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インタビューフォーム
日本標準商品分類番号
2016 年 7 月改訂(改訂第 9 版)
872499
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2008 に準拠して作成
経口腎性貧血用剤・抗乳腺腫瘍剤
メピチオスタンカプセル
チオデロン®カプセル5mg
Thioderon ®
剤
形
製 剤 の 規 制 区 分
規
一
格
・
般
含
量
名
製造販売承認年月日
薬価基準収載・発売年月日
軟カプセル剤
劇薬,処方箋医薬品注 1)
注 1)注意-医師等の処方箋により使用すること
1 カプセル中 メピチオスタン 5 mg
和
名:メピチオスタン
洋
名:Mepitiostane
製造販売承認年月日:2008 年 3 月 13 日(販売名変更による)
薬価基準収載年月日:2008 年 6 月 20 日(販売名変更による)
発 売 年 月 日:1979 年 4 月 19 日
開発・製造販売(輸入)・
販売元:日医工株式会社
提 携 ・ 販 売 会 社 名
製造販売元:塩野義製薬株式会社
医薬情報担当者の連絡先
日医工株式会社 お客様サポートセンター
問 い 合 わ せ 窓 口
TEL:0120-517-215
FAX:076-442-8948
医療関係者向けホームページ
http://www.nichiiko.co.jp/
本 IF は 2016 年 7 月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した。
最新の添付文書情報は,PMDA ホームページ「医薬品に関する情報」
http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html にてご確認下さい。
IF 利用の手引きの概要―日本病院薬剤師会―
1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下,添付文書と略す)
がある。医療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情
報を活用する際には,添付文書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合
がある。
医療現場では,当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑
をして情報を補完して対処してきている。この際に必要な情報を網羅的に入手するための
情報リストとしてインタビューフォームが誕生した。
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下,日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタ
ビューフォーム」(以下,IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した。その後,
医療従事者向け並びに患者向け医薬品情報ニーズの変化を受けて,平成 10 年 9 月に日病薬
学術第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行われた。
更に 10 年が経過した現在,医薬品情報の創り手である製薬企業,使い手である医療現場の
薬剤師,双方にとって薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて,平成 20 年 9 月に日
病薬医薬情報委員会において新たな IF 記載要領が策定された。
2. IF とは
IF は「添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な,医
薬品の品質管理のための情報,処方設計のための情報,調剤のための情報,医薬品の適正
使用のための情報,薬学的な患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品
解説書として,日病薬が記載要領を策定し,薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作
成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。
ただし,薬事法・製薬企業機密等に関わるもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及
び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない。言い換える
と,製薬企業から提供された IF は,薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに,必
要な補完をするものという認識を持つことを前提としている。
[IF の様式]
① 規格は A4 版,横書きとし,原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し,
一色刷りとする。ただし,添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には,電子媒体ではこれ
に従うものとする。
② IF 記載要領に基づき作成し,各項目名はゴシック体で記載する。
③ 表紙の記載は統一し,表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を
記載するものとし,2 頁にまとめる。
[IF の作成]
① IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤,注射剤,外用剤)に作成される。
② IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する。
③ 添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される。
④ 製薬企業の機密等に関するもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をは
じめ医療従事者自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない。
⑤ 「医薬品インタビューフォーム記載要領 2008」(以下,「IF 記載要領 2008」と略す)
により作成された IF は,電子媒体での提供を基本とし,必要に応じて薬剤師が電子媒
体(PDF)から印刷して使用する。企業での製本は必須ではない。
[IF の発行]
① 「IF 記載要領 2008」は,平成 21 年 4 月以降に承認された新医薬品から適用となる。
② 上記以外の医薬品については,「IF 記載要領 2008」による作成・提供は強制されるも
のではない。
③ 使用上の注意の改訂,再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並び
に適応症の拡大等がなされ,記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂され
る。
3. IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2008」においては,従来の主に MR による紙媒体での提供に替え,PDF フ
ァイルによる電子媒体での提供を基本としている。情報を利用する薬剤師は,電子媒体か
ら印刷して利用することが原則で,医療機関での IT 環境によっては必要に応じて MR に印
刷物での提供を依頼してもよいこととした。
電子媒体の IF については,医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームペー
ジに掲載場所が設定されている。
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが,IF
の原点を踏まえ,医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については
製薬企業の MR 等へのインタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ,IF の利用性を
高める必要がある。
また,随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては,IF が改訂されるまでの間
は,当該医薬品の製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等,あるいは医薬品医療機
器情報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するとともに,IF の使用にあたっては,
最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する。
なお,適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発
売状況」に関する項目等は承認事項に関わることがあり,その取扱いには十分留意すべき
である。
4. 利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂き
たい。しかし,薬事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により,製薬企
業が医薬品情報として提供できる範囲には自ずと限界がある。IF は日病薬の記載要領を受
けて,当該医薬品の製薬企業が作成・提供するものであることから,記載・表現には制約
を受けざるを得ないことを認識しておかなければならない。
また製薬企業は,IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり,今後インターネッ
トでの公開等も踏まえ,薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていること
を理解して情報を活用する必要がある。
(2008 年 9 月)
目
次
Ⅰ. 概要に関する項目 ................................................ 1
Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目 ............. 20
1. 開発の経緯 ................................................................1
1. 警告内容とその理由 ...................................................20
2. 製品の治療学的,製剤学的特性 ................................1
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)...................20
Ⅱ. 名称に関する項目 ................................................ 2
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由 ....20
1. 販売名 .......................................................................2
2. 一般名 .......................................................................2
3. 構造式又は示性式 .....................................................2
4. 分子式及び分子量 .....................................................2
5. 化学名(命名法) .....................................................2
6. 慣用名,別名,略号,記号番号 ................................2
7. CAS 登録番号 ............................................................2
Ⅲ. 有効成分に関する項目 ......................................... 3
1. 物理化学的性質 .........................................................3
2. 有効成分の各種条件下における安定性 .....................4
3. 有効成分の確認試験法 ..............................................5
4. 有効成分の定量法 .....................................................5
Ⅳ. 製剤に関する項目 ................................................ 6
1. 剤形...........................................................................6
2. 製剤の組成 ................................................................7
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由 ....20
5. 慎重投与内容とその理由............................................20
6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法 ...............21
7. 相互作用.....................................................................21
8. 副作用 ........................................................................21
9. 高齢者への投与 ..........................................................26
10. 妊婦,産婦,授乳婦等への投与 .................................27
11. 小児等への投与 ..........................................................27
12. 臨床検査結果に及ぼす影響 ........................................27
13. 過量投与 ....................................................................27
14. 適用上の注意 .............................................................27
15. その他の注意 .............................................................27
16. その他 ........................................................................27
Ⅸ. 非臨床試験に関する項目 ...................................... 28
1. 薬理試験.....................................................................28
3. 懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意.........................7
2. 毒性試験.....................................................................29
4. 製剤の各種条件下における安定性 ............................7
