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人材育成最前線 - 富士通ラーニングメディア
株式会社富士通ラーニングメディア 東京都港区港南2-13-34 NSS-Ⅱビル 〒108-0075 Tel.0120-55-9019 http://www.fujitsu.com/jp/flm/ FUJITSU 人材育成・研修サービス 人材育成最前線 【特集/基調講演】 富士通・富士通ラーニングメディア共催 人材育成セミナー2015 グローバル時代の人材と組織のあり方 一橋大学名誉教授 石倉洋子 氏 ・本書に記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または商標登録です。 ・本書に記載されているシステム名、製品名は必ずしも商標登録(TM、Ⓡ)を付記していません。 ・本書の内容は 2016 年 1 月現在のものです。 ・内容については、予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承願います。 UZE61Z1N*6 株式会社富士通ラーニングメディア 2016年 1月号 特 集 【基調講演】 富士通・富士通ラーニングメディア共催 人材育成セミナー2015 で囲い込もうとするのではなく、プロジェクトごとに必要な スキルを持つ人を求め、協働し、実力が発揮できるようにす グローバル時代の人材と組織のあり方 る。個を活かし、個を束ねてより大きな力にするには組織が 必要。たとえば、 「私たちの組織の目標」とビジョンを明ら 一橋大学名誉教授 かにして、それに賛同する人を集めるという考え方もある。 石倉 洋子氏 世界の大企業トップに、雇用や人材分野で、組織にとって 2020年までに重要な要素は何かと聞いた所、フレキシブル なワークスタイルという回答が一番多かった。パラレルキャ 2015年11月5日、富士通と富士通ラーニングメディアは、 「イノベーション実現のための共創型人材 の育成を考える」をテーマに、 『人材育成セミナー2015』を開催しました。 現在の企業を取り巻く情勢、そして、デジタルビジネスと言われはじめた世界がどのように変わってい くのか、その中でイノベーティブに未来の価値を創るために人材や組織がどうあるべきか、グローバ ル経営の視点からご講話いただきました。 高齢者などにも新たな雇用の機会が生まれる。もちろん、 色々な働き方をする人が増えると、やり難さや違和感も生ま れるが、逆にそれが組織に良い緊張感を生む。この緊張感 こうした時代の組織に 必要なこととは? が大切。それが共創力につながっていく。 境界を越える時代 ルールも変わりつつある。全く新しいブレークスルーではない デジタル化の進行は、地域だけではなく色々な意味で境 る。単体ではなくシステムとしてつなげる時代になり、それに 境界を越えた組み合わせやつながりから生まれるとする では、個人は、何をしたらよいか。今までの箱を壊すこと。 界を越えること、境界をなくすことを可能にしつつある。国 は新しい発想、コンセプトが不可欠。すでにこうした世界は進 と、同じ服装、同じ行動を奨励しているのではイノベーショ 楽だからと、皆つい箱(既成のフレームワーク)に入れたり、 境、業界、機能、組織だけではなく、例えば、人間と機械の 展しているので、このあたりをより一層考える必要がある。 ンは生まれない。同じ課題でも違う面から考える人がいな ルーティンを追おうとする。いかに今までのやり方に捉われず 境界があいまいになり、一体化していくこと、自分のものと 今まではアイデア、コンセプト・レベルでできたらいいなと いと新しいアイデアは出ない。特に、今の経営者と20代の に、外に出て境界を越え、新しい箱を創っていくかが大事。 他人のものの境界がなくなり、 「所有」より「共有」が増え 言っていたことが、ビッグデータや機械学習によって実現で 間には明白な価値観の違いがあるので、逆にそれを活用し 周囲と自分を比較するのではなく、昨日より良い自分を求め て、shared economyが進むことなど。 きるようになってきた。 て、新しいアイデアを多数出し、ビジネスにつなげることを考 る。昨日の私より良くなったのかを常に考える。 もっといい方法 だからといってテクノロジーは万能だからすべて信用して テクノロジーの発展に伴い、新しい働き方、たとえばスキル えたらどうか。 