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国際市場における 本の携帯電話端末
名城論叢 1 2007 年9⽉ 国際市場における⽇本の携帯電話端末 ―中国市場を中⼼として― ⼤ 﨑 孝 徳 ⽬次 Ⅰ.問題提起 Ⅱ.中国の携帯電話市場 Ⅲ.中国市場における携帯電話端末 Ⅳ.携帯電話端末市場の⽇中⽐較 Ⅴ.結論 Ⅰ.問題提起 た。上海では中⾼⽣から⾼齢者まで幅広く普及 しているようである。こうした普及の状況は統 13 億の⺠を有する中国は4億⼈を超える携 計資料からも裏付けることができる。中国にお 帯電話ユーザーを抱える世界最⼤の市場であ ける 2005 年末時点の携帯電話サービス加⼊者 る。こうした巨⼤市場に対して,⽇本メーカー 数 は 約 3 億 7 千 万 ⼈ で あ る( 表 1 ) 。ま た, は積極的に参⼊してきた。しかしながら, 近年, NTT ドコモ NEC,パナソニック,三菱電機など,名だたる 中国のユーザー数は 2006 年2⽉には4億⼈を ⽇本メーカーの端末供給休⽌の動向が⽬⽴って 超え,北京,広州,上海など都市部では普及率 いる。なぜ今後更なる市場拡⼤が予期される世 が 90%を突破しており,⽇本や韓国と同⽔準と 界最⼤市場から撤退することとなったのか。こ なっていると指摘している(p. 268) 。ただ,中 の問に対する解を導出するためには,中国市場 国市場全体においては,2005 年のユーザー数が について詳細に分析する必要がある。そのため 前年⽐ 17%増といまだ拡⼤している状況であ 2006 年 12 ⽉ 22 ⽇から 25 ⽇まで,中国におい り(⽮野経済研究所 てフィールドワークを実施した。当然のことな 主流となっている⽇本や韓国市場とは⼤きく異 がら,沿海部を中⼼とする都市部と地⽅では経 なっている。 モバイル社会研究所(2006)は, 2006,p. 75) ,代替需要が 済格差が⼤きく,消費者ニーズや流通構造など 中国には3つのキャリアがあるが,実際に影 において,相違する部分が存在することも予想 響⼒を保有しているのは,チャイナモバイルと されるが,今回は中国の携帯電話端末に関する チャイナユニコムの2社である。とりわけチャ 最前線の情報収集を⽬的とし,都市部である上 イナモバイルのシェアは 66.5%と市場の3分 海にて調査を実施した。 の2を占め,⽇本と類似するキャリアの構造と なっている。各社の概要は以下のとおりであ Ⅱ.中国の携帯電話市場 ⽇本同様,上海においても路上,店舗,電⾞ 内で携帯電話を使⽤している⼈をよく⾒かけ り,ともに政府機関をルーツとしている(NTT ドコモ モバイル社会研究所 2006,p. 270) 。 ・チャイナモバイル 中国の携帯電話ビジネスは 1987 年に政府機 2 第8巻 第2号 表1 中国の携帯電話市場(2005年末時点) 通信規格 シェア(%) 加⼊者数(千⼈) GSM 66.5 245,632 GSM 25.9 95,580 CDMA 7.5 27,811 チベットテレコム CDMA 0.07 合計 ― チャイナモバイル チャイナユニコム 272 ― 369,295 出所:シード・プランニング(2006)p. 145より作成。 関である郵電局の管理のもと,独占的国営事業 電話市場であるとともに,年間の⽣産台数が3 として始まった。その後,チャイナテレコムの 億台を突破する世界最⼤の製造拠点(2005 年末 管理下に移り,1999 年にチャイナテレコムから 時点)でもある。中国に⽣産拠点を保有するの 分離・独⽴し,チャイナモバイルが設⽴され, は,海外メーカー,中国メーカー,EMS・ODM 現在,携帯電話事業に特化している。 メーカーの⼤きく3系統に分類される(⽮野経 ・チャイナユニコム 済研究所 2006,p. 82)。 チャイナユニコムは固定電話と⻑距離電話事 中国市場のシェアに注⽬すると,ノキア,モ 業も⼿がける総合通信事業者である。1994 年 トローラ,サムスンが上位に位置し,⽇本メー に中国政府機関の電⼦⼯業部,電⼒部,鉄道部 カーの存在感が全く⾒受けられない点は国際市 および 12 の国営企業によって設⽴された。 場の状況と類似している(図1)。しかしなが 2002 年より CDMA のサービスも始めている。 ら,4位以下は中国企業が続く。1998 年時点で はモトローラ,ノキア,エリクソンの3社で 第3世代の携帯電話サービスについて,⽇本 80%のシェアを占め,残りをシーメンス,フィ では NTT ドコモが 2001 年に開始したが(パ リップス,NEC,パナソニック,ソニーが分け ナソニック・モバイルコミュニケーション技術 合っていた(⽊村 2005,pp. 156-158)。