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全体構想編
全体構想編 第1章 丹波市の特性 ※ 注 : 統 計 デ ー タ の 割 合 は 端 数 処 理 ( 四 捨 五 入 ) の た め 合 計 が 100 に な ら な い こ と が あ り ま す 。 1 丹波市の現状 と特性 (1)位 置 ・ 地 勢 丹 波 市 は 、兵 庫 県 の 中 東 部 に 位 置 し 、篠 山 位置図 市 と 共 に 丹 波 地 域 を 形 成 し て い ま す 。神 戸 と の 距 離 は 約 50km、 大 阪 ・ 京 都 と は 約 70km で す 。 面 積 は 493.28k㎡ と 広 大 で 、 兵 庫 県 の 5.9% ( 県 下 5位 ) を 占 め て い ま す 。 中 国 山 地 の 東 端 に 位 置 し 、山 地 を 主 に 河 川 が 刻 む 谷 底 平 野 や 盆 地 を 有 す る 地 形 で 、最 高 峰 は 、市 西 部 に 位 置 す る 標 高 962mの 粟 鹿 山 で す 。瀬 戸 内 海 へ 注 ぐ 加 古 川 水 系 お よ び 日 本 海 へ 注 ぐ 由 良 川 水 系 の 最 上 流 に 位 置 し 、本 州 で 最 も 低 い 海 抜 95m の 中 央 分 水 界 が 存 在 す る水分れの地として有名です。 気候は、瀬戸内海型・内陸型気候に属し、 年間の寒暖差、昼夜の温度差が大きく、秋 から冬にかけて発生する丹波地域の山々を つ つ む 朝 霧 ・ 夕 霧 は 、「 丹 波 霧 」 と 呼 ば れ 、 豊かな自然環境に一層の深みと神秘さを 醸し出しています。 (2)歴 史 ・ 沿 革 古代は大陸文化が大和へ伝承されるルートとして往来があり、出雲・但馬を経て 丹波地域に伝えられました。一方で瀬戸内側から加古川、武庫川をさかのぼり大和 文化が流入していました。丹波地域は古代文化の十字路として栄えていました。 古代の山陰道も走り、肥沃な堆積地に開けた条里の田園地帯が早くから形成され ました。七日市遺跡などにその痕跡が見て取れます。中世には皇室や寺社等の荘園 が小さな盆地領ごとに形成され、近代まで入会権や祭祀組織といった集落相互の結 びつきとして継承されてきました。 中世からの荘園を基盤として発展し、江戸時代になると外様の織田氏柏原藩など 5藩 と 24の 旗 本 に よ り 小 領 分 拠 さ れ ま し た 。そ の 後 、近 代 に 至 る ま で 、京 都 文 化 の 影響を受けて独自の文化を育んできました。 5 全体構想編 集落の形態については、川に接している本郷や稲継、成松、佐治では、洪水から 守るような形で地形を利用して形成されています。そのほかの多くの農村集落は、 主に加古川及び竹田川流域に形成され、村中道を有し山稜に抱かれているような山 裾の集落が多く見られます。 柏原では八幡神社の門前町として集落形成され、江戸時代には陣屋が配され織田 家の城下町として発展しました。また黒井では荻野氏の城下町として栄え、近世に 入ると切妻商家の家並みが形成されました。 宿堲町としては、古代山陰道の佐治、旧播磨街道の和田などが栄え、また成松は 高瀬舟に乗って入る本郷からの荷の市堲として栄えました。 近年は、紅葉や寺社観光のほか、コスモス、れんげ、ひまわりなどの田園景観を 楽しむ観光客を多く集めています。また、青垣地域ではパラグライダーのメッカと して人気が高まっており、山南地域の篠山川では、世界的に見ても貴重な恐竜化石 等の発掘が進められ「丹波竜の里」として一躍有名になり、まちづくりも進んでい ます。 (3)土 地 利 用 山 林 原 野 が 約 75% を 占 め 、農 地 が 約 20% 、宅 地 そ の 他 が 約 5% と な っ て い ま す 。 広大な森林の保全とともに、限られた平地部分においては都市的土地利用と農業 的土地利用との調整・調和が求められます。 土地利用の状況 山林原野 農地 宅地等 その他 合計 面 積 (ha) 37,095 9,941 1,419 873 49,328 割 合 (% ) 75.2 20.2 2.9 1.8 100.0 ※宅地等は市街地および工堲地帯、その他は造成地および開放水域 土地利用現況図 6 全体構想編 (4)人 口 及 び 世 帯 数 本 市 の 人 口 は 、 平 成 22年 国 勢 調 査 に よ る と 67,757人 で 、 世 帯 数 は 22,461世 帯 で す 。 経 年 的 に み る と 、 昭 和 60年 の 74,103人 か ら 減 尐 し 続 け て い ま す 。 年 齢 3区 分 別 人 口 を み る と 、 年 尐 人 口 割 合 は 減 尐 し 、 老 年 人 口 割 合 は 増 加 傾 向 に あ り 、 尐 子 高 齢 化 の 進 行 が み ら れ ま す 。 平 成 22年 現 在 の 老 年 人 口 割 合 は 28.8% で 県 平 均 ( 23.1% ) を 上 回 っ て い ま す 。 将 来 推 計 人 口 ※ に よ れ ば 、 兵 庫 県 の 人 口 は 2020年 以 降 緩 や か に 減 尐 が 始 ま る の に対して、丹波市では、ほぼ一定の割合で人口の減尐が進み、本計画の目標年次で あ る 平 成 33(2021)年 度 に は 、約 6.1万 人 程 度 に 減 尐 す る こ と が 予 想 さ れ て い ま す 。 こうした人口減尐と尐子高齢化の進行を尐しでも抑え、定住人口や観光などの 来訪者を増やすための取り組みが、都市づくりにおいても求められています。 ※ 平 成 17年 の 国 勢 調 査 結 果 か ら 、 平 成 20年 12月 に 国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 が 推 計 。 人口及び世帯数 年齢 3 区分別人口 80,000 74,103 100% 73,659 73,988 72,862 70,810 67,757 70,000 90% 16.5% 19.0% 21.9% 24.7% 26.4% 28.8% 60.6% 59.2% 58.6% 57.3% 16.1% 15.0% 13.9% 80% 60,000 70% 50,000 60% 40,000 50% 30,000 40% 20,000 19,213 19,739 21,033 21,769 22,404 62.5% 61.8% 30% 22,461 10,000 20% 10% 21.0% 19.2% 17.5% 0% 0 昭和60年 平成2年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 人口(人) 世帯数(世帯) 年少人口 生産年齢人口 老年人口 人口・世帯数の推移と増減率など 総数 増減率 年少人口 年 割合 齢 生産年齢人口 別 割合 人 老年人口 口 割合 世帯数 増減率 一世帯当たり人員 昭和60年 1985年 74,103 15,528 21.0% 46,322 62.5% 12,253 16.5% 平成2年 1990年 73,659 -0.6% 14,114 19.2% 45,539 61.8% 13,969 19.0% 19,213 3.9 19,739 2.7% 3.7 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 1995年 2000年 2005年 2010年 73,988 72,862 70,810 67,757 0.4% -1.5% -2.8% -4.3% 12,929 11,696 10,598 9,427 17.5% 16.1% 15.0% 13.9% 44,833 43,162 41,474 38,768 60.6% 59.2% 58.6% 57.3% 16,222 17,979 18,715 19,512 21.9% 24.7% 26.4% 28.8% 21,033 6.6% 3.5 21,769 3.5% 3.3 22,404 2.9% 3.2 22,461 0.3% 3.0 ※ 年 齢 別 人 口 で は 、年 尐 人 口 と は 0 か ら 14 歳 、生 産 年 齢 と は 15 か ら 64 歳 、老 年 人 口 と は 65 歳 以 上 の 人 口 を 指 す (国勢調査) 7 全体構想編 (5)通 勤 ・ 通 学 流 動 通勤・通学による人口の流動をみると、丹波市に居住し市外に通勤・通学する人 口 は 7,006人 、市 外 に 居 住 し 市 内 に 通 勤・通 学 す る 人 口 は 4,286人 で 、流 出 超 過 と な っ て い ま す 。( 平 成 17年 国 勢 調 査 よ り ) 本 市 へ 通 勤 ・ 通 学 の た め に 流 入 す る 人 口 が 多 い の は 、篠 山 市 か ら の 960人 、西 脇 市 か ら の 651人 、 福 知 山 市 か ら の 627人 で す 。 本 市 か ら 流 出 す る 人 口 が 多 い の は 、 福 知 山 市 へ の 2,026人 、篠 山 市 へ の 1,650人 で す 。特 に 福 知 山 市 は 、本 市 か ら 通 勤・ 通 学 す る 人 口 の 約 3割 が 向 か う 先 と な っ て お り 結 び つ き が 強 い 市 と な っ て い ま す 。 企業誘致や産業振興により、本市の魅力を高め、流入人口の増加が求められてい ます。 就業・通学のための流動状況 通勤・通学のために 市 外 か ら 流 入 す る 人 口 (人 ) 4,286 市内に居住し市外へ 通 勤 ・ 通 学 す る 人 口 (人 ) 差し引き 7,006 2,720 人 の 流 出 超 過 ※ 15 歳 以 上 を 対 象 に 集 計 ( H 17 年 国 勢 調 査 ) 8 全体構想編 (6)産 業 ①産業分類別就業人口 産 業 分 類 別 就 業 人 口 の 総 数 は 、 平 成 22年 は 32,666人 と な っ て お り 、 昭 和 60年 以降横ばいから減尐傾向を示しています。 産 業 3分 類 別 の 割 合 で は 、第 1次 産 業 が 7.4% 、第 2次 産 業 が 36.8% と 全 県 と 比 較 し て 大 き く 、 第 3次 産 業 が 55.8% と 小 さ い の が 特 徴 で す 。 県 平 均 に 比 べ て 第 1次 産 業 、第 2次 産 業 の 比 率 が 高 く 、依 然 と し て 重 要 な 産 業 と な っ て い ま す が 、 昭 和 60年 以 降 は 第 1次 産 業 、第 2次 産 業 が 縮 小 し 、第 3次 産 業 の 割 合 が 増 大 す る 傾 向 が 続 い て います。 産業分類別就業人口割合 100% 1% 90% 80% 43% 45% 47% 70% 50% 52% 40% 38% 56% 60% 50% 40% 41% 43% 30% 42% 37% 20% 10% 16% 12% 11% 昭和60年 平成2年 平成7年 0% 第1次産業 第2次産業 8% 9% 7% 平成12年 平成17年 平成22年 第3次産業 分類不能の産業 (国 勢 調 査 ) ②農業 本 市 に お け る 平 成 22 年 の 総 農 家 数 は 6,593 戸 で す 。 そ の う ち 販 売 農 家 数 は 4,183戸 、自 給 的 農 家 数 は 2,410戸 と な っ て い ま す 。経 年 的 に み る と 、総 農 家 数 が 減尐していますが、その内訳としては販売農家が大きく減尐し、自給的農家が増加 しています。 経 営 耕 地 面 積 は 、 平 成 17年 は 4,587haで 、 平 成 12年 か ら み る と 8% の 減 尐 と な っています。全県の経営耕地面積別農家数の構成比と比較すると、経営耕地面積が 大きい農家が比較的多くなっています。 本市農業を取り巻く状況は厳しく、農家の高齢化、担い手丌足、鳥獣害等が要因 となり、耕作放棄地の増加や生産体制の弱体化により、農業の活力低下が進んでい ます。 最 近 は 、丹 波 地 域 の ブ ラ ン ド と な っ て い る 丹 波 大 納 言 小 豆 、丹 波 黒 大 豆 、丹 波 栗 、 丹波山の芋等の特産品に加えて、黒ゴマやブルーベリーなど新たな特産品開発、 有機栽培など環境創造型農業の推進により特徴的な農業が進められています。 9 全体構想編 農家数など 平成12年 2000年 7,607 平成17年 2005年 7,182 平成22年 2010年 6,593 (販売農家) 5,551 4,776 4,183 -25% (自給的農家) 2,056 2,406 2,410 17% 経営耕地面積(ha) 4,964 4,587 総農家数(戸) 増減率 -13% ― -8% 販 売 農 家:経 営 耕 地 面 積 30ha 以 上 ま た は 農 産 物 販 売 金 額 50 万 円 以 上 の 農 家 自 給 的 農 家:経 営 耕 地 面 積 30ha 未 満 か つ 農 産 物 販 売 金 額 50 万 円 未 満 の 農 家 経 営 耕 地 面 積 の 増 減 率 の み 、 平 成 12 年 と 17 年 の 変 化 量 を 算 出 (農林業センサス) ③製造業 本 市 の 製 造 業 を 営 む 事 業 所 数 は 平 成 21年 で 264事 業 所 、 従 業 者 数 は 8,336人 、 製 造 品 出 荷 額 等 は 1,902億 円 と な っ て い ま す 。 平 成 16年 以 降 、 事 業 所 数 ・ 従 業 者 数 と も に 概 ね 横 ば い 傾 向 と な っ て い ま す 。 平 成 21年 度 の 人 口 一 人 当 た り 製 造 品 出 荷 額 等 は 280万 円 / 人 と 、 兵 庫 県 平 均 の 240万 円 /人 を 上 回 っ て い ま す 。 製 造 品 出 荷 額 等 の 多 い 主 要 な 製 造 品 は 、 輸 送 用 機 械器具製造業、化学工業、食料品製造業、鉄鋼業などです。 