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平成 24 年度大学院共通科目「国際研究プロジェクト」 公開報告書
平成 24 年度大学院共通科目「国際研究プロジェクト」 公開報告書 人間総合科学研究科 体育学専攻 博士前期課程 2 年 大林太朗 渡航先:国際オリンピックアカデミー(ギリシャ共和国) 期 間:平成 24 年 4 月 17 日~7 月 9 日(渡航期間含む) 1.プロジェクトの概要と参加目的 ギリシャ・アテネに本部をおく国際オリンピックアカデミー(IOA)は、これまで 50 年 以上にわたり、クーベルタンが提唱したオリンピック理念の普及やその研究に取り組んで きた。毎年、青少年や教育者、各国オリンピック研究者などを対象とした様々なセッショ ンの開催し、世界のオリンピック・ムーブメントに学術的な立場から貢献している。 IOA は 2010 年度より、ギリシャ・Peloponnese 大学と共催で修士課程の研究プログラム を創設した。これは世界各国から選出された約 30 名の大学院生が、オリンピアの研修施設 で行われる講義や試験を通して、研究論文作成に取り組むものである。私は幸運にも機会 を得て、①オリンピックに関する研究のために必要な知識を学ぶこと、②国際的な研究ネ ットワークを構築すること、③語学(英語、ギリシャ語)を上達させることを目的として 同プログラムに参加させていただいた。 2.実施内容と成果 ①オリンピックに関する研究のために必要な知識を学ぶこと 講義は各 2 週間×5 モジュールで構成されており、ギリシャに加え欧米から多くの講師が 担当された。以下に、各モジュールの概要と成果について示す。 各モジュール名と内容・成果 第 1 モジュール:「オリンピック教育学―オリンピック教育の実践―」 オリンピックの理念を(学校)教育に活用する方法について、理論的な枠組みをもとに した学校現場における実践法を学んだ。 第 2 モジュール:「オリンピックに関する研究方法論」 質的研究と量的研究の違い、またインタビュー調査や質問紙といった個別の研究方法の 基礎知識について、オリンピックの話題を用いながら体験的に学んだ。 第 3 モジュール:「オリンピック競技会の組織と運営」 2004 年のアテネ五輪の組織委員会国際部長から、当時の組織的な構造や多忙なエピソー ドを語っていただき、大会招致から運営までの流れを理解することができた。 第 4 モジュール:「オリンピックのスポンサーとマーケティング」 いまや世界の 80%以上の人々が認知する五輪マークのブランド力について学び、批判を うける過度な商業主義に関する議論を深めることができた。 第 5 モジュール:「メガスポーツイベントの戦略的計画」 大きなスポーツイベントを開催する際の計画の立て方について、SWOT 分析を用いなが らグループワークを中心にして実践的に学ぶことができた。 ②国際的な研究ネットワークを構築すること 参加者 28 名の内訳はヨーロッパ 12、アジア 9、 アフリカ 5、北アメリカ 2 であり、年齢層も 21~50 歳と幅広いものであった。講義はもちろん研修施設 での共同生活や休日の観光などを通じて、多様で国 際的な研究仲間のネットワークを作ることができた。 また、5 月に古代オリンピア遺跡で行われた聖火 リレーの採火式に参加した際には、オリンピックに 関わる様々な立場の方と交流を深めた。 ③語学(英語、ギリシャ語)を上達させること 講義や共同生活を通して、外国人との英語に よるコミュニケーション能力を向上させること ができた。またグループ討議後のプレゼンテー ションの機会にはほぼ毎回発表を担当し、英語 による発表のスキルを積極的に養うことができ たと感じる。 また定期的に開かれたギリシャ語のレッスン では、日常会話の基礎的な表現を学んだ。 3.まとめ 国際オリンピックアカデミーにおける本プログラムへの参加を通し、当初設定した目的 に関して一定の成果を得ることができた。研究に必要な知識や国際的な研究ネットワーク を構築し、講義や共同生活の中で「人種」や「宗教」といった国際的な問題を肌で感じる ことができたことも、今後のオリンピック研究にとって非常に貴重な経験であったと思う。 今後は国内で研究論文の作成に取り組み、2013 年度の修了を目指す予定である。 この度はこの大学院共通科目の海外渡航支援によって、ギリシャで大変貴重な経験を積 むことができた。ここに深く感謝の意を表すとともに、今後の研究生活においていっそう 努力を続けていく決意を示し、ご報告とさせていただく。