しか 研修所 2005,p. 4) ,中国では未だ導⼊されて しながら,1999 年から中国政府が実施した国産 いない。当初,2006 年内に許可され,早ければ 保護政策の影響を受け,中国メーカーが躍進し 2007 年からサービスが開始される(シード・プ てきている。 ランニング 2006,p. 145)とみられていたが, さらに先延ばしになりそうである。中国主導で 2.⼤⼿海外メーカーと中国メーカーの競争 推進する TD-SCDMA ⽅式を最初に許可し,そ 中国の携帯電話端末市場における主たるプレ の後,W-CDMA や CDMA2000 を許可すると イヤーは,⼤⼿海外メーカーと中国メーカーで の⾒⽅もある(同上,p. 146) 。 ある。概略を先に述べれば,⼤⼿海外メーカー によって⽀配されていた市場は,1999 年の国産 Ⅲ.中国市場における携帯電話端末 1.携帯電話端末の中国市場 中国はユーザー数4億⼈を有する最⼤の携帯 保護政策により⼀変し,中国メーカーが急劇に 躍進してきた。2003 年には中国メーカーであ るバードと TCL が⼤⼿海外メーカーを抑え, シェアでそれぞれ1位と2位に⽴った(図2) 。 国際市場における⽇本の携帯電話端末(⼤﨑) 図1 3 携帯電話端末の中国市場(2005 年) 出所:⽮野経済研究所(2006)p. 81より作成。 図2 中国市場におけるメーカー別販売台数の推移 出所:⽮野経済研究所(2006)p. 81より作成。 しかしながら,その後,これらの中国メーカー 策の具体的な内容は以下の通りである(⽮野経 は急速に影響⼒を低下させ,再び⼤⼿海外メー 済研究所 カー優勢の市場構造となった。以下,中国メー ・⽣産,販売におけるライセンス制度の導⼊ カーの躍進と⼤⼿海外メーカーの復権の要因に ・中国企業との合弁企業設⽴による製造の義務 ついて考察する。 2006,p. 83)。 化 ・中国企業に対する R&D の⽀援の義務化 2.1.中国メーカーの躍進 1999 年から中国政府が実施した国産保護政 ・総⽣産台数,部品現地調達率,輸出⽐率に関 する規制導⼊ 4 第8巻 第2号 このように国産保護政策は海外メーカーに対 ため,過剰在庫を防ぐことができたものの,中 して厳しい内容となっている。⼀⽅,中国メー 国メーカーは過剰在庫にくわえ,⼀般的に代⾦ カーは政府の保護を受けることとなり,家電 全額保証制度を採⽤しているため,店頭在庫処 メーカー,ベンチャー企業を中⼼に参⼊希望が 分の値下げによる損失もメーカーが負担しなけ 相次いだ結果,最⼤ 100 社前後のメーカーが市 ればならなかった(⽮野経済研究所 2006,p. 場参⼊し,その後,淘汰されたものの,現在で 84) 。 も 40-50 社前後が存在している(同上,p. 84) 。 また,こうした環境要因だけではなく,中国 中国メーカーが影響⼒を低下させた要因につ いて,⽊村(2005)は以下の5点を指摘してい メーカーの戦略にも注⽬する必要がある。具体 る(p. 167)。 的には,中国消費者のニーズを重視した製品開 ・⼤⼿海外メーカーとの競争の激化 発やきめ細かな営業の実践があげられる。例え 中国の消費者を意識したデザイン,ローエン ば,BIRD は幅広いラインアップに加え,当時, ド機の投⼊,販売網の整備(例えばノキアは内 中国で注⽬を浴び始めたカメラの搭載を控え, 陸部への事務所の開設,数百⼈の販売促進員の 徹底した低価格機を投⼊し,また TCL はモノ ⼩売店への派遣,専⾨チェーン店や家電量販店 クロ液晶のローエンド機の投⼊により,販売台 などとの直接取引を実施)など,中国メーカー 数を⼤幅に増加させている(同上) 。 との競争を通じて⼤⼿海外メーカーは中国市場 におけるマーケティングを学習していた。 2.2.⼤⼿海外メーカーの復権 ・中国メーカー間における競争の激化 中国メーカーは 2003 年に⼤きく躍進したも 中国メーカーは 24 社にものぼり,各社が増 のの,2004 年以降,急劇にシェアを落とした。 産したため供給過剰となった。中国全体で毎 競争激化の結果,2004 年の端末市場では機種数 年,600 機種が投⼊され,製品のライフサイク が前年⽐ 20%増の 680 機種となり,端末の価格 ルは短いもので約半年,売れるもので稀に2年, の低下とライフサイクルの短縮化が進展した 平均9ヶ⽉程度となっている。 (⽮野経済研究所 ・販売チャネルの多様化 2006,p. 85) 。