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ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
: 知識経済における大学の戦略性と科学技術政策・イノ
ベーション政策・研究開発戦略の収斂
北川, 文美
一橋論叢, 132(2): 53-74
2004-08-01
Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL
http://doi.org/10.15057/15279
Right
Hitotsubashi University Repository
( 1 ) ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
川 文 美
- 知識経済における大学の戦略性と科学技術政策・イノベーション政策・研究開発戦略の収赦 -
卜し
﹂﹂︻
外からの新たな圧力に直面している。国内では、第一にへ
このようなグローバル化した知識経済における政策的文脈
国で共通の政策的課題が見られる (OECD,1996)-本稿は、
ションにおいて果たす役割に関する期待が高まりへ世界各
役割に焦点があてられ'大学が﹁知識創出﹂とイノベー
にともない'経済的なアセッ-としての ﹁知識﹂ の果たす
﹁産業社会﹂ から ﹁知識社会﹂・﹁知識経済﹂ への転換
公的研究資金の分配メカニズムと連動した大学の研究活動
六年に導入されたResearch Assessment Exerciseは'
もとへ変化をせまられた。特に'イギリスにおいて一九八
﹁インセンティブとアカウンダビリティ﹂ のスローガンの
ともいうべき高等教育改革の波の中で'各国の大学財政は、
一九九〇年代以降の国際的にみられたパラダイム・シフト
能力には限界があるという'各国共通の問題認識がある。
高等教育の量的な拡大の圧力が強い一方へ政府の財政的な
を背景に'地理的には特にヨーロッパにおける高等教育シ
に関するアカウンタビ-ティのシステムとして理解される
はじめに
ステムの変容に焦点をあてへ多国間、さらに多分野の政策
国内における第二の圧力は'大学が社会において果たす新 5
(2)
的課題の協調と'組織的戦略性の相互作用に着目して考察
が'同時にへ 大学に対して政府が導入したインセンティ
:
o
:
プ・メカニズムとして認識されている (Bleiklie.2001)(-)
を行う。
二十l世紀に入った現在へ ヨーロッパ諸国の大学は'内
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(2)
け出そうとする日本において見られるのと同様に、産業政
年代以降へ ヨーロッパ諸国では、長期的な経済低迷から抜
てはへ近年各国の政策において強調されている。一九九〇
る。大学が技術移転・知識移転において果たす役割につい
済における大学の多義的な役割に関して示唆を得ることで
﹁競争と協調﹂を機軸とした公共政策的な見地から知識経
おける関連諸分野における政策との相互作用を明らかにLへ
政策統治構造﹂ (multi⊥evel governance structure) に
で'機関としての大学の戦略と、ヨーロッパの ﹁多層的な
らかにすることである。第二に、このようなプロセスの中
策、科学技術政策と高等教育政策とが大学の研究政策を軸
ある。政治社会学・経済地理学的視点から'拡大ヨーロッ
たな役割に対する大きな期待とへ その政策的な推進とがあ
に接合し、相互に影響を与え合うようになってきたという
パ連合を視野に入れた上で、多層的な政策空間の調和をEd
構想をはじめとした高等教育改革の動向であり前者にあた
関心は﹁ヨーロッパ高等教育圏﹂や﹁ヨーロッパ研究圏﹂
と ﹁グローバル化﹂ のそれである。本稿における一義的な
学技術政策の近年の展開を概観した上でも これらの動向を
政策的な言説の検討を行い、ヨーロッパ高等教育政策・科
は'知識経済における大学の役割に関する近年の学術的・
本稿の構成は以下のようなものである。第〓即において
る政策の展望と諸問題を明らかにしたい。
るが、﹁ヨーロッパ化﹂ という超国家的な ﹁地域化﹂ のプ
日本から見た際の'既存の研究傾向の流れの整理を行う。
高等教育に対する国外からの圧力は、﹁ヨーロッパ化﹂
実態が見られる。
ロセスは'経済や社会のグローバル化へ そして高等教育シ
かに分類し'ヨーロッパ連合における政策の進展と複数の
第二節においては'ヨーロッパ連合諸国の近年の大学改革
本稿の目的は'第一にへ これらの内外からの圧力に直面
政策領域間の収敵のプロセスを概観する。第三節は'ヨー
ステムの ﹁国際化﹂ のプロセスと切り離して考えることは
しているヨーロッパの大学が、国レベル・ヨーロッパレベ
ロッパの ﹁多層的な政策統治構造﹂ の中で、イノベーショ
の特徴を'高等教育システムの変容という観点からおおま
ルにおいてどのような改革を行いへ そしてどのような制約
ン政策が国家レベル・地域レベルとヨーロッパレベルの両
できないという点をここで強調してお-べきであろう。
のもとへ新たなシステムを構築しようとしているのかを明
54
ヨ-ロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
(3)
にしつつ'政策的な提言を行う。結論として'政策的な見
域間格差と大学間格差という構造的な問題の諸相を明らか
第四節では'ヨーロッパ連合の拡大を視野に入れつつへ地
方で'大学機関に影響を与えている構造を明らかにする。
ショナル・イノベーション・システム﹂という考え方が広
をはかる上で'知識が重要であるという見方から'﹁ナ
な戦略が見られる。国家としての競争力強化や国富の創造
1998)。各国の政策においてもう ﹁知識経済﹂ における新た
策的方向性と'高等教育機関と地域を含めた新たな戦略的
案者の問において、大学を﹁知識社会﹂ のtと-に科学技
1999;榊原・伊地知へ 二〇〇l)。と-に、各国の政策立
がってきた (Nelson&Rosenberg.1993;OECD,1997;
連携のあり方を提示し、翻ってへ 日本における高等教育シ
術戦略の主要な要素としてその役割を促進する動きが顕著
地から'ヨーロッパ域内地域政策を含めたより整合的な政
ステム構築という観点から見た際の、政策的・戦略的示唆
