkはボ、ルツマン係数を示してい
る.また,温度九における吸収線遷移強度 S/T
o
Jと分配関数 Q(T
o
J
を用いて,上
25
式は次のようにも表現できる.
S
;
(
T
)=兵仰
5
3
f
(
ト[ヂ(社)]
r
+
一
仰
(
苧
乙)
}
{
1一
仰
(
守
(
2・2
3
)
ここで吸収度比Rは以下のように表される.
!
?
2
2
k
i
f
W
d
υ
R=一」三L
(
2・2
4
)
ロ
タj(v)dυ
i
,
j
はそれぞれ異なる波数である.
この式をそれぞれの波数の吸収面積 Al
,
A2と式を使って表すと
ー
が
(
九
)
イ
(
会
)
吋
,:J
)
4 判)イ(
7
}Ej.
U
,:J
)
A
)
(
2・2
5
)
ここで,Q(
T
)
は分配関数,h[
J
.s
]はプランク定数,k
[
J
I
K
]はボ、ノレツマン定数,
c[
c
m
/
s
]は光速,E" [
c
m
-1]は下準位のエネルギー,m,nは一つの複合スベクト
2・2
5
)を用いれば,計測した吸収
ルを形成する吸収線の数で、ある.したがって式(
度比 R から温度 Tを算出することが可能である.また,式(
2・1
0
)にここで算出
8
).
した温度 Tを代入すれば温度・濃度の同時計測が可能となる(図 2・17,図 2・1
この時,必要となる Sβフ
,S(T)
,E
"
め値を与える必要がある.本研究では
HITRANの{直を用いた.
2
. 9 原理上における問題点
26
これまで説明してきた原理の中で本研究においての問題点を列挙する.
(1)光路長の同定
Lambert-B
e
e
rの法則では光路長にあるガス分子種の濃度が均一であれば,
正確な計測が可能である.例えば,均一にガスを封入したセル内の計測は最も
この計測に適しているといえる.しかしながら,濃度不均一場では光路長内に
濃度勾配が起こり,正確な計測は困難となる.
(
2
) ガス分子種の分圧計測
ガス分子種濃度計測において,本計測手法はガス分子種の分圧でモル濃度を
算出ある分圧計測である.そのために計測中に全圧が変化するような系では問
題が生じる.
(
3
) フォークト関数のパラメータ入力の問題
ガス分子種の吸収面積をフォークト関数を使って計算する場合,フォークト
1UD[
c
m
-1]と衝突幅 Aυc [cm
叶は式 (
2・1
9
)
パラメータ aを形成するドップラー幅 L
(
2
1
0
) で表されるようにいずれも温度 Tの関数である.そのためにフォーク
ト関数を使ってフィッティングする場合,予めこの温度 Tを設定しなければな
らない.このときの Tの設定によっては誤差要因となりうる.
(
4
)HITRANデータベース値の信頼性
(
1
フを引用
ガス分子種の濃度・温度を算出するために HITRANから吸収強度 8
する .HITRANでは高温領域における 8(T
)
1
言頼性に問題があると言われており,
値が誤差要因となりうる.
この 8(T)
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rCombustionTemperatureand
S
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Plme
此
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叫
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l, R
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o
y
o,R
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a
b
l
eDiodeLaserA
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c
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r
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l
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o
l
e
c
u
l
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e
i
n
h
o
l
d,
1945
29
(
a
)
よくわかる半導体レーザ工学図書から引用 p
p.
8
4
+
I
n
j
e
c
舗o
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E
l
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r
i
cP
o
t
e
n
t
i
a
l
+
図2
1 半導体レーザの基本構造とダブルヘテロ構造
レーザと化学共立出版から引用 p
p
.
1
3
Mirror
Mlrror
••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••
l
i
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2
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Z蒔14HHU
締官
I
│
l
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拠出部望書毘葺│
瞳 冨 藍 窒i
牽 畠 韓 位1
1
主││霊雷雲聾露悪霊母││三重
UnexcitedState
SpontaneousEmissions
SpontaneousEmissions
andStimulatedEmissions
A
m
p
l
i
f
i
c
a
t
i
o
nof
InducedEmission
O
s
c
i
l
l
a
t
i
o
n
図2
2 半導体レーザ発振の原理
30
半理事体レーザと光計測学会出版センターから引用 p
p.
l6
R
R
反射 鈍
-.
v
(
d
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u
q
'
'
j
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Re
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,
Re
'
I
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吉
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イL
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2
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L
2
A
3 半導体レーザ発振の条件
図2
よくわかる半灘体レーザ工学図書から引用 p
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.
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l
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GuideLayer
LaserBeam
LaserBeam
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e
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NtypeC
l
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i
n
gL
ayer
np
o
l
e
図 2-4 DFB型半導体レーザの発振の様子
3
1
ゐ =2neqA
図 2-5 DFB型半導体レーザの構造
基礎と応用半尊体レーザ培風館から苦 l
周p
p
.
3
9
バン ドギャ
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10
.
8 0.
6
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e
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I
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M
渉 芥 (B)長 波 長,閉ilnG山
1
ト J.O
コP
~ 5.6~
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A I P~.'l)
5
.
4
ト
5
3p
GaSb
I
nAs ~
I
nP
Pレー ザ ー
減1
GaAs
GaAs
(
A)近赤 外 GaAI
Asレー ザ ー
(
C)可視 I
nGaAIPレー ザ ー
5
.
2
0
.
4
1
0.
0
ノ〈
ン ドギャ yプ に 対 応 す る 波 長 (
μ m)
図2
6 バンドギャップに対応する波長・エネルギー・
格子定数の関係
32
I
n
P
l
nGaA
sP
I1111
.
.
.
I1111
'
。
'
I
I
Pく
I
n
P
(
a
)格子整合のとれた状態
aIIIGα.4sP,
aIII(iaAs
(
b
)格子整合に歪みを入れた状態
図2
7I
n
G
a
A
s
P
/
l
n
P
構造の格子整合性
800
50000 25000 1
2
5
0
0
エネル 600
ギー
300
1
5
0
赤
外
2500
25000 1
0
0
0
0
0
0 (
n
m
)
4000
400
48
4
.
8
振動
マイクロ波
400
遠赤外
200
近赤外
波数
可視
真空紫外
波長
紫
外
1
0
1)
0
.
1
2(
k
Jmol.
'回転
司
1)
(
c
m.
、
四
一
並進
図2
8 光の種類・波長・波数・エネルギー・分子状態
33
アトキンス物理化学東京化学問人より引用 p
p
.
7
3
0
.
.
(
c
)非直線分子の回転 :
3個
(
a
)並進運動 :
3個
(
b
)直線分子の回転 :
2個
図2
9 直線分子・非直線分子の振動モード
y
'
3
Y
'
2
画
r
:
-4
Y
'
1
三弓三?
y
'
=
O
J
'
O
v
"
・3
y
"
.
2
圃
:
:
:
:
ー
-4
唱
y
"
.
三宅三 j
y
"
.
O
J
"
.
O
図2
1
0 電子遷移・振動.回転のエネルギー準位図
34
1E
・
17
N'
. 1E・18
1E
・
19
・
20
1E
1
E
2
1
1E-22
コ
2
1E
・
23
∞o
o
∞
2
6000
40
8000
1
Wavenumber(cm)
図2
1
1 各波長に分布する吸収線の広がり
近赤外分光法学会出版センターより引用 p
p
.
2
7
0
0原子
C原子
対称伸縮振動
ν1
symmetrics
t
r
e
t
c
h
l
.
t
2
ハ 坐 fy
にノ
3a
¥ノ
3b
戸
下銅色戸
、
ν3
逆対称伸縮掻動
asymmetrics
t
r
e
t
c
h
縮重変角振動
bending
縮重変角振動
ν2
ν2
bending
(紙面に垂直)
図2
1
2 CO2ガスの振動モード
3
5
近赤外分光法学会出版センターより引用 p
p
.
2
7
!ふ
3657cm・7
1595cm・1
ν3
対称伸縮振動
変角振動
逆対称伸縮振動
図 2-13 H20ガスの振動モード
E2
I
n
c
i
d
e
n
tBeam
~
E=hv
•
E
l
e
c
t
r
o
n
E
l
E2
•
B
e
f
o
r
et
r
a
n
s
i
t
i
o
n
E
x
c
i
t
a
t
i
o
n
E
l
A
f
t
e
rt
r
a
n
s
i
t
i
o
n
図 2-14 光の吸収の模式図
3
6
・
ー
L
•
DiodeLaser
PhotoDiode
』
F
I
n
c
i
d
e
n
tBeam
TestC
e
l
l
TransmittedBeam
図2
1
5 Lambert-Beer'sLaw
(F
E
O
)
8
5
a02︿
・
﹄
C
o
l
l
i
s
i
o
n
(
L
o陪 n包)
λ。
W
a
v
e
n
u
m
b
e
r
(
c
m
ぺ
)
図2
1
6 ドップラー幅(ガウス幅)と衝突幅(ローレンツ幅)
37
P
1
ωOC句且﹄O
ω 且︿
Peak(Area)
R
a
t
i
o
P2o
(
P
1/
rAiA2)
巴
争
効
長
Temperature
入1 λ 2
W
a
v
e
l
e
n
g
t
h,λ
図2
1
7 温度計測の原理 (
1)
一
ω且︿
ぽ .0Mmw﹄@OE伺阜﹄O
R ム 2Si仇)叶(主}E7{~ サ
A
2
2
s
肌)叶(主)吋サ
Temperature(K)
図2
1
8温度計測の原理 (
2
)
38
表2
・1 各分子種とその近赤外領域吸収波長帯(
1.3μm-2.1μm)
(
u
n
i
:
tμm)
CH4(Methane)
1
.
3
1
1.
34,1
.
6
3
・1
.
7
0
E
t
h
a
n
e
)
C2H6(
1
.
3
6
・1
.
41,1.67・1.78
C3Ha(Propane)
A
c
e
t
y
l
e
n
e
)
C2H2(
1
.
3
7
・1
.
4
0,1.
68
・1
.
7
7
E
t
h
y
l
e
n
e
)
C2H4(
1
.
6
1
1.
70
NO(
N
i
t
r
o
g
e
nOxide)
1
.
7
8
1
.
8
5
HCI(HydrogenC
h
l
o
r
i
d
e
)
・1
.
8
7
1
.
7
2
CO(CarbonMonoxide)
,
C0 (CarbonD
i
o
x
i
d
e
)
1.
56-1.60
NH3(Ammonia)
~ H20(W
a
t
e
r,Vapor)
1.
4
6
1
.
5
5
2
1
.
5
1
1
.
5
4
.
43
・1
.
4
5,2
.
0
0
2
.
0
5
盟
.
'
話 1
司輪
1
.
3
5
・1
.
40,
'
1
.
7
9
・1
.
9
(
;
)
d
3
9
叫
叫
第 3章
吸収線の選定とシステムの開発
3
. 1 緒言
近赤外領域での分子の吸収計測を行う場合,前章で説明したようにそのほと
んどは振動回転運動に依存する.したがって,選定する光源の波長帯は,長波
長側に分布する吸収線遷移強度(以下吸収線強度)が強い吸収線の方が有利で
ある.しかしながら,実際にはこれらの吸収線は温度依存性が高く,また他ガ
ス分子種との干渉の影響がある.加えて,室温発振の DFB型半導体レーザは発
振波長は限られている.高感度なガス分子種の濃度.温度測定には,これらの
条件を考慮しての波長選定が不可欠となる.本章では,半導体レーザの波長決
定に必要な最適吸収線の選定を行った.次に選定した波長を有する半導体レー
ザを組み込んだオールインワン型システムの開発を行い,その様々な特徴を記
した.
3
. 2 HITRAN
本章での吸収線選定は全て HITRANデータベースを用いている. HITRAN
(
H
I
g
hr
e
s
o
l
u
t
i
o
nT
R
A
N
s
i
t
i
o
nd
a
t
a
b
a
s
e
) とは大気中に存在する様々なガス分
子種の吸収線のデータベースである.発足は 1
9
7
3年に M
c
C
l
a
t
c
h
e
yら(1)による
othmanらにより 1
9
8
3年ωと 1
9
8
7年 (3)に大幅に改良さ
ものであった.その後 R
れ,現在のものがほぼ出来上がったのは 1
9
9
2年のパージョン ωである.
HITRANデータベースには次にあげる数値等が含まれている.
(1)吸収線の位置 (
l
i
n
ep
o
s
i
t
i
o
n
)
l
i
n
ei
n
t
e
n
s
i
t
y
)
(
2
)吸収線強度 (
t
r
a
n
s
i
t
i
o
np
r
o
b
a
b
i
l
i
t
i
e
s
s
q
u
a
r
e
d
)
(
3
)吸収遷移確率 (
(
4
)空気広がりの半値幅 (
a
i
r
-b
r
o
a
d
e
n
e
dh
a
l
f
w
i
d
t
h
)
s
e
l
f
b
r
o
a
d
e
n
e
dh
a
l
f
w
i
d
t
h
)
(
5
)自己広がりの半値幅 (
w
e
rs
t
a
t
ee
n
e
r
g
i
e
s
)
(
6
)低準位エネルギー(lo
(
7
)空気広がりの半値幅における温度依存係数
(
c
o
e
f
f
i
c
i
e
n
t
sf
o
rt
h
et
e
m
p
e
r
a
t
u
r
ed
e
p
e
n
d
e
n
c
eo
fa
i
r
b
r
o
a
d
e
n
e
dh
a
l
f
w
i
d
t
h
)
a
i
r
b
r
o
a
d
e
n
e
dp
r
e
s
s
u
r
es
h
i
f
t
s
)
(
8
)空気広がり圧力シフト (
4
0
(
9
)代表的な遷移における量子数
(quantumnumberst
h
a
td
e
s
c
r
i
b
e
sp
a
r
t
i
c
u
l
a
rt
r
a
n
s
i
t
i
o
n
s
)
1992年パージョンでは分子種数 31種を 700,
000吸収線,そして 23,
000c
m
-1
までの波数をカバーしている .1
996年には更に追加して計 35種
, 1
,
000,
000吸
999年パージョンωでは HITEMP と呼ばれる HIgh
収線までを補っている. 1
TEMPeratureノ〈ージョンを付加し, H20 ガスの温度依存性の計算データを
1500Kまで,また C02ガスを 1000Kまで補足し,対象成分もイオンを含む計
38種類にのぼる.本論文ではこの HITEMPを用いているが,便宜上 HITRAN
という言葉で統一しである. 下記はその 38種類である.