さらに,中 国メーカーのブランド⼒の弱さに加え,品質⾯ ⼤⼿海外メーカーと⼤型家電量販店との⼤量 でも⼤きな問題が露呈し,深刻な余剰在庫を抱 直接取引が活発化し,中国メーカーの有するき え,マーケティングや製品開発に投資すること め細かな販売網のメリットが相対的に低下し ができなくなった(同上)。 た。 ⼀⽅,⼤⼿海外メーカーは中⼩都市の販売 ・消費者ニーズの変化 チャネルの強化,徹底した携帯電話端末のイ 端末が普及し始めた時期はローエンドモデル メージ戦略の実践による⾃社ブランドの強化に への需要も⾼かったが,より付加価値の⾼い商 より,ミドルモデル以上の端末において価格競 品を選択する消費者が都市部を中⼼に増加して 争を回避したことにくわえ,ノキア,モトロー きた。また,中国メーカーへの品質⾯における ラにおいてはローエンドモデルを本格的に投⼊ 満⾜度の低さなどが顕在化してきた。 し,シェアを挽回していった(NTT ドコモ ・キャリアの関与 モバイル社会研究所 2006,p. 269) 。さらに, キャリアが OEM 調達した GSM と CDMA ⼤⼿海外メーカーは流通販売網において SCM のデュアルモード端末では,海外メーカー3社 を構築し,在庫と⽣産管理を厳重に⾏っていた のみが採⽤された。 国際市場における⽇本の携帯電話端末(⼤﨑) キャリアの関与について,現時点において統 計的数字を確認できていないが,そもそもキャ 表2 ⽇本メーカーの中国市場への端末供給 NEC 2006年より⼀時休⽌ パナソニック 2006年より⼀時休⽌ プインタビューにおいて,キャリア専⽤端末の シャープ 2007年より再参⼊予定 認知度が極めて低かったことを考慮すれば,そ 東芝 2005年より休⽌ の影響⼒は限定的ではないかと考えられる。ま 三洋電機 OEM供給実績あり た,中国メーカーが⼤⼿海外メーカーに劣って 富⼠通 供給実績なし いる点として,⽮野経済研究所(2006)は基本 三菱電機 2006年より⼀時休⽌ 的な技術⼒と経験,市場におけるブランド⼒, 京セラ 供給中 流通・販売網の未整備,多品種少量⽣産が求め カシオ 供給実績なし ⽇⽴ 供給実績なし リアの店舗は少なく,CDMA のシェアが僅か 8%程度であること,また現地調査でのグルー られる市場における効率的な開発体制の⽋如と コスト意識の低さ,マーケティング能⼒の未熟 さを指摘している(p. 85)。注⽬すべき中国 メーカーの新たな動きとしては,バード,TCL といった先⾏メーカーに加え,レノボ,アモイ, ZTE といったメーカーの市場参⼊および影響 ⼒の増加があげられる (⽮野経済研究所 2006, p. 79) 。 5 出所:⽮野経済研究所(2006)p. 34を加筆・修正 注:NEC:⼈⺠網⽇本語版(2006.11.23)より修正 シャープ:⽇本経済新聞(2006.2.15)より修正 東芝:⽇本経済新聞(2005.4.6)より補⾜ 三菱電機:⽇本経済新聞(2006.4.9)より修正。 東芝は 2003 年に動画メール機能を搭載したハ イエンドモデルを 6,000 元で発売し,約 50 万 台の販売台数を⽬指していたが,ブランド⼒の 2.3.⽇本メーカーの動向 弱さなどからシェアが低迷し,2005 年から休⽌ 世界最⼤の市場である中国市場に,ほとんど している(⽇本経済新聞 2005.4.6)。⼀⽅,京 の⽇本メーカーは参⼊してきたものの,2006 年 セラは CDMA 対応端末を少数ながら現在でも に⼊り,三菱電機,パナソニック,NEC が休⽌ 供給しており,またシャープは 2007 年を⽬処 したため,現在,ビジネスを展開しているのは に中国市場へ再参⼊する意向を表明している 京セラのみである(表2) 。ここ数年,市場の拡 (⽇本経済新聞 2006.2.15)。 ⼤に伴い,海外⼤⼿メーカーが急劇に販売台数 を増加させる⼀⽅で,NEC やパナソニックは 3.流通経路 200 万台程度で伸び悩んでいた(図2) 。NEC 上海の街を歩いて感じることは⽇本や英国と は 2005 年には 2,500 店にものぼる販売網を構 は異なり,キャリアの店舗が⾮常に少ないこと 築し,30 機種を投⼊するというフルラインアッ である。その代わりメーカーの店舗が街中に氾 プ戦略を展開していた。しかし価格競争の激化 濫している。とりわけ,⼤型ショッピングセン に伴う⾚字の解消を⽬指し,ローエンドモデル ターには各メーカーのブースが集積しており, (1万5千円程度)の開発・販売を停⽌し,ハ センター内で最も多くの消費者が集まっていた イエンドモデル(3万円以上)に特化する戦略 印象がある。中国においてキャリア専⽤端末は を実⾏していたが(⽇本経済新聞 2005.12.14) , 存在するものの,そもそもキャリアの店舗数⾃ ハイエンドモデルにおける価格競争も激化して 体が少なく,消費者の端末購⼊において主たる きたため 2006 年に⼀時休⽌することとなった。 