があるのではないか、自分なりのやり方を考えるのも良い。 いいのかという議論もある。ブラックボックスのようなテクノ を持つ人が世界とつながって協働することもある。一方、今あ 日本の多くの組織は、完璧主義の呪縛にとらわれてい ロジーを駆使した解決法と生身の人間の解決法、どちらを る仕事の半分近くが機械化されるという調査結果もある。新 る。正しい答やアプローチがわからないとそもそも手が出 信頼するか。また共有する場合もこれまで以上にその基盤 しい職種も出てくるはずだが、どんなものか予測できないの ない。スピード感がなく、なかなか実行できないのは完璧な となる「信頼」が大切になってくる。 で、なくなる仕事にばかり注目が集まり、脅威を感じる。 ものを探そうとしているから。こうした姿勢は、組織の中で このように新しい形で「境界を越える」ことが起こりつつ 新しい学び方も出てきている。例えばCoursera*。実際 も意外に根強いのではないか。しかしながら、今の時代は、 あるが、この先どういう方向に進んでいくかが見えない。ど 使ってみて、続けるためにはオフライン・コミュニティが必要 試行錯誤、プロトタイピングが不可欠なので、ゆっくりやっ ちらの方向に向かおうとするのか。いまは、正しい答えがな だとも感じるが、学ぼうと思えばいつでもどこでも学ぶこと ていては遅い。 く、意見も百出している。 ができる。 新しい時代の組織とは、それぞれ自立して、ユニークなス 今世界で起こっていること ✽Courseraとは、スタンフォード大学教授のアンドリュー・ウング氏 イノベーションは、技術革新だけではない。競争の場や 1 リア、プロジェクト型など。多様な働き方ができれば、女性、 が、今まであったものをつなぎ合わせて新しい世界を実現す とダフィネ・コラー氏によって2012年に創設された教育技術団体の 名称。世界中の大学と協力し各大学のコースのいくつかを無償でオ ンライン上に提供している。 個人が明日からできること キルを持つ個を活かすことができる、誰にでもスキルや知識 を実践する機会を提供できる組織。みなさんの会社にもア イデアを持つ人がいるのに、実践する機会を与えず、芽をつ んでいることが多いのではないだろうか。人材をすべて自前 2 取組事例 テクノロジー イベントから見る最新技術動向 [Dreamforce 2015] 世界最大のクラウドコンピューティングの祭典 2015年9月15日~18日に米国サンフランシスコにて、セー ルスフォース・ドットコム社(以下、SFDC社)による世界最大規 実際に現地に伺い、活気あるセッション、道路を閉鎖して作ら 自動化処理を簡単に組めるようにし、 「データサイエンティスト このCUSTOMER SUCCESS PLATFORMをより強化する ものと考えられます。 模のITイベント、Dreamforce 2015が開催されました。13回 れた巨大な会場、参加者を運ぶ15ルートものシャトルバス、ホ だけではなく、皆がデータを使えるようにする」との言葉が印 目の今年は登録者170,000名、1,600のセッションなど、過 テル不足対策に用意された宿泊可能な客船などを見て、前年比 象的でした。セッションでは、ゲームのプレイ状況をIoT Cloud 去最大の盛り上がりとなりました。 30%の売上拡大を続けるSFDC社の勢いを直に感じました。 で収集し、プレイ頻度やゲームの進捗に応じたマーケティング 活動をするデモがありました。 SalesforceIQは、メールやカレンダーを分析し、顧客への必 顧客の成功を手助けする最新サービス (IoT Cloud、SalesforceIQ)の提供 クラウドコンピューティングをリードする SFDC社の姿勢 要な対応を提案するなど、インテリジェントな営業支援を行う 今回紹介されたサービスは、モバイル、IoT、スマートマシン、 サービスです。セッションでは活用している企業の紹介や、実 セキュリティなどのトレンドに関わるものでした。SFDC社はこ イベントでは、IoT Cloud、SalesforceIQといった最新サー 際に顧客への対応が提案されるデモが行われました。 うしたトレンドや最新技術を駆使し、ユーザーの成功に向けた ビスや、既存サービスの拡充(セキュリティ強化など)、 マイクロ SFDC社は以前より、IoTを進め、デバイスを利用する顧客 サービスを、ユーザー自身の要望以上の形でスピーディに提供 ソフト社とのパートナーシップ強化が発表されました。 