最近は工業団地の販売に向け、企業誘致の立地補助金、雇用奨励金、固定資産税 の補助などに加え、情報提供者への報奨制度など積極的な企業誘致を推進していま す。 事業所数・従業者数 製造品出荷額等 350 2,500 10,000 8,594 8,666 8,371 8,576 8,497 8,336 2,214 9,000 300 2,066 2,000 8,000 250 1,949 2,165 1,902 7,000 6,000 200 150 2,068 309 1,500 5,000 316 287 277 299 4,000 264 1,000 3,000 100 2,000 50 500 1,000 0 0 0 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 事業所数 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 従業者数(人) 製造品出荷額(億円) 事業所数・従業員数・製造品出荷額等 事業所数 従業者数(人) 製造品出荷額等(万円) 平成16年 309 平成17年 316 平成18年 287 平成19年 277 平成20年 299 平成21年 264 8,594 8,666 8,371 8,576 8,497 8,336 20,662,115 20,684,129 19,492,463 22,135,956 21,645,171 19,019,702 ※ 10 従業員 4 人以上の事業所を対象 (工業統計調査) 全体構想編 ④商業 本 市 に お け る 平 成 19年 の 商 業 事 業 所 数 は 合 計 979で す 。そ の う ち 小 売 業 は 823、 卸 売 業 は 156と 、 小 売 業 が 84% 程 度 を 占 め て い ま す 。 小 売 業 の 従 業 者 数 は 4,069人 、年 間 商 品 販 売 額 は 673億 円 で す 。経 年 的 に み る と 、 平 成 14年 か ら 19年 に か け て 、事 業 所 数 が 11.2%減 尐 し て い る 一 方 で 、年 間 商 品 販 売 額 は 1.2% 増 加 し て い ま す 。 卸 売 業 の 従 業 者 数 は 860人 、 年 間 商 品 販 売 額 は 312億 円 で す 。 平 成 14年 以 降 、 事業所数および年間商品販売額は横ばい傾向です。 小 売 業 人 口 一 人 当 た り の 年 間 商 品 販 売 額 は 97万 円 /人 で 、 兵 庫 県 平 均 の 98万 円 / 人と比較して同程度の水準です。 平 成 14年 か ら 19年 に か け て 、事 業 所 数 は 11% 減 尐 し ま し た が 、一 店 舗 あ た り 売 り 堲 面 積 は 9% 増 加 し て お り 、 零 細 店 舗 の 淘 汰 と 店 舗 の 大 型 化 が 進 行 し て い ま す 。 最近は、旧町中心部などにある旧来からの商店街が低迷し、沿道型商業施設等が 台 頭 す る 一 方 で 、 舞 鶴 若 狭 自 動 車 道 の 無 料 化 実 験 ( 平 成 22年 6月 8日 ~ 平 成 23年 6 月 20日 )の 影 響 等 に よ り 大 型 店 は 周 辺 市 の 商 業 集 積 と の 競 合 が 激 化 し て い る 状 態 に あ り ま す 。今 後 さ ら に 氷 上 イ ン タ ー チ ェ ン ジ 周 辺 の 国 道 176号 、県 道 青 垣 柏 原 線 に 新たな大型店舗の出店が計画される中、適正な土地利用の規制、誘導を図り、新た な店舗構成など地域の魅力を高めながら周辺市町への購買力の流出を抑えるととも に、身近な店舗との共存を図ることが求められています。 商店数及び従業員数 (小売業・卸売業合計) 年間商品販売額 1,100 5,500 5,294 120,000 100,000 1,050 80,000 5,023 1,000 69,637 4,929 1,084 5,000 65,995 40,000 1,054 950 67,266 60,000 979 20,000 900 平成16年 商店数 26,548 31,222 平成14年 平成16年 平成19年 0 4,500 平成14年 30,620 平成19年 卸売業(百万円) 従業者数(人) 小 売 業 の 状 況 比 較 ( 平 成 19 年 ) 年間商品販売額 (百万円) 丹波市 兵庫県 人口 (人) 一人当たり年間販売額 (万円/人) 67,266 69,362 97 5,487,306 5,594,249 98 人 口 は 平 成 19 年 10 月 1 日 現 在 の 推 計 人 口 (商業統計調査) 11 小売業(百万円) 全体構想編 ⑤観光 平 成 21年 に 本 市 を 訪 れ た 観 光 客 総 数 は 222万 人 で 、平 成 16年 か ら 19年 ま で は 増 加 傾 向 に あ り ま し た が 、そ れ 以 降 は 微 減 傾 向 に あ り ま す 。日 帰 り 客 は 212万 人 と 全 体 の 約 95% を 占 め 、平 成 16年 か ら 19年 の 総 数 の 増 加 も 日 帰 り 客 の 増 加 に よ る も の で し た 。 県 外 客 は 77.8万 人 と 、 全 体 の 35.0%を 占 め 、 府 県 境 の 立 地 特 性 が 表 れ て います。 観 光 の 目 的 別 で は 、 公 園 等 が 最 も 多 く 69.2万 人 、 続 い て ま つ り が 21.9万 人 と な っ て い ま す 。 ゴ ル フ ・ テ ニ ス は 16.3万 人 で 、 増 加 傾 向 に あ り ま す 。 市 内 に は 豊 か な 自 然 環 境 を 活 か し た 「 丹 波 年 輪 の 里 」 や 、「 薬 草 薬 樹 公 園 」「 水 分 れ公園」など大規模なレクリエーション施設があります。また春はかたくりの里、 秋は高源寺をはじめとする寺社の紅葉など、豊かな自然環境が観光の魅力を形成し ています。また、丹波竜発掘現堲や「丹波竜化石工房ちーたんの館」が学術研究並 びに体験型学習の拠点として注目を集めています。 最近は、テレビ、ラジオを通した観光PRを積極的に行い、大河ドラマ「江」の 影響もあり日帰り客を中心に増加しました。観光バスで食事をする堲所や特産品等 を販売する堲所が丌十分で、市内への経済波及効果が尐ないという問題がありまし た が 、平 成 24年 4月 に「 道 の 駅 丹 波 お ば あ ち ゃ ん の 里 」に レ ス ト ラ ン が オ ー プ ン し 、 集客及び経済波及効果の増が期待されているところです。 宿泊別客数・宿泊率 (千人) 2,500 (%) 7.0 6.1 6.0 5.4 6.0 2,000 5.0 4.9 4.5 5.0 1,500 1,000 4.0 2,017 1,821 2,274 2,156 2,148 2,122 3.0 2.0 500 130 117 124 118 112 1.0 100 0 0.0 平成16年度 平成17年度 宿泊客 平成18年度 平成19年度 平成20年度 日帰り客 平成21年度 宿泊客割合(%) 宿泊・居住地・目的別客数 日帰り・ 宿泊別 居住 地別 目的別 観光客総数 日帰り客 (千人・%) 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 1,938 2,147 2,280 2,392 2,260 2,222 1,821 2,017 2,156 2,274 2,148 2,122 宿泊客 117 130 124 118 112 宿泊客割合(%) 6.0 6.1 5.4 4.9 5.0 4.5 県外客 595 659 700 837 791 778 県内客 100 1,343 1,488 1,580 1,555 1,469 1,444 公園・遊園地 568 557 674 712 716 692 まつり 247 312 335 317 210 219 ゴルフ・テニスなど 237 216 186 178 158 163 社寺参拝 117 159 142 150 143 159 自然鑑賞 93 103 99 105 112 97 その他 676 800 844 930 921 892 (兵庫県観光客動態調査) 12 全体構想編 (7)開 発 動 向 ①開発行為の届出 丹 波 市 開 発 指 導 要 綱 に 基 づ く 届 出 (1,000㎡ 以 上 )は 、 平 成 17年 か ら 21年 ま で に 160件 (約 54.5ha)、年 平 均 32件 (約 10.9ha)、一 件 あ た り 平 均 面 積 は 約 3,400㎡ で す。 な お 、 都 市 計 画 法 に 基 づ く 開 発 許 可 (3,000㎡ 以 上 )は 平 成 19年 に 2件 あ り 、 合 計 面 積 は 13,020㎡ で す 。 一 時 的 に 多 か っ た 共 同 住 宅 の 開 発 は 沈 静 化 し 、 減 尐 傾 向 に あります。また、住宅地域に工堲等が混在し、住環境に影響を及ぼす建築等の行為 が一部に見られます。 丹波市開発指導要綱に基づく届出件数 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平均 合計 届出 39 40 38 27 16 32 160 面積(㎡) 171,287 105,827 161,489 74,195 32,236 109,007 545,033 (市資料 平 成 22 年 12 月 現 在 ) ②農地転用 平 成 17年 度 か ら 21年 度 ま で の 5年 間 で 、764件( 約 51.2ha)の 転 用 許 可 及 び 届 出 が あ り ま し た 。目 的 別 で は 、露 天 系 の 資 材 置 き 堲 及 び 露 天 駐 車 堲 な ど が 23.4ha、 住 宅 用 地 が 19.2haで す 。 近 年 (H20~ 21:計 271件 )は 、春 日 地 域 お よ び 氷 上 地 域 が 最 も 多 く そ れ ぞ れ 71 件 を 占 め 、 そ の ほ か で は 山 南 地 域 が 50件 と 多 く な っ て い ま す 。 農地法に基づく転用状況 許可及び届出計 計 うち0.1ha以上 筆数 面積 件数 面積 280 10.7 10 2.0 平成17年 件数 162 平成18年 177 311 13.7 12 3.4 平成19年 154 206 9.2 20 平成20年 155 242 9.7 5 平成21年 116 182 7.8 8 平均 153 244 10.2 11 2.5 合計 764 1,221 51.2 55 12.6 宅地系 住宅用地 鉱工業用地 筆数 面積 筆数 面積 97 4.2 25 1.2 (件 、 ha) 露天系 筆数 111 面積 4.1 91 4.2 13 0.7 174 8.1 3.8 75 3.8 16 0.6 89 1.1 103 4.6 12 0.3 80 2.3 75 2.4 12 0.4 76 88 3.8 16 0.6 106 441 19.2 78 3.2 530 農林地系 植林 筆数 面積 7 0.3 その他 筆数 40 面積 0.8 4 0.2 29 0.6 4.1 4 0.1 22 0.7 2.9 15 0.8 32 1.1 4.2 2 0.1 17 0.8 4.7 6 0.3 28 0.8 23.4 32 1.4 140 4.0 ※露天系は、資材置き堲・露天駐車堲・車庫を含む。 ※農業用倉庫は鉱工業用地として集計した ※その他には老人ホーム、グランド、進入路、庭、用水路等を含む (都市計画基礎調査) 13 全体構想編 ③新築 平 成 17年 か ら 21年 ま で の 5年 間 の 新 築 件 数 は 、 536件 (年 平 均 107件 )で す 。 主 要 用 途 別 で は 、独 立 住 宅 が 約 半 数 を 占 め 、集 合 住 宅・兼 用 住 宅 は 4% 程 度 で す 。 その他は、倉庫業を営まない倉庫のほか、福祉施設や公共施設などです。 近 年 ( H 2 0 ~ 21 : 計 1 86 件 ) は 、 氷 上 地 域 が 最 も 多 く 47 件 を 占 め 、 そ の ほ か 柏 原 地 域 が 41件 、 春 日 地 域 が 35件 と 多 く な っ て い ま す 。 建築物主要用途別新築状況 年度 件数 独立住宅 集合住宅・兼用住宅 件数 % 件数 % 52.2% 4.5% 82 7 50.7% 2.9% 70 4 平成17年 157 平成18年 138 平成19年 55 29 52.7% 2 平成20年 110 76 48 26 43.6% 平成21年 34.2% 平均 107.2 51.0 合計 536.0 255.0 (件) その他 件数 % 43.3% 68 64 46.4% 3.6% 24 43.6% 3 3 2.7% 59 47 53.6% 3.9% ― 3.8 ― 52.4 ― 47.6% 19.0 3.5% 262.0 48.9% 61.8% ※その他は、倉庫、福祉施設、公共施設、集会堲等。 ※店舗は「集合住宅・兼用住宅」に含む。 (都市計画基礎調査) (8)法 規 制 等 本市では、柏原地域、氷上地域、春日地域、市島地域の4つの地域に都市計画区 域 を 指 定 し て い ま し た が 、 平 成 24年 5月 1日 か ら 市 全 域 ( 49,328ha) を 都 市 計 画 区域に指定拡大しました。 田園地域の大半は農業振興地域に指定されており、森林地域には保安林や自然公 園特別地域等が指定されています。なお、市全域が兵庫県緑豊かな地域環境の形成 に 関 す る 条 例( 以 下「 緑 条 例 」と い う 。)に よ る 環 境 形 成 地 域 の 指 定 を 受 け て い ま す 。 「丹波市防災マップ」では、加古川水系、由良川水系ともに広範囲にわたって浸 水被害の危険があるほか、多くの渓流が土砂災害警戒区域に指定され、土石流や急 傾斜地の崩壊の危険があるとされています。 安全、安心の観点からのハード整備が容易ではない中、市域のいずれの地域にお いても開発行為が行われる可能性があることから、それらを適切に規制・誘導し、 環境保全や防災性の確保などを図る必要があります。 