場とはなっていないため,影響⼒は極めて⼩さ 6 第8巻 第2号 いと考えられる。⽇本においては全ての端末が ⽊村(2005,pp. 163-165)は⼤⼿海外メーカー キャリア専⽤であるため,当然ながら状況は⼤ と中国メーカーの流通経路の相違について,詳 きく異なる。また,英国市場と⽐較しても,汎 細に分析している(図4)。⼤⼿海外メーカー ⽤品が主流である点は類似しているが,キャリ の場合,まず 1-2 社程度の全国レベルの代理店 アが販売にほとんど関与していないことは⼤き に商品を卸し,その代理店が省レベルの代理店 な相違点である。中国市場の端末の流通経路の へと流していく。この⼿法においては直販より 概要は図3の通りである。 短期間で販売網構築が可能であり,また新たな 中国における端末販売チャネルの発展の経緯 販売先が期待できるなどのメリットがある⼀ について,国務院発展研究センター企業研究所 ⽅,流通経路の多段階化によるマージン・アッ (2005)は以下の通り,3段階に分類している プ,価格のコントロールが困難などのデメリッ (p. 188) 。 トがある。 ・導⼊期(1987-1994 年) ⼀⽅, 中国メーカーの場合, ⼤⼿海外メーカー ⼤⼿国有通信設備販売業者(キャリア系)と と⽐較して販売過程に関与する程度が⾼く,直 少数の⺠間系⼤⼿⼀次代理店が市場をコント 営と代理店を併⽤する傾向が強い。省レベルで ロールしていた。 販売⽀社を設⽴し,⼩売店の価格のモニタリン ・成⻑期(1995-1999 年) グ,⼩売店への販売促進員の投⼊などを実施し, メーカー各社による販売チャネルの構築と整 売り上げの向上を図っている。また,代理店に 備が本格化した。 対する価格補填も⾏い,⻑期的な関係維持を ・成熟期(2000 年-) 図っている。また, ⾃社の家電流通網を活⽤し, ⼤⼿海外メーカーは広範で網の⽬の細かい ネットワークを整備し,中⼩都市への拡張をす 低コストな販売網の整備を推進しているメー カーもある。 すめた。中国メーカーは⾃社流通ルートと地域 卸を主体とする流通モデルを形成した。 図3 中国市場における流通経路 国際市場における⽇本の携帯電話端末(⼤﨑) 7 村 2005,p. 162)。しかしながら,そもそも 4.キャリアのビジネスモデル ⽇本においてはキャリアが OEM 調達した専 キャリアの販売店⾃体が少なく,こうしたキャ ⽤端末を⾃ら消費者に販売している。このよう リア専⽤端末の影響⼒は現在のところ,極めて に⽇本のキャリアは端末の開発・流通,さらに 限定的であると考えられる。 はコンテンツにまで深く関与する垂直統合型の ビジネスを展開している。⼀⽅,中国において 5.消費者ニーズ はメーカーが汎⽤品を⾃らの流通経路を通じて 都市部の普及率が 90%を越えている状況か 消費者に販売しており,キャリアは通信事業に らもわかるとおり,携帯電話は上海において中 特化するという⽔平分業型のビジネスモデルを 学⽣から⾼齢者まで,かなり幅広く普及してい 展開してきた。この点に関連して,国務院発展 るようである。ユーザー1⼈当たりの携帯電話 研究センター企業研究所(2005)は,中国では サービスの⽉間利⽤料⾦(2005 年末時点)につ キャリアとメーカーのつながりは相対的に薄 いて,⽇本は 58 ドル(データ通信⽐率:27%) く,キャリアは通信事業のみを⾏い,端末の販 であるが,中国では 10 ドル(データ通信⽐率: 売やブランド管理には関与していないと指摘し 12% )と な っ て い る( 週 刊 ダ イ ヤ モ ン ド ている(P. 198) 。しかしながら,近年,変化の 2006.11.25)。欧州市場同様,契約が簡単なこ 兆しが⾒え始めている。例えば,チャイナモバ とからプリペイド⽅式がかなり普及しているよ イルは⾃社ブランドの携帯電話端末の販売とコ うであり,地下鉄の売店でも SIM カードが販 ンテンツの配信を開始し(NTT ドコモ 売されていた。 モバ 2006,p. 269) ,またチャイナ 端末の価格は 300 元から 10,000 元を超える ユニコムは CDMA の普及を⽬的とし,端末開 ものまで⾮常に幅広い。ボリュームゾーンは都 発へも関与し,⾃らが低価格で販売している (⽊ 市部で 2,000-3,000 元,地⽅では 1,000 元程度 イル社会研究所 図4 ⼤⼿海外メーカーと中国メーカーの流通経路 出所:⽊村(2005)p. 163を修正。 8 第8巻 第2号 のようである。