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形: 語、語の分類と句 3.1語という概念

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形: 語、語の分類と句 3.1語という概念
Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
Bas Aarts (2001) English Syntax and Argumentation. New York: Palgrave.
Chapter 3
Form: Words, Word Classes and Phrases
p.25, l.1 ∼ 皆川暁子,p.26, -l.3 ∼ 杉山津昌,p.29, l.16 ∼ 鈴木麻衣子,
p.32, l.11 ∼ 佐藤和貴,p.34, -l.9 ∼ 小池康司 (p.36, -l.9 ∼ 松井通浩,
p.39, l.5 ∼ 山田結希,p.41, l.15 ∼ 佐伯健太,p.44, l.11 ∼ 二宮孝徳
p.46, l.11 ∼ 下川康太郎)
p.25, l.1 ∼ p.26, -l.4 【皆川暁子】
形: 語、語の分類と句
この章では、統語論において最小の構成単位、つまり語をより厳密にみていこう。
語がどのように分類され、句を構成し、それらがさらにどのように文に結合していくかをみていくこと
にする。次の章で、節とこれら二つが文に結合する方法を、句とは異なる方法の場合をみることにす
る。この章で紹介されている概念や考えのいくつかは、準備段階としてだけ取り扱われ、後の章でも
っと注目されるだろう。
3.1語という概念
これまで、ついでに語について触れててきた。このことを、おかしいと思うかもしれない。なぜなら、
たしかに文を分割するはっきりした方法は、語にすることであるからだ。これは真実である。しかし後
にこの章でみるように、これは最も興味深いやり方というわけではない。「語」という概念を定義しようと
することは簡単ではない。このことに、あなたは驚くかもしれない。語は十分わかりやすい存在のよう
にみえるからである。
語を言語学の単位としてみなそうとする際に、直面すると思われる問題の検討を行うにあたり、下
の(1)∼(3)を見なさい。
(1) dog, dogs (犬、犬)
(2) eat, eats (食べる、食べる)
(3) duty-free (免税)
(1)にある語を二つの別々の語と呼ぶことに誰も何のためらいもないだろう。Dogsがdogとは違うのは、
一見違っているように見えるからである。つまり、語末に-sが付けられているのである。しかしながら、
そのことについて考えてみると、dogsがdogと同じ語であるということにも意味がある。それは、dogsは
dogの複数形にすぎないからである。ここで、dogsとdogが同じ語彙素つまり辞書の項目であると言うこ
とにしよう。これは、それらが同じ語だという意味を反映している。同時にそれらは、異なった語形や
違った正書法の語である。あるたとえを引き合いに出すことによってこの区別を明らかにできる。ボー
イング747と767はどちらも飛行機という点で同じだが、747は767とは違う形、大きさを持っているという
点で異なっている。このようにして、747と767はともに「航空機の語彙素」であるaeroplane(飛行機)に
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属しているが、同時に違った「飛行機の形」である。(2)のeatとeatsについても同じことを指摘すること
ができる。これら二つはどちらも動詞の語彙素eatに属しているが、異なる動詞の形である。(3)につい
てはどうだろう。ここで私たちはdutyとfreeという二つの語があるように思われるが、これらは多くの環
境(免税店、免税アルコール、免税手当など)にとても関係があるため、それらは一つの語のように感
じられる。これらは形態論という語の内部構造の研究の領域であるので、私たちは問題をあまり気に
する必要はない。私たちの目的のためには、「語」を「語形」の意味で用いることが、別に述べられな
い限りちょうど良いだろう。そこで次の(4)の文は9つの語で構成されていると言える。
(4) The president regularly eats big doughnuts in his limousine.
(その大統領はいつもリムジンで大きなドーナツを食べる)
上の(4)に含まれる語を数える(それ自体はおもしろくはない)のではなく、これら語が統語的に互い
にどのように違うについて検討することの方がずっと価値がある。直感的に言うと、regularlyという語
はeatsという語と異なり、さらにまたdoughnutsという語とも違っている。しかし、どのように異なっている
のだろうか。この違いを説明するために、言語学者たちは語の分類をする様々な方法を提示してい
る。最終的に選択する分類方法は目的によって左右される。例えば、辞書学者(辞書を書く人)は語
をアルファベット順に並べ、発音や意味(そしてたまに語源)を一まとめにすることに関心をもっている。
もし語の歴史に興味があるなら、語を開いた類、すなわち時の経過とともに絶え間なく拡張されてき
た語や、閉じた類すなわち新しい成員が加えられないという点で固定的な語の類に分けたくなるかも
しれない。この本では古代の文法家に由来する語の分類方法を使うことにする。その方法では、言
語における語を語類(品詞とも呼ばれる)に分ける。以下の品詞を使うことにしよう。
noun(名詞),determiner(限定詞),adjective(形容詞),verb(動詞),preposition(前置詞)
adverb(副詞),conjunction(接続詞),interjection(間投詞)
語類は形式の概念であり,これは前の章でみた機能的な概念とは対立するものである.次に上で列
挙した語類の一つ一つをより細かに見ることにしましょう.
p.26, -l.3 ∼ p.29, l.16 【杉山津昌】
3.2 名詞と限定詞
伝統的に名詞は人々や動物や物や場所を表す。これによってジムや犬や飛行機や先生や椅子
やロンドンなどは名詞とみなすことができる。このような説明は概念定義と呼ばれる。というのもそれは
語単位において意味の概念の点で特徴付けるからである。名詞の概念定義における問題は数え切
れないほど多くの語を除外してしまう事でありそれは名詞の部類に属していると言えるかもしれない
が人々や動物や物や場所を表さない。これらは例えば死や誠実や成功といった抽象的な考えや概
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念や例えば幸福や愛といった感情の状態や例えば目まいや痛みといった身体の感覚や数多くの他
のものを表す語を含む。もちろんこれらの語が名詞の単位に組み入れられるように概念定義を拡張
し続けられるかもしれない。しかしながら私たちの定義はあまりに拡張されあいまいなものになり名詞
のリスト以下のもので終わるだろう。リストが名詞の概念の定義として使えない事は明らかである。な
ぜだめなか?ひとつにリストはめったにそれ自身が非常に興味深いものではない。私たちがおそらく
知りたいものはなぜ特定の項目が他の項目といっしょにリストに掲載されていてなぜ他の項目がリスト
に掲載されていないのかという事だろう。名詞の場合においては私たちが知りたいのはなぜすべて
上記の斜字体の語が名詞としてリストに掲載されていて暑いとか食べるとかにもかかわらずといった
語が名詞と言わないのかという事だろう。その時そのリストの問題は説明の価値がないことである。リ
ストの関連する深刻な問題はそれらが以下のような循環論法になってしまう事だ。なぜ車は名詞なの
か。それは名詞のリストに掲載されているからである。なぜリストに掲載されているのか。なぜならそれ
は名詞だからである。これでは何の成果も得られない。より良い取り組み方は公式で分布の基準を
使って名詞を特徴付ける事である。この観点の元でとりあげる事ができる語形、文中に現れることが
できる場所、文のパターンにおいてふるまったり機能したりする方法を見る。いくつかの例について
検討してこれがどのように働くか見てみよう。以下の(5),(6),(7)における語を考えよう。
(5) 同盟、防衛、信頼
独身、父性、先導性
廃止、境界、兆候
暗さ、優しさ、野蛮さ
講師の職、家庭教師の職、学生の身分
(6) 俳優‐俳優たち
ドア‐複数のドア
ランプ‐複数のランプ
部屋‐複数の部屋
テーブル‐複数のテーブル
(7) 男性‐男性の
居酒屋‐居酒屋の
姉(妹)‐姉の(妹の)
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(5)の項目は異なる語が似たような語尾もしくは形態論に知られるように接尾辞を持っている事を示し
ている。接尾辞及びそれらの位置上の相対物である接頭辞は接辞に属している。従って(5)に戻り最
初の組の3語すべてが-anceという接尾辞を持っている事に着目せよ。2番目の組のすべて-hoodで終
わり、その一方3番目お4番目と5番目の組はそれぞれ-tion、-ness、-shipで終わっている。これらは相
当な数ある典型的な名詞語尾の5例にすぎない。ここでのポイントは形態論上の語の構成を見る事
