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近接作用に基づいた 自律分散クラスタリングにおける 消費電力量とデータ
2013/5/24 近接作用に基づいた 自律分散クラスタリングにおける 消費電力量とデータ転送効率の評価 ○濱本 亮 † 会田 雅樹 †† 高野 知佐 石田 賢治 † † † 広島市立大学大学院 情報科学研究科 † † 首都大学東京大学院 システムデザイン研究科 5月 情報ネットワーク科学研究会 Table of Contents I. 研究背景 II. 近接作用に学ぶ自律分散的構造形成技術 III. 反応拡散方程式を用いたBio-inspired方式 IV. 階層ルーティングプロトコル Hi-TORA V. シミュレーションによる評価 VI. まとめ, 今後の課題 2 Ⅰ. 研究背景 これまで… – 近接作用に基づく自律分散制御の枠組みを研究 • 自律分散構造形成技術の提案 • アドホックネットワークにおけるクラスタリングの実現可能性 の検討 クラスタ ノード 3 研究目的 検討したクラスタリング (提案方式) における クラスタ構成時の消費バッテリー量についての評価 データ転送を考慮した評価は不十分 濱本 他, “消費電力とデータ転送効率に 基づく自律分散的に構成したクラスタの 評価,” 信学技報, IN-2012-179 クラスタのデータ転送効率と 消費バッテリー量共に考慮した特性評価 4 Ⅱ. 近接作用に学ぶ自律分散クラスタリング • 提案方式のクラスタリング – ネットワーク内にいる各ノードは分布量: q(x,t) を保持 • 実際には各ノードの電池残量の割合値など – 分布の山を自律分散的に形成 • 隣接ノード間で分布量をやりとり • 拡散方程式の解をさらにくりこみ変換した式を利用 分布の山の範囲 : クラスタ 分布の山の極大値 : 代表ノード クラスタID となるノード q 代表 ノード ノードID 5 分布量 q の時間発展方程式 分布量 ドリフト項 拡散項 c: 分布の変化の速さ,σ2 : 収束する正規分布の分散 (なお ) : 逆拡散係数 6 Ⅲ. 反応拡散方程式を用いたBio-inspired方式 • 生物学的アプローチによる自律分散クラスタリング (比較対象) – 反応拡散方程式によるTuringパターンを利用 – 反応拡散方程式: 動物の皮膚模様の形成過程を説明する 際に用いられる数学モデル Turingパターンの例 • 各ノードは活性因子 (a) と不活性因子 (h) を表す値を保持 • 2つの値の変化を連立微分方程式で表現 – 両者の値のバランスで分布の山を自律分散的に形成 7 活性, 不活性因子の時間発展方程式 活性因子 不活性因子 c, ρ0, ρ1: 因子の増加に関するパラメータ μ, ν : 因子の減少に関するパラメータ Da, Dh: 因子の拡散速度に関するパラメータ 8 構成したクラスタの比較 (提案, Bio-inspired) 100 分 布 の 山 t=0 t = 10000 初期分布量 (初期因子量) 代表ノード 100 50 50 0 0 ク ラ ス タ t = 100000 50 100 0 0 100 100 50 50 0 0 50 提案 100 0 0 50 100 50 100 Bio-inspired 9 提案方式とBio-inspired方式の違い ① パラメータの数 – 提案方式: 3つ (c, σ2, κ’) – Bio-inspired方式: 7つ (c, μ, ν, ρ0, ρ1, Da, Dh) ② 構成されるクラスタ – 提案方式は初期状態に応じたクラスタ構成 – Bio-inspired方式は初期状態によらずほぼ同じ形 10 Ⅳ. 階層ルーティング Hi-TORA • 階層ルーティング(クラスタベースルーティング)の一種 – クラスタ内: リンクステート (最小ホップ) – クラスタ間: クラスタをノードとみなしてTORAを適用 • 受信クラスタ(受信ノードが存在するクラスタ)に近い順に heightを設定 – 受信クラスタのheight = 0 • 送信クラスタ (送信ノードが存在するクラスタ)は より小さいheightを持つクラスタにデータを転送 – 同じheightならよりクラスタIDが小さいクラスタに転送 • 階層化の実現 – 提案方式 – Bio-inspired方式 11 Hi-TORAによるルーティング例 6 D 10 2 S 14 12 9 1 3 8 4 5 15 7 11 height =1 クラスタB height =2 クラスタA ノード 境界ノード 13 height =0 クラスタC 代表ノード 12 Ⅴ. シミュレーションによる評価 • 次に挙げる3点をそれぞれの方式で構成した ◎ノード数を変化 クラスタについて評価 ・ノードの平均移動速度を変化 