である (OECD,2002)-たとえばへ イギ-スにおいてはう
傾向が顕著に見られ (DTI,1998;DTI/DfES.2001;2002;
一九九〇年代後半以降に出された一連の白書においてその
を得る。
一 レビュー︰知識経済におけるヨーロッパの高等
役割に焦点があてられている。組織研究・ビジネス研究の
にともない、経済的なアセットとしての ﹁知識﹂ の果たす
﹁産業社会﹂ から ﹁知識社会﹂・﹁知識経済﹂ への転換
一般的に国家産業競争力促進のための方策として産学連携
九年の ﹁イノベーション法﹂などがある。これらの政策は、
ランスではl九九八年の ﹁ギヨーム・レポート﹂へ 1九九
以降の一連の科学技術政策 (科学技術庁へ 二〇〇〇)へ フ
DfES.2003)へ 日本では'﹁科学技術基本法﹂ (l九九六)
領域においては企業における﹁知識創造﹂とその共有の過
を促進するものであるが'おおまかに見て、以下のような
教育政策・科学技術政策の収敵と大学改革
程が論じられ (NonakaandTakeuchi,1995)へ 経済学、
特徴を指摘することができる。
(OECD,2002) は、各国によりへ それぞれ歴史的へ文化的 5
産学連携へ あるいはより広く'﹁科学と産業との関係性﹂
と-に''new growth'もし-は'endogenous'schoolof
econoヨicsにおいては経済成長における要素として異な
る種類の ﹁知識﹂ に着目がなされた。(Conceisao et al,
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(4)
れたland-grant universitiesと呼ばれる大学群により実
(TheMorrillLandlGrantCollegesActs) により設立さ
ルが'技術系の大学、一八五九年に制定されたモ-ル法
十九世紀後半以降、﹁下からの﹂ 自発的な産学連携のモデ
れている (CEC,2003:7)c 以上に見られるようにも一九
出版したコンサルテーション・ペーパーにおいても強調さ
おいて果たす役割については、近年のヨーロッパ委員会が
う認識である (CEC.1995)c さらにも 大学が知識移転に
らずへ 域内の経済的発展と'一体性の強化につながるとい
識'そしてへ イノベーションの強化が、産業競争力のみな
践されてきた歴史がある (Etzkowitz,2003:109)-一方へ
九〇年代以降、ヨーロッパ諸国では'産業政策へ 科学技術
に異なる経緯へ諸相を有する。アメ-カ合衆国においては'
近年のヨーロッパ諸国や日本における産学連携は﹁上から
政策と高等教育政策とが同様の課題を抱えへ相互に影響を
ここでへ これらの政策問の連関を論じる際に、既存の研
の﹂政府主導によるものであるという特徴がある。その際
タンフォード大学、あるいは米東部のマサチューセッツ工
究群との関連を明らかにしておく必要があろう。特にここ
与え合うようになってきたという実態が見られる。
科大学が産学連携の成功モデルとして各回の政策立案者の
では'近年日本語で書かれた文献を概観Lへ ヨーロッパの
にヘ アメ-カ合衆国におけるシ-コン・バレーにおけるス
モデルとなっているように見える (Saxenian,1998参照).
﹁高等教育政策﹂、﹁科学技術政策﹂、﹁産学連携﹂ に関する
(4)
特に、一九九〇年代以降のヨーロッパ連合の多国間政府
諸政策の根幹になっているのは'ヨーロッパ連合諸国がア
デルの構築という流れである。特に'ヨーロッパにおける
力強化へ 産学連携推進へ ﹁企業的大学﹂ (Clark,1998) モ
業競争力に対抗するための政治的な方策としての科学技術
ロッパの大学は古い伝統をくんで、社会の中に安定した位
として米国であり'ヨーロッパの動向については ﹁ヨー
における高等教育改革の主要なモデルは第二次大戦以降主
教育改革全般に関する関心が近年特に高まっている。日本
まず高等教育研究の分野においては'ヨーロッパの高等
の研究の動向を簡単に概観してみたい。
メリカ合衆国や日本といった競争相手に対して'明らかに
置を占めているかにみえ﹂(金子、二〇〇二︰五九)、日本
による諸政策において見られるのは、アメ-カ合衆国の産
イノベーションの分野において遅れをとっているという認
56
れ'研究者の注目を集めるようになった (津田へ 二〇〇四
育圏﹂構想へ それを受けた各回での改革の動向が進むにつ
ようなEU拡大のプロセスとともにへ ﹁ヨーロッパ高等教
研究や調査がなされていなかった。しかし'以下に述べる
の高等教育改革のモデルにはならないと考えられ'あまり
多層性へ すなわちヨーロッパ連合と各国レベルとさらに国
分析もしくは各国間の比較にとどまり'政策のもつ地理的
略にとり'示唆を与える。しかしこれらは総じてへ各国の
究の多-が、実践的な意味で'日本における政策へ 機関戦
成'大学間連携)分析した諸研究が見られる。これらの研
学連携システム (塚本・清水へ 二〇〇〇) などヨーロッパ
おけるベンチャー支援 (近藤、二〇〇一)、イギリスの産
オランダにおける起業家教育 (堀へ 二〇〇四)へ ドイツに
〇〇一) が詳しいO ヨーロッパに関する研究も多岐に渡り、
レーの産業発展とスタンフォード大学について、原山(二
に関するものが圧倒的に多い。たとえばへ シ-コン・バ
た研究群である。﹁産学連携﹂ に関してはアメリカ合衆国
るのが、﹁産学連携﹂ に関するヨーロッパの事例を紹介し
の状況はどのように分析されてきたのか。近年増加してい
かったが'地域政策へ中小企業政策へ労働政策といった分
がり﹂が次第にできている。また、本稿では射程に入れな
がり﹂と'EU、国家、域内地域という三層の ﹁縦のつな
進み、さらに次節で詳述するような多分野問の ﹁横のつな
ては、多国間の協調政策と﹁多層的﹂政策環境がますます
されている。近年のヨーロッパにおける政策レベルにおい
政策と地域間格差是正政策との結びつきに関する考察がな
は'欧州規模の産・学・官共通の研究助成システムや研究
技術政策﹂ (大森へ一九九八) が特に有用である。ここで
科学技術政策的な見地からは﹁欧州連合(WP) の科学
内のシステムの相互作用に注目した研究はほとんど見られ
諸国の多岐に渡る産学連携のメカニズムをそれぞれの問題
野からのアプローチも産業・社会政策と高等教育政策との
一五六)。 .