H20,C02,03,N20,CO,CH4,02,NO,802,N02,NH3,HN03,OH,
HF,HC
,
l HBr, ,CIO,OC8,H2CO,HOCl,N2,HCN
,CH3C
,
l H202,
C2H2,C2H6,PH3,COF2,8F6,H28,HCOOH,H02,0,CION02,NO+,
HOBr,C2H4
・
m
3. 3 C02ガス吸収線の選定方法及び選定結果
3. 3. 1 吸収選定方法
2原子分子や 3原子分子等,比較的単純な構造の分子でも非常に多くの吸収線
を持っているが,各吸収線の中心波長,吸収線強度及びその温度依存性等とい
った性質が原子分子毎に異なるため,高感度の計測を行うためには計測に適し
た吸収線を選定することがきわめて重要である.
濃度測定に関しては,できるだけ吸収線強度が強い吸収線を使用することが
重要である.一方,温度測定に関しては,吸収線強度が強いことに加えて, 2本
の吸収線が温度測定感度の良い組み合わせであるということが非常に重要であ
る.また,濃度計測・温度計測に共通して,使用する吸収線が他の吸収線と重
ならず孤立して存在していること,互いのスベクトル干渉が少ないことについ
ても同時に検討する必要がある.そこで,温度測定・濃度測定に適した吸収線
の選定を行うために以下に示す 5項目について検討した.
(1)温度測定範囲において吸収線強度が強いこと
(
2
)他の C02ガス吸収線から孤立していて干渉が少ないこと
(3)H20ガスの吸収線による干渉が少ないこと
(
4
)温度計測に感度が良い組み合わせであること
(5)H20ガス以外他のガス分子種の吸収線による干渉が少ないこと
4
1
ここでは燃焼計測には特に重要な H20ガスと他のガス吸収線を区別した.ま
た,上記の他に本研究の選定には直接は影響しないが,選定された吸収線を有
する半導体レーザが,実際に製作可能であるかどうかも要因として加えたい.
3
. 3
. 2 温度測定範囲において吸収強度が強いことの検討
C02ガスの吸収線は図 3・1に示すように様々な波長帯に分布している.本研
究で用いる C02ガスの 2.0μm帯には図 3・2に示すような 3つの強い吸収帯が存
6
2
C1
0の吸収帯で (20011-00001
)
帯
,
在している.これらは C02ガスの同位体 1
(
2
0
0
1
2
0
0
0
0
1
)帯
, (
2
0
0
1
3・00001)帯と表され,それらの中心波数は 1
9
6
0
.
9nm
(
5
0
9
9
.
6
6
0
5c
m
"
l
),
2
0
0
8
.
9nm(
4
9
7
7
.
8
3
5
0c
m
"
l
),2
0
6
0
.
3nm(
4
8
5
3
.
6
2
3
4c
m
"
l
)
である.この 1851-2222nm (4500-5400c
m
"
l
)の中には合計 6
1
1
1本の吸収線
)
. これらの吸収線の吸収線強度 S
'
(
T
)[
c
m
"
l
/
(
m
o
l
e
c
叫a
r・
が存在している(図 3・3
c
m
"
2
)
]は図 3・4に示すようにそれぞれ異なる温度依存性を有している.そこで,
'
(
T
)が 2.5X
これらの吸収線の中から温度 296K-1500K において吸収線強度 S
・
24以上となる比較的強い吸収線を選び出すと 5
43本に絞られる(図 3
5
)
.こ
1
0
れらについて検討を行うこととした.
3
. 3. 3 他の C02ガス吸収線による干渉の検討
.
.
,
本研究で行う 2.0μm帯 DFB型半導体レーザの可能発振波長は 2041nm,
2083nm (
4
8
0
0c
m
"
l,
.
.
, 4
900c
m
"
l
) と 1992nm,
.
.
, 2
033nm (
4
9
2
0c
m
"
l,
.
.
,
5020c
m
"
l
)(
図 3・6
) の 2種類の波長帯が製造可能領域(6)であったために, 2種
.
.
, 2
083nm(
4
8
0
0c
m
"
l,
.
.
,
類の波長領域を絞込むことになった.まず 2041nm,
4900c
m
"
l
)からは 1
0
5本(図 3
7
),1992nm,
.
.
, 2
033nm(
4
9
2
0c
m
"
l,
.
.
, 5
020
c
m
"
l
) からは 194本(図 3
8
) が対象となった.これらの C02ガス吸収帯の中
で吸収線の重なりが比較的少ない場所は吸収線の広がりも考慮に入れると,
2047nm,
.
.
, 2
053nm(
4
8
6
8c
m
"
l,
.
.
, 4
883c
m
"
l
),1994nm ,
.
.
, 1
998nm(
5
0
0
5
c
m
"
l,
.
.
, 5
015c
m
"
l
) 領域が選定される.
3
.3
. 4 H20ガス吸収線による干渉の検討
ここでは特に高温で問題とされる H20ガスの干渉の影響を考慮した.図 3・9
には 296K から 1
500K までの 1996nm,2050nm付近での C02,H20ガス各
吸収線詳細分布を示した.
0は 2047nm ,
.
.
, 2
053nm(4868c
m
"
l,
.
.
, 4
883c
m
"
l
)の温度 (
a
)
2
9
6K,
図 3・1
(
b
)
1
0
0
0Kでの C02ガスと H20ガスの吸収線図,図 3・1
1は 1994nm,
.
.
, 1
998
nm (
5
0
0
5c
m
"
l,
.
.
, 5
015c
m
"
l
) の温度 (
a
)
2
9
6K と(
b
)
1
2
0
0K での C02ガスと
H20ガスの吸収線図である.これらの吸収線図に温度依存性に強く係わるドッ
4
2
プラー広がりを考慮し吸収スベクトル線プロファイルとして計算しである.図
3・
10より R(30)と記された吸収線より大きいものはすべて 1000Kにおいて H20
ガスの干渉を受ける.また R(32)は 296Kにて, R(34),R(36)は 1000Kにて同
様の干渉を受ける.これより R(30),R(38)の 2本の吸収線を候補にする.
図 3
1
1では吸収線強度は, 296K においてはさほど H20ガスの干渉を受け
ないが, 1000K では R(50)を除いてそのほとんどが H20ガスの影響を受ける.
これらを考慮し R(50)を選択した.以上に理由により温度計測に必要な 2本の吸
収線として R(50)と R(30),R(38)との組み合わせを検討することにした.
3
.3
. 5 温度計測の感度の検討
H20ガス吸収線の干渉が少ない 3つの吸収線 R(5ω ,R(30),R(38)に関して,
12は R
(
5
0
)の各温度における吸収線強度で
温度測定感度の検討を行った.図 3・
ある.ここでの吸収線強度は特にスベクトル広がりを考慮していない.比較の
ために R(50)近辺の R(48),R(52),R(56)も加えてある.図 3・
13は同様の R
(
3
0
),
R(38)のグラフである (
R
(
3
4
),R(40)は比較用として表示).前章でも記述した
吸収スペク
ように,温度測定は式で示される 2つのスペクトルの吸収度比 R (
s
r
e
s
) から算出されるため,この値の温度依存性
トル線プロファイルの面積比 R
が大きいほど温度測定感度が良い.つまり,温度 Tに対する吸収比 Rの変化率
dル'
d
Tが大きいほど高感度になるのである.この温度測定感度 dR/
dTは式(
2
2
5
)
を Tで微分した以下の式(
3・1)で表されるが,この式から一般にあ -E2が大きい
吸収線の組み合わせが望ましいことが分かる.
dR
,
ー
= 三 炉I
E
2
)
1
3
dT k "
~, T~
(
3・
1
)
表 3・
1にここまで検討してきた吸収線のスペクトルデータを示す.
は
, 1996nm付近では 900"'1200cm-1,
各波長領域に存在する主要吸収線の E'
2050nm付近では 300"'600cm-1であり,それぞれ異なった値である.したが
って,異なる波長帯の吸収線であればどの 2本を組み合わせても比較的高い温
度測定感度が得られることが分かる.そこで,上記で選び出した R(3ω ,R(38)
の 2本を含む主要吸収線の R(5ω との組み合わせについて検討した.その結果と
して,吸収線強度比 Rの温度依存性を図 3-14に示す.また各温度における吸収
dTを図 3・
15に示す.
線強度比感度 dR/
これらの図から R(50)と R(38),R(50)と R(38)のそれぞれの組み合わせでは,
特に 500K以上の高温領域で温度測定感度の大きい R(50)とR(3ω の組み合わせ
を今回の実験に用いることとした.
4
3
3
. 3
. 6 他のガスの吸収線による干渉(重なり)の検討
R
(
5
0
)とR
(
3
0
)の H20ガス以外他のガス分子種の吸収線との干渉について検証
した.図 3・1
6は R
(
5
0
)近辺における 296K での HITRANに記載されている,
35種類全てのガス分子種の吸収線である.以下図 3・17は 1500Kでの R
(
5
0
)近
8は 296Kでの R
(
3
0
)近辺.図 3
1
9は 1500Kでの R
(
3
0
)近辺の結果
辺,図 3・1
である.これらの図からわかるように他ガス分子種の干渉(重なり)は特に見
られなかった.
3
. 3
. 7 吸収線の検証(1.5
μ血帯との比較)
10
):
6
3
6
7
.
5c
m
"
1:
ここでは,従来研究仰で用いられてきた1.5μm帯の中で R(
+川(基本音川の 3倍音に基本音 V3を加えた結合音)と R(
1ω:6
3
5
9
.
9
7
3v1
+
2V 20+V 3について, 2.0μm帯で用いられる R
(
5
ω ,R
(
3
0
)との比較を
c
m
"
1:
2V 1
行った.図 3・20よりわかるように,すべての温度に関して 2.0μm帯の吸収線
の方が優っている.従来研究では C02ガス吸収線を用いた温度計測は行われて
いないので,温度計測に関する比較は行っていない.
3. 4 H20ガスによる高温領域の温度計測
3
.4
. 1 H20ガスの吸収線採択の理由
これまでに C02ガスに関する濃度・温度計測における最適吸収線の選定を検
・
9からもわかるように高温における H20ガス
討してきた.しかしながら,図 3
の吸収線強度の非常に強く,逆に C02ガスの吸収線強度比は低い.またほとん
どの燃焼ガス計測環境下においては C02ガス濃度よりもむしろ H20ガス濃度の
方が高い.このことから高温での温度計測には H20ガスの吸収線を用いる方が
有利であるということに着目し, H20ガスの吸収線選定を試みる.
3
.4
. 2 H20ガス吸収線選定方法
吸収線の選定方法は,この場合
(
1
)C02ガス, H20ガス同時計測可能のために選定する吸収線は, 1996nm帯
(
5
0
),2050nm帯では R
(
3
0
)に隣接していなければならない.
では R
(
2
)高温領域において吸収強度が強い
(
3
)他の H20ガスを含めて他のガス分子種との干渉が少ない
(
4
)高温領域において感度の良い組み合わせであること
などが挙げられる.
44
3
.4
. 3 最適 H20ガス吸収線の組み合わせ
選定手順は C
02ガス吸収線と同様に行い (1)温度測定範囲において吸収線強
2
)他の H20ガス吸収線から孤立していて干渉が少ないこと等の
度が強いこと (
996nm帯からは 5
0
0
8
.
1
0
1c
m
"
l,2050nm帯からは 4
8
7
8
.
1
9
3c
m
"
l
条件から 1
の吸収線を選定した.図 3・2
1は 296K と 1200Kでの
C02ガスと H20ガスの
吸収線図である.この図より明らかに 5
0
0
8
.
1
0
1c
m
"
l,4
8
7
8
.
1
9
3c
m
"
lは R
(
3
ω
とR
(
5
0
)より高温での吸収線強度は高い.図 3
2
2はこれらの
C02ガスと H20
ガス吸収線の各温度における吸収線強度,図 3
2
3はその吸収強度比 Rと温度の
関係,図 3・24は各温度における吸収線強度比感度である.図より 850K辺りか
H20ガス吸収線の組み合わせの方が R(50)と R(30)
の組み合わせよりも感度が高い.また 600K以下では H
20ガスの組み合わせで
ら高温になるにしたがって
は感度がなく,温度計測は不可能となる.このことより 5
0
0
8
.
1
0
1c
m
"
lと
4878.193c
m
"
lの組み合わせでは高温領域 (600K以上)の計測が有利であるこ
とがわかる.
3. 4. 4 他のガスの吸収線による干渉(重なり)の検討
他のガス分子種の吸収線との干渉影響は,前述と同様に HITRANに記載しで
ある全てのガス分子種を対象とした.図 3・25は 296K
,図 3・26は 1500Kでの
5008.101c
m
"
l近辺の吸収線.図 3・27は 296K,
図 3・28は 1500Kでの 4
8
7
8
.
1
9
3
c
m
"
l近辺の吸収線である.これらの図から隣接する吸収線は存在するが重なり
までには至っていないことがわかる.またこれらの吸収線はそのほとんどが同
位体であり,実際の計測には影響がないと恩われる.
3. 4. 5 吸収線の検討(1.3μm帯との比較)
従来研究ωで用いられてきた1.3μm帯の H
20ガスの組み合わせ(1.34μm:
7
4
4
4
.
3
5
1c
m
"
l, 1
.39μm:7
1
8
5
.
5
9
7c
m
"
l
) との比較をした.図 3
2
9は各温度
における 1.3μm帯と 2.0μm帯での H
20ガス吸収線強度の比較図である.この
図からは各温度における吸収線強度は1.3μm帯の方が大きい.この点では1.3
μm帯の方が有利である.次に図 3・30は各温度におけるそれぞれの吸収強度比
R の比較図,図 3・31は各温度における吸収線強度比感度 dル'
d
Tの比較図にて検
dT共に 2.0μm帯の方が有
討した.この二つの図からは吸収強度比 R,感度 dR/
利である.これらの結果により次のことがわかる.
