Comments
Description
Transcript
ビエンチャン特別市の環境行政等 [PDF 608KB]
ビエンチャン特別市 Vientiane Capital (City) 作成日:2014 年 3 月 31 日 1.行政機関 概要 現行の法律は、2003 年に改正された「ラオス人民民主共和国憲法」(2003 年憲法)である。 地方行政については、第 75 条において、行政区分が県レベル、郡レベル、村レベルの 3 段階から構成 され、県レベルには県(Province)と特別市(City)を、郡レベルには郡(District)と市(Municipality) を、村レベルには村(Village)を置くこと等が規定されている。 特別市は、大都市地域及び数個の市からなる地方行政単位であり、国の政治、経済、文化、社会サー ビス及び社会経済開発に作用する諸活動の中心であると規定されている。なお、現在唯一の特別市であ るビエンチャンは特別市であると同時に首都(Capital City)と位置づけられている。 憲法改正の同年 10 月に同国の地方行政の基本法となる「地方行政法」が制定され、地方行政の組織、 機能、長の権限等のアウトラインについて規定している。 組織構成 特別市の組織構成は、①特別市官房局、②各省及び各省同等機関の地方事務所(以下、「地方事務所」 という)からなり、職員構成は、①特別市長、②特別市副市長、③官房局の局長・副局長、④地方事務 所長及び副所長、⑤その他の行政職員からなる。 都市開発行政局(Urban Development and Administration Authority: UDAA) 都市開発行政局の組織に係る首相令第 177 号(1997 年 12 月 22 日)、またビエンチャン都市開発行政局 の組織及び機能に係る首相令第 14 号(1999 年 2 月 23 日)に基づき、都市開発行政局(Urban Development and Administration Authority: UDAA)が首都ビエンチャン及び各県に設置されている。首都ビエンチャン の都市開発行政局の名称は、Vientiane Urban Development Administration Authority(VUDAA)。 都市開発行政局は、中央省庁等の各地方出先事務所が縦割りで行っていた都市開発に関わる事業を、 知事等の指導の下、横断的に実行する機能を有している。 職務 組織 権限及び任務、役割 特別市長は特別市の首長であり、特別市を代表する。また、特別市長はその役割、権限及び任務 の遂行において中央政府に責任を負うとされている。 特別市長の権限及び任務の主なものは、次のとおりである。 ①特別市長 ① 憲法、法律及び国家規則を確実に効果的に実施すること。 ② 特別市運営会議を招集し、議長を務めること。 ③ 特別市社会経済開発戦略及び予算計画を研究し、発展させること。 ④ 社会経済開発、国家予算、特別市の防衛・治安、特別市内の中央政府事業の監視・検査を 実施すること。 ⑤ 特別市の社会経済開発において、ラオス建国戦線、大衆組織、社会組織、経済団体及び民 族集団の参画を啓発、促進すること。 ビエンチャン特別市 Vientiane Capital (City) 作成日:2014 年 3 月 31 日 組織 権限及び任務、役割 ⑥ 法律に従って、決定、命令、通達等を発布すること。 ⑦ 下級地方行政機関の法律行為を停止または取り消すこと。法令に抵触する他セクターの法 的行為の取り消しを上級機関に提案すること。 ⑧ 村の設置、廃止、合併及び分割、並びに村の境界を定めること。 ⑨ 郡長及び市長の任命、異動または罷免を提案すること。 ⑩ 規則に従って、特別市官房局長・副局長、副市長、市官房局長・副局長、郡レベルの各省及 び各省同等機関の地方出張所副所長、並びにその他の職員を任命、異動または罷免するこ と。 ⑪ 特別市の状況を定期的に中央政府に報告すること。 ⑫ 12)中央政府の指示により、国際機関と協力すること。 特別市副市長は特別市長を支え、また特別市長から与えられた特定の職務を担う。また、特別市 ②特別市副市長 長が何らかの理由により職務を遂行できない場合には、特別市副市長がその職務を引き継ぐこと とされている。 特別市官房局の役割は、特別市長の補佐、事業計画の作成、文書の起草編集等、関係者・関係 ③特別市官房局 の局長・副局長 団体との調整、情報提供、上級機関及び特別市当局が法的行為を実施する際の監督・支援、特 別市の行政運営の促進等とされている。 主な任務は ④Vientiane Urban Development Administration Authority (VUDAA) ① 都市開発事業を計画、実施、運営及び管理すること ② 次のような都市インフラを建設、改良及び維持し、サービスを実施すること (例)道路、下水路、廃棄物の収集処理、河川堤防侵食及び洪水の防止、公衆衛生及び環境保 護、公道の照明、公園及び庭園 なお、ビエンチャン都市開発行政局には運営委員会が設置されている。運営委員会の会長には 特別市副市長が充てられ、またビエンチャン都市開発行政局長の職にある者が副会長に充てら れる。 ビエンチャン特別市 Vientiane Capital (City) 作成日:2014 年 3 月 31 日 2.低炭素関連政策 首都ビエンチャン都市開発マスタープラン策定プロジェクト(Project for Urban Development Master Plan Study in Vientiane Capital )の概要 ビエンチャンの既存都市計画及び関連法制度をみると、1991 年に UN-Habitat(国連人間居住計画) の支援によりビエンチャン都市計画マスタープラン(以下「都市計画 MP」という)が制定され、開 発促進や環境保全との観点から土地利用方針等が定められている。