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SUSE® Linux Enterprise Server for SAP

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SUSE® Linux Enterprise Server for SAP
www.suse.com
テクニカルホワイトペーパー
エンタープライズ LINUX サーバ
*
SAP* ソリューション – SUSE Linux
Enterprise Server for SAP
Applications における高可用性
®
すべてのベストプラクティスは、 Hewlett-Packard と SUSE とともに、 次のハードウェアおよびソフトウェア
プロバイダと協力して開発したものです。
CC Computersysteme und
Kommunikationstechnik GmbH
SAP ソリューション – SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications における高可用性
目次 :
2 . . . . . . 概要
3 . . . . . . はじめに
6 . . . . . . ニーズに合った最適なベスト
プラクティスの選択
6 . . . . . . ベストプラクティスの詳細
15 . . . . . まとめ
16 . . . . . 謝辞
1
概要
SAP* Business Suite は、 大企業および中堅企
業向けの高度なアプリケーションプラットフォーム
です。 重要なビジネス環境の多くで、 SAP アプリ
ケーションの可用性を最大限に高めることが求め
られています。 最新の x86-64 ハードウェアプラッ
トフォームで動作する SUSE® Linux Enterprise
High Availability Extension は、この要求に応え
ます。
現在の SAP システムは重要なワークロードを実行
するため、 SAP サービスの最高水準の可用性に
対応する必要があります。 SAP は、 いくつかの
基本的な冗長メカニズムを購入時点ですでに備え
ています。しかし、 完全な高可用性については、
SAP はサードパーティの高可用性クラスタソリュー
ションに依存しています。これは、 障害が発生し
て SAP サービスの中断原因となる可能性のある
SAP ソリューションスタックのすべてのコンポー
ネントをカバーするように設計されています。保護
されるコンポーネントには、 SAP NetWeaver* ソ
フトウェア、SAP データベース、ネットワーク、サー
バハードウェア、 ベースのストレージシステムなど
があります。
多くの企業では、最大 99.999% の可用性を目
標にしています。これは、サービス停止を年間
5 分未満に抑えることになります。この目標を
達成するには、すべての SPOF (single point of
failure) が排除され、サービス停止時には信頼性
の高い引き継ぎ手順がスムーズかつ迅速に実行
される必要があります。
HP と SUSE は、 完全な冗長性を備えた高可用
性 SAP システムで重要な SAP ワークロードを実
行できるようにするハードウェア技術とソフトウェア
技術を提供しています。
HP では、HP* ProLiant* ブレードサーバや HP
EVA* ストレージアレイなど、エンタプライズクラ
スの SAP 認定ハードウェアを提供しています。ま
2
た、さまざまな管理技術、サーバ、ブレード、お
よびストレージシステムを組み合わせて、あらゆ
る規模の高可用性 SAP システムに対応する実証
済みのプラットフォームを構築しています。
SUSE で は、 SAP 推 奨 の Linux* OS で あ る
SUSE Linux Enterprise Server 11 を提供していま
す。これは、ほぼすべての SAP 製品に対応するこ
とが SAP によって完全に検証され認定されていま
す。 SUSE では、 High Availability Extension とと
もに完全なソフトウェアスタックを提供して、 SAP
システムの可用性を高めています。 サードパーティ
の高可用性クラスタソリューションは不要になりま
す。 SAP ワークロード専用に開発された SUSE
Linux Enterprise Server for SAP Applications に
は、 OS と、 必要な SAP リソースエージェントを
備えた高可用性拡張機能が搭載されています。ソ
フトウェアを追加する必要はありません。
こうしたハードウェア技術とソフトウェア技術に対応
するために、 クラスタアーキテクトは追加のリソー
スを必要としています。 高可用性 SAP システム
は非常に複雑になりやすく、 ストレージレプリケー
ションやネットワーク接続などの個々の要件に応じ
て 1 つの SAP クラスタにいくつものアーキテクチャ
候補が考えられます。 個々の要件をすべて満たす
クラスタの設計、 実装、 およびテストには、 広範
なリソースが必要です。
必要な計画、 実装、 およびテストを最小限に抑
えるために、HP、SUSE、およびその他数社のハー
ドウェアおよびソフトウェアパートナーは、 一般的
な SAP 高可用性シナリオを詳細な技術レベルで
説明した一連のベストプラクティスを作成しまし
た。 クラスタアーキテクトは、これらのベストプラ
クティスを実装ガイドとして使用し、 必要に応じて
組み合わせて、 それぞれの SAP 高可用性クラス
タをセットアップすることができます。
SAP ソリューション : SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications での高可用性
各ベストプラクティスは、 高 可 用 性クラスタと
SAP の各エキスパートの合同チームによって専門
的に設計、 計画、およびテストされています。 各
ベストプラクティスのドキュメントは、 それぞれ異な
る専用技術に重点を置いています。これらを組み
合わせると、 ほぼすべての高可用性要件をカバー
する強力なドキュメントコレクションになります。
このホワイトペーパーでは、 各ベストプラクティス
の概要を紹介します。 各シナリオの詳細について
は、 www.novell.com/saptechdocs でドキュメント
コレクションをご確認ください。
はじめに
Linux での SAP
SUSE と SAP は強力なパートナー関係を結んで
おり、 さまざまな技術やソリューションで協力し
合っています。 Linux OS 層以外にも、 SUSE と
SAP は緊密に連携して、SUSE のアイデンティティ
およびセキュリティ管 理ソリューションを SAP
NetWeaver プラットフォームおよびビジネスソフト
ウェアアプリケーションに統合しています。
SUSE は、 SAP 本社と SAP Linux Lab に複数の
専任担当エンジニアを置いて、 SUSE 製品および
サービスとの相互運用性を最大限に高めています。
SAP は、 Linux での SAP ソフトウェアをサポート