⼤型ショッピングセンターに集 ディア通信,PDA,ゲーム,撮影・録画,⾳楽, 積している端末メーカーのブースが主たる購⼊ 情報蓄積などを取り上げ,またファッション性 の場となっているようである。端末を販売して においては形状,カラー,質感の重要性を指摘 いるキャリアのショップもあるが,品揃えが不 している。⽇本では携帯電話端末のファッショ ⼗分なため,⽐較購買ができず,購⼊する消費 ン性に対する消費者ニーズが⾮常に⾼いが,中 者は少ないようである。 国においても店頭のディスプレイや雑誌(通信 通 信 サ ー ビ ス に 注 ⽬ す る と,2000 年 か ら 枝胸 2006.12,p. 98)において,ビーズで装飾 SMS(Short Message Service)が普及し,以後, された端末が紹介されるなど,⽇本のように WAP(Wireless Application Protocol) ,MMS ファッションアイテム化している側⾯があると (Multimedia Messaging Service) ,IVR(In- 考えられる。 teractive Voice Response)などの進展により, コーポレートブランドに関して,ノキア,モ モバイルコンテンツ市場やモバイル広告など, トローラ,サムスンなど,⼤⼿海外メーカーに モバイルコマースがビジネスとして確⽴しつつ 対してはデザイン,品質において評価が⾼いよ あ る( NTT ド コ モ モ バ イ ル 社 会 研 究 所 うであるが,中国メーカーに対しては低品質, 2006,p. 268) 。チャイナモバイルの WAP 利⽤ ⼤⼿海外メーカーの真似というイメージが強い 者は 6,000 万⼈,そのうち 2005 年におけるア ようである。中国メーカーも⾼価格の端末を店 クティブユーザーは 2,000 万⼈程度,⼀⽅チャ 頭に並べているが,やはり同程度の機能だと中 イナユニコムの CDMA による WAP ユーザー 国メーカーは⼤⼿海外メーカーより低価格のよ は 2,000 万⼈程度といわれている(同上)。主 うである。また,中国市場においては携帯電話 なサービスとして,メロディコール,画像メー 端末をステータスシンボルとして認識する⾵潮 ル,着信メロディ,待受画像ダウンロード,カ が強まっており,ノキア,モトローラ,サムス ラオケ,ゲーム,天気予報,レストランガイド, ンといったブランドの端末を所有することは社 位置情報,ニュースなどが提供されている (シー 会的ステータスを⺬すことになるとの指摘もあ ド・プランニング る(⽮野経済研究所 2006,p. 147) 。動画サービ 2006,p. 77) 。⼀⽅,携帯 スについては,チャイナモバイルと SMG(上海 電話が急速に普及している状況において,端末 ⽂広新聞伝媒集団)が提供する携帯電話テレビ の使⽤経験が少ないため,⾃ら製品の基本品質 サービス「夢視界」が上海で先⾏してサービス を判断できず,評価の⾼いコーポレートブラン を開始しており,対応端末は 45 機種(2005 年 ドを選択する消費者も少なくはないであろう。 11 ⽉ 22 ⽇時点),提供されているチャンネルは また,購買の主たる場であるショッピングセン ニュース,経済,エンタテイメント,スポーツ, ターの端末売り場はメーカーごとのブースに分 映画など計 12 チャンネル,毎⽇更新されるプ かれている。よって中国の消費者は端末の購買 ログラムは 100 本を超えている(NTT ドコモ において,まずメーカーを選択し,その後,デ モバイル社会研究所 ザイン,機能,価格などを考慮する傾向が強い 2006,p. 273) 。 国務院発展研究センター企業研究所(2005) と考えられる。こうした中国市場における消費 は,中 国 市 場 に お い て 携 帯 端 末 は 機 能 性 と 者ニーズの実態を踏まえると,中国市場におい ファッション性という2つの性格を併せ持って てコーポレートブランドは⾮常に重要なテーマ いると指摘している(p. 193) 。機能性の具体例 であると強調できる。 として,通話,テレビ電話,⽂字及びマルチメ 国際市場における⽇本の携帯電話端末(⼤﨑) 6.端末の機能 9 ており,1,000 元未満のモデルではカメラは搭 先述したとおり,チャイナモバイルやチャイ 載さえされていない。3,500 元を超えると⽇本 ナユニコムといったキャリアの店舗は⾮常に少 と同程度の液晶やカメラが搭載されているが, なく,通信サービスの契約に関する業務を主に 3,500 元は⽇本円に換算すると 52,850 円(1 ⾏っている。なかには端末を販売している店舗 元:15.1 円)となる。