...

NEWS LETTER第4号・・・ダウンロード

by user

on
Category: Documents
33

views

Report

Comments

Transcript

NEWS LETTER第4号・・・ダウンロード
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
MAY 19,2007
NEWSLETTER
The Golden“Swim”Week!
“The Higher the mountain,The Better the view”
5月2日夜9時に成田空港を出発し、翌
3日の午前3時過ぎにグアム空港へ到着。レ
オパレスリゾートのリムジンバスでコンド
ミニアムまで送っていただき、数時間の睡
眠(仮眠)のあと、最初の練習が開始され
た。練習回数は計5回ながらも、様々なス
ポーツの日本代表選手が利用してきた、最
新マシーンが完備されたウェイト場でのト
レーニングも織り交ぜながら、気分だけは
皆 トップアスリート になりきって練習し
ていた。当初、外出は最終日の午後だけの
vol.4
予定であったが、4日の練習時間を全体的
に前倒しに組んで午後練習を4時に終え、エ
キストラな自由時間もプレゼントした。男
子はバスに乗り込み、アウトレットモール
へと繰り出し、女子は施設内のゴルフクラ
ブにある温泉(スパサウナ)でリラックス
するなど、各々与えられた時間を有意義に
過ごしたようである。写真は最後の練習を
終えての1ショット。皆、はやく遊びに行
きたくて仕方ない様子。でも練習頑張った
から良い笑顔になれることを忘れずに!
Attention Please
グアムと菅平に分かれての強化
合宿が無事終了した。小さな病気や
怪我は若干発生したものの、大きく
計画が変更を余儀なくされる事態に
は至らず、経済的にも ゴールデ
ン だった今合宿も全員満足して終わ
れたと確信している。個人的には、
練習やショッピング、さらにはビーチ
でのくつろぎの時間よりも、「自分
たちで協力して作った料理の美味し
さ」が一番の想いでになったのでは
ないか?と推測する。練習が終わり
疲れてお腹もへってすぐにでも食べ
たい中、包丁やフライパンを片手
に、「ああでもない、こうでもな
い」と話し合いながら、時間をか
け、ようやくお皿に盛りつけること
ができた、あの達成感は日常では決
して味わうことができないものだと
思うし、そして実際に食べた瞬間
は、それが多少固かろうが、形がお
かしかろうが、幸福を感じたこ
とだろう。
菅平の中学生も少ない人
数ながら、相当気合いの入った
練習をこなしたと聞いている。
普段、辛口な岡部コーチが褒め
るのだから、皆自己の限
界にチャレンジできた
のだろう。部員全員、
有形無形の経験を活
かし、着実にス
テップアップし
ていこう!
お世話になったレオパレスリゾートの笠松博次さん(写真右)と吉川恵一さん(写真左)
非常に短い期間であったため、選手と交流をもつ時間がとれ
なかったことが心残りですが、彼ら二人の協力なく
してはこれほど円滑に合宿は実施できなかったは
ず。予算をおさえるための自炊やエキストラベッド
の活用、さらには巨大カート一杯の食料の買い出し
までお手伝いいただきました。笠松さんとは、初め
て私が参加した03年のインターナショナル合宿で
知り合い意気投合。自分でいうのもなんですが、他
のどのコーチよりも親密にお付き合いさせていただ
いています。レオパレスのスポーツ部門の顔として、Jリーガーや
プロ野球選手、プロゴルファー、ビーチバレーなど広くトップ選手
の合宿をコーディネートしていますが、水泳への関心が一番高いよ
うで、日本選手権を見にきてくれたりしてます。ち
なみに自身トップレベルのボディービルダーです。
吉川さんは、笠松さんをサポートとして1年半。最
高に息が合ったコンビですが、吉川さんの夢はまた
別にあります。実はダンスの日本チャンピオンの専
属トレーナーでもあるのです。最終的にはそちらの
方面をより専門的かつ広くやっていくようですが、
それを知っていて優しく見守る笠松さんも良い上司
ですよね。合宿に関わらず、場面場面で必ず裏方としてサポートし