意識から (e.g.知財権、サイエンス・パーク、インキュ
接点という観点から重要である。たとえばへ 高等教育を
ない。
ベーション施設、大学発ベンチャーへ 利益相反問題へ 研究
﹁教育から職業への移行﹂という観点から社会システムの
科学技術政策へ産学連携の分野においては、ヨーロッパ
開発政策へ 起業家教育へ ネットワーク形成へ クラスター形
57
ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
(5)
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(6)
業料改革も'このような流れの中で起こっている (ウィ-
に学生から授業料の徴収をはじめた。イギ-スにおける授
人的資本に関する国際的な関心の高まり (OECD,-S∞)
アムズ'二〇〇四︰米津へ 二〇〇三)。公的財源の削減が
一部としてとらえる比較研究群があり、知識経済における
と連関した日欧共同研究の成果がある (吉本・稲永・中島へ
高等教育システムに及ぼした最大のインパクトは、これま
な (非営利・営利を含めた) タイプの高等教育機関の設
で私立高等教育セクターを持たなかった国々が'さまざま
二〇〇四)0
二 大学改革へ高等教育協調から研究開発政策・
れまで私立大学がほとんどなかったEU諸国でも'私立大
置・認可に踏み切ったことである (馬越へ 二〇〇四)。こ
世界の高等教育改革に共通するトレンドとして、国の規
学の存在が注目され始め、とくに'旧社会主義国である
イノベーション政策へ
制を緩和し選択の幅を拡大することを通じへ競争を加速さ
チェコにおける私立大学の発展は注目される (石倉、二〇
ヨーロッパにおける大学改革の第二の特徴として、ヨー
せるという手法が特色とされる。この結果、大学運営にお
よる対費用効率が最優先される (ウィ-アムズ'二〇〇
ロッパ域内の流動性へ と-に学位の相互承認と単位互換の
〇四)。
四)。高等教育は少ない財源で多くの実績をあげることを
問題 (e.g.タイヒラーへ 二〇〇三) があげられる。EU諸
いても歳入構造の多元化(民間資金導入)と企業的経営に
要求され'﹁知﹂ の商品化がすすみへ 伝統的な大学観は変
ことは知られている (吉川、二〇〇三一七五-八〇参照)0
国が留学生政策の一環としてその域内学生・研究者交流計
ヨーロッパ各国における大学改革の特徴は'第一にへ公
そうした中で、ヨーロッパの高等教育政策の ﹁ヨーロッパ
更を迫られるようになる(馬越へ二〇〇四 僻に日本に関
財政支出の切り詰めと財源の配分をめぐる競争の激化であ
化﹂ にとっての大きな転換点はt l九九八年の ﹁ソルボン
画であるエラスムス・ソクラテス計画を成功に導いてきた
る。これまで公費に依存してきた高等教育システムをもつ
ヌ宣言﹂ に続く一九九九年の ﹁ボローニア宣言﹂ にあると
しては、山本へ 1九九八︰小林へ一九九八参照)0
EU諸国や旧社会主義国(ロシアやチェコなど) は'一斉
58
ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
(7)
程において'複数の国々が会議・意見書・提言を重ね拡大
その後ヨーロッパ四〇カ国の代表により署名されへ この過
であり (吉川、二〇〇三)、この ﹁ボローニア宣言﹂ は'
機関が自ら高等教育システムの改革に努力するという意思
ルで全般的な収敵をもたらすためにへ各回政府と高等教育
を成すのは'各国の高等教育システムにヨーロッパ・レベ
ることに自由参加するという約束である。この宣言の中核
を作り出すためにへ 各自の高等教育制度や諸制度を改革す
ロッパ・レベルでの ﹁全体的集合状態﹂ (津田、二〇〇四)
すること、を宣言した。ボローニア宣言は'署名国がヨー
ヨーロッパをグローバル化競争に負けない魅力的な場所と
〇年までに構築することへ また二)教育立地の観点から、
等教育圏(EuropeanHigherEducationArea)を二〇一
育大臣が﹁ボローニア宣言﹂ に署名Lへ一) ヨーロッパ高
いわれている。一九九九年六月へ ヨーロッパ二九カ国の教
されたものである。
あくまでへ各Eglの高等教育政策関係者によって準備・遂行
tion and Training) が主導となって行ったものではな-ち
Commission) もしくはその教育訓練総局 (DG Educa-
EUの執行機関であるヨーロッパ委員会(European
は'﹁ボローニア・プロセス﹂と呼ばれるが'これはへ
(ウェスタハイデン、二〇〇四︰四一)。これら一連の動き
員﹂としての ﹁認知の獲得の一手段﹂とみているともいう
は'ボローニア宣言を自国の高等教育の ﹁ヨーロッパのl
ムの改善を意図した。さらに'中欧へ 東欧の旧共産圏国家
導入により、グローバル化した市場における自国のシステ
んだ。オランダやフランスは'国際的に認められた学位の
現するための国家的な高等教育システムの構造改革を目論
学位取得までの時間の短縮とドロップアウト率の低減を実
点を指摘する。ドイツやイタ-アは国際的な圧力を使い、
どまらず、各国の学位課程の改革をも誘引した。ウェスタ
ボローニア宣言はEU域内の学位・資格の相互認定にと
合における政策の ﹁横のつながり﹂を促進したということ
研究開発政策へ イノベーション政策という'ヨーロッパ連