Ⅹ. 管理的事項に関する項目 ...................................... 32
5. 調製法及び溶解後の安定性 .......................................7
6. 他剤との配合変化(物理化学的変化) .....................7
7. 溶出性 .......................................................................8
8. 生物学的試験法 .........................................................8
9. 製剤中の有効成分の確認試験法 ................................8
10. 製剤中の有効成分の定量法 .......................................8
11. 力価 ..........................................................................8
12. 混入する可能性のある夾雑物 ...................................8
13. 治療上注意が必要な容器に関する情報 .....................8
14. その他 .......................................................................8
Ⅴ. 治療に関する項目 ................................................ 9
1. 効能又は効果 ............................................................9
2. 用法及び用量 ............................................................9
3. 臨床成績 ...................................................................9
Ⅵ. 薬効薬理に関する項目 ....................................... 11
1. 薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 ...............11
2. 薬理作用 .................................................................11
Ⅶ. 薬物動態に関する項目 ....................................... 15
1. 血中濃度の推移・測定法 ........................................15
2. 薬物速度論的パラメータ ........................................16
3. 吸収.........................................................................17
4. 分布.........................................................................18
5. 代謝.........................................................................18
1. 規制区分.....................................................................32
2. 有効期間又は使用期限 ...............................................32
3. 貯法・保存条件 ..........................................................32
4. 薬剤取扱い上の注意点 ...............................................32
5. 承認条件等 .................................................................32
6. 包装 ............................................................................32
7. 容器の材質 .................................................................32
8. 同一成分・同効薬 ......................................................32
9. 国際誕生年月日 ..........................................................33
10. 製造販売承認年月日及び承認番号 .............................33
11. 薬価基準収載年月日...................................................33
12. 効能又は効果追加,用法及び用量変更追加等の
年月日及びその内容 ..................................................33
13. 再審査結果,再評価結果公表年月日及びその内容 ....33
14. 再審査期間 .................................................................33
15. 投薬期間制限医薬品に関する情報 .............................33
16. 各種コード .................................................................33
17. 保険給付上の注意 ......................................................33
ⅩⅠ. 文献 ..................................................................... 34
1. 引用文献.....................................................................34
2. その他の参考文献 ......................................................35
ⅩⅡ. 参考資料 ............................................................. 36
1. 主な外国での発売状況 ...............................................36
6. 排泄.........................................................................19
2. 海外における臨床支援情報 ........................................36
7. 透析等による除去率................................................19
ⅩⅢ. 備考 ..................................................................... 36
その他の関連資料 ...........................................................36
Ⅰ. 概要に関する項目
1. 開発の経緯
塩野義製薬研究所では 1955 年にヒドロコルチゾンの構造変換した化合物に着目し,合成研究を
進めてきた。その結果,1966 年にメピチオスタンを創製した。本剤は経口投与により強力な抗
卵胞ホルモン作用,男性ホルモン作用及び向筋作用等のホルモン活性を有し,乳癌に対する効
果が判明し,1978 年 8 月に承認,1979 年 4 月に発売された。
更に造血作用に関する開発が行われ,腎性貧血に対する有効性が確認され,1983 年 5 月 27 日
効能・効果の追加承認を得た。
2016 年 7 月 1 日に日医工株式会社がチオデロンカプセル 5 mg の販売を塩野義製薬株式会社よ
り移管され,販売を開始した。
2. 製品の治療学的,製剤学的特性
(1) チオデロンは塩野義製薬研究所で創製されたアンドロスタン系ステロイド,メピチオスタンを
含有する経口腎性貧血用剤・抗乳腺腫瘍剤である。(1 頁)
(2) 本剤は赤血球系造血幹細胞の増加作用による造血作用を有する。(11 ~ 12 頁)
(3) 本剤はテストステロン及びテストステロンプロピオン酸エステルに比し,強い抗乳腺腫瘍作用
を有し,エストロゲン受容体と結合して抗エストロゲン作用を発揮する。(12 ~ 14 頁)
(4) 承認時における安全性評価対象例は腎性貧血症例 219 例(うち女性 116 例)及び乳癌症例 183
例であり,副作用はそれぞれ 69 例(31.5%),99 例(54.1%)に認められた。
再審査終了時における安全性評価対象例は腎性貧血症例 4205 例及び乳癌症例 1968 例であり,
臨床検査値の異常変動を含む副作用はそれぞれ 459 例(10.92%),859 例(43.65%)に認め
られた。(21,23 ~ 26 頁)
-1-
Ⅱ. 名称に関する項目
1. 販売名
(1) 和名
チオデロン®カプセル5mg
(2) 洋名
Thioderon®
(3) 名称の由来
特になし
2. 一般名
(1) 和名(命名法)
メピチオスタン(JAN)[日局]
(2) 洋名(命名法)
Mepitiostane(JAN,INN)
(3) ステム
不明
3. 構造式又は示性式
OCH3
H3C O
H
H
H3C
S
H
H
H
H
H
4. 分子式及び分子量
分子式:C25H40O2S
分子量:404.65
5. 化学名(命名法)
2α,3α-Epithio-17β-(1-methoxycyclopentyloxy)-5α-androstane (IUPAC)
6. 慣用名,別名,略号,記号番号
治験成分記号:10364-S
7. CAS 登録番号
21362-69-6
-2-
Ⅲ. 有効成分に関する項目
1. 物理化学的性質
平井瑛三ほか:塩野義製薬研究所所内報告(1977);
ただし,引用文献番号が付されているものを除く
(1) 外観・性状
白色~微黄色の結晶又は結晶性の粉末である 1)。
(2) 溶解性
表Ⅲ-1
溶媒
トリエチルアミン
クロロホルム
ジエチルエーテル
シクロへキサン
ジエチレングリコールジメ
チルエーテル
石油エーテル
アセトン
メタノール
エタノール(99.5)
水
溶解性 1)
溶質 1 g を溶かすに要する溶媒量*
1 mL 以上
1 mL 以上
1 mL 以上
1 mL 以上
10 mL 未満
10 mL 未満
10 mL 未満
10 mL 未満
10 mL 以上
30 mL 未満
10 mL 以上
30 mL 以上
100 mL 以上
100 mL 以上
10000 mL 以上
30 mL 未満
100 mL 未満
1000 mL 未満
1000 mL 未満
(測定温度 20 ± 5℃)
日本薬局方による
溶解性の用語
溶けやすい
溶けやすい
溶けやすい
溶けやすい
やや溶けやすい
やや溶けやすい
やや溶けにくい
溶けにくい
溶けにくい
ほとんど溶けない
*:日局 16 通則 29 による
(3) 吸湿性
湿った空気中で加水分解する 1)。
(4) 融点(分解点),沸点,凝固点
70℃以上で融解し始め,約 110℃で融解する。(分解)
(5) 酸塩基解離定数
該当資料なし
(6) 分配係数
該当資料なし
(7) その他の主な示性値
旋光度〔α〕20
:+20 ~ +23°(0.1 g,クロロホルム,10 mL,100 mm)1)
D
-3-
2. 有効成分の各種条件下における安定性
メピチオスタンはデシケータ中(乾燥剤;水酸化カリウム)で減圧又は密封容器中(アルゴン
ガス置換)で遮光保存するとき,15℃以下においては 30 ヵ月間ほとんど変化が認められなかっ
た。しかし,25℃では 24 ヵ月目付近から,また 37℃では 15 ヵ月付近から変化があらわれてく
る。一方,密栓保存した場合には遮光下においても 3℃では 6 ~ 9 ヵ月以降に,15℃では 3 ヵ
月目に,更に 25℃及び 37℃においては 1 ヵ月目に変化が認められた。54%RH,25℃,遮光下
では 1 日目で大きく変化し,その分解生成物はメピチオスタンの主要代謝物であるエピチオス
タノールである。
表Ⅲ-2
安定性(長期保存)
(3 ロット平均)
遮光,減圧デシケーター
試験項目
初期値
3℃
15℃
遮光,密封アルゴンガス
25℃
3℃
15℃
25℃
(+)
(-)
(-)
(+)
92.4
96.0
95.8
92.6
(+)
(-)
(-)
(+)
30 ヵ月
外観
白色~微黄色
(-)
(-)
含量*(%)
98.6
97.3
96.3
(-)
(-)
微量のエピチ
薄層クロマト
オスタノール
グラフィー
を含む
*:測定法;酢酸第二水銀による非水滴定法,(-);初期値に対する変化なし,(+);初期値に対する変化あり
平井瑛三ほか:塩野義製薬研究所所内報告(1977)
表Ⅲ-3
安定性(長期保存)
(3 ロット平均)
密栓,遮光
試験項目
3℃
初期値
15℃
25℃
18 ヵ月
外観
白色~微黄色
含量*(%)
薄層クロマトグラフィー
98.6
微量のエピチ
オスタノール
を含む
9 ヵ月
(+)
(+)
(+)
86.9
48.6
34.5
(+)
(+)
(+)
*:測定法;酢酸第二水銀による非水滴定法,(-);初期値に対する変化なし,(+);初期値に対する変化あり
平井瑛三ほか:塩野義製薬研究所所内報告(1977)
表Ⅲ-4
安定性(加温・加湿保存)
(3 ロット平均)
25℃,遮光
試験項目
初期値
54%RH
37℃,遮光 45℃,遮光 37℃,遮光 45℃,遮光
75%RH
54%RH
75%RH
7日
7日
7日
外観
含量*(%)
白色~微黄色
98.6
微量のエピチ
薄層クロマト
オスタノール
グラフィー
を含む
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
24.5
12.4
10.8
3.0
0.7
0.1
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
*:測定法;酢酸第二水銀による非水滴定法,(-);初期値に対する変化なし,(+);初期値に対する変化あり
平井瑛三ほか:塩野義製薬研究所所内報告(1977)
-4-
表Ⅲ-5
安定性(曝光)
(3 ロット平均)
25℃,1200 lx
試験項目
初期値
減圧
密封,アルゴ
ン置換
54%RH
12 ヵ月
外観
*
含量 (%)
薄層クロマトグラフィー
白色~微黄色
(-)
98.6
96.6
微量のエピチオス
タノールを含む
(+)
(-)
97.7
(+)
75%RH
7日
(+)
13.5
(+)
(+)
7.3
(+)
*:測定法;酢酸第二水銀による非水滴定法,(-);初期値に対する変化なし,(+);初期値に対する変化あり
平井瑛三ほか:塩野義製薬研究所所内報告(1977)
3. 有効成分の確認試験法
日局「メピチオスタン」の確認試験による。
4. 有効成分の定量法
日局「メピチオスタン」の定量法による。
-5-
Ⅳ. 製剤に関する項目
1. 剤形
(1) 剤形の区別,規格及び性状
表Ⅳ-1
組成・性状
販売名
チオデロンカプセル5mg
成分・含量
(1 カプセル中)
メピチオスタン 5 mg
添加物
ゴマ油
カプセル本体中:ゼラチン,グリセリン,D-ソル
ビトール,マクロゴール 400,パラオキシ安息香
酸エチル,パラオキシ安息香酸プロピル,水酸化
ナトリウム,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 60
性状・剤形
淡黄褐色半透明な軟カプセル剤で,においはな
い。
外形
大きさ
直径 約 05.5 mm
長さ 約 14.7 mm
重量
約 0.31 g
(2) 製剤の物性
カプセル剤
日局「崩壊試験法」で試験,1 ロット 6 カプセル 3 回測定した実測値
表Ⅳ-2
ロット
No.