1
.3μm帯が有利な計測環境は, (
l
)H
20ガス濃度が低い, (
2
)計測温度が低い
等である.しかしながら中高温場や常温での計測場が大きく影響するような場
合は 2.0μmが有利になる.これは1.3μm帯の計測の場合,光路長が常温部を
.計測に必要な正確な光路長を決める
通過する場合は,必ず補正が必要となる ω
4
5
のに不利となり,大きな誤差要因となるのである.
3
. 5 半導体レーザ分光システムの開発
3
. 5
. 1 システム概略
・
3
2に計測装置構成の概略図を示す.本計測装置は,半導体レーザとその
図3
制御回路,アンプ・ノイズフィルタ一等の受信回路などをワンボックスに収納
し,ロバスト性な可搬可能なものとした.計測部までの光の送受信は全て光フ
ァイパーとし,取り回しを容易にした.以下はその仕様である.
3
. 5
. 2 システム仕様
3
. 5
.2
. 1 光源および制御回路
光源としては,波長分解能,高時間分解能を達成できる DFB型半導体レーザ
(特注品 :NTTエレクトロニクス株式会社製)を用いた.波長は前項で選定し
9
9
5
.
5
6nm (@25t,1
0
8
.
5m
A
)
,
た吸収線を使用するために発振波長が 1
2
0
4
9
.
5
4nm (@25t,1
0
8
.
5mA),のもの各 1台を使用した.各レーザの仕様
. ここでは波長温度依存性,波長電流依存性,線幅,安定性等
を表 3・2に示すω
・
3
3に示すようなバタフライ型モジュールで、あり
を記した.半導体レーザは図 3
温度制御用のサーミスタとペルチェ素子,戻り光を遮断するためのアイソレー
タ,ビームを光ファイパーに入射するためのコリメータが内蔵されている.ま
た,モ、ジュールには光ファイパーが接続されており高効率の光ファイパーへの
入射と高いロバスト性が実現されている.
o
"
"
'
4
0 C,
半導体レーザの温度は ATC回路で制御される.設定温度範囲は 0
温度制御精度は +0.01tである.本システムに使用されている DFB型半導体
レーザの波長を変調するのには,バンドギャップ間エネルギーを変化させる必
要がある.ここではこれを温度変化によるものと記されているが実際には注入
電流で制御している.温度値は表記値で注入電流とサーミスタ抵抗値から計算
.
0
1tが 0
.
0
0
1nmに相当し,波長分解能はこれが限界であ
される値である. 0
る.また半導体レーザの波長は多分に温度依存性があることから外乱の微妙な
温度に反応する.更に微少な波長変化はバンドギャップ間のエネルギーの制御
が困難であることから半導体レーザから固定された絶対波長を得ることは非常
.
0
0
1nm以下では精度がないのである.
に難しい.つまり半導体レーザは 0
波長の変調は内蔵のファンクションジェネレータで発生させた信号で半導体
2台の半導体レーザは同一のファンクションジ
レーザへの注入電流を制御する .
46
ェネレータで制御する事により,波長掃引周期及び波長掃引タイミングを一致
させている.また,変調信号の振幅およびバイアスは独立して設定が行えるよ
うにしており
2台のレーザの波長掃引幅を各吸収線に対して最適な値に設定
できるようにした.
3
.5
.2
. 2 光分岐回路
計測を行うためには 2台の半導体レーザについて気体の透過信号,参照信号,
エタロン信号の 3種類の信号が必要となる.本システムでは,光ファイパーカ
ップラーを用いて半導体レーザから出射されたビームを実際に 3分岐し,それ
ぞれの信号を同時計測できる構成とした.
図 3・34に示すように,ファイパーカップラで 3分岐された光のうち, 1本の
ビームは,もう一方の波長の光とファイパーカップラで結合された後,測定対
象に導かれる.これが計測に用いられる透過信号である.もう一本のビームは,
エタロン信号として光ファイパーリング干渉計(図 3・3
5
) を経て受光素子へ,
最後の一本のビームは,光ファイパーに接続された受光素子に直接導れ参照信
号となる.各ファイパーカップラでの光の分岐比,結合比は光分岐回路を通過
後,最終的にプローブ信号(計測部),レベルモニタ信号(参照部),波長モニ
タ信号(エタロン部)強度の比が 8:1:1 になるようにした.また,各光フ
ァイパーカップラ同士の接続は,接続損失を無くすためにコネクタを使用せず
各ファイパ一同士を融着し,光ファイパー,ファイバーカップラ,リング干渉
計が一体となった光ファイバーのネットワークを構成した.
光ファイパーとしては 2.0μm帯という通信用よりも長い特殊波長を使用した
0
.
2
5dB/km @1.55μm) シングルモードのカットオフ
際に曲げ損失の小さい (
シフトファイパーを使用している.また光ファイパ一端面は戻り光のエタロン
効果を少なくするために,斜め研磨が施しである.光ファイパーリング干渉計
F
r
e
eS
p
e
c
t
r
a
lRange) は 1996nm,2050nmの 2台とも1.09GHz
の FSR(
であり, F
i
n
e
s
s
eは 1996nm用は 4
.
7,2050nm用は 5
.
3である.
3. 5
.2
. 3 送光・受光系
ファイパーカップラで合波された 2波長のプローブ光は,送光用コリメータ
から出射され気体を透過した後,受光用コリメータで受光され再び光ファイバ
ーに入射される.図 3・36にコリメータの概略図を示す.レンズは送受光用とも
.
3
1,焦点距離 8mmである.送光用ファ
同一であり,有効径中 5mm,関口数 0
イパーは,コア径中 9μmのシング、ルモードファイパー,受光用フイパーは,コ
ア径中 400μmのマルチモード GIファイパーを用いた.ビーム径はシングルモ
ードファイパー使用時でゆ1.7mmである.受光用ファイパーのコア径は燃焼場
47
計測に本システムを応用した際に,火炎面での光の屈折によるビームの揺らぎ
を緩衝できるよう考慮して,コア径が大きいものを採用した.また,レンズ及
び光ファイパーの調整装置としては,
X,
ぁ
z
,e
,中の 5軸調整機構を備えたもの
を用いた.
3
. 5
.2
. 4 光分波器
合波された 2波長のビームは,光分波器で波長ごと分離し,別々の受光素子
で検出しなければならない.波長の分離方法としては,特殊光学フィルター(特
注:応用光電製)を用いた.この光学フィルターは図 3・37に示すような波長分
離性能を有する.
3
. 5. 2. 5 受信回路
受光素子としては浜松ホトニクス製のフォトダイオード(型式:G585201)
を使用した.このフォトダイオードの 2.0μm帯における変換効率は 1
.1AIWで
ある.この受光素子を 6個使用して 2波長の 6種類の光を平行して計測する.
各フォトダイオードで発生する光電流は, IN変換プリアンプに送られ電圧信号
に変換され増幅される.一般的にはこのような場合は図 3・38のように DCアン
プを用いるが,信号ドリフトの影響を考慮し,
ACアンプを採用した.プリアン
プにはローパスフィルターが装備されており,波長掃引速度にあわせて最適な
ノイズ除去が行えるような構成となっている.これらのシステムを研究用
(
V
e
r
s
i
o
n1
),実測用 (
V
e
r
s
i
o
n2
) と 2台開発し,それぞれ表 3・3のような特
徴を持たせた.図 3・39
,図 3・40はそれぞれの写真である.
3
. 5. 2
. 6 信号取込装置
信号取込用 AJD変換器としては,計測で使用する 6つのチャンネルを高速で
同時 AJD変換できるものが必要である.本研究では,特注 :NEC三栄製データ
ロガーステーション DL2300を使用した.各チャンネル独立 AJD変換が可能で
000,
0
0
0
/
s,メモリー長 8Mword,AJD変換分解
あり最大サンプリングレート 4,
2b抗である.
能1
3. 6 解析手法
3
. 6. 1 面積比とピーク比
前節まで述べてきたように,吸収スペクトルは様々な要因で広がっている. 2
色法で温度を計測する場合は,ここでは振動数vで、積分した積分吸収度 A (
吸収
にお
スベクトルの面積)の比を用いる方法を用いているが,その他にも振動数 v
48
ける吸収度 Av(
吸収スペクトルの高さ:ピーク)の比を用いる方法もある.し
かしながらピーク比を取る場合,式 (
2・8
)に示すように線形関数仇を考慮する必
要があり,各種線幅(ドップラー幅、衝突幅)の情報を得る必要がある.更に
は現在の DFB型半導体レーザの温度制御技術は 0
.
0
0
1nm/
0
.
0
1"cが限度であ
る.つまりペルチェ素子の限界に相当する.吸収線のピーク計測に必要な分解
能は 0
.
0
0
0
5nm (
O
.
O
O
l
c
m
"
l
) であり,半導体レーザの温度制御精度不足からピ
ークを固定して計測するのは現時点では困難であるとされる.
3
. 6
. 2 波長掃引法
吸収スペクトル全体を計測するためには,気体に照射する光の波長がスペク
トルの両裾までをカバーしている必要がある.半導体レーザの波長を変調させ
るには図 3・41に示す通り,注入電流をある幅で変化させると,それに伴い光の
出力強度,掃引波長も (
b
),(c)のように変化する.波長掃引には,これらの特性
を用いた.これは他のレーザ分光法等のような光学素子の物理的な移動による
波長変調とは異なるものである.測定しようとするガスの吸収線付近で波長を
掃引すると,図 3・42に示すように,気体を透過した光の強度は吸収線の存在す
る波長λ
1の部分で減衰した形となる.この透過光信号と参照信号(図 3・4
1
(
a
)中
の点線)との比を取ることによって透過率 Tm の時間変化を計測することができ
る.
3
. 6
. 3 ベースラインフィッテイング
スペクトル解析をする前に,両すそ野を含んだベースラインを決める必要が
ある.参照光を使ってベースラインとの合わせ込み,いわゆるベースラインを
合わせることが吸収面積を計算する際に非常に重要となるのである.
3
. 6. 4 波数カウント
同時に計測されたエタロン信号(光ファイパーリング干渉計を通過した信号)
を用いて,図 3・ 43 に示すように横軸を時聞から波数 ~cm"l) に変換する.一般的
に半導体レーザではその発振波長(波数)が注入電流や温度によって微妙に変
化するため,絶対的な波数を求めにくい.そのためにこのような方法で波数を
モニタするか,もしくは波数計を用いてカウントする方が望ましい.図の右に
示すように,式(
2・7
) から透過率
T
m の対数が吸収度であるので,この信号の対
数を取ることによって横軸が波数で表されたスペクトルを導くことができる.
3
. 6. 5 スベクトル解析法
ここまでのプロセスを図 3・44(1)と図 3・45(2)にまとめる.まず適切な半導体
4
9
レーザの掃引波長は,周波数変調特性と吸収線の広がりを網羅できる範囲であ
る.通常の 2.0μm帯 DFB型半導体レーザの掃引波長は 1nmで,波数に換算
o
1である.図 3
o
1 1cm
o
1
1
0や図 3
1
1から必要な掃引幅は 0
.
5cm
すると 2cm
",-,
程度であることがわかるので,吸収スベクトルの両すそ野がカバーできるよう
に範囲を決める.得られた吸収スベクトルは,前章で解説したようにフォーク
トプロファイルと呼ばれる合成スペクトルで、ある.そのためにフォークト解析
と呼ばれる吸収スペクトルファイルフィッティングを行う必要がある.一方で
は,吸収スペクトルの面積が十分に広く,信号自体もノイズを含んでいなけれ
ば,フォークト解析は使わずに吸収スペクトルの面積を直接求めることができ
る.この吸収面積が求まり,全圧や光路長が既知であれば,ガスの濃度が計算
4より温度が求ま
できる.また ,2つのレーザの吸収面積比が求まれば,図 3・1
るのである.
3. 7 高時間分解能計測
3
. 7
. 1 波長掃引法における時間分解能
この様にして,半導体レーザ分光法における波長変調法では,注入電流の波
形 1つから吸収スベクトル 1つを計測するために,波長掃引 1回分に要する時
聞が温度・濃度計測の最小時間分解能となる.したがって,注入電流波形の周
期を短くすることによって,計測の時間分解能を向上させることができる.ま
た,注入電流の掃引幅を大きくすることによって,高範囲での波長掃引が可能
となり,スペクトルの両すそ野までの計測が可能となる.ただし,波長掃引速
度と波長掃引幅は反比例の関係にあり, 目的に応じて適した値を選択すること
・
4
6は本装置で得られた 1
0
0Hz
,1k
Hz,1
0k
Hzのそれぞ
が重要である.図 3
れのエタロン信号生波形である.
3
. 7
. 2 三角波
高時間分解能計測のためには,波形はランプ波ではなく,三角波が有用であ
る.この三角波の場合,ランプ波と比較して波形 1つに対しての測定サンプル
1
2になるが,計測する波形数は 2倍になるという利点がある.例えばラ
数は 1
0k
Hzの場合に波形 1つに対して 400
ンプ波の場合,サンプリング周波数が 1
点の計測ができる (AID変換器サンプリングレート 4
,
0
0
0,
0
0
0
/
8使用時).こ
0
0点に減るが 2
0k
Hzの波形を測定できるので
れが三角波の場合,測定点は 2
ある.この方法が高時間分解能計測につながった.
5
0
3
. 8 結言
2.0μm帯における吸収線の中から C02ガスの濃度・温度計測における吸収
線は,下記の組み合わせが最適であることがわかった.
6
•1
2
C1
0(20012・00001)帯の R
(
5
0
)ブランチ:1
9
9
6
.
8
9nm
6
0
0
0
1
)帯の R
(
3
0
)ブランチ:2
0
5
0
.
9
7nm
•1
2
C1
0(20013・0
これは前節で挙げた選定条件において
強い
(1)温度測定範囲において吸収強度が
(
2
)他の C02ガス吸収線から孤立していて干渉が少ない
吸収線による干渉が少ない
(3)H20ガスの
(
4
)温 度 計 測 に 感 度 が 良 い 組 み 合 わ せ で あ る
(5)H20ガス以外他のガス分子種の吸収線による干渉が少ないこと
等を満足す
る.またこれらの吸収線の組み合わせば,従来研究で用いられてきた半導体レ
ーザ1.5μm帯の吸収線よりもいずれも各温度において吸収線が高いことを示し
た.