するために SAP Linux Lab を 1999 年に設立しま
した。 Linux Lab で は、 他 の SAP 部 門による
Linux プラットフォームでのソフトウェア開発を支援
し、 Linux 固有のサポート問題に対処し、Linux
エコシステム内のすべての SAP パートナーに情
報を提供しています。
Linux を使用すると、 維持管理総経費 (TCO) を
削減できます。 Linux はオープンソースなので、
Linux ディストリビュータに Linux のライセンス料
金を支払う必要がありません。 サポートとサービ
スの料金だけで済みます。Linux はさまざまなサー
バハードウェアでサポートされているため、 ベンダ
ロックインを排除できる可能性があります。 管理
に つ い て は、 SAP ユ ー ザ に は Linux も 商 用
UNIX* 系 OS もほとんど変わりません。 Linux は
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データセンターコンピューティングのあらゆる面で
広く受け入れられています。 Linux はオープンイン
タフェースと多様な対応アプリケーションによって、
既存の SAP 環境のスタンドアロン SAP ワークロー
ドと統合に必要なすべてのサービスを提供します。
SUSE Linux Enterprise Server for SAP
Applications
SUSE Linux Enterprise Server は、 SAP 推 奨 の
Linux プラットフォームです。 SAP が Linux に対応
し始めた早い時期から、SUSE は SAP にとってナン
バーワンの Linux プラットフォームでした。 SUSE
Linux Enterprise Server は、 SAP ソフトウェア開発
の参照プラットフォームになっています。 SAP は現
在、 SAP ワークロードを Linux で実行したいと考え
ている企業に SUSE Linux Enterprise Server を積
極的に推奨しています。 最近では、SAP は SUSE
Linux Enterprise Server を SAP Business All-inOne ソリューションの fast-start program 用の OS
に選びました。
SUSE Linux Enterprise Server for SAP
Applications は、 SAP ソフトウェアに適した Linux
プラットフォームを提供できるように最適化されて
います。
YaST® (SUSE Linux Enterprise Server のメイン
インストールおよび管理ツール ) は、 SAP ソフト
ウェアの実行に必要な前提条件をインストールす
る SAP ソフトウェアパターンを提供します。 また、
一部のシステムパラメータが SAP ワークロード用
に微調整されています。
サポートおよび認定
SUSE では、 SAP をご利用のお客様にプライオリ
テ ィ サ ポ ー ト サ ー ビ ス (www.novell.com/
docrep/2007/05/4611143_f_en.pdf) を 提 供 し
ています。 お客様は 1 つの窓口で OS からアプリ
ケーションまでさまざまなサポートを受けられま
す。 このサービスは、 SUSE Linux Enterprise
Server ま た は SUSE Linux Enterprise Server
for SAP Applications と組み合わせてご利用いた
だけます。
3
SAP と SUSE は、 SUSE Linux Enterprise
Server のサービスパックが常に各製品の認定に
適合するように協力しています。 実際に SAP は、
最新のサービスパックを常に使用するように推奨
しています。
SUSE では、プラットフォームおよび OS 製品 ( 改
訂版を含む ) に対して、 製品の一般リリース日か
ら最低 5 年間の一般サポートを提供しています。
一般サポートの終了後は、 最低 2 年間の拡張サ
ポートを提供しています。このため、 SAP をご利
用のお客様は製品を長く使用して維持管理総経
費を削減することができます。
SUSE Linux Enterprise High
Availability Extension
データは企業にとって最も貴重なアセットです。
それによってビジネスが動きます。 スケーラブル
で管理しやすく堅牢なストレージは、 IT 部門の最
優先事項です。 高可用性ストレージ、 アプリケー
ション、 およびサービスは、ビジネスの競争力に
欠かせません。 データが増え続けている場合で
も、ストレージ管理コストを削減し、管理しやすく、
必要に応じて拡張可能な高可用性ストレージ基盤
によるメリットを受けることができます。
SUSE Linux Enterprise Server 11 の 拡 張 機 能
である SUSE Linux Enterprise High Availability
Extension が、 これらのニーズを満 たします。
これには、 高可用性サービスおよびアプリケー
ションクラスタリング、ファイルシステム、 クラス
タファイルシステム、 Network Attached Storage
(NAS)、 ネットワークファイルシステム、 ボリュー
ムマネージャ、ストレージエリアネットワーク (SAN)
およびドライバと、 これらすべてのコンポーネン
トを連 動させる管 理 機 能 が 備 わって います。
SUSE Linux Enterprise High Availability
Extension 11 は、 SUSE の SUSE Linux
Enterprise Server for SAP Applications 製品に
付属しています。
商 用ソリューションとは 異 なり、 SUSE Linux
Enterprise High Availability Extension ではオー
プンソースのエンタプライズクラスのコンポーネン
トを統合することによってコストを抑えています。
4
この拡張機能の主要なコンポーネントには、 次の
ようなものがあります。
OpenAIS: マルチノードのフェールオーバーを
サポートする高可用性クラスタマネージャ
リソース (SAP インスタンスと SAP データベー
スを含む ) の可用性を監視するリソースエー
ジェント
Oracle* Cluster File System 2 (OCFS2):
スケーラビリティを提供する並列クラスタファイ
ルシステム
Cluster Logical Volume Manager (cLVM2):
従来のパーティションスキームよりも柔軟に大
容量ストレージデバイスの容量を割り当てる、
Linux カーネルの論理ボリュームマネージャ
分散された複製ブロックデバイス (DRBD8):
LAN 経由の高速なデータ再同期機能と、 複製
SAN セマンティックによって、 SAN を追加する
ことなく、 クラスタ対応のファイルシステムを使
用可能
高可用性 GUI とさまざまなコマンドラインツール