57
59
60
62
63
崩壊試験
測定
回数
最短
最長
平均
(n = 6)
1
10 分 08 秒
17 分 07 秒
13 分 39 秒
2
12 分 08 秒
16 分 50 秒
14 分 29 秒
3
8 分 45 秒
15 分 43 秒
12 分 22 秒
1
8 分 24 秒
15 分 37 秒
11 分 43 秒
2
10 分 38 秒
17 分 07 秒
13 分 30 秒
3
9 分 02 秒
17 分 16 秒
13 分 38 秒
1
8 分 17 秒
16 分 11 秒
12 分 23 秒
2
11 分 47 秒
15 分 57 秒
13 分 33 秒
3
10 分 21 秒
17 分 58 秒
14 分 07 秒
1
8 分 32 秒
17 分 13 秒
12 分 05 秒
2
9 分 07 秒
17 分 10 秒
12 分 16 秒
3
9 分 21 秒
15 分 26 秒
12 分 45 秒
1
10 分 12 秒
17 分 30 秒
14 分 27 秒
2
8 分 00 秒
17 分 59 秒
12 分 56 秒
3
8 分 19 秒
17 分 22 秒
11 分 03 秒
-6-
総平均
(n = 18)
13 分 30 秒
12 分 57 秒
13 分 21 秒
12 分 22 秒
12 分 49 秒
(3) 識別コード
該当しない
(4) pH,浸透圧比,粘度,比重,無菌の旨及び安定な pH 域等
該当しない
2. 製剤の組成
(1) 有効成分(活性成分)の含量
6 頁「表Ⅳ-1 組成・性状」参照
(2) 添加物
6 頁「表Ⅳ-1 組成・性状」参照
(3) その他
該当しない
3. 懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意
該当しない
4. 製剤の各種条件下における安定性
表Ⅳ-3
製剤の安定性(加速試験)
(1 ロットの成績)
保存条件 包装形態
試験項目
性状
30℃
75%RH
遮光
PTP
崩壊性(分)
含量*(%)
エピチオスタノ
ールの量(%)
試験開始時
淡黄褐色半透
明のカプセル
剤で,におい
はなく,内容
物は無色~微
黄色澄明の油
液で,わずか
に特異なにお
いであった。
9.3
94.1
0.008
保存期間
1 ヵ月 2 ヵ月
3 ヵ月
6 ヵ月
同左
同左
同左
同左
8.5
93.7
9.0
93.0
9.4
91.3
12.3
92.5
0.005
0.006
0.006
0.007
*:表示含量に対する含量(%),測定法:HPLC(High Performance Liquid Chromatography;
液体クロマトグラフィー)
日裏深雪:塩野義製薬製造本部部内報告(2007)
5. 調製法及び溶解後の安定性
該当しない
6. 他剤との配合変化(物理化学的変化)
該当しない
-7-
7. 溶出性
該当資料なし
8. 生物学的試験法
該当しない
9. 製剤中の有効成分の確認試験法
(1) m-ジニトロベンゼン試液及び水酸化カリウム・エタノール試液による呈色反応
(2) 塩化パラジウム試液による呈色反応
(3) 薄層クロマトグラフィー
10. 製剤中の有効成分の定量法
液体クロマトグラフィーにより定量する。
11. 力価
本剤は力価表示に該当しない。
12. 混入する可能性のある夾雑物
該当資料なし
13. 治療上注意が必要な容器に関する情報
該当しない
14. その他
該当しない
-8-
Ⅴ. 治療に関する項目
1. 効能又は効果
透析施行中の腎性貧血,乳癌
2. 用法及び用量
通常,成人にはメピチオスタンとして 1 日 20 mg を 2 回に分けて経口投与する。
症状により適宜増減する。
なお,透析施行中の腎性貧血に対しては,投与開始後 3 ヵ月目頃に効果判定を行い,有効な場
合は投与を継続する。その後,末梢血液像の改善及び貧血症状の有無等により適宜減量又は休
薬する。
3. 臨床成績
(1) 臨床データパッケージ
該当しない
(2) 臨床効果
腎性貧血及び乳癌の各疾患について行われた臨床試験の概要は下表のとおりであった。
表Ⅴ-1
臨床効果(腎性貧血)
有効率*
(%)
66.7
(56/84)
投与方法
本剤
二重盲検比較試験 2)
プラセボ
一般臨床試験 3)
長期投与症例 4)
その他の臨床報告 5)
1 日 20 mg を 14 週間
連続投与
14.1
(12/85)
1 日 20 mg を 3 ヵ月間
連続投与
1 日 20 mg を 5 ヵ月間
以上の連続投与
1 日 20 mg を 4 ヵ月間
連続投与
p < 0.001
(χ2 検定,
Fisher 検定)
49.2
(29/59)
70.1
(61/87)
81.8
(18/22)
*:有効例数/有効性評価対象例数× 100
三村信英ほか:臨床評価,1982, 10 (1), 149 ほか
表Ⅴ-2
臨床効果(再発又は進行乳癌)
投与方法
一般臨床試験 6-10)
1 日 20 mg を連続投与
有効率*
(%)
29.3
(39/133)
*:有効例数/有効性評価対象例数× 100
Kumaoka, K. et al. : Jpn. J. Clin. Oncol., 1974, 4 (1), 65 ほか
(3) 臨床薬理試験:忍容性試験
該当資料なし
(4) 探索的試験:用量反応探索試験
該当資料なし
-9-
(5) 検証的試験
1) 無作為化並行用量反応試験
該当資料なし
2) 比較試験
該当資料なし
3) 安全性試験
該当資料なし
4) 患者・病態別試験
該当資料なし
(6) 治療的使用
1) 使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)・製造販売後臨床試験(市販後臨床試験)
該当しない
2) 承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要
該当しない
-10-
Ⅵ. 薬効薬理に関する項目
1. 薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
なし
2. 薬理作用
(1) 作用部位・作用機序
作用機序(ラット,マウス及び in vitro)
① 骨髄幹細胞に直接作用し,骨髄中の CFU-E(赤芽球コロニー形成細胞)を増加させて造血
効果を発揮すると考えられる 17)。
② メピチオスタンは経口投与された場合,生体内で代謝されてエピチオスタノールを生ずる。
このエピチオスタノールが標的器官(例えば子宮,腟,乳腺)のエストロゲン受容体に結合
し,エストロゲンとエストロゲン受容体の結合を競合的に阻害し,その結果エストロゲン作
用を抑制するものと考えられる 18)。
(2) 薬効を裏付ける試験成績
1) 造血作用(ラット,マウス及び in vitro)17)
ラット(Wistar 系,雌)及び多血マウス(ddy 系,雌)にメピチオスタンを投与した場合,
動物の赤血球
59Fe
摂取率が明らかに上昇した。一方,メピチオスタンの in vitro における
CFU-E 形成に対する影響を検査した結果では,明らかに刺激作用が認められた。これらの成
績から,メピチオスタンは内因性エリスロポエチンの産生亢進を介する作用でなく,骨髄幹細
胞に直接作用し,骨髄中の CFU-E を増加させて造血効果を発揮すると考えられた。
**:対照群(生理食塩液,ゴマ油)と比較していずれも有意差あ *:対照群(生理食塩液,ゴマ油)と比較していずれも有意差あ
り,p < 0.01(20 mg/日× 6 日間群;対ゴマ油投与群でのみ
り,p < 0.05 (マウス:n = 10/群,mean ± S.E.)
有意差あり) (ラット:n = 10/群,mean ± S.E.)