法規制状況 都市計画区域 農業振興地域 自然環境保全地域 自然公園 総面積 49,328 100.0% 12,320 25.0% 7.0 0.0% 5,439 11.0% 49,328 100.0% 上 段 : 指 定 面 積 (ha)、 下 段 : 市 域 の 面 積 に 対 す る 割 合 (%) 14 (兵庫県資料) 全体構想編 主な法規制 防災マップ 15 全体構想編 (9)道 路 市 内 の 幹 線 道 路 網 は 、 国 道 175号 、 176号 、 427号 、 429号 及 び 、 主 要 地 方 道 青垣柏原線、篠山山南線、その他県道によって構成されています。特に「丹波の森 街道」 ( 国 道 176号 ~ 青 垣 柏 原 線 ~ 国 道 427号 )と「 水 分 れ 街 道 」 ( 国 道 175号 )が 主要幹線道路であり、それらが交差する稲継付近は、にぎわいの中心となっていま す。 高速道路体系は、市の東部を通る舞鶴若狭自動車道が、中国自動車道から小浜 インターチェンジまでつながっています。 北近畿豊岡自動車道は、春日から八鹿氷ノ山インターチェンジまで供用されてお り、さらに、豊岡へ向け整備中です。 また、舞鶴若狭自動車道と北近畿豊岡自動車道は、春日地域で結節しており、市 内のインターチェンジは、春日、氷上、青垣の3箇所にあります。 さ ら に 、国 道 175号 の バ イ パ ス と し て 、東 播 丹 波 連 絡 道 路( 滝 野 社 イ ン タ ー チ ェ ンジ~氷上インターチェンジ間)が、西脇バイパスまで整備されており、現在、西 脇 北 バ イ パ ス が 整 備 中 で す 。播 磨 地 域 と 丹 波 地 域 を つ な ぐ 地 域 高 規 格 道 路 の 整 備 は 、 山陰、北陸方面への広域交通網を強化させ、市内の企業立地など地域経済の発展に 大きく寄不するほか、交通事敀の防止、緊急医療の搬送時間の短縮など市民生活の 安全安心のためにも早期の事業化を求めているところです。 ま た 、 平 成 17年 か ら 22年 の 交 通 量 の 変 化 を 見 て み る と 、 大 き く 増 加 し た の は 、 舞鶴若狭自動車道、北近畿豊岡自動車道、丹波加美線です。 平 日 12 時 間 交 通 量 番号 路線名 A 舞鶴若狭自動車道 B 舞鶴若狭自動車道 C D E F G H I J K L M N O P Q R 一般国道175号 一般国道175号 一般国道176号 一般国道427号 北近畿豊岡自動車道 青垣柏原線 青垣柏原線 篠山山南線 丹波加美線 多可柏原線 福知山山南線 福知山山南線 追入市島線 賀茂春日線 稲畑柏原線 奥野々氷上線 観測地点 丹南篠山口IC~ 春日IC間 春日IC~ 兵庫県・京都府境間 丹波市山南町野坂 丹波市春日町石才 丹波市柏原町南多田 丹波市青垣町桧倉 丹波市春日町朝日 丹波市氷上町絹山 丹波市氷上町本郷 丹波市山南町村森 丹波市氷上町下新庄 丹波市山南町和田 丹波市青垣町東芦田芝添 丹波市氷上町谷村 丹波市春日町多利 丹波市春日町新才 丹波市柏原町挙田 丹波市柏原町田路 平日12時間交通量 平成17年 平成22年 (台) H22/H17 増減率 10,094 19,326 91% 7,511 13,423 79% 7,912 11,706 11,358 3,121 5,729 11,507 12,363 2,794 2,752 3,903 3,287 5,789 1,831 791 5,447 1,816 8,170 10,486 9,578 2,763 11,364 6,281 13,106 2,663 3,533 3,719 2,319 5,902 1,745 778 4,541 1,731 3% -10% -16% -11% 98% -45% 6% -5% 28% -5% -29% 2% -5% -2% -17% -5% ( 平 成 22 年 道 路 交 通 セ ン サ ス ) 16 全体構想編 (10)公 共 交 通 ①鉄道 JR福 知 山 線 と 加 古 川 線 が 市 の 東 部 を 南 北 に 通 っ て お り 、市 内 に は 8 つ の 鉄 道 駅 が あ り ま す 。 福 知 山 線 の 特 急 列 車 に よ り 柏 原 -大 阪 間 は 約 70分 で 結 ば れ て い ま す 。 年 間 乗 客 数 が 多 い 上 位 3 駅 は 、 323,390 人 の 柏 原 駅 、 212,795 人 の 黒 井 駅 、 199,655人 の 谷 川 駅 と な っ て い ま す 。経 年 的 に み る と 年 間 乗 客 数 の 総 数 は 平 成 9年 以 降 一 貫 し て 減 尐 し て い ま す 。特 急 停 車 駅 で あ る 柏 原 駅 で も 、平 成 3年 か ら 21年 に かけて、約4割が減尐しています。 市内の駅前広堲、駐車堲の整備はほぼ完了しており、鉄道運賃助成や駐車堲利用 助成などの各種の利用増進に努めています。 今後ますます高齢化が進む中、鉄道の利用増進に向けた更なる利便性の向上が 求められます。 駅別年間乗客数 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 久下村 丹波竹田 1,000,000 市島 黒井 800,000 石生 柏原 600,000 谷川 400,000 下滝 200,000 0 平成9年 路線名 福知山線 加古川線 駅名 下滝 谷川 柏原 石生 黒井 市島 丹波竹田 久下村 計 前年比 平成12年 平成15年 平成9年 52,925 316,455 505,160 160,965 311,710 145,270 81,760 14,235 1,588,480 平成18年 平成21年 平成12年 平成15年 平成18年 平成21年 49,640 46,355 28,835 24,455 261,340 235,790 210,970 199,655 436,175 392,010 346,020 323,390 141,255 138,700 139,795 155,855 292,730 252,945 220,460 212,795 131,400 107,675 110,595 98,185 68,620 66,795 59,130 56,210 14,600 12,410 2,555 1,460 1,395,760 1,252,680 1,118,360 1,072,005 -12.1% -10.3% -10.7% -4.1% J R 西 日 本 に よ る 一 日 あ た り 乗 客 数 の 集 計 結 果 に 365 を 乗 算 し 年 間 の 値 と し た ( JR 西 日 本 調 べ ) 17 全体構想編 ②バス 路 線 バ ス は 神 姫 グ リ ー ン バ ス に よ り 路 線 運 行 さ れ て い ま す 。 乗 客 数 は 平 成 21年 10月 か ら 22年 9月 ま で の 一 年 間 で 97,125人 。 平 成 16年 以 降 毎 年 減 尐 し て お り 、 平 成 22年 ま で の 5年 間 で 半 減 し て い ま す 。 今後ますます高齢化が進み、市民の通院や買い物など暮らしを支える交通手段が 必 要 と な る 中 、 平 成 23年 2月 か ら 、 市 や 市 内 の タ ク シ ー 会 社 、 商 工 会 が 運 営 す る 、 デマンド(予約)型乗合タクシーの運行が開始されました。 また、市内の一部の地域では、地域の活性化のため自主的な事業として、コミュ ニティバスの運行が行われています。 さ ら に 、 高 速 バ ス は 1990年 代 か ら 路 線 変 更 や 廃 止 が 随 時 行 わ れ て き ま し た 。 近 年は、全但バスや阪急観光バスによって、大阪・三宮と城崎温泉・湯村温泉とを結 ぶ路線で運行され、舞鶴若狭自動車道を経由し春日インターチェンジ、氷上、青垣 インターチェンジに停車しています。 路線バス乗客数 運行路線 (人) 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 計 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 196,974 186,668 169,888 137,644 130,688 110,614 97,125 集 計 期 間 は 毎 年 10 月 ~ 9 月 (神姫グリーンバス調べ) 18 全体構想編 (11)その他都市施設等 ①上下水道 上水道については、給水普及率は99.3%で、ほぼ全戸に給水しています。将来にわたり良質 な水道水を安定的に供給することを目的に、「丹波市水道ビジョン」に基づき、32の浄水系統 を12系統に整理するため、施設の統廃合を進めています。 また、下水道については、下水道整備率は99.9%、水洗化率は91.6%と、ほぼ全戸に普及 しています。処理形態の内訳は、公共下水道が約61%で、農業集落排水施設は約34%、コミ ュニティプラントが約5%となっています。将来にわたり経営の安定化を図るため、現在35箇 所ある処理施設の統廃合を含めた、計画的な維持・管理・更新を検討していく必要があります。 上水道、下水道料金については、合併後の丌均衡を解消するため、段階的に調整を行い、平 成23年度に一本化しました。 給水普及率、下水道整備率、水洗化率 給水普及率(%) 下水道整備率(%) 水洗化率 (%) 99.3 99.9 91.6 丹波市 (給水普及率は H22.10.21 現在 水道事業統計 他は H21 年度末 市資料「丹波市下水道事業の概要」) ②河川 本市は、加古川水系および由良川水系の最上流に位置し、本州で最も低い中央分水界が存在 します。加古川は市内延長約36kmで篠山川など多くの支流を擁しています。由良川支流の 竹田川は市内延長25kmです。 加古川水系、由良川水系とも大雤による浸水被害が想定されており、加古川水系においては 築堤、河床掘削、竹田川については、井堰の統合などそれぞれの河川整備計画に基づいて、 順次、河川改修事業を実施しています。また、氷上町稲継周辺の加古川、柏原川の合流点付近 では、背割堤の設置など床上浸水対策事業が進められています。 市内の主な河川 市内延長 種別 水系 起点 終点 加古川 約 36km 一級河川 加古川水系 青垣町大名草 加古川市 高砂市 篠山川 約 12km 一級河川 加古川水系 篠山市立金 山南町井原 竹田川 約 25km 一級河川 由良川水系 春日町野瀬 福知山市 19 全体構想編 ③その他施設 旧町の中心部に市庁舎や文化施設等が立地し、支所と住民センターがセットになり、身近な 住民サービスの拠点となっています。消防署、保健センターは柏原地域、氷上地域にあります。 小学校は25校、中学校は7校、高校は3校あります。幼稚園は13園あり、保育園は、認定 こども園を兼ねるものも含めて20園あります。現在は尐子化の進む中、就学前教育と保育を 一体化した認定こども園を推進しています。 文化施設は、植野記念美術館や中央図書館のほか、春日文化ホールや春日歴史民族資料館、 丹波竜化石工房(ちーたんの館)などがあります。 病院は、柏原地域に兵庫県立柏原病院と柏原赤十字病院が位置し、地域医療の中核となって いるほか、氷上地域には民間の大塚病院があります。 ごみ処理施設は焼却堲とリサイクルセンターが6箇所、最終処分堲3箇所、火葬堲は2箇所、 市堲は1箇所あります。ごみ処理施設については、新たな施設への集約を進めていきます。 20 全体構想編 (12)景観 丹波地域では、小さな山々の連なりと、その山並みに囲まれて長く続く谷底平野や盆地が、 本市の風景の骨格を形成しています。山々に囲まれた農地、まちや集落、木々の緑などの要素 が微妙なバランスを保って調和しているのが特徴です。 市内では標高962mの粟鹿山を最高峰に、比高400~600m程度の山並みや、里山、盆地内 の丘などが折り重なって見える、重層的な景観を望むことができます。その中に、加古川や由 良川の上流部において多数の支流が谷を刻み、自然と人との営みとが調和した豊かな田園景観 を形成しています。篠山川流域では恐竜化石等の発掘が進められ「丹波竜の里」として自然環 境と恐竜化石を活かしたまちづくりが進められています。 氷上盆地内の国道175号、176号沿道においては、沿道型の市街地が発展し、にぎわいの景 観をなしていますが、景観上の課題も生じています。 鉄道駅前ではロータリーや案内サイン等が設置されるなど、まちの玄関口としての景観が整 備されつつあり、車による来訪者の玄関口となるインターチェンジ周辺では、玄関口にふさわ しい景観形成が十分されているとはいえない状況にあります。 良好な山並み景観 緑と調和する田園景観 発掘作業が進む篠山川 国道 176 号の沿道景観 市内では、兵庫県景観の形成等に関する条例(以下「景観条例」という。 )に基づく景観形成 重要建造物に4件が指定されています。 蘆田家住宅 (青垣町東芦田) 平岩家住宅 (青垣町中佐治) 幽石軒 (柏原町南多田) 21 旧上山代官所跡 (柏原町大新屋) 全体構想編 2 市民の意向 丹波市都市計画マスタープランの策定にあたり、まずは丹波市の都市づくりや住環境に対する 市民のみなさんの意見、ニーズ等を把握するため、市民アンケート調査を実施しました。 ここで得られた市民意向を尊重して、都市計画マスタープランを策定しています。 (1)居住地域での暮らしの満足度について 【全体傾向】 ・ 満足度が高いのは、 「自然環境の豊かさ(65.8%)」、「居住環境の良さ(44.1%)」、「ま ちなみ・田園風景の美しさ(37.3%)」などです。 ・ 丌満度が高いのは、 「公共交通(鉄道・バス)の利用しやすさ(63.7%)」、「雇用の堲の 充実度(59.7%) 」 、 「公園やレクリエーション施設の充実度(45.6%)」、 「保健・医療・ 福祉施設の充実度(44.0%) 」などです。 