可用性は、フロントサイドのアプリケーションサー
ビスや別サイドの OS およびハードウェアリソース
とクラスタソフトウェアのインタラクションの結果で
す。 この基本概念を踏まえると、 OpenAIS など
のクラスタソフトウェアは、 独自に可用性を高める
ことができません。 サービス、リソースエージェン
ト、 メッセージング層、 ネットワーク、ファイルシ
ステム可用性などの多数のモジュールと、 データ
センターの高生産性サーバシステム用に設計およ
び構成された安定性の高い Linux カーネルが必要
となります。
SUSE Linux Enterprise High Availability
Extension には、 これらのオープンソース技術が
統合されており、従来は UNIX およびメインフレー
ムシステムでしか対応できなかった基幹業務の
ワークロードに対応できます。
SAP リソースエージェント
SAP インスタンスリソースエージェントは、 SAP
インスタンスのサービスを開始、 停止、 および監
視します。このリソースエージェントで監視するサー
ビスは、 disp+work、 msg_server、 enserver、
enrepserver、 jcontrol、 および jstart です。
SAP ソリューション : SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications での高可用性
SAP インスタンスリソースエージェントは、 次の
SAP インスタンスの管理に使用されます。
SAP WebAS ABAP リリース 6.20 ∼ 7.30
SAP WebAS Java* リ リ ー ス 6.40 ∼ 7.30
(6.40 については、 SAP Note 995116 も参
照してください )
SAP WebAS ABAP + Java Add-In リリース
6.20 ∼ 7.30 (Java はクラスタに監 視されま
せん )
SAP データベースリソースエージェントは、 SAP
システムのデータベースインスタンスを開始、 停
止、および監視します。 また、リレーショナルデー
タベース管理システム (RDBMS) と連携して、デー
タベースの関連ネットワークサービスを制御しま
す。Oracle リスナや MaxDB の xserver のように、
このリソースエージェントは標準の SAP インストー
ルで動作でき、 設定が必要なパラメータは少しし
かありません。リソースエージェントの監視操作
では、R3trans や jdbcconnect などの SAP ツー
ルを使用してデータベースの可用性をテストでき
ます。これによって、SAP システムからデータベー
スへの接続を確認できます。
SAP データベースリソースエージェントでサポート
される SAP インストールのデータベースは、 次の
とおりです。
Oracle 10gR2 および 11gR2
DB2 UDB for Windows* および UNIX 9.x
SAP-DB/MaxDB 7.7
リソースエージェントは、 SUSE Linux Enterprise
High Availability Extension の一部です。
HP のハードウェア
HP ProLiant システム
HP ProLiant は、 シンプルで管理性と柔軟性に
優れており、 SAP Business Suite 環境に最適な
システムです。 多様な SAP アプリケーションが、
ミドルウェアスタックを含む各種ビジネスソリュー
ションをカバーします。 HP ProLiant サーバには、
複雑になることのある IT インフラに対応するため
のインフラソリューションが業界一幅広く用意され
ています。 ProLiant サーバシリーズには、 ML、
DL、 および BL ブレードシリーズがあります。 企
業は、2、4、または 8 CPU のラックマウントマシン
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かスタンドアロンマシンを導入できます。DL シリー
ズは、 密度が最適化されて柔軟性と管理性に優
れており、 複数サーバの SAP 導入に適していま
す。 ML シリーズは、 最大限の内部ストレージ容
量が必要なスタンドアロンシステムに適していま
す。 HP BladeSystem インフラによって、 柔軟性
とスケーラビリティに優れた環境が実現し、 企業
は変化に対応しながら維持管理総経費を大幅に
削減することができます。 また、 HP はソフトウェ
アツールセットの ProLiant Essentials を提供して
います。 このツールでは、 サーバの機能を拡張
して、 動的リソース最適化、 自動インテリジェント
管理、 および安全な継続運用を可能にします。
HP BladeSystem* と 一 部 の ProLiant
Essentials モジュールによって、 SAP Adaptive
Computing の概念と SAP Business Suite 用の
HP の仮想インフラソリューションの両方をサポー
トするインフラが構築されます。
HP StorageWorks* 6400/8400 Enterprise
Virtual Array (EVA)
HP StorageWorks 6400/8400 Enterprise
Virtual Array (EVA) ファミリは、 エンタプライズク
ラスのストレージアレイシステムです。このシステ
ムは、 アレイ管理タスクを集約し自動化して、 よ
り少ないリソースでより多くのストレージ容量を管
理できるように設計されています。EVA ファミリは、
特にビジネスクリティカルな企業市場を対象とし
た、 スケーラビリティ、 可用性、 および信頼性に
優れた仮想アレイストレージソリューションです。
EVA 6400/8400 では、 従来設計のストレージと
比較して、 時間、 容量、 およびコストが削減さ
れます。 非常にシンプルな管理ソフトウェアスイー
トによってサポートされ、 ユーザは簡単にストレー
ジをプロビジョニングしたり最高レベルの生産
性 を達 成し たりで きます。 HP StorageWorks
6400/8400 Enterprise Virtual Array ファミリは、
ストレージ使用率とスケーラビリティの向上を切実
に求めているデータセンター向けに設計されてい
ます。 EVA は、 中堅企業および大企業における
アプリケーション固有のトランザクション I/O パ
フォーマンスの要求に応えます。 ユーザは容量を
簡単に拡張し、レプリケーションを瞬時に実行し、
ストレージを容 易に管 理することが できます。
EVA 製品を HP StorageWorks Command View
EVA ソフトウェアと併用することによって、 シンプ
ルな管理と最高のパフォーマンスを提供する包括
的なソリューションが実現します。
5
ニーズに合った最適なベストプラク
ティスの選択
ここからは、 一般的なシナリオをできるだけ多くカ
バーするために作成した一連のベストプラクティ
スを紹介します。 1 つのベストプラクティスですべ
ての企業のニーズに対応することはできません。