によって時々語が所属している部類を見分けることができる。(6)と(7)の語は以下の似たような点を例
証している。(6)では一種類の項目がひとつより多い事を示すことにより複数語尾を持ち、他方(7)に
おいてはたいてい唯一ではないにしろ所有をしめす所有語尾を持っている。(例えば男性服、居酒
屋の常連、私の姉の猫)複数及び所有語尾もまた名詞の典型である。
しかしながら形態論の基準は限定的な価値しか持たないことがわかった。例えば多くの名詞は
-anceや-hoodや-ionや-nessのような名詞の接尾辞で終わらないし(例えば腕、本、雨、睡眠)不規則
な複数語尾をとるものもある。(例えば子供‐子供たち、牛‐牛たち)など。
もし意味論の(すなわち概念上の)及び形態論の基準が不十分であるならそれならば私たちが放
置してきたものは分類の基準であるようにみえる。これから見るようにこれらはようするにもっとも信頼
できるものである。分類の基準について話す時を思い出せ、するとどの語がこの特定のケースでは
名詞だが文中でどのように統語的にふるまうかについて言及している。例えば典型的に生じるパター
ンについて。例えば私たちが名詞と呼ぶすべての語はその、ひとつの、この、これらの、それの、そ
れらのといった語に先行される事を観察するかもしれない。これらの語は先行する名詞の意味を正
確に特定化する限定詞という部類に属している。ここに英語におけるもっともありふれた限定詞の例
をいくつか示す。
p.29, l.17~p.31,l.14 【佐藤和貴】
名詞の種類の中で多少の下位類を立てる方法を検討してみよう。下の表は様々な種類の名詞と
その例である。
名詞の下位分類
普通名詞:
可算名詞 book, cat, fork, train, etc.
不可算名詞
butter, flour, jam, soap, etc.
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固有名詞: Jack, London, Cathy, Sarah, etc.
数詞:
基数詞 one, two, three, etc.
序数詞 first, second, third, etc.
代名詞:
人称代名詞 I/me, you, she/her, he/him, it, we/us, they/them
所有代名詞 my/mine, your/yours, her/hers, his, its, our/ours, their/theirs
再帰代名詞 myself, yourself, herself, himself, itself, ourselves, themselves
指示代名詞 this/these, that/those
相互代名詞 each other, one another
関係代名詞 that, who, which, whose, etc
疑問代名詞 what, why, where, whatever, etc
不定代名詞 anybody/anyone/anything, no-one, nothing, somebody/something, etc.
名前が示すように、普通名詞は一般的な日常の名詞である。それらには数えられるものもあれば
(one book/two books, one cat/two cats, etc.)、原則として数えられないものもあり(*one butter/*two
butters,*one flour/*two flours )、このことは、上の表の下位類を説明してくれる。固有名詞は人や場
所、そして物の名前である。英語ではふつう固有名詞は先行する限定詞や修飾要素(*the Jack, *a
Sarah)をとらず、また複数語尾(*the Janets)も取らない。だが、ある状況によってはそれらを取ることも
できる。例えば、He’s not the Jack I used to know(彼は以前私の知っていたあのジャックではない) 、
Would all the Janets in the room please raise their hands(この部屋にいるジャネットは全員手を上げて
ください)などの場合だ。固有名詞は指示表現と呼ばれるものの例である。ある文脈の中で話された
とき、会話の中でそれが世界でひとつの特有のものを指すためである。
数詞は普通名詞のような典型的な名詞ではなく、むしろ限られているが、ある状況下で複数形を
取ることもできるという事実に基づいて名詞の下位類と考えられる。cf. The group divided into twos
and threes.(その集団は2,3人ずつに分かれた)
代名詞は数詞のように非常に特別なので、文法学者たちはそれ自身の(固有な)語類に入れるべ
きか議論してきた。なぜそうであるべきなのだろうか。pronounという語をもっと深く考えてみよう。proは
ラテン語でforを意味する。つまり、pronounが意味するのは「名詞の代わり(“for a noun” “instead of a
noun”)」ということである。例が明らかにしたように、これは実際に事実であるように思われる。次の文
を考察してみよう。
(8)Jim walked into the room and everybody stared at him.
(ジムが部屋に入ると、皆が彼を見つめた)
人称代名詞のhimはジム、またはここでは省略されている前の文脈の中の別の男性のどちらかを指
す。しかし、この切り離された文では、この代名詞はジムを指すという解釈がもっとも適当であろう。こ
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こで、himはジムに置き換わっていると言うことができる。このため(8)は、ジムが一人しかいないとする
と、(9)のように読めるはずである。
(9)Jim walked into the room and everybody stared at Jim.
(ジムが部屋に入ると、皆がジムを見つめた)
しかし、(9)は完璧に理解可能であるが、ジムという名前を二回使っているため文体上非常にぎこ
ちない。この繰り返しを避けるため、himという代名詞を使うのである。代名詞は名詞からその指示内
容を得る。(8)では、ジムが指示表現である。代名詞himの解釈を可能にするためには、ジムか文脈
で確認される他の男性かのいずれかと関連づける必要があるのだ。
ここまでは順調だが、問題は、これまで述べてきたことよりも少々複雑である。(8)の例を代名詞
が名詞の代用語として用いられている例として提示することでごまかしていたのだ。下の(10)を考察
してみよう。
(10)The exhibition was a success. It ran for six months.
(その展覧会は成功に終わった。それは六ヶ月間開催されていた。)
Exercise:
ここでは代名詞itはどの表現を指すだろうか。
もしexhibitionと答えたなら、それは間違いである。実際はthe exhibitionを指すのであり、つまり限定
詞と名詞の連続を指すということである。二章で簡単に見てきたように、この限定詞と名詞の連続は
名詞句と呼ばれる。それゆえ(8)でもすぐわかるように、代名詞は厳密には名詞の代わりではなく名
詞句の代わりなのだ。句の概念は統語論において極めて重要なものである。句の一般的な性質に
ついてはまた後ほど取り上げる。次に名詞句についてより詳しく見ていくことにしたい。
p.31, l.15 ∼ p.34, l.10 【鈴木麻衣子】(p.29, l.16 ∼ p.32, l.11)
私達は主要な要素が名詞である語の連続を名詞句と定義する。従って、以下の全ての表現は名
詞句である。
(11)a
the hats
b
the blue hats
c
the blue hats on the shelf
これら語の連続のいずれにおいても、主要な要素は名詞hatである。一つの句の中の主要な要素を
その主要部と呼ぶことにする。この語が機能的な概念ということを指すために大文字で綴られている
ことに注意しなさい。主要部は句の主要な要素として機能する。
(11)の例から分かるように、名詞句は要素を加え続けると、とても長くなり、実際無限に長くなれる。
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だが、(12)のように名詞句は主要部だけから構成されることもある。
(12)
[NP Hats] have always been fashionable
この例では簡素な複数形の名詞の主要部からなる名詞句がみられる。
この点で、なぜ私が普通の複数名詞としてでなく、名詞句として(12)のhatsを分類するのか疑問を
感じるかもしれない。この理由は分布にある。私たちが (12)のhatsを名詞句と同じく呼びたいのは、
hatsが現れている(12)の位置が明らかに名詞句である要素によって占められるということである。(12)
のhatsは(11)のどの名詞句でも置き換えることができる。(13)は名詞句hatsを拡張するさらに二つの可
能性を示している
(13)
a. These hats have always been fashionable.(これらの帽子は常におしゃれである)
b. Hats that you buy in Harrods have always been fashionable.