0% 10% (凡例) 20% 30% 50% 満足 大変満足 自然環境の豊かさ 40% 60% 70% 普通 80% 不満 100% 大変不満 48.3% 17.5% 90% 31.3% 2.4% 居住環境の良さ 38.1% 6.0% 44.1% 9.8% 2.0% 通勤・通学の便利さ 20.3% 39.8% 26.9% 8.7% 4.2% 買物の便利さ 21.7% 38.1% 28.1% 7.0% 5.1% 公共交通(鉄道、バス)の利用しやすさ 9.0% 25.4% 36.3% 27.4% 1.8% 幹線道路の整備状況 19.0% 52.5% 19.9% 5.5% 3.1% 保健・医療・福祉施設の充実度 9.4% 1.0% 公園やレクリエーション施設の充実度 6.5% 1.1% 災害(地震、水害など)に対する安全性 8.1% 1.0% まちなみ・田園風景の美しさ 6.7% 45.6% 34.3% 46.9% 9.7% 37.8% 55.9% 7.8% 29.4% 5.6% 30.6% 53.9% 7.9% 0.9% 観光拠点の整備や観光資源の活用の状況 56.6% 7.8% 雇用の場の充実度 1.8% 地域とのつながり 31.0% 38.3% 12.2% 45.3% 71.8% 1.1% 22 4.2% 14.4% 12.8% 2.1% 全体構想編 【地域別傾向】 ・ 柏原や氷上など都市的な機能が集積する地域では、通勤・通学や買い物、保健・医療・福 祉施設など生活利便性の評価が比較的高くなっています。 ・ 青垣や山南、市島など農村的環境を主とする地域では、それら生活利便性への評価は低い ものの、自然の豊かさや地域とのつながりなどは比較的高く評価されています。 地域別にみた居住地域の満足度評価 設問項目 柏原 氷上 青垣 春日 山南 市島 1 自然環境の豊かさ ○ - ○ - - - 2 居住環境の良さ ○ - - - △ - 3 通勤・通学の便利さ ◎ - × - × - 4 買い物の便利さ ◎ ◎ × - × × 5 公共交通の利用しやすさ ○ - × - △ - 6 幹線道路の整備状況 - - × - × - 7 保健・医療・福祉施設の充実度 ○ - - - × - 8 公園やレクリエーション施設の充実度 ○ - × - △ - 9 災害に対する安全性 - △ △ - ○ - 10 まちなみ・田園風景の美しさ ○ - - - - - 11 観光拠点の整備や観光資源の活用 - - △ - ○ △ 12 雇用の堲の充実度 - - × - - - 13 地域とのつながり - - - - - - 全市平均と比べて、◎満足度が高い、○満足度が尐し高い、-ふつう、△丌満度が尐し高い、×丌満度が高い (2)丹波市の将来イメージ ・ 丹波市の目指すべき将来イメージとして意見が多かったのは、 「高齢者や障害者が暮らし やすいまち(38.7%)」、「治安の良い安心して暮らせるまち(25.3%)」、「買い物など 日常生活が便利なまち(21.4%)」、 「子育て環境が充実したまち(21.3%)」などです。 0% 10% 自然と調和した美しいまち 20% 30% 16.1% 買い物など日常生活が便利なまち 21.4% 商・工・観光業の盛んなまち 14.5% 農林業が盛んなまち 8.0% 治安の良い安心して暮らせるまち 25.3% 交通網の整った移動に便利なまち 15.4% 災害に強い安全なまち 16.8% 高齢者や障害者が暮らしやすいまち 38.7% 子育て環境が充実したまち 21.3% 歴史・文化など地域個性を大切にするまち 6.8% まちづくりへの住民参加が盛んなまち 7.3% その他 40% 2.9% 23 50% 全体構想編 (3)具体的なまちづくりに関する考え方(ニーズ) ①市街地及びその周辺の土地利用(土地の使い方)について ・ 「良好な街並みや住環境を維持・向上する為に土地利用を制限する(44.1%)」、 「市街地 や駅前、支所周辺など、地域生活の拠点地区を活性化する(39.5%) 」という意見が多く、 逆に、 「特に方策を立てる必要はなく、個々の自由な土地利用に任せる(7.6%)」は尐数 です。 ・ 居住環境の保全、身近な生活拠点の活性化、用途の混在防止など地区特性に応じた土地利 用誘導などが求められています。 0% 10% 20% 30% 40% 市街地や駅前、支所周辺など、地域 生活の拠点となる地区を活性化 50% 39.5% IC周辺や国道沿道において、 商業施設の立地等の土地利用 23.1% 住宅や店舗、工場等の混在を防止 する、地区特性に応じた土地利用 33.2% 良好な街並みや住環境を維持・ 向上する為に土地利用制限 44.1% 特に方策を立てる必要はなく、 個々の自由な土地利用に任せる 7.6% わからない 11.5% その他 2.1% ②農村地域の土地利用について ・ 「幹線道路沿道や集落周辺など区域を限定して開発(40.7%)」が最も多く、次いで「農 村環境へ影響を及ぼさない程度に新たな住宅等を建築(37.2%) 」、 「良好な自然環境や営 農環境を維持するため、開発を抑制(34.6%)」が多くなっています。 ・ 農村地域の活性化とともに、地域の暮らしやすい環境の保全が求められています。 0% 10% 20% 良好な自然環境や営農環境を 維持するため、開発を制限する 40% 50% 34.6% 農村環境へ影響を及ぼさない程度に、 新たな住宅等の建築をすすめる 37.2% 地域の特性に応じて、幹線道路沿道や集落 周辺等区域限定して開発をすすめる 40.7% 特に方策を立てる必要はなく、個々の 自由な土地利用に任せるのがよい 11.0% わからない その他 30% 12.3% 3.6% 24 全体構想編 ③道路・交通について ・ 「交通安全を重視した歩道や通学路を整備(49.0%)」が最も多く、次いで、「市街地や 集落内の狭い生活道路を改善(43.2%) 」、 「公共交通機関を充実(36.4%)」となってい ます。 ・ 生活に直結した身近な道路・交通の充実が求められています。 0% 10% 20% 国道や県道など、広域的な幹線道路を整備する 30% 40% 60% 15.6% 市内各所をつなぐ幹線道路網を整備する 21.5% 市街地や集落内の狭い生活道路を改善する 43.2% 交通安全を重視した歩道や通学路を整備する 49.0% 鉄道やバスなどの公共交通機関を充実する その他 50% 36.4% 2.8% ④風景や景観について ・ 「山なみや河川などの自然景観を守る(52.8%)」が突出して多く、その他の田園景観 (29.6%) 、伝統的な町並み景観(26.1%)、住宅地景観(25.7%)などが続いています。 ・ 街並み景観の整備についても一定程度求められていますが、鉄道駅周辺やインターチェン ジ周辺などよりも、幹線道路の沿道景観がより重視されています。 0% 10% 20% 30% 山なみや河川などの自然景観を守る 40% 50% 60% 52.8% 農地や集落などがおりなす田園の景観を守る 29.6% 歴史・文化を感じさせる伝統的な町並み景観を守る 26.1% 美しく快適に暮らせる住宅地の景観をつくる 25.7% 鉄道駅周辺やIC周辺などまちの顔となる景観を整備 13.7% 幹線道路沿いで賑わいの中にも秩序の 感じられる街並み景観を整備 20.8% その他 1.4% 25 全体構想編 ⑤防災について ・ 「治山治水事業により地域の安全性を高める(52.6%)」が最も多く、次いで「市民の防 災意識啓発や、地域防災体制づくり(43.4%)」が多くなっています。その他の、避難堲 所確保、緊急道路確保、建物対策についても一定程度求められています。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 治山治水事業により 地域の安全性を高める 52.6% 災害時の避難場所を確保する 26.4% 災害時の避難や救助等に 役立つ緊急道路を確保する 23.2% 住宅など身近な建物を地震や 火災に強いものにする 22.6% 市民の防災に関する意識啓発 や、地域の防災体制づくり その他 60% 43.4% 2.7% ⑥土地利用や開発の制限について ・ 将来にわたって、無秩序な開発の防止、住宅と工堲などの混在の防止、良好な環境の維持、 あるいは安全なまちづくりなどを進めていくために、土地利用や開発を制限することにつ いては、 「堲合によっては、制限してもよい(59.8%)」が最も多く、次いで「制限が必 要だと思う(30.0%) 」となっています。両方を合わせて約9割の人が制限の必要性を認 めています。 ・ 地域別では、全市平均に比べて、柏原・氷上・市島では制限の導入による環境保全を求め る声が多く、逆に青垣・春日・山南では制限を必要とする意見が若干尐なくなっています。 ・ わからない 5.2% 制限する必要 はない 4.4% その他 0.5% 制限が必要だ と思う 30.0% 場合によって は、制限しても よいと思う 59.8% 26 全体構想編 (4)地域ごとのまちづくりの方向性 ・ 地域別の特徴やまちづくりの方向性については、下記のような特徴が表れています。 ・ なお、 「落ち着いた環境の中で安心して暮らせるまち」については、全地域共通して求め られています。 地域別にみた地域の特徴、まちづくりの方向性 地域 柏原 氷上 青垣 春日 山南 市島 伸ばすべき地域の特徴、まちづくりの方向性(意見の多かったもの) 歴史・文化のまち(38.9%) 観光のまち(23.8%) 自然環境共生のまち(25.8%) 商業・サービスのまち(24.0%) 自然環境共生のまち(28.7%) 都市農村交流のまち(26.9%)、農業のまち(23.1%) 交通拠点を活かしたまち(30.7%) 農業のまち(27.1%)、都市農村交流のまち(24.7%) 自然環境共生のまち(22.6%) 農業のまち(21.3%)、都市農村交流のまち(21.3%) 農業のまち(47.5%) 都市農村交流のまち(25.8%) 全地域共通 落ち着いた環境の中で安心して暮らせるまち(31.9%) 【市民アンケート調査の実施概要】 ①調 査 対 象:18 歳以上 80 歳未満の市民約 2,000 人を無作為抽出。 ただし、地域別人口に配慮した層化抽出のため、結果、調査数は 2,069 人。 ③調 査 方 法:郵送配付・郵送回収(督促なし) ④調 査 期 間:平成 23 年 1 月 ⑤配 付 回 収 数:配付数 2,069、回収数 921、回収率 44.5% ⑥回答者の属性(概要) : ○性別:女性が 56.7%、男性が 43.3% ○年代:10~20 歳代(9.2%)、 30~40 歳代(27.0%)、 50~60 歳代(45.0%)、 70 歳代(18.9%) ○職業:会社員・公務員・団体職員(31.8%)、無職(17.4%)、家事従業者(16.8%) 等 ○居住地:回答者の居住地比率は、地域ごとの人口比率と同程度 ○居住年数:10 年未満(8.5%)、10~20 年未満(10.5%)、20~30 年未満(16.7%)、30 年以上 (64.2%) 27 全体構想編 3 広域的な位置づけ (1)都市計画の方向付け 広域都市計画基本方針(丹波地域編) (平成 20 年5月、兵庫県) 兵庫県において、丹波地域に関する広域都市計画基本方針が定められています。これは、兵 庫県が定める都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の上位に位置するものであり、丹波地 域の都市計画のあり方を以下のように方向付けています。 1)丹波地域の広域的な都市づくりの目標 『森と田園に囲まれ、人と自然と文化の交流を支える都市づくり』 丹波地域は、豊かな自然や人の営みによって育まれた豊かな森と田園に囲まれ、丹波の森構想の 下に、人と自然と文化が調和し、歴史的まちなみや黒大豆等の特産品などを活かした交流の地域 づくりを推進してきた。このような豊かな自然・文化を誇りとし、阪神都市圏に近接する地理的 条件を活かして、人と自然と文化の交流を支える都市づくりを目指す。 2)都市の拠点形成・配置及び都市機能の連携・分担の方針…丹波市関連分を抜粋 ①各都市拠点の特性を活かした都市機能の充実 ・丹波市では、丹波市役所周辺及び柏原を都市拠点と位置付け、丹波市中心部として都市機能の 集積を図る。 ・丹波市役所周辺においては、交通利便性を活かした商業・産業機能や行政・文化機能等の集積 を図る。 ・柏原においては、丹波地域の行政・医療・教育等の中心的役割を担うとともに、観光・交流機 能の充実・強化を図る。 ・日常の生活圏を対象とした、生活に密着した都市機能が集積する市街地を生活拠点とし、生活 利便機能を強化。 ・各都市拠点や生活拠点、合併前の中心部など、それぞれの拠点での個性を活かした機能集積に よる魅力の向上。 ②各都市拠点の広域的な機能連携の強化 ・各都市拠点相互の機能の補完と連携強化による、地域全体の生活利便性の向上と魅力の強化。 ・二地域居住の促進等による都市農村間交流の盛んな丹波地域としての魅力の向上。 ・森林、河川などの自然環境に恵まれた地域における、自然や地域資源を保全・活用した個性的 な交流拠点の形成。 ・三田、西脇、和田山、京都府福知山などの隣接する地域の都市拠点等との公共公益機能・生活 利便機能などの機能分担。 28 全体構想編 3)広域ネットワークの形成の方針 ①道路交通ネットワークの充実 ・阪神、但馬、播磨地域といった県内の周辺地域及び京都府との交流・連携を支える広域的な交 通ネットワークを形成。 (国道 175 号・176 号・372 号の主要幹線道路、舞鶴若狭自動車道、 北近畿豊岡自動車道、東播丹波連絡道路など) ・地域内の生活や物流、さらには防災などの機能を支える国道等の主要幹線道路等の充実・整備。 ②公共交通ネットワークの維持・充実 ・各都市拠点間の連携強化と、通勤・通学・物流等を支える公共交通ネットワークを充実。 ・JR 福知山線における通勤・通学の利便性向上や、観光客の各拠点へのアクセスの向上。 ・高齢者等を支える路線バスやコミュニティバス網の充実など、各拠点間の連携や地域の日常生 活を支える公共交通の利便性の向上。 4)土地利用の方針 ①土地利用規制・誘導の方針 ア 都市計画区域及び区域区分 ・丹波市に非線引き都市計画区域を指定し、緑条例及び開発許可制度等により土地利用を規制・ 誘導。 ・合併により1市に4つの都市計画区域(市島、春日、氷上、柏原)をもつ丹波市においては、 都市計画区域を統合及び拡大。 イ 緑豊かな環境形成地域及び地域の区分 ・当該区域の環境形成基準に沿った土地利用規制・誘導。 