各ベストプラクティスでは、 特定のシナリオに焦
点を合わせています。 複数のベストプラクティスを
組み合わせることで、複雑な状況に対応できます。
実装するシナリオに応じて、 SUSE のベストプラ
クティスを 1 つまたは複数選択してください。 希
望のアーキテクチャとシステム管理指針に合った
ベストプラクティスを選択しやすいように、 各ベス
トプラクティスの概 要を説 明します。 これ は、
SUSE Linux Enterprise Server 11 で SUSE
Linux Enterprise High Availability Extension を
使用して SAP NetWeaver を実行するのに最適な
インフラの実装に役立ちます。
次のベストプラクティスは、 お客様、 パートナー、
および弊社のコンサルティングエキスパートが協
力して作成したものです。
2 つの SAP システムをアクティブ / アクティブ
構成にしたシンプルなスタックによる高可用性
エンキューレプリケーションによる高可用性、ア
クティブ / アクティブ構成
DRBD データレプリケーションによる高可用
性、アクティブ / アクティブ構成
6
HP CLXEVA を使用したストレージミラー
1 クラスタ内 の 高 可 用 性 NFS サーバおよび
SAP
高可用性専用 NFS サーバ
仮想環境 : Xen*、 KVM*、 および VMware*
のサポート
仮想環境 : クラスタインクラスタ設定
このホワイトペーパーで説明しているベストプラク
ティスは、 近々オンラインで公開される予定です。
公開先は、www.novell.com/saptechdocs です。
ベストプラクティスの詳細
2 つの SAP システムをアクティブ / アクティ
ブ構成にしたシンプルなスタックによる高可
用性
このベストプラクティスでは、1 つのリソースグルー
プ内で実行されている 1 つのクラスタノード上にあ
る SAP システム全体を定義します。 データベー
スとすべてのクラスタ制御インスタンスも含まれま
す。クラスタは、SAN デバイスなどの共有ストレー
ジデバイスを使用して、 データをすべてのクラス
タノードに配信します。 ただし、 クラスタが複雑
になるのを極力防ぐために、ファイルシステムは
一度に 1 つのクラスタノードによってマウントされ
ます。 このため、 サポートされる Linux 標準ファ
イルシステム (ext3、 reiserfs、 xfs など ) を自由
に選択できます。
SAP ソリューション : SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications での高可用性
クラスタノード 1
リソースフェールオーバー
アクティブ/アクティブ
SAP グループ 1
• データベース
• SAP インスタンス
www.suse.com
クラスタノード 2
SAP グループ 2
• データベース
• SAP インスタンス
共有ストレージ
図 1. 2 つの SAP システムをアクティブ / アクティブ構成にしたシンプルなスタックによる高可用性
このクラスタモデルには次の利点があります。
クラスタ設計の簡素化
SAP システムを追加して容易に拡張可能
クラスタで 1 つの SAP システムを実行してい
る場合は、 連鎖反応を回避
アーキテクチャ、 技術的な詳細情報、 およびこの
高可用性シナリオの実装方法については、 www.
novell.com/saptechdocs から『SAP on SUSE
Linux Enterprise̶Best Practices for
Running SAP NetWeaver on SUSE Linux
Enterprise Server with High Availability
(SUSE Linux Enterprise 上 の SAP̶SUSE
Linux Enterprise Server 上 で SAP
Netweaver を実行して高可用性を実現するため
のベストプラクティス )』 でシンプルなスタックに
エンキューレプリケーションによる高可用性、
アクティブ / アクティブ構成
ベストプラクティス「エンキューレプリケーションに
よる高可用性」 では、 両方のクラスタノードに負
荷を分散しながら SAP システム全体を実行しま
す。 SCS/ASCS インスタンスの SAP インスタン
スリソースエージェントのマスタ / スレーブメカニ
ズムにより、 エンキューレプリケーションサーバを
実行できます。このため、 中央のロッキングテー
ブ ル のレプリケーションが 可 能に なり、 SCS/
ASCS インスタンスの可用性が高まります。 クラ
スタのフェールオーバー時には、 複製されたロッ
キングテーブルを SCS/ASCS インスタンスが引
き継ぐことができます。このメカニズムによって、
SAP システムの可用性が高まります。
関するセクションを参照してください。
7
クラスタノード 1
リソースフェールオーバー
アクティブ/アクティブ
クラスタノード 2
ロックテーブルのレプリケーション
SAP グループ 1
• データベース
• SAP (A) SCS
共有ストレージ
SAP グループ 2
• データベース
• SAP エンキュー
レプリケーション
図 2. このベストプラクティスでは、 2 つのクラスタノード上で SAP システム全体をバランスよく実行する
このクラスタモデルには次の利点があります。
エンキューレプリケーションサーバを使用した
ロッキングテーブルレプリケーションで SAP シ
ステムの可用性を向上
両方のクラスタノードに負荷を分散 ( データベー
ス / インスタンス )
ワークロードを分散させる場合は、 データベー
スを別のクラスタで実行することも可能
このソリューションのアーキテクチャ、 技術的な
詳細情報、 およびこの高可用性シナリオの実装方
法については、 www.novell.com/saptechdocs か
ら『SAP on SUSE Linux Enterprise ̶Best
Practices for Running SAP NetWeaver on
SUSE Linux Enterprise Server with High
Availability (SUSE Linux Enterprise 上の SAP̶
SUSE Linux Enterprise Server 上 で SAP
Netweaver を実行して高可用性を実現するための
ベストプラクティス )』 でエンキューレプリケーション
による高可用性、アクティブ / アクティブ構成に関す
るセクションを参照してください。
DRBD データレプリケーションによる高可用
性、アクティブ / アクティブ構成
ベストプラクティス「DRBD データレプリケーション
による高可用性、アクティブ / アクティブ構成」 で
は、 離れた場所にある 2 つのデータセンターと、
データセンター間でのホストベースのストレージレ
8
プリケーションをサポートします。 主要なクラスタ
技術の 1 つは、 分散された複製ブロックデバイス
(DRBD) で す。 こ の 技 術 は、 SUSE Linux