てくださっている人がいることを選手は忘れないで欲しいです。
PAGE 1
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
MAY 19,2007
ゾンタック合宿を終えて 岡部晃逹
今回の合宿は、中学生のみで行う初めての合宿で ら泳ぐことの意義を説明し、必要であることを説
した。参加人数は、選手7名と私の8名。少人数で く中で、選手たちの表情がみるみる逞しく変化し
あり、しかも選手の男女構成は男子6名、女子1名 ていったのが印象的でした。もしかすると選手は
とあまりにもバランスの取れていない人数比。合 『この合宿はとんでもないものになるんじゃない
宿実施自体を考え直すこともありましたが、選手 か!?』とそれまで以上に、あきらめの境地に達
からの強い要望や、選手各々の成長を考えたとき したのかもしれませんが…。
『困難なことがあっても、このメンバーであれば 宿舎到着後、ゾンタックのオーナーに挨拶を
乗り切れる(乗り切ってくれる!)だろう』と、 し、部屋で荷物の整理を簡単に行い、すぐさま初
実施に踏み切りました。
泳ぎを実施。そんなこんなでめまぐるしく、合宿
出発は、2007年5月2日。授業終了後HRに出席 初日は過ぎていきました。
し、学校内で一度集合、その後あざみ野駅へと向 合宿二日目(5月3日)の朝はゆっくりと始動し
かいました。学校を出発する際、並木先生が見送 ました。朝は7時半起床、宿舎周辺を散策し、その
りに来てくれ『皆が強くなってきてくれれば、そ 後ランニング。夜に到着したため、どんなところ
れだけでうれしい。俺は桐蔭に残るけれど、がん に来ているのかわからなかった選手たちも菅平高
ばってこいよ!』と力強い励ましの言葉を受け出 原の全景を眺め、天気にも恵まれ気持ちのよい朝
発しました。
を迎えました。二日目は合宿地に適応することを
移動は順調で何事もなく上田駅に到着し、迎え 目的としており、三日目からのハードトレーニン
のバスに乗り込みました。選手の様子はという グに向けての準備日と位置付けていました。
と、期待と不安(練習への恐怖?)が入り混じっ
今合宿で幸運だったことのひとつに、早稲田大
た表情で、これから始まる合宿への覚悟を決めて 学水泳部の練習を見学させてもらう機会を得られ
いるといった感じだったでしょうか。程よい緊張 たことがあります。私が大学在学中にも監督を務
感を保ちながら合宿地へと到着しました。
めておられた奥野景介氏が来年の北京五輪を見据
この合宿での目標は、①普段は様々な制約(下 え、数名(世界競泳2007代表・崎本浩成選手含む5
校時間等)の上で行っているクラブ活動であるの 名)の選手を選抜し、合宿を行っていました。練
で、それらを気にせずに徹底的なトレーニングを 習内容は合宿最後の練習でハードであり、迫力あ
行い、自信をつけること。②準高地という環境 る泳ぎを目の当たりにしました。泳ぎ(テクニッ
で、自分に限界を設けず、果敢に挑戦する強い気 ク)ももちろん観察し、選手個々に見本となる大
持ちの育成。③共同生活という場で培われるチー 学生の泳ぎと自分たちの泳ぎの違いを解説し、そ
ム意識の確立と、人間的成長。④どんな状況にも れぞれに課題を説明&提示していきました。選手
対応し適応力を磨き、自分の限界を乗り越える。 にとっては、刺激的な時間であり、貴重な経験に
以上の4点を主だった目標として臨みました。
なったことを願うばかりです。そして、日本のトッ
早速、宿舎に向かうバスの中で選手たちにとっ プを狙っている大学生であっても、トレーニング
ては驚き(?)の発表をしました。それは、宿舎 に励む姿勢は自分たちと一緒であるということを
に到着後、初練習を行うことです。15歳以下の 肌で感じられたのではないでしょうか。
ジュニア世代である中学生は、アクティブに体を さ ら に 奥 野 氏 よ り 、 【 動 脈 血 酸 素 飽 和 度
動かすことによって、準高地の環境にすばやく適 (SpO2)】の測定器を貸していただき、選手の測
応することに有効であると考え、30分間という短 定を行うことが出来ました。SpO2は高地トレーニ
時間でも泳ぐことによって選手たちの緊張をほぐ ングの効果を示し、選手の体調管理の指標となる