上海におけるボリューム もあったが,取扱機種数が⾮常に少なく,消費 ゾーンでさえ 2,000-3,000 元程度であり,⼀般 者の主たる購⼊の場ではないようである。こう のユーザーは⽇本ほど⾼スペックの端末を使⽤ した状況において,キャリアが端末を紹介する していないと考えられる。また,地⽅部および カタログも存在していない。しかしながら,現 ⾼齢者においては低価格(1,000 元以下)志向 地で携帯電話端末購⼊ガイド雑誌を3誌⼊⼿す が強く,カメラが搭載されていないモデルも数 ることができた。これら中国の雑誌と⽇本の雑 多 く 広 ま っ て い る と 考 え ら れ る。ち な み に 誌を⽐較し,中国市場における端末の機能およ 2005 年初頭の段階では,500-600 元程度の価格 び消費者ニーズに関する考察を⾏う(表3) 。 の端末が中国市場を牽引していた(⽇本経済新 移脅信息(2006.12)では,200 あまりのモデ 聞 2005.4.6)。 ルが紹介されているが⽇本の端末は1つも紹介 ⽇本における端末の価格は市場投⼊直後でも されていない。ノキア,モトローラ,サムスン 概ね 2-3 万円程度であり,数ヶ⽉経つと通常, など⼤⼿海外メーカーの端末からはじまり,後 数千円程度となる。こうした⽇本の販売価格は に中国メーカーの端末が紹介されている。雑誌 キャリアが付与するインセンティブによって成 の形式について,端末の写真が掲載され,各端 ⽴している。よって,⽇本の最先端の⾼機能機 末のスペックに関して記載されている点は⽇中 種を中国で販売した場合,かなりの⾼価格とな の雑誌ともに共通している。しかしその項⽬は り,⼀般に流通する商品とはなり得ないと考え ⽇中で⼤きく異なっている。まず,中国におい られる。また,ワンセグ,テレビ電話,おサイ ては価格が掲載されている。上海で数多くの販 フ機能,GPS など,⽇本において重要視されて 売店をまわったが,価格はどの店でもあまり変 いる項⽬について,中国においては全く記載さ わらない。また,サイズ,電池持続時間,画⾯ れておらず,⽇本の携帯電話の⾼サービス化お などの基本的事項は⽇中ともに記載されてい よび端末の⾼機能化が如実にあらわれていると る。⼀⽅,メールといったインターネットへの 考えられる。 接続に関する機能は⽇本では搭載されているこ ⼀⽅,中国においては,⽇本ではあまり重視 とが前提の状況であり,⽇本の雑誌では記載さ されていない Bluetooth が重要視されている。 れていない。カメラや液晶は⽇中の雑誌でとも こうした点は製品開発を主体的に進⾏すること に記載されており,消費者の関⼼の⾼さを⺬し ができる⼤⼿海外メーカーの影響が強く現れて ているといえる。しかしながら,これらのス いると考えられる。また,⽇本でも以前,⼀部 ペックにおいては⼤きな相違がある。まず⽇本 の機種に搭載されていたラジオ機能が多くの端 においては,ほぼ全てのモデルにおいて同程度 末に搭載されている点は中国市場における端末 の⾼スペックの機能が搭載されている。⼀⽅, の特徴として興味深い。 中国において例えば通信枝胸(2006.12)では端 末 を 1,000 元 未 満,1,000-3,000 元,3,0015,000 元,5,001 元以上の4つの価格帯に分け 10 第8巻 第2号 特化した⽔平分業型のビジネスモデルを展開し Ⅳ.携帯電話端末市場の⽇中⽐較 ていると指摘できる。⼀⽅,⽇本においては 中国の携帯電話通信サービス市場において, NTT ドコモが PDC 開発の主導的な⽴場であ チャイナモバイルが 66.5%のシェアを保有し, り,また端末の流通も⽀配していることから, 寡占化が進⾏していることは⽇本と類似してい ⾮常に対象的であるといえる。⽔平分業を展開 る。しかしながら,中国で主流の通信規格であ する中国のキャリアは当然のことながらインセ る GSM は欧州発の技術であり,中国のキャリ ンティブを付与しない。よって端末の価格は⽇ アは通信に関する技術をほとんど保有していな 本と⽐較するとかなり⾼額である。 い。よって端末の開発にもほとんど関与してい 中国の端末市場では⼤⼿海外メーカーと無数 ない。また,端末の販売を実施している店舗は の中国メーカーがシェアを保有する構図となっ あるものの,店舗数⾃体が⾮常に少なく,端末 ているが,中国メーカーには⾼い技術⼒や豊富 の流通にはほとんど影響⼒を持っていない。 な資⾦⼒がなく,⼤⼿海外メーカー主導の市場 よって,中国のキャリアは携帯通信サービスに といえる。