対照群
対照群
生理食塩液
ゴマ油
メピチオスタン
05 mg/日× 6 日間
生理食塩液
ゴマ油
メピチオスタン
1.5 mg/日× 2 日間
3 mg/日× 2 日間 *
6 mg/日× 2 日間
10 mg/日× 6 日間
20 mg/日× 6 日間
12 mg/日× 2 日間
40 mg/日× 6 日間
*
*
*
24 mg/日× 2 日間
80 mg/日× 6 日間
1
赤血球
59Fe
図Ⅵ-1
*
*
2
摂取率
(rate)
赤血球 59Fe 摂取率
メピチオスタンの造血刺激作用(ラット,マウス)
-11-
(rate)
ラット骨髄
マウス骨髄
図Ⅵ-2
動物骨髄 CFU-E に及ぼすメピチオスタンの効果(in vitro)
2) 抗エストロゲン作用(マウス)
エストロゲン受容体と結合し,抗エストロゲン作用を発揮する。
抗エストロゲン作用の効力はテストステロンの 10 倍で,その作用持続時間はテストステロン
及びナンドロロンフェニルプロピオン酸エステルに比し長い。
① 効力
卵巣摘除マウス(DS 系)に対し,エピチオスタノールは卵胞ホルモン投与による乳腺導管
の発育促進,腟 triphenyltetrazolium chloride(TTC)還元能上昇等を抑制し,最小有効量
で比較した場合の抗エストロゲン作用はテストステロンの 10 倍,ナンドロロンフェニルプ
ロピオン酸エステルの 3 ~ 10 倍に及んだ 19)。
表Ⅵ-1
抗エストロゲン作用
の指標
乳腺導管の発育
腟(TTC*)還元能
抗エストロゲン作用の効力
最小有効量(µg/マウス)
動物種
エピチオスタノール
テストステロン
ナンドロロンフェニル
プロピオン酸エステル
30
300
300
10
100
30
マウス
(DS 系)
雌
マウス
(DS 系)
雌
*:TTC;triphenyltetrazolium chloride
-12-
② 作用持続期間
卵巣摘除マウス(DS 系)に卵胞ホルモンを連日皮下投与し連続発情を惹起させ,エピチオス
タノール 1 回皮下投与による腟上皮角化の抑制作用を検討すると,エピチオスタノールの抗
エストロゲン作用はテストステロン及びナンドロロンフェニルプロピオン酸エステルより低
用量で発現し,しかもその作用持続時間はテストステロン,ナンドロロンフェニルプロピオン
酸エステルより長かった 18)。
表Ⅵ-2
使用薬剤
抗エストロゲン作用の作用持続期間
1 回投与量
(µg/マウス)
発情静止期を示す
マウス/使用マウス数
発情静止期を示す平均
日数(mean ± S.E.)
-
10
50
250
50
500
50
500
0/6
2/6
6/6
5/5
0/6
1/6
1/6
6/6
0
1
2.3 ± 0.3
9.2 ± 0.7
0
1
1
6.0 ± 1.2
対照
エピチオスタノール
テストステロン
ナンドロロンフェニル
プロピオン酸エステル
3) 抗乳腺腫瘍作用(マウス,ラット)
ホルモン依存性マウス乳癌及びラット乳腺線維腺腫に対する抗乳腺腫瘍作用は,いずれもテス
トステロン及びそのプロピオン酸エステルに比し強い。
① ホルモン依存性マウス乳癌(TPDMT-4*)20)
エピチオスタノールはホルモン依存性マウス(DDD, BALB/c)乳癌の発育を完全に抑制し,
しかもその発育抑制効果は卵巣摘除した場合と同等であった。
(mean ± S.E.)
Control:溶媒 0.1 mL/マウス/日
Ovariectomy:卵巣摘除(day 0)後溶媒 0.1 mL/マウス/日
Control
1 mg エピチオスタノール:エピチオスタノール 1 mg/マウス/日
各群週 5 日皮下注(投与期間:36 日)
1 mg エピチオスタノール
(day)
*: TPDMT-4;Transplantable Pregnancy-dependent Mammary Tumor-4 系
図Ⅵ-3
ホルモン依存性マウス乳癌に対するエピチオスタノール及び卵巣摘除の影響
-13-
ホルモン依存性マウス乳癌に対するエピチオスタノールの抗乳癌作用をテストステロンと
比較すると,エピチオスタノールは投与開始直後から乳癌の発育を著しく抑制するのに対し,
テストステロンの作用発現は遅く,その抑制効果もエピチオスタノールの 1/3 以下であった。
TPDMT-4*
(mean ± S.E.)
Control:溶媒 0.1 mL/マウス/日
Control
300 µg テストステロン:テストステロン 300 µg/マウス/日
300 µg テストステロン
100 µg エピチオスタノール:エピチオスタノール 100 µg/マウス/日
300 µg エピチオスタノール:エピチオスタノール 300 µg/マウス/日
100 µg エピチオスタノール
各群週 5 日皮下注(投与期間:42 日)
300 µg エピチオスタノール
(day)
*: TPDMT-4;Transplantable Pregnancy-dependent Mammary Tumor-4 系
図Ⅵ-4
ホルモン依存性マウス乳癌に対するエピチオスタノール及びテストステロンの影響
② ラット乳腺線維腺腫
ホルモン依存性ラット(SD 系)乳腺線維腺腫に対するエピチオスタノールの乳腺腫瘍発育
抑制作用を検討すると,エピチオスタノールは対照群に比し乳腺腫瘍の発育を抑制し,更に,
テストステロンプロピオン酸エステルより強力な抗乳腺腫瘍作用を示した 21)。
(3) 作用発現時間・持続時間
該当資料なし
-14-
Ⅶ. 薬物動態に関する項目
1. 血中濃度の推移・測定法
(1) 治療上有効な血中濃度
該当資料なし
(2) 最高血中濃度到達時間
(3) 臨床試験で確認された血中濃度
1) 健康成人
健康成人男性にメピチオスタンカプセル 10 mg を単回経口投与したときの血漿中濃度及び薬
物動態パラメータを図Ⅶ-1,表Ⅶ-1 に示す 22)。
n = 6
(mean ± S.E.)
図Ⅶ-1
投与量
(mg)
10
n
6
単回経口投与時の血漿中濃度
表Ⅶ-1 薬物動態パラメータ
Cmax
Tmax
(ng/mL)
(hr)
34.5 ± 7.3
4.2 ± 0.8
AUC 0-∞
(ng・hr/mL)
183.9 ± 31.0
(mean ± S.E.)
測定法:GC-MS(Gas Chromatography-Mass Spectrometry);ガスクロマトグラフ
ィー-質量分析法
-15-
2) 血液透析患者
血液透析を必要とする腎疾患患者 6 例にメピチオスタンカプセル 10 mg を朝夕 2 回 7 日間反
復経口投与した。血漿中濃度は上昇していく傾向はみられず,蓄積性は認められなかった 22)。
表Ⅶ-2
症例
性
1
男
2
男
3
男
4
女
5
男
6
男
日数 a)
血漿中メピチオスタン濃度(透析時)
服薬後透析
開始までの
時間 b)(hr)
1
5
8
10
1
6
8
10
1
5
8
10
1
4
8
11
1
5
8
10
1
4
8
11
メピチオスタン濃度(ng/mL)
3.5
1.5
3.5
-c)
6.5
5.5
6.5
-c)
4.5
3.5
4
-c)
0.5
0
0
-c)
0
2.5
3
-c)
2.5
2
2.5
-c)
透析前
透析後
43.8
4.1
56.2
0.3
19.2
21.6
14.8
0
0
10.0
12.1
0
0.3
5.6
4.3
0.3
0
76.7
75.1
4.0
26.1
75.7
35.0
0
5.6
7.0
21.0
0
10.7
49.4
4.2
0
22.3
54.3
4.7
0
13.4
106.4
11.8
0
71.3
29.0
101.9
3.8
26.4
32.3
21.8
0
a):試験開始日を第 1 日とした日数
b):当日朝の服薬から透析開始までの時間(hr)
c) :10 日目又は 11 日目は服薬していない。
(4) 中毒域
該当資料なし
(5) 食事・併用薬の影響
該当資料なし
(6) 母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因
該当資料なし
2. 薬物速度論的パラメータ
(1) コンパートメントモデル
該当資料なし
(2) 吸収速度定数
該当資料なし
(3) バイオアベイラビリティ
該当資料なし
-16-
(4) 消失速度定数
該当資料なし
(5) クリアランス
該当資料なし
(6) 分布容積
該当資料なし
(7) 血漿蛋白結合率
該当資料なし
3. 吸収
該当資料なし
〔参 考〕
ラット(SD 系)に 5 mg/kg を単回経口投与時の 2 時間後,胃内に約 20%,小腸に約 40%,
大腸に数%存在し,消化管全体に存在するのは約 60%で,残りの 40%が体内に吸収された。
8 時間後には胃内に存在するものはほとんどなくなり,小腸に約 10%,大腸に 50%近く存在
し,消化管の上部から下部への移行がみられた。
また,ラット(SD 系)に 5 mg/kg/日を 14 日間連続投与したとき,最終投与 48 時間後には
消化管内にほとんど存在せず,単回投与時の結果に類似していた 34)。
表Ⅶ-3
時間
(hr)
消化管内残存率(単回投与時)
1
2
4
8
24
48
240
46.4
±
15.4
40.2
±
17.3
0.4
±
0.2
18.4
±
12.5
37.0
±
14.4
5.2
±
7.5
8.0
±
7.1
25.8
±
2.8
19.1
±
7.3
2.2
±
3.1
9.2
±
0.5
46.8
±
8.7
0.7
±
0.7
5.7
±
1.4
34.4
±
20.1
0.1
±
0.2
0.4
±
0.1
1.3
±
0.1
0.0
±
0.0
0.1
±
0.1
0.0
±
0.0
臓器
胃
小腸
大腸
表Ⅶ-4
時間
最終投与
(hr)
直前
臓器
胃
小腸
大腸
2.2
±
3.2
6.7
±
1.5
30.7
±
14.4
(n = 3,mean ± S.D.)