すことも目的でした。選手たちの反応は一様に 数値でもあります。一度計測しただけですので、
『マジかよ!?』といったものでしたが、これか 詳細は分析できませんが、準高地の環境で選手の
PAGE 2
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
MAY 19,2007
身体に変化が起こっていることは明らかで、貴重 だまだ3年生に比べると幼さが残る2年生ですが、
なデータを採取することが出来ました。今後、な もっともっと逞しく成長していってほしいと願っ
んらかの機会に測定することがあれば、今回の数 ています。
値と比較してもおもしろいのではないでしょう
か。
今回の合宿は、繰り返しになりますがとても
ハードなものでした。怪我をしてしまった選手が1
三日目以降のトレーニングはハードなものにな 名出てしまい、合宿後にも体調を崩すものも数名
りました。朝6時から2時間の水中トレーニング。 でてしまいました。この原因のひとつに、私の至
12時から2回目の水中トレーニング。夕食前に陸上 らない点があったと反省しております。申し訳あ
トレーニングを約1時間行い、夕食後に3回目の水 りませんでした。
中トレーニングを実施。最後にはクタクタになり
しかし、これからがさらに大切だと思っていま
ながら、練習終了後はジャグジーでリラックス す。通常の授業(今年は7時間目が週に2回もあり
し、フルーツ(差し入れでいただいたスイカや、 ます)に考査、その他学校行事が多数あり、水泳
必死にトレーニングに励む姿を見て感激された宿 だけに集中できる機会はあまりないかもしれませ
舎のコックの方からいただいたオレンジなど)を ん。が、プールでは出来るだけ有意義な時間を過
食べ、翌日のトレーニングに備えるという日々を ごしてもらいたい。今回の合宿を乗り切ったこと
送りました。
を自信にしてほしい。そして、昨年とは異なり、
合宿を通して、選手は各々成長していきまし 少人数で夏の大会に臨まなければならなくなると
た。顕著な変化があったのは中学キャプテン・大 思いますが、自分たちの力を精一杯出し切れば、
矢峻平です。今までは年上の代がうまくまとめて それでいいと思っています。そのために今は君た
いたものを、今回の合宿では自分の代がその役割 ちの可能性を広げたい。そして自分たちで出来る
を担う番です。トレーニングの際の積極的な姿勢 ことを精一杯やってほしい。結果を恐れず、常に自
は今までにもありましたが、それ以外の点で昨年 分たちの可能性に挑戦していくチームであってほ
までとは見違える姿を見せていました。食事の用 しい!!そう願っています。
意や片付けの際の指示、移動時の人数確認&把
最後に、この合宿を開催するにあたりご協力を
握、その他下級生への注意や指導。キャプテン いただいた畑中先生や小笠原先生、そして保護者
シーを言葉と行動で示していました。同じく中学3 の皆様や宿舎の方々に感謝の意を表したいと思っ
年の下条慎之介、海平俊太郎の両名も、各々の役 ております。本当にありがとうございました。こ
割をしっかりと果たしていたように思います。下 の成果は夏の選手たちの結果や、笑顔で返したい
条はするどい観察力で大矢を助け、海平は持ち前 と思っています。今後とも、ご理解ご協力をよろ
の明るさを発揮しチームに笑いを提供していまし しくお願い申し上げます。
た。
中学2年の秋本啄朗・五十川陸斗・天神翼は、く みんな、やってやろうぜ!!
じけそうなとき(特に食事時。今回はたくさん食
べさせました。今が身体を作る重要な時期であ
り、食べることもトレーニングの一環としてとら
えていました)に上級生から叱咤激励を受け、必
死に食べ物を口に運んでいた姿は頼もしかったで
す。また、女子で唯一の参加の蜂須賀ナナは、一
人で心細かったでしょうが、練習には誰よりも早
く姿を見せ、食事の用意なども率先して行うなど
誰よりも行動が素早かったのが印象的でした。ま
PAGE 3
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
MAY 19,2007
KEEP SMILING !