Enterprise Server for SAP Applications 11 SP1
と SUSE Linux Enterprise High Availability
Extension 11 に搭載されています。 DRBD によ
り、 ネットワークを介してノード間でデータを透過
的にミラーリングできます。 DRBD は、ネットワー
クベースの RAID 1 であると解釈されることもあり
ます。
以下に示すこのベストプラクティスの構成の例
では、 4 つの SAP ノードがあり、 2 つのサイトに
分散されて、 各サイトに 2 つずつ配置されていま
す。 各 サ イト の ノード に よっ て、 OpenAIS/
Pacemaker 高可用性クラスタが形成されます。
このアーキテクチャでは、 両方のサイトでローカル
SAN をフルメッシュ型のファイバチャネル接続で
提供していることを前提としています。 この例で
は、 クラスタノードは異なる 2 つの共有ストレー
ジデバイスに分散された 2 つの SCSI 論理ユニッ
ト (LUN) に割り当てられます。各クラスタノードは、
両方の LUN に冗長なマルチパス接続でアクセス
でき、 Linux ソフトウェア RAID (MD) を使用して
ホストベースのミラーリングを行います。 サイト間
のレプリケ ーション で は、 DRBD デ バ イス が
RAID ミラーの最上位に配置されます。このため、
サイト間の非同期ストレージレプリケーションで
は、 SAN コネクティビティは必要ありません。 単
純な IP コネクティビティで十分です。
SAP ソリューション : SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications での高可用性
クラスタ 1
DRBD データ
レプリケーション
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クラスタ 2
アクティブ/アクティブ
クラスタリンク
クラスタリンク
DRBD マスタ
NFS システム
DRBD スレーブ
データセンター 1
データセンター 2
図 3. DRBD データレプリケーションによる高可用性、 アクティブ / アクティブ構成
このクラスタモデルには次の利点があります。
データセンターから別のデータセンターへの
データレプリケーション
広域クラスタのサポート
スタンドアロンまたはセカンドクラスタをリモート
サイト ( データセンター 2) として使用可能
ソリューションのシナリオを拡張してデータセン
ターで別の SAP システムを実行可能
このソリューションのアーキテクチャ、 技術的な詳
細情報、およびこの高可用性シナリオの実装方法
については www.novell.com/saptechdocs から
『 SAP on SUSE Linux Enterprise ̶ Best
Practices for Running SAP NetWeaver on
SUSE Linux Enterprise Server 11 with High
Availability ̶ Storage Mirror with DRBD
(SUSE Linux Enterprise 上 の SAP-SUSE
Linux Enterprise Server 11 上 で SAP
NetWeaver を実行して高可用性を実現するため
のベストプラクティス )』 で DRBD によるストレー
ジミラーに関するセクションを参照してください。
HP CLXEVA を使用したストレージミラー
この高可用性クラスタ設定では、 2 つの冗長スト
レージシステム (HP EVA または P9000/XP スト
レージシステム ) が必要です。 どちらのストレー
ジシステムも構成済みの冗長 SAN に接続する必
要があります。この SAN は、 1 つのクラスタノー
ドをマルチパス経由で 1 つのストレージシステム
に 冗 長 接 続 し ま す。 HP StorageWorks
Continuous Access は、 ハードウェアベースの
データレプリケーションを行うために使用します。
このアプリケーションは、 ほとんどの HP EVA お
よび P9000/XP ストレージシステムをサポートし
ます。 HP EVA Cluster Extension (CLX) ソフト
ウェアは、 データレプリケーション制御を高可用性
クラスタに統合するために使用します。 これは、
アプリケーションサービスの自動フェールオーバー
とリモートミラーストレージの読み取り / 書き込
みを有効にすることでシステムのダウンタイムを防
ぐ統合ソリューションです。 CLX は、 実際の状況
に合わせてリアルタイムで動作し、 迅速なサイト
回復による保護を提供します。 CLX では、フェー
ルオーバー時にサーバの再起動や LUN プレゼン
テーション / マッピングの変更が不要です。 この
ため、 ストレージ管理者が応答できない場合で
も、 CLX は完全なハンズフリーのフェールオー
バー / フェール バックの意 思 決 定を行います。
CLX 統合により、 ディスクペアの同期状態をアプ
リケーションレベルで監視して回復し、データレプ
リケーションタスクをホストから解放できるため、
動作を維持して投資を有効に活用するための効
率を獲得できます。 CLX ソリューションを実装す
ることで、 データの整合性を最高水準で維持し、
予定内 / 予定外にかかわらず、 ダウンタイムの脅
威から貴重な情報を保護します。 HP は、 実績の
ある戦略、 サービス、 技術を提供して、 脅威や
脆弱性を軽減します。
9
CLX 制御
クラスタリンク
許可
ブロック
データレプリケーション
データセンター 1
データセンター 1
図 4. この設定では、 冗長構成された SAN に接続された 2 つの冗長ストレージシステムが必要
HP StorageWorks CLX ソフトウェアは、 貴重な
情報をダウンタイムの脅威から保護し、 社内外の
イベントにかかわらず、 運用耐性を確保します。
CLX ソフトウェアにより耐障害性を獲得し、 有害
イベントの発生時でも情報のアクセス性と可用
性を維持できます。 CLX ソフトウェアは、 データ
センター間のローカルクラスタを都市圏の距離に
拡大することで、 障害、 エラー、 サイト障害によ
るアプリケーションダウンタイムに対する保護を提
供します。 CLX は、 有害イベントの発生から数
分 以 内 にリモートサイトの 重 要 なアプリケ ー
ションを再開し、 EVA 上の OS クラスタリングソフ
トウェアおよび HP StorageWorks Continuous
Access ソフトウェアと統合してサイト間のフェール
オーバーとフェールバックを自動化します。 この
デュアル統合によって、 クラスタサービスでサー
バクラスタとストレージのステータス確認が可能
になり、 適切なフェールオーバーとフェールバック
の判断を下すことができます。 このように、 CLX
ソフトウェアは目標復旧時点 (RPO) をゼロにし、
目標復旧時間 (RTO) を数分または数秒単位に短
縮できるように支援します。