1. クラスタ構成時のノードの生存率の時間変化 – 生存率[%] = (生存ノード数 / 全ノード数)×100 2. クラスタ構成時のFND時間 バッテリー残量>0 であるノード – FND (First Node Die) 時間 – ネットワークが起動してから最初のノードが バッテリー残量 = 0 になるまでの時間 3. sinkノードが収集したパケット数 13 実験環境 (ノード数を変化) パラメータ 数値 ネットワーク 1,000m×1,000mのUDG ノード数 101~501台 (うち1台: sinkノード) ノードの平均移動速度 1.3m/s (sinkノードは固定) 移動方式 Random direction model ノードの通信可能距離 250m sinkノードの座標 (500m, 500m) シミュレーション時間 20,000sec (約5時間30分) シミュレーション回数 30回 (結果は30回の平均) 消費電力量 通信1bitあたり 1μ J 代表ノードの処理1secあたり 0.1μ J 14 ユニットディスクグラフ (UDG) • ユニットディスクグラフ型ネットワーク • 通信可能領域が被っていたらノードはリンクを張る リンク ネットワーク領域 通信可能半径 通信可能領域 ノード ノードの初期配置例と初期バッテリー容量 • 初期バッテリー容量: [5, 15]の一様乱数×1J – 初期分布量, 初期因子量は初期バッテリー容量と同一の値 High sink 1000[m] Low 1000[m] 16 その他条件 • sinkノード – sinkノードは電源接続を仮定(常に稼働) – パケットを確実に収集 • ルーティング – クラスタ内: 制御パケット不要 – クラスタ間: 制御パケット必要 • 宛先クラスタに行くまでに通る全クラスタの境界ノードに 制御パケットを飛ばす→height の設定 – ルーティング制御パケットは1パケットあたり8Byte • 経路の作成のみ制御パケットを使用 17 シミュレーションシナリオ • 0秒≦ t ≦1000秒 – クラスタ構成のみ – 毎秒隣接ノードと分布量,因子量を交換 – 1制御パケットあたり8Byte • 1000秒 < t – クラスタ構成+ルーティング – ルーティングの仕様 簡単化のため コリジョンは 考慮しない • 各ノードはλ = 0.004の指数分布に従う 時間間隔でデータパケット(1.5kByte)を生成 • sinkノードまでデータパケットをマルチホップで送信 • 経路はデータパケットを送信完了するまで維持 – 送信後は破棄 18 生存率の時間変化についての比較 Alive Node[%] 100 Number of nodes: 101 Number of nodes: 201 Number of nodes: 301 Number of nodes: 401 Number of nodes: 501 90 80 70 Bio-inspired方式 60 0 1000 2000 3000 Time [sec] Alive Node[%] 100 4000 5000 Number of nodes: 101 Number of nodes: 201 Number of nodes: 301 Number of nodes: 401 Number of nodes: 501 90 80 70 提案方式 60 0 1000 2000 3000 Time [sec] 4000 5000 19 FND時間についての比較 2000 Bio-inspired 11分 Proposed Time [sec] 1500 6分 1000 5分 4分 3分 500 0 101 201 301 Number of nodes 401 501 20 sinkノードの総受信データ量についての比較 2000 1046pkt Amount of received data [pkt] Bio-inspired Proposed 1151pkt 1047pkt 1500 665pkt 888pkt 1000 500 0 101 201 301 Number of nodes 401 501 21 シミュレーション実験より • すべての評価項目において提案方式で 構成したクラスタが優位 – 提案方式はBio-inspired方式に比べて 消費エネルギーを抑えてデータ転送可能 • 実験した範囲内のノード数によらず 制御情報量の差 経由するクラスタ数 22 Ⅵ. まとめと今後の課題 • まとめ – 提案方式とBio-inspired方式でクラスタを構成 生存率の時間変化 FND時間 データ転送効率 に着目した評価 – 提案方式で構成したクラスタが優位であることを確 認 • 今後の課題 – 他の電力消費方式での比較評価 – 消費電力とルーティングを考慮した代表ノードの 選択法を検討 23