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アンケート調査をしてはいけない アンケ ト調査を してはいけない 場合
アンケート調査をしてはいけない アンケ ト調査をしてはいけない 場合 本日のトピック インタビュー調査の方法 • 自分たちがあまりよく知らない現象 に対して、アンケート調査をすること 対 、 ケ 調 をす は、自分たちの思い込みの「枠組み 」をあてはめる危険性が強い。 」をあてはめる危険性が強い 質的な調査方法であるインタビュ 質的な調査方法であるインタビ ー(聞き取り)の方法について論じ る。 社会調査実習 2009.10.6 2009 10 6 (石井健 ) (石井健一) 1 2 • 本実習の場合は、これらの例のように理 解が難しい現象は少ないかもしれない。 • インスタントコーヒーがアメリカの家庭主 婦 間 不評だ た なぜか? 婦の間で不評だった • 質的調査によると 質的調査によると、インスタントコーヒー インスタントコーヒー を淹れる主婦は「怠け者」というイメージ が があることがわかった。 が • しかし、自分たちの思い込みの枠組みで 調査をするという誤りを犯さないために は 質的調査を行い 現状を把握するこ は、質的調査を行い、現状を把握するこ とが好ましいことがある。 もともと想定されていなかった関係について は、アンケ ト調査では知る とはできない。 は、アンケート調査では知ることはできない。 6 アンケートとインタビューの違い アンケ トとインタ アンケートとインタビューの違い の違 インタビュー アンケート調査 タイプ 質的調査 量的調査 質問文の 作成 準備はするが、その 場の状況で変えるこ ともある (非構造化) 回答者ごとに異なる 条件でも可 あらかじめ作る (構造化) 実施 質問文の 形式 自由回答が中心 農村研究や文化人類学では、長期間の フィールド調査が行われている。いきな ド調査が行われている いきな り、自分たちの視点で仮説を考えてアン ケート調査を実施しても失敗する可能性 が高い。 が高い 3 厳密に全回答 者が同じ条件 で 選択式 インタビュー アンケート調査 対象者の数 少なくてもよい 50-100以上 分析の方法 統計分析は行わ ない 分析の目的 深い考察や面白 い発見をすること が重要。仮説の 厳密な検証はで きない きない。 統計分析 客観的に正しい 分析をすること が重要。仮説の 統計的な検証を 目ざす 目ざす。 9 目的別のインタビューのタイプ インタビューには異なるタイプがある。 インタビューには異なるタイプがある ((1))事実の収集をめざすもの。例として企 業や自治体の聞き取り調査(この場合、 個人を対象としてインタビュ しても 最 個人を対象としてインタビューしても、最 終的に知りたい対象は、その人ではな い)。 (2)個人を対象とする調査で意識や行動の 解明を目指すもの。例として消費行動の 深層面接。 13 質的調査 対象の数 少ない 4 質的調査 質的調査 と 量的調査 質的調査によって隠れた動機が発見 された例 • 農村や地域社会 • 異文化社会 • 特殊な集団、逸脱者集団(暴走族、不良 少年) 差別を受けている人々など 少年)、差別を受けている人々など open-ended questions 量的調査 答えの範囲が予想できない問題を扱う 多い 各対象について 深い 調べる内容 浅い 分析 主観的 統計分析 目的 問題を発見する 仮説をつくる 仮説を検証する 方法の例 聞き取り、グループ インタビュー、参与 イ タビ 参与 観察 アンケート調査 構造化されていないインタビュー調査 量的調査 closed-ended questions 答え 範囲が決ま 答えの範囲が決まっている問題 る問題 7 例 アンケート調査 アンケ ト調査 8 質的調査 インタビュ インタビュー • 量的調査(特にアンケート調査)について は 標準的な方法が確立しているが 質 は、標準的な方法が確立しているが、質 的調査についてはそういう方法はない。 • 役立つ方法ならば、なんでも良いといえ る。 • ここでは、よく使われる方法として「イン タビュー」(聞き取り)調査を紹介する。 • アンケ アンケートは、ひとつの質問を用いて同じ条 トは、ひとつの質問を用いて同じ条 件で多数繰り返すことで、統計分析のための データを取ることを目指している。 データを取ることを目指している • インタビューでは必ずしも同じ質問を繰り返す 必要はなく、相手に応じて質問を変えてもよ い。統計分析は行わない。ただし、逆に言うと 、準備しただけの質問を繰り返すだけでは不 十分であり トピックについて十分な理解が得 十分であり、トピックについて十分な理解が得 られるまで補足質問を行うべきである。 