ウ 関連する各種制度との連携・調整 ・都市計画法及び緑条例に基づく規制・誘導と併せて、景観条例、農振法、森林法、自然公園法・ 自然公園条例、環境条例・自然環境保全地域などによる規制・誘導。 ②土地利用課題への対応方針 ア 地域住民との協働による丹波の森の実現 ・丹波地域の自然環境と調和した土地利用の誘導。 ・緑条例に基づく計画整備地区制度による地域住民主体の自主的な土地利用計画づくりの推進。 イ 丹波地域の魅力を活かした都市と農村の交流によるまちづくりの促進 ・丹波地域が有する資源を地域の誇りとして再認識し、それらを活かした地域内外の交流を発展 させ、地域活性化を図る。 (柏原の城下町、青垣の二地域居住、山南の薬草の里、上久下の丹波 竜などを活かしたまちづくり、多様な交流の取組み) ・都市農村交流拠点の整備、古民家再生、道の駅交流、情報発信機能強化など、丹波地域全体で の交流ネットワーク形成。 ウ 防災に配慮した土地利用 ・加古川水系などでの集中豪雤による浸水や土砂災害などの自然災害に対する防災に配慮した土 地利用。 エ 地域の玄関口等における顔づくり ・開発圧力の高い幹線道路(国道 175・176・372 号など)沿道やインターチェンジ(丹南篠 山口、春日、氷上、青垣)の周辺では、開発動向や地域意向を踏まえ、必要に応じて用途地域 等の都市計画手法等の活用を検討。 ・「たんば三街道」(デカンショ街道、水分れ街道、丹波の森街道)の沿道におけるアメニティ 豊かな景観誘導。 29 全体構想編 (2)地域環境形成の方向付け 緑豊かな地域環境の形成に関する条例(H6 年指定、H15 年変更) 兵庫県の定める緑条例によって、丹波地域の地域環境形成のあり方が以下のように方向付け られています。 1)丹波地域の緑豊かな地域環境の形成に関する基本構想 「丹波地域は、森と田園を基調とする地域環境を中心にして、豊かな暮らしを求める人々の 活動が、同時に地域環境を維持・創造しうるような生き方(地域社会のあり方)をつくりだし、 地域社会の活性化を図っていく。 」 2)区域の概要と指定状況 区域名 1 号区域 (森を守る区域) 2 号区域 (森を生かす区域) 3 号区域 (さとの区域) 概要 風景形成等の観点から特に重要な土地の区域として 森林等としての土地利用を通じて形成される環境の保 全を図る区域 まとまりのある森林の区域であり、今後とも森林とし ての土地利用を通じて、森林が持つ経済的機能及び公益 的機能の発揮を図るとともに、森林としての地域環境の 形成を図る区域 現況の農地を主体とする集落等を含む一体の区域で あり、今後とも農業の営みを通じて農地が持つ多面的な 機能の発揮を図るとともに、農地、集落等が一体となっ た田園としての地域環境の形成を図る区域 指定区域 森林の部分 山裾の現況森林の部分 農業振興地域を主とする地域 4 号区域 (まちの区域) 都市的な施設の集積を図り、人々の都市的な活動の中 心的な堲として、都市的機能の向上と良好な市街地環境 の形成を図る区域 氷上・柏原・春日の旧町中心 部とそれ らを結 ぶ沿道、青 垣・市島・山南の旧町村中心 部 2 項区域 (歴史的なまちの区 域) かつての城下町、宿堲町等としての歴史的な地域環境 が形成されており、今後とも歴史的な趣のある市街地環 境の形成を図る区域 柏原の城下町区域、青垣の佐 治 丹波地域の区域指定図 30 全体構想編 (3)国土利用の方向付け 兵庫県国土利用計画(第4次) (H20 年) この計画は、国土利用計画法第7条の規定に基づき、兵庫県の区域における国土(以下「県 土」という。 )の利用に関する基本的事項を定めるものです。これにおいて、丹波地域の県土利 用のあり方が以下のように方向付けられています。 1)県土利用の基本方針 ① 質的向上をめざした県土利用 ア 安全で安心できる県土利用 イ 循環と共生を重視した県土利用 ウ 美しくゆとりある県土利用 ② 有効かつ適切な県土利用 ③ 総合的なマネジメントへの配慮 2)丹波地域における県土利用の基本方向 丹波地域は、田んぼや里山、伝統的な建物からなる田園風景が残り、「日本のふるさと」とも 言える美しい景観を呈している。また、丹波の自然は、そこに住む人々はもちろん、隣接する 阪神都市圏等の人々に対して、余暇活動の堲を提供するなど、重要な役割を担っている。 したがって、緑豊かな自然や伝統文化を守り活かしながら人と自然と文化が調和した地域づ くりをめざすこととしている「丹波の森構想」を推進し、ゆとりとうるおいのある生活空間の 形成を図るとともに、都市との交流による効果を地域の活性化につなげることが必要となって いる。 このため、観光・レクリエーション産業を振興し、住宅地、産業・業務用地等の都市的土地 利用に必要な用地を自然との調和に配慮しながら確保することとし、都市機能の充実、生活環 境の向上のための道路、公園・緑地、河川、下水道等の都市基盤施設の整備により、計画的に 安全で安心できる良好な市街地の形成を図る。 また、農林業の振興のため、農用地の有効利用により、盆地特有の気候や風土を活かした地 域特産物を育成し、環境に配慮した農業や交流型農業を進めるとともに、森林の整備と利用の 高度化を進める。 さらに、豊かな自然資源やすぐれた伝統文化を活かし、都市住民との様々な交流活動の展開 やリピーターの確保、更には、定住へとつなげることによる地域活性化を図るため、 「たんば田 舎暮らし支援プロジェクト」※を推進する。 ※丹波地域ビジョン委員会では、同プロジェクトをさらに発展させ、 「たんばを楽しむ連携・交流プロジェクト」 として、空き家活用、都市からの移住者ネットワークづくり、企業や大学と連携した森・里づくり、地域内 外での「丹波ファン」づくりなどに取り組んでいる。 31 全体構想編 第2章 1 都市づくりの基本方向 都市の将来像(丹波市総合計画) 本計画においては、丹波市総合計画<基本構想>(平成 17 年度~平成 26 年度)に即して、 本市の将来像及び本市の基幹となる考え方である基本理念を次のように定めます。 【将来像】 人と自然の交流文化都市 【基本理念】 ① いつまでも健康で安心して暮らせるまち 住民の生命と財産を守り、安心して住み続けることができる都市形成を図るため、治山・ 治水事業、急傾斜地対策、防災の推進をはじめ、住民の自为防災意識の向上を図ります。 また、健康・福祉サービス強化にも努め、子供から大人まであらゆる人が健康で安心して 暮らすことができる生活環境を創出します。 ② 人と人、人と自然が共生し、未来につながるまち 農地や森林など既存の土地利用との調和を十分図りながら、豊かな自然環境を後世に継承 すべき財産と位置づけ、地域固有の歴史・文化を活かしながら、ゆとりと潤いのあるアメニ ティの高いまちづくりを目指します。 また、無秩序な開発を防止し、適切な土地利用への誘導を図りながら、良好な住環境の創 出に努め、次世代を担う子供たちの健全な育成など、人づくりからまちづくりを進めます。 ③ 地域を支えるにぎわいと活力あるまち 市全域が一丸となって地場産業の振興、商業の活性化、観光産業の育成に努め、地域内及 び広域圏での活発な交流連携を行い、住民の生活を支えるための都市機能を更に向上させる ことで、若年層が定住する魅力と活力のあるまちづくりを進めます。 また、市民等の参画と協働によるまちづくりを進め、市民自らが誇りを持てる、地域コミ ュニティを大切にした、新しい地域づくりを促します。 32 全体構想編 2 都市づくりの目標 都市の将来像の実現に向けた、具体的な都市づくりの目標を定めました。 1 いつまでも健康で安心して暮らせるまち ① 安全・安心なまちづくり 自然災害に備え、治山・治水事業、急傾斜地対策を行うとともに、市街地や集落内にお いては、災害時の避難・救急活動等に配慮した基盤整備を進め、安全・安心なまちを目指 します。あわせて、建物の耐震化及び丌燃化による震災・火災の予防推進をはじめ、市民 一人ひとりの高い防災意識と地域自为防災組織の確立等、地域が一体となった自助・共助・ 公助がバランス良く確保された、災害に強いまちを目指します。 また、子供たちが安心して通学できるよう交通安全対策に取り組むとともに、ユニバー サル社伒の実現に向けて、公共公益施設や为要駅のバリアフリー化など高齢者や障がい者 など誰もが安心して暮らし続けられるまちを目指します。 ② 都市機能が充実し、快適に暮らせるまちづくり 職・住・遊・学などの生活機能と商業・業務・文化・観光など様々な都市機能が充実し た「住みたい・住んでよかった・帰ってきたい」と思えるまちを目指します。 また、豊かな地域コミュニティの中で日常的な暮らしを支え合う関係が育成され、生活 道路や公園・緑地、上下水道といった生活基盤が整った、快適で質の高い定住環境にふさ わしい生活環境のまちを目指します。 ③ 日常生活を支える地域交通のあるまちづくり 交通事業者等との連携を図り、既存の公共交通とデマンド(予約)型乗合タクシーが相 乗効果を生み出すことで、本市に適合した交通体系を確立し、日常生活を支える公共交通 等が持続的に確保され、誰もが安全・円滑に市内移動ができるまちを目指します。 2 人と人、人と自然が共生し、未来につながるまち ④ 自然環境と共生するまちづくり 丹波市の基幹産業である農林業の活性化を図るとともに、森や川の豊かな自然環境が、 市民など多様な为体の手によって大切に守り継承され、そこに住む市民が環境に配慮した 生活を営む源流域にふさわしいまちを目指します。 市民一人ひとりが日常的に、ごみの減量化、再資源化に努め、建築物や交通手段におい ても、省資源・省エネルギーを意識したライフスタイルの定着する環境と共生するまちを 目指します。 ⑤ 身近な歴史・文化を活かしたまちづくり 旧城下町や宿場町等の歴史的な町並みや三ッ塚史跡、達身寺など、地域固有の歴史・文 33 全体構想編 化を保全し、後世に継承していくことで、地域コミュニティを活性化させ、まちへの誇り や愛着・定住志向を育む個性的なまちを目指します。 ⑥ 丹波市らしい景観づくり 丹波の森構想の理念を継承し、山並に囲まれて続く谷筋や盆地を骨格として、川、農地、 集落、まち、木々など、人と自然の営みの中、森と田園と集落が調和した景観を守り継承 し、地域の魅力として観光・交流の源泉となっているまちを目指します。 また、鉄道駅やインターチェンジ周辺や幹線道路沿道などでは、にぎわいの中にも秩序 のある都市景観が形成され、 「丹波らしさ」を発信しつづけるまちを目指します。 3 地域を支えるにぎわいと活力あるまち ⑦ 産業活力を高めるまちづくり 舞鶴若狭自動車道・北近畿豊岡自動車道など恵まれた広域交通網により、京阪神地域や 山陰地域、北陸地域を結ぶ交通結節点の機能を活かして、企業誘致や産業活動の活性化な どの多様な取り組みを進め、住環境との調和のもと、雇用の場の確保や消費の拡大など 産業活力の感じられるまちを目指します。 ⑧ 商業的魅力を高めるまちづくり 商業・業務・サービス機能等が集積した全市的なにぎわいの中心地が形成され、市内外 から多くの人が訪れる、商業的魅力の高いまちを目指します。 地域生活圏の拠点においては、日常の買い物、診療、福祉、公共サービスなど、暮らし の利便性が確保されたまちを目指します。 ⑨ 観光・交流のまちづくり 舞鶴若狭自動車道・北近畿豊岡自動車道などの広域交通網を活かして、市内に点在する 様々な観光資源を積極的に活用し、ネットワーク化を図ることにより、観光・交流のまち づくりを進めます。また、 『都市に近い田舎』という立地条件を活かして、本市の基幹産業 である農林業を地域資源に位置づけた観光・交流の取り組み、更には広域的な観光振興や 多様な都市との交流を進め、地域経済への波及効果も期待できるなど、本市の特性を活か した魅力的な観光・交流のまちを目指します。 ⑩ 効率的・効果的な公共投資のまちづくり 人口減少と少子高齢化の進展、自治体財政のさらなる逼迫等に対し、多様な为体の参画 と協働によるまちづくりを推進するとともに、都市基盤施設については維持管理・更新を 重視し、効率的・効果的な公共投資を図ります。 また、6町合併の経緯から類似の公共施設が多くある一方で、今後の人口減少に伴う利 用者や維持管理財源の減少が危惧されており、施設の計画的な統廃合に取り組みます。 地域をまたぐ広域的な課題(救急医療、防災など)については、兵庫県並びに近隣市町 あるいは各種団体や事業者等との広域的な連携のもと対応を図ります。 34 全体構想編 3 目標実現に向けた都市計画上の課題 都市づくりの目標の実現に向けて、取り組むべき都市計画上の为な課題は以下のとおりです。 ① 災害に強い安全・安心な地域づくり ア 本市では地形条件等から土砂災害や内水被害の危険が大きく、森林や農地の管理水準の 低下等も危惧されることから、治山治水事業や防災基盤の整備による災害に強いまちづ くりを推進する必要があります。 イ 少子高齢化等に伴う地域防災力の弱体化などを踏まえ、地域協働を通じた、減災の取り 組み、地域で支え合う自为防災組織の機能強化などによる、安全・安心な地域づくりの 総合的な推進が必要です。 ② 生活圏域に対応した地域拠点の形成 ア 本市では歴史的経緯から旧町ごとにまとまりある生活圏を形成していることから、今後 の人口減少に対して、コミュニティの基盤となる日常生活圏を堅持するため、中心とな る市街地への適正な土地利用の推進と、生活利便機能の充実を図る必要があります。 ③ 定住環境にふさわしい良好な生活環境の形成 ア 「住みたい・住んでよかった」と思える質の高い定住環境を形成するため、生活基盤の 整備・充実や地域環境と調和した住環境の形成が必要です。 イ 人口減少に伴って増加しつつある空き家、空き店舗、空き地等について、生活環境保全 の観点から、活用促進や適切な土地利用の規制誘導等を推進する必要があります。 ウ 暮らしの安心を支え、市民の定住意識を高め新たな居住者の誘引にもつながるような 良好なコミュニティの育成が必要です。 ④ 自然環境の保全・活用と景観形成 ア 源流域にふさわしい豊かな森と水の環境を継承するため、森林の適切な保全・活用や多 自然型川づくり等の推進が必要です。 イ 人と自然の営みが調和した美しい田園景観を維持・保全することによって、丹波市らし い景観を形成するとともに、本市の魅力の源泉として継承していく必要があります。 