消費者への販売に関しては端末メー 表3 端末購⼊ガイドに記載されている項⽬ 中国 ⽇本 移脅信息 通信枝胸 ⽇経トレンディ 価格 ○ ○ サイズ・重量 ○ ○ ○ 電池持続時間 ○ ○ ○ 画⾯ ○ ○ ○ メモリーカード ○ ○ ○ カメラ ○ ○ ○ ゲーム(JAVA) ○ ○ Bluetooth ○ ○ 着メロ ○ ○ ⾳楽(MP3) ○ ○ ラジオ ○ メール ○ ワンセグ ○ テレビ電話 ○ おサイフ機能 ○ GPS ○ 出所:中国の携帯電話端末の購⼊ガイド雑誌:移脅信息(2006.12) pp. 130-133,通信枝胸(2006.12)pp. 122-125および⽇経ト レンディ(2006.12)pp. 187-201に基づき作成。 国際市場における⽇本の携帯電話端末(⼤﨑) 11 カ ー が 代 理 店 な ど を 通 じ て,路 ⾯ 店 や ⼤ 型 端末供給休⽌の動向が⽬⽴っている。その直接 ショッピングセンター内にブースを構え,実施 的な誘因は第3世代の通信サービスの導⼊が⼤ している。数多くのメーカーが存在し,しかも きく遅れており,未だ⽬処が⽴たないことであ ⽇本と異なりキャリアに束縛されず,各社,⾃ ろう。確かに,W-CDMA や CDMA2000 など 由に端末の開発・投⼊を⾏っているため,無数 第3世代の技術に関して,⽇本でサービスが開 の汎⽤端末が店頭に並んでいる。上海の街中に 始された 2000 年頃であれば,⽇本メーカーに は携帯電話端末の広告が溢れており,熾烈な競 ⼤きな優位性があった。しかしながら,その後 争が展開されている中国市場において,メー 6年が経過し,こうした第3世代の端末におい カーによるマーケティングが極めて重要なテー てもモジュール化が進展してしまっており,⽇ マであることは間違いない。 本メーカーのみが圧倒的に競争優位性を有する 状況ではもはやない。 中国市場はキャリアの寡占化が進んでいるも Ⅴ.結論 のの,前回フィールドワークを実施した英国市 2006 年に⼊り,⽇本メーカーの中国市場への 表4 場以上に⼤⼿海外メーカーのキャリアに対する 携帯電話端末市場の⽇中⽐較 ⽇本市場 中国市場 メーカー 国内メーカー ⼤⼿海外メーカーと国内メーカー が中⼼ キャリア 豊富な資⾦と技術⼒ 資⾦・技術⼒ともに豊富ではない パワー キャリア>メーカー キャリア<メーカー (とりわけ⼤⼿海外メーカー) キャリアのビジネスモデル 完全な垂直統合型 ⽔平分業型 キャリアとメーカーの関係 緊密 希薄・⾃由 キャリア独⾃の通信サービス 豊富 少ない キャリアの流通への関与 ⽀配的 極めて⼩さい キャリアの端末開発への関与 主導的 ほとんどない キャリア専⽤品 汎⽤品 投⼊されている端末数 少ない 極めて多い インセンティブ ⼤きい ほとんどない 端末の価格(同機能の場合) 低価格 ⾼価格 半年程度 9ヶ⽉程度 ⾼スペック 低スペック ⾼機能なカメラ,液晶 *通信量の拡⼤に貢献 Bluetooth,MP3 *単体での機能 必ずしも積極的に実施する必要は ない 極めて重要 端末 新製品の投⼊サイクル ボリュームゾーンのスペック 機能の特徴 メーカーによるマーケティング の必要性 12 第8巻 第2号 パワーが強い。また,国産保護政策の影響によ ンドで端末ビジネスを展開しており,サムスン り,中国メーカーの進出も激しく,⽇本とは⽐ を強く前⾯に押し出していない。中国で強い影 較にならないほど多くの端末メーカーが無数の 響⼒を保有するノキアは携帯通信機器メー 端末を投⼊している中国市場の競争は極めて激 カー,モトローラは情報通信機器メーカーであ しい。こうした状況において,⾼機能端末で り,こうした通信機器のイメージを打ち出す必 あっても熾烈な価格競争が展開されている。⽇ 要があるかもしれない。例えば,携帯電話端末 本であれば多少コスト⾼になっても,消費者が 独⾃のブランドを構築し,その背景に⽇本メー ⽀持してくれる可能性があれば,キャリアが カーが展開しているというイメージを付与す ユーザー獲得のため,⼤きなインセンティブを る,⽇本の COO(Country of Origin)の強みを 付与し,販売価格を抑えることが可能な場合も 活⽤した2層のブランド構築策も有効かもしれ あるが,中国ではそうはいかない。インセン ない。いずれにしろコーポレートブランドの戦 ティブなしに消費者を満⾜させるスペックと価 略的なマネジメントが中国市場において極めて 格を提供しなければならない。⼤⼿海外メー 重要なテーマであることを強調したい。 カーは国際市場でシェアを獲得しているため規 デザインに注⽬すると,中国では販売されて 模の経済が働く。また,中国メーカーは安価な いない⽇本メーカーの⽇本市場向け端末のデザ ⼈件費,既存の家電流通網の活⽤などにより, インは中国市場において⾼い評価を受けてい オペレーションコストを抑えることが可能であ る。