構想は'高等教育政策における協調を超えへ 科学技術政策へ
本稿にとって特に興味深い点は、ヨーロッパ高等教育圏
ハイデン (二〇〇四) は、各国がボローニア宣言に署名し
である。ヨーロッパ高等教育圏の理念に啓発されたヨI 甜
していくという進展がみられた。
た理由は'それぞれの国の政治課題に応じへ異なっていた
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(8)
th,2003)へ 応用研究の促進に関しては'﹁ヨーロッパが世
けるイノベーションの遅れを強く意識し (Lawton Smi-
り以前からへ 日本とアメ-カ合衆国に比べヨーロッパにお
search Area︰ERA) 構想を進めた。EU加盟国は、かな
イナ-ツクな存在にする﹂そのためには﹁ヨーロッパの高
識を基礎とした経済体として'世界で最も競争に強いへ ダ
げられた。ここでは'﹁二〇一〇年までにヨーロッパを知
ボン・サ-ッ-﹂が行われ、科学技術政策の問題が取り上
二〇〇〇年三月に'ヨーロッパ各国の閣僚による﹁-ス
らすためには'各国間の科学技術政策と研究政策の協調が 甜
界の三極に太刀打ちできるようになるためには'研究の促
等教育と科学・技術政策が世界でも最も競争性のあるもの
ロッパ委員会は'研究総局 (DG Research) が中心とな
進が必至﹂ (タイヒラーへ 二〇〇四一六四) という認識に
にならなければならない﹂と決議された (タイヒラーへ 二
必要であるという考えにもとづいている。
もとづき'ヨーロッパ委員会に応用研究の促進を委託して
〇〇四︰六四)。そのためにへ以下の目標が定められた。
りへ その後さらに ﹁ヨーロッパ研究圏﹂ (European Re-
きた。一方へ ヨーロッパのトップレベルの研究機関は、世
- 研究投資の額を現行のOQCM 九%から三`
的な研究組織構造を乗り越えへ基礎研究・応用研究の分野
高まった。﹁ヨーロッパ研究圏﹂ 構想は'これまでの伝統
況を考えると'これは決して容易な道のりではない。しか
展開を待たねばならず'各国の異なる財政・社会経済的状
これらの数値目標が各国で達成されるかどうかは今後の
六割にすること
3 科学・技術専攻の学生数を増やし'在学者全体の
二〇万人にすること
2 研究者と研究関係者との数を五〇万人増加し'一
〇%に増やすこと
界的にも優れた'高水準の研究機関と見られている。しか
し'それらはヨーロッパ全体に分散しており、相互間の
ネットワークが十分ではない。またへ ヨーロッパで教育を
受けた若手の有能な研究者が主としてアメ-カ合衆国に
﹁頭脳流出﹂ をするへ またヨーロッパ外からの優秀な研究
者が主としてアメリカに向かうという現状の深刻な認識が
においてヨーロッパ市場での連携と統合が必要であり'
し、ヨーロッパ研究協議会 (European Research Count
I
¥
T
,
)
﹁クリティカル・マス﹂ を形成し、さらに相乗効果をもた
ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
(9)
ける研究政策の協調性を組織的に促進し、科学技術政策へ
cil) 設立への動きも含めへ ﹁リスボン宣言﹂ は'EUにお
四一津田へ 二〇〇四二七〇参照)0
活動の強化という点が強調された (ゲートゲンスへ 二〇〇
ロセスの一貫として'博士課程レベルにおける教育と研究
ヨーロッパ高等教育圏とヨーロッパ研究圏構想に関わる
高等教育政策へ イノベーション政策の収敵を具体的な数値
目標で表明したという意味では大きな貢献をしたというこ
とができる。
を通じてへ 研究・開発を推進しておりへ とくに競争を通じ
l九九九ボローニア宣言
1九九八ソルボンヌ宣言
一連の会議など
て研究・開発の質をいかに向上させるかへ またいかにして
二〇〇〇-スボン宣言
EUはヨーロッパ委員会の研究総局 (DG Research)
研究を経済的効用に結びつけるかt が現在議論の佳ffl州に
二〇〇一プラハ・コ-ユニケ
二〇〇二バルセロナ会議
なっている。ヨーロッパにおける多国間の研究政策として
重要なのが'フレームワーク・プログラム (Fr
二〇〇三ベル-ン会議
ork
Programme) であり、ヨーロッパ研究圏の推進のための
三 知識経済における ﹁多層的﹂ イノベーション政
EU
の研究助成面での重要さが増し、その研究政策の影響力が
策環境の進展と大学の役割の選択的戦略性
重要な柱となっている。大学の研究活動においてもt
今後へ強まってい-と見られる (タイヒラー、二〇〇四)。
会議が開かれ、四〇カ国の教育大臣が集まった。ここでは'
二〇〇三年九月にベル-ンでこれらの動きを引き継ぐ形で
においては'ヨーロッパ高等教育における政策展開が'
つ、欧州統合という大きな流れの一部をなしている。本節
政策という一政策分野を越えて'複数政策分野を横断しっ
ヨーロッパ内の高等教育機関の協力の推進は'高等教育
ヨーロッパ高等教育圏と研究圏との密接な連携と、組織的
ヨーロッパの域内地域間格差是正政策へ域内イノベ-ショ 朗
ボローニア'-スボン、二〇〇二年のバルセロナに続きへ
かみ合わせの必要性が論じられた。特にも ボローニア・プ
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(10)
そこで生じる新しい多層的な政策環境とそこで﹁知識﹂が