ウ 自然環境の保全・活用や景観の形成について、市民等の多様な为体の参画と協働のもと 推進する必要があります。 ⑤ 産業や交流等の活力増進に対応した都市づくり ア 企業誘致や産業振興、観光・交流等の活性化に向けて、広域交通網の充実・活用や基盤 整備等を進める必要があります。 35 全体構想編 イ 地域経済の活性化に向けて、工業団地の活用・拡充や新たな土地利用の規制・誘導、周 辺地域の環境や景観との調和などを推進する必要があります。 ウ 都市イメージの向上と観光・交流の活性化に向けて、豊かな自然環境や田園環境の保全 や元気な地域づくりの中での活用を進める必要があります。 ⑥ 広域的な吸引力や魅力のある商業系拠点の形成 ア 人口減少、購買力の流出、働く場の減少、地域経済の低迷などが危惧されることから、 全市的な生活利便性を確保しつつ丹波市都市圏形成を牽引するため、全市的な中心部に おいて計画的に商業集積の充実を図り、商業系拠点を形成する必要があります。 ⑦ 幹線道路網の充実・強化と持続的な公共交通の確保 ア 「兵庫県社伒基盤整備プログラム」や「丹波市道路整備計画」に即して、効率的・効果 的な公共投資の観点から、生活圏域間及び広域の連携強化のため、幹線道路網の計画的 な充実・強化と適切な管理・更新を進める必要があります。 イ 低炭素社伒や高齢社伒に対応して、市民の安全・円滑な市内移動を確保するため、日常 生活を支える鉄道やバスなどの公共交通を持続的に確保する必要があります。 ⑧ 無秩序な開発の防止と計画的な土地利用の推進 ア 本市の恵まれた自然環境や景観を守りつつ、地域活性化に資する新たな開発等を許容す るため、農業地域や森林地域での無秩序な開発の防止とともに、周辺環境と調和した土 地利用や景観への誘導を図り、地域環境と開発等の調和を確保する必要があります。 ⑨ 既存施設活用型都市づくりの重視 ア 少子高齢化・人口減少と厳しい財政状況下において、新たな公共投資が厳しい状況の中、 都市基盤施設や公共施設の整備あるいは維持・管理にあたっては、既存施設の有効活用、 長寿命化とともに、施設の統廃合や計画的な更新などを含め、効率的な公共投資を推進 する必要があります。 ⑩ 参画と協働によるまちづくりの推進 ア 社伒の成熟化と少子高齢化を迎え、これまで以上に質的向上を目指した都市づくりを進 めるため、市民や自治伒、事業者、行政など多様な为体が、 「新しい公共」※の考え方の もと、参画・協働するまちづくりを推進する必要があります。 イ 地域資源を活かしたまちづくりを推進するため、市民等の取り組みを支援する、仕組み づくりや関連施策との連携などを進める必要があります。 ※「新しい公共」とは、官(政府・行政)だけでなく、市民、NPO、企業などが積極的に公共的な財・サー ビスの提供为体となり、身近な分野において、共助の精神で活動し、地域づくりを担っていく考え方。 36 全体構想編 4 将来の都市構造 少子高齢社伒における都市づくりの基本方向として、自動車に過度に依存することのない集約 型の都市構造を有し、都市経営コストの効率化と自然環境共生を可能とする「エコ・コンパクト シティ」が提唱されています。丹波市においても、人口減少、地球環境問題、財政的制約等への 対応は必要であり、今後、この考え方に基づいた都市づくりが求められます。 一方、丹波市は、 「広い市域に市街地や集落が分散」 、 「コミュニティのまとまり」、 「個性的な歴 史・文化の蓄積」 、 「周辺都市圏との重複・影響」などの特性を有しています。 また、将来的には、さらなる人口減少・少子高齢化の進展も推測され、自治伒や校区での身近 なまちづくりを基礎に、地域での暮らしの環境(日常生活圏)を維持していくとともに、自立的 な丹波市都市圏の形成を目指していくことが重要となってきます。 このため、丹波市の特性に即した「エコ・コンパクトシティ」を目指す必要があります。 【エコ・コンパクトシティの丹波市への適用の考え方】 人口集中地区(D I D)を持たず、広い市域に市街地や集落が薄く分散している丹波市では、 一極集中型のコンパクト化を単純にあてはめることはできません。一方で、人口減少と高齢化の 進展に対して、現状のまま推移すれば、居住密度の低下や限界集落の発生など地域経営が成り立 たなくなる可能性が考えられます。さらに、都市基盤の維持管理や住民サービスなど、都市運営 コストが割高になり、結果として都市としての持続性が危ぶまれます。 このため、次のように丹波市の特性に即したコンパクト化を計画します。 まず、 「コンパクト化」については、コミュニティ意識が、ある程度まとまっている6つの地域 単位で「コンパクトな日常生活圏」を形成することで、地域単位での持続性を高めます。全市は、 それらコンパクトな地域の集合体として構築します。さらに、地域単位では充足できない都市的 な機能を、丹波市内でまかなうための全市的中心核を設定します。 次に、「エコ」については、地域の日常生活圏を確立し、地域内の公共交通を確保することで、 自動車への過度な依存を削減します。さらに、建築物等の省エネ促進や自然環境保全などを進め、 地域単位で環境との共生を図ります。 このように、歴史的経緯や地域特性を踏まえて、徐々にエコ・コンパクトシティの都市構造へ と移行させていく考え方です。 37 全体構想編 【都市構造の考え方】 丹波市で住み・働き・学び・遊ぶ多様な人々を惹きつける「丹波市都市圏」の形成を目指して、 以下の点を重視して都市構造の充実・強化を図ります。 ①丹波市都市圏の中心となる都市拠点(広域拠点、副拠点)の設定 ②地域ごとのコンパクト化を支える地域拠点の設定と拠点間の連携 ③広域拠点・副拠点・地域拠点の連携による日常生活機能の市内充足 ④広域連携による高次都市機能の充足 【構造化の方針】 都市機能の配置や交通ネットワークなど全市的観点から構築する「骨格的構造」と、6つの地 域ごとのコンパクトな「生活圏構造」を重ね合わせることにより、丹波市都市圏と地域の日常生 活圏がバランス良く両立した都市構造を構築します。 丹波市都市圏と地域の日常生活圏が 両立した都市構造 和田山 福知山 全市の骨格的構造 都市機能の配置、広域交通ネットワー ク、新たな都市核など、全市的観点か ら構造化し、位置づけを図る 西脇 篠山 三田 地域の生活圏構造 6つの地域ごとに、地域資源を活か した個性的なまちづくりを展開 その集合体として全体を構想 38 地域の日常生活圏 全体構想編 都市構造図 区分 拠点 都市軸 構成要素 内容 広域拠点 商業・産業・観光・交流等の各種都市機能が集積し、市内外から多くの人 やモノが集まる、にぎわいと活力の中心拠点。 副拠点 広域拠点の機能を一部担い補完する拠点で、特に広域交通利便性を活かし た商業・文化・交流・産業などの都市機能を担う拠点。 地域拠点 買い物、診療、子育て、福祉等の生活機能を支える日常生活圏の拠点。 工業拠点 計画的に工業・流通等の機能を高め、本市の産業活力を牽引する拠点。 広域軸 高速道路網及び为要国道等からなる、広域的な連携・交流の交通軸。 (現在構想中の東播丹波連絡道路も含む) 地域軸 広域軸を補完して市内各所を結び、地域間の連携・交流を支える交通軸。 都市圏形成軸 本市の発展方向を示すイメージ軸。人・もの・経済を吸引し、活力の市内 循環を創出する独自の「丹波市都市圏」の形成を目指す。 日常生活圏 ゾーン 田園・集落ゾーン 森林ゾーン 歴史的なつながりの強い既存の集落や地区のまとまり。地域ごとのコンパ クトで持続的な暮らしを形成する圏域。 農地、集落、住宅地等が調和した、快適な生活環境を形成するゾーン。 豊かな自然環境を有する森林環境を保全するゾーン。 39 全体構想編 第3章 都市づくりの方針 めざすべき将来像である「人と自然の交流文化都市」の実現に向けて、地方分権時代に求め られる都市経営の観点から、特に次の5つの視点を重視して、以下の5つの分野別に、都市づ くりの方針を定めます。 ①地域環境の形成と地域経済の活性化の両立 ②安全・安心で快適に暮らせるまちづくり ③豊かな自然環境の保全と丹波市らしい景観形成 ④既存施設の活用と効率的・効果的な公共投資 ⑤参画と協働によるまちづくり 40 全体構想編 1 土地利用及び市街地整備の方針 (1)現況と課題 本市は、市域の約7割を山林が占め、2割が農地、市街地や集落は1割程度となっています。 瀬戸内海に注ぐ加古川流域と日本海へ注ぐ由良川水系の竹田川流域からなり、日本一低い 中央分水界「水分れ」を有しています。旧町中心部などに市街地が形成されていますが、人口 集中地区はなく、広い市域に低密度に居住地が広がっているのが特徴です。 これまで旧町ごとに個性的なまちづくりに取り組んできた経緯や、公共公益機能や都市機能 が分散していることもあり、旧町のコミュニティ意識が強くあります。それぞれの地域が日常 生活圏を形成し、旧町中心部の市街地が現在も地域の拠点として機能しています。今後のコン パクトな都市づくりに向けて、これらの日常生活機能を維持していく必要があります。 一方で、全市的な中心となる拠点的市街地については、稲継交差点周辺に一定の商業集積が 見られますが、土地利用の方向性等は明確ではなく、全市的機能の確保や周辺市との競合を考 慮した拠点形成が必要となっています。さらに、高速道路を活用して新たな商業核が形成され つつあることから、土地利用や景観の適切な規制・誘導が必要となっています。 これらの市街地の周辺部では、幹線道路沿道での開発による土地利用や景観の混乱や、農地 のなかに住宅地や事業所等が立地するなど無秩序な土地利用も見受けられ、計画的な土地利用 の推進が求められます。 また、人口減少に歯止めをかけ、定住を促進する観点から、広域交通網を活かした企業誘致 や工業団地の強化、観光・交流等の振興が求められています。その際には、自然環境や景観を 阻害する無秩序な開発の防止、地域環境と調和する土地利用等の誘導、農林環境の適正な管理 など、地域環境保全と活性化の両立を図る視点が必要となっています。 (2)基本的な方向性 ①丹波市都市圏の中核となる、広域拠点・副拠点の都市機能の充実・強化 ②旧町ごとのまとまりを活かす、地域拠点の生活利便機能の維持・充実 ③定住環境にふさわしい、安全・安心で快適な住環境の形成 ④地域環境保全と活性化を両立するための、無秩序な開発の防止と計画的な土地利用の推進 ⑤丹波市らしさを醸し出す自然・田園環境の保全・活用 (3)基本方針 ① 広域拠点 稲継交差点付近を中心とする沿道市街地と、氷上町成松周辺及び柏原町柏原周辺の既成市 街地を、全市的・広域的な拠点市街地として、広域交通網を活かした商業・産業・観光・ 41 全体構想編 交流等の各種都市機能の充実・強化を図り、にぎわいのある本市の広域拠点を形成します。 稲継交差点周辺では、広域商業系市街地を、氷上町成松周辺及び柏原町柏原周辺では、 住商複合市街地を形成します。 (1) 稲継交差点周辺の市街地…(広域商業系市街地) ア 商業・業務・サービス系地区 稲継交差点付近の沿道市街地は、「ゆめ タウン」と「コモ ーレ」など大型店舗を核に、全市的な生活利便機能を担う 商業・業務・サービス地区として、周辺市との競合にも 対応できる都市機能の充実・強化を誘導します。 用途地域等を活用して、周辺環境と調和した土地利用へと 大規模商業施設と田園環境 規制・誘導を図ります。また、景観条例や屋外広告物条例 等を活用して、良好な景観形成を誘導します。 イ 住宅・田園調和地区 幹線道路の背後地では、用途地域や地区計画制度、緑条例 等を活用して、無秩序な土地利用や景観的な混乱を防止し、 営農環境との適切な調和を図りつつ、良好な住居系市街地 幹線道路沿道の商業集積 を形成します。 加古川や柏原川と高谷川の合流点付近の河川改修等により市街地の安全性を高め、良好 な都市環境を形成します。 ウ 工業系地区 氷上工業団地と新井工業団地及びその周辺は、工場・事業所・倉庫等が集積する工業地 区として、地区計画制度や緑条例の活用など計画的な土地利用の促進や操業環境の保全、 緑化等による周辺環境と調和する景観形成などを誘導します。 (2) 成松及び柏原の既成市街地…(住商複合市街地) ア 近隣商業・サービス系地区 柏原は、鉄道(JR 柏原駅)による本市の玄関となっており、 「中心市街地活性化基本計画」に基づき、歴史的な街なみ の保存に加え、既存店舗の適切な更新や空き店舗活用など を促進し、日常的な生活利便機能の維持を図るとともに、 柏原町柏原の市街地 観光客など来訪者向けの商業・サービス機能の充実を図り ます。また、地域医療の中心となっていることから、県立 柏原病院・柏原赤十字病院等との機能連携に努めます。 成松は、既存店舗の適切な更新や空き店舗活用など人の集 まる空間づくりを促進し、買い物や診療など地域の日常生 活の利便性を支える拠点市街地として充実を図ります。 氷上町成松の市街地 42 全体構想編 イ 住居系地区 氷上町成松及び柏原町柏原の既成市街地では、住居系土地利用を为に、一部に商業・業 務・サービス等の機能が複合した土地利用を誘導します。 既存建築物の適切な管理や更新と合わせて建築物の耐震・丌燃化、個別建替に伴う幅員 の狭い道路の拡幅、あるいは空き地を活用した広場等の確保、地域特性に応じた景観形 成などを促進し、安全で快適な市街地環境を形成していきます。 市街地内の空き家や空き地などについては、周辺環境との調和に配慮しつつ、住民など の参画のもと、地域の活力向上につながるような有効活用を誘導していきます。 ウ 田園地区 市街地周辺の田園地区では、まとまりある農地や緑地等の保全に努めるとともに、開発 や土地利用転換にあたっては、都市計画法や緑条例などを活用して、周辺環境との調和 の確保、無秩序な土地利用の抑制、景観の規制・誘導などに取り組みます。 ② 副拠点…(住商複合市街地) 春日インターチェンジ周辺から春日町黒井周辺の既成市街地を、住商複合市街地として、 商業・文化・交流を为とする各種都市機能の充実・強化を図り、本市の副拠点を形成します。 ア 交通拠点地区 春日インターチェンジと JR 黒井駅周辺では、市内各地や 京阪神の広域からも集まりやすい交通の要衝であることを 活かし、交流機能や産業機能の強化を図ります。また、来 訪者を迎える案内サイン等の整備や、景観条例や屋外広告 物条例等を活用して建築物や看板等の規制・誘導を行いま す。 