(ハロッドで買った帽子は常におしゃれである)
(13)aでは、主要部は限定詞によって先行されている(ここ私達の目の前にある帽子だけがおしゃれ
である)一方、bの文ではさらなる特定化が主要部の名詞に加えられている(ただどれでも古い帽子が
おしゃれと言うのでなく、ハロッドで買った帽子だけがおしゃれである)。前章でみてきたように、名詞
句が生じていrる文頭(主語)の位置が典型的な名詞句の位置である。従って、私達が(12)のhatsを明
らかに名詞句であるより大きな語の連続に拡張でき、それが典型的な名詞句の位置であるから、hats
はやはり単なる名詞でなく、名詞句である。
次に私達は名詞句でたびたび役割を果たす品詞である形容詞に話を変えることにする。
3.3 形容詞(Adjectives)
私達は既に名詞を修飾することができる語としての次の例におけるような少しの形容詞を見てきた。a
beautiful spring, a careless attitude, a constructive criticism, an unsavoury lecture, a green car, an
impertinent remark…
形容詞は、名詞の場合と同様に、場合によっては一定の形式上の特徴により確識することができ
る。上の例では、接尾辞-ful, -less, -iveは典型的な形容詞の接尾辞であり、他に接頭辞un-がある。し
かし、形容詞greenやimpertinentといった形容詞は、全ての形容詞がそのような語尾をもつわけでは
ないことを明らかにする。
ほとんどの形容詞は段階的な意味を表すのである。すなわち形容詞はveryやextremelyやlessなど
といったそのような語によって先行される可能性があり(比較. very helpful, extremely nasty, less
interesting)、これらの語(veryやextremelyやlessなど)は、形容詞がそれが結合する語に当てはまる
範囲を表す。例外は材料を表す形容詞であったり(例. wooden, cf. *a very wooden floor)、国民を表
す語 (例. Russian, cf. * a very Russian book)など他にも多少見られる。
形容詞はまた比較級と最上級の語尾をとる。形容詞の比較級の形式は、原級と呼ばれる形容詞
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の ふ つ う の 形 が 当 て は ま る よ り よ り 大 き な 範 囲 を 示 し 、 最 上 級 の 形 は 最 大 の 範 囲 を 示 す (cf.
big-bigger-biggest)。次に挙げるのはいくつかの他の例である。
(14)
Absolute form
great
comparative form
superlative form
greater
greatest
full
fuller
fullest
good
better
best
good-better-bestという形は例外的だということに気がつくだろう。この形容詞の原級の形と他の形との
間で類似点がないからだ。補充と言うのは、文法的に関係のある語がお互いに物理的に(形・発音
の上で)類似性がない場合であり、このことは、同じように関係がある他の語に関する基準でもある。
全ての段階的な意味を表す形容詞が-erや-estを付けた比較級や最上級に形作られるというわけ
ではない。形容詞は分析的に比較級や最上級を形作る時もある。これが意味することは比較級と最
上級を表す一つの語の形がないということだ。その代わり、moreやmostといった語が使われる。この
ことはとても多くの形容詞に当てはまる。例としてbeautiful、eager、hopeless、interesting、practicalなど
がある。一般的な規則は、二つかそれ以上の音節を持った形容詞は分析的な比較級や最上級の形
をとるということである。副詞を議論する後の章で比較級や最上級の形式に戻ろう。
次に、形容詞の分布上の特徴に移ろう。初めの注目点は、英語では形容詞が典型的に2つの場
所、すなわち限定的な位置と叙述的な位置を占めるということである。形容詞が名詞句の名詞に先
行する際、それは限定的な位置を占める。その際には形容詞は名詞の特徴・性質・状態についてよ
り多くの情報を与える。この節の最初で名詞を修飾する形容詞のいくつかを既に見た。下の(15)のよ
うに、英語では形容詞の中にそれが修飾する名詞に後続するものもある。
(15)
The person responsible will be punished.(責任を負うべき人が罰せられるだろう)
We went to a meeting attended by the Attorney General.
(私達は最上位の弁護士が参加する会議に行った)
Mr Bisibodi is the Governor-elect of this province.
(Bisibodi氏はこの州の選ばれた政治家だ)
この名詞後位限定的位置は、例えばポルトガル語、イタリア語、スペイン語、フランス語のようなロマ
ンス諸語の中で形容詞の標準的な位置である。
形容詞がいわゆる連結動詞又は繋辞に後続する場合、形容詞は叙述的な位置を占めるという。
英語には連結動詞の小さな集合があるにすぎない。次に挙げるのはその一部であり、いくつかの例
文も挙げておく。
(16)
appear, academic, be, become, feel, look, remain, seem, smell, sound
(17)
This academic appears unintelligent. (この学生は無知に見える)
She is crazy. (彼女は異常だ)
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This fabric feels soft. (この織物はやわらかい)
These apples smell strange. (これらのりんごは変な臭いがする)
The music sounds great! (この音楽はすばらしい感じがする)
(17)の形容詞は他の構成要素の指示物、すなわちthis academic, she, this fabric, these apples the
musicを叙述している(すなわち、それらについて何かを述べるのに用いられている)。
名詞句における名詞のように、形容詞は形容詞句の主要部として機能している。形容詞句の例は
次の(18)に挙げてある。いずれの場合も主要部は斜字体にしてある。
(18) a
happy
b
extremely happy
c
happy to be here
d
extremely happy to be here
(18)の記号列は、形容詞句が主要部だけ構成されたり、主要部と先行する修飾語から構成されたり、
主要部が補部と呼ばれる要素に後続されたり、また、最後の二つの可能性が組み合わさることが可
能であることを示している。
形容詞句が名詞句の中に生ずることができるという事実に気づくことが大切だ。以下の例を考えて
みよう。
(19) the happy actor (幸せな俳優)
p.34, l.10~p.34,-l.10 【佐藤和貴】
明らかに、この記号列は中心的な要素から名詞句であり、主要部は名詞actorである。しかし、happy
の性質はどうだろうか。これは形容詞であることは明白であるが、形容詞句でもある。正確に言うと、こ
れは名詞actorを修飾する形容詞だけから成る形容詞句なのだ。しかしなぜhappyはただの形容詞で
はなく、形容詞句なのだろうか。その理由は、(19)のただの形容詞の代わりに明らかに形容詞句で
ある要素を置き換えているということであり、(20)に示される通りである。
(20)[NP the[AP extremely happy] actor]
ここでは修飾語であるextremelyがhappyに先行する。(18)で見たように、extremely happyのような語
の連続は形容詞句である。(19)のhappyは明らかに形容詞句であるextremely happyと置き換えられ
るため、次のようにhappyもまた形容詞句であると推論できるのだ。
(21)[NP the[AP happy] actor]
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p.34, -l.9 ∼ p.36, -l.10 【小池康司】
3.4 動詞
下の2つの文を考えてみよう。
(22) Every day our Head of Department devours three pizzas.