との関係構築が大切であるとするInternet of Customers していました。この姿勢がクラウドコンピューティングをリード IoT Cloudは、デバイスからデータを収集しSalesforce上の の 考 えと、そ の 実 現 に 向 け た C U S T O M E R S U C C E S S する同社の成長を支えているという印象を強く持ちました。 データと連携させるサービスです。得られたデータに対しての PLATFORMの提供を進めています。今回発表のサービスは、 Dreamforce 2015 会場の様子 [AWS re:Invent 2015] マーケティングではなく、教育のイベントである 2015年10月6日~9日に米国ネバダ州ラスベガスにて、 Amazon Web Services, Inc.(以下、AWS)によるグローバル カンファレンス、AWS re:Invent 2015が開催されました。4回 ショップ、技術、アーキテクチャ、運用などのあらゆるテーマで、 Day2の基調講演で、Amazon.comのCTOであるWerner 今回の発表内容を含め、AWSのスピード感はクラウドだから 250を超えるセッションが開催されました。冒頭、 「このイベント Vogels氏は、 「2014年に500以上のアップデートを行った」こ こそできることをやるという、 『クラウドファースト時代』の象徴 は、 マーケティングではなく、教育のイベントである」と、従来のカ とを紹介し、システムを構築する上で重要となる『6つの法則』と だと感じました。お客様の運用コスト削減のためのクラウド導入 ンファレンスとは異なるとの説明からイベントは始まりました。 『7つの新サービス』を紹介しました。何か新しいアイデアのも だけでなく、新サービス創造・実現のための手段としてのクラウ とサービス提供を考える際、どうすればできるかではなく、さま ド導入の手助けとなるよう、富士通グループとしてお客様起点の ざまな障壁があるためできないと考えてしまうことがあります。 ソリューションの実現を目指します。 「オンプレミスからの脱却」 、 「クラウドだからこそできることをやる」 そして「コアコンピタンスへの注力」 新サービスとして発表された、AWS IoT* やAmazon Kinesis 6 Analytics*7、Amazon QuickSight*8は、いままで専門的な知 識や技術力がある者だけが利用できたさまざまなモノを、一般 目となる今年は参加者19,000名(ライブストリーミング視聴者 Day1の基調講演で、AWSのSenior Vice Presidentである の利用部門でも利用できる形で提供されています。 数35,000名)、日本からは500名が参加しました。実践ワーク Andy Jassy氏は、 「人々はなぜクラウドに熱狂するのか?それ 2日にわたる基調講演から、AWSがクラウドへの移行を妨げ はAWSによって自由が得られるからだ」として、 『 7つの自由』と る要因を取り除くことで、オンプレミスを使い続けるしかないと この自由をさらに加速させる『8つの新サービス』を発表しまし いう状況を打破していく、IoTのビジネスへの活用や利用部門に た。IT業界を取り囲む状況が変化する中、業務の効率化や競争 よるBIが求められる中、AWSが提供する基盤・ツールを利用す 力強化につながるビジネスの創造を行うためにクラウド導入を ることで、コアコンピタンスに注力してもらいたいとのメッセー 検討する企業は年々増加しています。 しかし、いざクラウドを導 ジを発信しているように感じました。 入するとなると、既存システムのデータ移行やサービスレベル の保証・セキュリティリスクなどが問題となり、なかなか踏み切 ることができないという話もよく聞きます。新サービスとして発 「クラウドファースト時代」を生き抜くために 表された、Amazon Snowball*1やAWS Database Migration イベントに参加し、売上成長率81%という、 世界で最も高速に Service* により、大規模なシステムや基幹系システムの大量 成長しているIT企業の勢いを感じました。新サービスは、IoTや データを、 容易にクラウドに移行できるようになりました。