消化管内残存率(連続投与時)
2
4
8
24
48
240
14.2
±
1.6
44.2
±
3.3
15.3
±
4.1
5.0
±
2.4
28.9
±
5.5
28.7
±
4.9
2.6
±
2.5
13.3
±
2.1
50.8
±
4.6
0.2
±
0.1
4.0
±
0.3
15.1
±
2.5
0.2
±
0.2
1.2
±
0.2
1.8
±
1.5
0.0
±
0.0
0.3
±
0.1
0.2
±
0.0
-17-
(n = 3,mean ± S.D.)
4. 分布
(1) 血液-脳関門通過性
該当資料なし
(2) 血液-胎盤関門通過性
該当資料なし
〔参 考〕
妊娠ラット(SD 系)に投与すると,母動物における濃度に比しわずかであるが胎児に移行
し,胎児各臓器中の放射活性は投与 2 ~ 4 時間後にピークに達し,24 時間後にはほぼ消失
した 34)。
(3) 乳汁への移行性
該当資料なし
〔参 考〕
マウス(ICR 系)に経口投与したとき,新生児への乳汁を介しての移行は,わずかではある
が認められ比較的ゆっくりと消失した 16)。
(4) 髄液への移行性
該当資料なし
(5) その他の組織への移行性
該当資料なし
〔参 考〕
ラット(SD 系)に 14C-標識メピチオスタンを 5 mg/kg 単回経口投与したとき,心臓,肺,
肝臓,腎臓等の主要臓器では投与 2 ~ 4 時間後に放射活性はピークに達し 24 ~ 48 時間後
にはほぼ消失した。子宮,卵巣等の標的器官では放射活性の消失が緩慢であり 24 時間後で
も強い活性を示したが,48 時間後にはほぼ消失した。1 日 1 回,14 回反復投与後の放射活
性の時間的推移は単回投与の場合とよく類似しており,標的器官以外の主要臓器では投与終
了 24 ~ 48 時間後には放射活性はほぼ消失し,本剤の蓄積性は認められなかった。標的器
官では 48 時間後もかなりの活性を示し,その後消失に向かった 34)。
5. 代謝
(1) 代謝部位及び代謝経路
該当資料なし
〔参 考〕
ラット(SD 系)に
14C-標識メピチオスタンを経口投与したときの代謝経路はメピチオスタ
ンのメトキシシクロペンチール基がはずれてエピチオスタノールとなった後,また一部は,
エピチオ基の酸化,脱硫を経てメピチオスタンオレフィンとなり,ついでメトキシシクロペ
ンチル基がはずれてエピチオスタノールの代謝経路に入ると考えられる 34)。
-18-
(2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種
該当資料なし
(3) 初回通過効果の有無及びその割合
該当資料なし
(4) 代謝物の活性の有無及び比率
該当資料なし
(5) 活性代謝物の速度論的パラメータ
該当資料なし
6. 排泄
(1) 排泄部位及び経路
該当資料なし
〔参 考〕
下記「(3) 排泄速度」の項参照
(2) 排泄率
(3) 排泄速度
該当資料なし
〔参 考〕
ラット(SD 系)における単回経口投与時の尿中及び糞中への投与後 4 日間の累積排泄率は,
それぞれ約 30%,約 67%であった。1 日 1 回,14 回反復投与後の場合も 1 回投与の成績と
類似していた。本剤は吸収された後,かなりの部分が胆汁中に排泄されるが,このうち再吸
収されるものがあり,腸肝循環が認められた 34)。
7. 透析等による除去率
該当資料なし
-19-
Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目
1. 警告内容とその理由
該当しない
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1. アンドロゲン依存性悪性腫瘍(例えば前立腺癌,男子乳癌)及びその疑いのある患者[腫
瘍を増悪・顕性化することがある。]
(解 説)
正常前立腺機能はアンドロゲン依存性であるが,前立腺癌もアンドロゲン依存性を示す。した
がって男性ホルモン作用を有する本剤の投与は本腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。
2. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「10. 妊娠,産婦,授乳婦等への投与」の項参
照]
(解 説)
女性胎児の男性化を起こすので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
該当しない
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
該当しない
5. 慎重投与内容とその理由
(1) 前立腺肥大のある患者[前立腺肥大を悪化させ,排尿障害などの症状があらわれるおそれ
がある。]
(解 説)
前立腺機能はアンドロゲン依存性である。本剤の投与は前立腺肥大を悪化させ,排尿障害等の
症状を発現させる可能性がある。
(2) 心疾患,腎疾患及び癌の骨転移のある患者[ナトリウム又は体液の貯留,高カルシウム血
症があらわれることがある。]
(解 説)
ナトリウム又は体液の貯留,高カルシウム血症があらわれることがあり,これに伴い浮腫,血
圧の変動があらわれることがあるので,慎重に投与すること。
-20-
(3) 高齢者[「9. 高齢者への投与」の項参照]
(解 説)
高齢者では,ナトリウム又は体液の貯留,高カルシウム血症等があらわれやすい。これに伴う
浮腫,血圧の上昇等があらわれることがあるので,慎重に投与すること。
(4) 幼児,小児[「11. 小児等への投与」の項参照]
(解 説)
骨端の早期閉鎖,性的早熟を来すことがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与すること。
6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法
透析患者への投与
(1) 本剤を透析施行中の腎性貧血の患者に投与する場合,血清クレアチニン値の上昇,尿量減
少を来すことがあるので観察を十分に行い,このような場合には減量又は投与を中止する
など適切な処置を行うこと。
(2) 本剤の投与により,基準体重(dry weight)の増加を来すことがある。したがって,血圧
の推移(低血圧等)に留意し,適切な基準体重の再設定を行うこと。
7. 相互作用
(1) 併用禁忌とその理由
該当しない
(2) 併用注意とその理由
該当しない
8. 副作用
(1) 副作用の概要
承認時における安全性評価対象例は腎性貧血症例 219 例(うち女性 116 例)及び乳癌症例 183
例であり,副作用はそれぞれ 69 例(31.5%),99 例(54.1%)に認められた。
再審査終了時における安全性評価対象例は腎性貧血症例 4205 例及び乳癌症例 1968 例であ
り,臨床検査値の異常変動を含む副作用はそれぞれ 459 例(10.92%),859 例(43.65%)
に認められた。主なものは,腎性貧血症例で嗄声 84 例,多毛 59 例,ざ瘡 50 例,AST(GOT)
上昇,ALT(GPT)上昇,血清クレアチニン値の上昇等であった。また,乳癌症例で嗄声 582
例,多毛 246 例,ざ瘡 206 例,体重増加 144 例,顔面皮脂分泌増加 102 例,浮腫 76 例,色
素沈着 64 例,赤血球とヘモグロビン値の増加傾向等であった 2,3,6-14)。
(2) 重大な副作用と初期症状
該当しない
-21-
(3) その他の副作用
頻度
5%以上又は頻度不明
種類
過敏症注 1
発疹,そう痒等
肝臓注 2
肝機能検査値の異常
女性注 2
回復しがたい嗄声・多毛,ざ瘡,色素沈着,顔面潮紅,月経異常,陰核肥
大,乳房縮小,性欲亢進
男性注 2
陰茎肥大,持続性勃起,性欲亢進,特に大量継続投与による睾丸萎縮・精
子減少・精液減少等の睾丸機能抑制
消化器
精神神経系
皮膚
その他
悪心・嘔吐,食欲不振,胃不快感,腹部膨満感,心窩部不快感,心窩部痛,
口内炎,口唇炎,口渇,下痢,便秘等
多幸症
脱毛,皮脂分泌増加,皮膚色調の変化(紅斑等)
浮腫,食欲亢進,体重増加,手のこわばり,心悸亢進,満月様顔貌,赤血
球増加,倦怠感
注 1: 症状があらわれた場合には投与を中止すること。
注 2: 症状(異常)が認められた場合には,減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこ
と。
(解 説)