一方,高温領域での温度計測には H20ガスの吸収線の組み合わせの方がより
有利とし,次の吸収線の組み合わせを用いることにした.
• 1996nm帯 :5
0
0
8
.
1
0
1c
m
.1
・2050nm帯 :4878.193cm"l
ここで選定した H20ガスの吸収線の組み合わせによる温度計測は,常温から
低温領域では感度がなく, 600K 以上の温度計測しか出来ない.これはレーザ
光源が計測部以外を通過する場合,例えば常温部分や燃焼近辺の低温部分を通
過するときにその分の光路長補正が不要となり,誤差の低減につながる.
ITRANを参考にしているために
また上記の吸収線は全て H
(
1
)H
ITRANに収められていない気体との干渉の問題
(
2
)HITRANの高温における信頼性
などの問題点は残ると考えられる.
またこれらの吸収線をカバーする室温発振の 2.0μm帯 DFB型半導体レーザ
を特注し,その半導体レーザ、を備えたガス吸収分光システムの開発を行った.
その主な特徴としては
5
1
(1)転送系には全て光ファイパーを用いており,その信号強度比は計測部:参照
部:エタロン部 =8:1:1とした
(
2
)20kHzまでの高時間分解能計測可能
(
3
)波数カウント用のエタロン結晶の代わりに光ファイパーリング干渉系使用
(
4
)波長分離用にアライメントが不要な特殊光学フィルター使用
(
5
)4,
000,
0
0
0
/
sの転送速度を持つ AID変換器により高速でも十分なサンプリン
グ数取得可能
(
6
)計測解析には吸収面積法を用いる
これらをワンボックスにまとめオールインワン型システムとしてロバストな
可搬可能タイプとした.
この章では本研究の目的である高時間分解能計測について,本計測システム
の有する最大時間分解能やその可能性等を検討した.
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4200
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cm
ぺ
)
5400
6700
1 広範囲波長帯での CO
図3
2ガス吸収線強度
CO
bsorption
2A
296K
HITRAN
1
2C160(20012・00001)
1.0E・21
0.5E-21
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12C1
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6
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0001)
1
2
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帯での CO
ガス吸収線
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5300
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9
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1
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3 CO2ガスの吸収線
図3
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一
一
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-
1
)
図 3-4 CO2ガス吸収線の温度依存性
55
5200
検索範囲:4500-5400cm-1(1
.
8
5
1
2
.
2
2
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CO
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図 3-5 吸収強度 2
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51
図3
6 カットオフ後の吸収線
56
5
3
0
0
検索範囲:4800
-4900cm-1
(
2
.
0
4
1~2.083μm)
CO
1
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図3
7 4800-4900cm叶こおけるCO2吸収線
検索範囲 :
4920~5020cm-1 (1.992~2.033μm)
CO
1
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4
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2吸収線総数 :
1
Cuto
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図 3-8 4920-5020cm・1
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57
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1
.
5
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川
川
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1
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) 296Kにおける CO2ガス及び H20ガスの吸収線強度
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1
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) 1000KIこおける CO2ガス及び H20ガスの吸収線強度
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一
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図3
1
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)296K
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59
0
.
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一
一
一
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1
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図3
11
(
b
) 1000KにおけるCO
2ガス及びH20ガスの吸収線強度
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2.
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2
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図3
1
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(
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.• ...R(50)/R(38)
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(
K
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図3
-14 各温度における吸収線強度比 Rの比較
61
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0
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a
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K
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図3
1
5 各温度における吸収線強度比感度 (
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l
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5010
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)
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図3
-17 1500Kにおける R
(
5
0
)近辺の他ガス吸収線の干渉
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4
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24
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4876
Wavenumber(c
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T
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)
4878
図 3-18 296Kにおける R
(
3
0
)近辺の他ガス吸収線の干渉
63
1E-20
4875.749cm1
(R30)
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.
.
.
J
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4876
4878
Wavenumber(
cm
ぺ
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図3・191500Kにおける R
(
3
0
)近辺の他ガス吸収線の干渉
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一
一
一 4875.
748957(R30)
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一
一
一 6367.
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一
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5E-22
1.0E-22
0.5E
・2
2
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500
1000
1500
2000
Wavenumber(cm-1)
図 3-20 1.5μm及び2.0μmでの CO
ガス吸収線強度比較
2
64
0.
02
団 J川
0.
03
HITRAN
1200K
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296K
0
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01
0.
00
4868
4874
4871
4877
4880
48835005
5007
1
Wav
制 u
mber(cm.
)
5009
5
0
1
1
5013
5015
1
)
Wa
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図3
2
12
96K
,
1200KにおけるCO2ガス及び H20ガスのの吸収線強度
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﹄
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5E-22
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1
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一
一
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2
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1E-22
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300
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900
1500
1800
Temperature(K)
図3
-22CO
2ガス及び H20ガス吸収線強度の比較
65
2100
2
0
一
一
一 R50/R30
一-4878.193/5008.101
1
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u
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1
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1
5
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0
1
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0
0
2100
Tempe
悶t
u陪 (
K
)
図3
2
3 CO2ガス及び H20ガスの吸収線強度比 Rの比較
0
.
0
2
5
一
一
一
ー R50/R30
一一
一-4878.193/5008.
1
0
1
0.
0
2
0
1
-
Eom
て3
b
〉
寄
c
ω
0.
0
1
0
ω
0
.
0
0
5
0
.
0
0
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3
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0
6
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0
9
0
0
1
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0
1
5
0
0
1
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0
2
1
0
0
T
e
m
p
e
r
a
t
u
r
e
(
K
)
図 3-24CO
d
R
/
d
T
)比較
2ガス及びH20ガスの吸収線強度比感度 (
66
1E-20
1
E
2
1
1E-22
/
,
E
O
)
020E﹀'
一c
sc-oc
コ
(E
N O ﹄何一コ
ω
・ bω
・
1
5008.
101cmine
一
一
一
一 CO2L
一
一
一一 HPL
ine
一一一-others
,
1E-23
1E-24
5006
;
5008
5010
1
Wavenumber(cm
-)
図3・25296K
における5008cm
・
1の他ガス吸収線の干渉
e
e
nHnH
1 UU
陪
1E
・
22
MUCHd
1E・21
mqpM
一
コ
(
主O ﹄何一コ020E﹀・EO)bBcsc-ωc
ル一
1E-20
/
1E
・2
3
1E
・2
4
5006
5008
5010
Wavenumber(c
m
)
図 3-261500K
における5008cm・1の他ガス吸収線の干渉
67
41
司 J﹄ 円
55ιι
,
a
a
a
,
司
,
可
,
司
EO)bωc
(定。﹄何言
。ωoE﹀'
s
c-ωc
コ
円
1
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9
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0
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一
一
一 H20L
in
e
一
4n
一-others
,島内
一
4
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4878
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W
a
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n
u
m
b
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r
(
c
r
r
O
図 3-27296K
における4878.193cm・1の他ガス吸収線の干渉
ee
陶
-凶凶陪
m
q
ρ
nMM
Ln
4E
4dCHMM
町一
司'﹄司
4EE41a41
EEEE
,島内
Lqd
司
,
4
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コ
oE﹀'EQ)htggcEC
何
一
コωω一
(
宿
﹄O﹄
/
1E-24
4876
4878
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r
(c
m
)
図 3-281500K
における4878.193cm
ぺの他ガス吸収線の干渉
6
8
4
E
2
1
叫
一
EQ-抱
ωc
(
N
一
コωω ちE ﹀'EO)b cgc一
コ
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一
一
一
一 4878.193
一
一
一
一 5008.101
一
一
一
一 7444.
351
一一一 7185.
597
3
E
2
1
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2
1
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2
1
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1200
2100
3000
T
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r
a
t
u
r
e
(
K
)
図3
2
9 1.3μm帯及び2.0μm帯で、の H20ガスの吸収線強度の比較
40
一
一
一-4878.
1
9
3
/
5
0
0
8
.
101
一一一 7444.351庁 185.
597
30
区
~ 20
m
E
10
0
300
1200
2100
3000
T
e
m
p
e
r
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r
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(
K
)
図 3-301.3μm帯及び2.0μm帯の吸収線強度比 Rの比較
69
0
.
0
2
5
一
一
一-4878.193/5008.101
一一一 7444.351庁 185.597
0.
020
トて~ー
3
万
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.
0
1
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ω
ω
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1
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0.
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300
2100
1200
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T
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m
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r
a
t
u
r
e
(
K
)
図3
3
11.3μm
帯及び2.0μm帯の吸収線強度比感度 (
dR
l
dT)の比較
O
p
t
i
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a
lf
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Ringi
n
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r
f
e
r
o
m
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t
e
r
図 3-32TDLAS計測装置概略図
70
図3
3
3DFB型半導体レーザモジュール
O
p
t
i
c
a
lF
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今
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l
図3
3
4光分岐回路
71
図3
3
5光ファイパーリング干渉計
日L3
r
f
i
岡阿
Y
Y
│仲
75mm
旬l
町除。
H
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中
Col
l
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図3
3
6送光・受光用コリメータ
72
I
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u
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1996nm
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3
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2050nm
0
.
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一
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W
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v
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e
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g
t
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(
n
m
)
図 3-37光学フィルター波長分離性能
ACamp
Time
図 3-38ランプ波受光における DCアンプ・ ACアンプの特性
7
3
Time
図3
3
9TDLASシステム (
V
e
r
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i
o
n
1)
図 3-40TDLASシステム (
V
e
r
s
i
o
n
2
)
7
4
c
ω
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当
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吉
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(
c
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,BS
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d
二r
(
a
)
Time
Time
Time
図3
4
1波長掃引と各パラメータとの関係
TunableRange
企λ=0
.
5
Absorbance
,
FF﹄
一一ωcmw﹄ト
:
A
b
s
o
r
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i
o
nL
ine
c
oωω
ト.
ι
a
参
日
。
Time
λ
1
Wavelength,λ
図3
4
2波長掃引における吸収による減表ディップ
7
5
EωCE
c
g
ω
ω
一
↑
Ei
,
‘ I111
l
u
l
l
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一
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c
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一
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4
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Time
図3
4
3時間軸から波数軸への変換プロセス
Measurement
園田+
/
ぺ
¥
BaseLineMatching
Tr.as皿 i
t
t
edSi
gD.
1
Reference
/
回目争
RefereDte SlgB.1
Etalon
ー
ー
'
T
i
町l
e
Readoutwavenumber
図3
4
4 スペクトル解析手法 (
1)
76
Howt
oc
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l
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t
eabsorptiona
r
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P
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2
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A
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砂
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a
Wavelength, λ
MM
++
州一
円一円
λ 1 λ 2
W
a
v
e
l
e
n
民h
,λ
図3
4
5 スペクトル解析手法 (
2
)
A
.
=1996nm
2
1
。
5
2
0
z
何
E
o
m
E
r
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』
ト
。
t
10
20
Time(
凶 ec)
図3
4
6各時間分解能におけるエタロン信号の生波形
77
表3
1吸収線のスペクトルデータ
H
l
T
E
M
Pd
a
t
a
b
a
s
ec
m296K
Band
1996nm
2050nm
側 cm-1)
Wavenumb
L
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n
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s
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1
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6
6
1
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0
7
3
1
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5
.
2
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3
E
・
023
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.
1
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1
3
0
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0
6
5
8
0
.
0
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1
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.
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(
R
5
2
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3
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1
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0
6
5
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0
.
0
7
ω
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O
)
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1
.
7
4
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E
0
22
3
6
2
.
7
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0
.
0
6
8
4
0
.
0
8
6
9
4878.293422(R34)
心2
2
1
.
2
2
5
E
4
6
4
.
1
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1
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.
0
6
7
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0
.
0
8
3
5
4
8
8
0
.
7
鈎1
2
2
(
R
3
8
)
心2
3
8
.
0
1
5
E
5
7
8
.
0
1
1
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0
.
0
6
7
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0
.
0
8
0
2
5 1
7
.
7
8
7
3
7
2
(
R
5
0
)
表3
-2 2.0μm帯 DFB型半導体レーザの仕様
LD1
LD2
Wavelength
0
@25C,108.5mA
1995.56nm
2049.54nm
Temp.dependenceo
f
wavelength
0
.
1nmlK
0
.
1nmIK
C
u
r
r
e
n
tdependenceo
f 0
.
0
1nmlmA
wavelength
0
.
0
1nmlmA
L
inewidth
10MHz
10MHz
7
8
表3
3計測システムバージョンの各特徴
V
e
r
s
i
o
n1
V
e
r
s
i
o
n2
Dimension
450x400x200
440x400x100
Channel
6ch
6ch
C
u
r
r
e
n
t
。
。
I
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p
u
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,
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,
T
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l
e,
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T
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n
g
l
e
SweepRate
.
0
1Hz- 50kHz T
r
i
a
n
g
l
e
:10kHz:
t5kHz
Ramp :0
:0
.
0
1Hz- 50kHz
TOM
T
r
i
a
n
g
l
e :0
.
0
1Hz-叩 OkHz
SIN
:50MHz
Gain
1000,
2000,
5000,
10000
1000,
2000,
5000
LowPassF
i
l
t
e
r,
Cuto
仔f
requency
Through,
500Hz
,
5kHz
,
50kHz
,
500kHz
Through,
500kHz
HighPassF
i
l
t
e
r,
Cuto
f
ffrequency
Through,
50Hz
,
500Hz
,
5kHz
,
50kHz
,
50kHz
,
500kHz
50Hz
-200mA
-150mA
79
第 4章高温ガスセルを用いた基礎実験
4. 1 緒言
第 3章では半導体レ}ザガス吸収分光システムにおけるレーザ光源の波長選
定を行った.また,その波長を持つ半導体レーザを備えた計測システムを試作
した.本章では C02標準ガスを封入した高温ガスセルを使い,この計測システ
ムの様々な評価を行う.まずは時間分解能(半導体レーザの掃引速度)を変化
させ,各信号強度を確認する.次に高温ガスセルの温度を変化させ,温度計測
における誤差評価を行う.さらに高温下での濃度を計測し比較する.最後に高
温における HITRANデータベース値の評価について吸収線スベクトルを使って
行い, HITRANデータベース値と実験値の誤差を検討する.