例 え ば,中 国 の 携 帯 雑 誌 で あ る ⼿ 机 る。こうした優位性がなく,しかもキャリアご (2006.12 とに専⽤端末を投⼊しなければならない⽇本市 スタイリッシュな携帯ベスト 10」という特集で 場を注⼒せざるを得ない⽇本メーカーに規模の は,⽇本の端末が4機種を占めている。3機種 経済は全く働かない。 は au のデザインプロジェクトのもので,1機 pp. 24-28)の「世界市場における 中国においては携帯電話端末の売り場に限ら 種はカシオの端末であった。機能を中国向けに ず,例えばテレビ売り場でもコーポレートブラ カスタマイズし,低スペックにすることは適正 ンドごとに完全にブースが分かれている。⾼度 な販売価格を維持する必要性から理解できる 経済成⻑期において⽇本の消費者はコーポレー が,デザインは⽇本市場に投⼊している最新モ トブランドを重視したが,それは商品の使⽤経 デルと同様でもよいのかもしれない。逆説的に 験が乏しいため,基本品質を判断できなかった いえば,⽇本の最先端ということが中国消費者 からである。現代の中国市場はまさにこうした にとって有効なメッセージになるとも考えられ 状況であり,コーポレートブランドを重視した る。アンダーグランドの世界では,中国では正 マーケティング戦略を実⾏しなければならな 式に販売されていない⽇本メーカーの⽇本市場 い。中国での家電における⽇本メーカーのコー 向け端末に中国語⽤ソフトを搭載したものが, ポレートブランドに対する評価は極めて⾼い 6万円程度と⾼額であるにもかかわらず,⼈気 が,携帯端末に対しては全く何の印象もないよ を博しているようである。 うである。こうした家電で蓄積したコーポレー 中国市場と⽇本市場および英国市場を⽐較す トブランドを効果的に活⽤することも考慮する ると,⽇本はキャリアが垂直統合型のビジネス 必要があるかもしれない。⼀⽅,逆に家電のイ モデルを展開しており,中国市場と根本的に異 メージを払拭することも重要かもしれない。例 なる構造となっている。中国と英国では,キャ えば,サムスンは中国では Anycall というブラ リアは⽔平分業型のビジネスモデルを採⽤し, 国際市場における⽇本の携帯電話端末(⼤﨑) ⼤⼿海外メーカーが主たるプレイヤーで⾃由に 端末開発を⾏い,流通にも関与しているため, メーカーによるマーケティングが重要視される ことは共通している。ただ,キャリアがほとん ど販売に関与せず,またコーポレートブランド への消費者の依存度の⾼さを考慮すると,その NTT ドコモ 13 モバイル社会研究所(2006) 『モバイル 社会⽩書 2006』NTT 出版. ⽊村公⼀朗(2005) 「中国携帯端末メーカーの成⻑―販 売重視から⾃社開発の模索へ―」今井健⼀・川上 桃⼦編『東アジア情報機器産業の発展プロセス』 地 域 研 究 セ ン タ ー・ア ジ ア 経 済 研 究 所,pp. 151-176. 分さらに中国市場においてはメーカーによる 国務院発展研究センター企業研究所(2005) 「中国携帯 マーケティングの重要性が⾼いと考えられる。 端末産業の発展状況・趨勢と産業発展の展望」今 今後,世界3⼤市場の残りの1つであるアメリ 井健⼀・川上桃⼦編『東アジア情報機器産業の発 カ市場の調査を⾏い,携帯電話端末の国際市場 ⽐較について総括していく。 展プロセス』地域研究センター・アジア経済研究 所,pp. 177-206. シード・プランニング(2006) 『2006 年版携帯電話の世 界市場』. 謝辞 週刊ダイヤモンド(2006.11.25). 上海でのフィールドワークにおいては,⻄⼭ ⼈⺠網⽇本語版(2006.11.23)(http : //people.ne. 貿易有限公司の呉良駿⽒,上海住友商事有限公 jp/2006/11/23/jp20061123_65275.html)アクセス 司の顧震⽒より,多⼤なるご協⼒を頂戴した。 また,本研究は名城⼤学経済・経営学会研究助 成(平成 18 年度)を受けて実施した。記して感 謝の意を表したい。 ⽇:2007 年1⽉9⽇. ⽇経トレンディ(2006.12). ⽇本経済新聞(2005.4.6). ⽇本経済新聞(2005.12.14). ⽇本経済新聞(2006.2.15). ⽇本経済新聞(2006.4.9). 参考⽂献 移脅信息(2006.12). 通信枝胸(2006.12). ⼿机(2006.12). パナソニック・モバイルコミュニケーション技術研修 所(2005)『携帯電話の不思議』SCC. ⽮野経済研究所(2006)『2006-2007 場動向調査』. 携帯電話世界市