ン戦略とどのように結びつきうるのかを論じる。さらに、
間的な社会経済の不均等な発展は、これらの政策の背後に
Programme) がある。ヨーロッパ連合における域内の空
ション戦略﹂ (Regional Innovation Strategies (RIS) 甜
ノベーションに対する支出額の相違は二倍あるという
組織される新たな空間的モデルを提示し'多層的な政策と
(Cookeetal,2000)c 研究開発予算のl部の地域や大企業
ある大きな課題のひとつである。特に、イノベーションが
EU研究開発事業は'域内の地域間格差の是正において
への集中も'域内格差の問題の背後にある P^-,^H^Wや
知識経済における競争的環境において'大学がどのように
重要な役割を担っている (大森へ l九九八)。l方へ 域内
ロンドンやパ-'-ユンへンや-ラノといった大都市周辺
の地域格差の縮小という観点からt より直接的にヨーロッ
RIsなどの地域イノベーション戦略プログラムにおける
戦略的なアクターとして、知識経済の再編成に参加しうる
パ委員会の地域部門とイノベーション部門とが中心になり'
大学の役割に対する期待は大きいがへ実際のイノベーショ
に集中し'もっとも豊かな地域と貧しい地域との問で'イ
特にt lessfavouredregions(LFRs) と呼ばれる、経済
ン戦略に大学を関与させる際の困難については指摘がある
のかを考える。
社会的に困難な状況におかれた地域を対象に'地域を基盤
(Lagendijk&Rutten,2003)-
りである。
ヨーロッパ委員会により近年出された施策は以下のとお
においた数々のイノベーション戦略プログラムを一九九四
年以降打ち出してきた。ヨーロッパにおけるイノベーショ
ン政策は'一九九五年のイノベーションに関するグ-ン・ペーパー (CEC,1995) に表明されているように、
一九九四﹃成長へ 競争力へ 雇用に関する白書﹄White pa-
per on Growth,Competitiveness and Employ-
﹁イノベーション・システム﹂ のモデルに大きく依ってい
る。主なプログラムとして、﹁地域イノベーションと技術
ment
一九九五 ﹃イノベーション・グ--ン・ペーパー﹄Green
移転戦略﹂ (RegionallnnovationandTechnologyTransferStrategies(RITTS)Programme)へ ﹁地域イノベ-
ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
(ll)
Paperonlnnovation
二〇〇〇﹁ヨーロッパ研究圏﹂EuropeanResearchArea
(ERA)
二〇〇〇 ﹃知識経済におけるイノベーション﹄Innovation
inaknowledge-driveneconomy
二〇〇l ﹃ヨーロッパ研究圏の地域的側面﹄ The RegionalDimensionofERA
三層における政策とイニシアティブが相互作用を行う﹁多
層的政策環境﹂ (multi⊥evel governance structure) を
形成しているといえる。
このような文脈において、﹁大学と地域の関係性﹂ を考
察する際に'考慮すべき点が二つある。第一に、国レベル
の高等教育システムの類型が必要である。ヨーロッパ諸国
を概観するとへ大き-分けてへ中央政府が高等教育のおも
府などの地域行政が高等教育の資金を担う﹁地方分権型﹂
な資源の担い手である﹁中央集権型﹂と'地域政府、州政
roleoftheuniversities in theEuropeofknow1-
とに分けられる。前者に属するのは'フィンランドへ フラ
二〇〇三﹃知識のヨーロッパにおける大学の役割﹄The
edge
に、ヨーロッパにおける高等教育政策とイノベーション政
上で、強調されている (CEC,2003:7)-以上にみるよう
についても、二〇〇四年以降の拡大EUをも視野に入れた
の役割が強調され'地域レベルにおいて大学が果たす役割
る表明がなされ'二〇〇三年には'知識移転における大学
には'ヨーロッパ研究圏を﹁地域﹂ レベルにおいて促進す
特に﹁地域﹂をその単位として強調している。二〇〇一年
EUにおける競争力とイノベーションに関する諸政策は'
ばへ伝統的に中央集権型とみなされてきたフランスはl九 6
等教育政策へ与えた影響の度合は国により異なる。たとえ
がありへ地方分権への一般的な推移と、分権化の動きが高
くの国々において'さまざまなレベルで地方分権への動き
留意すべき点がある。これまで中央集権型とみなされた多
gawa,2003)c 第二に、中央集権型の国々の事例において
-ティの形態は、国により大き-異なっている (Kita-
の中でも、高等教育機関が地域に対してもつアカウンタビ
に分類されるのほう ドイツへ スペインである。地方分権型
ンス、バンガ-Iへ イタ-ア、イギ-スなどがある。後者
策は、国家レベル、EUレベル、さらに地域レベルという
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(12)
使命の多様化に結びついたという指摘がされている。イギ
-アでは地方分権化と地域の経済開発の課題とが、大学の
方行政の統合的アプローチが見られるようになった。イタ
八〇年代以降へ大き-地方分権へと移行し'高等教育と地