・嗄声,多毛,ざ瘡,浮腫,体重増加
発生原因:男性ホルモン様作用による。
処置方法:減量又は中止
-22-
(4) 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧
1) 承認時における調査
承認時における安全性評価対象例は腎性貧血症例 219 例(うち女性 116 例)及び乳癌症例 183
例であり,副作用発現状況は表Ⅷ-1,表Ⅷ-2 のとおりであった
表Ⅷ-1
副作用の発現状況(腎性貧血)
安全性評価対象例数
副作用発現例数
副作用発現率
副作用発現件数
副作用の種類
食欲亢進
悪心
胃腸系障害
嘔吐
腹部膨満感
体重増加
栄養代謝障害
浮腫
ざ瘡
多毛症
皮脂分泌増加
皮膚付属器官障害
脱毛症
色素沈着
そう痒感
泌尿器系障害
尿量減少
中枢・末梢神経系障害
嗄声
肝臓胆管系障害
女性生殖障害
心拍数・心リズム障害
一般的全身障害
13,14)。
219 例
069 例
31.5%
127 件
副作用の種類別発現例数・発現率(%)
9(4.1)
9(4.1)
3(1.4)
1(0.5)
8(3.7)
4(1.8)
18(8.2)
13(5.9)
11(5.0)
3(1.4)
1(0.5)
1(0.5)
13(5.9)
10(4.6)
10(4.6)
肝機能障害 *
月経異常
心悸亢進
顔面潮紅
10(4.6)
1(0.5)
2(0.9)
*:肝機能障害 10 例のうち 9 例は輸血併用症例
表Ⅷ-2
男
性
ホ
ル
モ
ン
様
作
用
消化器系
その他
安全性評価対象例数
副作用発現例数
副作用発現率
副作用発現件数
副作用の種類
嗄声
副作用の発現状況(乳癌)
183 例
099 例
54.1%
216 件
副作用の種類別発現例数・発現率(%)
76(41.5)
多毛
44(24.0)
ざ瘡
42(23.0)
浮腫
24(13.1)
色素沈着
07( 3.2)
脱毛
04( 1.9)
顔面潮紅
03( 1.4)
顔面皮脂分泌増加
悪心
肝機能検査値異常
下痢
手のこわばり
心悸亢進
満月様顔貌
01(
08(
02(
01(
02(
01(
01(
-23-
0.5)
3.7)
0.9)
0.5)
0.9)
0.5)
0.5)
2) 再審査終了時における調査
再審査終了時における安全性評価対象例は腎性貧血症例 4205 例及び乳癌症例 1968 例であり,
副作用発現状況は表Ⅷ-3,表Ⅷ-4 のとおりであった
表Ⅷ-3
13,14)。
副作用の発現状況(腎性貧血)
胃腸症状
皮膚付属器官障害
安全性評価対象例数
副作用発現例数
副作用発現率
副作用発現件数
副作用の種類
嘔気
悪心
食欲亢進
食欲不振
嘔吐
胃不快感
心窩部痛・心窩部の疼痛
下痢
胃腸障害
胃痛
腹部不快感
口内炎
腹部膨満
腹部膨満感
上腹部痛
軟便
心窩部不快感
むかつき
便秘
腹痛
下腹部痛
胃腸症状
多毛症
ざ瘡
そう痒感
発疹
尋常性ざ瘡
湿疹
そう痒
顔面皮疹
皮疹
脂腺機能亢進
痒疹
脂漏性皮膚炎
皮膚そう痒症
皮膚変色
薬疹
顔面湿疹
固定薬疹
アレルギー
4205 例
0459 例
10.92%
0632 件
副作用の種類別発現例数・発現率(%)
25(0.59)
15(0.36)
14(0.33)
11(0.26)
10(0.24)
6(0.14)
5(0.12)
5(0.12)
5(0.12)
3(0.07)
3(0.07)
2(0.05)
2(0.05)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
59(1.40)
50(1.19)
21(0.50)
17(0.40)
10(0.24)
8(0.19)
6(0.14)
3(0.07)
3(0.07)
2(0.05)
2(0.05)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
(次頁へ続く)
-24-
肝臓胆管系障害
副作用の種類
肝機能障害
ALT(GPT)上昇
肝障害
副作用の種類別発現例数・発現率(%)
30(0.71)
26(0.62)
26(0.62)
AST(GOT)上昇
肝機能異常
肝機能検査異常
肝機能低下
24(0.57)
13(0.31)
2(0.05)
1(0.02)
中枢末梢
神経系
急性肝炎
血清トランスアミナーゼ上昇
嗄声
音声低音化
1(0.02)
1(0.02)
84(2.00)
3(0.07)
代謝栄養障害
1(0.02)
15(0.36)
12(0.29)
8(0.19)
神経痛
口渇
血中クレアチニン上昇
体重増加
3(0.07)
3(0.07)
2(0.05)
1(0.02)
顔面浮腫
Al-P 上昇
LDH 上昇
脂肪沈着症
女性生殖障害
13(0.31)
4(0.10)
4(0.10)
3(0.07)
無月経
月経異常
月経不順
不正子宮出血
全身障害
1(0.02)
1(0.02)
2(0.05)
2(0.05)
乳房縮少
乳汁漏出
顔面潮紅
倦怠感
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
1(0.02)
浮腫
全身倦怠感
全身異和感
頭痛
6(0.14)
1(0.02)
1(0.02)
尿量減少
乏尿
心障害系 動悸
泌尿器系
調査期間(1983. 5 ~ 1987. 5)
-25-
表Ⅷ-4
副作用の発現状況(乳癌)
1968 例
859 例
43.65%
安全性評価対象例数
副作用発現例数
副作用発現率
1614 件
副作用の種類別発現例数・発現率(%)
582(29.57)
246(12.50)
206(10.47)
144( 7.32)
102( 5.18)
076( 3.86)
064( 3.25)
019( 0.97)
010( 0.51)
001( 0.05)
038( 1.93)
029( 1.47)
019( 0.97)
016( 0.81)
007( 0.36)
002( 0.10)
男性ホルモン様作用
副作用発現件数
副作用の種類
嗄声
多毛
ざ瘡
体重増加
顔面皮脂分泌増加
浮腫
色素沈着
月経異常
顔面紅潮
性欲亢進
悪心
食欲不振
嘔吐
肝機能検査値異常
胃不快感
心窩部痛
消化器系
002(
001(
001(
001(
001(
025(
003(
003(
002(
001(
001(
001(
その他
口内炎
下痢
口唇炎
心窩部不快感
口渇
発疹
赤血球数増多
そう痒
満月様顔貌
手のこわばり
手の水泡
紅斑
0.10)
0.05)
0.05)
0.05)
0.05)
1.27)
0.15)
0.15)
0.10)
0.05)
0.05)
0.05)
調査期間(1978. 8 ~ 1982. 4)
(5) 基礎疾患,合併症,重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
(6) 薬物アレルギーに対する注意及び試験法
副作用
頻度
5%以上又は頻度不明
種類
過敏症注1
発疹,そう痒等
注 1:症状があらわれた場合には投与を中止すること。
9. 高齢者への投与
高齢者では,ナトリウム又は体液の貯留,高カルシウム血症等があらわれやすいので,慎重
に投与すること。
-26-
10. 妊婦,産婦,授乳婦等への投与
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物試験(ラット)で催
奇形作用が報告されており,また雌性胎児の雄性化を起こす 15)。]
(2) 授乳中の婦人に投与する場合には,授乳を中止させること。[動物試験(ラット)で乳汁
を介して新生児に移行することが報告されている 16)。]
11. 小児等への投与
幼児,小児では骨端の早期閉鎖,性的早熟を来すことがあるので,観察を十分に行い,慎重
に投与すること。
12. 臨床検査結果に及ぼす影響
該当しない
13. 過量投与
該当しない
14. 適用上の注意
薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること。
(PTP
シートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の
重篤な合併症を併発することが報告されている。)
15. その他の注意
(1) 動物試験(ラット)で胆汁排泄障害がある場合吸収されないとの報告があるので,胆汁う
っ滞性黄疸の患者に対しては効果が期待し難い。
(2) 蛋白同化・男性ホルモン剤を長期大量に投与された再生不良性貧血の患者等に肝腫瘍の発