(私たちの部長は、毎日ピザを3つむさぼり食う。)
(23) The builders worked for many days.(その建設業者は、何日も働いた。)
(22)と(23)で斜字体になっている語は動詞である。2章で私たちは一応、動詞を動作を表す語とし
て定義した。私たちは動詞をもっと明確にしなければならない。最初に気付くことは、devourやwork
に語尾-sや-edが付け加えられているということである。そのような語尾は屈折と呼ばれる。それらは、
文法上の特徴を記号化する(言語表現にする)。語尾の-sは動詞が現在時制であることを表し、現在
時制の屈折(形)と呼んでいる。他方、語尾の-edは過去時制を表し、過去時制の屈折(形)と呼ばれ
ている。時制の屈折をする語はどれも動詞です。時制は文法の概念であり、言語が時間という意味
概念を表す方法である。
動詞の語尾は時制を表すだけではない。動詞devourの語尾の-sは、3人称単数現在形を表してい
る。この用語はもうすでに2章で扱われている。ここで文法上の人称の体系を詳しく見てみよう。3つ
の人称があり、単数形と複数形の2つがある。
singular
plural
1st person:
I
we
2nd person:
you
you
3rd person:
he/she/it
they
(24)
単数または複数で指示表現(e.g. John, Kate, Paris, The Canary Islands, etc.)もまた3人称である。 (2
2)でのOur Head of Departmentとdevourの間には3人称単数形の一致があると言える。この一致は
動詞に付け加えられた語尾の-sによって表されている。現在時制において英語は、世界の他のいく
つかの言語とは違い、実際はほとんどの動詞に関して1つの語尾しかなく、それは3人称単数の語尾
-sである。その他の人称の動詞の形はすべて同じで、下の(25)が動詞devourの形を示している。
(25)
I
devour
we
devour
you
devour
you
devour
they
devour
he/she/it devours
3人称単数以外の動詞の形は多くの場合、基本形で表される。Be動詞は、現在時制単数形におい
て、三つの人称すべてに関して特別な形をもつという点で、一般的な型の例外となる。
(26)
I
am
we
are
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Chapter 3
You
are
he/she/it is
you
are
they
are
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時制を伴う動詞は定形動詞と言われ、時制を伴わない動詞は非定形動詞と言われる。(25)と(26)
のすべての動詞形は定形動詞形である。しかしながら、注意しなければならないのは、(25)の動詞
devourの現在時制の形から明らかなように、3人称単数を除いてほとんどの動詞の時制はふつう明
示されていないからである。ほとんどの動詞の過去時制は、devourに関して(27)が示しているように、
単数や複数でも動詞の形は同じです。
(27)
I
devoured
we
devoured
You
devoured
you
devoured
he/she/it devoured
they
devoured
非定形動詞の形についてはどうか?英語がもつ様々な動詞のタイプを考えたあとで、少し議論し
てみよう。
(22)と(23)の動詞は、本動詞あるいは語彙動詞と呼ばれている。これらは、別の動詞が前後に
なくとも、文においてその動詞だけで生ずることができる。独立して生ずることができない動詞は、動
詞を助ける機能があり、助動詞(auxiliary verbsまたは単にauxiliaries)と呼ばれる。(この用語はラテ
ン語の助けるという意味のauxiliariに由来する。)(28)を考えてみよう。
(28)Jeremy is laughing.(ジェレミは笑っている。)
この本動詞は動詞laughの-ing形です。3人称単数の形をとっている助動詞のisは、laughより前に置
かれる。助動詞はどういった意味で本動詞を助けるのであろうか?助動詞は本動詞にもっと具体的
な意味を加えるという点で本動詞を助けるのです。言い換えると、助動詞は、本動詞が表現した意味
をどういった観点からみるべきかを明示している。このように、(28)での助動詞は、笑っているのは進
行中であるということ、すなわち、それはある特定の時間にわたって起こっていることを表している。
Exercise: 下の文で、be動詞は助動詞ですか?
(i) He is friendly.(彼は親切です。)
この文の is は助動詞ではない。この文では is が唯一の動詞だからです。したがってそれは本動詞で
す。定義上、助動詞は補助動詞であり、従って、他の動詞すなわち本動詞を伴わなければならない
のです。文脈によって be 動詞は本動詞としても助動詞 e としても機能するのです。
Bas Aarts (2001) English Syntax and Argumentation. New York: Palgrave.
Chapter 3
Form: Words, Word Classes and Phrases
p.36, -l.9 ∼ 松井通浩,p.39, l.5 ∼ 山田結希,p.41, l.15 ∼ H.S.
p.43, l.14 ∼ 佐伯健太,p.44, l.11 ∼ 二宮孝徳,p.46, l.11 ∼ 下川康太郎
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Chapter 3
English Syntax and Argumentation
p.36, -l.9 ∼ 松井通浩
助動詞の役割をさらに詳しく述べる前に、助動詞の種類を下位分類しようと思う。助動詞は法助動詞、相
助動詞、受身の助動詞be、代用の助動詞doという4つの種類に細分化できる。次に、このような様々な種
類の助動詞を例文を用いて概述することにする.例文では助動詞が斜字体になっている。
法助動詞: will/would, can/could, may/might, must,
shall/should,
ought to
(29) We can dance until midnight. (私たちは深夜まで踊ることが出来る)
(30) You may take two courses if you wish. (あなたが望むなら、2つの進路がありますよ)
(31) You must comply with the regulation. (あなたはその規則に従わなければならない)
(32) They really ought to leave. (彼らは実際帰らなければならない)
(33) We shall write to you as soon as possible. (我々は出来る限りすぐに手紙を書きます)
(34) He will survive. (彼は生き残るでしょう)
相助動詞: be, have
(35) These students are always complaining. (この生徒達はいつも愚痴をこぼしている)
(36) Shelley has broken two wine glasses. (シェリーはワイングラスを2つ割ってしまった)
受身の助動詞: be
(37) This doughnut was eaten by our Head of Department. (このドーナッツはうちの部長に食べられ
ます)
代役の助動詞:
do
(38) Do you like eating doughnut? (ドーナッツ食べるのは好きですか)
助動詞が後続する主動詞を「助ける」とされる過程についてもう少し明確にしていこう。まず法助動詞
(modal auxilaries、または,短くmodal)から始めることにする。(29)‐(34)をざっと見ると、それらの助動詞は、
能力、許可、可能性、義務、必要性、意図、予測という意味を1つずつ含んでいる。例えば、(29)の動詞
canは、「私達」を指す人々が深夜まで踊る能力があり、さらにもう一つの意味として、 (29)の文は曖昧性
を含んでいるため、そのような人々は深夜まで踊る許可を得ているという意味を表している。(30)では二つ
の進路をとることに許可が与えられている。他方、(31ではその規則に従うという義務が誰かに与えられて
いる。(32)−(34)の文はそれぞれ必要性、未来性、予測を表している。略していえば,法助動詞は後続す
る動詞の意味に影響を与えると言うことができる。法助動詞は常に定形であり(つまり時制を持っており)、
三人称単数現在時制の語尾の‐sや過去時制の‐edなどの典型的な語尾はとらない。法助動詞のほとん
どは、上の二対の法助動詞にも見られるように、過去形を持っているが、これらの過去形は単に法助動詞
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Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