のプロセスに与する必要がある。
るのではな-'自らが組織としての社会的イノベーション
要である。また大学も'これまでの伝統的な形にとらわれ
その特性と課題に応じた形で大学との連携を行うことが重 朗
よって引き起こされているという事実も重要な点である。
またへ イノベーションは多-の場合へ大学以外の組織に
ランドへ ウェールズ、北アイルランドが独自の高等教育
﹁研究開発 (KogQ) 政策﹂ という場合に、またそのデー
-スにおいては'一九九二年からイングランドへ スコット
ファンディング・カウンシルを持つ。イングランドの中に
タを収集し用いる際に'専ら大企業の研究開発あるいは大
返しに他ならない (西村へ 二〇〇三参照)。中小企業やベ
も九つの地域がありへ その中のいくつかの地域では近年独
近年のヨーロッパ諸国(スウェーデン、ノルウェーへ
ンチャー企業を含んだ多様なアクターを射程に入れへ 既存
学における研究開発のみを念頭においているのほう かつて
フィンランド、イギ-スなど) の地域政策の前提として、
の ﹁研究開発﹂ の概念を超えた'社会的な﹁イノベーショ
自の科学戦略を策定Lへ 大学の研究機能はその中で戦略的
大学とそこで行われる研究成果へ さらに地域経済の成功と
ン﹂をも含めた研究政策が必要となっている。これはへ研
の科学技術政策で批判をされた﹁リニア・モデル﹂の繰り
の問に'ゆるやかな因果関係があると考えられるが'多-
究開発の概念を広-とることによりへ﹁研究開発費を
な要素を成している (Kitagawa,2004b)。
の研究者はこのようなモデルには懐疑的である。大学の研
;
GDP三%まであげる﹂というリスボン宣言における数値
=
究の成功と産業の成功とがへ仮に同一地域で見出されると
目標達成のためにも'戦略的に必要な合理的観点である。
<
しても (e.g.イギリスのケンブ-ツジ)へ これは必ずしもへ
さらに、地域レベルにおける研究開発に関するデータの早
蝣
両者の直接的な因果関係を意味するわけではない (c.f.
急な整備が'今後の地域科学戦略にとって不可欠である
蝣
SOW,1985)c すなわち、大学と地域開発の間に単lのモ
(HouseofLordsSelectCommittee,2003)c
'
デルを見出すことは非常に困難であり、それぞれの地域が
ヨ-ロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
(13)
る際に'どのような問題に直面するのか、各国の高等教育
きた。ここでは'実際にこのようなプロセスに大学が関わ
的へ戦略的な空間的な枠組みを明らかにすることで論じて
イノベーション政策の発展を'知識経済が組織される政策
政策の進展について、さらに、多層的な政策環境における
イノベーション政策の収敵とヨーロッパ域内の協調的研究
第二節と第三節において'高等教育政策へ科学技術政策へ
は高等教育システム内での一種の分業の方向に進んでいる。
の集中はイギリスのそれほどではないにせよ'各回の政策
他のヨーロッパ諸国における一部の大学に対する研究資金
に対する懸念が表明されている (UniversitiesUK2003)。
他の地域では研究機関・研究者を失うことによる負の影響
における研究開発資源が先進地域にますます集中し'その
おいて顕著な傾向で (DfES,2003 参照)、イギ-ス国内
ける研究資金の集中は特にイギ-スの高等教育システムに
向はt l部の﹁研究集約型大学﹂(research-intensiveuni-
システムがそれにどのように対応しうるのかへ財源の問題へ
ただしへ 各国において'﹁教育と研究との関係﹂、それを担
四 グローバル化しっつある知識経済における大学
ヨーロッパ域内の一体性 (coherence) の問題を論じへ こ
う組織形態は異なるので一般化は困難であるが'研究志向
versities) への資源の集中的分配である。ヨーロッパにお
のような観点から、新たなパートナーシップと連携のモデ
型の ﹁エリート﹂機関の創出はヨーロッパのみならずへ世
︰新たな連携と多国間フレームワークの形成
ルを提示する。ここで強調しておくべき点は'それぞれの
界的にみて、共通の現象である。
まっているが'大学は常に自らの課題を選択的に選びつつへ
のけん引役として大学の果たす役割に政策的な期待が高
性﹂ である (Jessop,2001)。知識経済、さらに地域経済
なる大学を指すのか、そのような大学を創造する要件とは
では、﹁ワールド・クラス・ユニバーシティ﹂ とは'いか
べき、研究志向型のエリート大学の出現は注目に値するが、
いわば﹁ワールド・クラス・ユニバーシティ﹂ともいう
(7)
戦略的な文脈において'アクターが持つ ﹁選択的な戦略
戦略的な連携の中でのみ、その役割を果たすことができる。
何か。ある研究者は'三つの要件をあげる。第一にへ最高
の学生を集めることへ第二に'最高の教授陣を集めることへ 6
各国の高等教育システムが財政的な圧力に直面している
ことはすでに述べた。各国の研究政策において見られる傾
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(14)
2004より引用)。このためには、大学間の相互の信頼にも
と ﹁質的保証﹂ であると言う (van der Pas,CORDIS.