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このクラスタモデルには次の利点があります。
データセンターから別のデータセンターへの
データレプリケーション
ストレージベースミラーリング
CLXEVA 機能による I/O フェンシング
このソリューションのアーキテクチャ、 技術的な詳
細情報、およびこの高可用性シナリオの実装方法
については、 www.novell.com/saptechdocs か
ら『SAP on SUSE Linux Enterprise ̶Best
Practices for Running SAP NetWeaver on
SUSE Linux Enterprise Server 11 with High
Availability ̶ Storage Mirror with HP CLX
EVA (SUSE Linux Enterprise 上の SAP-SUSE
Linux Enterprise Server 11 上 で SAP
NetWeaver を実行してい高可用性を実現するた
めのベストプラクティス )』 で HP CLX EVA によ
るストレージミラーに関するセクションを参照して
ください。
SAP ソリューション : SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications での高可用性
1 クラスタ内の高可用性 NFS サーバおよび
SAP
このベストプラクティスでは、 すべての SAP イン
スタンスが必要とするディレクトリを共有する SAP
と埋め込み型 NFS サーバによってクラスタを設定
する方法について説明します。 SAP プロファイル、
ソフトウェア、 伝送エリアを共有するために外部
NFS サーバは必要ありません。
www.suse.com
このクラスタ設定には、SAP システムと NFS サー
バ間のリソース依存関係が含まれます。 詳細なベ
ストプラクティスドキュメントでは、 NFS サーバと
クライアントを正しく構成し、 同じノード上で動作
する NFS サーバと NFS クライアント間で循環的
な依存関係が発生するのを防ぐ方法について説
明します。
ノード A
ローカルディスク
ノード B
ローカルディスク
NFS マウントポイント
切り替え前のマウント
ポイント
切り替え後のマウント
ポイント
のセットアップも同様に可能
図 5. この場合、 埋め込み型 NFS サーバはすべての SAP インスタンスで使用するディレクトリを共有
また、 SAP の期待値と推奨値を一致させるためにこの設定で使用する詳細なファイルシステムレイアウト
についても説明します。 図 5 は、 切り替え前と切り替え後のマウントポイントを示しています。 図を単純
にするために、ここでは 1 つのファイルシステムしか示していません。 柔軟な設計が可能で、 NFS サー
バによって複数の異なるファイルシステムを提供し、 SAP システムで使用するように設定できます。
詳細なベストプラクティスドキュメントでは、ノード障害後に他のクラスタノード上の SAP インスタンスを
再起動せずに NFS サーバリソースの切り替えを行う手順についても説明しています。
11
このクラスタモデルには次の利点があります。
2 つのクラスタノードでの負荷分散 ( データベー
ス / インスタンス )
埋め込み型 NFS サーバによる維持管理総経費
の削減
極めて柔軟な設計 : このベストプラクティスは、
エンキューレプリケーションなどの他のベストプ
ラクティスと組み合わせることが可能
このソリューションのアーキテクチャ、 技術的な詳
細情報、 およびこの高可用性ベストプラクティス
の 実 装 方 法 に つ い て は、 www.novell.com/
saptechdocs か ら『SAP on SUSE Linux
Enterprise̶Best Practices for Running SAP
NetWeaver on SUSE Linux Enterprise
Server 11 with High Availability̶NFS Server
and SAP in one Cluster (SUSE Linux
Enterprise 上 の SAP-SUSE Linux Enterprise
Server 11 上で SAP NetWeaver を実行して高
可用性を実現するためのベストプラクティス )』 で
1 クラスタ内の NFS サーバおよび SAP に関する
セクションを参照してください。
ノード 1
高可用性専用 NFS サーバ
ほとんどの高可用性 SAP インストールでは、 外
部の高可用性専用 NFS サーバが必要になりま
す。 専用の外部 NFS アプライアンスは非常に高
価で、 単一の SAP 環境のアーキテクチャには適
さない場合があります。 このため、 2 つの代替ソ
リューションを開発しました。 1 つ目は、NFS サー
バを SAP アプリケーションサーバと同じクラスタ
ノードに配置する、 NFS の再インポートコンセプト
で す。 しかし、 この ベ ストプラクティスは、 /
sapmnt など、アクセス率が低いファイルシステム
でのみ使用することを推奨します。このコンセプト
については、 1 つ前の 「1 クラスタ内の高可用性
NFS サーバおよび SAP」 セクションで説明してい
ます。
2 つ目 の 代 替 ソリューション は、 SUSE Linux
Enterprise Server 11 SP1 お よ び SUSE Linux
Enterprise High Availability Extension、 または
SUSE Linux Enterprise Server for SAP
Applications をベースとする高可用性 NFS サー
バを設定する方法です。 このソリューションは、
SAP 高可用性クラスタと完全に統合するため、
データベースデータファイルなど、 パフォーマンス
が重視されるファイルシステムでも使用できます。
DRBD データ
レプリケーション
ノード 2
アクティブ/アクティブ
DRBD マスタ
NFS サーバ
DRBD スレーブ
図 6. SUSE Linux Enterprise 製品をベースにした高可用性 NFS サーバを使用するベストプラクティス
12
SAP ソリューション : SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications での高可用性
詳細な説明と特長は次のとおりです。
HP ProLiant サーバおよびブレードをベースと
する 2 ノード高可用性 NFS サーバ
ローカルディスクまたは SAN ストレージをデー
タストレージとして使用可能
SUSE Linux Enterprise High Availability
Extension with Pacemaker をクラスタソフト
ウェアとして使用
NFS v3 および NFS v4 をサポート
分散された複製ブロックデバイス (DRBD) を
ベースとする 2 つのクラスタノード間での同期
データレプリケーション