の基本形に語尾‐edを加えるだけで作られるわけではない。
次に相助動詞をみることにしよう。これらの動詞は「相(aspect)」を言語表現にし、これは、主動詞の意
味が時間的にどのように見られるかという視点を表す概念である。英語の相の主な種類は進行形相と完
了相である。最初の相である進行相はすでに(28)で例示してある。この文でジェレミーの笑いは進行中の
過程として表現されている。(35)はもう一つの例文である。この文で主動詞によって表されている愚痴をこ
ぼすという行為はある時間の広がりにわたって起こっていると見られる。すなわち、この行為はある継続時
間をもっている。
完了相は(36)の文で例示されている。この場合、助動詞は、グラスを割ったことが過去に起こり,そのこ
とが「現在の関連性(current relevance)」も持っているという事実を表している。これが意味することは,
(36)の文が話される時、対話者に対して、シェリーがグラスを割ったことが発話の時点である程度重要で
あることを伝えているということである。過去形の文と完了形の文とを比べることで、現在との関連性の概念
がより明確になる。
(39) Shelley broke two wine glasses last week. (シェリーは先週ワイングラスを2つ割った)
(40) Shelley has broken two wine glasses. (=36)
(39)の文の過去時制では単にシェリーがグラスを2つ割ったのはいつかを表しているが、他方、完了形で
は、シェリーが二個のワイングラスを割ったのは極めて最近のことで、この出来事がまだ関連があること(グ
ラスの破片がまだ床に散らばっているかもしれないということ)を表している。*Shelley has broken two wine
glasses last week.という文は使うことができないことに気をつけてほしい。
過去時制と現在完了との違いは「時間軸(or 時間の流れ: time line)」によって説明される。
(41) ――――――――X――――――――|――――――――
(42) ――――――――X―――――――→|――――――――
二つの文とも『X』はシェリーがグラスを割った瞬間を表し、『|』は現在を表す。(42)の文では矢印はこの
出来事の関連性が現在にまで届いていることを示している。
(40)の現在完了の文と次のような過去完了の文は区別される。
(43) By the time we arrived, Shelley had broken two wine glasses.
この場合、助動詞haveは過去時制になっている。(43)の文が意味するのは、シェリーが過去のある指示時
点より前にワイングラスを割ったこと、そして,この出来事が依然としてその指示時点に関連しているという
ことを表している。(43)の時間軸は(44)のようになる。
(44) ――――――――X―――→x――――――|―――――――
以前と同様に、『|』は『今』を表し、『X』はグラスを割ったことを表し、そのことが依然として指示時間のx
(私たちが着いた時)に関連している。
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Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
Exercise
次の文に動詞のhaveが含まれている。これは助動詞といえるのか。違うなら、理由を述べよ。
(i) Larry has ninety-four CDs.
(ラリーは94枚のCDを持っている)
この文には動詞が1つしかないため、hasは助動詞ではない。よって、それは主動詞である。この
ように、beと同様に、haveは助動詞か主動詞の機能を果たす。これと対比的に法助動詞は助動詞
としてのみ機能する。
p.39, l.5 ∼
山田結希
次に、英語における助動詞の残りの種類,すなわち,受身の助動詞と代役の助動詞を扱うことにしよ
う。これらのうちの最初の助動詞は次に説明する。
(45) Billy wrecked the garden shed.(ビリーは庭小屋を破壊した。)
→ The garden shed was wrecked by Billy. (庭小屋はビリーによって破壊された。)
第2章から思い出されるように、(45)の組の最初の文を能動文と呼び、2番目の文を受動文と呼ぶ。こ
こでは個々の状況で能動文と受動文が使われる様々な方法を扱うことはしないで、能動文と受動文
の統語的な相違に専念しよう。最初の文の直接目的語(the garden shed)が2番目の文では主語の位
置にあるということと、最初の文の主語は2番目の文のbyによって導かれる句の中に現れるということ
に着目しよう。能動文と受動文との間の、この実に規則的な交替はすでに述べた。(45)の最初の文
の主語と目的語が移動したという事実以外に、もう一つの重要で必要な変化が能動構造から受動構
造に変わる際に起こっていて、それは助動詞、すなわち受動の助動詞beの挿入である。この助動詞
には常に動詞の過去分詞形と呼ばれる-edで終わる本動詞が続く。
英語の助動詞の最後の種類に移る前に、法助動詞や相助動詞や受動助動詞を含む文に対応す
る否定文を作りたいと思うなら、最初の助動詞の後に単に否定辞notを加えることになるということに着
目しなさい。
(46) We will not/won’t dance until midnight.(私たちは深夜までダンスをするつもりではない。)
(47) These students are not/aren’t always complaining.
(こちらの学生たちはいつも文句を言っているのではない。)
(48) This doughnut was not/wasn’t eaten by our Head of Department.
(このドーナツは私たちの部長によって食べられていない。
notが助動詞から分離されうるか、助動詞に付加されるかについて着目しよう。
ここで、最後の助動詞の種類である、代役の助動詞doに移ることにする。助動詞を含まない文に対
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Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
応する否定文を作りたいと思うなら、(49)aと(49)bの対比が示すように、単にnotを加えることができな
いことに着目しなさい。そうではなくて、(49)cにおけるように、動詞doの一つの形を挿入する必要が
ある。
a Jon cycles to work every day.(ジョンは毎日自転車で出勤する。)
(49)
b *Jon not cycles to work every day.
c Jon does not/doesn’t cycle to work every day.(ジョンは毎日自転車で出勤しない。)
doの挿入の過程を、言語学ではdo-supportと呼ばれる。すでに見てきたように、否定文を作る際、問
題となっている文が助動詞を含んでいるならdo-supportは必要でない。
Exercise
次の文に対応する否定文を作りなさい。
(i) Aaron has bought himself a new shirts.(アーロンは新しいシャツを買った。)
(ii) Maire reads novels for fun.(モイアは楽しみのために小説を読む。)
(iii) Jon will always complain about everything all his life.
(ジョンは一生涯すべてのことについていつでも文句を言うつもりだ。)
(iv) 私はフランス語が話せる。
doは助動詞を含まない文の疑問形を作ることにも使われる。
(50)Jon cycles to work every day.(ジョンは毎日自転車で出勤する。)
→ Jon does cycles to work every day.(ジョンは毎日自転車で出勤する。)
→ Does Jon cycle to work every day?(ジョンは毎日自転車で出勤しますか。)
(50)は助動詞を含まない文の疑問形を作るために、まず本動詞の前にdoを挿入し、そしてこの動詞
と主語を逆にする。この語順倒置の過程は主語・助動詞倒置(Subject-auxiliary inversion)と呼ばれ
ている。do-支援(do-support)は、(51)から(53)が示すように、すでに助動詞を含む文の疑問形を作
る際に必要ではない。
(51) Jon will ride a bike all his life.(ジョンは一生涯自転車に乗るだろう。)
→ Will Jon ride a bike all his life?(ジョンは一生涯自転車に乗るでしょうか。)
(52) Jon is always riding his bike in his spare time.(ジョンは余暇にいつも自転車に乗っている。)
→ Is Jon always riding his bike in his spare time.