4
. 2 実験装置
図 4・1に実験装置の概略図を示す.試作した 2.0μm帯 DFB型半導体レーザ
を計測システムに収納し,ロバスト性と可搬性を持たせたことは,前章で説明
した.計測部におく発光・受光系は光ファイバーを用いて,任意の場所に設置
できるようになっている.計測部には SIN向上用に長い光路長を得るため,反
射用ミラーを用いる.本章での計測対象には計測用ガスを封入する石英製高温
1
9
0mm)を用い(図 4
"
2
),1500K程度まで加熱可能
セル(内径:中26mm,長さ :
)で
なセラミック電気管状炉(アサヒ理化製作所製:型式 ARF"SOKC 図 4・3
加熱した.高温ガスセノレの両サイドに 3
。ウエッジ光学窓を付け,エタロン効果
(1)と呼ばれるノイズ成分の除去をおこなった.レーザ光は前述の反射用ミラーに
よりこの高温セル内を往復させる. 1パスが 190mmで
, 3パス:570mm,最
大 5パス:9
50m mまでの光路長計測が可能である.高温ガスセル内のガス濃
度の設定は,真空ポンプでセル内の空気を抜いた後,真空圧力計で全圧を計測
しながら,計測用ガスと窒素ガスを注入し,それぞれの気体の分圧を変化させ
濃度を計測する場合,全圧を
た.図 4・4にその図を示す.例えば C02ガス 40%
760mmHgに保ち, C02ガス:304mmHg
,N2ガス:456mmHgを封入する.
本研究でのガス濃度はモル分圧を計測するモル濃度である.なお高温ガスセル
の温度設定には R型熱電対を用いた.
8
0
4. 3 高時間分解能による C
02ガス濃度・温度計測
4. 3
. 1 計測システムの直接信号評価
常温 296K で C02ガス:濃度 40%を高温セルに封入させ, レーザの掃引速
度(周波数)を 1
0
0Hz,1kHz,1
0kHzと変化させ,濃度・温度の高時間分解
能計測を行った.光路長は高温ガスセル中を 3パス通過させ 570mmとした.
本研究でガス濃度を 40%とした理由は次の通りである.まず濃度測定におい
て高温ガスセル内を 7
60mmHgに保ち, C02ガスと N2ガスの分圧で調整した
ことは前述した.またこのセルは密閉されているために,温度を上げていけば,
セル内の圧力は上がる.そのために,ガス体積を減少させなければならない.
例えば C02ガス濃度 10%では,高温ではガス体積を減少させるために,同時に
吸収の信号が小さくなり誤差の原因となる.高濃度では信号の SNはいいが,
実質的ではない.これらの理由により 40%が適当とした.
図 4・5 はこのときの直接信号による生波形で,図上から直接の吸収光・参照
光・エタロン光である.図中の吸収ディップが C02ガスの分圧(濃度)を示す.
0
0倍変化させても, 2つのレーザによる
この図からわかるように掃引速度を 1
吸収特性に大きな差異は見られない.また波数を検知するために重要なエタロ
ン信号には,前章で説明した光ファイパーリング干渉計を用いであるが,この
ディップ数が掃引速度とともに変化しているのがわかる.半導体レーザの波長
掃引は常に一定でないために,波数を正確に読みとることが吸収面積を正確に
計測することになる.つまり,これらのディップ数が吸収面積をカバーできる
ほどに十分カウントできることが必要である.この場合,計測に必要な最低デ
イツプ数は 3個で,吸収面積の両すそ野(ベースライン)の前後をカバーして
いることが条件である.このことにより,本計測システムが C02ガス濃度 40%,
光路長 570m m,常温 296Kの条件下では掃引速度によらず,吸収信号,参照
信号,光ファイパーリング干渉計信号が,ほぼ閉じ精度で作動することを確認
した.
4. 3
. 2 常温における C02ガス濃度評価
半導体レーザの掃引速度を 10kHzに固定して, 296Kで C02ガス濃度を 5%
から 50%まで変化させ,それぞ、れの濃度の誤差評価を行った.光路長は 570mm
である.図 4・6は R
(
5
0
),図 4・7は R
(
3
0
)である. HITRANから引用した 296K
での吸収強度は,前章に示したように R
(
5
ω では 0.6X1
0
・
2,R(3ω では1.25X
1
0
・
2
2と R
(
3
ω の方が倍近く大きい.これらの図から誤差評価すると RMS値の最
(
5
0
):9
.
1
7, R
(
3
0
)
:7
.
0
8となり,それぞれの RMS値の平均は R
(
5
0
):
大は R
4
.
2
6, R
(
3
0
)
:3
.
0
8であった.これにより R
(
3
0
)の方が C02ガス濃度誤差は小
8
1
さい.一般的に吸収強度の大きい方が誤差は小さくなる傾向にあるが,これは
HITRANでのガス吸収強度値が常温 (
2
9
6K) 近辺においては,ほぼ正確な値
を示しているという報告ωと一致する.
4
.3
. 3 常温における C02ガス温度評価
本研究での温度計測は, 2つの波長の比による 2色温度計測法を使って行うこ
996nmと 2049nm帯での
とは,前章で説明した.また 1
C02ガスの温度計測
(
5
ω とR
(
3
ω の比 R
(
5
0
)1
R
(
3
ω が最適であることもわかった.ここでは前
には, R
(
5
0
)1
R
(
3
0
)をとり,温度計測を行った.図 4・8
節で計測した各濃度における比 R
は,各濃度における比 R
(
5
ω1
R
(
3
0
)から求めた, 2
96K の温度計測結果である.
この図からわかるようにそれぞれの濃度における温度計測誤差は極めて小さく
・
1
),この比が温度計測に適していることがわかる.
(
表4
4
.3
. 4 高温度領域での時間分解能計測評価
02ガス濃度・温度評価は全て 296Kにて行ってきた.ここでは,
前節までの C
,1000Kと上昇させ,各温度での時間分解能評価を行
温度を 296Kから 700K
う.図 4・9は,掃引速度を 1
0
0Hz,1kHz,1
0kHzと変化させたときの温度計
02ガス濃度は 40%,光路長は 570m mである.
測結果である.このときの C
それぞれの平均値, RMS値を表 4・2に示す.この図から高温になるほど RMS
値が大きくなっていることがわかる.一方では掃引速度 1
00Hz,1kHz,1
0kHz
での計測誤差がほとんど変わらない.図 4・1
0は C
02ガス濃度を 100%にしたと
0kHzでの各温度の時系列データと PDF (確率密度関数)グラ
きの掃引速度 1
フである.ここでも,温度上昇と共に変動幅が増大しているのがわかる. 1000K
計測時に高温よりに分布が偏っているのは,温度計測が R
(
5
ω とR
(
3
ω の比を取
っているために,吸収強度の高い方が吸収面積が大きくなり,誤差が少なくな
る.このバランスが誤差につながる.これらのことから掃引速度 10kHzの実験
0
0Hz, 1kHzと比較し,計測誤差においてあまり変わりはないため,
結果は 1
本章では以下の実験は 10kHzで行うものとする.
1に 296Kと 1000Kにおける R
(
5
0
)と R
(
3
0
)の生信号を示す .296Kで
図 4・1
(
5
ω ,R
(
3
0
)共に吸収面積が大きいが, 1000Kでは R
(
3
ω の吸収面積が極端
はR
(
3
ω の吸収強度が低いことに起因
に低下している.これは高温領域においては R
する.
このように,計測誤差は高温になるほど大きくなるが,これらの誤差要因と
しては,以下が考えられる.(1)高温ガスセルのヒータの温度設定の安定性の問
2
) また高温ガスセルを加熱する場合,温度が安定するまで十分に時間を取
題. (
り計測を行っているが,加熱不均一性のため生じるセル内のガスの不均一性が
82
対流などによって起こる可能性もある.このために光路中が濃度不均一性とな
(
3
)HITRAN値に記載されている吸収強度値 S(T}/s,高
り誤差要因となる
温領域では実験値と一致しないために生じる ω (次節以降で確認). (
4
) 掃引速
度が高い場合,光ファイパーリング干渉計のディップ読み取り精度が低下する.
つまり検出精度の分解能不足が考えられる.これは図 4・9 の生信号から明らか
なように高温になるほど吸収デ、イツプが低下する.アナログ・デジタル変換器
(ADC)の変換スピード・サンプリング数が一定であり,レーザの掃引速度が高い
場合,吸収面積の読み取りに使われるサンプル数は制限される.つまり吸収デ
イップが小さいほど使われるサンプル数は小さくなり,分解能が悪くなるので
ある. (
5
) 信号処理において,直線吸収光と参照光のベースラインマッチィング
の精度が低下してくる.
4. 3. 5 高温における計測浪度評価
2は温度 :700K,掃引速度:10kHz,
次に高温における濃度計測を行った.図 4・1
光路長は 570mmでの C02ガス濃度 5%から 50%までの計測結果である.図
中のパーは RMS値を示しており,図下のエラーは C02濃度値と実測平均値と
の差異(誤差)である.表 4・3は平均濃度値, RMS値,誤差である.この場合,
ほぽ直線に沿って分布しており, C02濃度値と実測平均値との誤差は 4 %以内
に収まっている.一方, RMS値は低濃度の方が,高濃度に比べてばらつきが大
きい.温度 1000Kでは 10%以下の低濃度で,安定な C02ガス濃度が得られな
かったために同様な実験は行っていない.
通常,燃焼ガス計測において C02ガス濃度はその燃料組成や計測場所にもよ
0数%程度である ω
. そのためには,低濃度の C02ガスに
るが,概ね数%から 1
よる計測を実施しなければならず, C02ガス吸収線の組み合わせによる高温場
での温度計測は,不利となるのである.
4. 4 HI
叩 AN値と実験値との比較検証
4. 4. 1 広範囲波長掃引可能な半導体レーザ
通常の計測に使う半導体レーザ波長掃引幅は,他の吸収線の干渉を避けるた
めに波長:0.5nm (波数:1c
m
"
l
) 程度と小さい.しかしながら,本研究用に特
注にて製造した, DFB型半導体レーザ素子は,温度と電流の制御から波長 :2nm
(波数:4c
m
"
l
) までの掃引が可能である.この 4c
m
"
lの波長に対して半導体
.
0
0
2c
m
"
1
(
0
.
0
0
1nm)である.一方, HITRANではほと
レーザの発振分解能は 0
んどが計算による値が用いられている ωために波長分解能は特定出来ないが,吸
収強度のピーク値を得るための分解能は 0
.
0
0
1c
m
"
lである.これにより厳密に
8
3
半導体レーザと H
ITRANとの比較は難しいが,広範囲にわたる C02ガスの詳
細分光スペクトル比較は可能である.ここでは,高温における H
ITRAN値と実
験値による比較検柾を行った.
4
.4
. 2 吸収線スペクトル比較
実験には前節と同じ装置を用い, C
02ガス濃度:1
0
0%,光路長 5
7
0m mと
した.高温ガスセルの温度を 2
9
6K,7
0
0K, 1
0
0
0K と変化させたときの
R
(
5
ω
.
R
(
5
4
)の吸収線スペクトルを図 4
・
1
3に
, R
(3ω-R
(
3
4
)を図 4
・1
4にそれぞ
れ示す.ここでは実験値における C
02吸収線スペクトルのピーク位置と
HITRAN値に示されているピーク位置は,ほぽ一致するとして計算した.図 4
・1
3
に示されている R
(
5
ω
R
(
5
4
)をみると, HITRAN値では温度変化に対してピー
ク高さが大きく変化するが,実験値ではほとんど変化しない.一方,図 4
・
1
4で
(
3
0
)-R
(
3
4
)の実測されたピ}ク高さは, HITRAN値とほぼ同様な変化をし
はR
ており,大きな差違は観測されていない.また,両方の波長帯において,高温
時の吸収線スペクトルの両すそ野部分の広がりは,実験値の方が大きくなって
いる.
次に,この差違を詳細に調べるために 2
96Kと 1000Kでの HITRAN値と実
・
1
5に示されている R
(
5
0
)
R
(
5
4
)にお
験値を各々の波長帯で重ね書きした.図 4
いて, 2
96Kの実験値は HITRAN値よりも吸収強度が低くなっている.さらに
1
0
0
0Kにおいては, HITRAN値ではそのピーク高さに大きな変化がないのに
対して,実験値は大きく減少している.吸収線スペクトルのすそ野部分の広が
・1
6では R
(
3
0
)
R
(
34)におい
りは高温においては大きくなっている.一方,図 4
て,反対の現象となっている. 2
9
6K,1
0
0
0Kのどちらにおいても HITRAN値
よりも実験値が高くなっている.
4
.4
. 3 吸収線スペクトル比較検討結果
前節では H
ITRAN値と実験値の吸収線スペクトルの形状を中心に比較した.
ここでは,その吸収面積を計算し評価をおこない,実際に温度計測時にどの程
96Kと 1000Kである.
度の相違が出るのかを確認する.比較温度はそれぞれ 2
図4
・
1
7は R
(
5
0
)
R
(
5
4
),図 4
・
1
8は R
(
3
0
)
R
(
3
4
)のそれぞれの検討結果である.
ここで最も顕著な差異は 1
0
0
0Kにおいての R
(
5
ω
R
(
5
4
)の実験値が HITRAN
値に比べて大きく吸収強度が下がることである.
R
(
5
ω では約 20%の差が, R
(
5
4
)では 60%以上の差となっている.一方 R
(
3
ω
9
6Kと 1
0
0
0Kを比較した場合, HITRAN値と実験値の変化が
R
(
3
4
)では, 2
逆になっていることもわかった.
8
4
4. 4. 4 R
(
5
ω1
R
(
3
ω における比較検討結果
本研究では R
(
5
0
)/R(
3
ω の比による温度計測を HITRAN値から引用している
である.そのために HITRAN値と実験値が差
ことは前述した.吸収強度値 S(T)
異は,直接的に大きな誤差要因となりうる.ここでは前節で求めた吸収面積 S(
'
l
フ
を用いて, HITRANfI直と実験値での R
(
5
ω/R(
3
ω を比較する.図 4・1
9は 296K
から 1000Kまでの比較検討図である.温度 700K程度までは HITRAN値と実
験値は比較的一致している.しかしながら, 7
00K 以上あたりから明らかな差
違が見られる. 1000Kでの R
(
5
0
)/R(
3
ω は HITRAN値と実験値とでは 2.3%に
及ぶ.これは温度換算にすると 10%の誤差である.一方,高温ガスセルでの 1
0
0
0
K の実験許測誤差は RMS値で 5.6%であった.