生が観察されたとの報告がある。
〔参 考〕
Bernstein, M. S. et al.:N. Engl. J. Med., 1971, 284 (20), 1135
恒松由記子ほか:臨床血液, 1978, 19 (12), 1699
16. その他
-27-
Ⅸ. 非臨床試験に関する項目
1. 薬理試験
(1) 薬効薬理試験(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照)
(2) 副次的薬理試験
該当資料なし
(3) 安全性薬理試験
表Ⅸ-1
試験項目
中枢神経系
自発運動
抗痙攣作用
鎮痛作用
末梢神経系 呼吸循環器系
平
滑
筋
腎
機
能
脳
下
垂
体
・
副
腎
・
性
腺
系
NA の 昇 圧 ,
ACh の降圧作
用 に 対す る作
用
呼吸
血圧
動物種
性,例数
投与
経路
マウス
(ddY 系)
経口
雄
n = 3 ~ 10
ウサギ
雄
n = 5
ウサギ
雄
n = 5
経口
経口
ラット
(Wistar 系)
生体子宮に対
雌,n = 2 経口
する作用
ウサギ
雌,n = 5
一般薬理
投与量
(mg/kg)
試験成績
引用
文献
200
400
400
200
400
いずれの投与量においても作用は認められなかっ
た。
作用はまったく認められなかった。
いずれの投与量においても作用は認められなかっ
た。
23)
400
昇圧反応にほとんど影響は認められなかった。
24)
呼吸振幅に対し,ほとんど作用は認められず,呼吸
数に対し,軽微な増加作用が認められた。
400
収縮期圧及び拡張期圧に対し,軽微な降圧作用が認
められた。
妊娠,非妊娠いずれの場合も影響はまったく認めら
れなかった。
400
24)
25)
収縮振幅及び収縮頻度の軽微な減少が認められた。
腎機能に対す
る作用
ラット
(SD 系)
雌雄
n = 10
5,25
経口 (3 週間連続
投与)
1) 体重及び尿量:体重は雄では著変がみられず,雌
ではいずれの投与群においても有意な増加が認
められた(p < 0.05)。尿量は雌雄ともいずれの
時期においても特記すべき影響はみられなかっ
た。
2) PSP 排泄能:いずれの時期においても雌雄各投
与群とも排泄遅延はみられなかった。
3) 尿中 Na,K 排泄及び浸透圧:影響がみられなか
った。
男性ホルモン
作用
ラット
(SD 系)
雄,n = 7
経口
0.2,0.8 mg
/ラット/日
オキシメトロンの約 17 倍,フルオキシメステロン
とほぼ同程度
26)
27)
1) 成長:雄に対して各投与群とも作用がみられなか
2 mg/ラット
ったが,雌では各投与群に成長促進が認められた。
/日
2) 副腎重量:いずれの投与群においても雌の副腎重
(10,20,
連続投与
28)
量増加が著しく抑制された。
30 日間連続
3) 脳下垂体重量:いずれの投与群とも雌雄で下垂体
投与)
重量の減少がみられた。
性周期に対す
0.2,1.0,5.0
ラットの性周期を抑制した。
ラット
る影響
mg/ラット
(SD 系)
経口 /日 1 日 1 回
29)
雌
自然排卵に対
自然排卵抑制効果はフルオキシメステロンよりや
10 日間連続
n = 5 ~ 6
する影響
や弱く,オキシメトロンよりも極めて強かった。
投与
NA:ノルアドレナリン,ACh:アセチルコリン
ラット
(Wistar 系)
経口
雌雄
n = 10
-28-
(4) その他の薬理試験
該当資料なし
2. 毒性試験
(1) 単回投与毒性試験
表Ⅸ-2
急性毒性試験
(LD50,mg/kg)
動物種
投与経路
性(例数)
マウス
(ICR 系)
ラット
(SD 系)
経口
皮下
腹腔内
雄(n = 3)
> 6130
> 6130
> 6130
雌(n = 3)
> 6130
> 6130
> 6130
雄(n = 3)
> 5000
> 5000
> 5000
雌(n = 3)
> 5000
> 5000
> 5000
引用
文献
30)
(2) 反復投与毒性試験
1) 亜急性毒性試験
雌雄ラット(SD 系)に 35 日間,雌雄イヌ(ビーグル)に 31 日間連続経口投与した結果,ラ
ットでは 1 mg/kg/日以上の投与により,イヌでは 2.5 mg/kg/日以上の投与により下垂体,副
腎,性腺等の抑制がみられた。
表Ⅸ-3
項目
動物種
性,例数
投与
経路
一般
状態
体重・
摂餌量
ラット
(SD 系)
雌雄
尿検査
n = 16
血圧
臓器
重量
経口
投与量
(mg/kg/日)
亜急性毒性試験
投与
期間
試験成績
1) 25 ~ 625 mg/kg の投与量で包皮の腫
脹,陰核及び乳頭肥大(雄)
2) るい痩及び粗毛(雄),接触刺激に対
する過敏反応(雄)
雄においては 5 mg/kg 以上の投与群で体
重増加抑制と摂餌量減少,
雌においては 1
mg/kg 以上の投与群で体重増加促進と摂
餌量増加
いずれの投与量においても変化がみられ
0.04,0.2,
35 日間 なかった。
1,5,25,
連日投与 いずれの投与量においても変化がみられ
125,625
なかった。
1) 1 mg/kg 以上の投与群で卵巣,下垂体
(雌),胸腺の重量減少がみられた。
2) 5 mg/kg 以上の投与群で副腎(雌)の
重量減少,25 mg/kg 以上の投与群で精
のうの重量増加がみられた。
3) 125 mg/kg 以上の投与群で腎(雌),
顎下腺,包皮腺,前立腺の重量増加が
みられた。
-29-
引用
文献
30)
2) 慢性毒性試験
雌雄ラット(SD 系)に 6 ヵ月間連続経口投与した結果,5 mg/kg/日以上の投与で 32 匹中 3
匹の雌ラットが膀胱結石に由来する腎盂腎炎を伴って死亡した。その他,ラット特有の変化と
して心筋層に限局性の線維化が認められた。
表Ⅸ-4
項目
動物種
性,例数
投与
投与量
経路 (mg/kg/日)
慢性毒性試験
投与
期間
一般状態・
体重
摂餌・
摂水量
血液検査
ラット
(SD 系)
雌雄
n = 16
経口
0.04,0.2, 6 ヵ月間
1,5,25
連日投与
尿検査
肝生化学
試験成績
引用
文献
雄においては 5 mg/kg 以上の投与群
で会陰部の腫脹,皮脂分泌の亢進,
体重増加抑制と雌においては 1
mg/kg 以上の投与群で陰核及び乳頭
の腫大,体重増加促進がみられた。
1 mg/kg 以上の投与群で雄において
は摂餌量減少,雌においては摂餌量
増加がみられた。
5 mg/kg 以上の投与群で赤血球数の
軽度増加が,25 mg/kg 投与群でリン
31)
パ球の軽度減少,好中球の軽度増加,
白血球の減少(雄)がみられた。
1 mg/kg 以上の投与群でカルシウム
の排泄減少(雌)がみられた。
1) 1 mg/kg 以上の投与群で総コレス
テロール及びトリグリセライドの
増加(雌)がみられた。
2) 5 mg/kg 以上の投与群で肝ステロ
イド水酸化酵素活性パターンの雄
性化(雌)がみられた。
(3) 生殖発生毒性試験
1) ラット(SD 系)における妊娠前及び妊娠初期に及ぼす影響を検討する目的で,雄には雌との
同居前 9 週間,同居開始後 5 週間連続,雌には雄との同居開始前 2 週間,同居期間中,更に
交尾ラットでは妊娠第 7 日まで本剤の 0.1,0.3,1,3 mg/kg を連日経口投与した。1 mg/kg
以下の投与量では繁殖性,妊娠諸過程,胎児の生育,胎児の外部,内部,骨格等に何ら悪影響
を与えなかった 32)。
2) マウス(ICR 系),ラット(SD 系),ウサギ(NZW 種)における器官形成期に及ぼす影響
を検討する目的で,妊娠第 6 日から 10 日間本剤の 0.2,1,5,25,50 mg/kg を連日経口投与
した。0.2 mg/kg の投与量でマウス,ラットの腎下降,マウスの雌胎児,哺乳児の肛門・外性
器間距離の延長等を誘発した 15)。
3) ラット(SD 系)における周産期及び授乳期に及ぼす影響を検討する目的で,妊娠第 17 日か
ら,分娩を経て離乳時まで(分娩後 21 日間)本剤の 0.2,1,5,25 mg/kg を連日経口投与し
た。F0 分娩ラット及び出生 F1 ラットの 25 mg/kg 投与群で妊娠期間のわずかな延長,死産又
は出生直後死亡例の増加傾向,出生 48 時間以内の新生児死亡率の増加等がみられた。F1 ラッ
トの成長については 25 mg/kg 投与群雌雄で生後 5 日より,5 mg/kg 投与群の雌雄でも生後 15