(ジョンは余暇にいつも自転車に乗っていますか。)
(53) Jon has cycled to work since he got his first job.
(ジョンは初めての仕事についてからずっと自転車で出勤している。)
→ Has Jon cycled to work since he got his first job?
(ジョンは初めての仕事についてからずっと自転車で出勤していますか。)
代役助動詞の3番目の用法は助動詞が取り残された文脈に見られる。このことを説明するために、
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Chapter 3
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次の文を考えることにしよう。
(54) Does Jon cycle to work every day? He does,(ジョンは毎日自転車で出勤しますか。彼はする。)
(55) Jon cycles all the way to work every day, and so does Tim.
(ジョンは毎日はるばる自転車で出勤していて、ティムもまたそうだ。)
ここで、He does と So does Tim の文では、助動詞が本動詞なしで現れる。この特性はいくぶんあいまい
に記号化と呼ばれている。(56)-(61)は他の助動詞もまた記号化の現象を表すことを示している。
(56) Will Jon ride a bike all his life? He will.
(ジョンは一生涯自転車に乗るでしょうか。彼はそうするだろう。)
(57) Jon will ride a bike all his life, and so will Harry.
(ジョンは一生涯自転車に乗り続けるだろうし、ハリーもまたそうだ。)
(58) Is Jon always riding a bike in his spare time? He is.
(ジョンは余暇にいつも自転車に乗っていますか。彼はそうです。)
(59) Jon is always riding his bike in his spare time, and so is Harry.
(ジョンは余暇にいつも自転車に乗っていて、ハリーもまたそうだ。)
(60) Has Jon cycled to work since he got his first job? He has.
(ジョンは初めての仕事についてからずっと自転車で出勤していますか。彼はしている。)
(61) Jon has cycled to work since he got his first job, and so has Harry.
(ジョンは初めての仕事についてからずっと自転車で出勤していて、ハリーもまたそうだ。)
p.41, l.15∼p.43, l.13
H.S.
代役助動詞には四番目の用法があり、それは、いわゆる強調の文脈に現れる。ある人が“John cycles
to work every day.”という文の正しさをたった今否定したという状況を考えてみなさい。それにもかかわら
ずこの文が正しいと信じるなら、憤慨して次の(62)のように言って応答するかもしれない。
(62) Jon DOES cycles to work every day!(ジョンは確かに毎日自転車で通勤する。)
ここで大文字はこの助動詞が強い強勢が置かれて発音されることを表している。この場合にもまた、既に
助動詞を含んでいる文においては、強調を表すために do-支持〔do-挿入〕は必要とされない。
(63) Jon WIILL cycle to work every day!(ジョンはきっと毎日自転車で通勤するでしょう。)
(64) John is cycling to work every day!(ジョンは確かに毎日自転車で通勤している。)
(65) Jon HAS cycled to work since he got his first job!
(ジョンは最初の就職以来、自転車で通勤してきた。)
Exercise
次の文を考えなさい。
(i)
Kathy did her homework.(キャッシーは宿題をやった。)
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Bas Aarts
(ii)
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
Francesco did today’s dinner.(フランシスコは今日の夕食をとった。)
これらの文で動詞 do は助動詞ですか。もしそうでないなら、なぜですか。
これらの文の動詞 do はこの文でただ一つの動詞であり、この理由で、この do は「補助」動詞であると言う
ことができないのである。それゆえ、上記(i)と(ii)の do を主動詞〔本動詞〕と考えなければならない。
助動詞 do の振る舞いに関する観察から、助動詞全体に関して一般化をすることができる。助動詞を主
動詞と区別するものは、助動詞は次のようなことが可能であるということである。
1. 否定の接辞的小辞 not を伴う。
2. 主語と倒置する。
3. 記号化(重複回避)を明示する。
4. 強調のための強勢を伴う。
1から4は NICE 特徴と呼ばれ、NICE は上で斜字体で記されている特徴それぞれの最初の文字から構成
される頭文字語(acronym)である。
なぜ do がこれまで一貫して代役要素と呼ばれてきたかを疑問に思うかもしれない。その理由は、do が実
際にそれ自体意味を表さず、否定文や疑問文を形成したり、記号化(重複回避)や強調を行う際に単に
主動詞を助けるために挿入されているにすぎないからである。
これまで、一つの助動詞だけを含む文を見てきたが、複数の助動詞が組み合わされることはごくふつう
のことである。次にいくつあの可能な組み合わせの若干の例を挙げることにする。
(66) The company is being taxed three times this year.(その会社は今年3回課税されている。)
(67) The company has been taxed three times this year.(その会社は今年3回課税されている。)
(68) The company has been being taxed three times this year.(その会社は今年3回課税されている。)
(69) The company will have been being taxed three times this year.
(その会社は今年3回課税されるでしょう。)
(66)には進行の助動詞 be と受け身の助動詞 be の二つの助動詞が含まれている。(67)では、完了の助動
詞 have が受け身の助動詞 be と結合している。最後の(69)では四つの助動詞、すなわち、法助動詞 will
が完了・進行・受け身の助動詞と結合している。いずれの場合も、taxed という動詞形は、既に見てきたよう
に、主動詞 tax の過去分詞である。ただし、(68)と(69)の〔結合〕形は英語ではまれである。
上の文から幾つかの重要な事実が見られる。まず第一に、時制をもち、従って定形であるのは常に最
初の助動詞であるという点に注意しなさい。他の全ての動詞は非定形である。既に見たように、定形の動
詞形は現在時制か過去時制で用いられる。非定形の動詞形は四つの形をとり、例えば、動詞 dance に関
してはこの四つの形は(70)にあげられている。
(70)
to dance
to-不定詞
e.g. I wanted him to dance.(私は彼に踊ってほしかった。)
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Chapter 3
English Syntax and Argumentation
dance
裸不定詞
e.g. I saw him dance.(私は彼が踊るのを見た。)
dancing
現在分詞
e.g. He is dancing.(彼は踊っている。)
danced
過去分詞
e.g. He has often danced.(彼は何度も踊ったことがある。)
to 不定詞の to という要素は、不定詞小辞と呼ばれる。裸不定詞(原形不定詞)はこの小辞がつかず、この
ため、この名前が付けられた。過去分詞形と過去時制形を混同しないように注意しなさい。動詞によって
は、過去時制形と過去分詞形が同じ形と同じ発音をもつ場合があり、dance という動詞はこの例である。し
かしながら、これら二つの形は、過去時制形が定形で、過去分詞形が非定形であるという点で異なってい
る。
二番目の重要な点として、(66)∼(69)において、いずれの助動詞もそれに後続する動詞の形を決定して
いる。例えば、(66)において、進行の助動詞 be は受け身の助動詞 being の ing という語尾を決定している。
さらに、受け身の助動詞は過去分詞 taxed の ed 語尾を決定している。
三番目に、複数の助動詞にはきちんとした順番があることに注意しなさい。(69)に見られるように、法助
動詞が最初に来て、次に完了の have、進行の be、受け身の be という助動詞が続いているのである。もち
ろん、これらの助動詞全てが必ず生ずる必要があるということではない。
p.43, l.14 ∼ p.44, l.10 佐伯健太
Exercise
(66)-(69)の文の否定対応文を形成しなさい。文に2つ以上の助動詞を含む文における not の位置に
ついてどのような結論を引き出すことができるか?