HITRAN値のほとんどが,計算によるものであることは前述したが,最近で
は実験値による見直しなどもおこなっている ω
.本実験では,高温下での計測の
場合,装置上の問題として,高温ガスセルの温度安定性,光路長内のガスの不
均一性,熱電対の信頼性などが考えられる.また計測システム自体については,
吸収面積の計算誤差に起因する様々な誤差が考えられるために,実際に高温で
の HITRAN値が誤りであるとは断言できないが,誤差要因の一つであることは
十分に考えられる.
4. 5 結言
C02標準ガスを封入した高温ガスセルを用いて,本計測システムの高時間分
解能計測及び濃度・温度計測評価を行った.まず,半導体レーザの掃引速度を
100Hzから 10kHzまで変化させ, 10kHzまでの時間分解能計測が可能である
ことがわかった.また 296Kから 1000Kまでの温度計測を行い, 1000Kにお
いて, 5%程度の誤差にて温度計測ができた.しかしながら 1
0%以下の低濃度
での実験は実施できなかった.一方, C02ガス濃度計測においては, 700Kま
では低濃度から高濃度まで良好な計測結果が得られた.これまでの高温ガスセ
ルを用いた実験での誤差要因をまとめると,下記の様なことが考えられる.
(1)高温ガスセルの温度設定の安定性における問題
(
2
)高温ガスセル内の温度不均一性
(
3
)高温領域における HITRANに記載されている吸収強度値 S
(
'
.
のの誤差
(
4
)光ファイパーリング干渉計のディップ読み取り精度の低下
(
5
)信号処理での直線吸収光と参照光のベースラインマッチイングの精度
また HITRAN値と実験値の誤差評価を吸収線スペクトルの形状を使って比較
8
5
評価した.これらの検討結果から 1000Kにおいて 10%の温度差異がみられた.
これにより高温領域での HITRAN値が誤りとは結言できないが,誤差要因のー
っとしては十分考えられることがわかった.
参考文献
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Vacuum~
図4
1高温ガスセルを用いた実験装置
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260mb
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図4
2高温ガスセル内部図
87
図4
3高温ガスセル装置写真
:C0
2Gas
P
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s
u
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eGauge
TestC
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図4
4 高温セルのガス経路図
88
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白 ,
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・
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・
・
・
・1
Vi--'' ﹃ii4ille--
••••
BPTi111111Illa--e. .守 '11111114a ﹄see--.... BotE'PIll-hllee--0
・
ifili-十 i
---
・
-.司.
‘
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,
白
,
.
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・
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一一一一/・一
'110
・
8
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Time(msec)
Time(msec)
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K
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K
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l,
L=57cm
,
CO
C
o
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c
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2,
図4
5掃引速度を変化させたときの生信号
CO
10kHz
,
2舗 K,
L=57cm
,
R
(
5
0
)
2:
C
o
n
c
e
n
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r
a
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i
o
n
(
%
)
図4
6R
(
5
0
)における濃度計測評価 (296K)
CO2:10kHz,
296K,
L=57cm,
R
(
3
0
)
5
0
ニ-
ニ-
6
E
・
・
図4
8各濃度における温度計測評価(
2
9
6
K
)
-ニ
ニ-
--圃桐
E
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Concent
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90
(
2
9
6K)
図4
7R
(
3
0
)における濃度計測評価
50
40
30
20
1
0
0
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Concentration(%)
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1
2
0
0
6
0
0
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2
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900
300
•
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296K
700K v 1
0
0
0
K
企
1
k
H
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1
0
k
H
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R
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9各掃き│速度における温度計測評価
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700K
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曲。
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20
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PDF(%)
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9
1
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l
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296K
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図 4-11R(50)とR(30)における生データ (296Kと1000K)
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l,L=57cm,10kHz,CO
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7 K
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図 4-12各濃度における計測精度評価 (700K)
92
CO2,C
o
n
c
.100%
L=57cm,
0
.
6
HITRAN98
0
.
4
0
.
2
e
.•. iExperiment
2
0
3
0
.
2
0
.
1
0
.
0
5
0
0
8
5
0
0
7
5
0
0
9
5
0
1
0
)
Wavenumber(
c
m1
・
図 4-13R(50)
・
R(54)における HITRAN値と実験値の比較
L
=
5
7
c
m,CO2,C
o
n
c
.100%
0
.
4
0
.
3
0
.
2
gnn
g0.
4
…
3031Exp
芝
n
t
0.
2
0
.
1
0.
0
4
8
7
5
4
8
7
6
48n
4
8
7
8
4
8
7
9
W
a
v
e
n
u
m
b
e
r(
c
m
勺
図 4-14R(30)-R(34)における HITRAN値と実験値の比較
93
L=57cmICO2IConc.100%
一
一
一 Experiment
一
一
一 HITRAN
296K
R(50)
0
.
2
言0.1
0
.
0
g
C@
O
o3│
怠
〈
1000K
0
.
2
0
.
1
0
.
0
5007
5008
5009
5010
Wavenumber(cm)
図 4-15R
(
5
0
)
R
(
5
4
)における HITRAN値と実験値との重ね書き比較
Wavenumber(cm)
図 4-16R
(
3
0
)
R
(
3
4
)における HITRAN値と実験値との重ね書き比較
94
3
ローーーーーーー
、:
i _1
0
c
u
ι
-ーーーーーーローー ーーーー
8
c
ーーーーーロ
O
c
u
.
.
c
・
-
0
~ 1
E
x
p
e
r
i
m
e
n
t
(
2
9
6
K
)
〈
・
-
-0ー Expe同ment(1000K)
1000K
•
••
296K
HITRAN98(296K)
ーロー HITRAN98(1
OOOK)
0
5008.566
R(52)
Wavenumber(cm・1
)
5007.787
R(50)
5009.315
R(54)
図 4-17R(50)-R(54)における吸収面積計算比較
3ì ・ ~-ー
ー
.
.
ー - --ー
』
一
コ.e)ωUC伺且﹄Oω阜︿
.
.
崎
、
‘
、
-ー
qL4E
・
-
.
-
一
一
一
¥¥‘
¥ ー-
一
・
-0
E
x
p
e
r
i
m
e
n
t
(
2
9
6
K
)
E
x
p
e
r
i
m
e
n
t
(
1
0
0
0
K
)
HITRAN98(296K)
ーロー HITRAN98(1000K)
¥
‘
‘
.
1000K
ー
296K
O
ロ
O
一一ーーーーーーーーーーローーーー--'"ーーーーーーーーロ
o
4875.749
R(30)
4877.031
R(32)
)
Wavenumber(cmぺ
4878.293
R(34)
図 4-18R(30)-R(34)における吸収面積計算比較
95
3.
5
3
.
0
2
.
5
区
2
.
0
O
~ 1
.
5
1
.
0
一
・
-Experiment
0
.
5
一一一 HITRAN
0
.
0
3
0
0
500
7
0
0
900
1
1
0
0
T
e
m
p
e
r
a
t
u
r
e
(
K
)
図 4-19HITRAN値と実験値の吸収面積比 R比較
表 4-1各濃度における温度計測評価
Conc.
Ave.
rms
50%
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
2
8
7
.
2
2
9
1
.
2
2
8
7
.
2
2
8
9
.
5
2
9
2
.
5
2
9
4
.
8
2
9
1
.
9
2
9
0
.
2
2
9
8
.
9
3
0
0
.
5
4
.
8
7
.
0
5
.
5
5
.
0
5
.
3
6
.
8
7
.
8
7
.
7
9
.
6
1
7
.
3
9
6
1
3
0
0
表 4-2各掃引速度における温度計測評価
Ave.(rms)
Temp.
100Hz
1kHz
10kHz
1000K
967.
4(
9
5
.
7
)
9
9
0
.
1(
10
5
.
6
)
9
8
6
.
0
(
1
0
1
.
3
)
700K
7
0
9
.
3
(
3
1
.
9
)
707.7(35.
4
)
7
0
6
.
1(
3
3
.
8
)
296K
2
9
0
.
5
(
3
.
6
)
4
)
291.2(4.
2
9
4
.
8
(
4
.
9
)
表 4-3 各濃度における計測精度 (700K)
1
501
0
Ave.
4
7
.
4
4
6
.
3
4
2
.
0
3
8
.
2
2
8
.
8
2
1
.
4
1
7
.
6
1
2
.
8
rms
2
.
4
2
.
8
3
.
0
3
.
6
4
.
0
4
.
4
4
.
6
4
.
8
10%
5%
1
0
.
6
5
.
5
5
.
2
5
.
4
Conc.
50%
45%
40%
35%
30%
250
/
0
200
/
0
97
E
r
r
o
r
2
.
7
1
.
3
2
.
0
3
.
2
1
.
2
3
.
6
2
.
4
2
.
2
0
.
6
0
.
5
第 5章層流・乱流火炎への応用
5
. 1 緒言
前章では高温ガスセルを用いて C
02ガス濃度・温度計調.tlの誤差評価を行った.
また高温においての HITRAN値と実験値を比較した.本章では,この計測シス
テムを実火炎に応用する.まず,はじめに層流予混合火炎を使い, 10kHzでの
02ガスの濃度と温度計測を行う.ここでは温度計測に第 3
時間分解能にて, C
章で示したように,高温では有利な H20ガスの吸収線の組み合わせを用いた.
層流での 1
0kHzの時間分解能計測の目的は層流火炎の現象の研究ではなく, 1
0
kHzの時間分解能計測において,温度変動やぱらつきが少なく計測できるかと
いうことである.温度評価には数値計算による断熱火炎温度と熱電対を用いて
0kHzの掃号!速度を用いた.
比較した.次に高時間分解能を更に進めるべく, 2
前章で用いた高温ガスセルを使い,予め C
02ガス, H20ガスでの 2
0kHz時間
分解能の温度計測評価をする.その後,乱流予混合火炎の時系列計測を行う.
0kHzの時間分解能は,吸収面積計測では最速とされるために,
現時点では, 2
この計測システムが燃焼制御用センサーとしての可能性があるかどうか等の問
題点を示す.
5
. 2 層流予混合平面火炎計測
5
.2
. 1 実験装置
図5
・
1~こ実験装置と用いたパーナの概略図を示す.測定対象は CH4 ガスを燃
料とする層流予混合平面火炎(フラットフレームパーナ:McKenna製)であり,
このパーナは今までに,レーザ計測の校正用パーナとして多数用いられている(I).
このフラットフレームパーナを用い,火炎近傍の C
02ガス濃度及び H20ガス温
度軒測を行った.このフラットフレームパーナは,予め混合された燃料ガスと
空気が外径 80mm筒状内部の整流用ピーズを通過し,出口付近に装着されてい
る 20μm径の多孔金属上に,平面的な層流火炎を発生させることができる.ま
た円筒周囲は窒素ガスを使って外部ガスとの遮断(パージ)を行っている.計
測部は平面火炎上面とし,反射ミラーを使って燃焼ガス部分を往復させた(図
5
・
2
)
. このときの光路長は 300mmとした.
9
8
5
. 2. 2 数値計算による計測温度との比較
温度比較検討は 2種類の方法で行った.一つは 1次元層流予混合燃焼の数値
計算を利用した.数値計算の熱物性データは G
R
I
.
M
e
c
h
3
.
0
ω の値を用い,
CHEMKIN.n(3) に入力し, P
r
em
.
i
xC
o
d
e
(
4)を使って計算した.数値計算上の
CH4
,
),
燃焼条件では,断熱の大気圧下・ 1次元自由伝播火炎を扱い,燃料はメタン (
酸化剤は乾燥空気 (
0
2
:2
0
.
9
9%
, N
2
:7
8
.
0
3%
, C
0
2
:0
.
0
3%
, A
r
:0
.
9
3%
, H
2
:
0
.
0
1%以上許算におけるパラメータ値)とした.計算は熱解離を考慮したもの
となっている.
5
. 2. 3 熱電対による計測温度との比較
もう一つは熱電対である.ここでは R型熱電対を用いた.一般に,高温場で
の測定においては,熱電対の示す温度と実際の温度との聞に差があることが知
. ここで,今回の実験装置においての熱電対指示温度の補正につい
られている ω
て示す.熱電対の測定点における熱エネルギーの収支を考えると, (1)火炎中
の燃焼ガス流による熱電対への対流伝熱, (
2
)熱電対から周囲への轄射伝熱, (
3
)
熱電対の構成材料である白金,およびロジウムの触媒作用による発熱, (
4
)熱
電対素線に沿った伝導伝熱,および (
5
) 火炎中のガスから熱電対への輯射伝熱
(ガスの体轄射)が,主に挙げられる.しかしながら, (
5
) は輔射率が比較的
高いガス分子種 (
C02ガス及び H20ガス)の濃度が,火炎中において低いこと
と,熱電対と周辺空気との温度差に比べ,熱電対と火炎との温度差が小さいこ
とから無視できる.また, (
4
) は,素線に沿って温度分布が均一になるように,
熱電対を差し込むことによって無視できる.
以上のことから,簡単には,以下のような式で,熱電対の測定点における熱
エネルギーの収支を表すことができる ω
.
4
Ah(
η-Tt}+A
昂 =Au&(
T
/一T
a)
(
5
-1
)
ここで,A:有効伝熱面積, h 熱伝達係数,H
t
:熱伝対の触媒作用による発熱
量 (f ステファン・ボルツマン定数 E 熱伝対の測定点における輔射率,T
f
:
火炎温度, T
t
:熱伝対指示温度,九:周囲の輝度温度である.実験上は周囲空
気の輝度は無視できるため九 =0となる。すなわち,火炎の温度骨は,以下の
ように書ける.
9
9
4
H
.
σ"&T
.
L=
T
.-.
:
:
.
:
.
L+ーーム
J
h
(
5・2
)
h
また,熱伝達係数 hは,以下に示す K
askanらが考案したヌッセルト数 :Nuと
レイノルズ数:Reの相関式によって与えることができる.