国道 175 号沿道及び春日インターチェンジ周辺には、商 業・サービス施設や工場、住宅など多様な用途が立地して 春日インターチェンジから国道 175 号にかけての沿道型市街地 います。良好な市街地環境や景観を確保するため、都市計 画法や景観条例等を活用して、無秩序な開発の抑制、土地 利用の規制・誘導、良好な景観の形成等を誘導します。 イ 歴史・文化・交流地区 七日市遺跡や黒井城跡といった歴史・文化資源とともに、 春日文化ホールなどもあり、全市的な文化の発信や市民の 交流の拠点となっています。また、道の駅「おばあちゃん の里」は、舞鶴若狭自動車道などの広域交通網を活かした 都市農村交流の場ともなっています。今後とも、これらの 特徴を活かし、新たな文化の発信や多様な交流の拠点機能 を有する「歴史・文化・交流地区」の形成を図ります。 43 交流拠点となっている道の駅 「おばあちゃんの里」 全体構想編 ウ 近隣商業・サービス系地区 黒井の市街地においては、旧商店街を中心とした城下町としての景観に配慮し、既存の 店舗と調和のとれたまちづくりを行うとともに、日常的な生活利便機能の維持・充実を 促進します。 エ 住居系地区 黒井及びその周辺市街地では、良好な住環境の形成を基本とし、既存建築物の適切な管 理や更新、城下町らしさを活かした景観形成、個別建替に伴う幅員の狭い道路の拡幅、 建築物の耐震化等、あるいは空き地を活用した広場等の確保などを促進し、安全で快適 な市街地環境を形成していきます。 ③ 地域拠点…(住居系市街地) ア 青垣町佐治周辺、山南町井原周辺、市島町上田・市島周辺 の既成市街地を、住居系市街地として、市役所支所や住民 センターなどの公共公益機能とともに、日常の暮らしを支 える買い物、診療、子育て、福祉等の生活機能の維持・充 実を図り、地域拠点を形成します。 イ 地域拠点では、地区特性に応じた景観形成、個別建替に伴 青垣町佐治の町並み う幅員の狭い道路の拡幅、建築物の耐震化等を推進し、既 存店舗の適切な更新や空き店舗活用など人の集まる空間づ くりの促進と合わせて、安全・安心な住環境を有する住居 系市街地の形成を図ります。 ウ 青垣町佐治周辺では、旧来からの商店街や为要地方道青垣 柏原線沿道において生活利便機能の維持を図るとともに、 歴史的な町並みを保全・活用して住民参加による地域活性 山南町井原周辺の町並み 化の取り組みを推進します。 エ 山南町井原周辺では、国道 175 号沿道や井原交差点周辺 において生活利便機能の維持を図るとともに、谷川や和田 などの公共公益機能や利便機能との連携に努めます。 オ 市島町上田・市島周辺では、国道 175 号沿道において生 活利便機能の維持を図るとともに、JR 市島駅の交通利便 性を活かした住居系市街地の形成を図ります。 カ その他、氷上町石生駅周辺、山南町谷川周辺、山南町和田 周辺、市島町竹田駅周辺の既成市街地では、住環境の保全 と育成を促進し、良好な住居系市街地を形成します。 44 市島町市島周辺の町並み 全体構想編 ④ 集落・田園地区 ア 農地を为体に集落を含む一体の区域は、集落・田園地区と して、住民などの参画のもと、農業の営みを通じた農地の 保全、農村環境の維持・改善、地域コミュニティの育成な どを促進し、緑豊かな田園まちづくりを推進します。 イ 集落では、住民、自治伒などの参画のもと、集落内の生活 道路の整備、空き地・空き家の活用、住宅等の耐震化、広 広がりある豊かな農地 場などの公共空地の確保、無秩序な開発の防止などを図り ます。 ウ 集落や地域内での支え合いや、企業や大学、NPOなどを 含む多様な为体の参画と協働、グリーンツーリズムや都市 農村交流などにより、農地や里山の管理や活用、地区の歴 史・文化的資源の活用、地区特性に応じた安心な住環境の 農地や里山と調和した集落 維持など、活力ある地域づくりを促進します。 エ 集落周辺などでの開発や土地利用転換にあたっては、都市計画法及び農振法、緑条例、 屋外広告物条例などを活用して、田園環境との調和の確保、隣接農地への影響にも配慮 した計画的な土地利用の推進、屋外広告物等の規制・誘導などに取り組みます。 また、農林施策等と連携して、遊休農地対策、鳥獣害対策、災害防止などに取り組み、 多面的な役割を有する緑豊かな田園環境の形成を図ります。 ⑤ 工業拠点 ア 市内7箇所の工業団地については、企業誘致施策との連携 のもと、地区計画制度や緑条例等を活用して、計画的な工 業拠点としての土地利用の促進や操業環境保全などを図り ます。 イ 東播丹波連絡道路の整備やスマートインターチェンジの設 置(いずれも構想)を含む高速道路網の充実を活かして、 山南工業団地 周辺環境との調和を図りつつ、工業団地や既存事業所の拡 充や新設等について検討します。 ウ 工業団地以外の既存工場等については、環境保全や景観形成、緑化などの取り組みを 促し、周辺住宅地との調和・共存を促進します。また、地区の実情を踏まえ、地区計画 制度や協定制度等を活用して、周辺環境との調和を確保しつつ、必要に応じて工場集積 の拡充等に対応します。 45 全体構想編 ⑥ 観光・交流拠点 ア 水分れ公園、恐竜の里、薬草薬樹公園、丹波年輪の里、道 の駅などについては、本市の代表的な観光・交流拠点とし て、自然資源や地域資源を保全しつつ、市民や観光客が憩 い、交流し、自然にふれられる場としての整備・活用を促 水分れ公園(氷上町) 進します。 イ アクセス道路や案内サイン、駐車場、公衆トイレなどの交 流基盤整備等を進めるとともに、歴史・文化拠点を含む拠 点間のネットワーク化や周辺地域との連携により、地域全 体で多様な観光・交流を促進します。 薬草薬樹公園(山南町) ⑦ 歴史・文化拠点 ア 本市には、柏原藩陣屋跡、三ッ塚史跡、達身寺、高源寺、 興禅寺、石龕寺など多様な歴史・文化資源があります。こ れらの歴史・文化資源を核に一体的な歴史的風致を形成し ている区域については、本市を代表する歴史・文化拠点と して、地域に継承されている歴史・文化を保全しつつ、市 民や観光客が集い、交流し、歴史・文化に親しむ場として 太鼓やぐら(柏原町) の整備・活用を促進します。 イ 核となる歴史・文化資源の保全や顕彰を進めるとともに、景観条例や緑条例等を活用し て、歴史的風致と調和した景観の形成や施設整備等を誘導し、さらに観光・交流拠点と してのネットワーク化など多様な活用を促進します。 ⑧ 森林地区 ア 市域の約7割を占める森林地区については、丹波市らしい 風景形成や自然環境保全とともに、土砂災害防止など自然 災害への備え、水源かん養上も重要な地区であり、今後も 森林としての多面的機能の保全を基本とします。 イ このため、地域特性を活かし、路網整備や除間伐、混交林 化などの持続的な森林経営を推進し、安全で活力ある水源 霧が立ち上る丹波らしい森林 の森林づくりを進めます。また、森林法に加えて都市計画 法や緑条例等を活用して、無秩序な開発の防止を図り、防 災面からも治山治水事業により安全・安心を確保します。 緑と水の豊かな自然環境 46 全体構想編 47 全体構想編 2 都市基盤施設整備の方針 (1)現況と課題 本市は、舞鶴若狭自動車道・北近畿豊岡自動車道による高速道路網のほか、国道と県道によ って市内外を結ぶ幹線道路網が構築されており、 「兵庫県社会基盤整備プログラム」や「丹波市 道路整備計画」に即して体系的に整備を進めています。今後とも、市民の生活・産業・交流・ 安全などを支える重要な都市基盤として、幹線道路網の計画的な整備・充実を図っていく必要 があります。特に、地域拠点の連絡道路、国県道を効果的に接続できる道路、住民生活の質の 向上に寄不する生活道路などについて、優先的に整備を進めることが求められます。 また、尐子高齢化の進展に対して日常生活を支える公共交通の確保については、その持続性 が重要であり、デマンド(予約)型乗合タクシーによる日常生活圏に対応した地域内移動を確 保するとともに、JR、路線バス等の連携によって誰もが円滑に市内を移動できるまちづくり を支えていく必要があります。 上下水道施設やその他の施設については、必要な施設について一定整備済みであり、今後と も、快適な住環境を支える生活基盤として、効率的な運用のための既存施設の整理・統合や、 計画的な長寿命化・更新・耐震化、省エネルギー化の推進など、適切な維持・管理に取り組む 必要があります。 (2)基本的な方向性 ①丹波市都市圏の生活・産業・交流・安全等を支える、広域的な幹線道路網の体系的な整備 ②安全・安心に暮らし続けられる、生活道路の整備・充実 ③高齢社会において日常生活を支える公共交通の充実 ④上下水道施設等の生活基盤施設の計画的で適切な維持管理・更新 ⑤源流域にふさわしい、安全で環境と調和した水辺空間の形成 (3)基本方針 (3-1)道路の整備 ① 広域軸(広域幹線道路) ア 舞鶴若狭自動車道・北近畿豊岡自動車道からなる高速道路網、及び国道 175 号・176 号について、本市と京阪神地域・山陰地域を結ぶ広域軸として位置づけ、今後もその機 能の維持向上を働きかけていきます。 イ 東播丹波連絡道路(構想)についても、県中央部の南北の主軸として、その早期整備に 向けて働きかけていきます。また、高速道路から幹線道路へのアクセス道路の整備や、 スマートインターチェンジの設置に向け関係機関等と協議します。 48 全体構想編 ② 地域軸(地域幹線道路) ア 国道・主要地方道・一般県道を主体に市内各地を結ぶ幹線道路網を構築し、「兵庫県社 会基盤整備プログラム」及び「丹波市道路整備計画」に即して体系的・計画的に整備を 進めるとともに、既存施設の適切な維持・管理に努めます。 イ 特に、兵庫県による整備事業との連携や、拠点市街地のネットワーク化、あるいは代替 路線となるバイパスの整備など、整備効果の発現や相乗効果が期待される箇所や路線を 優先的に推進します。 ウ 地区内交通の円滑な処理と幹線道路へのアクセス性の向上をめざし、その他の補助幹線 道路を整備します。 エ 福祉のまちづくりの観点から、鉄道駅やバス停及びその周辺の公共公益施設等を結ぶ 主な路線の歩道などのバリアフリー化を図ります。 ③ 生活道路 ア 市街地や集落内には、幅員の狭い道路も多く見られ、災害発生時の緊急活動や良好な居 住環境の形成等を阻害する要因にもなっています。そのため、建築物の建て替えに合わ せてセットバックを誘導し、一定の連続性を持つ区間について、地域と協議し必要に応 じて生活道路の拡幅を図ります。 イ その他の生活道路については、適切な維持・管理を行い、日々の暮らしの安全・安心の 確保に努めます。 ウ 幹線道路や通学路における歩道等の整備、また生活道路の交差点改良や標識や防護柵等 の交通安全施設整備などにより、歩行者の安全性の確保を図ります。 ④ その他 ア 道路施設の計画や整備については、利用者の立場に立って、維持・管理の容易さ、低コ スト、バリアフリー、景観などを含む多様な視点から検討します。また、既存施設の適 正な維持・管理、道路施設の長寿命化を図り、総合的な維持・管理・更新費用の抑制に つなげます。 イ 日本風景街道構想にふさわしい道路沿道景観の整備に努めます(丹波の森街道、水分れ 街道、川代恐竜街道) 。 ウ 市内の観光・交流拠点、歴史・文化拠点等をつなぎ、散策やレクリエーションなど、歩 行者や自転車の利用を優先した散策道などの整備を検討します。 49 全体構想編 (3-2)公共交通及び交通結節機能の整備 本市の公共交通体系としては、鉄道と路線バスを基軸とし、公共交通丌便地域の解消を図る 観点からデマンド(予約)型乗合タクシーと普通タクシーへの連携を基本とします。 ① 鉄道の利便性向上 ア JR 福知山線については、鉄道事業者と協力して機能強化(複線化、施設改善、利便性 及び安全性の向上等)に努めます。 イ JR 加古川線については、鉄道事業者や関係自治体等と連携して、JR 福知山線との連絡 など、利便性の向上や利用増進に取り組みます。 ウ 本市の広域拠点・副拠点に位置する柏原駅・石生駅・黒井駅について、路線バス事業者 の協力により、利便性と交通結節機能を高めます。 ② 地域交通の利便性向上 ア 路線バスの利便性向上について、時刻表や路線の見直しなど、路線バス事業者と協力し た取り組みを進めます。 イ 鉄道又は路線バスへの交通結節機能を高めるため、デマンド(予約)型乗合タクシーと 普通タクシーを積極的に活用します。 ウ 身近な買物やかかりつけ医への通院など、生活に密着した区域運行をねらいとしたデマ ンド(予約)型乗合タクシーの利用増進に努めます。 エ 拠点市街地の利便性の充実と合わせて、公共交通の利便性を高めることで、自動車に過 度に頼らないで安心して暮らせるまちづくりを目指します。 オ 公共交通を利用することが困難な方については、福祉施策として個別対応を図ります。 ③ 交通結節機能の充実 ア 低炭素で環境負荷の尐ない移動手段として、公共交通の利用促進を図るため、鉄道・路 線バス・デマンド(予約)型乗合タクシー・普通タクシーでの相互の結節機能の強化に ついても検討します。 イ 鉄道駅には駅前ロータリーが整備済みであることから、今後は必要に応じて、駐車・駐 輪場等を拡充し、公共交通の利便性向上に努めます。また、柏原駅のバリアフリー化に も努めます。 ウ 環境に優しいライフスタイルや歩いて暮らせるまちづくりを進めるため、自転車の利用 しやすい交通環境の整備、各種施設への駐輪施設の設置などを誘導します。 50 全体構想編 (3-3)上下水道及び河川 ① 上水道 ア 上水道は市域全域で整備済みであり、今後も安全な水道水の安定的な供給を図るため、 計画的な施設の維持・管理・更新に努めます。また、効率的運用を図るために「丹波市 水道統合計画」に基づいて既存施設の統合・合理的配置を進めていきます。 ② 生活排水処理施設 ア 生活排水は、 「公共下水道」、 「農業集落排水事業」、「コミュニティプラント事業」、「浄 化槽」により処理を行うこととしており、既に整備がほぼ完了しています。今後は安定 的な処理を図るため、計画的な施設の維持・管理・更新に努めます。また、効率的運用 を図るための既存施設の統廃合を検討していきます。 ③ 河川等 ア 河川については、県の河川整備計画に基づき、水系全体の防災性を高めるための河川改 修を推進するとともに、水と緑の潤いある景観形成や生物生息空間等の環境保全など、 多様な観点を考慮して、整備、維持・管理を進めます。 