結論は、否定辞 not が常に 1 番目の助動詞に続くべきであるということである。
名詞句中の名詞と形容詞句中の形容詞と同様に、動詞は動詞句を主要部になることができることを予
想するだろう。そして、このことは正しい。しかしながら、動詞句は他の句の種類より少し複雑である。その
理由は、どの要素が特定の文の動詞句の一部となることが許されるかがすぐには明らかでないからである。
具体的な例を取り上げ、何がその動詞句であるかをはっきりさせよう。(71)を考えましょう。
(71) The library has recalled these books. (図書館はそれらの本を回収した。)
一つの可能性は、動詞句が動詞だけを含むと言うことであろう。そしてこれは実際に何人かの言語学者に
提案されている。この研究方法に基づくと、(71)における動詞句は、主動詞 recalled だけから構成されて
いる。しかしながら、名詞句が名詞以外の要素を含むことができ、形容詞句が形容詞以外の要素を含む
ことができるのと全く同じように、動詞句が動詞以外の要素を含むことを許すことは、何もおかしいことでは
ないであろう。
Exercise
18
Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
動詞句中に含めることが望ましいと思われる動詞以外の要素がどのようそであるかをはっきりさせよう。
ヒント: *The library has recalled とは言うことができないことに注目しなさい (第1章の p.6 の(16)“Our
vicar likes.”も参照)。
私が示したヒントは、recall と直接目的語の these books との間には何らかの結び付きがあることを示してい
る。この結び付きの性質は、動詞が統語的に直接目的語が名詞句の形で生ずることを要求するというもの
である。これを言い換えると、(71)の動詞 recall が名詞句を下位範疇すると言うことができる。以下の章で、
下位範疇化についてもっと多くのことを述べることにする。当面は、recall とその直接目的語との間に下位
範疇化の関係が存在することが直接目的語を動詞句の一部であると考える理由であるを観察すれば十
分である。ここで(71)の文を次のように表すことができる.すなわち,The library [VP recalled these books].
この文における動詞句は直接目的語として機能する名詞句 these books を含んでいる(第1章の p.6 の
(15)“Our vicar likes fast cars.”も参照).
p.44, l.11 ∼
二宮孝徳
3.5 前置詞
前置詞という品詞は、先に論じた品詞と異なり,典型的な語尾を持たないので、語形の特質を用いて簡
単に定義することができない。せいぜい前置詞はとても短い傾向があり、多くはほんの二、三文字から成
るということくらいしか言うことができない。例えば、at, behind, beside, by, for, in, like, of, on, through, under,
with, withoutなどである。前置詞は上で挙げたように、一語から成っているように単純であったり、by
means of, in front of, in spite ofなどのように二語以上から成って複雑になったりする。前置詞は名詞句と
結合して前置詞句(PPs)を形成する。例えば、[PP with [NP the dog]], [PP on [NP her bicycle]], [PP through [NP
the glass]]などである。これらの例で示されるNPは前置詞の目的語とか前置詞の補語と呼ばれる。
意味の点から、前置詞はしばしば二つのモノのある関係を表すと言うことができる。例えば、The book is
on the table.のような単純な文で、前置詞は本とそれがある位置の空間的な関係を表しており、その位置
はこの文では前置詞の補語として示されている。この関係はShe is in big trouble.といった文におけるよう
に比喩的な関係のこともある。
3.6 副詞
副詞は、動詞や形容詞や他の副詞を修飾する。この定義は、次の(72)-(74)の文の副詞merrily,
extremely, very, hardを確認することを可能とする。
(72) Our colleague from Paris merrily marks student essays in his bath.
(パリから来た同僚は生徒の論文を風呂に浸かりながら、楽しげに採点する。)
(73) The teachers are extremely unimpressed by his efforts.
(教師達は彼の努力に極端に感銘を受けていない。)
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Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
(74) Our new professor works very hard.
(私達の新しい教授は、とても一生懸命に働く。)
(72)では、merrilyがどのように行われたか、つまり楽しく行われたことを表しており、(73)と(74)は、教師達
が感銘を受けていない、そして新しい教授が一生懸命働く程度について、より具体的な情報を与えてい
る。(72)と(73)のmerryとextremeという形容詞に付けられている語尾の-lyは副詞の典型的な語尾である。
ここで注意すべきことがあり、形容詞にも-lyで終わる語が多少あるということである。例えば、friendly,
goodly, lively, masterly, woolyなどである。
他の副詞の語尾には-wards, -wise, -ways(例えば、homewards, clockwise, sidewaysなどである)や他に
も幾らかある。しかしながら、(74)から分かるように、全ての副詞がこれらの接尾辞を伴っている訳ではない。
従って、接尾辞だけを見るというのは副詞の語形にとって、間違いようのない程簡明な検査とは言えな
い。
比較級と最上級の形を見る時には、さらに注意が必要である。形容詞の考察から思い出されるように、
この品詞の特徴の一つは-erや-estといった接尾辞を用いて、clean-cleaner-cleanestのような一連の比較級
と最上級を形成することである。しかしながら、副詞にも比較級と最上級の形をもつものがある。例えば、
fast-faster-fastest, soon-sooner-soonest, well-better-bestである。fastは形容詞であるということに注意して欲
しい。
次に、副詞の下位類を考えることにしよう。
副詞の下位類(Adverb subclasses)
Circumstantial adverbs(状況の副詞): often, gleefully, intentionally, reluctantly
Degree adverbs(程度の副詞): extremely, extraordinarily, less, more, pretty, quite, too, very
Sentence adverbs(文副詞): however, probably, perhaps
状況の副詞は意味的にとても異質である。それらは、多様な異なる状況の情報、例えば、頻度や態度
を明確にすることができる。
程度の副詞は、その名が示すように、形容詞の修飾が当てはまる程度を明確にする。例えば、
extremely rudeの形容詞句では、副詞extremelyは形容詞‘rude’が当てはまる程度を明確にする。
文副詞は、状況の副詞や程度の副詞と意味的に異なり、文と文を接続する働きをしたり、文全体を修
飾する。幾つか例を挙げよう。
(75) James’ past is not unblemished. However, we will disregard this for now.
(ジェームズの過去は汚点の無いものでないが、現時点ではそれを無視することにする。)
(76) Perhaps you can sign on the dotted line.
(おそらく、点線の上に署名していただくことになります。)
(77) Probably, we will not be able to go on holiday this year.