25
(
5・3
)
Nu=乱8(Ret
Nu,jó"ck ぴ'Re/~ぞれぞ仇
Nu= 笠 ,Re=P笠~L- で与;t られ 3
k
η
ここで, d:熱電対の素線径, k:燃焼ガスの伝導率, ρ:燃焼ガスの密度, U:
燃焼ガスの流速,および η :燃焼ガスの粘度である.本来は,ヘキサメチルジ
シロキサンなどを用いて,熱伝対表面にシリカの皮膜を作って反応を防ぐのが
よいが,今回は特に,測定誤差の概ねの大きさを評価することを目的としてい
るために,熱電対指示温度を上昇させる触媒作業の項は,無視して考えた.
5. 2
. 4 実験条件
.
8から1.2ま
実験条件として,当量比と測定箇所を用いた.まず,当量比を 0
で変化させた.そのときの C
H4ガスと空気の流量の関係は次の通りである.
当量比 0
.
8,C
H4ガス:1
.51
I
min.,空気:1
7.
41
1
凶 n
.
当量比 1
.
0,C
H4ガス:1.811min.,空気:1
7
.
1
1
1
.
凶 n
.
当量比1.2,C
H4ガス:2.111min.,空気:16.81
I
min.
総流量は 1
8
.
9
1
1
m
i
n
.で一定であり,パージ用の N2ガスは 6
.
7
1
1
凶 n
.とした.こ
のとき,それぞれの C
0
2ガス濃度及び H20ガス温度を計測した.ここでは C
0
2
ガス濃度には吸収線 R
(
5
0
)を,温度計測には H
20ガス吸収線の組み合わせ
(
4
8
7
8
.
1
9
3c
m
'
lと 5008.101c
m
'
l
) を用いた.計測位置は火炎面上 10mm固定
とした.
次に当量比を1.0に固定し,計測位置を火炎面上 5mmから 15mmまで変化
させた.このときの測定箇所の違いによる C
0
2ガス濃度及び H20ガスの温度計
測を行った.
5
.2
. 5 実験結果及び考察
まず,フラットフレームパーナの当量比を変化させたときの計測温度を評価
1
0
0
する.図 5
3 は数値計算による断熱火炎温度と本システムの温度計測の結果で
ある.本システムの温度計測では,当量比 0
.
8では 1
2
7
0
.
6K (RMS値:35.9K)
であった.以下1.0では 1
3
6
4
.
2K (RMS値:4
0
.
2K),1
.2では 1
3
6
8
.
0K (RMS
値:3
9
.
1K)であった.一方,数値計算による温度結果は,それぞれ当量比 0
.
8:
1995K,1
.
0
:2196K,1
.
2
:2123K であった.数値計算の値は,計測システム
実験値に比べてずいぶんと高くなっている.本研究で用いたフラットフレーム
パーナは,多孔金属が 60mm径と大きく,この上で火炎を安定させている.こ
の多孔金属による熱損失は大きい.一方,数値計算の値は放射などによる熱損
失を考慮に入れていない.この部分で生じる熱損失の差は大きく,このことが
特に大きな原因と考えられる.
熱電対による計測値及び補正値と計測システム実験値を図 5
・
4 に示す.熱電
対の計測は,計測システムの光路長に沿って行っており,そのときの温度分布
図は図 5・5である.特にフラットフレーム上での温度分布はなく,多孔金属に
開いている穴の影響はなかった.これは多孔金属の穴径が 20μm と小さく,ま
たこの穴は一様に分布しているためと思われる.フラットフレームパーナの両
端の温度勾配は,窒素ガスによる周囲空気の遮断のために温度急降下となった
ものである.熱電対の計測値は,当量比 0
.
8:1
4
2
7
.
9K,1
.0:1
5
5
4
.
8K,1
.2:
1
4
9
3
.
7K となった.また補正値は,当量比 0
.
8
:1
5
1
3
.
7K,1
.0
:1
6
7
5
.
6K,1
.2:
t
a
r
u
o
r
d
1
5
9
6
.
6K となった.熱電対温度計測結果との差異について考察する. S
グループの結果的によっても,熱電対計測値の方が半導体レーザ計測値に比べて
約 150K大きく,変動値は +50K程度であった.本計測システムでは熱電対の
計測値より(当量比 0
.
8の場合 1
5
7
.
3K,1
.0:1
9
0
.
6K,1
.2:1
2
5
.
7K) 低く計
測されている.一方, RMS値は +40K 程度であった.ここで当量比が大きく
なるにつれて,温度が高くなる傾向は実測できている.これは理論的には,当
量比 1で最大になるが,フラットフレームパーナの場合,窒素ガスが周囲空気
を完全に遮断しきれず,過剰な周囲空気の影響がしていると考えられる.その
・
6 は時系列
ために当量比 1を超えたところが温度最大になると考察した.図 5
データと PDF (確率密度関数)グラフである.各当量比では,ぱらつきの変化
が,さほど見られないのがわかる.
s
これらの計測システムの温度計測結果より吸収強度である .
t
のを求め,これ
より C02ガス濃度を求めた.図 5
・
7は各当量比での C02ガス濃度である.当量
比0
.
8では 1
6
.
5
7%で RMS値は1.2%で、あった.以下1.0では 1
8
.
9
3% (RMS
値:1
.20%
)
, 1
.
2では 14.64% (RMS値:0
.
9
3%)であった. C02ガス濃度に
ついては絶対的評価は難しいが,理論計算において当量比 1で約 15%となるた
1
0
1
め,計測システムとは 4%
程度の差異がある.これは誤差にして 20%である.
相対的には当量比1.0のときにほぼ最大になる. RMS値においては各当量比に
おいて 2%以下という結果が出た.
当量比を変化させたときの熱電対との差異について考察する.フラットフレ
ームパーナ上の光路長は 300mmであるが,計測部以外の光路長もほぼ 300mm
であり,この部分が低温及び室温部分を通過するものである.十分な光路を得
るためにミラーを使って往復させている. H20ガスによる温度計測においては
低温部分に感度がないために,理論上室温での光路は無視できる.しかしなが
ら,実際は信号ノイズ等の影響により微量でも感度があれば温度値として計測
されるために,それが誤差となりうる.
また C02ガス濃度についての誤差要因としては, C02ガスの吸収線 R
(
5
0
)は
室温においても高い吸収強度がある.したがって,室温を通過する部分の C02
ガスを吸収し,理論濃度より高い値となったと考えられる.
その他には第 4章で挙げた,計測システムの誤差要因である1)高温領域に
おける HITRANに記載されている吸収強度値 S(T)
の誤差, 2
)光ファイパーリ
ング干渉計のディップ読み取り精度の低下, 3
) 信号処理での直線吸収光と参照
光のベースラインマッチィングの精度などの吸収面積算出によるものなどがあ
る.
次に計測位置を変えた計測温度評価結果を図 5・8 に示す.本計測システムの
測定温度については火炎面からの距離 5m m:1
3
9
5
.
9K (RMS値:3
8
.
7K),
以下 1
0m m:1
3
6
4
.
2K (RMS値:3
7
.
0K),1
5m m:1
3
4
2
.
3K (RMS値:3
9
.
2
5
9
6
.
1K,以下 1
0m m:
1
5
5
4
.
8K,
K)であった.熱電対の計測値は距離 5mm:1
1
5m m:1
5
21
.2K,その補正値は距離 5m m:1
7
3
0
.
3K,以下 1
0m m:1
6
7
5
.
6
K,1
5m m:1
6
31
.8Kであった.また前述と同様に計測システムの温度結果よ
り C02ガス濃度を求めた(図 5
9
)
. 火炎面からの距離 5m m:2
0
.
8
3% (RMS
値:1
.02%),以下 1
0m m:1
8
.
9
3% (RMS値:1
.20%
)
, 1
5m m:1
8
.
1
1% (RMS
値:1
.
0
4%)であった.ここで,この結果について考察する.火炎面から離れ
るにつれて, C02ガス濃度, H20ガス温度が共に下降している.これは次の原
因が考えられる.燃焼排ガスは火炎面近傍では N2ガスにより外部と遮断され
ているが,火炎面から離れるにつれて周囲空気に拡散される.そのために C02
ガス濃度は希釈され,排ガス温度は低下する.また下流部にいくほど計測部が
不均一になり,正確な光路長の設定が難しくなる事が考えられる.一方,火炎
近傍ではビームのゆらぎ(ピ}ムステアリング効果:図 5
・
1
0
) による原因が大
きく,火炎近傍より離れると同様に光路上の不均ーから起こる吸収面積のばら
つきが挙げられる.その他の誤差要因としては前術のように吸収面積算出誤差
1
0
2
が考えられる.
1は時系列データと PDFグラフである.この図からは特に計測簡所に
図 5・1
おけるぱらつきの変化はさほど見られなかった.
5. 3 乱流予混合火炎計測
5. 3. 1 20kHz評 価 実 験 装 置 及 び 条 件
前節までは 10kHzの高時間分解能計測を行ってきた.本節では乱流予混合火
炎の温度計測を計測システムの最大時間分解能 20kHzにて行うものである.
まず,はじめに前章と同様に高温ガスセルを用いて C02ガスの温度計測を行
った.温度計測には R
(
5
ω1
R
(
3
0
)の比を用い, 296K,700K,1
0
0
0K と変化さ
せた.次に C02ガスを高温ガスセルから全て抜き取り, H20ガスを充填した.
図 5・1
2は,高温ガスセルに H20ガスを封入した実験装置である.図中にある
ヒーターで水を沸騰させて,予め設定温度に加熱しである高温ガスセルに送る.
そのため低温では結露し H20ガス温度の計測は出来ない.このとき, H20ガス
温度計測には 4
8
7
8
.
1
9
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m
"
lと 5
0
0
8
.
1
0
1c
m
"
lの吸収線組み合わせを用い, C02
ガス同様に 296K,700K,1
0
0
0K の計測を行った.
5.3.220kH
z評価実験結果及び考察
3に掃引速度 20kHzでの生信号を示す.このときの C02ガス濃度は
図 5・1
100%である.比較用に前章で計測した掃引速度 1
0
0Hz,1kHz,10kHzの生
000
,
0
0
0
/
s, 制 W
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d
s
/
sのもので,
波形を併記する.使用した AID変換器は 4,
一波形の分解能は 200点である.これは吸収線スペクトル解析をするのには十
分な点数である.これにより 20kHz時でもエタロン信号のディップ数は十分確
認でき,計測可能であると判断した.図 5・1
4,図 5・1
5,図 5・1
6に 296K
,700
K,1000K のそれぞれの温度計測時系列データと PDFグラフを示す.それぞれ
の計測結果は 296Kでは平均値:'
2
7
9
.
1K,RMS値:5.3K,700Kでは平均値:
6
9
7
.
1K,RMS値:2
5
.
0K,1000Kでは平均値:1
0
3
1
.
6K,RMS値:1
3
0
.
2K
であった.
一方, H20ガス温度の計測では, 7
00K以下での計測はできなかった.これ
は第 3章での吸収線選定時でも確認したように 4
8
7
8
.
1
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lと 5
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0
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の組み合わせでは 600K程度までは計測の精度がなく, 7
00K を越えた付近か
0
0K 以下でのデータが取得できなかったこと
ら精度が出はじめる.つまり, 7
は
, HITRAN値から選定された H20ガス温度計測の組み合わせが正しいことを
示していることになる.図 5・1
7に 1000Kでの温度計測結果を示す.このとき
の平均値:1
0
0
9
.
6K,RMS値 :18.5Kであった.
これらの実験結果より, 1
000Kでの C02ガス温度計測の RMS値は, H20ガ
1
0
3
ス温度の RMS値に比べて,約 7倍のばらつきを示した.このことは第 3章で示
した高温での H20ガス温度計測が, C02ガス温度計測に比べて有利であること
を示している.
5
.3
. 3 乱流予混合火炎の実験装置
図5
・1
8に実験装置概略図を示す.乱流予混合火炎には,内径.D=
20mmの円
管ノズルパーナを用いた.パーナ中心軸上の来燃混合気の平均流速は U=
3
.
1
8
m
.
/
s
,パーナ直径を代表長さとして求めたレイノルズ数は品戸9
345であった.
燃料には CH4ガス,酸化剤には乾燥空気を使用し,当量比は1.1で実験を行っ
9には計測箇所を示す.図 5・1
8にも示しているように火炎の中心軸
た.図 5・1
=7m mを 9パス横切っている.光路が通過す
上 X=56m m,中心からの距離 r
る火炎部の光路長はか270mmとした.また比較には高温耐熱用のIr-Rh熱電
対を用いた.素線径は 250μmで耐熱仕様は 2000Kまでである.本システムの
計測部分周辺を 1mm間隔のメッシュで計測を行った.
5. 3. 4 実験験結果及び考察
・
20は乱流予混合火炎における H20ガス温度計測の結果である.このと
図5
き,温度平均値は 1
3
51
.9K,RMS値は 36.7Kであった.図の通り H20ガス温
1のように表さ
度に小さな変動が確認できた.実際の計測時系列データは図 5・2
れ,変動が確認できなくなるおそれがあるために,便宜上,図中のスケールと
データ数は一致させていない.前節のフラットフレームパーナでは光路長は 3
00
m mであったが,全光路長の半分を占めるに過ぎず,また火炎自体も安定して
いた.この乱流予混合火炎では光路長は 270m mであるが,火炎計測部以外を
占める割合が多く,尚かっ光路は常に不安定である.そこでピームステアリン
グを回避すべく,光路長用の往復ミラーを大きくしてある.このことが誤差低
減につながると考えた.
また前章で説明したように本研究で選定した H20ガスの吸収線の組み合わせ
00K までの計測精度がないために,高温である燃焼ガス以外の低温領域
は
, 6
での補正の必要がない.表 5・1は計測システムの光路長に沿った温度計測結果
であり,熱電対計測温度平均値は 1
3
3
5
.
8K であり,補正後の温度平均値は
1
3
8
2
.
9Kであった.
ここでは,実験の熱電対に比較して,温度計測誤差はそれほど大きくなかっ
た.また,前節の層流予混合火炎の計測温度と比較して RMS値は,ほぼ同等で
あった.層流予混合火炎と乱流予混合火炎の RMS値にあまり差異がないために,
それを正確な温度計測システムと断定することは出来ない.しかしながら,高
1
0
4
時間分解能の時系列燃焼用センサーとして可能性があり,温度の変動成分計測
は可能であるということがわかった.次に,温度変動成分の周期性を調べるた
めに周波数 (FFT) 解析をした(図 5・2
1
).本実験での乱流予混合火炎において
は,時間分解能 20kHzでの温度計測に,特別なサイクル変動などは見られなか
った.