なお、この都市計画 MP は 2000 年に公共事業運輸研究所により改定され、2002 年には首相により承認されている。法制度について も、1999 年に都市計画法、2003 年に土地法が制定されている。 しかしながら、近年、1)都市計画 MP で農業地区に指定されている地域で湿地帯の埋立による宅地 開発が計画される、2)都市計画 MP の対象区域外で工業団地や物流基地の開発計画が進められる等、 この都市計画 MP の形骸化が進んでいる。また、都市計画 MP で用途地域区分が変更されたものの、 用途地域に応じ建築行為を制限・誘導する仕組みが策定されていない、大規模開発プロジェクトの 誘導・規制を行う仕組みが策定されていない、道路整備等の社会基盤施設整備事業を確実に実施す るための仕組みが整備されていない等の問題を抱えている。 また、ラオス国では、第 6 次首都ビエンチャン社会経済開発 5 ヵ年計画で「経済開発、社会開発、 自然環境保護を同時に進め、総合的に経済力の強化を図る」ことを目的の一つとしてかかげ、社会・ 経済開発と良好な都市環境や都市景観の保全・形成を両立させることを首都ビエンチャンの都市開 発の基本的な考え方としているものの、この実現に必要となる計画や仕組みが整備されていない状 況にある。 このような状況から、首都ビエンチャンの都市開発マスタープランを改定するとともに、その実効 性を強化し、これら課題に対する対応を図ることが必要とされている。2030 年を目標年次とした新 たな都市開発マスタープランを策定することがラオス政府から要請され、日本政府は「ラオス国首 都ビエンチャン都市開発マスタープラン策定調査」の実施支援を決定した。これを受け、JICA はラ オス政府関係者との協力の下、このプロジェクトを実施した。 目標 上位目標: 都市開発プロジェクトが適切に管理・誘導され、良好な都市環境が形成される。 首都ビエンチャンの社会基盤施設の整備が計画的に行われる。 プロジェクト目標: 良好な都市環境や都市景観の保全・形成と両立した社会・経済開発に必要な、首都ビエンチャン の総合的な長期計画を作成するとともに、都市開発・管理の実効性の強化に必要なキャパシティ・ ディベロップメントを行う。 成果 首都ビエンチャンの都市開発マスタープランが策定される。 首都ビエンチャンの都市開発・管理プログラム(関連法制度含む)が策定される。 公共事業・運輸省、首都ビエンチャン等の関係者への都市開発・管理に係る技術移転が行われ る。 活動 1.現状分析 ビエンチャン特別市 Vientiane Capital (City) 作成日:2014 年 3 月 31 日 ① 上位計画、関連計画等の収集・整理及び社会経済現況の整理 ② 既存関連法制度・基準、既存都市計画マスタープランの分析・整理 ③ 関係機関・組織の役割・業務の分析・整理 ④ 土地利用現況の分析・整理 ⑤ 社会基盤施設等の整備状況の分析・整理 ⑥ 他ドナー及び他国の関連プロジェクト調査 2.制約条件と課題の分析 3.社会経済フレームワークの設定 4.開発ビジョンの策定 5.首都ビエンチャン開発基本構想の策定 ① 首都ビエンチャン中心都市区域及び拠点地区の設定 ② 中心都市区域及び他拠点地区の担うべき機能・役割の設定 ③ 首都ビエンチャン全体の土地利用基本方針(保全地区、農村地区、都市域、調整区域等の 設定) ④ 中心都市区域及び他拠点地区の想定人口の設定 ⑤ 中心都市区域と他拠点地区のネットワークの検討 ⑥ 首都ビエンチャン全体の社会基盤施設整備に係る基本方針 6.中心都市区域の土地利用計画の策定 ① 用途地域区分の設定 ② 土地需要予測の実施 ③ 土地利用計画の作成 7.社会基盤施設整備の基本構想の策定 ① 道路・交通 ② 上水 ③ 排水 ④ 汚水処理 ⑤ 一般廃棄物処理 ⑥ 公園・緑地 8.都市デザイン基本構想の策定 ① 都市デザインに係る基本方針の検討 ② モデル地区を対象とした景観保全・形成手法の検討 ③ 関係者への啓発活動の実施 9.都市開発・管理プログラムの作成 ① 法制度 ② 組織・体制及びプロセス ③ 研修 10.本邦研修 11.実施計画の作成 ビエンチャン特別市 Vientiane Capital (City) 作成日:2014 年 3 月 31 日 出典:ラオス人民共和国 公共事業・運輸研究所(PTI)、JICA「ラオス国首都ビエンチャン都市開発マスタープラン」 http://www.jica.go.jp/project/laos/009/materials/pdf/pamph_01.pdf JICA プロジェクト概要 http://www.jica.go.jp/project/laos/009/outline/index.html ビエンチャン特別市 Vientiane Capital (City) 作成日:2014 年 3 月 31 日 3.研究機関、政府関係機関 名称 Science Technology and Environment Office of Vientiane City (STEO) Vientiane Urban Development and Management Committee (VUDMC) Office of Public Works and Transport (OPWT) National University of Laos http://www.nuol.edu.la/ 連絡先(住所、電話番号) Phone: +856-21-770070 FAX: +856-21-770070 E-mail: [email protected]