また、 BIといったトレンドはもちろんのこと、クラウド移行を支援する AWS WAF* やAWS Config Rules* 、Amazon Inspector* サービスなど、利用者が求めるサービスをより使いやすい形でリ 2 3 4 により、AWSのセキュリティがさらに強化されました。 5 リースしているという印象を受けました。 *1 Amazon Snowball 専用 の 物 理 デバイスを 用いて、AW S の デー タセンターに直 接 デー タ (50TB)を送るサービス。 *2 AWS Database Migration Service オンプレミスのDBからAWS上のDBにデータを簡単に移行できるよう にするサービス。インターネット経由でDBのレプリケーションを行う サービス、異なるDBエンジンにコンバートするサービスなどからなる。 *3 AWS WAF AWSが提供するWeb Application Firewallのサービス。今まではパート ナーが提供しているWAFを利用するか、自身で用意する必要があった。 *4 AWS Config Rules 事前にコンプライアンスルールを設定し、ルールが満たされないような 構成変更が行われた際に通知するサービス。 *5 Amazon Inspector セキュリティやコン プライアンスの 問 題 を 発 見してくれるサービ ス 。 AWSのノウハウを活用したベストプラクティスなどからのかい離をレ ポート化する。 *6 AWS IoT AWSが提供するIoTサービス。既存のビッグデータ基盤に加え、サーバ サイドのDevice GatewayやShadow、クライアントサイドのDevice SDK(C言語向けなど)が提供される。 *7 Amazon Kinesis Analytics Kinesisのストリームデータに対してSQLを使用し分析できるサービス。 *8 Amazon QuickSight AWSが提供するBIツール。データのリアルタイム分析・ビジュアライズ が可能になる。 AWS re:Invent 会場の様子 3 4 取組事例 共 創 40年間に及ぶ富士通グループSE最大の共創 SSコンベンション SSコンベンションは、SEの日常の業務で培われた貴重な 22,000名の方が参照し活用しております。SSコンベンション ト、ITアーキテクトなど)、プロフェッショナル分野に依存しな 一人ひとりのモチベーションやアイデアにより、富士通を変え 技術・ノウハウ・アイデアを論文としてまとめ、それらを富士通グ は約40年の歴史を持っており、富士通グループ全体で技術・ノ い汎用的なビジネスノウハウ、新規ソリューションの提言など ていこうとする取組みです。 ループ全体で継承し発展させていく1年サイクルの活動です。 ウハウが形式知化され、それを継承、発展させていくという、ま 幅広く執筆されます。さらに、海外からの論文執筆、参加も可 論文執筆による技術・ノウハウの形式知化やその共有を通じ さに富士通グループSEによる最大の共創なのです。 能となっており、グローバルでの分野横断的な技術・ノウハウの 論文が文章による形式知化であるのに対して、自由な発想、 継承が行われています。 アイデアから実際にプログラミングしてものを作り上げるハッ て、個人や組織の成長につなげ、お客様への迅速な価値の提供 や富士通グループのビジネス拡大を目的としております。 なぜ、論文なのでしょうか?自身が参画したSIプロジェクト カソンは、まさに実物による形式知化だと言えます。 この活動は、まさしく富士通グル ープSE 全 員による共 創 や業務について、その「振り返り」を行うことで、成功・失敗の 論文発表会には、社長、SE部門の執行役員も参加、激動す であり、数多くのイノベーションを生み出してきたものです。 原因を考えることができます。また、振り返りを定型化された るビジネス環境、変革するテクノロジー環境を見据えた富士通 論文として形式知化する過程で論理的思考と説明力が養わ 1978年から続けられているこの共創活動は、実に今年で39 「論文」によって文書化することにより、広く周知・共有するこ の未来ビジョン、富士通がこれから目指す方向も強くメッセー れ、その結果、仕事力の向上に寄与します。また、自身の成果 回目を迎えることになります。 とが可能となり、成功プロジェクトを増やし、同じ失敗を繰り ジとして発信、会場に集まったSEに共有されます。富士通グ の振り返りを行うことが、その後の業務の質の向上につながる 返さなくなります。 