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Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
(おそらく、今年は休みを取ることができないだろう。)
(75)のHoweverは一番目の文の内容と二番目の文の内容を繋げており、 (76)のPerhapsは後続の命題が
確実らしいということを表わしている。最後に、(77)ではprobablyという副詞を用いることで話者が続いて起
こり得る事柄(we will not be able to go on holiday this year)を考えているということが示されている。(76)と
(77)の副詞は文全体を作用域(scope)としているということができる。
副詞の三つの種類は統語的にも異なっている。程度の副詞はそれ自身は修飾されない (*very
extremely)が、状況の副詞と文副詞は修飾される(very often, quite intentionally, very probably)。文副詞
は状況の副詞や程度の副詞とは異なり、それらが修飾している文から統語的に引き離される。
副詞は副詞句(AdvP)の主要部として機能する。多くの副詞句は主要部のみを持つが、他の種類の句
と全く同じように、主要部は(74)におけるように修飾されることができる。
p.46, l.11 ∼ 3章の末尾 【下川康太郎】
3.7 接続詞
接続詞は結合機能をもつ閉じた語類に属する。接続詞には、等位接続(たとえば、and, or, but)と従位
接続詞(たとえば、that, if, whether, for, because, although, when など)という二つの種類がある。
等位接続詞を含む構造のいくつかの例を見ていこう。下の文の角括弧の部分は等位接続された構造
である。等位接続詞は斜字体で示されている。
(78) (I bought) [NP [NP a computer] and [NP a keyboard]]
(私はコンピューターとキーボードを買った。)
(79) (these articles were) [AP [AP old] and [AP useless]](これらの記事は古くて役に立たない。)
(80) (He is) [AP [AP pretty stupid] but [AP quite eager]](彼は相当馬鹿で、全くやる気がない。)
(81) (She) [VP [VP likes tea] but [VP hates coffee]]
(彼女は紅茶が好きだが、コーヒーは嫌いだ。)
(82) (The books are) [PP [PP on the table] or [PP in the cupboard]]
(その本はテーブルの上か食器戸棚におかれている。)
(83) (He killed the fly) [AdvP [willfully] and [AdvP quite mercilessly]]
(彼はわざとそして情け容赦なくハエを殺した。)
(84) [S [S They arrived at 10 a.m.] and [S they left at 6 p.m.]]
(彼らは午前10時につき、午後6時に立ち去った。)
(85) [S [S We will not offer this student a place] but [S we can recommend a College that will]]
(私たちはこの生徒に席を与えるつもりはないが、大学にその意思を推薦することはできる。)
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Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
(78)の文では、接続詞 and は二つの名詞句をつないでおり、(79)−(83)の文では、それぞれ等位接
続された形容詞、前置詞句、副詞句の例である。(84)と(85)では、文が接続されている。
上記に示されているように、and と or と but は等位接続詞(coordinating conjunction または単に
coordinator)と呼ばれる。等位接続された要素は接続要素(conjunct)と呼ばれる。この種の接続詞の重要
な特性は、それらが等しい統語的資格をもつ要素を、たとえば句と文を接続することである。われわれは
等位関係を並列関係(parataxis)として扱い、この用語はギリシア語から採られた語であり、おおよそ「統語
的に隣り合う配列」を意味する。二つの等位接続された句は二つの〔構成する〕接続要素と同じ種類の新
しい句を形成するということに注意しなさい。このようになる理由は、その大きい句は接続要素の各々が等
位接続詞がない場合に果たす機能と同じ機能を果たすからである。(86)を(87)と(88)を比べてみよう。
(86) [NP [NP Philosopy] and [NP Linguistics]] are fascinating subjects.
(哲学と言語学は魅力的な科目だ。)
(87)[NP Philosopy] is easy. (哲学は簡単だ。)
(88)[NP Linguistics] is tought.(言語学は難しい。)
(86)の philosophy and linguistics という文字列は、文の主動詞の前の主語の位置に現れており、これは、
(87)と(88)の philosophy と linguistics の場合と同様である。また、(86)のより大きい名詞句が(87)と(8
8)の単一の名詞句と同じように動詞 be の形を決めることにも注目しなさい。接続された文字列が接続され
ていない名詞句と同じような機能を果たすので、それ〔接続された要素〕もまた名詞句だという結論に達す
る。
三つ以上の要素がつながっている場合、例えば“beer, wine and whisky”のような場合についても述べる
ことにする。二つもしくはそれ以上の要素があるときはいつでも、すべての項目の中の一番最後の二つの
項目の間にだけふつう接続詞が置かれる。表現された接続詞を含む等位構造のすべての場合が統語的
接続と呼ばれる。(89)のように表現された接続詞のない場合は非統語的接続と呼ばれる。
(89) Speaker A: What’s on your shopping list? (どんなものを買うの?)
B: Beer, wine, whisky. (ビール、ワイン、ウィスキーです。)
後の章で等位接続に立ち戻り、等位構造を構成素性のテストとして使う可能性について議論するだろう。
次に以下の文を考えてみよう。
(90) He thinks [that we will agree]. (彼は私たちが合意すると考えている。)
(91) I wonder [if it will ever change]. (それはいったい変わるのだろうか。)
(92) We don’t know [whether he will come]. (彼が来るかどうかは知らない。)
(93) I am hoping [for Helen to arrive today]. (私はヘレンに今日着いてもらいたい。)
22
Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
(94) She left the course, [because she didn’t like living in a big city].
(彼女は大都市に住むのはすきでないため、研修を去った〔その研修をやめた〕。)
(95) My teachers are very strict, [although they are also very supportive].
(私たちの先生は厳しいが、とても協力的でもある。)
(96) They are going to meet her, [when she arrives].
(彼女が到着するとき、彼らは彼女に会いに行くつもりだ。
(90)−(96)の斜字体の要素は、これまで見てきたように従位接続詞と呼ばれている。それらはほとんど
短い一つの語だが、二つ以上の語から構成される従位接続詞、例えば as if, as long as, in order that so
that などの小さなグループもある。
従位接続詞(subordinating conjunction または省略して subordinator)は従属節を導く要素であり、従属
節は暫定的に文の中の文と定義する。For によって導かれる節を除いて、(90)−(96)の全ての従属節
は定形であるということに注意しなさい。
従属接続詞は、同等でない統語的資格をもつ要素を接続するという点で等位接続詞とかなり異なって
いる。言い換えると、このことは、従位接続は一種の従属(hypotaxis)であり、この場合もまたもともとはギリ
シア語の用語であり、統語的下位配列を意味する。(90)−(96)のいずれの場合でも従位接続詞によっ
て導かれる語の連続は先行するものに統語的に下位にある(従属している)ものである。
(90)−(93)の従位接続の特徴が(94)−(96)の場合と違うということを理解するのが重要である。す
なわち、(90)において that によって導かれる節は動詞の意味を完結させ、ゆえに、それは直接目的語で
ある。if, whether, for によって導かれる節も直接目的語節を導く。対照的に、(94)−(96)では because,
although, when によって導かれる節は先行するものに付随的な情報を与える。それらは、理由やあるの種
類の対比、時間を明確にする。それゆえ、これらの節は付加詞の役割を果たす。that, if, for, whether は補
文を導くため、それらは補文標識と呼ばれる。これらの要素は従属接続詞の下位類を構成する。以下の
章で、従属接続に立ち戻ることにする。
3.8 間投詞
間投詞は感情・身体的状態・同意・不同意といったことを表現する要素である。次にいくつかの例を挙げ
る。
ah, erh, hmm, no, oh, ouch, phew, shit, yes, yuck, etc.
これらは別の語類とみなされるが、実際には伝統文法家〔の考え〕を擁護する場合だけである(そのように
扱われるのである)。それ〔間投詞〕について考える場合には、間投詞は実際にはそれらが生ずる文の一
部ではなく、文字通り、文中に投げ入れられているのである。
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Bas Aarts
Chapter 3
English Syntax and Argumentation
以上で語類(品詞)と英語の関連する語句に関する概観を終えることにする。思い起こして欲しいことは、
名詞と名詞句、形容詞と形容詞句、動詞と動詞句といったことは形式(form)と呼んだ分析のレベルに属
するものであり、他方、主語、直接目的語、付加詞といったことは機能(function)のレベルに属するもので
ある。次の章では、さらに節と文という二つの形式の概念を見ることにする。次に、第5章では、機能と形
式というレベルを関連づける方法を見ることにする。
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