【動脈血酸素飽和度(SpO2)】 by PULSOX-3Si
Date :2007/5/3 AM10:45
SpO2 (%)
心拍数
大矢峻平
96
75
下条慎之介
97
85
海平俊太郎
97
84
秋本啄朗
96
75
五十川陸斗
97
83
天神翼
97
85
蜂須賀ナナ
95
95
"※注1 動脈血酸素飽和度(SpO2)・・・動脈血中
のヘモグロビンのうち、酸素と結びついているものの
割合を表す。健常人の場合、平地では97∼98%である
が、標高3000mではおよそ90%以下まで低下する。高
地に馴化するにつれ、徐々に上昇する傾向がある。今
回は準高地の1300mであったが、平均値より低い数値
が計測され高地での効果をデータで示していた。
PAGE 4
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
TOIN SWIMMING
SONNTAG Camp
JHS_ST
MAY 19,2007
07/5/5/Sat [PM]
SCM
Week
34
DESCRIPTION
Egy
Dist
Time
3rd25dob
A1
400
15
W-up
400
×
1
S
50
×
6
×
2
45"
25fly,fr / 25bk,fr / 25br,fr *2rounds
EN1
600
9
50
×
6
×
2
40"
5m-line No-breathe
EN2
600
8
K
800
×
1
locomotive
EN1
800
15
P
100
×
1
×
4
1'40"
rolling lung-buster
EN1
400
7
100
×
1
×
4
1'30"
spiral lung-buster
EN1
400
6
Ez
100
×
1
A1
100
4
DR
25
×
3
×
4
40"
drill&technique
A1
300
14
25
×
1
×
4
40"
good-finish
SP1
100
25
×
1
×
4
40"
12.5m=sprint
SP1
100
S
100
×
12
×
1
2'
S1 4H/1E/3H/1E/2H/1E
EN3
1200
24
S
100
×
1
Dive S1
SP3
100
4
Dw
500
×
1
SK/100
A1
500
10
total
5600
116
Work-out
S 100*12*1 2' S1 4H/E/3H/E/2H/E
Player
TSUBASA
RIKUTO
NANA
OYA
Style
Fly
Fly
FS
Br
1
1:09.2
1:16.8
1:05.8
1:19.1
2
1:09.6
1:18.3
1:06.3
1:19.4
3
1:11.1
1:18.6
1:06.3
1:17.5
4
1:11.4
1:19.6
1:07.0
1:17.7
HR
-
29
-
29
6
1:09.9
1:19.4
1:07.8
1:18.2
7
1:10.7
1:19.7
1:07.9
1:18.8
8
1:10.5
1:19.4
1:07.2
1:18.4
HR
28
29
29
29
10
1:09.1
1:20.7
1:07.9
1:18.2
11
1:09.8
1:20.3
1:07.8
1:18.4
HR
28
30
28
29
Ave.
1:10.1
1:19.2
1:07.1
1:18.4
100Dive
0:13.86
0:15.42
0:15.43
0:16.77
HR
S 100* 1*1
S1 Dive Maximum-Effort-
0:30.84
0:16.98
0:33.95
0:18.53
0:32.55
0:17.12
0:35.48
0:18.71
0:48.08
0:17.24
0:53.09
0:19.14
0:50.00
0:17.45
0:54.18
0:18.70
1:05.87
0:17.79
1:12.45
0:19.36
1:06.25
0:16.25
1:12.74
0:18.56
33/26/21
27/23/20
29/27/24
28/28/21
PAGE 5
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
MAY 19,2007
「毎日少しずつ。それがなかなかできねえんだなあ。」相田みつを(書家・詩人)
SAMPLE Workout
2007/5/4 pm LCM(GUAM LEOPALACE RESORT)
W-up 600(3rd25dolphin on bk/kick/minimum-breathe200) A1