「振り返り」の結果を文書化する形式が論文 ループのSEが一堂に会し、お客様への提供価値向上を強く誓 ことになり、まさにSSコンベンションは1年間のサイクルで行 い合うSE最大のイベントでもあるのです。 う壮大な人材育成施策でもあります。富士通ラーニングメディ 論文は、富士通グループ全体で1年間を通して執筆され、厳 であり、広く情報共有を行うためには、世界標準ともいえる「論 しい審査を経て、優秀なものが発表されます。過去には、この 文」形式が最適と考えられており、SSコンベンションでは、毎 論文から富士通を代表する開発方法論や業務分析手法などが 年、論文が募集されています。 生まれたこともあります。論文は、毎年約1,500名のSEが執 筆し、論文発表会場には約2,000名のSEが参加、業務では約 論文は、プロフェッショナル 分野(プロジェクトマネジメン アは、全業種横断、全プロフェッショナル横断、グローバル横 ここ数年では、論文発表会には、ハッカソンの発表の場もプ 断を通じて行われるこの富士通グループ最大の人材育成の場 ログラムとして組み込まれています。ハッカソンは、新サービス の支援を通じて、お客様への提供価値向上に向けた取組みを のアイデアを引き出し、それを一つのかたちにするイベントで、 行っています。 形式知化 プロフェッショナル 論文執筆 技術・ノウハウの発展 未来提言 ハッカソン 執筆:約1,500名 論文審査:約1,000名 活用 技術交流 イノベーション 論文参照:約22,000名 技術・ノウハウの継承 論文公開・発表 参加者:約2,000名 ビジネスノウハウ SEの経験と叡智を結集したSE部門全体の 技術交流として開催 1978年 5 「ネットワーク」と「マルチメディア」そして「イ ンターネット」の時代を背景にソフト化、サー ビスへシフト 1990年 ブロードバンドインターネットの新しいステー ジに向けた事業戦略「Everything on the Internet」を発表 2000年 グローバル 50年にわたり幅広い業種で培った知見・ノウ ハウをベースに、お客様のさまざまなニーズ に対応していくための新たなインテグレーシ ョンのコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」を発表 2015年 6 取組事例 共 創 富士通東北復興支援活動プログラム 東北復興支援 ◆目的:①被災地域の復興の現状・課題を理解する中で、 「三現主義」 「相手の立場に立って考えることの大切さ」 「主体的な行動の重要性」などを実感し、自己成長のきっかけとする。 ②富士通の人材として、社会や企業の課題解決のために求められる行動様式を実践を通じて理解する。 2011年3月11日、東日本大震災が発生し、東北地方を中心 震災から4年半が経過した2015年度は、 「被災地を理解 に未曾有の災害に見舞われました。富士通グループは、被災さ し、地域に寄り添った課題の理解と課題の方向性を検討する れたお客様に対する復旧支援活動だけでなく、被災地への、 場」として、研修を実施することにしました。当社は、2014 身体を使った復興支援を行うことを決定し、2011年度富士通 年度より、本研修プログラムの企画や現地コーディネートな (株)に入社した営業/SE新入社員を現地へ派遣しました。 ど、全面的サポートをしております。 ③課題把握や解決策検討において、多面的、多様な観点からの検討・参画が必要であることを体感し、実 業務での自主的な実践を促す。 ◆対象:2015年度富士通(株)入社新入社員566名 ◆時期:2015年9月9日~12月11日まで2泊3日の研修を全20回開催 ◆場所:岩手県陸前高田市 ■主な活動内容 「情報収集する」 ▶事前課題 「洞察する」 ▶グループワーク ①震災被害の実態 グループ毎に活動テーマを設 ②復興・まちづくり計画などを調査する。 定し、復興支援活動や現地行 「体験し感じる」 ▶震災展示施設見学 (気仙沼市シャークミュージアム、気仙沼市リアス・アー 政関係者との情報交換は、グ ループ単位で行動し、見て聞 いて体験から感じたことを共 有し、探求する。 ク美術館) 震災当時の状況を現地の震災展示から感じる。 ▶講話と対話 現地で活躍されるさまざまな分野の方から講話をいただ き、 まちの今後の方向性や現地の方の “想い” を理解する。 