ら'主要な要件はヨーロッパ・レベルにおける﹁流動性﹂
は'ヨーロッパ高等教育圏構築というより長期的な視点か
最重要課題である。ヨーロッパ委員会の教育・文化総局長
優秀な人材を獲得することへ海外の大学との戦略的連携も
ている (Aebischer,CORDIS"2004より引用)。海外から
﹁魅力のある立地﹂ と ﹁ブランド性﹂ の重要性も強調され
確な使命﹂と、組織としての ﹁十分な自律性﹂ そしてへ
第三に、十分な財政的資源を確保すること。さらに'﹁明
そこでの大学と地域のパートナーシップ形成のノウハウを
ノベーション戦略プログラムK-HH[flやRIsの経験、
究開発政策との連携が有効である。地域レベルにおけるイ
要であり、域内地域政策へ とくにイノベーション政策と研
支援へ教育と研究との有機的接合、研究開発費の投入が重
東欧諸国における人材育成を可能にする研究指向型大学の
いう巨大な実験室がもつ潜在性は大きい。より具体的には'
学を通じたパー-チ-シップの構築) など'ヨーロッパと
による経験の共有(とくに東欧諸国への地域レベルでの大
地域間パIトナーシップ (trans-regional partnerships)
システムの構築が早急に求められるのと同時にへ EU内の 6
研究政策面では、フレームワーク・プログラムの拡充と
とづいた関係性の構築が重要であり'またへ ヨーロッパ全
リート主義﹂ ではなくへ積極的な﹁エリート性﹂ の構築が'
ともにへ ヨーロッパ研究協議会(WKO) の発展がへ その
拡大EU地域と共有する意味は今日特に大きい。
ヨーロッパ高等教育圏そしてヨーロッパ研究圏の行くべき
財政的な制約を含めて大きな課題である WKOの財源に
体としての ﹁ブランド化﹂ も必要となる。排他的な ﹁エ
方向のように見える。
研究開発資源の首都圏への集中といった問題は'﹁エ--
すます深刻化する域内経済格差の問題、頭脳流出の問題へ
研究政策を打ち出そうとする場合、研究資源の財源の問題
れている。ヨーロッパが本当の意味で'協調的な科学政策へ
パ・レベルにおいて再分配することに大きな抵抗が表明さ
関しては、各国固有の研究資源からへ そのl部をヨーロッ
ト機関﹂ の創出のみで解決はできない。﹁研究志向型大学﹂
は避けて通ることはできない。研究開発費において民間資
他方、拡大ヨーロッパという政治社会的空間においてま
と地域の大学や高等教育機関との有機的な連携へ 人材創出
ように定義づけるのかへ それは'国家レベル、国内の地域
現在、その ﹁選択的戦略性﹂が問われている。自らをどの
を提供したといえる。ヨーロッパにおける大学は'とくに
学やへ そのパートナーにとって'積極的な戦略的連携の場
しかし'少な-とも、﹁ヨーロッパ化﹂ という圧力は'大
約とグローバライゼーションによる競争の激化は継続する。
高等教育システムが直面する内外からの圧力-財政的制
て'国家レベルにおける政策分析と企業レベルでの組織研
(田口へ 二〇〇三参照)。日本における既存研究の特徴とし
ションのパートナーシップの構築をすすめる必要がある
システム﹂を視野に入れた上での'研究開発とイノベー
学官連携の政策を推進する上で'﹁地域イノベーション・
日本の高等教育にとっては急務である。第二に、日本が産
の ﹁流動性﹂と﹁質的保証﹂を可能にするシステム構築が
第一にへ高等教育の国際化が進む中、国際的な観点から
り得られる日本における政策環境にとっての意味について
レベルのそれにはとどまらない。﹁ヨーロッパ﹂ という政
究が主流で、超国家あるいは国内地域との政策連携という
金をどれだけ増加できるかという点も含めて、これはEU
治空間を'さらにその資源をどのように用いるのかが'
視点が弱いという点がある。日本の政策的文脈では'近年
考えてみたい。
ヨーロッパの高等教育機関の成功、さらに多様性を包含す
の科学技術基本計画の1部をなす﹁地域イノベーション﹂
における協調政策の大きな試金石となる問題である。
るシステム形成にとっての鍵である。
に関する研究の発展が今後の接合領域としての可能性を持
協調的政治的プロセスを同定することを通じへ ヨーロッパ
い-つかの圧力とそれに伴う競争的環境へ それに対応した
本稿は'ヨーロッパの ﹁高等教育システム﹂が直面する
学は自律的に戦略的な選択を行っていかなければならない。
〇四参照)。このような ﹁多層的﹂ な政策環境のもとへ 大
価・政策評価システムの構築が求められる (伊地知へ 二〇
領域間の横のつながりを促進するとともに、堅強な研究評
つ (科学技術政策研究所、二〇〇四)。第三に、関連政策
域内の ﹁多層的政策環境﹂ における大学の選択的戦略性を
最後に'ヨーロッパにおける政策研究者とのマルティラ
おわりに
論じた。ここでは'これらのプロセスを考察することによ
67
ヨ-ロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
(15)
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(16)
は密接な結びつきがあるが、これらの概念は異なる国々、
(2) アカウンタビリティ'大学の自立性へ 品質評価の概念
組織、政策の文脈によりへ異なった関係を持ちうる(Bren-
テラルな研究交流の潜在性を指摘したい。高等教育と労働
市場に関する日欧共同研究の成果については先に言及した
と財政上の概念であった。1九七〇年代から1九八〇年代
かけてへ ﹁アカウンタビリティ (説明責任)﹂ はおもに費用
を要約している。一九六〇年代末から一九七〇年代初頭に
づいて'﹁アカウンタビ-ティ (説明責任)﹂ の概念の変遷
nan and Shah2000)-Aper(1993)は北米の状況にもと