5. 4 結言
半導体レーザ、を使った計測システム装置を実際の火炎に応用し, C02ガス濃
度と H20ガス温度を計測した.層流予混合火炎ではフラットフレームパーナを
用い,燃料の当量比と計測箇所を変化させた.温度評価において数値計算によ
る断熱火炎温度と熱電対による計測温度を比較した.
(1)当量比を変えた場合の誤差要因
数値計算の値が本計測システムの計測値に比べて高いのは,数値計算が熱損
失等を無視しているために起因するところが大きいと考えた.一方,熱、電対と
の温度差は,信号ノイズの発生等によるものが考えられた.ここでは,計測部
以外の低温領域での光路長においては, H20ガスの影響はないと考えた.また,
C02ガス濃度が理論値より高くなるのは,計測部以外の光路に存在する周囲の
C02ガスの影響と思われる.
(
2
) 計測位置を変えた場合の誤差要因
計測部が火炎から離れるにしたがい,周囲空気が影響し,正確な光路長を同
定することが困難となる.またビームステアリングの影響がある.
(
3
) 共通する計測システム上の誤差要因
(
3・1
) 高温領域における HITRANに記載されている吸収強度値 S(TJ
の誤差
(
3・2
)光ファイパーリング干渉計のディップ読み取り精度の低下
(
3・3
) 信号処理での直線吸収光と参照光のベースラインマッチィング精度な
どの吸収面積算出によるもの
本章では,現時点において 20kHzの時間分解能計測は,半導体レーザガス吸
収システムにおける吸収面積掃引では最速とし,高温ガスセルで温度検定を行
った.高温において, C02ガス温度計測よりも H20ガス温度計測の方が,有利
であることを実験的に確認した.また H20ガス温度計測では, 700K以下近辺か
ら計測精度がないことも確かめた.ここでは,応用実験として 2
0kHzの時間
1
0
5
分解能で,乱流予混合火炎の時系列計測を行った.比較には熱電対を用いた.
計測結果としては,熱電対の温度とほぼ一致した.また RMS値においては,層
流予混合火炎に比べ,大きな相違は見られなかった.
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1 層流予混合火炎実験装置図
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2 フラットフレームバーナ光路
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4 当量比変化での熱電対値と実験値温度比較
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図5
5 フラットフレームパーナにおける熱電対温度分布図
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8 計測位置変化での熱電対値と計測値温度比較
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9 計測位置変化での CO2ガス濃度
図5
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0 ビームステアリング効果
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1
2 高温セルにおける H20ガス実験装置
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図5
1
4 高温セルにおける 20kHz
での CO2ガス温度評価 (296K
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1
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1000 0
10
20
30
40
50
P
D
F
(
%
)
Time(ms)
図5
1
5 高温セルにおける20kHzでの CO2ガス温度評価 (700K)
1500
│
・
.
1300
• ••
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•
700
500
o
200
400
600
800
1000 0
5
10
15
P
D
F
(
%
)
Time(ms)
図5
1
6 高温セルにおける 20kHzでの CO2ガス温度評価 (1000K)
1
1
4
H
e
a
t
e
dS
t
a
t
i
cC
e
l
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1
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1
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5
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)
1
0
2
0
PDF(%)
図5
1
7 高温セル 1
000Kにおける 20kHzでの H20ガス温度
mm
図5
-18 乱流予混合火炎実験装置図
1
1
5
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0
0
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5
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8
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3
0
図5
1
9 乱流予混合火炎計測箇所
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図5
2
02
0k
H
z
での乱流予混合火炎時系列データと P
DFグラフ
1
5
1
0
5
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100000
200000
300000
400000
S
a
m
p
l
i
n
gNumber
図5
2
1 20kHz時系列計測データ
1
5
0
0
I
I
!
1
0
0
0-
u
h
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500-
oT
1
0
0
0
2000
3000
4000
F
r
e
q
u
e
n
c
y(
H
z
)
図5
2
2 乱流予混合火炎温度変動での FF了解析
1
1
7
5000
表5
・1 乱流予混合火炎の計測場所における平均温度及び補正温度
p
o
s
l
t
i
o
n
(
m
m
)
T
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.
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6
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.
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.
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.
1
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.
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.
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.
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1
6
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.
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1
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5
.
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5
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.
7
5
2
1
4
3
1
.
0
1
4
9
0
.
8
1
1
8
第 6章 結 論
半導体レーザを用いたガス吸収分光分析法について研究してきた. m-v族
半導体である I
nG
aAs
PlInP構造の半導体レーザでは,もっとも長波長とされる
2.0μm帯の DFB型半導体レーザを使ったガス吸収分光分析システムを開発し,
高温ガスセルや火炎を使った高時間分解能計測を行った.以下,本研究につい
てまとめる.
第 2章では, L
a
m
b
e
r
t
-B
e
e
rの法則に基づく原理を詳しく解説し,ガス分子種
計測の際に必要な、吸収面積解析法やフォークト関数 2色法による温度計測
などを説明した.また本研究の許測上で起こりうる様々な問題点を取り上げた.
a
m
b
e
r
t-B
e
e
rの法則では,光路長にあるガス分子
(1)光路長の同定の問題:L
種の濃度が均一であれば,正確な計測が可能である.しかし一方では,濃度不
均一場では光路長内に濃度勾配が起こり,正確な計測は困難となる. (
2
) ガス分
子種の分圧計測の問題:ガス分子種の分圧でモル濃度を算出ある分圧計測であ
3
) フォーク
るために,計測中に全庄は変化すると問題が生じる.その他には (
4
) 高温領域における HITRANデータベース
ト関数のパラメータ入力の問題 (
値の信頼性などである.
第 3章では, 2.0μm帯における吸収線の中から C02ガスの濃度・温度計測に
おける吸収線の組み合わせを選定し,次の組み合わせが最適であることがわか
った.
•1
2
C
1
6
0
(
2
0
0
1
2
0
0
0
01)帯の R
(
5
0
)ブランチ:1996.89nm
6
•1
2
C1
0(20013・00001)帯の R
(
3
0
)ブランチ:2
0
5
0
.
9
7nm
このときの選定条件は
(1)温度測定範囲において吸収強度が強い
(
2
)他の
C02ガス吸収線から孤立していて干渉が少ない (3)H20ガスの吸収線による干
4
)温度計測に感度が良い組み合わせである (5)H20 ガス以外他
渉が少ない (
のガス分子種の吸収線による干渉が少ないこと等を満足することである.また
これらの吸収線の組み合わせは,従来研究で用いられてきた半導体レーザ
1
.5μm帯の吸収線よりも各温度において吸収線が高いことを示した.
1
1
9
一方,高温領域での温度計測には H20ガス吸収線の組み合わせの方がより有
利とし,次の吸収線の組み合わせを用いることにした.
•1
9
9
6nm帯 :5
0
0
8
.
1
0
1c
m
-1
・2050nm帯:4878.193cm-1
ここで選定した H20ガスの吸収線の組み合わせによる温度計測は,常温から
00K 以上の温度計測しか出来ない.これはレーザ
低温領域では感度がなく, 6
光源が計測部以外を通過する場合,例えば常温部分や燃焼近辺の低温部分を通
過するときに,その分の光路長補正が不要となり,誤差の低減につながる.
)HITRANに
また上記の吸収線は全て HITRANを参考にしているために, 1
収められてない気体との干渉の問題, 2
)HITRANの高温における信頼性などの
問題は残ると考えた.
これらの吸収線をカバーする室温発振の 2.0μm帯 DFB型半導体レーザを特
注し,その半導体レーザを備えたガス吸収分光システムの開発を行った.
その主な特徴としては
(1)転送系には全て光ファイパーを用いており,その信号強度比は計測部:参照
部:エタロン部 =8:1:1とした
(
2
)20kHzまでの高時間分解能計測可能
(
3
)波数カウント用のエタロン結晶の代わりに光ファイパーリング干渉系使用
(
4
)波長分離用にアライメントが不要な特殊光学フィルター使用
(
5
)4,
000,
0
0
0
/
8の転送速度を持つAfD変換器により高速でも十分なサンプリン
ω
(
グ数取得可能
計測解析には吸収面積法を用いる
これらをワンボックスにまとめ,オールインワン型システムとしてロバスト
な可搬可能タイプとした.
第 4章では, C02標準ガスを封入した高温ガスセルを用いて,本計測システ
ムの高時間分解能計測及び濃度・温度計測評価を行った.まず,半導体レーザ
0
0Hzから 1
0kHzまで変化させ, 1
0kHzまでの時間分解能計
の掃引速度を 1
96Kから 1000Kまでの温度計測を行い,
測を確認した.次に 2
1000K にお
いて低誤差での温度計測が出来た.また温度 700Kでは C02ガス濃度計測にお
いては,低濃度から高濃度まで良好な計測結果が得られた.しかしながら 700K
以上の高温度下での低濃度 C02ガス計測の問題は残った.ここでの高温ガスセ
1
2
0
ルを用いた計測結果においての誤差要因を下記にまとめる.
(1)高温ガスセルの温度設定の安定性における問題
(
2
)高温ガスセル中の温度不均一性
(
3
)高温領域における HITRANに記載されている吸収強度値 s
r
のの誤差
(
4
)光ファイパーリング干渉計のディップ読み取り精度の低下
(
5
)信号処理での直線吸収光と参照光のベースラインマッチィングの精度
この章では H
ITRAN値と実験値の誤差評価について,吸収線スペクトルを用
0
0
0Kにおいて 1
0%の温度差異が
いて比較評価した.これらの検討結果から 1
ITRAN値が誤りとは結言できないが,誤
みられた.これにより高温領域での H
差要因のーっとしては十分考えられることがわかった.
第 5章では,計測システムを実際の火炎に応用し, C02ガス濃度と H20ガ
ス温度を計測した.層流予混合火炎にはフラットフレームパーナを用い,燃料
の当量比と計測箇所を変化させた.温度評価において数値計算による断熱火炎
温度と熱電対による計測温度を比較した.
当量比を変えた場合の誤差要因
数値計算による値が本計測システムの計測値に比べて高いのは,数値計算が
熱損失等を無視しているために起因するところが大きいと考えた.熱電対との
温度差は,信号ノイズの発生によるものが考えられる.ここでは,計測部以外
の低温領域での光路長においては, H20ガスの影響はないと考えた.また C02
ガス濃度が理論値より高くなるのは,計測部以外の光路長に存在する周囲の
C02ガスの影響と思われる.
計測位置を変えた場合の誤差要因
計測部が火炎から離れるにしたがい,周囲空気が影響し正確な光路長を同定
することが困難となる.またビームステアリングの影響がある.これらの誤差
),
要因に加え,計測システム上におけるものとしては,上記の高温ガスセルの 3
4
),5
)と同様なものが考えられる.
この章では 2
0kHzの時間分解能にて,高温ガスセルを使った温度検定を行
った.高温において, C02ガス温度計測よりも H20ガス温度計測の方が有利で
あることを実験的に確認した.また H20ガス温度計測では 700K以下では計測
精度がないことも確かめた.
1
2
1
最後に 20kHzの時間分解能にて,乱流予混合火炎の時系列計測を行った.比
較には熱電対を用いた.計測結果として,熱電対の温度とほぼ一致した.また
RMS値においても層流予混合火炎に比べ大きな相違はみられなった.
以上は半導体レーザによるガス分子種分光分析の研究である.本研究での目
的は,本計測システムが燃焼制御用センサーになりうるかどうかである.その
0kHzの高時間分
ために開発した 2.0μm帯 DFB型半導体レーザシステムを 2
解能計測で実火炎に応用した.高時間分解能を有するセンサーとしての最も重
要な役割は,計測対象場の適切な情報をコントローラに高速で送ることである.
本計測では SN比を良くするために光路長は比較的長く設定しである.そのた
めに高時間分解能現象を解析するには,計測箇所を特定する必要があるが,こ
れは今後の課題である.現時点では,空間分解能の高い,短い光路長と高時間
分解能は相反し, トレードオフの関係にある.しかしながら,現在の半導体レ
ーザの開発速度を考えれば,近い将来このようなシステムが,燃焼制御用セン
サーとして具現化するものと考えている.
1
2
2
謝辞
本研究を遂行するにあたり,御懇篤なるご指導,ご鞭揺を賜り,さらに本論
文の執筆に際しても綿密なご校閲を頂いた,神戸大学
中島健教授に対して,
謹んで感謝の意を表します.
また,本論文をまとめるにあたり,ご校閲,ご指導賜りました,神戸大学
竹中信幸教授,神戸大学演口八朗教授に深く感謝致します.
本研究をはじめるきっかけを作っていただき,常日頃御懇篤なご指導を賜り,
さらに研究全般において多大なご指導を賜りました,神戸大学
池田裕二助教授に謹んで感謝の意を表します.
本研究を遂行するにあたり,共同研究等に惜しみない尽力を賜った,
産業技術総合研究所
大屋正明氏,竹内正雄氏,東京工業大学
宮内敏雄教授,唐橋護助教授,大阪大学
香月正司教授,
株式会社堀場製作所石田耕三氏,足立正之氏に衷心より感謝致します.
さらに
Korea I
n
s
t
i
t
u
t
eo
f Energy Research
鄭大憲氏,
航空宇宙技術研究所握敬民氏,宇宙開発事業団宮崎和宏氏には実験を
始め,さまざまな面でご協力いただき,心より感謝いたします.
そして,長期間にわたる徹夜作業,深夜実験を繰り返し,過酷な実験,デー
タ整理に惜しみない努力を傾注していただいた,神戸大学
岡啓一郎氏には
心より感謝致します.
本研究を遂行することを許していただきました,西華産業株式会社
服部弘社長,清水俊夫常務取締役,兵頭富雄取締役には深く感謝いたし
ます.
3年間にわたり,ここに記すことができないくらいの多くの方々にお世話に
なりました.誠にありがとうございます.
最後に,私を暖かく見守り続け,常に激励してくれた両親,そして妻亜紀,
長男悠貴にこの場をかりで感謝の意を表します.
平成 1
4年 2月 福 里 克 彦
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