Mix 50x24t@55” 12t-action1(pull)/12t-S1 EHset(swim) EN1’
Swim 25x4t start-dash SP3
Kick 400x1t 50E/25H EN1’
Drill 50x12t@60” technique A1
Ez 100 A1
Main Swim 100x15t@6’ S1 Dive Effort SP1-Sp2
Recovery 2000 between rounds&after A1
Total 6500m
TAKAHIRO(FR1’01”5)/AYAKO(FR1’05”9)/TAIGA(BR1’15”0)/HARUKA(1’22”4)RINO(FLY1’11”3)/
KANA(FR1’06”1)/KASUMI(FR1’03”3)/ERIKA(FR1’07”8)/SHUN(FR1’01”7)/TAKUYA(FR1’03”3)/
SHOUICHI(FR1’05”4)/YU-KI(FR1’00”3)/AKIHIRO(FR1’01”2)/GENKI(BR1’17”3)/RUI(FR1’07”2)/
CHIHO(BR1’25”9)/AYA(FS1’10”7)/MARIYA(FR1’15”8)/MIYU(BK1’19”0)/YUMI(BK1’22”8)/
MICHIYO(FR1’16”1)/MASANORI(FR27”44)/NAOYUKI(FR26”76)
*MISA&MARIE(no-training for sickness)
PAGE 6
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
MAY 19,2007
HAPPY MEMORIES
PAGE 7
TOIN SWIMMING “HURRICANES”
編集後記
初のGWグアム合宿。移動時間を考える
と、腰を据えての強化が難しいことから、
強化を全面に出しての「トレーニングキャ
ンプ」というより、楽しさと安全を普段よ
り優先し、「チームワークの結成キャン
プ」といった要素を強めてプランニングを
し実施する運びとなりました。その中
で、 楽しく! は間違いなく合格ラインを
クリアできたと思いますが、 安全に! を
採点するのは自分自身では難しい判断に
なっています。こんなこと書きますと、何
か危機一髪な出来事が合宿中にあったの
か?とのご心配をおかけするかもしれませ
んが、特には何もありません。それどころ
か、私も選手たちも「安全第一」に行動で
きたと思います。しかしながら改めて安全
管理の大切さと難しさを教えられた事件が
脳裏から離れません。それは昨年の日本選
手権前に、出場権を得た選手を連れたグア
ム合宿のある朝、同じく合宿に来ていたク
ラブのコーチから、「昆明(中国)で高地
合宿中の○○が死んだらしい…」といわれ
た時の事です。亡くなった選手は日本選手
権で過去に表彰台にも上ったこともあり、
また試合会場では挨拶もしてくれる間柄で
あっただけにショックでした。その後、
様々な風評がありましたが、結局死因は明
らかにされす、過ぎていく時間が、少しづ
つ彼の事を忘れさせていきました。しか
し、今グアム合宿出発の約1週間前に発刊
された雑誌「アエラ」の記事は、1年前の
不幸を記憶に蘇らすに十分な内容でした。
指導にあたっていたコーチを知ってはいる
ものの、とても深いところまで聞けるわけ
もなく、ただ「練習中に実施した潜水が原
因であった」ということだけは間違いない
ようだとの認識はもっていました。誤解を
招いてもいけないので、深くは述べられま
せんが、「アエラ」の記事で、 高地では初
期の段階では体を順応させるため徐々に強
度を上げていくのが鉄則 とか 同じ時期に
合宿にきていた他大学は、酸素飽和度を計
る機械で毎日体調をチェックしていた 等、
指導方針の不手際が並べられています。勿
論、将来ある若者を練習中に死なせてし
まった責任は重いし、「解剖をしなかっ
た」という判断間違い(これにより指導者
が練習方法に関して教訓にする正確な情報
を得る機会を失った)は責められるべきで
あると思います。ただ、練習法に鉄則はな
く、いつの時代も「非常識を常識」にやっ
てきた人間が一歩先の結果を残すわけでも
あるのです。「徐々に負荷を上げる」は恐
らく9割のチームがやる手法です。ただ、
世界選手権でベストを更新した柴田亜衣選
手の田中先生は高地トレーニングの何たる
かを知った上で、「今回は最初から朝
9000mの夜9000mとかやったからね。お