が、同様の研究コンソ-ティアムはう科学技術政策へ イノ
ベーション研究の領域においても実りがある。そしてへ 日
本がヨーロッパの国々の経験から学ぶものがあるとすれば'
それは超国家レベルでの調和と協調のメカニズム形成のプ
ロセスである。アジア太平洋地域にEUのモデルを単純に
移築するほどへ 現実は単純明快ではない。しかし'﹁超国
カリキュラムの改革にともない、大学教育そのもののアカ
る。学生の学習評価に関する関心の高まりと、高等教育の
を通じてへ アカウンタビ-ティの概念は大きく変化を遂げ
ウンタビ-ティが問われるようになった。イギリスにおけ
家地域﹂創設のプロセスから'現在、日本およびアジア諸
国の高等教育・科学技術・イノベーション研究者が得る示
対するアカウンタビリティ﹂という考えが広がった。第二
に、﹁教育の質﹂ に関する関心の高まりに応じて'﹁学生に
なアカウンタビ-ティの概念が出現しているという。第一
gawa.2003)-Middlehurstは三つのレベルにおいて新た
ers﹂ に対応するためにより広範なものとなった (Kita-
-ティの概念はより多様な﹁ステイクホルダーstakehold-
な関心であったが、一九九〇年代を通じてへ アカウンタビ
ンタビ-ティの概念は、政府と納税者に対する責任が主要
(1995) は以下のように論じる。高等教育におけるアカウ
るアカウンタビ-ティの概念に関してMiddlehurst
唆は少なくはないはずである。
(-) そもそも、高等教育、大学の定義、高等教育(H立・
私立の区分を含め) 運営に関する政府の関与の度合はそれ
ぞれの国の教育システムにより異なり、一般化は田難であ
る。議論の単純化のため、本稿ではOECD (1996) でい
うtertiary educationを高等教育の定義として用いる。
高等教育機関は大学以外の機関を含むが'本稿では'議論
の便宜上へ 教育へ 研究へ 第三の活動を行う公的機関として
の ﹁大学﹂を考察の対象としたい。
68
(17) ヨーロッパにおける高等教育システム構築の展望と矛盾
という形で大学が企業に提供する学生の質、があげられる。
ウンタビリティ﹂がある。たとえばへ知識あるいはスキル
に、﹁産業へ もし-はより広範に経済に対する大学のアカ
html#201/06/04
comm/education/programmes/mundus/index en.
うな問題意識を背景に設立された http︰\\europa.eu.int\
第三のアカウンタビリティとして'﹁市民社会に対する大
おける分科会﹁地域開発の牽引としての大学﹂ の中での議
sionforUniversity-based Researchandlnnovationに
によって行われた会議EuropeofKnowledge2020︰AVi-
(6) これらの観点は、二〇〇四年四月にヨーロッパ委員会
(3) ﹁国家は総合的なコントロールに携わり、各大学に自
論にもとづいているO 特に、Phil Cooke教授のコメント
学のアカウンタビリティ﹂がある。
パートナーシップの精神にもとづいて行う﹂ という方向に
律性・自立性を与え、大学の発展目標の設定は大学側との
に負うところが大きい。
ン、イングランドとに分かれる。さらに'ヨーロッパ大陸
と ﹁統lシステム﹂ (unified system) をとるスウェーデ
ム﹂ (dual system) をとるフランスへ ドイツへ オランダ
(7) ヨーロッパ各国の高等教育システムは﹁二層システ
向かっている (ゲートゲンス、二〇〇四) という指摘があ
る一方で'このような政府が大学に対して間接的﹁管理﹂
国家﹂ (supervisory state) もし-は ﹁評価者としての国
を行う状況を称してt Neave(1995) は﹁監督者としての
家﹂ (evaluative state) という概念を提示している。
おり、歴史的に教育の現場とほとんどかかわりのない専門
ける科学研究の大半は大学から離れた場所で行われてきて
各国において公的研究機関の果たす役割と大学との関係は
(4) 日本語文献に限ってレビューするのは'ひとつには紙
研究機関で行われてきた。フランスにおいては国立科学研
異なるため、注意が必要である。ヨーロッパ大陸各国にお
面の制限ということがあるが'さらに'近年の日本から見
ヨーロッパにおける大学改革・評価の動向についてはへ 秦
たヨーロッパへの関心が﹁政策研究﹂という観点からどこ
究センター(OZoico)、原子力庁(ow<)へ国立保健医
二〇〇1'米津二〇〇二、ニーブ二〇〇三を参照O
にあるのかを同定することが本稿における目的と特に合致
学研究所(-gwwォs) が科学研究の大半を占めている。
究所に集中して行われてきたoまたへ戦後の東欧諸国では 甜
最近までドイツにおける基礎研究はマックス・ブランク研
する。
(5) ヨーロッパとヨーロッパ域外の第三国との流動性強化
を目的にしたエラスムス・ムンドスプログラムは、このよ
一橋論叢 第132巻 第2号 平成16年(2004年) 8月号(18)
科学技術政策研究所(二〇〇四)﹁地域イノベーションの成
する年次報告﹄二〇〇〇年六月。
われ、教育の現場からは離れていた (ローゼンハーグ、二
功要因及び促進政策に関する調査研究-﹁持続性﹂ある日
大学では先端研究がなされず、研究は科学アカデ--で行
〇〇一)。中東欧諸国における高等教育システムへ研究シ
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(一橋大学大学教育研究開発センター専任講師)
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