このソリューションの主な利点は、 比較的低コスト
であることに加えて、 可用性や機能性を損なうこ
となく、非常に高い I/O スループットを達成できる
ことです。
このソリューションは、 DRBD を使用することで、
ローカルディスクやクラスタノードの SAN LUN 間
でデータを同期複製します。 DRBD はブロック
ベースのレプリケーションメカニズムで、 TCP/IP
ネットワークを使用してすばやく効率的にデータを
複製します。 DRBD は SUSE Linux Enterprise
High Availability Extension に 含 ま れ て お り、
SUSE で完全にサポートされています。
NFS サ ー バ ソ フ ト ウ ェ ア は、 SUSE Linux
Enterprise Server に同梱されています。 ノベル
では、 NFS v3 または NFS v4 経由でファイルシ
ステムをエクスポートし、 DRBD でミラーリングす
る Linux カーネル NFS サーバを使用しています。
このコンセプトは、 あらゆる状況下で安定性と信
頼性が実証されており、さまざまなお客様の多種
多様な SAP 環境で実際に使用されています。
このソリューションのアーキテクチャ、 技術的な詳
細情報、およびこの高可用性シナリオの実装方法
については、 www.novell.com/saptechdocs か
ら 『 SAP on SUSE Linux Enterprise ̶
Best Practices for Running SAP NetWeaver
on SUSE Linux Enterprise Server 11 with
High Availability̶Dedicated Highavailability NFS Server (SUSE Linux
Enterprise 上 の SAP-SUSE Linux Enterprise
www.suse.com
Server 11 上で SAP NetWeaver を実行して高
可用性を実現するためのベストプラクティス )』 の
高可用性専用 NFS サーバに関するセクションを参
照してください。
仮想環境 – Xen、 KVM、 VMware の
サポート
多くの SAP IT アーキテクトが、 SAP 環境コンセプ
トの一部として Xen、 KVM、 VMware などの仮
想化技術を使用するようになっています。 仮想
SAP システムは、 物理マシンのワークロードとし
て動作する SAP システムでは得られない多くの
利点を提供します。
ハードウェアリソースをより効率的に利用できる
複数の SAP システムと SAP データベースを
1 つのサーバ上で別の仮想マシンとして実行
できる
負荷分散メカニズムにより、 複数の物理サーバ
間で仮想ワークロードを分散できる
ライブマイグレーションにより、 ハードウェア保
守のための保守ウィンドウを保持できる
一方、 ハイパーバイザと仮想マシンは、 SAP シ
ステムの可用性を改善しません。 可用性を実際
に改善するには、 従来型の高可用性クラスタを仮
想マシン内で実行する必要があります。 外部高可
用性クラスタを使用して仮想マシンを制御してい
る場合でも、アプリケーション固有のリソースエー
ジェントとともに内部高可用性クラスタを使用する
ことを強くお勧めします。 クラスタマネージャがリ
ソースエージェントによってアプリケーションを制
御する場合のみ、 99.999% の可用性を達成でき
ます。 可用性に対する要求が低い場合は、 単純
な仮想マシンベースのフェールオーバーメカニズ
ムで十分です。 この場合、 フェールオーバーが
実施されるまでの中断時間とサービス停止を許容
できることが条件になります。
ノベルは、 複数の仮想化技術で動作する仮想マ
シンについて、 このホワイトペーパーで説明して
いるすべての SAP 高可用性クラスタのシナリオを
実装してテストしています。テスト対象には Xen、
KVM、 VMware などの仮想化技術も含まれます。
その結果、 説明しているすべてのソリューションを
仮想環境に適用できることを確認しました。
13
SAP 高可用性クラスタスタックは多くの異なる技術コンポーネントを搭載しているため、認定資格やスタッ
クをサポートする能力が非常に重要になります。 このため、 ノベルでは、 SUSE Linux Enterprise
Server for SAP Application OS や SUSE Linux Enterprise High Availability Extension クラスタスタッ
ク、 SAP ソフトウェア、 データベース、 仮想化技術などのすべてのコンポーネントのサポート状態を確認
しました。 次のサポートマトリックスはその概要です。
仮想マシン内の高可用性クラスタ (Pacemaker)
SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications
SUSE Linux Enterprise
Server 上の KVM
Xen
( 完全仮想化 )
Xen
( 並行仮想化 )
VMware
SAP NetWeaver
2011 年第 1 四半期に公式
SAP 認定取得予定
OK
OK
OK
MaxDB
2011 年第 1 四半期に公式
SAP 認定取得予定
OK
OK
OK
Oracle 社
未サポート
未サポート
未サポート
限定的
表 1. このソリューションは Xen、 VMware、 および KVM をサポート
ベストプラクティスドキュメントの 『SAP on SUSE
Linux Enterprise̶Best Practices for Running
SAP NetWeaver on SUSE Linux Enterprise
Server 11 with High Availability ̶ Virtual
Environments (SUSE Linux Enterprise 上 の
SAP-SUSE Linux Enterprise Server 11 上 で
SAP NetWeaver を実行して高可用性を実現する
ためのベストプラクティス )』 (www.novell.com/
saptechdocs) の仮想環境に関するセクションで、
通常の IT インフラにスムーズに統合できる Xen、
KVM、 VMware の構成例 ( および VMware の耐
障害性 ) について説明しています。 仮想環境に関
するドキュメントでは、仮想マシン、ストレージ、ネッ
トワーク設定、 仮想リソースの内部仮想マシン高
可用性クラスタへの統合など、 テスト設定につい
て詳しく説明しています。
仮想環境 – クラスタ内クラスタ設定
仮想マシン内で動作する HA クラスタは、 仮想マ
シンの外部で動作する高可用性クラスタと簡単に
結合できます。 通常、 内部クラスタは、 SAP や
SAP データベースなどのアプリケーションととも
に、 仮想 IP アドレスやファイルシステムなどの関
連するすべてのリソースを制御します。 外部クラ
14
スタは、 仮想マシン自体を制御し、 ハードウェア
障害が発生したときは負荷分散サービスや基本的