かげで体も絞れたし、それが好結果の要因
かな」と話していましたし、北島選手の平
井コーチも「初めて高地に行ったときは余
り知識なくて平地と同じようにガンガン
やってたよ。今は少しセオリーに則ってき
てるけど、また昔みたいに戻してみること
も必要だと思ってるんだよね…」とアテネ
前の合宿で話していました。私がよく合宿
に行った豪州のマイアミSCでは世界王者の
ハケット選手をはじめ多くの選手が頻繁に
潜水をやっていましたし、それをみて桐蔭
でも一時期集中して潜水を取り入れ、さら
にその話を私から聞いた、中西悠子選手の
太田コーチが早速チームで取り入れたりも
していました。今回は偶然にも菅平に来て
いた早大水泳部監督の奥野氏のご好意で岡
部が興味半分でパルスオキシメーターをお
借りして酸素飽和度を計ることができまし
たが、現在、簡易性の安いのが開発された
とはいえ1つ10万円します。私も過去にこ
の機械を業者から借りて日本選手権出場者
等に限定して測定したこともありました
が、例え一つあったとして、30人もの合宿
では有効的に使う事が難しかったりします
し、99.9%のチームはそんな科学的なもの
が無い中、練習に取り組んでいるのが現実
です。今回のグアム合宿は、「削れるもの
は削った合宿」でした。しかし、安全には
換えられません。事故防止のためには、パ
ルスオキシメーターを購入したり、血中乳
酸濃度をより頻繁に測定することもこれか
らの時代は必要になってくるのかもしれま
せん。その一環として練習前・中・後の栄
養摂取はかなりご家庭のご協力を得て、選
手の意識も高まり。サプリメント等で補っ
ているシーンが見られます。メールでカー
ボショッツを購入したり、プロテインの相
談をしに連絡をくださる父母の方々もい
らっしゃって、こうしたニュースレターが
作成前よりも、現場とご家庭の橋渡し役に
なっていることを編集者として嬉しくも思
います。高価な測定器は別として、成長期
の子供にとって、ましてや運動部に在籍し
ていれば、栄養だけは人一倍摂取しなけれ
ばいけないことは全員が共感できることで
しょうし、これも立派な安全対策というこ
とができます。
「アエラ」で再燃している不幸に対し、私
が敏感に反応し過ぎていると考えられる方
もあるかもしれません。しかし、不慮の事
故は高地でだけ起きるわけではありませ
ん。1300mの準高所で中学生の指導にあ
たった岡部には「潜水だけはするな!」と
出発前に念をおしました。短期間かつ準高
所のため、「高い所にいることをあえて意
MAY 19,2007
識させないのがコツ」として普通に猛練習
をして、天野美沙と佐々木傑の2人のイン
ターハイ王者が生まれた頃とは全く違うア
ドバイスをしている自分がいることに私自
身驚いていますが、それだけ生徒の安全に
対する認識を新たにしていっていますし、
その中で「普通にやってたんじゃ、人に勝つな
んてできない」というこだわりも当然あります。
父母の皆様それぞれの考えもあるでしょうし、
1つにまとめるのは難しいと思います。しか
し、「起きてからは遅い事態」に備え何かの機
会に助言等をいただけたら幸いですし、選手も
なぜ私が口うるさく安全に対して話をするかを
少しでも理解してくれればと思います。
*今回はGW合宿特集のため、予定していた内容
は次号へ持ち越しとなります。あしからず♨
Coaches
小笠原一彰
水泳部顧問(監督
兼ヘッドコー
チ)。日本史教員
として赴任するが
現在は休業中。目
下、急激に崩れて
きた体型が気がかりな34歳。
☎09060019745/
mail;[email protected]
有冨公教
育成コーチ。38期
卒。週3回、水泳
部最大GPを統率
する傍ら自らも多
くの試合に参戦
し、文字通り選手
と競い合っている。立正大学水泳部主
将で現在も川崎イトマンSS選手クラス
に在籍。
岡部晃逹
本部事務職員。
元桐蔭学園水泳
部主将。イン
ターハイ200m背
泳ぎ優勝者。指
導に賭ける熱い
情熱は他の追随を許さない。そんな彼
を優しく包んでくれる女神を大募集中
⁉ ☎09035408873/
mail;[email protected]
並木丈
今年度より体育科
非常勤講師として
勤務。日大高校、
日本体育大学でと
もに主将を務めた
経験をもとに、主
にドライランドトレーニングで選手の
体幹強化を徹底してもらう予定。これ
で選手のストリームラインは完璧か ☎09061592697/
mail;[email protected]
PAGE 8
Fly UP