日より対照群に比し有意の低体重を示した(p < 0.05)32)。
-30-
(4) その他の特殊毒性
1) ホルモン作用
雌ウサギ(albino)に経口で 1 日 4 mg/ウサギを 5 日間投与した結果,フルオキシメステロン
とほぼ同等の男性ホルモン作用を有した 27)。
雄ラット(SD 系)に経口で 0.2,0.8 mg/ラット/日を 10 日間連続投与した結果,フルオキシ
メステロンとほぼ同等の蛋白同化作用を有した 27)。
雌雄ラット(SD 系)に経口で 0.2,0.8 mg/ラット/日を 10 日間連続投与した結果,フルオキ
シメステロンとほぼ同等の下垂体ゴナドトロピン分泌抑制作用を有した 29)。
雌ウサギ(albino)に経口で 1 日 4 mg/ウサギを 5 日間投与した結果,黄体ホルモン様作用は
ほとんど有さなかった 33)。
2) 肝機能に及ぼす影響
雌雄ウサギ(albino)に経口で 1 日 20 mg/kg,3 週間投与した結果,メピチオスタンはステ
ロイド核の 17α位にアルキル基を有しないため,17αアルキル化経口男性ホルモン剤に認め
られる肝機能障害がほとんどみられなかった 27)。
-31-
Ⅹ. 管理的事項に関する項目
1. 規制区分
製剤:チオデロンカプセル 5 mg 劇薬,処方箋医薬品注 1)
注 1) 注意-医師等の処方箋により使用すること
有効成分:メピチオスタン 劇薬
2. 有効期間又は使用期限
使用期限:外箱等に表示(使用期間 2 年)
(7 頁「Ⅳ. 4. 製剤の各種条件下における安定性」の項参照)
3. 貯法・保存条件
遮光・気密容器・冷所保存
(下記「4.薬剤取扱い上の注意点」の項参照)
4. 薬剤取扱い上の注意点
(1) 薬局での取り扱いについて
該当資料なし
(2) 薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等)
1. 冷所保存でも 5℃以下で保存された場合には,カプセル内部の一部又は全体に白濁を認める
ことがある。これは,溶剤として使用しているゴマ油の凝固が原因で,有効成分の析出,あ
るいは分解によるものではないので,使用に差し支えない。
2. 温度・湿度・光により主成分の分解,皮膜の変質がみられることがある。
5. 承認条件等
該当しない
6. 包装
チオデロンカプセル 5 mg:PTP 100 カプセル(10 カプセル× 10)
7. 容器の材質
PTP シート:シクロオレフィンコポリマー,アルミニウム
8. 同一成分・同効薬
同一成分薬:なし
同
効 薬:透析実施中の腎性貧血;エリスロポエチン製剤
乳癌;なし
-32-
9. 国際誕生年月日
不明
10. 製造販売承認年月日及び承認番号
表Ⅹ-1
承認年月日
承認年月日及び承認番号
2008 年 3 月 13 日
(販売名変更による)
22000AMX00737000
承認番号
[注]旧販売名:チオデロン 5 mg
承認年月日:1978 年 8 月 1 日
11. 薬価基準収載年月日
チオデロンカプセル 5 mg(新販売名):2008 年 6 月 20 日
[注]チオデロン 5 mg(旧販売名)
:1979 年 4 月 19 日
経過措置期間終了:2009 年 3 月 31 日
12. 効能又は効果追加,用法及び用量変更追加等の年月日及びその内容
一部変更承認年月日:1983 年 5 月 27 日
追加承認された内容
「透析施行中の腎性貧血」の効能又は効果追加,用法及び用量追加
9 頁「Ⅴ.1.効能又は効果」,「Ⅴ.2.用法及び用量」の項参照
13. 再審査結果,再評価結果公表年月日及びその内容
14. 再審査期間
(1) 透析実施中の腎性貧血
再審査期間:6 年
再審査結果公表年月日:1989 年 3 月 1 日
(2) 乳癌
再審査期間:(再審査に指定されていない。)
15. 投薬期間制限医薬品に関する情報
本剤は,投薬期間に関する制限は定められていない。
16. 各種コード
表Ⅹ-2
各種コード
販売名
HOT(9 桁)番号
チオデロンカプセル5mg
105521402
17. 保険給付上の注意
-33-
厚生労働省薬価基準
レセプト電算コード
収載医薬品コード
2499003M1065
620006975
ⅩⅠ. 文献
1. 引用文献
1) 第十六改正日本薬局方解説書,2011, C-4921-4925,廣川書店,東京
2) 三村信英ほか:臨床評価,1982, 10 (1), 149
3) 秋沢忠男ほか:最新医学,1982, 37 (2), 370
4) 越川昭三ほか:腎と透析,1983, 14 (6), 757
5) 渡辺有三ほか:日本腎臓学会誌,1982, 24 (6), 655
6) Kumaoka, K. et al. : Jpn. J. Clin. Oncol., 1974, 4 (1), 65
7) Inoue, K. et al. : Cancer Treat. Rep., 1978, 62 (5), 743
8) 堀
雅晴ほか:外科診療,1978, 20 (2), 252
9) 岡
隆宏ほか:京都府立医科大学雑誌,1977, 86 (7), 461
10) 阿部令彦ほか:社内資料(再発,進行乳癌に対する臨床検討,1977)
11) Japanese Cooperative Group of Hormonal Treatment for Breast Cancer :
Cancer, 1978, 41, 758
12) 乳癌ホルモン療法研究会:癌の臨床,1978, 24 (1), 41
13) 厚生省薬務局安全課:医薬品副作用情報,No. 72, 1985, pp. 7-8
14) 厚生省薬務局安全課:医薬品副作用情報,No. 97, 1989, pp. 17-18
15) 長谷川靖彦ほか:社内資料(マウス,ラット,ウサギにおける器官形成期投与試験,1977)
16) 堤内正美ほか:社内資料(マウスにおける体内分布,1977)
17) 外山圭助ほか:最新医学,1980, 35 (9), 1913
18) Miyake, T. et al. : Endcrinol. Jpn., 1973, 20 (2), 157
19) Miyake, T. et al. : Excerpta Med. Int. Congr. Series, 1966, 132, 616
20) Matsuzawa, A. et al. : Cancer Res., 1976, 36, 1598
21) Takatani, O. et al. : Gann, 1973, 64 (3), 305
22) 山田秀雄ほか:社内資料(ヒト体内動態に関する研究,1982)
23) 広瀬勝己ほか:社内資料(中枢神経系に対する作用,1977)
24) 上田元彦ほか:社内資料(呼吸,循環器系,自律神経系に対する作用,1977)
25) 堤内正美ほか:社内資料(平滑筋に対する作用,1977)
26) 中村益久ほか:社内資料(腎機能に対する作用,1977)
27) Miyake, T. et al. : Jpn. J. Pharmacol., 1974, 24, 551
28) Tanaka, A. et al. : Ann. Rept. Shionogi Res. Lab., 1974, 24, 84
29) Kobayashi, F. et al. : Ann. Rept. Shionogi Res. Lab., 1974, 24, 70
30) 小林文彦ほか:応用薬理,1978, 16 (4), 779
31) 村岡義博ほか:応用薬理,1978, 16 (4), 739
32) 小林文彦ほか:社内資料(生殖に及ぼす影響,1977)
33) Uchida, K. et al. : Ann. Rept. Shionogi Res. Lab., 1974, 24, 55
34) 山田秀雄ほか:社内資料(吸収,分布,代謝及び排泄に関する研究,1977)
-34-
2. その他の参考文献
-35-
ⅩⅡ. 参考資料
1. 主な外国での発売状況
該当しない
2. 海外における臨床支援情報
該当しない
ⅩⅢ. 備考
その他の関連資料
®:登録商標
-36-
製造販売元
塩野義製薬株式会社
〒541-0045 大 阪 市 中 央 区 道 修 町 3 丁 目 1 番 8 号
TDN-D-40 ( I1 )2016 年 7 月作成
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