10 11 12 Rapport (関係)が重要 (1)のタイプの聞き取り調査の参考書 インタビューに共通の注意点 • 堅苦しく、よそよそしい雰囲気の下では 、インタビュ インタビューをしても相手の本音を聞く をしても相手の本音を聞く ことはできない。 • インタビューをしていることを忘れさせる ような相手との関係性をつくりあげること が理想である。 • (1)のタイプの調査に関するすぐれた本 プ としては 小池和夫『聞き取りの作法』 としては、小池和夫『聞き取りの作法』、 佐藤郁哉『フィールドワークの技法』(新 曜社) 加藤秀俊『取材学』(中公新書) 曜社)、加藤秀俊『取材学』(中公新書) などがある。 • 面会前の準備、メモの取り方、記録のま とめ方などが書かれ とめ方などが書かれていて参考になる。 参考 なる • インタビューするトピックについては、徹底的 調 おく 。知識 な 相手 対 に調べておくこと。知識のない相手に対して は、人はそれなりの回答しかしてくれない。 • たとえば、企業にインタビューに行くのならば たとえば 企業にインタビ に行くのならば その企業の状況について一通りの知識は把 握 握しておくべきである。パソコンの購買につい おく き ある パ 購買 てインタビューするのならば、どのようなパソ コンが販売されているのかの状況は当然把 握しておく きである。 握しておくべきである。 14 15 16 記録の仕方 • 基本的にインタビューの発言内容はすべて記 録する。内容をま 録する。内容をまとめたもの(要約)は、記録 も (要約) 、記録 としての価値が低い。 • 質問する人が記録を取っていては時間的に 間に合わないし、相手にも失礼になる。なる べくならば録音する がよ (もちろん許可が べくならば録音するのがよい(もちろん許可が 必要)が、それができないのならば記録係が ) 記録するべきである。 17 (2)のタイプの方法 • これは これは、(1)とは違って、インタビュ (1)とは違って インタビューの の 対象者が知りたい研究対象であるもの である。つまり、対象者の動機や心理が 研究目的である。 • 個人インタビュー (一対一の面接) • グループインタビュー(被験者を3-10人 グ プイ タビ (被験者を 人 集めておこなう集合的な調査) インタビュー調査のやり方 (1)企業や自治体のインタビューの注意点 (1)企業や自治体のインタビューの注意点 • いずれにしても いずれにしても、インタビュ インタビューのやり方は のやり方は ケースバイケースであり、アンケート調 査 ように ねに正し 標準的なやり方 査のようにつねに正しい標準的なやり方 はない。 • 当たり前であるが、自分たちの都合だけ でなく、相手の都合も考えて実施しなけ 都 も考 施 ればならない。 • どういう方法をとるべきかを、事前によく 考える必要がある。 • 関連資料の検討 関連資料の検討・準備 準備 • あらかじめ基本的な質問をまとめておき 、FAX等で送付するとよいことが多い • もちろん、インタビューでの相手の回答 ビ に応じて新しい質問をするべきである。 質問する人は、テーマについて十分な 事前知識と問題意識をもつべきである。 事前知識と問題意識をもつべきである • 予約 (大きな企業の場合は、代表電話番号 (大きな企業の場合は 代表電話番号 に電話をすると、たいていの場合、広報部に 回し くれる 相手は忙し 職業人 ある と 回してくれる。相手は忙しい職業人であること を忘れないように。) • 誰にインタビューするか? (もちろん、こちら から選択することができない場合もあるが、 から選択することができない場合もあるが 質問をあらかじめ送っておけば、適切な人を 出してくれる確率は高い ) 出してくれる確率は高い。) 個人を対象としたインタビューでの 注意点 (2)のタイプの例 (悪いインタビューの例) 前のページの質問が悪い理由 • 関連資料の検討・準備 資 • 対象者の決定 (テ (テーマに関して極端な傾向 マに関して極端な傾向 をもつ人を選ぶというやり方がある) • 自由回答―「なぜ」「どうして」のタイプの質問 自由回答 「なぜ 「どうして のタイプの質問 を多方面からできるように準備しておく→イン タビュー全体にひとつの流れができるように する。 • 司会(質問者)・記録者等の役割をどうするか を決めておく。 を決めておく • 質問 ファッションについて興味があります か • 回答 はい、大いにあります • 質問 流行についは敏感ですか • 回答 あまり敏感ではないです • 質問 あなたは、スポーティーなタイプとド レッシ なタイプとどちらが好きですか。 レッシーなタイプとどちらが好きですか。 • 回答 どちらかと言えば、スポーティーなタ イプが好きです イプが好きです。 • 消費者の動機を探るのが目的で行ったインタ ある 、 れ アンケ 調査 同 ビューであるが、これではアンケート調査と同 じであり、準備した質問について聞いている だけである。 だけである • 相手の回答に応じて、新しい質問をしていか なければならない。 なければならな 般に、質問よりも回答の方が長いものほど • 一般に、質問よりも回答の方が長いものほど 、よいインタビューであるといえる。 18 21 多様な質問を準備しておく • 自分の知りたいことは、一問の質問でわ かるとは限らない。 • ひとつのことを色々な側面から聞くため の質問をあらかじめ準備しておく(実際 のインタビューでは のインタビュ では、準備した全部の質 準備した全部の質 問を使うとは限らない)。 22 19 20 23 24 購買動機を探る グループインタビュー グル プインタビ グループインタビューの長所 の長所 • 「あなたが買った理由を教えて下さい」 あなたが買った理由を教えて下さい」 × →直接的すぎる • 「普段、その商品をどのように使っていますか」 「普 「その商品を使っていて いつもどういう感想を • 「その商品を使っていて、いつもどういう感想を もっていますか」 • 「他の商品と比べてその商品はどこがよいの 「他 商品と比べ そ 商品はど がよ ですか」 • 「それを使っているのはどういう人だと思いま すか?」 •グ グループインタビューは、司会者と数人 プイ タビ は 会者と数人 の参加者で進めて くインタ の参加者で進めていくインタビューであ であ る。目的は、集団への討論に参加させる ことで見えにくい参加者の本音や動機を 見出すことである。 • したがってリラックスした雰囲気で、自由 たが ク た雰 気 自由 に話し合える状況を くる とが何よりも に話し合える状況をつくることが何よりも 大切である。 • グ グループインタビューでは、参加者の回答を プイ タビ は 参加者 答を 比較することによって、新しいアイデアが見つ けられることがある。 • 一対一では発言しにくい人でも発言しやすい 対 では発言しにくい人でも発言しやすい。 • 一対一の場合に比べて、誇張や嘘の回答は 少なくなる。 • 参加者どうしの会話の中にホンネが出てくる ことがある。 25 グル プインタビ グループインタビューの欠点 の欠点 • 特定 特定の個人について動機を掘り下げていく 個人 動機を掘り げ く のには不向きである。 • プライベートな話題には触れにくい。 • 回答の代表性は保証されていない(量的 調査と比べて) • 回答を統計的に分析することはできない。 • 「仮説」を検証することはできない(これは 全ての質的調査にあてはまる)。 29 28 グループインタビュー グループインタビュー(続き) • 記録者がメモを取るが 記録者がメモを取るが、同時に録音 同時に録音・ビ ビ デオ録画をすることが多い(録音には当 然 参加者の許可をとる) 然、参加者の許可をとる)。 • 司会者がメモを取っていると、会話が中 司会者 を取 る 、会話 中 断してインタビューがうまく続かない。 • 原則として発言を全て書き出したものを 付属資料としてつくる(要約したりまとめ たりしな も ) たりしないもの)。 • インタビューを始める前にあらかじめ基 インタビュ を始める前にあらかじめ基 本的な質問は考えておく。 • ただし、その質問だけを参加者に繰り返 ただ そ 質問だけを参加者 繰り返 す すのではなく、参加者の回答から新たな はなく、参加者 回答 ら新たな 質問をしたり、回答状況にあわせて、問 題を掘り下げることが重要である。 題を掘り下げることが重要である • 参加者の回答をホワイトボードに書いて まとめたり 実際 商 を見 たり 参 まとめたり、実際の商品を見せたり、参 加者の関心が続くように努力する。 者 関 続 う 努 す 。 30 参考文献 31 • 小池和夫『聞き取りの作法』 • 佐藤郁哉『フィールドワークの技法』(新曜社) 佐藤郁哉『フィ ルドワ クの技法』(新曜社) • 加藤秀俊『取材学』(中公新書) • 堀洋道監修『心理測定尺度集』ⅠⅡⅢ(サイ エンス社) • 堀洋道ほか編『心理尺度ファイル―人間と社 堀洋道 か編『心 度 と社 会を測る』(堀内出版) 来週の予定 • 来週は中間発表であり、講義は 来週は中間発表であり 講義は ない。 • どのように発表するかは、各班の 担当教員の指示による • C201の学生は、4時限はC201を 使えないので A403(この教室)に 使えないので、A403(この教室)に 集合すること。 本スライドの内容は、下記の URLからダウンロード可能であ る。 http://shakosv.sk.tsukuba.ac.jp p jp /~ishii/education/survey2009/ 33 34