「共創し、発表する」 ▶グループ発表 ▶復興支援活動 テ ーマに 即した 提 案 を目 指 3グル ープに分かれ、牡 蠣 養 し、① 体験・活動報告 ②テー 殖施設、ワカメ生産者、りんご マに関 する課 題 ③ 課 題 解 決 農家、ゆず農家、米農家など、 への方針・方向性④考慮すべ 第 一次 産 業 を 営 んで いらっ き関 連 影 響 や調 整 事 項など しゃる方々と共に活動し、現地 をグループで共創し、発表す の方の“想い”を理解する。 る。聴き手は、更に良いアイ ディアやポジティブコメント をフィードバックする。 ▶現地行政関係者との情報交換 活動テーマに関する現状の課 題や解決 へ の方向 性などを 情報交換する。 ■本プログラムを通して… 本プログラムに参加した新入社員からは、 「メディアで知りえた情報と、現地に足を運んで五感で感じとったことには違いがあ り、それに気づくことができた」というような三現主義の重要性を認識したという声が多くありました。 また、その上で、富士通としてできることは何かを考えるきっかけになり、行政・市民・企業等多様な立場の人々とのコミュニケー ションの中で社会課題を多面的に捉えることの重要性に気づき、被災地に対してだけではなく、さまざまな場面における課題把握 や解決策を検討する際のヒントが得られたという声も多数ありました。 新入社員の皆さんには、本プログラムで得られた経験を生かし、お客様の課題を解決し、お客様と共に良い社会づくりを目指し てほしいと思います。 7 8 法改正 マイナンバー制度が施行されます 合理的配慮への対応が求められます 2015年10月よりマイナンバー通知が開始され、2016 年1月からは、い 2016年 4月に「障害者差別解消法」および「改正障害者雇用促進法」が施行されます。この2つの法改正によって、 よいよマイナンバー制度が施行となります。個人および企業にも法人番 障害者への「不当な差別的取扱い」の禁止と「合理的配慮」の提供が義務付けられます。 号が通知されます。マイナンバー制度は、行政機関だけでなく、全ての民 間企業にも影響があります。 ■「障害者差別解消法」と「改正障害者雇用促進法」 例えば、源泉徴収書にもマイナンバーの記載が必要になるため、社員 法律上の差別とは、行政機関や事業者とそのサービスを受ける障害者との間、あるいは、事業主と障害のある労働 のマイナンバーの取得や、給与・人事システムへの対応、取得したマイナ 者との間で生じるものです。たまたま居合わせた人々や同僚の従業員が行う障害者への差別を禁止するものではあ ンバーを含む個人情報の安全な管理も必要となります。 りません。とはいえ、そうした第三者においても、障害者との間で相互理解を進めることは求められています。 また、正社員だけでなく、パートやアルバイトの方を雇っている場合も マイナンバーへの対応が必要です。 このように、全ての企業や自治体において、マイナンバー制度の正しい 理解と準備は必須です。 障害者差別解消法とは… 障害者差別解消法は、障害に基づく差別を禁止し、平等な 機会と待遇を保障する法律で、行政機関や事業者に対して、 そのサービスを受ける障害者への差別を禁止したものです。 合理的配慮の提供は、お客様に対しては努力義務が課され ます。 改正障害者雇用促進法とは… 改正障害者雇用促進法は、従業員の一定の割合(法定雇 用率)を障害者とするよう企業に義務付けた法律で、事業主 に対して、障害のある労働者への差別を禁止したものです。 今回の改正で事業主に差別の禁止と合理的配慮を義務付 ける条項が加わります。 ■障害分野における差別とは 障害を理由とする差別には「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」の2種類があります。 ◎不当な差別的取扱い 障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為を いいます。 ◎合理的配慮の不提供 障害者から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、負担に なり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くための配慮(合理的配慮)を行 うことが求められます。合理的配慮を行わないことで、障害者の権利利益 が侵害される場合も、差別に当たります。 9 10