な可用性を提供します。
通常、 外部クラスタは、クリティカルな SAP シス
テムに求められる 99.999% の高可用性や 5 分未
満の年間ダウンタイムは提供しません。 また、 ア
プリケーションのステータスやヘルス状態も認識
せず、 仮想マシン内で動作しているその他のリ
ソースのステータスも検出しません。 ハードウェア
障害が発生したときは、 別のノードで仮想マシン
全体を起動する必要があり、 その速度はアプリ
ケーションフェールオーバーより遅くなります。
一方、 自動または手動ライブマイグレーションな
どの負荷分散によってクラスタ機能が拡張され、
全体的なスケーラビリティが改善される場合があ
ります。
ベストプラクティスドキュメントの 『仮想環境』 で
は、 外部で動作している高可用性クラスタを仮想
マシン内で動作している高可用性クラスタと結合
する方法について説明しています。このドキュメン
トでは、 アーキテクチャのコンセプトとともに、 使
用されている技術の概要も参照できます。
SAP ソリューション : SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications での高可用性
www.suse.com
仮想マシン上のクラスタノード
クラスタ B
ノード 1
クラスタ B
クラスタ C
ノード 2
ノード 1
クラスタ B クラスタ C
ノード 2
クラスタ C
ノード 3
クラスタ C
クラスタ A
物理システム上のクラスタハイパーバイザ
図 7. 外部の高可用性クラスタと仮想マシン内部で実行するクラスタを組み合わせることが可能
このクラスタモデルには次の利点があります。
仮想クラスタノードの戦略的な配置による負荷
分散
水平方向のスケーラビリティ
物理ハードウェアのアプリケーションレイヤの抽
象化
極めて柔軟な設計 - このベストプラクティスは、
DRBD やエンキューレプリケーションなどの他
のベストプラクティスと組み合わせることが可能
このソリューションのアーキテクチャ、 技術的な詳
細情報、およびこの高可用性シナリオの実装方法
については、 www.novell.com/saptechdocs か
ら『SAP on SUSE Linux Enterprise ̶Best
Practices for Running SAP NetWeaver on
SUSE Linux Enterprise Server 11 with High
Availability ̶ Virtual Environments (SUSE
Linux Enterprise 上 の SAP-SUSE Linux
Enterprise Server 11 上で SAP NetWeaver を
実行して高可用性を実現するためのベストプラク
ティス )』 の仮想環境に関するセクションを参照し
てください。
まとめ
HP と SUSE は、 高可用性 SAP ワークロードを
物理環境と仮想環境で確実に設定して実行する
ために必要なすべてのハードウェアおよびソフト
ウェアコンポーネントを提供しています。
HP は、 ProLiant サーバとブレードソリューション
によって、 あらゆるサイズの SAP ワークロードに
対応する強力なプラットフォームを提供していま
す。 HP EVA ストレージアレイは、 重要な SAP
ビジネスデータを安全に保管するための最適な
SAN バックエンドです。 HP EVA ストレージシス
テム用の CLX 拡張機能と組み合わせることで、
HP は、 SAN に保管されている SAP データの冗
長性と可用性を大幅に高めます。
SUSE は、 ミッションクリティカル なコンピュー
ティングに対応する非常に相互運用性の高いプ
ラットフォームの SUSE Linux Enterprise Server
for SAP Applications を提供しています。
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SUSE Linux Enterprise Server for SAP
Applications は、 データセンターの SAP に合わ
せ て 設 定 さ れ た SUSE Linux Enterprise High
Availability Extension などの機能やサービスを追
加することで、 SUSE Linux Enterprise Server を
強化します。 これらには、 SAP Business Suite
アプリケーションと SAP 認定データベースを高可
謝辞
すべてのベストプラクティスは、 HP と SUSE とと
もに、 次のハードウェアおよびソフトウェアパート
ナーと協力して開発したものです。
用性クラスタで稼動させるために必要なすべての
コンポーネントが同梱されています。 SUSE Linux
Enterprise Server 11 は、 ほぼすべての SAP 製
品で認定されています。
SUSE Linux Enterprise Server for SAP
Applications を包括的なベストプラクティスセット
とともに使用することで、 IT アーキテクトは強力な
ツールボックスを利用できます。このツールボック
スを使用することで、 固有のビジネスや IT インフ
ラ要件に合わせて設定された非常に複雑なカスタ
ム高可用性 SAP クラスタを設計して実装すること
が可能です。
SUSE と HP は、 複数のハードウェアパートナー、
ソフトウェアパートナー、およびお客様と協力して、
理論的な設定ではなく実環境の SAP シナリオを
反映したソリューションの開発を進めています。 収
録されているすべてのトピックは、 お客様の特定
の需要に基づいて慎重に選択されたものです。 開
発されたベストプラクティスは、 重要な SAP シス
テムを実行するデータセンターで一般的に使用さ
れているハードウェア上で計画、 実装、 テストさ
れています。
16
CC Computersysteme und
Kommunikationstechnik GmbH
お客様の需要に対応し、 お客様側で実証されたソ
リューションを開発するにあたり、 次のお客様と緊
密に協力して作業を進めました。
BASF IT Services
HP Hosting Services
ご協力いただいたパートナーやお客様に深く感謝い
たします。また、異なる 7 社から参加したチームメン
バーの多大な努力にも感謝いたします。ノベルは
優れたソリューションは優れたスタッフから生まれる
と信じています。
ご不明な点については、ソリューションプロバイダに問い合わせるか、以下のアドレス
までお問い合わせください : [email protected]
同様のホワイトペーパーはこちらからご覧いただけます :
www.novell.com/saptechdocs
www.suse.com
お近くのノベルソリューションプロバ
イダ、 またはノベルまでお問い合わ
せください。
ノベル株式会社
〒 162-0845
東京都新宿区市谷本村町 1-1
住友市ヶ谷ビル
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