イ 県総合治水条例に基づき、流域内の保水及び貯留機能の確保等の流域対策、及び浸水被 害が発生した場合でも被害を小さくする減災対策を組み合わせた総合治水対策を推進 するとともに、内水による浸水被害が予測される地域では、施設整備と共に土地利用の 規制・誘導などハード・ソフト両面からの対策を検討します。 (3-4)その他の都市基盤施設 ① ごみ処理施設 ア 本市のごみ処理施設は、クリーンセンター、リサイクルセンター、最終処分場が、市内 5つの拠点にあり、篠山清掃センターを含めて処理されています。これら施設の計画的 な維持・管理に努め、適正なごみ処理を推進するとともに、分散しているごみ処理施設 について、環境に配慮した新たな施設へ集約します。 ② 教育施設 ア 幼稚園、保育所については、認定こども園に集約し、補助要綱に基づいた補助を行う中 で、必要な施設整備を進めます。 イ 小学校、中学校については、平成 24 年度までに耐震化率 100%とし、学校適正規模・ 適正配置計画に基づいて、教育環境の変化に応じた計画的な施設整備を進めます。 ③ 火葬場 ア 火葬場については、現在2箇所が整備されています。これら施設の適切な維持・管理に 努めるとともに、両施設のあり方など効率的運用を図るため検討します。 51 全体構想編 52 全体構想編 3 安全・安心なまちづくりの方針 (1)現況と課題 本市は、山がちの地形条件と源流域ということから、市内のいたるところで、土砂災害や水 害等の自然災害への対応が必要丌可欠です。特に、谷底平野地にあっては河川勾配が緩くなっ ている現状から、下流の田畑、人家、商店街への河川氾濫などの内水被害が生じやすい状況に もあり、高谷川や柏原川が加古川に合流する付近では、これまでから河川改修が進められてお ります。 また、市内には、老朽木造家屋も多く存在している現状から、建築の耐震・防災性向上とと もに、緊急車両がスムーズに進入できる道路や安心して避難できるオープンスペースの確保な ど、市街地をはじめとする面的な安全性向上が課題となっています。 また、ハード整備だけでは限界があり、ハザードマップ等による危険地域情報の周知徹底や 自主防災組織による取り組みなど、地域の状況に応じた支援措置や官民の協力と連携を、強化 する必要があります。 このため、これまでに被った災害や他都市の災害を教訓に、都市としての防災性向上と地域 や住民一人ひとりの防災意識の向上と相互扶助や連携による減災を進め、災害に強いまちづく りに取り組む必要があります。 また、日々の暮らしの安全と安心を高めるため、防犯意識の高揚や交通安全対策など、安心 して暮らせるまちづくりを進めるため、住民による見守りなどといった、防犯活動を促進して いく必要があります。 (2)基本的な方向性 ①体系的な防災基盤の整備 ②総合的な取り組みによる安全・安心のまちづくり (3)基本方針 ① 防災基盤 ア 山林における災害防止や土砂災害防止を図るため、路網整備や除間伐などの持続的な森 林経営、混交林化等の適切な森林整備を行うとともに、治水・治山事業、急傾斜地等の 防災対策など着実に取り組みます。 イ 農地については、水源かん養など防災面での大きな機能を担っていることから、無秩序 な市街化や開発の抑制に努めます。 ウ 市街地内の内水被害を防ぐため、河川や水路の計画的な改修整備を図りつつ、雨水の貯 留・浸透や農地、ため池等の農業生産基盤の保全・活用など流域全体の総合的な治水機 能の強化を図ります。 53 全体構想編 エ 「丹波市地域防災計画」に即して、広域から地域レベルまでを想定した防災拠点や避難 所、緊急輸送路網(一般、幹線) 、救援物資の確保など体系的な整備、適切な維持・管理 を行います。 オ 関係機関や事業者と連携し、道路・河川・橋りょうなどの公共施設や公共建築物、ライ フライン(電気・上下水道・情報通信・防災無線など)の耐震性の強化を推進します。 ② まちの安全性 ア 建築物等の耐震化を推進するため、「簡易耐震診断推進・わが家の耐震改修促進事業」 の活用促進を図るとともに、市内建築関係団体等の協力も得ながら、住宅耐震化の促進 の情報提供や意識啓発を進めます。 イ 円滑な避難と緊急車両等の通行を確保するため、まちなかにおける幅員の狭い道路の拡 幅整備を進めます。 ウ 災害時の防災拠点、避難所としての役割が求められる公共施設については、計画的に耐 震化を図ります。 エ 防火水槽、消火栓の計画的な整備を進めるとともに、一時的な避難場所やオープンスペ ースの確保により火災に強いまちづくりに努めます。 オ 被害の抑制・減災を図るため、土砂災害等の危険な区域については、必要に応じて開発 行為の規制・誘導などを検討します。 カ 道路整備や街路灯設置など、防犯や交通安全の観点も考慮した整備を進めます。 ③ 自主防災・自主防犯 ア ハザードマップなどを活用した情報の周知と防災意識の高揚を図るとともに、地域ごと の避難所整備、防災資機材、食料等の備蓄など進めます。 イ 自主防災組織の組織化と育成、住民参加による防災訓練の実施、災害時の要援護者支援 制度により、地域住民と連携した共助を推進します。 ウ 身近な犯罪情報の提供や防犯知識の普及啓発に努め、市民の防犯意識の高揚を図るとと もに防犯グループ、消費者団体の育成強化など地域と連携した防犯活動を促進します。 エ 警察・地域等とも連携しながら、児童・生徒の登下校時の見守り活動の実践や交通安全 教室の実施など、交通安全の普及・啓発に努めます。 ④ 広域連携 ア 大規模災害や幹線道路網の断絶などに対応すべく、兵庫県及び周辺市町等との災害時応 援協定などの締結を進めます。 54 全体構想編 55 全体構想編 4 自然環境の保全・活用と都市環境形成の方針 (1)現況と課題 本市は、瀬戸内海に注ぐ加古川と日本海に注ぐ由良川水系竹田川の源流域に位置し、豊かな 森と水の環境に恵まれています。自然は、防災・景観・水源・生き物・資源循環など多面的な 機能を有する重要な要素であり、自然と共生する質の高い生活環境を形成する観点からもその 保全・活用は重要です。 市の東部には多紀連山県立自然公園が、西北部には朝来群山県立自然公園が指定されていま す。これらは丹波市のみならず広域的にも重要な要素であり、適切な保全・活用が必要です。 現状では、営農林者の減尐に伴い農林環境の管理水準の低下が懸念されています。 一方、まちなかにおいては、小規模な街区公園7箇所のほか、水分れ公園や薬草薬樹公園、 スポーツピアいちじま、丹波年輪の里など、多様な公園的施設が整備されていますが、快適で うるおいある都市環境の確保については、既存施設の見直しを含め、公園や広場の確保や緑化 の推進など、生活環境の質の向上に向けて総合的に取り組む必要があります。 (2)基本的な方向性 ①豊かな森と水に恵まれた、丹波市らしい自然環境の保全・活用 ②都市の魅力を高める、水と緑のネットワークの形成 ③生活環境の質を高める、まちなかの緑化の推進 (3)基本方針 ① 自然環境の保全・活用 ア 県立自然公園や保安林を主とする山林については、水源かん養、土砂流出防止、景観形 成、自然とのふれあい、生物生息空間などの多面的な機能を有する貴重な自然環境であ り、丹波市森林づくりビジョンで示した、地域の特性を活かした安全で活力ある水源の 森林づくりを基本理念に、災害に強い水源の森林、持続可能な森林経営を目指す森林、 協働で育てる森林を目標として、森林づくりを進めるとともに、丹波市地域新エネルギ ービジョン(重点ビジョン)に基づく木質バイオマスとしての利活用を推進します。 イ 河川、ため池、水路等については、防災面と安全面を考慮しながら、源流域にふさわし い美しい河川環境の保全、生物など自然環境の再生、潤いある景観形成などに取り組む とともに、レクリエーション空間などとしての適切な活用も図ります。特に恐竜化石の 発掘が進む篠山川の川代渓谷では、豊かな自然環境と景観、貴重な資源を活かした「恐竜 の里づくり」を推進していきます。 56 全体構想編 ウ 田園環境や、集落付近にある鎮守の杜や河畔林などの樹林地の保全に努めます。 エ 四季折々の美しさを見せる身近な自然の愛護や保全を促進するとともに、それらを活か したグリーンツーリズムや都市農村交流など、地域活性化に寄与する取り組みを促進し ます。 ② 公園・緑地等 ア 都市公園のみならず、本市の有するスポーツ施設、余暇施設、自然公園なども含め、公 園的施設の適正配置を考慮し、公園・緑地等の適切な維持・管理を図ります。 イ 森と水の豊かな自然環境とともに、公園・緑地等の緑化空間を活用して、都市環境の向 上に寄与する水と緑のネットワークの形成を推進します。 ウ 地域内の空き地などの未利用地については、地域住民の交流促進につながるような広場 やポケットパークとしての活用について地域主体の検討を促し支援します。 エ 住宅地や集落内の公園広場、集会所など、身近なオープンスペースについて、地域住民 の参画を得て緑化を進めたり、公園や広場の遊具の日常点検に取り組むなど、適切な維 持・管理を推進します。 ③ 緑化 ア 各種公共施設や沿道の緑化に積極的に取り組みます。 イ 住宅地等では、良好な居住環境づくりの一環として、花や緑のボランティアの育成など を通じて民有地の緑化や花づくりの活動を促進します。また、事業所や工場等について も、周辺との調和を図るため緑化を促進します。 ウ 拠点的市街地(広域拠点、副拠点、地域拠点)や鉄道駅周辺については、うるおいある 市街地環境づくりやおもてなしの景観づくりに向けて、積極的な緑化や花づくりなどを 進めます。 57 全体構想編 5 景観形成の方針 (1)現況と課題 本市を含む丹波地域では、 「人と自然と文化の調和」を理念とする「丹波の森構想」が推進さ れています。丹波の森構想が示すように、本市には、幾重にも重なる緑の景観、源流域にふさ わしい美しい水辺の景観、桜や紅葉などの四季折々の自然の景観が保全・形成されています。 また、人と自然の織りなす田園の景観、歴史・文化を伝える城下町や宿場町の歴史的な景観 など、魅力的な景観が、地域の中で継承されてきています。近年は、こうした優れた自然環境 や景観を活かして、観光や都市農村交流、グリーンツーリズムなどの展開が進められています。 一方、幹線道路沿道やインターチェンジ周辺では、周辺と調和しない建築物や派手な広告物 などによる景観阻害も見受けられ、市民や来訪者に丹波市らしさや良いイメージが伝わらない ことが懸念されています。 成熟社会に対応した魅力的な住環境を形成するとともに、地域への誇りや愛着の醸成や観 光・交流等の活性化にも資するため、景観条例や屋外広告物条例、緑条例などの制度活用とと もに、日本風景街道構想などの取り組みを促進し、丹波市らしい景観形成と活力ある地域づく りに取り組む必要があります。 (2)基本的な方向性 ①丹波の森構想における景観の継承 ②丹波市らしさをアピールする良好な市街地景観の創出 ③地域ごとの景観資源を活かした個性的なまちづくりの推進 (3)基本方針 ① 丹波市らしい森林・河川・田園景観 ア 丹波市らしい景観の骨格的要素として、森と水の豊かな自然環境を保全するとともに、 紅葉の植樹や混交林化など、季節感の感じられる美しい森づくりに取り組みます。 イ 加古川や竹田川等の河川において、自然環境の保全に取り組むとともに、親水性の向上 や桜並木等の緑化などに配慮した整備を検討します。その他の水路やため池等の改修に おいても、親水性や自然環境に配慮し、水辺と一体の環境整備に取り組みます。 ウ 森林景観を背景に、集落や田園の調和が織りなす田園景観は、自然と農業の営みの調和 によって築かれてきた本市の基盤となる景観であり、森林法・農振法・自然公園法等の 各種法規制や緑条例の適切な運用や、農林施策との連携による農業振興や耕作放棄地の 解消等の取り組みにより、田園景観を保全し、丹波市らしい豊かな景観を継承していき ます。 58 全体構想編 ② 市街地景観 ア 全市及び地域の中心的な市街地においては、景観条例や屋外広告物条例等を活用して、 建築物や看板等の景観配慮を促進し、にぎわいの中にも秩序のある良好な市街地景観を 形成します。 イ 住宅地や集落においては、落ち着きある良好な暮らしの景観を形成するとともに、住民 による美化や緑化などの取り組みを促進し、豊かなコミュニティの感じられる景観を育 みます。 ウ 工業拠点においては、景観条例や緑条例等を活用して、建築物や工作物等の景観配慮や 緑化による遮蔽、沿道緑化などを促進し、周辺環境と調和した景観の形成を誘導します。 エ 鉄道駅やインターチェンジの周辺、幹線道路沿道などでは、丹波市の顔となるにぎわい と親しみのある景観となるよう、重点的な景観形成を図ります。合わせて、景観に配慮 した案内サイン等を設置するなど、来訪者へのおもてなしに配慮します。 オ 城下町、宿場町、街道村等の歴史的町並みを有する地区においては、景観条例の活用も 視野に入れて、地区ごとの歴史を反映した建築物や工作物、自然物などの保全と、それ らに調和した新たな景観の創出に努め、個性的な景観の継承を図ります。 ③ 沿道景観 ア 幹線道路沿道は、市民及び車による本市への来訪者に対して、本市のイメージを印象づ ける重要な場所であることから、無秩序な土地利用の防止、沿道環境と調和した秩序あ る景観の誘導、緑化の促進などに取り組みます。 イ 特に、丹波の森街道、水分れ街道、川代恐竜街道については、日本風景街道構想※の考 え方を踏まえ、地域づくりと連携した個性豊かな景観形成を進めます。 ※日本風景街道は、地域の魅力・美しさを発見・創出し、道路管理者及び地域の NPO や地域住民、企 業等多様な主体による協働のもと、道を舞台に景観・自然・歴史・文化等の地域資源を活かし美しい 国土景観形成を図る運動を促し、地域の活性化、観光の振興に寄与することを目的とした取り組み。 ④ 景観資源 ア 旧城下町や宿場町等の歴史的な町並み、有形・無形の伝統文化や文化財、寺社・仏閣な どの歴史・文化資源とともに、地域で大切にされている地域資源を保全・活用して、個 性的な景観づくりを進めます。 イ 景観資源や観光拠点等のネットワーク化を図り、多様で奥深い魅力の発信に努めます。 ウ 住民等が参画する地域づくりの中で、景観資源を活かした観光振興や文化交流、都市農 村交流など、地域の活性化にも寄与する交流まちづくりの展開を促進します。 59 全体構想編 60